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空き家のゆくえ買取くん

空き家

空き家売却の手続きは何から?親名義のままの家と税の計算表

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
空き家売却の手続きは何から?親名義のままの家と税の計算表

「空き家になった実家の名義人が亡くなった親のままで、売るには何から手をつければいいのか分からない」。名義が亡くなった親のままなら相続登記を先に済ませ、売り方は家の傷み具合と特例の期限までの残り時間で選び、税金は親が買った金額の資料と3,000万円の特別控除が使えるかどうかで決まります。

当社は相続登記が済む前から査定をお出しし、片付けも解体もしない現況のまま自己資金で買い取りますが、抵当権を決済の日に消す見込みが立たない家は買い取れません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

親の名義のままの空き家も、売却の手続きの前に相談できます

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この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

相続した空き家を売る手続きは、亡くなった親から相続人へ名義を移す相続登記、査定と売り方の決定、売買契約、代金の受け取りと引き渡し、そして利益が出た年の翌年の確定申告という順に進みます。名義を移す前に相続放棄をするかどうかを決め、売り方を決める前に名義を確かめる、という前後を入れ替えると、あとから取り消せない手続きが途中に混ざります。

空き家売却の手続きは何から?親名義のままの家と税の計算表の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

空き家売却の手続きは何から始める?名義が亡くなった親のままか確かめる

最初にするのは登記事項証明書で空き家の名義人を確かめることで、亡くなった親の名義のままなら、知った日から3年以内に相続登記を申請します。葬儀と四十九日の法要が済み、実家に届いた固定資産税の納税通知書を開いたあたりで、名義のことに初めて目が向く方は少なくありません。その時点では、売る準備はまだ何も進んでいません。けれども名義が誰になっているかで、その先に要る手続きの量がまるで変わります。

実家の居間で、テーブルに向かって手続きの段取りを考えている家族

名義が親のままの空き家は、買主へ名義を移せない

不動産の売買では、決済の日に売主から買主へ所有権を移す登記をします。この登記は、登記簿に所有者として載っている人の名義から移すものです。亡くなった親の名前が載ったままでは、相続人が売主として手続きを進められません。そこで、売る前に親から相続人へ名義を移す相続登記が要ります。決済の日に相続登記と買主への移転登記を続けて申請する段取りもありますが、その場合でも、相続登記に要る書類が決済の日までにすべてそろっていることが前提になります。

名義を確かめるには、法務局で登記事項証明書を取ります。誰でも請求でき、オンラインでも請求できます。見る場所は、所有者が書かれた甲区と、抵当権などが書かれた乙区の2か所です。甲区の最後の所有者が親なら相続登記が要り、祖父母の名前が残っていれば、親の代の相続登記もされていなかったことになります。乙区に親の代の住宅ローンの抵当権が残っていれば、売るときに抹消の手続きが加わります。

名義を見ずに査定だけを先に頼むこともできますが、祖父母の名義が出てきた場合は相続人の数が増え、話をまとめる相手も増えます。登記事項証明書の1通で、この先の段取りがどれほどの大きさになるかが見えます。

相続登記の義務化と3年の期限

  1. 相続を知った日

    3年の期限の開始

    亡くなった親の名義なら3年以内に登記を申請する

  2. 2024年4月1日

    相続登記の義務化

    この日から相続登記の申請が義務になった

相続登記の手続きは、2024年4月から3年の期限つきで義務になった

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月1日から申請が義務になりました。不動産登記法第76条の2第1項は、相続で所有権を取得した人に、相続の開始と取得を知った日から3年以内に登記を申請するよう求めています。正当な理由なく申請しないままでいると、10万円以下の過料の対象になります(相続登記の申請義務化について(法務省))。

2024年4月1日より前に始まった相続も、この義務化の相続登記の対象に入ります。期限は、施行日の2024年4月1日と、相続で取得したと知った日のうち、遅い方から3年です。たとえば父が2023年10月に亡くなり、その月のうちに実家を相続したと知っていたなら、遅い方は施行日なので、期限は2027年3月31日です。母が2025年6月10日に亡くなり、同じ日に知ったのであれば、期限は2028年6月10日になります。

名義変更の流れは、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍を集めて相続人を確定させ、相続人が複数なら遺産分割協議書を作り、物件の所在地を管轄する法務局に申請する、という順です。登記には登録免許税がかかり、司法書士に頼めば報酬も加わります。遺産の分け方がなかなか決まらないときは、自分が相続人であることを法務局に申し出る相続人申告登記(不動産登記法第76条の3第1項)で、申請の義務を果たしたものとして扱われます。ただ、この申出では名義が相続人に移らないため、これだけでは空き家を売れません。

登記事項証明書で確認するポイント

  • 甲区:最後の所有者が親か

    親のままなら、売却前に相続登記が必要

  • 甲区:祖父母の名前がないか

    残っていれば親の代の相続登記も必要になる

  • 乙区:抵当権が残っていないか

    残っていれば売却時に抹消の手続きが加わる

相続人が複数いる空き家は、誰が売主になるかを先に決める

兄弟姉妹など相続人が複数いるとき、空き家は遺産分割が終わるまで相続人みんなの共有の状態にあります(民法第898条)。このまま誰か一人の判断で売ることはできないので、遺産分割協議で、誰の名義にしてから売るかを決めます。1人が相続して売り、代金の一部を他の兄弟に渡す形もあれば、兄弟の共有名義で相続して、全員が売主として契約書に並ぶ形もあります。代金を分ける約束は、遺産分割協議書に書いておきます。書かないと、兄弟に渡したお金が贈与と見られることがあります。書き方は税理士か司法書士に確かめてください。

共有名義にした場合は、売るときに共有者それぞれの署名と実印、印鑑証明書が要ります。兄弟の一人が遠方にいる、高齢で書類の準備に時間がかかる、といった事情があると、そのたびに決済の日程がずれていきます。話がまとまらず、自分の持分だけを手放す道を考え始めたなら、「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事で、持分だけを売ると価格がどう変わるかを確かめてから決めてください。

先に決めるのは、誰が売主になるか、代金をどう分けるか、売ったあとの税金を誰がどれだけ負担するか、の3つです。売主が決まらないうちに査定を取っても、契約の日程は組めません。

相続した空き家を放置するリスクは?固定資産税が1月1日ごとに積み上がる

相続した空き家を放置すると、固定資産税は毎年1月1日の時点で課され続け、傷みが進めば市町村の勧告で土地の税が上がり、近所に与えた損害の責任も残ります。名義の手続きを後回しにしているあいだも、家は少しずつ傷み、庭の雑草は毎年伸びます。売るかどうかを決めていない時期の費用と責任は、実家の近くに住む一人の相続人に寄りやすいものです。

空き家の固定資産税は、名義を移す前から相続人が納める

固定資産税は、毎年1月1日に固定資産を持っている人に、その年度の分が課されます(地方税法第359条・第343条)。親が亡くなったあと相続登記をしていなくても、市町村は相続人の一人を代表者として納税通知書を送ります。納めるのは相続人です。実家の近くに住む相続人が、兄弟と相談しないまま毎年払い続ける形になりやすいのは、このためです。

固定資産税のほかにも、空き家の火災保険料、電気や水道の基本料金、庭木の剪定や草刈りの費用が出ていきます。どれも1年ごとの額は大きくなくても、売るまでの年数を掛けると無視できない額になります。手元にある納税通知書と保険の証券を並べ、1年あたりにいくら出ていくかを書き出してください。その数字が、急いで売るか、時間をかけて買い手を探すかを決める材料になります。払った額は、兄弟で代金を分けるときの精算の材料にもなるので、領収書は捨てずに残しておきます。

空き家放置に関わる法令の条文番号

  • 地方税法(賦課期日)第359条
  • 地方税法(納税義務者)第343条
  • 空家特措法(特定空家等)第22条
  • 空家特措法(管理不全空家等)第13条

傷んだ空き家は、市町村の勧告で住宅用地の特例が外れる

空家等対策の推進に関する特別措置法では、市町村長が、放っておけば危険になるおそれのある管理不全空家等の所有者に指導をし、なお改まらなければ勧告できます(第13条)。さらに状態の悪い特定空家等には、助言・指導、勧告、命令の順で改善を求め、命令に従わなければ代執行に進むことができます(第22条)。この段階の全体は空き家対策(国土交通省)で確かめられます。

税の面で響くのは勧告です。住宅の建っている土地は、地方税法第349条の3の2により、固定資産税の課税標準が価格の3分の1、200平方メートル以下の部分は6分の1に下がっていますが、勧告を受けた管理不全空家等や特定空家等の敷地は、この特例から外れます。勧告から課税が変わるまでの段階は、「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事にあります。

勧告の前でも、屋根の瓦が落ちて隣の車を傷つけたり、ブロック塀が倒れて通行人にけがをさせたりすれば、建物の所有者として賠償を求められることがあります(民法第717条)。台風の季節の前に一度は現地を見に行くか、見に行けないなら売る時期を早めるかを決めておくと、背負っている責任の重さが読めるようになります。

特定空家等に対する市町村の措置の流れ

  1. 1

    助言・指導

    状態の悪い特定空家等に対し、市町村長が改善を求める

  2. 2

    勧告

    指導で改まらない場合に行われる

  3. 3

    命令

    勧告に従わない場合に改善を求める

  4. 4

    代執行

    命令に従わない場合に進む措置

空き家の相続が発生したら、最初の3か月で決めること

相続が発生したら、まず決めるのは、相続を受け入れるか放棄するかです。民法第915条第1項は、相続人が、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、単純承認、限定承認、放棄のいずれかを選ぶよう定めています。親に借金や連帯保証が残っていないかを確かめるのは、この3か月の間です。

この時期に実家を売る約束をしたり、値打ちのある家財を処分したりすると、相続を受け入れたものとみなされ、あとで借金が見つかっても放棄できなくなることがあります(民法第921条第1号)。片付けでどこまで処分してよいかは中身によって判断が分かれるので、迷ったら弁護士か司法書士に確かめてから手をつけてください。放棄を選んでも、実家を現に占有していれば、次に管理する人へ渡すまで保存の義務が残ります。その範囲は「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事で確かめられます。

手続きは、借金や保証の有無を確かめる、相続するか放棄するかを決める、遺産分割協議をする、相続登記をする、売却に入る、の順に進みます。3か月を過ぎてから借金が見つかると打てる手が限られるので、この判断だけは売却の段取りより前に置きます。

「相続した空き家を放置するリスクは?固定資産税が1月1日ごとに積み上がる」について、そのまま聞けます。

空き家はどう売る?仲介・買取・解体の3つの売り方を家の傷みで選ぶ

空き家の売り方は、現状のまま仲介で売る、現状のまま買取業者に売る、解体して更地で売るの3つで、建物の傷みと特例の期限までの残り時間で選びます。相続登記の目途がつき、何社かに査定を頼もうとしている今の時点で、売り方ごとの向き不向きを知っておくと、届いた査定額の差を読み違えずに済みます。仲介の査定額は、売り出したときにこのくらいで売れると見込む値段です。買取の価格は、買い取る会社が実際に払う額で、数字の意味がそもそも違います。

1. 現状のまま仲介で売る空き家

仲介では、不動産会社と媒介契約を結び、会社が買い手を探します。媒介契約を結んだ不動産会社は、遅滞なく書面を作って売主に渡す決まりです(宅地建物取引業法第34条の2)。買い手の多くは個人で、住宅ローンを使うため、融資が下りなければ契約を白紙に戻す特約が付くことが多くあります。

向いているのは、建物がそのまま住める状態で、駅や学校に近いなど買い手が見つかりやすい場所にある空き家です。売り出してから買い手が決まるまでの期間は、場所と価格で変わります。決まった後も、ローンの審査と決済の準備に時間がかかります。成約すれば不動産会社に仲介手数料を払い、その上限は、宅地建物取引業法第46条にもとづいて国土交通大臣が定めています。

放っておくと起きるのは、反応の無いまま値下げを重ね、その間に固定資産税と草刈りの費用が積み上がることです。相続した空き家の3,000万円の特別控除を使うつもりなら、売れ残っているあいだに期限の年末も近づいてきます。媒介契約を結ぶ前に、いつまでに買い手が決まらなければ別の売り方に切り替えるか、その月を決めておいてください。

仲介と買取における買い手と契約条件の違い

観点仲介買取
買い手多くは個人買取業者
査定額の意味売れると見込む値段会社が実際に払う額
向いている空き家そのまま住める状態雨漏りや家財が残っている状態

2. 現状のまま買取で売る空き家

雨漏りの跡がある、床が沈む、シロアリの被害がある、火災で一部が焼けた、家財がそのまま残っている。こうした空き家は、住む家を探している個人の買い手から外されやすく、仲介に出しても話が進まないことがあります。買取業者は、直したり解体したりする前提で、現状のまま買い取ります。

買取の価格は、仲介で売れると見込む額より低くなります。買い取る側が、修繕や解体の費用を見込むためです。売り直すまでの期間の税金と手間、建物に後から欠陥が見つかる危険も、値に入ります。そのかわり売主は、片付けや修繕の費用を先に出さずに済み、内覧に何度も立ち会う必要もありません。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません。

どちらが手取りで多くなるかは、価格の差だけでは決まりません。売れるまでの期間に払う費用と、片付けや修繕にかかる額でも変わります。条件ごとの比べ方は、「不動産は買取と仲介どっち」の記事にあります。

仲介で空き家を売却する際の手続き順

  1. 1

    媒介契約

    不動産会社と契約を結び、買い手を探してもらう

  2. 2

    売り出し・内覧

    買い手が見つかるまでの期間は場所と価格で変わる

  3. 3

    買主のローン審査

    融資が下りなければ契約を白紙に戻す特約が付くことが多い

  4. 4

    決済

    準備に時間がかかり、成約すれば仲介手数料を払う

3. 解体して更地で売る空き家

建物に住める見込みが無く、土地としての需要がある場所では、解体して更地にした方が買い手を探しやすいことがあります。家を建てたい人にとっては、古い建物の解体費用と手間を自分で抱えずに済むからです。ただし解体費用は売る前に売主が払うことになり、解体の時期によっては翌年度の土地の固定資産税も上がります。

手取りで比べるときは、売り方ごとに、価格から仲介手数料、解体費用、片付けの費用、売れるまでの固定資産税、譲渡所得の税金を引いた残りを同じ紙に並べます。解体した方が価格は上がっても、解体費用を引くと手取りが減る土地もあります。解体する前の手続きと時期の決め方は、「解体してから空き家を売却するときの手続きは?1月1日と翌年2月15日で分かれる」の節のとおりです。

解体してから空き家を売却するときの手続きは?1月1日と翌年2月15日で分かれる

解体してから売るなら、解体の前に名義と見積りと届出を整え、解体後は建物の滅失の登記をし、解体した日が1月1日をまたぐかどうかで土地の税が変わります。売り方を更地に決めたばかりの時点では、解体業者に電話すれば済むように見えるかもしれません。実際には、誰が発注するか、いつ壊すか、壊した後の土地を何に使わずにおくかで、税金と特例の扱いが分かれます。

1. 解体する前に必要な手続きを、空き家の売却の段取りに組み込む

建物を壊せるのは、その建物の持ち主だけです。相続登記がまだでも相続人は建物の持ち主ですが、兄弟で相続しているなら、全員が解体に納得していることを書面に残しておくと、あとで話がこじれにくくなります。

解体する前に必要な手続きは、次の順に並べると漏れが出にくくなります。

  • 家財を運び出し、残す物と処分する物を相続人の間で決める
  • 電気とガスの契約を止める(水道は工事で使うことがあるので、止める前に業者に確かめる)
  • 複数の解体業者から見積りを取り、石綿の事前調査の費用が含まれているかを見る
  • 一定の規模を超える解体では建設リサイクル法の届出が要り、届け出る義務は発注者にあるので、業者が代わりに出すかを契約の前に確かめる
  • 工事の前に近所へあいさつをし、工事の期間と車両の置き場を伝える

壊した後は、法務局に建物の滅失の登記を申請します。これをしないと無くなった建物が登記簿に残り、売るときに買主から求められて、そこから手続きをやり直すことになります。費用の目安と、解体して売るか現況で売るかの比べ方は、「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にあります。

解体前と解体後に必要な手続きの順序

  1. 1

    家財の搬出

    残す物と処分する物を相続人の間で決める

  2. 2

    見積りと届出

    複数業者から見積りを取り、建設リサイクル法の届出をする

  3. 3

    解体工事

    近所へあいさつをし、電気とガスの契約を止めてから行う

  4. 4

    建物の滅失の登記

    壊した後は法務局に申請し、登記簿から建物を消す

2. 解体後の空き家の敷地は、1月1日で固定資産税が変わる

住宅用地の特例は、毎年1月1日に住宅が建っている土地に付きます(地方税法第349条の3の2)。秋に解体して更地のまま年を越すと、翌年1月1日には住宅が無いので、その年度は特例の無い税額になります。特例でどれだけ下がっていたかは「相続した空き家を放置するリスクは?固定資産税が1月1日ごとに積み上がる」の節のとおりで、その下げ幅がそのまま無くなる計算です。

日程は、売買契約の日と引き渡しの日を先に置き、解体の日をその間に入れて組みます。年内に引き渡せる見込みが立てば、翌年1月1日の所有者は買主になるので、特例が外れた分の税は売主には残りません。見込みが立たないなら、解体を1月2日以後にずらすか、建物を残したまま売って買主に解体してもらう形を考えます。

解体時期と固定資産税の基準日

  1. 解体前

    家財の搬出と契約停止

    家財を分け、電気とガスの契約を止める

  2. 解体前

    見積りと届出

    業者から見積りを取り、リサイクル法の届出をする

  3. 解体前

    近所へのあいさつ

    工事の前に期間と車両の置き場を伝える

  4. 解体後

    建物の滅失の登記

    法務局に申請し、無くなった建物を登記簿から消す

3. 3,000万円の特別控除で、解体の時期が要件に入る空き家

相続した空き家を売って3,000万円の特別控除を使う場合、家屋を耐震基準に適合させて売るか、家屋を取り壊して土地を売るかのどちらかが要件の1つです(租税特別措置法第35条第3項)。令和6年1月1日以後の譲渡なら、売った時から翌年2月15日までに買主が耐震改修や取壊しをした場合も対象になります(No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。

特例を使うために、売主が先に解体費用を払う必要は必ずしもない、ということです。買主が取り壊す形にするなら、取壊しの時期と、取り壊したことを示す書類を誰がいつ渡すかを売買契約書に書き入れます。売主が先に解体した場合は、売るまでの間、更地を駐車場や資材置き場として人に使わせると要件から外れるので、何にも使わずに置いておきます。

ほかの要件と税額への響き方は、「空き家を売ったときの税金はいくら?100万円で売った場合の試算表」の節で確かめてください。

「解体してから空き家を売却するときの手続きは?1月1日と翌年2月15日で分かれる」について、そのまま聞けます。

空き家売却の手続きはどの順で進む?相続登記から入金までの流れ

空き家売却の手続きは、相続登記、査定と売り方の決定、売買契約、決済と引き渡し、利益が出た年の翌年の確定申告の順に進み、名義の手続きには3年の期限があります。兄弟で実家を売ると話がまとまり、遺産分割協議書に判を押したところが、売却の手続きの出発点です。ここから先は、名義の手続きと売却の手続きを並べて進めるかどうかで、入金までの長さが変わります。

売却に向けて、実家の和室の押し入れの前で手を動かしている家族の様子を広く捉えた全景

1. 相続登記から売買契約・引き渡しまでの空き家売却の流れ

相続登記の申請は、司法書士に頼むと、戸籍の取り寄せから申請までをまとめて任せられます。登記が終わるのを待ってから査定を頼む必要はなく、名義の手続きを進めているあいだに、登記事項証明書と固定資産税の納税通知書を手元に置いて、複数の会社に査定を頼めます。現地を見ない机上の査定は早く出ますが、雨漏りや傾きのある家では、現地を見た査定と大きく違うことがあります。

査定がそろったら売り方を決めます。仲介なら媒介契約を結んで売り出し、買い手が見つかったところで売買契約に進みます。買取なら、価格と引き渡しの日に合意したところで売買契約です。契約書には、代金と手付金の額、引き渡しの日、家財を残してよいか、引き渡した後に欠陥が見つかったとき売主がどこまで責任を負うか、解体を誰がするかを書き入れます。

決済の日には、買主から残りの代金を受け取り、同じ日に司法書士が買主への所有権の移転の登記を申請します。抵当権が残っていれば、その日のうちに抹消の登記も申請します。固定資産税はその年度の分を引き渡しの日で日割りして精算することが多く、鍵を渡せば引き渡しは終わりです。利益が出た場合や特例を使う場合は、売った年の翌年に確定申告をします。

空き家売却の手続きの進み方

  1. 1

    相続登記と査定

    登記完了を待たずに査定可能。相続登記は3年以内に完了させる。

  2. 2

    売買契約

    仲介は買い手発見後、買取は合意後に契約。代金や引き渡し日を定める。

  3. 3

    決済と引き渡し

    残代金を受け取り、買主への所有権移転登記と鍵の引き渡しを行う。

  4. 4

    翌年の確定申告

    利益が出た場合や特例を使う場合は、売却した年の翌年に申告する。

2. 空き家売却の手続きで集める書類と、売る前にやってはいけないこと

書類は、取り寄せる先で分けて考えると集め忘れが減ります。

  • 法務局:登記事項証明書。相続登記が終わると、相続人に新しい登記識別情報が通知されます
  • 市区町村:亡くなった親の出生から死亡までの戸籍、住民票の除票、相続人の戸籍と住民票と印鑑証明書、固定資産評価証明書
  • 手元:遺言書、遺産分割協議書、親の代の権利証か登記識別情報、親が買ったときの売買契約書や領収書、建てたときの確認済証や検査済証、固定資産税の納税通知書

親が買ったときの売買契約書は、税金の計算に直接響きます。買った金額が分からないと、売った金額の5%を取得費として計算することになり、利益が大きく見積もられます(取得費が分からないとき(国税庁 No.3258))。費用の側では、相続登記の登録免許税と司法書士の報酬、売買契約書の印紙代、抵当権の抹消や住所の変更の登記の費用、仲介なら仲介手数料、解体するなら解体費用がかかります。

売る前にやってはいけないことは、次のとおりです。

  • 相続するか放棄するかを決める前に、売買の約束をしたり家財を処分したりする
  • 相続した後に、親族を住まわせる、人に貸す、駐車場として使わせる(3,000万円の特別控除の要件から外れる)
  • 片付けのときに、権利証や親が買ったときの書類を捨てる
  • 査定を取る前に、リフォームや解体の契約を結ぶ

放棄の判断を先にする理由は、「相続した空き家を放置するリスクは?固定資産税が1月1日ごとに積み上がる」の節の3か月の話のとおりです。リフォームや解体を急がないのは、かけた費用が売値にそのまま上乗せされるとは限らないからで、直して売るか直さずに売るかは、査定で両方の値を聞いてから決めても間に合います。

空き家を売ったときの税金はいくら?100万円で売った場合の試算表

空き家を売ったときの税金は、売却額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得にかかり、100万円で売って取得費が分からなければ、譲渡費用を引く前で約19万円が目安です。売買契約の日が見えてきたころには、代金を兄弟でどう分けるかの話が始まり、税金の分としていくら手元に残すかを決める必要が出てきます。翌年の確定申告で慌てないよう、ここで一度計算しておきます。

実家のダイニングテーブルで、話し合っている兄弟(売却代金の分け方について)

1. 空き家売却の譲渡所得の求め方と、取得費が分からないときの5%

譲渡所得は、売却額から取得費と譲渡費用を引いた額です(所得税法第33条)。取得費は土地と建物を買った代金や建てた費用の合計で(同法第38条)、建物の分は、年数の経過で目減りした分を差し引いて計算します。譲渡費用は、仲介手数料や売買契約書の印紙代、売るために取り壊した建物の解体費用など、売るために直接かかった費用を指します。

相続した空き家は、相続した日に新しく買ったことにはなりません。所得税法第60条第1項により、亡くなった親が買った金額と買った時期を、相続人がそのまま引き継ぎます。親が買ってから売った年の1月1日までが5年を超えていれば、長期譲渡所得になります。税率は所得税15%と住民税5%です。ほかに復興特別所得税として所得税額の2.1%が加わり、合わせて20.315%です(No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(国税庁)、租税特別措置法第31条)。

買った金額が分からないときは、国税庁 No.3258 のとおり、売却額の5%を取得費にできます。100万円で売った場合を式にすると、取得費は 100万円 × 5% = 5万円、譲渡所得は 100万円 − 5万円 = 95万円(譲渡費用を引く前)、税額は 95万円 × 20.315% = 約19万3千円です(税率は国税庁 No.3208)。親の売買契約書が見つかり、建物の目減りを差し引いた後の取得費が100万円以上と分かれば、譲渡所得は出ないので、この税金はかかりません。

相続税を納めた相続人には、納めた相続税の一部を取得費に足せる特例(租税特別措置法第39条)もあります。ただし3,000万円の特別控除とは一緒に使えず、どちらか一方を選ぶことになります。

100万円で売った場合の税金計算の手順

  • 家を手放して得た代金100万円
  • 買った代金とみなす額5万円
  • 所得税法第33条による利益95万円
  • 納付する金額の目安約19.3万円

2. 空き家の売却額ごとの税金の試算表(3,000万円の特別控除の有無で比べる)

下の試算は、1人で相続した空き家を1人で売り、親が買った金額が分からないため取得費を売却額の5%(国税庁 No.3258)とし、譲渡費用を引く前の額に長期譲渡の税率20.315%(国税庁 No.3208)を掛けた目安です。実際には仲介手数料や印紙代を引くので、税額はこれより少し下がります。

売却額特別控除を使わない場合の税額3,000万円の特別控除を使える場合の税額
100万円約19万円0円
500万円約96万円0円
1,000万円約193万円0円
3,000万円約579万円0円
5,000万円約965万円約356万円

表の5,000万円の行は、譲渡所得4,750万円から3,000万円を引いた1,750万円に税率を掛けた額です(税率は国税庁 No.3208)。売却額が数百万円の空き家では、控除が使えるかどうかで、税額が数十万円から0円まで動くことが分かります。

右の欄が使えるかどうかは、相続した家と亡くなった親の暮らし方で決まります。国税庁 No.3306 が示す主な要件は次のとおりで、ほかにも細かい条件があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家屋で、区分所有の登記がされていないこと
  • 相続が始まる直前に、亡くなった親が一人で住んでいたこと(老人ホームなどに入っていた場合の扱いもある)
  • 相続してから売るまで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
  • 相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 令和9年12月31日までの譲渡で、売却代金が1億円以下であること

家屋を耐震基準に適合させるか取り壊すかの要件は、「解体してから空き家を売却するときの手続きは?1月1日と翌年2月15日で分かれる」の節のとおりです。令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋とその敷地を取得した相続人が3人以上いるときは、控除の上限が1人あたり2,000万円になります。控除で税額が0円になっても確定申告をしなければ使えず、申告には家屋の所在地の市区町村が出す被相続人居住用家屋等確認書が要ります。

期限は相続登記と別に数えます。母が2025年6月10日に亡くなり、同じ日に知った場合、相続登記の期限は2028年6月10日、特例の期限は2028年12月31日で、登記の期限が先に来ます。要件を1つずつ確かめる手順は、「空き家3000万円控除の条件」の記事にあります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「空き家を売ったときの税金はいくら?100万円で売った場合の試算表」について、そのまま聞けます。

当社が空き家を買い取る場合、売却の手続きは何日かかる?

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が空き家を買い取る場合、売却の手続きは何日かかる?」について、そのまま聞けます。

空き家の売却手続きは、名義・売り方・税金の順に決まる

  • 名義が亡くなった親のままなら、相続登記を先に済ませます。期限は知った日から3年で、2024年4月1日より前から相続を知っていた場合は2027年3月31日までです。借金の有無が分からないうちは、3か月の判断を売却より先に置きます。
  • 売り方は、現状のまま仲介、現状のまま買取、解体して更地の3つです。解体するなら1月1日をまたぐかどうかで土地の固定資産税が変わり、特例を使うなら、売った翌年2月15日までに買主が取り壊す形も選べます。
  • 税金は、親が買った金額の資料があるかで変わります。資料が無ければ取得費は売却額の5%で(国税庁 No.3258)、100万円で売ると譲渡費用を引く前で約19万円です。3,000万円の特別控除が使えれば0円ですが、確定申告は要ります。

当社は、名義の手続きが途中の空き家も現況のまま査定し、決済の日に抵当権を消せる家を自己資金で買い取ります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

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この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

空き家の売却手続きでよくある質問

Q1. 空き家を売却するときに注意すべき点は何ですか

名義と、相続後の使い方と、書類の3つです。名義が亡くなった親のままなら相続登記が先で、その前に相続するか放棄するかを3か月の間に決めます。相続した後に親族を住まわせたり人に貸したりすると、3,000万円の特別控除が使えなくなります。親が買ったときの契約書は税額を左右するので、片付けで捨てないでください。進める順番は「空き家売却の手続きはどの順で進む?相続登記から入金までの流れ」の節のとおりです。

Q2. 空き家を100万円で売却したら、税金はいくらぐらいかかりますか

親が買った金額が分からなければ、譲渡費用を引く前で約19万円です。計算の式は「空き家を売ったときの税金はいくら?100万円で売った場合の試算表」の節にあります。3,000万円の特別控除の要件を満たせば税額は0円になりますが、0円でも確定申告をしないと控除は使えません。親が買った金額の資料が見つかれば、税額が下がるか、かからなくなることがあります。

Q3. 空き家を売却する際にかかる税金は何ですか

利益が出たときにかかる譲渡所得の所得税・復興特別所得税・住民税が中心です。そのほか、売買契約書に貼る印紙の印紙税、相続登記や抵当権の抹消の登記にかかる登録免許税があります。売った年の固定資産税は1月1日の所有者に課されるので、売主が納めたうえで、引き渡しの日で日割りして買主と精算することが多くあります。

Q4. 空き家をそのまま売却することはできますか

できます。建物が住める状態なら現状のまま仲介で、雨漏りや傾き、残った家財がある家なら現状のまま買取で売る方法があります。3,000万円の特別控除を使う場合でも、令和6年1月1日以後の譲渡なら、売った翌年2月15日までに買主が取壊しや耐震改修をする形で要件を満たせます。片付けも解体もせずに売れる条件と価格の決まり方は、「空き家をそのまま売る方法」の記事にあります。

Q5. 家を売却する前にやってはいけないことは何ですか

放棄の判断の前に売買を約束すること、相続後に家や土地を人に使わせること、権利証や親の購入時の書類を捨てること、査定の前にリフォームや解体の契約を結ぶことです。それぞれの理由は「空き家売却の手続きはどの順で進む?相続登記から入金までの流れ」の節の「2. 空き家売却の手続きで集める書類と、売る前にやってはいけないこと」にあります。

Q6. 遠方に住んでいても、空き家の売却手続きはできますか

できます。相続登記は司法書士に頼めば戸籍の取り寄せから郵送で進められ、売買契約書も郵送で署名をやり取りできます。決済は、司法書士が事前に本人確認をしたうえで、売主が立ち会わずに済む段取りを組めることもあります。当社に売る場合は鍵をお預かりして、当社だけで現地を確かめられます。現地に行かずに売るときの書類の流れは、「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事で確かめられます。

当社の見方

ご相談の中でとても多いのが、親が亡くなった後も名義を変えないまま空き家を持ち続けていて、いざ売ろうとしたときに手続きを何から始めればよいか分からないというお悩みです。当社では、まず登記上の名義を確かめていただき、親名義のままであれば売却の前に相続登記が要ること、その際は戸籍などの書類が加わることを最初にお伝えしています。税の計算に目が向きがちですが、手元に残る金額を考えるときは、売買契約書の印紙代や相続登記の費用、抵当権が残っていればその抹消登記の費用も差し引いて見ておくと安心です。どの書類が要るか、どの費用がかかるかはご案件ごとに変わるため、早めにご相談いただくほど段取りを立てやすくなります。買取の場合、価格のご提示は目安30分、お引き渡しは早ければ2週間以内で、代金はお引き渡しと同時にご入金します。遠方の空き家でも全国(47都道府県)に対応しており、買い取れない物件や売らないほうがよい場合は、その理由も含めて正直にお伝えしています。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:民法出典:法務省、国土交通省、国税庁、国税庁 No.3258
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

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