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親が認知症で家を売る方法|成年後見が必要な場合と例外

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
親が認知症で家を売る方法|成年後見が必要な場合と例外

「親が認知症になり、実家を売る話がどこにも進められなくなった」。売れるかどうかは契約した時点の意思能力で決まり、それが失われている場合は成年後見人の選任と、居住用不動産なら家庭裁判所の許可を経てからでないと決済まで進みません。

当社は買主として、後見人が売主になる居住用不動産も家庭裁判所の許可を条件にして買い取ります。売主が誰か確定していない段階では金額を出しません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(7章)

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認知症の親の家を当社に売れるかは、売主が確定しているかで分かれます。後見人が売主になる場合も、当社は家庭裁判所の許可の確定を条件に契約し、確定後に決済します。家財や雨漏りが残ったままでも金額を出します。本人の意思確認ができず後見人もいないのに子だけで契約する場合と、許可なしで進めたい場合は、金額を出しません。当社が買い取った戸建ての事例は100万円未満から3,000万円台前半で、2025年の買取は年間200〜300件でした(代表の申告)。会社の中身は「リアテクスの評判」で確かめられます。

親が認知症でも家を売れるかは、契約時点の意思能力で決まる

診断名ではなく、契約したときに理解できていたかを見る

民法第3条の2は、法律行為の当事者が意思能力を有しないときは、その法律行為は無効とすると定めています(民法(e-Gov法令検索))。判断の対象になるのは診断書に書かれた病名ではなく、売買契約という行為の内容と結果を、契約したその時点で本人が理解できていたかどうかです。認知症は進み方に幅があり、初期の段階であれば、家を手放すとどうなるかを理解して自分で決められる方もいます。

認知能力を測る検査の点数がいくつだったかで、機械的に線が引かれるわけでもありません。同じ日の同じ人でも、日用品の買い物なら判断できるが、数百万円から数千万円が動く不動産の売買では理解が及ばない、という差が出ます。求められる理解の程度は、行為の重さに応じて変わると考えてください。

実務上の関門は、契約書に署名する場面よりも後ろにあります。決済の日には司法書士が本人と面談して売る意思を確認し、金融機関も口座の名義人本人の意思を確認します。ここで確認が取れなければ登記の申請には進めず、契約だけは結べたのに所有権を移せないという形で止まります。

認知症の親の家を売る際の関門

  • 診断名より契約時の理解

    病名ではなく、売買の内容と結果を本人が理解できているかが問われる

  • 行為の重さで変わる基準

    日用品の買い物と不動産売買では、求められる理解の程度が異なる

  • 決済時の意思確認

    司法書士や金融機関が面談し、意思が確認できないと登記に進めない

  • 契約だけ結べた場合

    決済時に意思確認が取れなければ、所有権を移せず手続きが止まる

※ 決済の日に意思確認が取れなければ所有権を移せません

子が親の代わりに売る権限は、あとから作ることができない

判断能力が下がった後に作った委任状は、本人が委任の意味を理解できていない以上、根拠になりません。以前に受け取っていた委任状が手元にある場合も、決済の時点で本人の意思を確認できなければ、司法書士は登記の申請を引き受けられないため、実務としては先に進みません。「親の字で署名だけもらえば足りるのではないか」という問い合わせをいただきますが、署名の形ではなく、そのときの理解の有無が見られます。

生前に子の名義へ変えておくという方法も、同じ壁に当たります。贈与も売買も本人の意思表示が必要な契約であり、意思能力が失われた後に登記名義だけを動かすことはできません。後見人が選任された後も、本人の財産を無償で子に移す贈与は、本人の利益にならないため原則として認められません。あわせて、親の預金口座も本人の意思確認ができない時点で払い出しが止まり、施設費用の支払いを子が立て替える形になりがちです。

契約時点の意思能力が重要です

親が認知症でも家を売却できるか

診断名ではなく、契約時点で行為の内容と結果を理解できているかで分かれます。

  • 意思能力がないときの法律行為は無効
  • 行為の重さに応じて求められる理解度が違う
  • 決済日にも司法書士等による意思確認が必要
※ 求められる理解の程度は行為の重さに応じて変わります

名義が親のまま止まると、止まった場所ごとに費用が出続ける

止まる工程そこで起きること
売買契約の締結本人の意思が確認できず、仲介でも買取でも契約に進めない
決済と所有権移転登記司法書士が意思確認できないため、代金と引き換えに名義を移せない
売却代金の受け取り親名義の口座が使えず、子の口座で受けると後の精算で問題になる
施設費用の支払い家が現金に換わらないまま、子が毎月立て替える状態が続く
家の維持固定資産税・火災保険・草刈りが、親の負担のまま毎年発生する

この5つのうち、家族が最初に気づくのはいちばん上の行で、実際に効いてくるのは下の3行です。誰も住まない家を持ち続けたときに1年で出ていく現金の内訳は「空き家の処分方法」の記事に項目ごとに挙げています。人が住まなくなった家は保険の引受条件が変わることがあり、そちらは「空き家に火災保険はかけられるか」の記事で扱っています。親が施設に移った月から、家は使われないまま費用だけを出す資産に変わります。

「親が認知症でも家を売れるかは、契約時点の意思能力で決まる」について、そのまま聞けます。

親の認知症の程度と備えで、家を売る方法は5つに分かれる

実家の居間で、親と子が向かい合って座り、これからの生活について話し合っている

同じ「親が認知症」という言葉でも、売主になれる人は状況ごとに違います。分かれ目は、本人にまだ契約できる力が残っているか、判断能力が下がる前に任意後見や信託という備えをしていたか、そして家の名義が親ひとりのものかどうかです。どこに当たるかで、家庭裁判所が関わるかどうかも、売却までにかかる月数も変わります。

1. 本人がまだ契約できるうちに、本人が売る

意思能力が確認できる段階なら、売主は親本人です。子が同席して段取りを担い、書類を集め、現地の立会いをしても、契約と決済の意思確認は本人に対して行われます。この形がいちばん手数が少なく、家庭裁判所も関わりません。

ここで注意が要るのは期間です。仲介で買主を探す場合、媒介契約から契約、決済までに数か月かかることがあり、その間に本人の状態が変わると、決済の日に意思確認が取れずに止まります。進行中の病気を抱えた売却では、価格の高さと同じ重さで、いつ決済まで終われるかを見る必要があります。 親が住み続けることを望んでいる場合の比較は「リースバックと買取の違い」の記事にありますが、この契約も本人の意思能力が前提になります。

任意後見契約から売却までの流れ

  1. 1

    任意後見契約を結ぶ

    判断能力があるうちに、支援者と代理権の範囲を公正証書で決めておく

  2. 2

    監督人の選任を申立て

    判断能力が下がった後、家庭裁判所に申し立てて効力を発生させる

  3. 3

    代理権目録の確認

    目録に不動産の処分が入っていれば、任意後見人が売主になれる

※ 代理権目録に不動産の処分が入っている必要があります

2. 任意後見契約を先に結んでいた場合

任意後見契約は、判断能力があるうちに、将来支援してもらう人と代理権の範囲を公正証書で決めておく契約です。判断能力が下がった後に家庭裁判所へ申し立てて任意後見監督人が選任されると、そこから効力が生じます。制度の全体像と登記の仕組みは法務省の成年後見制度~成年後見登記制度~で確認できます。

家を売れるかどうかは、契約書に添えられた代理権目録に不動産の処分が入っているかで決まります。入っていれば任意後見人が売主として契約でき、居住用不動産であっても、成年後見人に課される家庭裁判所の許可は法律上必要ありません。ただし任意後見監督人の監督は続き、重要な財産の処分について監督人の同意を要する旨を契約で定めている例も多いので、契約書の条項を先に読んでください。

3. 家族信託で子に権限を移していた場合

信託を使う方法では、親が委託者、子などが受託者、親が受益者となる契約を結び、家の登記を受託者名義に移して信託の登記を入れます。売るときの売主は受託者で、売却代金は信託財産として受益者である親のために使われます。親の判断能力が下がった後も、受託者の権限で売却まで進められる点が、この方法の要点です。

この形も、契約を結べるのは親に意思能力があるうちだけです。すでに判断能力が失われている段階では、信託契約も任意後見契約も新たに作れません。「今から家族信託にしておけば後見を使わずに済むか」という問いの答えは、親の状態が今どうかで決まります。

認知症の進行と売主の変化

  1. 意思能力がある段階

    親本人が売主として契約・決済

    契約と決済の意思確認は本人に行われる。家庭裁判所は関わらない。

  2. 売却の手続中

    数か月間の病気の進行リスク

    媒介契約から決済まで数か月かかることがあり、いつ終われるかが重要になる。

  3. 決済の日

    意思確認が取れず手続が止まる

    契約は結べていても、決済日に本人の意思確認ができなければ所有権を移せない。

  4. 判断能力を失った後

    売主が変わり、別の手続が必要

    本人は売主になれず、備えがない場合は家庭裁判所への法定後見の申立てになる。

※ 進行中の病気を抱えた売却では期間の短さが重要になります

4. 備えが無いまま判断能力を失った場合

何の備えもないまま判断能力が失われた場合、残る道は家庭裁判所に法定後見の開始を申し立てることです。類型は本人の状態の程度によって3つに分かれ、不動産を売るときの権限も変わります。

類型本人の状態不動産を売るときの権限
後見判断する能力を欠くのが通常の状態成年後見人が代理する。居住用は家庭裁判所の許可が必要
保佐判断する能力が著しく不十分本人が売るには保佐人の同意が必要。代理権付与の審判があれば保佐人が代理し、居住用は許可が必要
補助判断する能力が不十分審判で定めた範囲でのみ同意権や代理権が与えられる

成年後見人が本人の居住用の建物や敷地を売る、貸す、抵当権を設定するには、家庭裁判所の許可を得なければならないと民法第859条の3が定めています。保佐人や補助人に代理権が与えられた場合も、民法第876条の5第2項と第876条の10第1項によって同じ規定が準用されます。後見監督人が選任されているときは、不動産の処分について監督人の同意も必要になります。

5. 親が亡くなった後に売る場合

親が亡くなれば後見は終わり、家は相続人のものになります。ただし売主が1人から相続人全員に増えるため、合意の手間はむしろ大きくなります。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務も、この時点で発生します。申請の期限や過料の定めは法務省の相続登記の申請義務化についての案内に載っています。

相続人が多く、面識のない親族が含まれる場合の進め方は「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事に整理しました。合意が取れないまま持分だけを動かす選択肢は「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事にあります。なお、親が認知症のうちに祖父母の遺産分割が残っていると、その協議に参加するためだけに後見人の選任が必要になることがあり、家の売却より先にそこで止まります。

「親の認知症の程度と備えで、家を売る方法は5つに分かれる」について、そのまま聞けます。

親が認知症と分かった時点で、家を売る前に確かめる5つ

実家の和室で、子がたんすの引き出しを開けて探し物をしている

1. 登記事項証明書で、名義と担保の状態を見る

法務局で土地と建物の登記事項証明書を取り、名義が親ひとりか、母と共有か、すでに亡くなった祖父の名義が残っていないかを確認します。共有なら、共有者それぞれについて意思能力の問題が別に立ちます。抵当権の登記が残っている場合は、完済済みでも抹消の手続が必要で、金融機関との連絡に日数がかかります。

住所が古い住民票のままになっていることもよくあります。親が施設に移って住民票を動かしていれば、売却の際に登記名義人の住所変更の登記が入ります。この段階で分かるのは、売主が何人になるか、という最も重い条件です。

登記事項証明書で確認する4つのポイント

  • 名義人の確認

    亡くなった祖父の名義が残っていないかを見る

  • 共有者の確認

    共有なら全員分の意思能力の問題が別に発生する

  • 抵当権の確認

    残っていれば完済済みでも抹消手続が必要になる

  • 住所の確認

    施設に移って住民票を動かしていれば変更登記が必要

2. 診断書を取り、いつの時点の状態かを残す

主治医に相談し、現在の判断能力について書面をもらってください。法定後見の申立てに使う診断書は家庭裁判所が書式を用意しており、その書式に医師が記載します。介護保険の認定調査票や主治医意見書も、状態の推移を示す資料として役に立ちます。

日付が入った書面が残っていることが、後になって効きます。売買契約の有効性が身内の間で争われたとき、争点になるのは契約日ごろの状態であり、後から作った記憶では埋められません。契約に進む場合でも、その前後の診断書は手元に置いておいてください。

3. 任意後見契約・信託契約・委任状の有無を探す

親が公証役場で任意後見契約を結んでいた場合、その契約は登記されています。後見登記等の登記事項証明書を法務局に請求すれば、任意後見契約の有無や、すでに後見が開始しているかを確認できます。「本人に代わって請求できる人」の範囲が決まっているため、請求できる続柄と必要書類を先に確かめてください。

家の中を探す対象は、公正証書の正本、信託契約書、金融機関からの通知、保管している権利証です。親が誰かに相談していた形跡があるなら、通帳から司法書士や税理士への支払いをたどると出てくることがあります。備えがあったのに気づかず後見を申し立てるのは、費用も時間も無駄になります。

4. 持ち続ける費用と、施設費用の不足額を並べる

固定資産税、火災保険、電気と水道の基本料金、草刈り、交通費、そして修繕。この6項目を1年分たし合わせると、家を売らずに置いた場合の金額が出ます。次に、親の年金と預貯金で施設費用をどこまで賄えるか、毎月いくら足りないかを出します。

この2つの数字は、後の手続でそのまま使います。家庭裁判所に居住用不動産の売却許可を求めるとき、なぜ売る必要があるのかを示す資料になるのが、まさにこの収支です。周辺で実際に取引された価格の水準は、国土交通省の不動産情報ライブラリで自分でも調べられます。買取価格はここに出る一般の買主が買った価格より低くなるので、水準を知る材料として使ってください。

5. 売却代金が誰の財産になるかを、先に決めておく

家が親の名義なら、売却代金も親の財産です。後見人が選任されている場合、代金は後見人が管理する口座に入り、本人の生活費と医療費、施設費用に充てられます。子が立て替えていた費用を代金から精算するには、領収書と使途の記録が必要で、家庭裁判所への報告にも載ります。

立て替えを重ねてから精算しようとすると、そこがいちばん揉めます。 兄弟のうち1人が費用を出し、別の1人が売却に消極的、という組み合わせでは、金額の話より先に精算の話で止まります。記録を残し、できれば立て替えを作らずに済む形を先に考えてください。

成年後見の申立てから、親の家を売るまでの段取り

子が役所の建物の前を歩いている後ろ姿

1. 申立てをする人と、申立先の家庭裁判所

申立先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立てができるのは本人、配偶者、四親等内の親族などで、身近な親族がいない場合には市町村長が申し立てる仕組みもあります。手続の流れや書式の入手先は裁判所のウェブサイトで案内されており、申立先の家庭裁判所によって必要書類の細部や郵便切手の額が違います。

兄弟が複数いる場合、誰が申立人になるかを先に決めておくと後の連絡が楽になります。申立人には、財産目録の作成や照会への回答といった実務が集まります。

2. 費用と、そろえる書類

項目金額・内容
申立ての手数料収入印紙800円(後見開始の審判の申立て)
登記の手数料収入印紙2,600円(後見が開始した旨を登記するため)
連絡用の郵便切手申立先の家庭裁判所が指定する組み合わせと額
診断書家庭裁判所の書式に医師が記載。費用は医療機関ごとに異なる
鑑定の費用必要と判断された場合に別途かかる。金額は事案による
添付する資料戸籍、住民票、財産目録とその裏づけ、収支予定表、親族の意向に関する書面

財産目録には、預貯金、年金、保険、そして今回売ろうとしている不動産を書きます。固定資産税の課税明細書、通帳の写し、保険証券を集める作業に時間がかかるので、申立てを決めたら最初に着手してください。

3. 候補者と違う人が選ばれることがあり、取下げも自由にはできない

申立書には後見人の候補者を書けますが、誰を選ぶかを決めるのは家庭裁判所です。親族を候補に挙げても、財産の額や不動産の売却予定、親族間に意見の違いがあることなどを踏まえて、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることがあります。そして、誰が後見人に選ばれたかという点について不服を申し立てることはできません。

もうひとつ知っておく必要があるのは、申立ては出したら引っ込められないという点です。家事事件手続法第121条により、後見開始の申立ての取下げには家庭裁判所の許可が必要で、審判の前であっても自由には取り下げられません。「思ったより専門職の関与が重いので、やめて自分たちで進める」という引き返し方は、制度上用意されていません。

成年後見の申立ての段取り

  1. 1

    申立人を決める

    財産目録の作成など実務が集まるため、親族が複数いる場合は先に決める

  2. 2

    申立先の確認

    本人の住所地を管轄する家庭裁判所を申立先として確認する

  3. 3

    家庭裁判所へ申立て

    本人や配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所へ申し立てる

※ 申立ては取下げにも家庭裁判所の許可が必要です

4. 居住用不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要

成年後見人が選任されても、それだけで家を売れるわけではありません。本人が住んでいた建物とその敷地を売るには、民法第859条の3の許可を得る必要があり、許可なく売った場合の売買は無効になります。親が現に入院や入所をしていて誰も住んでいない家でも、退院や退所の後に戻る可能性がある建物は、居住用として扱われることがあります。

許可の審理で見られる点と、そのために用意する資料は次のとおりです。

  • 売る必要性があるか … 施設費用や医療費の収支、預貯金の残高の推移
  • 価格が相当か … 複数社の査定書、周辺の取引事例、固定資産評価額や路線価
  • 本人の生活への影響 … 施設の契約内容、戻る見込みについての医師や施設の見解
  • 売買の条件が妥当か … 売買契約書の案、手付金、決済の時期、契約不適合責任の定め
  • 親族の意向 … 他の相続人が売却に反対していないかを示す書面

査定書を1通しか出さないと、価格の相当性を示す材料が足りないと見られることがあります。当社が買主になる場合でも、他社の査定を並べて提出していただいて構いません。

5. 売買契約は、許可を条件にして結ぶ

段取りとしては、先に買主と価格と条件を固め、その契約書の案を添えて許可を申し立てます。契約は、家庭裁判所の許可が得られることを条件とし、許可が下りなければ白紙に戻る形にしておきます。許可が出てから決済日を決めるため、契約から決済までに間が空きます。

ここで実際に問題になるのは、買主がその待ち時間を受け入れられるかどうかです。住宅ローンを使って自分の住まいとして買う一般の買主は、融資の承認期限や引越しの予定があるため、いつ許可が出るか読めない契約を避けることがあります。仲介で買主を探す方法を選ぶ場合は、この条件を了解した買主が見つかるかどうかが、価格より先の関門になります。

6. 決済が終わっても、後見はそのまま続く

家が売れて代金が入っても、後見が終わるわけではありません。後見は原則として本人が亡くなるまで続き、後見人は年に1回、財産の状況と収支を家庭裁判所に報告します。専門職が後見人になっている場合、その報酬は家庭裁判所が事案に応じて決め、本人の財産から支払われます。金額の目安は申立先の家庭裁判所に確認してください。

家を売るという一点のために申し立てても、その後の関与は続きます。売却の必要が本当にあるのかを、申立ての前にもう一度計算してください。 預貯金と年金で施設費用が賄えているなら、売る必要性そのものが説明しにくくなります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。後見の申立てそのものについては、申立先の家庭裁判所の手続案内と、司法書士や弁護士にご相談ください。

「成年後見の申立てから、親の家を売るまでの段取り」について、そのまま聞けます。

認知症の親の家を当社が買い取る場合の条件と流れ

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「認知症の親の家を当社が買い取る場合の条件と流れ」について、そのまま聞けます。

親が認知症のとき、家を売れるかは意思能力と備えで決まる

  • 判断の起点は、契約した時点で本人が理解できていたかどうかです。 診断名や検査の点数で自動的に決まるわけではなく、初期の段階なら本人が売主として契約できます。ただし進行する病気なので、決済の日に意思確認が取れなければ所有権を移せません。期間の読める方法を選ぶ意味は、価格の差より大きくなることがあります。
  • 判断能力が失われた後にできるのは、備えを使うか、法定後見を申し立てるかの二択です。 任意後見契約や家族信託は、判断能力があるうちにしか作れません。何も無い場合は家庭裁判所への申立てになり、居住用不動産の売却には民法第859条の3の許可が必要で、申立ては取下げに許可が要ります。
  • 手元で先に出す数字は2つです。 家を1年持ち続けたときに出ていく費用と、施設費用の毎月の不足額。この2つが、売る必要性を示す資料になり、売るか待つかの判断そのものにもなります。

当社は買主として、後見人が売主になる案件も許可を条件にして買い取り、片づけや解体を条件にしません。そのかわり価格は仲介での成約想定額より低く、売主が確定していない段階では金額を出しません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

親の認知症と家の売却について、よくある質問

Q1. 親に認知症の診断がありますが、本人が契約すれば家は売れますか

契約した時点で本人が売買の内容と結果を理解できていれば、その売買は有効です。判断されるのは病名ではなく、そのときの理解の程度です。実務では、決済の日に司法書士が本人と面談して意思を確認するため、契約の日だけ理解できていても足りません。日付の入った診断書を残し、契約から決済までの日数を短く組むことが、この形を成立させる条件です。 状態に不安があるなら、契約の前に主治医と司法書士の両方に相談してください。

Q2. 先に子の名義へ変えておけば、あとで自由に売れますか

名義を変える行為そのものが、親の意思能力を必要とします。贈与も売買も契約なので、理解できない状態での名義変更は無効と扱われる余地が残ります。後見人が選任された後も、本人の財産を無償で子に移すことは本人の利益にならないため、原則として認められません。加えて、贈与には贈与税、登記には登録免許税と不動産取得税がかかり、相続で取得した場合と税額が変わります。適用関係は税務署または税理士に確認してください。

Q3. 成年後見を申し立てると、後見人に選ばれるのは家族ですか

申立書に候補者を書けますが、決めるのは家庭裁判所です。不動産の売却予定がある、財産の額が大きい、親族の間で意見が分かれている、といった事情があると、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることがあります。誰が選ばれたかという点について不服を申し立てることはできず、申立ての取下げにも家庭裁判所の許可が必要です。「家族が後見人になれるなら申し立てる」という条件付きの判断は、制度の上では成り立ちません。

Q4. 家庭裁判所の許可は、どのくらいで出ますか

期間は事案と申立先によって変わるため、当社から日数をお約束することはできません。見込みを立てるなら、申立先の家庭裁判所に、必要書類がそろっている場合の目安を直接聞いてください。審判が出た日に決済できるわけでもなく、書面が届くまでの日数と、後見人が決済の準備をする日数が加わります。当社は許可の確定を条件にした契約にしているため、待つ期間があること自体は前提に置いています。平日に役所や裁判所へ行けない場合の段取りは「夜間・土日に不動産の相談はできるか」の記事にまとめています。

Q5. 親は施設に入っていて誰も住んでいません。それでも許可は必要ですか

現に住んでいないという事実だけでは、居住用から外れるとは限りません。退所して戻る可能性がある建物、住民票が残っている建物、生活の本拠として扱われてきた建物は、居住用として許可が必要になる扱いがあります。判断するのは家庭裁判所なので、後見人を通じて申立先に確認するのが確実です。許可が必要な物件を許可なく売った場合、その売買は無効になります。 当社が買主のときも、居住用に当たるかどうかが曖昧な段階では決済日を置きません。

Q6. 親が亡くなるまで待ってから売った方が簡単ですか

手続の数だけを見れば後見は不要になりますが、売主は相続人全員に増えます。連絡が取れない相続人が1人いれば止まり、相続によって取得したことを知った日から3年以内の相続登記も必要になります。その間も固定資産税と保険と管理の費用は出続け、建物は傷みます。一方で、要件を満たせば相続後の売却に使える控除もあり、被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、1人あたり2,000万円までに下がります。要件は国税庁の被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例で確認できます。待つ側の費用と、控除が使えるかどうかを並べて決めてください。当社の会社としての中身と断る条件は「リアテクスの評判」の記事に書いています。

当社の見方

ご本人の判断が難しくなっているご相談で、当社が守っている線を書いておきます。当社が契約の相手にできるのは、その不動産の名義人ご本人か、家庭裁判所に選ばれた代理人の方だけです。ご家族がどれだけ近い間柄であっても、代わりにご署名いただくことはできません。ここを崩すと、後から契約そのものが覆ってしまいます。

ですので、売主となる方が定まるまでは、具体的な金額をお出ししない扱いにしています。ご本人がお住まいだった家を代理人の方がお売りになる場合には、家庭裁判所の許可が要ります。許可が下りるまで決済の日は置けませんので、当社は許可を条件としたご契約を結びます。ご相談をいただくだけであれば、ご本人の同席がなくても承ります。手続きの見通しと要る書類は、申立てを担当される専門家にご確認ください。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:民法出典:裁判所
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(6件・に確認)

更新履歴

  1. 第2版冒頭に、当社が買い取れる条件・お断りする条件と当社の買取金額(事例の幅)、会社を確かめられる記事への案内をまとめました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  2. 第1版公開

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