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再建築不可

私道の承諾書がもらえない家の売却|通行・掘削の実務

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
私道の承諾書がもらえない家の売却|通行・掘削の実務

「私道の所有者に通行と掘削の承諾書を頼んだが、断られたまま売却の話が進まない」。承諾書が無くても法律上の通行権や設備設置権が残っている場合があり、止まるのは売却そのものではなく、住宅ローンを使う一般の買主への売却です。

当社は承諾書の取得を売主の条件にせず、未取得のまま買主として買い取ります。そのぶん価格は下がり、私道の所有者が誰か確定していない物件と、係争中の私道はお引き受けできません。この土地が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(10章)

先にこの土地の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

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当社は買主として、通行と掘削の承諾書が無くても、承諾が無い前提で使える範囲を見た金額を書面でお出しします。お断りするのは、私道の名義人の相続人が未確定、通行や掘削で訴訟・調停が進行中、自分の敷地の売主が未確定、徒歩で安全に通れない場合です。前面道路が私道の当社の買取事例は200万円台から1,000万円台前半でした。免許と断る条件は「リアテクスの評判」にあります。

私道の承諾書がもらえない家の売却の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

私道の承諾書がもらえないと、売却のどこが止まるのか

夫婦が自宅の居間のテーブルに向かい、書類を見ながら話し合っている

通行の承諾書と掘削の承諾書は、別々の書面です

「私道の承諾書」とまとめて呼ばれていますが、実際に求められるのは中身の違う2通です。ひとつは人と車が通ることを認める通行承諾で、もうひとつは水道管やガス管を入れ替えるために舗装を掘ることを認める掘削承諾です。片方だけがある状態は珍しくなく、何十年も通ってきた家でも、管を触った経験が一度も無ければ掘削のほうは白紙のままになっています。

書面の種類相手が承諾している中身
通行承諾徒歩と自動車での通行、将来にわたって通行を妨げないこと
掘削承諾私道を掘る工事、埋設管の新設と更新、舗装の復旧の方法
承継の条項買主および以後の所有者にも同じ内容が引き継がれること

3行目は単独の書面ではなく、上の2通に入れておく一文です。ここが抜けていると、書面が手元にあっても「承諾したのは前の所有者に対してだけだ」と主張される余地が残り、買主側の調査でそこを指摘されます。

買主と金融機関が承諾書を欲しがる理由

買主が気にしているのは、住み始めたあとに通れなくなる事態と、給湯器や水回りを更新するときに工事ができない事態です。金融機関はさらに、担保に取った土地が将来売れるかどうかを見ています。融資の審査では、承諾書の有無が「その不動産が次に売れるか」の判定材料として使われます。

もうひとつ、建物を建て替える場面でも書面が効きます。敷地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ建築の確認は下りず、その道路が私道である場合、位置の指定や幅員の扱いを役所で確認する必要があります。接道の要件は建築基準法第43条、道路の定義は第42条に置かれています(建築基準法(e-Gov法令検索))。建て替えが前提の買主にとって、私道の状態は価格そのものです。

承諾書が無いことと、通る権利が無いことは同じではありません

断られた時点で「うちは通行権が無い」と思い込む方が多いのですが、書面と権利は別の層にあります。袋地であれば民法の囲繞地通行権が働き、過去の合意が続いていれば通行地役権が成立していることもあります。建築基準法上の道路に指定されている私道については、日常生活に不可欠な通路の通行を妨げられた者が、妨害の排除を求められるとした最高裁判所の判断(最高裁平成9年12月18日判決)もあります。

つまり手元にある問題は、権利が無いことではなく、権利があることを第三者に示す書面が無いことです。この区別ができると、次に何を集めればよいかが決まります。再建築の可否と併せて全体を見たい場合は「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事に判断の順序を書いています。

買主と金融機関が承諾書を求める理由

  • 買主の懸念(生活)

    通行止めや、水回り・給湯器の更新工事ができない事態を避けるため。

  • 金融機関の懸念

    担保の土地が将来売れるかどうかの判定材料として審査に使うため。

  • 買主の懸念(建築)

    接道義務を満たし、建て替えの建築確認が下りるか確かめるため。

私道の持分の有無で、承諾書を誰にもらうかが変わります

私道持分は、道として使う土地の所有権を分け合ったものです

分譲のときに、まとまった土地の一部を道の形に切り出し、その土地を買主どうしで持ち合ったものが私道です。切り出された道の部分は宅地とは別の地番で登記されており、その地番についてご自身が持っている所有権の割合が私道持分です。持分の分母は戸数と一致するとは限らず、敷地面積に応じて割り振られている例もあります。

公道との違いは、誰が費用を出して直すかにはっきり出ます。公道の舗装や側溝は自治体が管理しますが、私道は所有者が自分たちで補修費を出し、工事の内容も自分たちで決めます。固定資産税は、公衆用道路として認定されていれば非課税として扱われる市区町村が多く、その場合は納税通知書に地番も金額も出てきません。「道のことは考えたこともなかった」という状態は、この非課税の扱いから生まれます。

私道持分を確かめる資料の集め方

  1. 1

    登記事項証明書を取る

    自宅の敷地だけでなく前面の私道の地番についても取ります

  2. 2

    公図を見る

    細長い筆が道の形で入っているかどうかを確認します

  3. 3

    名寄帳を取る

    市区町村の税務課で名寄帳を取り、税の扱いを見ます

私道の所有の形は、大きく3通りです

所有の形承諾を求める相手
沿道の住民全員による共有自分以外の共有者全員(人数が多いほど手間が増える)
分筆して各自が一部ずつ単独所有自分の所有部分以外を持つ隣近所の所有者
他人または法人の単独所有その所有者1名(相続や倒産で所在不明になりやすい)

いちばん扱いが難しいのは2番目です。自分の家の前だけを所有していても、公道に出るまでに他人の所有部分を必ず通るため、通行も掘削も他人の承諾が要ります。 所有の形が分かれば、誰に何通の書面を頼むのかが確定します。

自分に持分があるかを確かめる3つの資料。登記事項証明書は自宅の敷地だけでなく、前面の私道の地番についても取ります。公図を見れば、細長い筆が道の形で入っているかどうかが分かります。そして市区町村の税務課で名寄帳を取ると、その市区町村内で自分や被相続人の名義になっている不動産が一覧になって出てきます。

私道が公衆用道路として固定資産税を非課税にされている場合、納税通知書に金額が載らないため、持分の存在が見落とされます。相続した家では特に起きやすく、後から私道だけ名義が亡くなった方のまま残っていた、という形になります。相続登記の申請は義務になっており、期限の考え方は法務省の相続登記の申請義務化についてに整理されています。

持分があっても、自分だけでは決められないことがあります

共有の私道では、行為の性質によって必要な同意の範囲が変わります。傷んだ舗装の部分的な補修のような現状を保つ行為は各共有者が単独でできますが、管理にあたる行為は持分の価格の過半数で決まり、形や効用を大きく変える行為には全員の同意が要ります。民法第251条と第252条は令和3年の改正で整理され、2023年4月1日から現在の形になりました。

ライフラインの工事がどこに当たるかは事案によって判断が分かれるため、「持分があるから掘ってよい」とも「全員の同意が無いから掘れない」とも言い切れません。 共有者の一部と連絡が取れない状態が続いているなら、持分そのものの扱いを含めて「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事も併せてご覧ください。

持分が無い家に、買主が身構える4つの理由

前面が私道なのに自分の持分が一切無い場合、道について決める側に回れません。買主が具体的に懸念するのは、①通行料や通行地代を後から請求されること、②車の乗り入れや駐車を止められること、③水道管の更新工事に所有者の承諾が要り、断られると水回りを直せないこと、④建て替えのときに役所へ出す同意が集まらないこと、の4点です。金融機関はこの4つを踏まえて担保の評価を下げ、条件によっては融資そのものを見送ります。

ただし、持分が無いことと売れないことは同じではありません。前面の私道が建築基準法上の道路に指定されている、敷地が袋地で囲繞地通行権が働く、通行地役権が登記されている、水道管が公道から直接引き込まれている。このうちどれかを資料で示せれば、買主に説明できる材料になります。持分の有無より、通行と工事について何が言えるかを資料でそろえられているかが、価格の差になります。

私道の所有形態と承諾を求める相手

  • 公図で形を見る

    細長い筆が道の形で入っているか、位置や形状を把握する。

  • 登記で権利を見る

    自宅敷地だけでなく、前面の私道の地番についても取得する。

  • 名寄帳で税を見る

    市区町村の税務課で取得し、課税状況や持分の有無を確認する。

「私道の持分の有無で、承諾書を誰にもらうかが変わります」について、そのまま聞けます。

通行の承諾書がもらえないとき、売却の結果を分けるもの

家族が住宅街の細い道を並んで歩いている

同じ「断られた」でも、その先に残る選択肢は物件ごとに違います。分かれ目は4つあり、上から順に確かめると、交渉に時間を使うべきか、別の出口を探すべきかが見えてきます。

1. その私道が建築基準法上の道路に指定されているか

役所の建築を担当する課で、前面の道が同法第42条の何号に当たるかを聞きます。位置指定道路や、いわゆる2項道路として指定されていれば、私人の所有であっても建築基準法上は道路です。指定された私道を通行止めにする行為は、単なる私有地の管理とは扱われません。

一方、指定が無いただの通路であれば、通行の根拠は民法か当事者間の合意に限られます。この違いは価格だけでなく、建て替えができるかどうかに直結します。同法第45条は、私道の変更や廃止によって接道の要件を満たさなくなる場合に、特定行政庁がその変更や廃止を制限できると定めています。

2. 敷地が袋地に当たるか

他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るために囲んでいる土地を通行できます。通る場所と方法は必要かつ他の土地の損害が最も少ないものを選ぶこととされ、原則として償金の支払いが伴います。分割によって袋地が生じた場合には、他の分割者の土地のみを無償で通行できます。これらは民法第210条から第213条までの定めです(民法(e-Gov法令検索))。

注意が要るのは、自動車の通行まで当然に含まれるとは限らない点です。徒歩の通行は認められても車の出入りが争われることがあり、駐車場として使えるかどうかで価格は変わります。

3. 過去の合意や地役権の登記が残っているか

前の所有者が取り交わした覚書、分譲時の契約書、位置指定の申請書類に添えられた同意書。これらが見つかれば、書面が無いという前提そのものが変わります。登記簿の乙区に通行地役権が登記されている場合は、私道の所有者が代わっても効力を主張しやすくなります。

長年にわたって通路として使われてきた事実があるだけでは、時効による地役権の取得が当然に認められるわけではありません。通路の開設を誰が行ったかなどが問われるため、証拠になりそうな古い書類は、処分せずにそろえておいてください。

4. 相手が断っている理由がどこにあるか

拒否の中身を分けると、対応が変わります。過去の工事で道が傷んだまま直されていない、無断駐車が続いている、相続で顔を知らない人が持ち主になった、といった経緯が原因なら、金銭ではなく事実の整理で動くことがあります。逆に対価の額が論点なら、支払う金額と、支払わずに売った場合の価格差を比べる話になります。

相手方が複数の相続人の共有になっていて話す相手が定まらない場合は、こちらの体制も同じ形になりがちです。当事者が増えたときの進め方は「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事にまとめました。

通行承諾がない物件の売却を分ける条件

分かれ目となる条件該当する場合の権利・根拠価格や売却への影響
建築基準法上の道路指定単なる私有地の管理とは扱われない建て替えの可否に直結する
敷地が袋地に当たる公道に至るための通行権(民法)車の通行が認められるかで価格変動
過去の合意や地役権の登記前の所有者の合意や登記の効力所有者が代わっても主張しやすい

掘削の承諾書がもらえない私道と、売却価格への影響

1. 管がどこを通り、いつ入れたものか

まず水道局で給水装置の図面を、下水道担当課で下水道台帳を確認します。見るのは経路と口径と敷設年です。私道の下を通っているのか、公道から直接引き込んでいるのか。口径が13ミリのままなら、同時に使える水量が足りず、買主が更新を前提に考えます。

管が私道の下にあり、かつ古いほど、掘削承諾の有無が価格に強く出ます。 逆に、公道から自分の敷地へ直接入っていて口径にも余裕があるなら、掘削の論点は小さくなります。

2. 民法第213条の2の設備設置権が使えるか

他の土地に設備を設置しなければ電気・ガス・水道の継続的な給付を受けられない場合、必要な範囲でその土地に設備を設置できる規定が、2023年4月1日から施行されています。場所と方法は損害が最も少ないものを選ぶこと、あらかじめ目的・場所・方法を相手方に通知すること、生じた損害に償金を支払うことが条件です。

ただし、この規定があるからといって工事がすぐ始まるわけではありません。水道事業者の多くは、他人の土地を経由する給水装置の工事について所有者の承諾書の提出を求める運用をしており、法律上の権利と窓口の受付は別に動きます。 通知を出して着工した場合に相手が工事を物理的に止めれば、結局は司法の判断を待つことになります。

3. 買主の資金調達で止まる形

承諾書が無いと分かった時点で、金融機関が融資を見送る、もしくは評価額を下げる判断をすることがあります。売買契約に融資利用の特約が入っていれば、審査が通らなかった時点で契約は白紙に戻ります。書面の準備が間に合わないまま契約日を迎え、決済の直前に崩れるのは、この経路です。

承諾書不足で買主の融資が止まる経路

  1. 1

    承諾書が無いと判明

    承諾書が無いと分かった時点で金融機関の審査に影響します

  2. 2

    融資の見送りや減額

    金融機関が融資を見送るか、評価額を下げる判断をします

  3. 3

    売買契約が白紙に戻る

    売買契約に融資利用の特約が入っていれば白紙に戻ります

  4. 4

    決済直前に崩れる

    書面の準備が間に合わないまま決済の直前に取引が止まります

4. 価格にどう反映されるか

私道の状態価格の付き方
通行・掘削の両方の承諾書があり承継条項も入っている私道を理由とした減額は基本的に生じない
通行のみ承諾があり、掘削は未取得更新工事ができない前提の見込みが引かれる
どちらも未取得だが所有者が特定できている交渉に要する期間と不調に終わる可能性の分が引かれる

3行目より下、つまり所有者が特定できていない状態になると、引くべき金額が計算できなくなります。金額の根拠を説明しない高い提示が出てきたときの見方は「不動産買取の査定額が高い理由」の記事に書きました。

私道でもめている家を、もめたまま売るときに詰めること

親子が実家の庭先に立ち、敷地の境界付近を指差して確認している

1. どんなもめ方が起きているかを切り分ける

もめ方よくあるきっかけ売却で効いてくるところ
通行料や承諾料を後から請求される所有者の代替わり、長年無償で通ってきた慣行が書面化されていない支払う額といつまで払うのかが決まらず、買主が費用を計算できない
車の乗り入れや駐車を止められる私道上での切り返し、来客の駐車、チェーンやコーンの設置車を敷地まで入れられるかで価格も買主の層も変わる
水道管の入れ替え工事を当日に止められる掘削承諾が無いまま着工した、通知の内容が伝わっていない水回りを更新できない前提の値付けになる
舗装の補修費や除雪の負担が決まらない管理の取り決めが無い、共有者の一部が支払いに応じない引き継ぐ買主が毎年いくら出るのかを読めない

いずれも、揉めている中身を「誰が」「何を」「いつから」に分けて書き出すと、金銭で片づく話と、事実の整理で片づく話に分かれます。請求されている金額が確定していないものは、買主側では最悪の額を想定して引かれます。

2. 争いを抱えたまま売るとき、買主に伝えること

通行や掘削で相手方とやり取りがある事実は、売買の前に買主へ伝えます。伝えずに引き渡し、後から請求や妨害が出てくると、契約の内容に適合しないとして売主が責任を問われます(民法(e-Gov法令検索))。伝えるのは、請求額と相手の氏名、止められた工事の日付と内容、口頭の取り決めの有無、過去の書面の写しです。

記録が無いなら、今からでも日付入りで残してください。チェーンや看板があれば写真を撮り、電話のやり取りは日時と内容をメモします。言った言わないになった部分は、価格から引かれる側に倒れます。

3. 訴訟や調停が続いている間にできること

係争中の私道は、当社を含め買い取る側が金額を確定できません。一般の買主も融資の審査で止まります。動かせるのは和解や調停の中身で、通行と掘削の範囲、費用の負担、次の所有者にも同じ内容が及ぶ条項を書面に入れておけば、その書面が売却時の資料になります。

どの手続きを選ぶか、和解の条項をどう書くかは弁護士の領分です。手続きを終えてから売る場合と、待たずに売る場合の価格差を先に見積もっておけば、待つ期間を決められます。

争いを抱えたまま売る際に伝える事項

  • 請求額と相手の氏名

    誰からいくら請求されているか、金銭的な負担の全容を伝える。

  • 止められた工事の記録

    いつ、どのような工事が止められたか、日付と内容を伝える。

  • 口頭の取り決めと書面

    過去の書面の写しや、口頭での約束事の有無を伝える。

  • 現状の証拠メモや写真

    手元に記録がない場合、看板の写真や電話の日時・内容を残す。

「私道でもめている家を、もめたまま売るときに詰めること」について、そのまま聞けます。

私道の承諾書をもらいに行く前に済ませる5つの調査

頭を下げに行くのは最後です。先に資料をそろえておくと、相手に渡す書面の中身が具体的になり、その場で答えられる質問が増えます。

1. 公図と登記事項証明書で、私道の所有者を特定する

公図で前面の道の地番を拾い、その地番の登記事項証明書を取ります。所有者が亡くなっている、法人が既に登記記録上も活動を止めている、といった事実はここで判明します。共有であれば全員の住所氏名が載るので、何人に頼むことになるのかが確定します。

2. 建築を担当する課で、道路の種別と幅員を聞く

同法第42条の何号か、指定の幅員は何メートルか、後退(セットバック)の線はどこか。窓口には道路の台帳があり、位置指定道路であれば指定の図面が残っています。電話でも種別だけは教えてもらえることが多いので、遠方にお住まいの場合は先に一本かけてください。 遠方から手続きを進める方法は「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に整理しています。

3. 水道局と下水道担当課で、図面を取る

給水装置の申請図、下水道の取付管の位置、雨水と汚水の分流の別を確認します。ここで「私道内に他家の管も通っている」と分かることがあり、その場合は相手方にとっても掘削の合意は他人事ではなくなります。共同で更新する話にまとまることもあります。

4. 名寄帳と納税通知書で、私道の税の扱いを見る

非課税なら公衆用道路として扱われている可能性が高く、課税されているなら宅地並みか雑種地扱いかを確認します。税の扱いは、その道が事実上どう使われてきたかを示す資料にもなります。 相続した物件では、私道の地番だけ相続登記から漏れていないかをここで点検してください。

5. 古い書類を全部出す

分譲時のパンフレット、売買契約書、位置指定の申請書の写し、近隣と取り交わした覚書、過去の工事の見積書と復旧写真。「無いと思っていた承諾書が仏壇の引き出しから出てきた」という場面は、実際にあります。 探す前に新しく作ろうとすると、相手に説明する材料まで失います。

承諾書をもらいに行く前の調査手順

  1. 1

    所有者の特定

    公図と登記事項証明書で私道の所有者と人数を特定します

  2. 2

    道路の種別と幅員の確認

    役所の建築担当課で道路の種別や指定の幅員を聞きます

  3. 3

    図面の取得

    水道局と下水道担当課で経路や口径などの図面を取ります

  4. 4

    税の扱いの確認

    名寄帳と納税通知書で私道がどう扱われてきたかを見ます

  5. 5

    古い書類の確認

    分譲時のパンフレットや過去の覚書などの書類を全部出します

私道の承諾書がもらえないと決まった後の5つの選択肢

1. 頼む中身を絞り、書面を用意して持っていく

「承諾書にサインしてください」とだけ言われた側は、何を認めさせられるのか分からないまま身構えます。掘る範囲を図面で示し、工期と復旧の仕様を書き、費用は全額こちら持ちだと明記した書面を持参すると、論点が具体的になります。将来の買主にも効力が及ぶ承継条項は、必ず入れてください。 ここを省いた書面は、次の売却でもう一度同じ交渉を発生させます。

2. 対価の提示を検討する

承諾の対価として金銭を求められることがあります。公表された相場はないので、求められた額と、承諾書が無いまま売った場合の下がり幅の見積りを並べて比べます。

3. 私道の持分そのものを取得する、または交換する

所有者が高齢で管理を負担に感じている場合、持分を売りたいという結論になることがあります。分筆して相互に所有し合っている形なら、通行の必要な部分を等価で交換する方法もあります。いずれも登記が絡むため、司法書士と土地家屋調査士の関与が前提です。

4. 通知を出したうえで、司法の手続きに進む

民法第213条の2に基づく設備の設置は、事前の通知が要件です。通知をしても妨害された場合や、通行そのものを実力で止められた場合は、通行妨害の排除や地役権の確認を求める訴え、あるいは調停という道が残ります。手続きの種類と申立ての流れは裁判所のウェブサイトで確認できます。

時間と費用がかかるため、建物の状態と残りの保有年数を見てから選ぶ判断になります。 解体して土地として売る場合の費用感は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にまとめました。

5. 承諾書が無い状態のまま売る

ここまでの4つを見送るなら、現状のまま買う相手を探すことになります。買主は、承諾が取れないままでも成立する使い方を前提に価格を組みます。売主にとっての利点は、交渉と工事を自分で抱えずに済むこと、不利な点は価格が下がることです。 どちらを取るかは、手元にある時間と、毎年出ていく固定資産税や管理費の額で決めてください。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

承諾書がもらえないと決まった後の選択肢

  1. 準備1

    工事の仕様をまとめる

    掘る範囲を図面で示し、工期と復旧の仕様を書く

  2. 準備2

    費用の負担を明記する

    費用は全額こちら持ちだと書面に明記する

  3. 準備3

    承継条項を入れる

    将来の買主にも効力が及ぶ一文を必ず含める

  4. 交渉時

    書面を持参して頼む

    論点を具体的にし、相手が身構えないようにする

「私道の承諾書がもらえないと決まった後の5つの選択肢」について、そのまま聞けます。

当社が私道の承諾書なしで買う条件と、買えない私道

家族が実家の建物の前に立ち、道路と敷地のつながりを見渡している

取引態様:買主(当社が自ら買い取ります)/媒介(当社で買い取れない物件は、仲介で売却をお手伝いします)

承諾書の取得を、売却の条件にしません

当社は買主として直接購入しますので、通行承諾も掘削承諾も、売主に取ってきていただく必要はありません。承諾が無い前提で使える範囲を見て金額を出します。価格の目安は当社の再建築不可の買取記録にあります。買い取ったあとに私道の所有者と話をするかどうかは当社の判断で行うことであり、売主の代理として交渉する立場には立ちません。

現地では、道の幅を実測し、公道に出るまでの経路と屈曲の角度、車が入れるか、消防や工事の車両が寄せられるかを見ます。そのうえで役所と水道局の調査結果を突き合わせ、書面で金額と条件をお出しします。書面を見てから決めていただく前提なので、その場での返答は求めません。 当社の免許は宅地建物取引業者検索システムで照会できます。

価格が下がる部分の内訳

  • 通行について書面が無い分:将来の買主に説明できない状態を当社が引き取るため、その分が引かれます
  • 掘削について書面が無い分:管の更新ができない前提で、給湯や水回りの使い方が限られます
  • 車が入れない場合の工事費:建材や残置物の搬出入を人力で行うと、同じ工事でも費用が上がります
  • 解決までの期間の見込み:所有者が複数いる、相続が発生しているなど、話がまとまるまでの長さがそのまま費用になります

逆に、古い覚書が見つかった、所有者が1名で連絡が取れる、管が公道から直接入っている、といった条件がそろえば、その分は価格に戻ります。調査で確かめられた事実が増えるほど、引く金額は小さくなります。

当社が買えない私道と、売らない方がよい場合

次に当たる場合、当社は金額を出さずにお断りしています。

  • 私道の登記名義人が亡くなっており、相続人が確定していない
  • 私道の通行や掘削について、隣近所との間で訴訟や調停が進行中である
  • 自分の敷地の側で相続人や共有者が確定しておらず、売主が定まっていない
  • 通路の幅が狭く、徒歩でも安全に出入りできる経路が確保されていない

上の4つに共通するのは、誰と何を決めれば通れるようになるのかが決まっていないという点です。ここが未確定のまま出した金額は仮のものにしかならず、契約の直前に下げる原因になります。決めるのは司法書士・弁護士・土地家屋調査士で、当社が代われる部分はありません。

売らない方がよいと考える場合も、そのように申し上げます。私道の所有者が持分を譲る意向を示しているなら、取得してから売るほうが手取りは増えます。沿道の他家も同じ問題を抱えていて共同で承諾の取り直しを進められる状況なら、その結果を待つ価値があります。隣地の所有者が買い足しを検討している場合も、当社より高い評価が付く可能性があります。相談しない方がよい状況をまとめたものは「リアテクスに買取を頼むデメリット」の記事にあります。

当社が買い取れる私道と買えない私道

観点買い取れる状態お断りする状態
私道の所有者確定している亡くなっており相続人が未確定
近隣との関係承諾書が無い訴訟や調停が進行中である
売主側の敷地売主が確定している相続人などが未確定である

「当社が私道の承諾書なしで買う条件と、買えない私道」について、そのまま聞けます。

私道の承諾書がもらえない売却で、先に確定させる3点

  • 書面が無いことと、権利が無いことを分けてください。 袋地なら囲繞地通行権があり、ライフラインについては2023年4月1日施行の設備設置権があります。建築基準法上の道路に指定された私道であれば、通行を妨げられた側に妨害の排除を求める余地が残ります。断られた段階で諦めるのではなく、どの権利が働くかを先に確かめる順番です。
  • 調べる先は役所と水道局と法務局の3か所です。 道路の種別と幅員、給水装置と下水道の経路、私道の地番の所有者。この3つが分かれば、承諾を頼む相手が何人で、何を認めてもらう必要があるのかが確定します。名寄帳で私道持分の登記漏れも同時に点検できます。
  • 交渉に進むか、そのまま売るかは金額で比べられます。 求められた対価の額と、承諾書が無いまま売った場合の提示額の差を並べてください。差より対価が小さければ取りに行く判断になり、大きければ現状のまま売る判断になります。

当社は買主として、承諾書が無い状態のまま買い取ります。そのぶん価格は下がり、私道の所有者や自分側の売主が確定していない物件、係争が進行中の私道はお引き受けできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

私道の承諾書がもらえない売却について、よくある質問

Q1. 私道の所有者が亡くなっていて相続人も分かりません。売却できますか

現状のままでは、承諾書を誰からもらえばよいかが決まりません。相続人を戸籍から追う方法のほか、所在が分からない場合には家庭裁判所や地方裁判所への申立てによって管理人を選任してもらう制度もありますが、申立てには費用と期間がかかります。当社は、私道の所有者が確定していない物件には金額を出していません。 相手が特定できた段階であらためてご相談ください。

Q2. 前の所有者がもらった承諾書は、私が売るときにも使えますか

書面に承継の条項があるかどうかで変わります。「甲およびその承継人に対して」といった記載があれば、次の買主に対しても主張しやすくなります。記載が無く、特定の個人に宛てた書面になっている場合、相手方から「あなたには承諾していない」と言われる余地が残ります。古い書面は捨てずに取っておき、内容を確認したうえで、不足していれば取り直しを検討してください。

Q3. 掘削承諾料を求められました。支払うべきでしょうか

公表された相場はなく、地域や関係性で幅があります。判断の材料は、求められた額と、承諾書が無いまま売った場合の価格差の2つです。差額のほうが大きければ支払う判断が成り立ちます。支払う場合は、金額の領収だけでなく、承諾の範囲と承継の条項を書面に残してください。 口頭の了解は、相手が代替わりした時点で失われます。

Q4. 私道の持分を買い取りたいと申し入れたら断られました。他に手はありますか

分筆して相互に所有し合っている形であれば、必要な部分どうしを交換する方法があります。相手にとっても自分の家の前を通るために交換が必要な場合、話が進みやすくなります。共有の形であれば、共有者全体で管理の取り決めを作り直す方向もあります。自分側の敷地が共有で、身内の同意も取れていない場合は「共有持分の買取業者を選ぶ前に」の記事に、連絡が誰にいつ行くかを書いています。

Q5. 承諾書が無いと、いくらくらい価格が下がりますか

一律の割合はありません。下がり幅を決めるのは、管が私道の下を通っているか、車が敷地まで入れるか、相手が特定できているか、建て替えができる土地かという条件です。周辺で実際に成立した取引の水準は、国土交通省の不動産情報ライブラリで自分でも確認できます。その水準と提示額の差について、何を引いた結果なのかを内訳で説明できる相手かどうかを見てください。

Q6. 承諾書が取れない私道の物件を相続しました。持ち続ける場合の負担は何ですか

固定資産税と都市計画税、火災保険、草刈りや通水などの管理、そして年に何度か通うための交通費です。私道の持分にも課税されている場合があるので、納税通知書で確認してください。承諾の問題は時間が経つほど当事者が増えて難しくなり、相手方でも相続が起きます。相続した物件を持ち続けた場合と売った場合の比較は「再建築不可の家を相続してしまったら」の記事に、費用の項目ごとに並べています。

当社の見方

私道の承諾がもらえないというご相談で、当社が売主さまに求めていないことを書いておきます。書面を取ってきていただくことを、買い取りの条件にはしていません。承諾が出ていない状態をそのまま前提にして値を組み立てます。頭を下げに行く役は当社が引き受けますし、頼みに行かないまま進める形もあります。

かわりにお知らせいただきたいのは、断られている相手が何人いるか、その方が私道のどの部分をお持ちか、そして過去に何と言われたかです。人数と経緯で、当社が取れる手の幅が変わります。その私道が建築基準法上の道路にあたるかどうかは、当社のほうで役所に当たって調べます。何度も頼んで関係がこじれてしまっている場合も、その経緯ごとお話しください。事情を伺ったうえでお引き受けが難しいと判断した場合は、なぜそうなのかも包み隠さず申し添えます。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:建築基準法、民法出典:裁判所
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(6件・に確認)

更新履歴

  1. 第3版当社の再建築不可の買取記録の集計ページへの案内を足しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  2. 第2版冒頭に、当社が買い取れる条件・お断りする条件と当社の買取金額(事例の幅)、会社を確かめられる記事への案内をまとめました。本文内のリンクの本数を保つため、遠方の売却の記事へのリンクを1本外しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  3. 第1版公開

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