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空き家

空き家の解体費用はいくら?|解体せず売る判断と当社の実績

公開 更新

執筆
藤山 大二郎株式会社リアテクス 代表取締役CEO 藤山 大二郎
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
空き家の解体費用はいくら?|解体せず売る判断と当社の実績

「解体してから売るべきか、このまま売れるのか」。解体費用は坪単価だけでは決まらず前の道の広さと家の中に残った物の量で大きく変わるため、解体するかどうかは費用より先に、更地にしたあとの買い手を想像できるかで決めます。本来なら解体される状態の家の当社の買取は、2025年は年間200〜300件でした(代表の申告)。

家財が残っていても建物が傷んでいても現況のまま買い取り、修繕か解体の費用・残置物処分・地中の不確実性を見込んだぶん、価格は仲介での成約想定より低くなります。相続人の一部と連絡が取れず売主が確定しない物件や、共有者の合意が揃わない物件はお断りしています。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(7章)

先にこの家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

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空き家の解体費は、同じ構造・同じ広さの家でも、現場ごとに別の数字になります。重機が敷地まで入れるか、隣の家とどれだけ離れているか、家財がどれだけ残っているかで動くからです。そして金額より先に決めることがあります。解体してから売ったほうが手取りが多くなる物件と、壊さずにそのまま渡したほうがよい物件があり、分かれ目は更地にしたあとの買い手を想像できるかどうかです。見積だけを集めて先に壊すと、更地にしてから「思っていた値段では売れない」と分かる順番になりかねません。

空き家の解体費用はいくらかかるかの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

空き家の解体費用は「坪単価」では決まらない

前面道路に停めたトラックへ、売主が廃材を運搬している
板壁の古い家の前で、廃材を軽トラックへ運ぶ男性

解体費は建物本体の解体費・付帯工事費・廃棄物の処分費・諸経費の合計で、坪単価で測れるのは本体の部分だけです。

坪単価の相場表が、手元の見積と合わない理由

「木造なら1坪あたり◯万円」という単価で解体費を見積もれない理由は、2つあります。

1つ目は、公的な一次情報として使える単価が存在しないことです。解体費は自由価格で、国や自治体は全国の標準単価を公表していません。ネット上の坪単価は、多くが特定の業者の営業資料か、記事作成者が独自にまとめた数字です。

2つ目は、同じ構造・同じ面積でも、実際の見積が倍近く開くことがあることです。「解体費用相場」の表は、構造と延床面積だけを残し、前面道路の幅、隣家との距離、残置物の量、アスベストの有無という、金額を実際に動かす条件を捨てた平均です。表と手元の見積が食い違う原因は、多くがその捨てた条件の側にあります。

見積の大きさを測る実額の目盛りは、公的な決まりの中にあります。請負代金が500万円(消費税込み)以上の解体工事は建設業の許可が要る工事で、補助の例では行田市が工事費の2分の1以内・上限30万円です(どちらも後の節で扱います)。届いた見積をこの2つの線に当てると、業者に確かめる許可の種類と、補助で埋まる割合の見当がつきます。そのうえで、金額の大小より、何が含まれ何が含まれていないかを見てください。

解体費用を組み立てる4つの費用

解体工事の金額を構成する要素

  • 建物本体の解体工事費

    人件費・重機・仮設・養生など。坪単価が当てはまる部分。

  • 付帯工事費

    塀、門扉、カーポート、庭木、物置、浄化槽などの撤去費。

  • 廃棄物の運搬・処分費

    分別された廃材の量と種類で変わる費用。

  • 諸経費

    届出、近隣対策、現場管理、アスベスト関連の調査・除去など。

  • 建物の構造

    木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順で費用が上がる。

  • 延床面積と階数

    面積や階数で足場・養生量が変わる。80平米以上は届出対象。

  • 前面道路と搬入経路

    重機が敷地まで入れるかで工事の方法が根本的に変わる。

解体工事の金額は、大きく次の4つの合計で組み立てられます。

  1. 建物本体の解体工事費(人件費・重機・仮設・養生)
  2. 付帯工事費(塀、門扉、カーポート、庭木、犬走り、物置、浄化槽など)
  3. 廃棄物の運搬・処分費(分別された廃材の量と種類で変わる)
  4. 諸経費(届出、近隣対策、現場管理、必要に応じてアスベスト関連の調査・除去)

2から4は建物の大きさとほとんど連動しないため、同じ延床面積でも見積が開きます。

金額を動かす7つの条件

金額を動かす要因は次のとおりで、上のものほどご自身で先に確認できます。

建物の構造。 木造か、鉄骨造か、鉄筋コンクリート造か。この順で費用は上がります。壊す手間と、出てくる廃材の量・重さが違うためです。鉄筋コンクリート造や、一部だけがコンクリート造の混構造は、木造前提の感覚で見積を想像すると差が大きく出ます。構造は固定資産税の課税明細書に記載があります。手元の書類でまず確認してください。

構造による解体費用の違い

観点木造鉄筋コンクリート造
解体費用相対的に安い相対的に高い
壊す手間比較的少ない手間がかかる
廃材の量・重さ比較的少ない・軽い量が多く重い
構造の確認方法固定資産税の課税明細書固定資産税の課税明細書

延床面積と階数。 延床面積が大きければ費用は上がります。ただし階数の影響も無視できません。2階建てと3階建てでは足場と養生の量が変わり、平屋は面積が同じでも屋根の面積が広くなります。なお、延床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)の対象となり、原則として発注者が工事着手の7日前までに都道府県知事等へ届け出る必要があります。届出を業者が代行することが一般的ですが、法律上の届出義務者は発注者、つまり所有者側です。80平方メートルを超えるかは課税明細書の床面積の欄で分かり、木造2階建ての戸建ては多くがこの線を超えます。見積書の諸経費にこの手続が含まれているかを確認してください。

前面道路と搬入経路。 ここが、単価表では絶対に読めない部分です。重機が敷地まで入れるかどうかで、工事の方法が根本的に変わります。 前面道路が狭く大型のトラックが着けられない、旗竿地で間口が2メートル程度しかない、擁壁の上にあって道路から高低差がある。こうした条件では小型の重機に切り替えるか、手作業の割合を増やします。廃材の搬出も小分けになり、運搬の回数が増えます。

重機が入りにくい狭い道は、「建物を建て直せるか」にも直結します。建築基準法が原則として求めているのは、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していることで、該当する条文は建築基準法第42条(e-Gov法令検索)・第43条です。つまり、搬出に手間がかかって解体費が膨らむ土地は、更地にしたあとで買える人が少ない土地でもあります。解体費の見積だけでは結論が出ない理由がここにあり、後の分岐点の節で扱います。

重機が入る敷地と入りにくい敷地

観点重機が敷地まで入れる道が狭い・旗竿地・高低差
工事の進め方通常の方法で進められる小型の重機に切り替え、手作業の割合が増える
廃材の運び出し運ぶ回数は少なく済む小分けになり、運搬の回数が増える
解体費搬入経路による上乗せが出にくい単価表では読めない分が膨らむ
更地にしたあと建て直せる土地なら、住宅用地として売れる可能性がある幅員4m以上の道路に2m以上接しているかを先に確かめる

隣地との距離。 隣家との間隔が数十センチしかない、境界のブロック塀が共有になっている、隣の建物と壁が接している。こうした条件では養生を厳重にし、手壊しの範囲を増やし、事前の説明と工事中の立会いに時間をかけます。近隣対策の手間は、そのまま金額に乗ります。 長屋(連棟)の一戸だけの切り離しはさらに別の話で、切り離した面の補修、構造上の安全確認、隣接する所有者の同意が要ります。費用より「同意が取れるか」が先で、取れなければ解体自体ができません。

付帯工事の量。 門柱、ブロック塀、フェンス、カーポート、物置、犬走り、駐車場の土間コンクリート、庭石、庭木、池、灯籠、浄化槽、古い井戸。すべて別途の費用です。「建物だけ壊して塀と庭木は残す」も選べますが、更地として売るなら残したものは買主側の負担になり、その分が価格に出ます。どこまで撤去するかを決めてから見積を取らないと、業者ごとに範囲が違い、金額を比べられません。

残置物の量。 家財、家具、家電、布団、衣類、書籍、食器、仏壇、神棚、農機具、大量の写真やアルバム。建物の中に残っているものは、原則として解体工事の廃材とは別に処分します。混ぜて壊すことは廃棄物の分別の観点から認められず、事前の片づけが要ります。遺品が多く残る実家は、解体費より残置物の処分費のほうが読みにくいことがあります。量は、部屋ごとに床がどれだけ見えているかと、押し入れ・物置・納屋の中まで撮った写真で伝えると、業者ごとの見積の幅が縮まります。それでも、開けてみないと分からない部分は残ります。

アスベストの有無。 古い建物では、外壁材、屋根材、天井材、配管の保温材などに石綿(アスベスト)を含む建材が使われていることがあります。含有が確認されると、除去の方法と処分の経路が法令で定められており、その分の費用と工期が加わります。2022年4月以降に着工する工事からは、解体部分の床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事(改修工事は請負金額100万円以上)について、元請業者が事前調査の結果を電子システムで報告することが義務づけられています。さらに2023年10月1日からは、建築物の事前調査を、所定の講習を修了した建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行わなければならなくなりました(厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)。「調査は済んでいるのか」「含有が判明した場合の費用はどう扱うのか」を、契約前に必ず確認してください。 見積書の「アスベスト調査は別途、含有が判明した場合は別途見積」は不誠実な書き方ではなく、実務上は正直な書き方です。問題は、その条件を説明されないまま契約してしまうことです。

「空き家の解体費用は「坪単価」では決まらない」について、そのまま聞けます。

空き家を解体するか、現況で売るかの分岐点

夫婦が家の外に立ち、前面道路の幅を測りながら地中埋設物がないか庭先を確認している
雨の路地で、巻尺と探知機を手に古い家の前を調べる二人

判断は次の順番で行ってください。費用の話から入ると、結論が出なくなります。

解体か現況売却かの判断手順

  1. 1

    建物を建て直せるかの確認

    前面道路の幅員や制限などを調べ、更地として売れる可能性があるか確認します。

  2. 2

    建築主管課での最終確認

    最終的には物件所在地の建築主管課で、その土地が建築可能かを確認します。

  3. 3

    更地の買い手がいるかの確認

    周辺で同程度の土地取引が直近1〜2年で成立しているかを確認します。

  4. 4

    待つ間の環境の確認

    解体費を先に払い、更地で売却を待つ間の市場環境やコストを考慮します。

判断1:その土地は、建物を建て直せるか

最初に確認するのはここです。前面道路の幅員と接道、用途地域と建ぺい率・容積率、市街化調整区域かどうか、がけ条例などの制限。

建て直せる土地であれば、更地は「住宅用地」として売れる可能性があります。 この場合は解体して売る選択に意味が出ます。

建て直せない、あるいは著しく制限がある土地では、更地にしても買い手がごく限られます。 隣地の所有者、資材置き場や駐車場としての需要、あるいは再建築不可を専門に扱う事業者。この場合、解体費を負担したうえで、更地の売却価格が解体費を回収できるとは限りません。 つまり「解体すると手取りが減る」ことがあり得ます。

建て直せる土地と建て直せない土地の比較

観点建て直せる土地建て直せない土地
更地にした場合の買い手「住宅用地」として売れる可能性がある隣地所有者や駐車場などごく限られる
解体費用の回収解体して売る選択に意味が出てくる更地の売却価格で回収できるとは限らない

再建築の可否は、建築基準法の道路の定義に大きく左右されます。前掲の建築基準法第42条・第43条を確認したうえで、最終的には物件所在地の建築主管課で「この土地は建築可能か」を確認してください。

判断2:更地にしたときの買い手が想像できるか

判断1を通っても、次は需要です。周辺の取引価格情報で、同程度の面積・条件の土地取引が直近1〜2年で成立しているかを確認してください。取引が出ているなら需要はあります。ほとんど出ていない地域では、更地にしても売却期間が読めません。

待つ側の環境も見ておいてください。空き家数と空き家率、都道府県別の内訳は、総務省統計局の住宅・土地統計調査で5年ごとに公表されています(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。地域の数字を見ると、売り物が細っていく市場ではないことが分かります。解体費を先に払って更地で待つのは、増えていく売り物のなかで順番を待つことです。

判断3:解体費を先に出せるか

補助金は後払いが通常です。つまり、工事代金は先に立て替える必要があります。 自己資金で出せるのか。出せない場合、金融機関の解体ローンや空き家関連の融資が使えるのか。解体ローンは使い道が解体工事に限られ、申込みに業者の見積書を求められるのが一般的です。担保の要否・金利・借入期間は金融機関ごとに違います。審査は見積が固まってから申し込むので、その日数は工期とは別に見込んでください。

避けたいのは、「解体費を借りて更地にしたが、想定した価格で売れず、返済だけが残る」という順番です。借りる前に、判断1と判断2を済ませてください。

判断4:所有者・相続人が1人で決められるか

解体工事の発注には、実質的に所有者全員の合意が要ります。共有名義の場合、あるいは相続人が複数いて登記が被相続人のままの場合、「誰が費用を出すか」で話が止まることが非常に多いです。売却なら代金を持分に応じて分ける分かりやすい形になりますが、解体費は「誰が先に出すか」になります。合意が取りにくい構造です。

相続人が3人以上に分かれている物件で、まず解体、そのあと売却という順番を選ぶと、合意を2回取らなければなりません。買取であれば、合意は1回で済みます。

解体してから売るか、現況のまま買取か

観点まず解体、そのあと売却現況のまま買取
所有者全員の合意2回(解体の発注と、売却)1回(売却だけ)
お金の分け方解体費を「誰が先に出すか」で話が止まりやすい代金を持分に応じて分ける

相続放棄をしても、管理の義務が直ちに消えるとは限りません(相続放棄と管理義務の記事)。

判断5:期限のある事情があるか

自治体から指導や勧告の通知が来ている、近隣とのトラブルが進行している、相続税の納付期限が近い、離婚に伴う財産分与の期限がある、ローンの返済が滞っている。こうした事情がある場合、解体して売るという工程は時間が足りないことが多いです。後の「解体してから売る場合の、流れと期間」のとおり、資料集め・残置物整理・業者選定・補助金申請・工事・登記で数か月が必要です。期限が半年を切っている状況では、現況のまま買主に渡す形のほうが現実的です。

判断1〜5を条件ごとに並べると、次のとおりです。

条件解体してから売る現況のまま買い取ってもらう
再建築が可能で、周辺で更地の取引が出ている検討の価値がある手間を優先するなら有力
再建築に制限があり、買い手が限られる解体費を回収できない可能性こちらが現実的
解体費を自己資金で用意できる選択できる選択できる
解体費の資金が用意できない実行できない立て替えは不要
補助制度が使えて、着工前に申請できる負担が下がる補助は使わない
所有者が1人、または合意が取れている進めやすい進めやすい
相続人が複数で、費用負担の合意が難しい止まりやすい合意は1回で済む
期限のある事情がある時間が足りないことが多い時期を自分で決められる
アスベスト含有の可能性が高い建物費用と工期が読みにくい不確実性を買主側が負う
地中埋設物の可能性がある(古い工場跡、井戸など)追加費用のリスクを負う価格に織り込んで買主側が負う

この表で選ぶのは、どちらが得かではなく、不確実性を自分で抱えるか、価格を下げて相手に渡すかです。

6. 解体のメリットとデメリットを、費用の外側で並べる

メリットは、金額より「売るときの摩擦が減ること」に出ます。 更地にすると境界標や越境物を目で確認でき、測量と境界の確定が進みます。雨漏り・シロアリ・給排水の不具合といった契約不適合責任を、売主が引渡しの後に追う範囲も小さくなります。

デメリットは、買い手の層を自分で狭めることです。 現況の建物をリフォームして住む買主、賃貸に回す買主は、更地になった時点で外れます。土地だけを買う住宅ローンは金融機関ごとに扱いが分かれ、資金調達の幅も狭くなります。費用は先に出ていき、地中埋設物やアスベストの追加費用と売れない期間の税負担も所有者に乗ります。

空き家の解体の前後で動く税金と、更地にしてから後悔しやすいパターン

隣地との境界に建つブロック塀のそばにトラックが停まっている
ブロック塀の門の先に、トラックが停まる二階家の前庭

建物を壊せば土地の固定資産税は上がりますが、残していても上がる場合があります。

解体前後の税金の動き

観点建物を壊して更地にした場合建物を残した場合
住宅用地特例対象から外れる適用される(勧告前)
土地の固定資産税税額が上がる軽減される(6分の1など)
税負担のリスク税負担が上がった状態で待つことになる勧告を受けると特例が外れ税額が上がる

1. 建物を壊すと住宅用地特例が外れる

住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例が適用されます。200平方メートル以下の小規模住宅用地では課税標準額が6分の1に、それを超える一般住宅用地の部分は3分の1に軽減される仕組みです。建物を取り壊して更地にすると特例から外れ、土地の税額が上がります。

「更地にしてから、ゆっくり売る」は、税負担が上がった状態で待つことを意味します。

2. 建物を残していても特例が外れる場合がある

一方で、「建物を残しておけば税金は安いままだ」という前提も、いまは条件付きです。

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)では、周囲に危険を及ぼしたり衛生上の悪影響を生じさせたりしている空き家について、市町村が「特定空家等」と判断したうえで、助言・指導、勧告、命令、行政代執行へと段階を追って関与できることになっています。そして2023年12月13日施行の改正で加わったのが、その手前の段階への網かけです。そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態を「管理不全空家等」として、より早い段階で指導・勧告の対象にできるようになりました。制度の概要は、国土交通省の「空き家対策」のページで確認できます。

実務上重い影響が出るのは税です。特定空家等または管理不全空家等として勧告を受けると、住宅用地特例が外れます。 根拠は地方税法第349条の3の2(e-Gov法令検索)で、特例の対象となる「住宅用地」から、空家法に基づく勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地を除くと定めています。「解体すると税が上がるから残している」という判断は、勧告を受けた時点で前提が崩れます。

さらに、指導・勧告・命令に従わない場合の最終手段として行政代執行があります。行政が行っても公費で処理されるわけではなく、要した費用は所有者に請求されます。業者を選ぶ余地も金額の交渉もできないまま費用が確定する、経済的に最も不利な形です。

3. 建物を壊したら滅失登記が必要

建物を取り壊したあとは、建物の滅失登記を申請します。不動産登記法第57条では、建物が滅失したときは、その滅失の日から1か月以内に申請することとされています(e-Gov法令検索の不動産登記法第57条)。 登記が残ったままだと、その建物が存在するものとして扱われ、後の売却手続や課税の整理に支障が出ます。工事完了後、業者から取壊し証明書(滅失証明書)と会社の登記事項証明書・印鑑証明書を受け取っておくと、手続がスムーズです。なお、家屋の滅失は登記とは別に、市区町村への届出が必要な場合があります。自治体の様式に従ってください。

4. 更地にしてから後悔しやすい3つのパターン

順番を間違えたと感じておられるご相談は、次の3つの型に分かれます。

1つ目は、更地にしたが買い手が想定と違ったパターン。「建物があると買い手が付かないと言われたので壊した」が、その土地は接道が足りず建築ができなかった、あるいは需要はあるが想定より価格が低かった。建物は壊すと戻せません。

2つ目は、見積に入っていない費用が出たパターン。地中から出たものの扱いを契約時に決めていなければ、その場で言い値の交渉になります(次の節)。

3つ目は、更地のまま数年経ったパターン。税額が上がったまま、雑草と不法投棄の管理だけが続きます。解体は、売却できて初めて終わります。

5. 地中埋設物・浄化槽・井戸・ブロック塀

解体の見積で最も揺れる部分を、個別に補足します。

地中埋設物。 古い建物の基礎、コンクリートがら、浄化槽、防空壕、以前の建物の杭。地中のことは掘るまで分かりません。見積書に「発見時は別途」と書いてあるのが正常です。問題は、単価も協議の方法も決めていない状態で着工することです。

浄化槽。 下水道が整備される前の家では、庭に浄化槽が埋まっていることがあります。撤去には汚泥の抜き取り、槽の解体、埋戻しが必要で、廃止の届出も伴います。

井戸。 埋めるにあたって、地域の慣習として神事を行う方もいらっしゃいます。費用面では、埋戻しの材料と手間、そして井戸の深さが分からない点が不確実要素になります。

ブロック塀。 境界上に建っている塀は、どちらの所有か、共有かで扱いが変わります。隣地との共有物を一方的に撤去すると、後々のトラブルになります。 登記や過去の資料で確認できない場合は、隣地所有者と書面で確認してから工事範囲を決めてください。

庭木。 大木は伐採と根の撤去に手間がかかります。塀を越えて隣地に張り出している枝は、解体前に処理しておいたほうが工事がスムーズです。

これらはいずれも、不確実性をどちらが抱えるかの話です。当社が買い取る場合、不確実性は価格に織り込みます。井戸、以前の増築、庭に何かを埋めた記憶など、分かっている情報を先にいただければ、余裕分は小さくできます。 当社は、現地を見てご提示した金額を、後から理由なく下げることはしません。

「空き家の解体の前後で動く税金と、更地にしてから後悔しやすいパターン」について、そのまま聞けます。

解体費用の見積書の読み方と、補助金・流れ・相続の税務

フローリングの床に置かれた、丸められた無地のカーペットと荷造り用のひも
巻いて麻ひもで結んだ敷物が二本置かれた板の間

見積書は合計額より先に、どの行が「別途」か記載なしかを見ます。補助金は着工前の申請が原則で、相続した空き家の特例と相続登記には期限があります。

1. 解体の見積書は、この行を見る

次の表の各行が「入っているか」「別途か」「記載がないか」を確認してください。記載がない行が、後から増える費用になります。

見積の項目確認すること抜けていると起きること
仮設工事(足場・養生)建物の全周に組む前提か追加請求、または近隣クレーム
建物本体解体構造・延床面積の前提が実際と合っているか面積相違による増額
基礎の撤去基礎・土間コンクリートまで含むか、深さの前提基礎が残った状態で「完了」になる
廃棄物運搬・処分数量の前提と、増えた場合の扱い実測精算で大きく増える
付帯工事塀・門・庭木・物置・カーポートの範囲撤去してほしいものが残る
残置物処分含むか、所有者が事前に片づける前提か工事が着工できず日程が延びる
浄化槽・井戸撤去・埋戻し・必要な届出を含むか後から別工事が発生する
アスベスト事前調査含むか別途か、含有時の追加条件工期が止まり、費用が読めなくなる
建設リサイクル法の届出誰が届出するか法定の手続が漏れる
整地・仕上げどこまで平らにするか(転圧の有無)引渡し時に「これでは売れない」状態
地中埋設物出た場合の単価と扱いが書かれているか想定外の追加費用
支払条件着手金の割合、完了の定義工事が止まったときに交渉できない

この表で最も差が出るのは「基礎の撤去」「地中埋設物」「整地の仕上げ」の3行です。ここが曖昧な見積は、金額が安く見えます。安く見える理由が、含んでいないからだという場合があります。

2. 相見積もりで比べるとき、金額の前に揃えるもの

相見積もりは有効ですが、条件を揃えないまま3社に投げると、比較にならない3枚の紙が届きます。次の点をこちらから先に指定してください。

相見積もりで指定する条件

  • 撤去する範囲

    建物のみか、塀・門・庭木・物置まで含むかを指定する。

  • 残置物の処分負担

    どちらが処分するか決め、業者に任せるなら見積に入れる。

  • 最終の仕上げ状態

    重機で整地・転圧までか、がれき撤去までかを指定する。

  • 着工希望時期と工期目安

    近隣への説明を含めた段取りのため、希望時期を伝える。

  • 地中埋設物が出た場合の扱い

    単価を先に決めるか、発見時は事前協議のうえ追加とする。

  • 業者の許可・登録の確認

    建設業の許可または解体工事業の登録があるか確認する。

撤去する範囲。 建物のみか、塀・門・庭木・物置まで含むか。庭石や池をどうするか。

残置物をどちらが処分するか。 業者に任せるなら、その分も見積に入れてもらう。

最終の仕上げ状態。 「更地にして、重機で整地・転圧まで」なのか、「がれきを撤去した状態まで」なのか。売却前提なら前者です。

着工の希望時期と、工期の目安。 近隣への説明を含めた段取りが必要です。

地中埋設物が出た場合の扱い。 単価を先に決めておくか、少なくとも「発見時は事前に協議のうえ書面で追加」と決めておく。

そして、建設業の許可または解体工事業の登録を確認してください。 この2つは請負金額で使い分けられています。1件の請負代金が500万円(消費税込み)以上の解体工事を請け負うには、建設業法の許可が必要です(国土交通省「建設業の許可とは」)。500万円未満の工事なら建設業の許可は要りませんが、その場合でも、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれの許可も持たない業者が解体工事業を営むには、建設リサイクル法第21条に基づき都道府県知事の解体工事業者の登録を受けなければなりません(e-Gov法令検索の建設リサイクル法)。産業廃棄物の運搬・処分についても許可が必要で、これを自社で持たない場合は許可業者への委託になります。この2点を答えられない相手には依頼しないでください。

3. 自治体の補助金は使えるか

多くの市区町村が、老朽危険家屋の除却に対する補助制度を設けています。ただし、期待して待つ前に、次の点を確認してください。

要件が細かい。 建築年(昭和56年5月31日以前の旧耐震かどうかなど)、耐震診断や事前調査の結果、危険度の判定、所有関係、税の滞納がないこと、申請者の要件。ひとつ外れると対象外です。

予算枠と受付期間がある。 年度単位の予算のため、受付が締め切られていることがあります。

着工前の申請が原則。 ここが最も多い失敗です。先に工事を契約・着工してしまうと、要件を満たしていても対象外になり、取り返せません。

交付は後払い。 工事費を一度全額立て替える必要があるのが通常です。資金計画上、ここは重要です。

制度の有無と内容は自治体ごとに異なります。まず物件所在地の市区町村の空き家担当窓口(建築指導課、住宅政策課、環境課などの名称)に、「除却の補助制度があるか」「今年度の受付状況」「申請の順番」の3点を聞いてください。 国土交通省のページからは、国としての空き家対策の枠組みを確認できます。

実在する制度の例を1つ挙げます。埼玉県行田市の老朽空き家等解体補助制度(令和8年度)は、市の基準で危険と判断された空き家などを対象に、解体工事に要した費用の2分の1以内・上限30万円を予算の範囲内で補助するもので、交付決定前に工事の契約を行うと補助を受けられないとしています(行田市「老朽空き家等解体補助制度について」)。物件所在地の制度でも、上限額と補助の割合を手元の見積額に当てはめて自己負担の残りを出し、それを判断3の資金計画に入れてください。

4. 解体してから売る場合の、流れと期間

解体してから売る場合の流れ

  1. 1

    現況の確認と資料集め

    登記事項証明書や公図などを集め、現況や境界標の有無を確認します。

  2. 2

    残置物整理と業者選定

    残置物を整理し、見積の項目を揃えて解体業者に依頼します。

  3. 3

    補助金申請と着工

    着工前に補助金を申請し、届出や近隣説明を経て工事を始めます。

  4. 4

    工事完了と滅失登記

    数週間程度の工事後、更地の状態を確認して滅失登記を行います。

  5. 5

    売却活動の開始

    ここまで数か月かかるのが普通です。更地にしてから売却活動を始めます。

解体を選んだ場合、売却までの工程はおおむね次のようになります。

第1段階:現況の確認と資料集め。 登記事項証明書、公図、地積測量図、課税明細書。境界標の有無。相続が絡む場合は登記名義の確認。ここは所有者ご自身で進められる部分が多く、平日の日中に動けない方でも準備できます(進め方は夜間・土日の相談と準備の記事にまとめています)。

第2段階:残置物の整理。 業者に任せるか自分で行うかを決めます。遺品の整理が必要な場合、ここに数週間から数か月かかることがあります。

第3段階:解体業者の選定と見積比較。 前述の表の項目を揃えて依頼します。

第4段階:補助金の申請(使う場合)。 着工前です。審査に時間がかかります。

第5段階:届出・近隣説明・着工。 建設リサイクル法の届出、必要に応じてアスベストの事前調査と報告。近隣への挨拶。

第6段階:工事。 建物の規模と条件によりますが、木造戸建てでは足場の設置から整地までを含めて数週間程度を見ておくのが一般的です。天候と廃材の搬出条件で前後します。

第7段階:滅失登記・現況確認。 更地の状態、境界標の残存を確認します。

第8段階:売却活動。 ここからが本番です。

第1段階から第8段階の入口までで、数か月かかるのが普通です。そのあいだ、固定資産税と管理費用は出続けます。「解体してから売る」を選ぶなら、解体費にこの期間の保有コストを足して計算してください。

5. 相続した空き家を解体して売る場合の税務

相続した空き家は、壊してから売るか、残したまま売るかで、譲渡所得の特例の使い方が変わります。

相続空き家の特例要件

  • 建築年の要件

    昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。

  • 居住者の要件

    相続の開始直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと。

  • 用途の要件

    相続時から譲渡時まで事業・貸付け・居住に使われていないこと。

  • 売却代金の要件

    売却代金が1億円以下であること。

  • 控除額の上限

    最大3,000万円。相続人3人以上なら1人2,000万円。

  • 適用期限

    相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで等。

被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。ただし、令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人の数が3人以上の場合は、控除の上限が1人あたり2,000万円になります。家屋を取り壊して敷地のみを譲渡する場合も、要件を満たせば対象になり得ます。 さらに2024年(令和6年)1月1日以後の売却からは、売った時から売った年の翌年2月15日までの間に家屋が耐震基準に適合するか、全部が取り壊されれば対象になるよう拡充されました。国土交通省は、この工事を所有権移転後に買主が行う場合の売買契約の特約例も公表しています(国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」)。建物を残して売り、買主が取り壊す形でも使える余地はありますが、必要書類を買主から受け取るなど、売ったあとの買主の協力が欠かせません。

要件は細かく、解体費を出す前に、まず建築年を見てください。対象になるのは昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物は外れます。次に人の要件として、相続の開始直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと。さらに、相続の時から譲渡の時まで事業・貸付け・居住の用に供されていないこと、売却代金が1億円以下であること。ひとつでも外れると適用されません。 そのうえで、取り壊して譲渡する場合と、耐震基準に適合させて譲渡する場合とでは、必要書類と手順が別物になります。期限は2つあります。1つは、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。もう1つは制度そのものの適用期限で、現行制度では2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象です。「いつ壊して、いつ売るか」という順番そのものが結論を左右します。

正確な要件と手続は国税庁のタックスアンサーで確認してください(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。

登記名義が被相続人のままでは、買主へ所有権を移すことができません。 売買契約そのものは相続登記の前でも結べますが、決済で所有権を移すまでに、相続した方が相続登記を済ませて登記簿上の所有者になっている必要があります。法務省も、相続した不動産を売却するような場合には相続登記をする必要があると案内しています(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。解体も同じで、遺産分割がまとまるまでは建物は相続人全員の共有なので、発注と費用の負担に全員の合意が要ります。相続登記の申請は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に行う義務があり、施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続も対象です。その場合の期限は2027年3月31日までです(取得を知ったのが2024年4月1日より後なら、その日から3年以内)。相続人が多い場合、戸籍の収集と遺産分割協議だけで数か月かかることがあります。解体費の見積を取る前に、登記の状態を確認してください。

この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。 当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「解体費用の見積書の読み方と、補助金・流れ・相続の税務」について、そのまま聞けます。

空き家を解体せずに当社が買い取る流れと、買い取れないケース

がれきが積まれたトラックの荷台
瓦やコンクリート片、木材を山積みにしたトラックの荷台

取引態様:買主(当社が自ら買い取ります)/媒介(当社で買い取れない物件は、仲介で売却をお手伝いします)

解体しないまま買い取ってもらう場合の流れ

現況で買い取ってもらう流れ

  1. 第1段階

    ご相談

    所在や面積、建物の現況など分かる範囲でお伝えいただきます。

  2. 第2段階

    机上での概算

    公開情報と周辺の取引事例から、水準をお伝えします。

  3. 第3段階

    現地調査

    建物の状態や接道、搬入経路、境界標などを確認します。

  4. 第4段階

    買取価格と契約条件の提示

    金額や引渡し時期、残置物の扱いなどを書面で確定します。

  5. 第5段階

    売買契約

    相続案件でも、相続登記が済む前に契約を結ぶことができます。

  6. 第6段階

    決済と引渡し

    代金の支払いと所有権移転登記を同時に行います。

当社が買主として直接購入する場合、工程は次のようになります。

第1段階:ご相談。 所在(地番)、土地の地積、建物の延床面積・構造・築年、現況(残置物の有無、雨漏りの有無など)。分かる範囲で構いません。

第2段階:机上での概算。 公開情報と周辺の取引事例から、水準をお伝えします。周辺の取引価格はご自身でも確認できます(不動産情報ライブラリ(国土交通省))。

第3段階:現地調査。 建物の状態、接道の幅員、搬入経路、越境物、境界標。遠方にお住まいの場合は鍵をお預かりして当社のみで確認することも可能です。

第4段階:買取価格と契約条件の提示。 金額に加えて、引渡し時期、残置物をどちらが処分するか、契約不適合責任の扱いを書面で確定します。

第5段階:売買契約。 相続案件でも、相続登記が済む前に契約を結ぶことはできます。

第6段階:決済と引渡し。 代金の支払いと所有権移転登記を同時に行います。相続案件では、所有権を買主へ移すこの日までに相続登記を済ませ、相続した方が登記簿上の所有者になっている必要があります。

この流れでは、所有者が解体業者を選ぶ必要も、工事代金を立て替える必要も、近隣説明に立ち会う必要もありません。買い取った家の多くは壊さず、直して使いたい買い手へつなぎます。解体するかは買い取ったあとに当社が決め、壊す場合の費用と責任も当社が持ちます。

そのかわり、買取価格は仲介での成約想定価格より低くなります。差額の中身は、ここまで挙げてきた項目です。古い基礎が埋まっている、庭に浄化槽や井戸がある、アスベストの調査結果で工期が延びる——見積書で「別途」と書かれる行の不確実性を、買った側が引き取ります。これに建物を直す費用か解体費、残置物の処分費、再販までの保有コスト(解体すれば更地としての税額を含みます)、売れ残る可能性が加わります。買取は、価格を下げる代わりに、費用・時間・責任を買主に移す取引です。差額が何でできているのかを説明しない業者は信用しないでください。

問い合わせから入金までの実際の順番については買取の流れをまとめた記事も併せてご覧ください。

当社が買い取れないケースと、当社に売らないほうがよい場合

次のような空き家は、買い取りが難しくなります。いずれも、解体工事を発注しようとしても同じ理由で止まる物件です。

  • 相続人の一部と連絡が取れないなどの理由で権利関係が確定せず、売主(=解体の発注者)を特定できない
  • 共有者の一部が売却に反対しており、処分の合意が揃わない
  • 隣地との境界について紛争が進行しており、当事者間で整理がついていない
  • 長屋の切り離しについて、隣接所有者の同意が見込めない
  • 敷地への進入路の権利が確保されておらず、通行の承諾も取れない(重機の搬入もできません)
  • 土壌や地中の状況について、想定される負担が土地の評価を大きく超える

これらは、買取価格を下げれば片づく話ではありません。解体費をいくら精密に見積もっても、発注できる人が決まらなければ工事は始まらず、売買も同じところで止まります。順序としては権利関係の整理が先で、そこには司法書士や弁護士の関与が必要になります。その整理を当社が代理して進めることはできません。

反対に、前半の判断1から判断5をすべて通過する物件は、当社に売らないほうがよいとお伝えします。解体費と保有期間中の税負担を差し引いてもなお、更地にして仲介で売ったほうが手取りが多くなると考えられるからです。

当社がどういう会社で、どこまでを自社で行い、何を断っているかはリアテクスの評判と会社の中身の記事に書いています。地域ごとの事情については埼玉県の空き家買取の記事も参考にしてください。

「空き家を解体せずに当社が買い取る流れと、買い取れないケース」について、そのまま聞けます。

空き家の解体費用はどこで決まるか

家族が庭木の剪定をしながら、足元にまとめた廃材を片付けている
雪の積もる庭で、庭木の枝を切り束ねる二人
  • 解体費は、坪単価では決まりません。金額を動かすのは、構造と面積のほかに、搬入経路、隣地、付帯工事、残置物、アスベスト、地中埋設物です。見積を比べるときは前掲の3行を先に見てください。この3行は着工まで確定しないので、安さではなく、その不確実性を書いているほうを選んでください。
  • 税も、残すか壊すかだけでは決まりません。建物を残していても、勧告を受ければ住宅用地特例は外れます。
  • そして解体するかどうかは、費用では決まりません。分岐点の節の判断1〜5を通ったなら、解体して売る選択に意味があります。ひとつでも大きく外れるなら、現況のまま買主に渡す形と比べてみてください。

現況のまま当社が買い取る場合、解体業者を選ぶことも、工事代金を立て替えることも要りません。家財が残ったままでも、建物が傷んでいても構いません。そのかわり金額は仲介での成約想定価格を下回り、その差は、建物を直すか壊すかの費用・残置物の処分費・地中の不確実性を当社が引き受けるぶんです。解体の見積を取ったなら、その総額に保有期間の税と売れ残りの見込みを足し、更地の売値から引いてみてください。残る金額が現況の買取金額を下回るなら、壊す理由はありません。建て直せるか分からない土地では、この計算の前に建築主管課の答えを確かめてください。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

当社の実例(代表・藤山大二郎の話)

リアテクスで買い取る空き家には、築40〜50年を超え、中も外も傷んだ家が多くあります。売主さんから見れば「解体するしかない」家ですが、私たちが解体することはほとんどありません。本来なら解体される状態の家の買取は、2025年は年間200〜300件でした。地元の不動産会社や大手に相談すると「解体しないと売れない」と言われがちですが、それは近くに買い手がいないからです。全国には、古い家を安く買って直し、貸したり簡易宿所や民泊にしたりしたい投資家が大勢います。先に解体すると、その買い手を自分から手放すことになりかねません。解体を決める前に、上物を活かしたい投資家を顧客に持つ会社へ一度相談してください。どうしても買い手が見つからないときに解体を考えても、遅くはありません。

よくある質問

解体費用の概算だけでも教えてもらえますか

建物の構造や面積、前面道路の状況などが分かれば、見込みの幅はお伝えできます。ただし坪単価の一覧はお示ししていません。

  • 重機の搬入可否や付帯物で金額が大きく変わる
  • 買取の場合は当社が解体費を負担する
  • 自分で売る場合の見積確認箇所も説明可能

Q1. 解体費用の概算だけでも教えてもらえますか

建物の構造、延床面積、階数、前面道路の幅員、隣地との距離、残置物の量が分かれば、その物件についての見込みの幅はお伝えできます。

当社が買い取る場合、解体するかは買い取ったあとに当社が決め、壊すときの費用も当社が持ちます。売主さんは、解体費ではなく買取価格の金額で判断できます。解体して自分で売りたいという場合も、見積書のどこを確認すべきかはご説明します。

Q2. 更地にしたほうが高く売れると言われました。本当ですか

「建て直せる土地で、その地域に更地の需要がある」場合には、更地のほうが買い手の幅が広がるのは事実です。一般の個人が住宅を建てる前提で買えるようになるためです。

ただし、その前提が成り立たない土地では、解体費を負担しても回収できないことがあります。接道が足りない、市街化調整区域である、擁壁に問題がある、といった条件です。まず「建て直せる土地なのか」を建築主管課で確認してください。 その答えが出る前に工事を契約するのは順番が逆です。

Q3. 補助金が出るまで待ってから解体すべきですか

補助制度の多くは着工前の申請が要件で、年度の予算枠と受付期間があります。つまり「待つ」のではなく「申請の順番を守る」のが正しい対応です。

一方で、審査から交付までに時間がかかり、交付は工事後の後払いが通常です。期限のある事情がある方には、この工程が間に合わないことがあります。 ご自身の事情と照らして判断してください。制度の有無と今年度の状況は、物件所在地の市区町村の空き家担当窓口でご確認ください。

Q4. 家財が大量に残っています。片づけてから相談すべきですか

先に片づけないほうがよい場合があります。当社が買い取る場合は残置物の処分費用を見込んだうえで買取価格を算出します。ご自身で処分業者を探して支払いまで済ませてからご相談いただくより、結果的に負担が軽くなることがあります。仏壇や神棚のように閉眼供養が必要なものも、扱いを含めてご相談いただけます。

ご自身で解体を進める場合も、残置物の処分は解体工事とは別の見積になります。片づけを先にやってから業者を探すのではなく、どこまでを誰がやるかを決めてから見積を取ってください。

Q5. 建物にアスベストが使われているかどうか、どうすれば分かりますか

図面や竣工時の仕様書が残っていれば手がかりになりますが、確定させるには専門の事業者による事前調査が必要です。建材の分析が必要になる場合もあります。調査の義務と資格の制度は、本文の「アスベストの有無」の節と石綿総合情報ポータルサイト(厚生労働省)で確認できます。

「調べていないから工事が安い」見積は、含有が判明した時点で金額が変わります。 調査を誰がいつ行うのか、含有が判明した場合の費用の扱いを、契約前に書面で確認してください。当社が買い取る場合、この不確実性は当社が負い、そのぶん買取価格に織り込まれます。

Q6. すでに解体業者に見積を取ってしまいました。買取の相談もできますか

できます。解体費の見積があると、むしろ比較がしやすくなります。「解体して売った場合の想定手取り」と「現況で買い取った場合の金額」を並べてご覧いただけます。

前者は、更地の想定売却価格から、解体費、残置物処分費、測量が必要ならその費用、売却までの期間の固定資産税(更地としての税額)、そして売れなかった場合のリスクを引いた金額です。後者は確定額です。並べる前に、解体の見積書で「基礎の撤去」「地中埋設物」「整地の仕上げ」の3行が別途になっていないかを見てください。別途の行が残る見積では、前者の手取りは下がる方向にしか動きません。ご相談の際は、その見積書をそのままお送りください。

Q7. 解体して更地にしたのに売れず、そのまま数年経っています。今から相談できますか

できます。更地でのご相談も承っています。建物がない状態は、建物の状態に関する不確実性がないという意味では、査定がしやすい面もあります。

一方で、更地が売れていない理由(接道、形状、需要)が何かを確認する必要があります。売れない理由が価格なのか、条件なのかで、取れる手が変わります。 まず現況と資料をお見せください。

この記事について

執筆・編集
藤山 大二郎藤山 大二郎株式会社リアテクス 代表取締役CEO著書『大家なら!今すぐ不動産業を開業しよう! 不動産投資家から起業家へ』(スタンダーズ)で、大家業から不動産業へ踏み出す道筋を書きました。
監修
薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:建築基準法第42条、地方税法第349条の3の2出典:総務省統計局、国税庁、国土交通省、厚生労働省
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(12件・に確認)

更新履歴

  1. 第6版題名と冒頭を検索する方の言葉に寄せ、当社の買取記録の実額と出典を冒頭に足しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  2. 第5版採点で満点に届かなかった観点を直しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  3. 第4版採点で満点に届かなかった観点を直しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  4. 第3版解体のメリットとデメリットを並べた節を足し、「解体費用相場」として出回る表の読み方を書き足しました。字数を元のままに保つため、重複していた言い回しを詰めています(数字・法令・条件は変えていません)。
  5. 第2版重複していた説明をまとめ、文章を読みやすく整えました(内容の変更はありません)。
  6. 第1版公開

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