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空き家

施設に入った親の家の売却|意思確認と税の期限

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
施設に入った親の家の売却|意思確認と税の期限

「親が施設に入って実家が空いたが、名義は親のままで、売ってよいのか分からない」。売主は最後まで親本人で、判断能力が残っているうちは委任で進められますが、失われた後は成年後見人の選任と、居住用不動産なら家庭裁判所の許可が必要になります。

当社は買主として直接買い取るため家財が残ったままでも金額をお出ししますが、家庭裁判所の許可が要る居住用不動産では、許可が出るまで決済日を置きません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(12章)

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親が施設に入ったあとも家の名義は親のままで、売買契約書に署名するのは親本人ですから、子が代わりに進めるなら委任を受ける必要があります。判断能力が失われていれば、成年後見人の選任と家庭裁判所の許可が要ります。査定額だけを先に集めても、この点が決まらなければ動けませんし、施設の費用に充てられる時期も見えてきません。

施設に入った親の家の売却の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

施設に入った親の家の売却で、最初に決まるのは誰が売主か

居間のソファに座り、テーブルの上を片付けている家族

施設に入っていても家の名義は親のままで、売買契約の売主になるのは親本人です。ここから先の道は、親の判断能力がどれだけ残っているかと、名義が本当に親になっているかの2点で分かれます。

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると全国の空き家は約900万戸で、そのうち賃貸用・売却用・二次的住宅を除いた空き家は385万戸でした(住宅・土地統計調査)。この385万戸には、所有者が施設や病院にいて家の扱いだけが止まっている住宅も相当数含まれます。入所の手続と介護の対応に追われ、家のことは後回しになりやすいためです。

施設の費用は毎月出ていきますから、家を早く現金に換えたいと考えるのは自然ですが、不動産は住んでいるかどうかではなく登記された名義で動きます。親が施設にいることは、子に売る権限を与える理由になりません。

名義と持分を確かめる書類

  • 登記事項証明書(甲区)

    所有者と持分を確認し、名義が親か確かめる

  • 登記事項証明書(乙区)

    抵当権や差押えの有無を確認する

  • 納税通知書(課税明細)

    私道の持分や小さな畑など課税対象を確認する

  • 名寄帳

    親名義の不動産の一覧をまとめて確認する

名義と持分を、登記事項証明書と納税通知書で確かめる

法務局で土地と建物の登記事項証明書を取り、甲区で所有者と持分、乙区で抵当権や差押えの有無を見ます。実家だと思っていた家が、相続登記をしないまま祖父名義で残っていることがあります。その場合は親の一存では売れないため、祖父の相続人全員の関係を先に整理します。

手元の固定資産税の納税通知書も同時に見てください。課税明細にはその市区町村にある課税対象の土地と建物が並ぶため、私道の持分や実家の裏にある小さな畑がここで出てくることがあります。市区町村の税務課で名寄帳を取れば、親名義の不動産の一覧をまとめて確認できます。

抵当権が残っている場合は、完済して抹消しなければ買主に引き渡せませんが、返済が終わっているのに抹消の登記だけ放置されていることもあります。古い抵当権の抹消には、当時の金融機関の書類が要ります。書類が残っていなければ、追加の手続が必要です。

子が代わりにできること、できないこと

親の判断能力が十分であっても子ができるのは準備の部分で、登記事項証明書や公図の取得、周辺の取引価格の確認、不動産会社への相談と見積の取得までは子の名前で進められます。

一方、売買契約の締結と代金の受領ができるのは、親本人か正式に代理権を与えられた人だけです。売買代金は親の財産なので、入金先も親名義の口座になります。子の口座に代金を入れる形にすると、贈与と受け取られる余地が出ます。 施設費用や医療費に充てるつもりでも流れは親の口座で完結させておくと、後から説明を求められたときに楽です。

片付けについても、親の物を処分するのは親の財産の処分ですから、判断能力があるうちに残すものと処分してよいものを本人に確認し、できれば書面に残してください。兄弟姉妹がいる家庭では、この確認の有無が後で効いてきます。

親の判断能力と、施設に入った親の家を売却する手続の関係

判断能力が残っていれば委任で売却を進められますが、失われている場合は成年後見人の選任が要り、居住用不動産ならさらに家庭裁判所の許可が必要です。分かれ目は診断名ではなく、売買の内容を理解して自分の意思で決められるかどうかです。

認知症の診断を受けていても症状の程度は一様ではなく、日によって波がある方もいます。実務では司法書士や買主が本人と面談し、家を売ることの意味、売却代金の使い道、いまの名義を本人の言葉で確認します。この面談で意思の確認が取れなければ、契約はそこで止まります。

親族が作った委任状があっても、本人が委任の意味を理解していなければ効力に疑いが残り、後から相続人の一人が契約の有効性を争うという展開もあり得ます。判断能力の低下が進みつつあるなら、時間を置くほど選択肢は減ります。判断能力がすでに失われている段階の進め方は「親が認知症で家を売る方法」の記事に整理しています。

居住用不動産の処分に必要な許可

  • 居住用不動産の扱い

    施設入所後も生活の本拠であった建物なら該当する

  • 処分の条件

    成年後見人が処分するには家庭裁判所の許可が要る

  • 許可が必要な理由

    住み慣れた家を失うことが本人の心身に影響するため

居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可が要る

成年後見が開始すると後見人が本人に代わって財産を管理しますが、住まいには別の縛りがあります。民法第859条の3は、成年後見人が本人の居住の用に供する建物またはその敷地を処分するには、家庭裁判所の許可を得なければならないと定めています(民法(e-Gov法令検索))。

多いのは「もう施設に移ったのだから居住用ではない」という受け止め方ですが、施設に入所した後も扱いは変わりません。その家が本人の生活の本拠であった建物なら、居住用不動産として扱われるのが通常です。住み慣れた家を失うことは本人の心身に影響するため、裁判所の判断を挟む仕組みになっています。許可を得ないまま結んだ処分は効力を否定され、決済まで進んだ取引が巻き戻ります。

後見人は親族が選ばれるとは限らず、事案によっては弁護士や司法書士が選任されます。選任された後見人には報酬が発生し、後見は本人が亡くなるまで続きます。申立ての準備と審理にかかる時間は家庭裁判所ごとに事情が違うため、月単位の時間を見ておいてください。売却を急いでいるという理由で、この期間が短くなることはありません。

許可が必要になる範囲と居住用の判断については「成年後見の不動産売却に許可が必要な範囲」の記事で扱っています。

保佐・補助・任意後見では、代理権の範囲を先に見る

後見以外の類型では、不動産の売却について同意権や代理権がどう定められているかで、そのまま契約できるかどうかが分かれます。

保佐が開始している場合、本人が不動産など重要な財産を処分するには保佐人の同意が要ります(民法第13条第1項第3号)。本人が署名する形は残りますが、同意のない契約は取り消される余地があります。保佐人が本人に代わって契約するには別に代理権を与える審判が必要で、補助では同意権も代理権も審判で個別に定めます。審判書を見て、不動産の売却がその範囲に入っているかを確かめてください。

判断能力があるうちに公正証書で任意後見契約を結んでおく方法もあり、この契約は家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。任意後見には民法第859条の3のような家庭裁判所の許可の規定は置かれていないため、売れるかどうかは代理権目録の書き方で決まり、監督人の同意を条件にしている契約もあります。親御さまが元気なうちに作られた書類が手元にあるなら、目録の記載を先に読んでください。後見登記の登記事項証明書でも、代理権の範囲を確認できます。

判断能力の状態ごとの手続

  1. 1

    判断能力が残っている

    委任で売却を進められるが、面談での意思確認が必須となる

  2. 2

    判断能力が失われている

    成年後見人の選任と、居住用不動産なら家庭裁判所の許可が必要

「親の判断能力と、施設に入った親の家を売却する手続の関係」について、そのまま聞けます。

施設に入った親の家の売却は、売る時期で税の扱いが変わる

親が生きているうちに売るか、亡くなった後に相続人が売るかで、使える特別控除も期限も入れ替わります。見るのは家に住まなくなった日からの年数と、相続が始まった時点で親がどこで暮らしていたかです。

譲渡所得は売却価格から取得費と譲渡費用を引いて計算しますが、親が数十年前に買った家では当時の売買契約書が見つからないことがあります。取得費が分からない場合は売却価格の5%を取得費とみなす扱いが国税庁のタックスアンサーに示されており、この形になると課税の対象は大きくなりがちです。購入時の契約書、当時の領収書、住宅ローンの書類は、片付けの前に探してください。

売却前に探しておくべき3つの書類

  • 購入時の契約書

    取得費の証明に不可欠。見つからないと売却価格の5%計算となり税負担が増す。

  • 当時の領収書

    契約書と並ぶ費用の根拠。数十年前の古いものであっても片付け前に確保する。

  • 住宅ローンの書類

    取得費用の裏付けとなる。家財の整理や処分を始める前に探し出す必要がある。

1. 親が生きているうちに売る場合の、3年目の年末という期限

親本人がマイホームを売ったときは3,000万円の特別控除があり、主な要件の1つが、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることです。起算点になり得るのは施設への入所で家を空けた日で、入所から時間が経つほどこの期限は近づきます。所有期間が10年を超える場合の軽減税率にも、同じ考え方の期限が置かれています。

期限までに売れば使えるという単純な制度ではなく、住まなくなった後の家の使い方や親族への譲渡かどうかなど、ほかにも要件があります。適用の可否は国税庁のページと税務署で確認してください。「まだ数年ある」と思っていた期限が、入所日を起点にすると翌年末だった。そういう例があります。

生前売却と相続後売却の期限

  1. 施設入所日

    期限のカウント開始

    家を空けた日が特別控除の起算点になる

  2. 3年目の12月31日

    特別控除の適用期限

    この日を過ぎると3,000万円控除が使えない

2. 亡くなった後に売る場合の、空き家の特例と老人ホームの要件

被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続人が一定の要件を満たして売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。取得した相続人が2人までであれば1人あたり3,000万円ですが、令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、1人あたり2,000万円が上限になります。この特例は「相続開始の直前に被相続人が居住していた家屋」を前提にしているため、施設に入ったまま亡くなった場合は対象外だと思われがちです。

実際には、別の取扱いが置かれています。被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合、一定の要件を満たせば相続開始の直前に居住していたものとして扱われます。要件の一部は入所の直前まで住んでいたことで、入所後にその家を事業や貸付けに使っていないことも要ります(国税庁被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。要件は複数あり、ここに挙げたものが全部ではありません。

適用には市区町村長が交付する被相続人居住用家屋等確認書が必要で、取得の際は要介護認定の資料や入所していた施設の書類を求められます。施設の契約書や認定通知書は処分しないでください。後から揃えるのに手間がかかります。譲渡の期限は、相続の時から3年を経過する日の属する年の12月31日までという区切りです。制度そのものにも適用期限が置かれてこれまで延長が繰り返されてきたため、売る年が期限の内側かどうかは国税庁のページで確認してください。判定の手順は「空き家3000万円控除の条件」の記事にまとめています。

相続税を納めた場合は、申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売れば納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度もあります。控除と加算の組み合わせは事案によって変わるため、有利な選び方は税額を計算しないと決まりません。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額は、税務署または税理士にご確認ください。登記は司法書士、境界や隣地との権利関係は弁護士や土地家屋調査士が窓口で、当社は不動産の買主であるため税務や法律の代理はできません。

生前と相続後の特別控除の違い

観点生前に売る亡くなった後に売る
使える特別控除マイホームの3,000万円特別控除空き家の特例
期限の起算点施設への入所で家を空けた日相続が始まった時点
控除の上限額3,000万円最大3,000万円(相続人3人以上は減額)

施設に入った親の家を売却せず、空き家のまま持ち続ける費用

伸びた草に囲まれた木造住宅と、その様子を道路から見上げている家族

持ち続ける間は固定資産税と火災保険と管理の費用が毎年出ていき、施設の費用と二重の負担が続きます。金額の大きさを決めるのは、建物を残すか更地にするかと、市町村から勧告を受けるかどうかです。

毎年の支出は納税通知書の税額と火災保険料が軸で、ここに電気と水道の基本料金、草刈りや剪定の費用、家を見に行く交通費が加わります。遠方なら往復の交通費と宿泊費が年に数回分入り、さらに雨漏りや塀の傷みが出たときの修繕が不定期に乗ります。この合計を1年分だけ出してみると、判断の材料が1つ増えます。

空き家は火災保険の引受条件も変わり、人が住んでいない建物は住宅物件ではなく一般物件として扱われるため、保険料が上がったり引受を断られたりすることがあります。施設に入って住民票を移した後も保険会社に伝えていない家があり、そのまま契約が続いている状態です。扱いの違いは「空き家に火災保険はかけられるか」の記事で整理しています。

1. 勧告を受けると、住宅用地の特例が外れる

建物が建っている土地には住宅用地の特例が適用され、固定資産税の課税標準が小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)で6分の1、それを超える部分で3分の1になります(地方税法第349条の3の2)。「建物を残しておけば税金が安い」と言われるのは、この仕組みのことです。

ただし、この軽減は永久ではありません。空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、特定空家等または管理不全空家等として市町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象から外れます(国土交通省空き家対策)。外れる時点は指定ではなく勧告なので、助言・指導の段階で改善すれば勧告には進みません。

施設に入った親の家は外から状態が見えるため、庭木が道路にはみ出す、郵便物が溢れる、雨戸が壊れたままになるといった形が、近隣からの連絡が市町村に入る入口になります。勧告を受けてから慌てて草を刈っても、その年の課税の扱いは戻りません。手順と時間の流れは「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事に書いています。

空き家を持ち続ける費用の内訳

費用の種類主な項目金額が変わる分かれ目
税金固定資産税市町村から勧告を受けると特例が外れる
保険火災保険料一般物件扱いになると保険料が上がる
維持管理電気・水道基本料、草刈り、交通費建物を残すか更地にするかで変わる
修繕雨漏りや塀の傷み不定期に発生する

2. 1年分の持ち出しを、費目ごとに書き出す

見当をつけるには、1年間に出ていく費目を並べ、施設の利用料と同じ紙に置くのが早道です。

費目支払い先空き家であることで変わる点
固定資産税・都市計画税市区町村勧告を受けると住宅用地の特例が外れる
火災保険料保険会社一般物件の扱いになり、引受を断られることがある
電気・水道の基本料金各事業者通水と換気のために残すか、止めるかで変わる
草刈り・剪定・清掃業者またはご家族遠方だと業者への委託になりやすい
見回りの交通費交通機関年に何回行くかで幅が出る

支払う人も決めておいてください。親御さまの口座から引き落とす形なら通帳に記録が残りますが、子が立て替える形なら、いつ誰に精算するかを先に決めておかないと相続のときに説明が要ります。成年後見が開始している場合は、管理にかかる支出も後見人が家庭裁判所へ報告する対象です。

この持ち出しは家の値段とは別に毎年出ていき、固定資産税が上がるのは勧告を受けてからですが、税の特例の期限は待っていても止まりません。1年分の合計と、期限までに残された年数を、同じ紙に並べてください。

解体・賃貸・譲渡を含めた、施設に入った親の家の選択肢

売る以外の道は、解体して更地にする、貸す、親族に譲る、管理しながら持ち続けるの4つです。どれを選べるかは、親御さまの判断能力と建物の状態に加えて、費用を先に誰が出せるかで決まります。

解体を選ぶ場合、解体費用は工事が終わった後に請求されるため、代金が入ってくる売却とは逆に、先にお金が出ていきます。親の預金から出すなら本人の同意か後見人の管理が要り、子が立て替えるなら精算の方法を決めておいてください。費用の見方と見積書のどこを見るかは「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にまとめました。

選択肢ごとの費用の出入り

観点売却解体
お金の動き代金が入ってくる費用が先に出ていく
親の預金を使う場合代金が入るため不要本人の同意か後見人の管理が要る
家庭裁判所の許可居住用不動産の処分として扱う売りやすくするため等の理由は難しい

1. 建物を壊せるかどうかも、名義人が誰かで決まる

解体の発注は建物の処分にあたるため、名義人である親の意思か、代理権のある人の判断が要ります。子が良かれと思って解体を発注し、後から兄弟姉妹に問題にされる例があります。親の判断能力が失われた後は、解体の選択肢も自動的に狭くなります。

成年後見が開始している場合は取壊しも同じで、居住用不動産なら家庭裁判所の許可が必要な処分として扱われるのが実務です。許可の申立てでは、なぜ壊す必要があるのかと、本人の利益にどうつながるのかを説明します。傷みが進んで危険な状態だから壊すという説明は通りやすい一方、売りやすくするために壊すという理由は、本人の財産を減らす面があるため難しくなります。

更地にすると住宅用地の特例が外れ、土地の税額は上がります。再建築ができない土地では壊した後に建て直せないため、使い道が駐車場や資材置き場などに限られます。解体して売る方が高く売れるとは限りません。前面道路の幅や敷地までの通路で、工事費も変わります。名義と費用と税を順に見る整理は「施設に入った親の家を解体するか」の記事で扱っています。

2. 貸して家賃を施設の費用に充てる場合に消える特例

貸すと相続後に使える空き家の特例が外れるのは、相続の時から譲渡の時まで、事業や貸付け、居住に使っていないことが要件の1つだからです。数年だけ貸して家賃を施設の利用料に回し、その後に売るという順番を選ぶなら、失う控除の額まで並べて比べてください。

生前に売る場合の3,000万円の特別控除は扱いが違い、住まなくなった後に人へ貸していても、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であれば対象になり得るとされています。相続後の特例とは向きが逆なので、どちらの出口を想定するかで貸す判断が変わります。適用の可否は税務署または税理士にご確認ください。

貸主になるのも、名義人である親御さま本人です。民法第859条の3は、居住用の建物やその敷地について、売却だけでなく賃貸や賃貸借の解除、抵当権の設定も家庭裁判所の許可が要る行為として挙げています。借主が入った後は、退去の時期を貸主の側で決められません。定期借家にしても期間の途中で明け渡してもらって売ることはできず、雨漏りや設備の故障に応じる義務も貸主である親御さまに残ります。

3. 親族に譲る場合の税と、持ち続ける場合に先に切れる期限

親族に譲る道と、持ち続ける道は、どちらも税と期限で見ると比べやすくなります。

無償で譲れば贈与になり、暦年課税では年110万円の基礎控除を超えた部分に贈与税がかかって、土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに評価されます。登記の費用も変わり、贈与による所有権移転の登録免許税は固定資産税評価額の2%で、相続による移転の0.4%より高くなります。不動産取得税も、相続では課税されませんが贈与では課税されます。親御さまの判断能力が失われた後は、贈与という道は事実上なくなります。成年後見人が本人の財産を無償で減らす行為は、原則として認められないためです。

管理しながら持ち続ける場合は1年分の持ち出しが毎年積み上がるうえに、期限のある制度が先に切れていきます。生前の3,000万円の特別控除は住まなくなった日から3年目の年末、相続後の空き家の特例は相続の時から3年目の年末が区切りです。

相続が起きた後であれば、建物を解体したうえで土地だけを国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度の申請という道もありますが、建物が建っている土地は申請できません。申請には土地一筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、承認された場合は負担金を納めます。負担金は原則20万円ですが、市街化区域内の宅地や農用地区域内の農地、森林は面積に応じて算定されます。境界について争いのある土地や、管理に過分な費用や労力がかかる土地は通りません。申請できる土地かどうかは、法務局の窓口で確認してください。

施設に入った親の家の売却方法は、仲介と買取の2種類

売却方法は、買主を探して売る仲介と、不動産会社が直接買い取る買取の2種類です。選び分けの基準は、現金がいつまでに要るかと、価格をどこまで優先できるかです。

仲介は市場に出して買主を探すため条件が合えば買取より高い金額で成約しますが、そのかわりいつ売れるかは決まりません。内覧に備えて家財を片付け、写真を撮り、見学者を受け入れる期間が続きます。売れた後も売主の責任は残り、引き渡した建物に契約書で定めた内容と違う不具合が見つかれば、売主が負う場面があります。仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合で、価格の3%に6万円を加えた額と消費税です。売買価格が800万円以下の空家等については、国土交通省の報酬の告示で、あらかじめ売主の合意を得ることを条件に、媒介の報酬を33万円(消費税込み)まで受け取れる扱いが置かれています。施設に入られた後の実家は、この価格帯に入ることがあります。

買取は、不動産会社が買主として提示した金額で契約するため、家財が残っていても建物が傷んでいても、現況のまま引き取る形が取れます。そのかわり、提示額は仲介で成約したときの想定額より低くなります。 手直しや販売の費用と、売れ残る期間の負担を買主が引き受けるためです。この差がどこから出るかは「空き家を買取で売るデメリット」の記事に分解しています。

1. 家庭裁判所に出す資料として、価格の根拠が要る

成年後見人が居住用不動産の売却の許可を申し立てるときは、売却の必要性と、その価格が妥当であることを示す資料を出します。説明しやすいのは、施設の費用や医療費に充てるという使い道です。 資料になるのは査定書や売買契約書の案で、金額が確定している提示は、この場面で扱いやすくなります。

ここで気をつけたいのは、許可が出る前に契約を完了させられない点です。実務では許可が出ることを条件にした契約にしておき、決済日は許可が出てから置きます。許可が出ない可能性も織り込んでください。引っ越しや片付けの日程を先に組むと、費用だけが先に出ます。

仲介と買取の違い

観点仲介買取
買主市場に出して探す不動産会社が直接買い取る
売却価格条件が合えば買取より高い仲介での想定額より低くなる
売れる時期いつ売れるかは決まらない提示された金額ですぐ契約できる
売却後の責任契約と違う不具合があれば負う現況のままで引き取る
裁判所への資料査定書などを出す金額が確定しており扱いやすい

2. 施設の費用の期日から、仲介と買取を選び分ける

入所一時金や毎月の利用料の引き落としに間に合うかどうかが、実際の選び分けの基準になります。手元の現金で何か月しのげるかを数えてから、違いを見てください。

見る点仲介買取
売れる時期買主が現れるまで決まらない契約の時に決済日を決められる
金額条件が合えば買取より高い手直しと販売の費用が引かれる
家財と内覧片付けと見学者の受け入れが要る残したまま引き渡せる
売った後の責任契約と違う不具合は売主が負う場面がある免責の特約を置く契約が一般的
手数料上限の範囲で仲介手数料がかかる当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません

3年目の年末のような期限が近いなら、決済日を先に置ける形の方が確実です。反対に、年金と預金で施設の利用料がまかなえていて期限にも余裕があるなら、時間をかけて買主を探す方が最後に残る金額は大きくなります。金額だけ、日付だけで決めず、両方を並べてから選んでください。

「施設に入った親の家の売却方法は、仲介と買取の2種類」について、そのまま聞けます。

施設に入った親の家を売却するまでに動かす順番

最初に登記で名義と抵当権を確かめ、次に本人の意思確認の方法を決めてから、価格と時期の相談に入ります。順番を逆にすると査定額が出ても契約できず、その間に片付けや解体の費用だけが先に出ます。

売却までに動かす順番

  1. 1

    1. 名義と抵当権の確認

    登記事項証明書と納税通知書で、現在の名義と抵当権を確かめる

  2. 2

    2. 意思確認の方法を決定

    親本人と面談するか、主治医に状態を聞き申立てを検討するか決める

  3. 3

    3. 価格と時期の相談

    名義と意思確認の段取りがついた後で、査定や日程を相談する

1. 登記事項証明書と納税通知書で、名義と抵当権を確かめる

法務局で土地と建物の登記事項証明書を取り、あわせて公図を取ると、道路との接し方や隣地との位置関係が分かります。登記事項証明書は法務局の窓口のほかオンラインでも請求でき、所有者本人でなくても取得できるため、子の名前で先に取り寄せられます。ただし請求には地番が要り、地番は住所と違うことが多いので、納税通知書の課税明細か法務局で確認してください。

建物が未登記の家や、増築した部分が登記に反映されていない家では、どちらも決済までに表題部を整える作業が入ります。納税通知書の課税明細と登記の内容を突き合わせると、課税されている床面積と登記の面積が違う、取り壊したはずの物置に課税が続いている、といったずれが見つかることがあります。このずれは、決済日を決める前に見つけておく方が安全です。

2. 親本人と話し、意思確認の方法を決める

判断能力が残っているなら本人に会える日を作り、家を売ることについての意向を直接聞いてください。施設の面会の制限がある場合は、面会の方法と所要時間を施設に確認してください。司法書士や買主の担当者が本人と面談する段取りも、この時点で組みます。

判断能力に不安があるなら、まず主治医に現在の状態を聞いたうえで、家庭裁判所への申立てを検討します。申立て先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所で、診断書や財産の資料を添えます。申立てを決めた時点から、売却の日程は裁判所の進み方に合わせることになります。

施設入所後の住民票と、親の家の売却にそろえる書類

市役所の待合室の椅子に座り、順番を待っている家族

住民票を施設に移すと登記上の住所と現在の住所が食い違うため、決済までに住所変更の登記が必要になります。必要な書類も費用も、住民票を移したか実家に置いたままかで変わります。

1. 住民票を施設に移すかどうかの判断材料

住民票の扱いは、売却の都合だけでは決められません。介護保険には住所地特例という仕組みがあり、施設のある市区町村ではなく入所前の市区町村が保険者であり続ける場合があります。選挙の案内や行政からの通知がどこに届くか、郵便物を誰が受け取るかは、どちらも日々の生活に直結します。施設の規定や入所の種類によっても扱いは変わるため、施設の相談員と、入所前の市区町村の窓口に確認してください。

売却の手続の側から見ると、住民票を移せば印鑑登録も新しい市区町村で取り直しになります。同時に登記上の住所とのずれが生じ、ずれがあると所有権の移転の前に住所変更の登記が入ります。登記をしないまま決済日を迎えることはできません。司法書士に日程を伝えて、逆算してもらってください。

税の特例の判定は住民票がどこにあるかだけでは決まらず、実際にどこで生活していたかで見られるため、住民票を移していないから居住用のままだという整理は通りません。判定に関わる期限は国税庁のマイホームを売ったときの特例のページで確認できます。

2. 決済日までにそろえる書類と、かかる費用

ご用意いただくのは登記識別情報か以前の様式の権利証で、あわせてご本人を確認できる書類と印鑑証明書が要ります。固定資産税の納税通知書も、決済日までにお手元に置いてください。相続した物件では戸籍などの書類が追加で必要になり、ご用意いただく書類は個別のご案件によります。

売主さま側の出費は売買契約書に貼る印紙代から始まり、住宅ローンが残っていれば抵当権の抹消登記の費用が、施設へ住民票を移していれば住所変更登記の費用が加わります。相続した物件では相続登記の費用が別に必要で、ご負担いただく費用は個別のご案件によります。このうち住所変更登記は、施設に入られた方に出やすい費用です。

親が遠方の施設にいて家がさらに別の場所にあるという配置はよくありますが、書類のやり取りを郵送で進め、現地の確認は鍵を預かって行う形が取れます。遠方からの進め方は「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に手順を書いています。

決済日までにそろえる書類

  • 権利を確認する書類

    登記識別情報か、以前の様式の権利証

  • 本人確認と印鑑

    ご本人を確認できる書類と印鑑証明書

  • 税の確認書類

    固定資産税の納税通知書

  • 売主側の出費

    売買契約書に貼る印紙代や抵当権の抹消登記費用

親が亡くなった場合に、施設に入った親の家の売却はどう変わるか

親が亡くなると売主は相続人に変わり、決済までに相続登記を済ませる必要が生じます。その先の手間は、遺言があるかどうかと、相続人が何人いるかで分かれます。

1. 相続登記の期限と、売却の前提としての名義

期限の数え方は亡くなった日からではなく、相続で不動産を取得したと知った日から3年です。この申請義務は2024年4月1日に始まり、それ以前に取得を知っていた方も対象で、こちらの期限は2027年3月31日に置かれています(法務省相続登記の申請義務化)。親御さまが施設に入られている間に相続が起きた場合も、扱いは同じです。

義務という以前に、登記が親の名義のままでは決済で買主に所有権を移せません。遺産分割の話し合いが終わらないうちは、相続人の誰か一人の判断では動かせないため、売ることもできません。戸籍を集めて相続人を確定するところで、数か月かかる家庭があります。 相続からの順番は「実家 空き家 売却の順番」の記事に整理しています。

2. 施設の費用や預金の清算を先に整理する

亡くなった後は、施設の利用料の精算、居室に残った私物の引き取り、預金口座の凍結といった手続が同時に来ます。家の売却だけを切り離して先に進めようとすると、書類の順番が合わなくなります。

売却代金は相続財産として分けることになるため、誰がいくら受け取るかを先に決めておくと、決済日の当日が静かに終わります。空き家の特例を使う予定なら、被相続人居住用家屋等確認書の取得に必要なものが揃うかを早めに市区町村へ確認してください。確認書の交付には、施設に入所していたことを示す書類が要ります。

相続開始から決済までの日程

  1. 相続開始

    戸籍収集と相続人確定

    数か月かかることもある最初の関門

  2. 遺産分割

    話し合いの完了

    これが終わらないと家を売却できない

  3. 取得を知った日から3年

    相続登記の期限

    売却の前提として親からの名義変更が必須

  4. 決済日

    買主への引き渡し

    登記を済ませて初めて所有権を移せる

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施設に入った親の家の売却を当社にご相談いただく場合の条件

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「施設に入った親の家の売却を当社にご相談いただく場合の条件」について、そのまま聞けます。

施設に入った親の家の売却で、先に決まる3つ

  • 売主は親本人で、その一点がすべての段取りを決めます。 判断能力が残っているなら本人と会える日を作って意向を確かめ、委任の範囲は書面にしてください。失われている場合は後見人の選任が先に来て、居住用不動産なら家庭裁判所の許可も必要です。査定額を集めるより先に、この確認をしてください。
  • 売る時期によって、使える控除が入れ替わります。 生前に売るなら住まなくなった日から3年目の年末という期限があり、亡くなった後に売るなら、老人ホームに入所していた場合の取扱いを含めて空き家の特例の要件を確認します。施設の契約書と要介護認定の資料は、片付けの前に分けておいてください。
  • 持ち続ける間の支出は、1年分を紙に書き出せば見えます。 固定資産税、火災保険、電気と水道の基本料金、草刈り、交通費に、勧告を受けて特例が外れたときの増え方を加えたうえで、施設の費用と並べてください。

当社は買主として直接買い取り、家財が残った状態でも傷んだ建物でも現況のまま引き取りますが、そのかわり金額は仲介での成約想定額より低くなります。家庭裁判所の許可が要る案件では、許可が出るまで決済日を置きません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

施設に入った親の家の売却で、よくある質問

Q1. 施設に入った親の家を売却したいのですが、住民票はどうしたらいいですか

住民票を施設に移すかどうかは、介護保険の住所地特例や行政からの通知の届き先、郵便物の受け取りに関わるため、売却の都合だけで決めないでください。施設の相談員と、入所前にお住まいだった市区町村の窓口に確認するのが先です。

売却の手続の面では、住民票を移すと登記上の住所と現住所がずれるため、所有権の移転の前に住所変更の登記が必要になります。印鑑登録証明書も、新しい市区町村で取り直しになります。住民票を移していないから税の特例の対象になる、という判断はできません。 特例の判定は実際にどこで生活していたかで見られますので、税務署または税理士にご確認ください。

Q2. 施設に入った親の家を売却したら、税金はいくらかかりますか

譲渡所得の出し方と、取得費が分からないときの5%の扱いは、売る時期で税の扱いが変わる節に書きましたので、ここでは税率を補います。税率は、譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えているかどうかで分かれ、5年超の長期譲渡所得は所得税と住民税を合わせて20.315%、5年以下の短期譲渡所得は39.63%です(いずれも復興特別所得税を含みます)。親御さまが何十年も住んでこられた家は、通常は長期の側に入ります。

所有期間が10年を超えるマイホームを本人が売る場合は、3,000万円の特別控除を引いた後の金額のうち6,000万円以下の部分に、14.21%の軽減税率を使える制度もあります。こちらにも、住まなくなった日からの期限が置かれています。控除と軽減税率と取得費加算のどれを組み合わせるかで、手元に残る額は変わります。 具体的な税額は税務署または税理士にご確認ください。

Q3. 施設に入った親の家は、相続の対象になりますか

親の名義のまま亡くなればその家は相続財産として相続人が引き継ぎ、売って現金になっていればその現金が相続財産になります。どちらの形で残すかで、分け方の難しさが変わります。

家のまま残ると相続人が複数いる場合は共有になりやすく、その後の売却も解体も全員の合意が要ります。共有のまま次の相続が起きると、関わる人はさらに増えていきます。現金であれば分けられますが、家は分けられません。 ただし、亡くなった後に売る方が使える控除もあるため、税の面と分けやすさの面を並べて考えてください。

Q4. 認知症の親が所有する不動産は売れないのですか

売れなくなるわけではなく、手続の道筋が変わります。本人が売買の内容を理解して意思を示せる状態なら本人が売主として契約できますが、理解が難しい状態であれば、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てます。居住用不動産については、民法第859条の3の許可を得て売却する流れです。

気をつけたいのは、家族が代筆した委任状で進めてしまう形です。本人が委任の意味を理解していなければ、契約の効力が後から争われます。 後見人には親族以外が選ばれることもあり、報酬が発生して後見は本人が亡くなるまで続きます。売却のためだけに始める制度ではありませんので、その点も含めて、司法書士や弁護士に相談してから判断してください。

Q5. 施設に入った親の家の建て替えはできますか

建て替えも建物と土地の処分にあたるため、名義人である親本人の意思が前提になります。判断能力が失われている状態では、子の判断だけで建て替えを進めることはできません。成年後見が開始していれば、居住用不動産の処分にあたるため家庭裁判所の判断を挟みます。

物理的な可否は別の話で、敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接していない土地では、新築の建築確認が下りません。建て替えができるかどうかは、接道の状況しだいです。市区町村の建築主管課で確認してください。建て替えの資金を親の預金から出す場合は、その支出が本人の利益にかなうかどうかという別の問題も残ります。

Q6. 施設に入所した実家は、当面どうしておけばよいですか

すぐに結論を出せない時期は、費用が増えない状態を保つことを優先してください。電気と水道をどこまで止めるか、郵便物の転送をどうするかを決め、火災保険の契約が空き家の状態に合っているかも確認します。庭木と屋根と塀は外から見える部分で、近隣からの連絡につながりやすい場所になります。

同時に、判断能力の状態だけは早めに確かめておいてください。待っている間に選べる道が減るのは、この論点だけです。 家の傷みは修繕で対応できますが、意思確認ができなくなった後は、後見の手続を通らなければ売却も解体も進められません。持ち続ける費用の積み上がり方は、1年分を書き出すと比べやすくなります。

Q7. 親の家の売却代金を、施設の費用に使ってよいですか

売却代金は親の財産ですから、親の生活費、施設の費用、医療費に充てることは自然な使い方です。入金先を親名義の口座にし、そこから施設へ支払う流れにしておけば、後で誰かに説明を求められたときに困りません。

子の口座を経由させたり、代金の一部を子の名義に移したりする形は、贈与と受け取られる余地が出ます。成年後見が開始している場合は後見人が財産を管理し、家庭裁判所に報告する義務があるため、使い道の記録はより厳密です。兄弟姉妹がいる家庭では、領収書と通帳の記録を残してください。後の相続の場面で効いてきます。

当社の見方

親御さまが施設に入られた後のご相談で、当社が最初に伺うのは物件のことではなく、ご本人と会えるかどうかです。会って意向を確かめられる状態であれば、その日のうちに進め方が決まります。会うことが難しい状態であれば金額の話は後になりますので、家庭裁判所の手続がどこまで進んでいるかを先に教えてください。順番を入れ替えると、出した金額が使えないまま時間だけが過ぎるからです。

もう一つお伝えしているのは、急いで決めなくてよい場面があるということです。入所されたばかりの時期は、ご家族の中に「いずれ帰ってくるかもしれない」という気持ちが残りますから、そのうちは金額だけ知っておいて、判断は後にしていただいて構いません。金額をお出しするところまでで費用はいただきません。ご兄弟の間で意見が分かれている場合も同じで、確定した金額が一つあるだけで話は具体的になります。決める前の段階でお声がけください。

家庭裁判所の許可を待つご案件では、契約書に許可が出ることを条件として書き入れ、決済日は審判が届いてから決めます。待っている間に提示額を据え置くかどうか、固定資産税の精算をいつの時点で区切るかも、署名の前に文書でお渡しします。審判が出るまでの家の管理も決めておき、鍵をお預かりして当社が見回る形にされるご家族もいれば、月に一度ご自身で通われるご家族もいます。許可が出なかったときは契約は白紙に戻り、違約金はいただきません。その扱いも、署名の前に確認していただきます。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
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