本文へスキップ
空き家のゆくえ買取くん

空き家

実家の売却は何から始める?名義・税金・3年の期限

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
実家の売却は何から始める?名義・税金・3年の期限

「実家を売却する前に、まず何をすればいいのかが分からない」。登記簿で名義を確かめ、相続登記と空き家の3,000万円控除の期限を日付で書き出してから、仲介か買取かを手取りで比べます。

当社は相続登記が済む日から逆算して決済日を組み、代金は引き渡しの日にお支払いします。駅に近く建て替えのできる土地で建物も住める実家は、仲介の方が手取りが多くなります。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

相続した実家の売却、名義が親のままでもご相談できます

約1分で簡単査定を申し込む

この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

相続した実家の売却は、片付けや査定の依頼より先に、法務局で登記簿を取って名義を確かめるところから始まります。名義が亡くなった親のままなら、売る前に相続登記が要り、その登記には期限があります。相続した空き家の税の控除にも別の期限が走っているため、二つの日付をカレンダーに書き出してから、仲介で売るか買取で売るかを比べる順番になります。

実家の売却は何から始める?名義・税金・3年の期限の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

実家の売却は何から始める?名義と相続登記の期限3年

最初にするのは、登記簿で実家の名義が誰になっているかを確かめ、相続登記の期限を自分の日付で出すことです。

親が亡くなって数か月がたち、葬儀と役所の届け出が一段落して、誰も住んでいない実家の鍵だけが手元に残っている。売るなら何からと考え始めるのは、たいていこの頃です。この段階で業者に電話をしても、名義が整っていなければ契約の日は置けません。手元の書類で分かることを先に片付けておくと、あとの段取りが一度で決まります。

名義が亡くなった親のままか(相続登記と共有の有無)

登記事項証明書は、法務局の窓口かオンラインの請求で、土地と建物の両方を取ります。甲区の所有者の欄に親の名前が残っていれば、相続登記はまだ済んでいません。固定資産税の納税通知書が届いていても、登記が済んだことにはなりません。市町村は相続人の代表者あてに通知を送るので、名義が親のままでも通知は届きます。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請することになりました(不動産登記法第76条の2第1項、法務省「相続登記の申請義務化について」)。2024年4月1日より前に始まった相続も対象で、その場合の期限は、施行日と取得を知った日の遅い方から3年です。施行日より前から相続を知っていた方なら、期限は2027年3月31日です。親が2024年6月10日に亡くなり、その日に知った方なら、期限は2027年6月10日になります。

期限とは別に、遺産分割が終わるまでの実家は、相続人全員の共有です(民法第898条)。兄弟が2人いれば、話し合いがまとまるまでは2人の共有で、どちらか1人の判断では売れません。誰の名義にするか、売ったお金をどう分けるかの決め方は、「実家を兄弟で相続したときの売却の分かれ目」の章で順に追います。

登記事項証明書で確認する項目

  • 登記の取得方法

    法務局の窓口かオンラインで土地と建物の両方を取る

  • 名義の確認箇所

    甲区の所有者欄に親の名前が残っていれば登記は未了

  • 納税通知書の注意点

    通知が届いていても相続登記が済んだことにはならない

  • 相続登記の期限

    相続で不動産を取得したと知った日から3年以内

  • 遺産分割前の状態

    話し合いがまとまるまでは相続人全員の共有になる

建物の状態(雨漏り・老朽化・解体が要るか)

名義の次に見るのは、建物を残したまま売れる状態かどうかです。人が住まなくなった家は、換気と通水が止まった日から傷みが早まります。最初の夏を越すと押し入れや畳にカビが出て、雨漏りがあれば天井の染みが広がり、床下の湿気が土台を弱めていきます。

現地に行ける日には、見る場所を先に決めておくと判断が早くなります。天井と押し入れの染み、歩いたときの床の沈み、外壁のひび、屋根材のずれ、庭木が隣の敷地にかかっていないか。写真を撮って撮影日を残しておけば、査定を頼むときにそのまま渡せます。

建物を残すか壊すかで、買う相手も手取りも変わります。少し直せば住める家なら、建物ごと一般の買主に売る道があります。雨漏りが長く続いた家や、耐震の基準が古い家は、買主が解体を前提にして、土地の値から壊す費用を引いて考えます。どちらに近いかの見当を付けてから、解体の見積りを取るかどうかを決めると、無駄な出費を避けられます。

相続登記の期限の数え方

  1. 2024年4月1日より前

    施行日前に相続を知った

    期限は2027年3月31日(施行日から3年)

  2. 2024年4月1日以降

    施行日後に相続を知った

    期限は取得を知った日から3年以内

親が存命で施設に入っている場合、売主は親本人

親が施設に入って実家が空いた、という形もあります。この場合の実家は相続財産ではなく、親の財産のままです。売主は親本人で、子が代わりに手続きを進めるには、親から委任を受けることになります。親の判断能力が落ちていると、その委任そのものができません。

判断能力が不十分な親に代わって売るには、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらいます。親が住んでいた家を後見人が売るときは、さらに家庭裁判所の許可が要ります(民法第859条の3)。売る・貸す・残すのどれにするかの費用の比べ方は、「親が施設に入った実家をどうするか」の記事で確かめられます。

親が元気なうちに売るなら、自分の住まいを売ったときの3,000万円の控除(租税特別措置法第35条第1項)が親本人の側で候補になります。相続のあとで売る場合とは使える特例が違うので、売る時期を決める前に税理士に聞いておくと、選べる道がはっきりします。

空き家の実家を売却せずに持ち続けると、毎年何が出ていく?

空き家のまま持つと、固定資産税と火災保険、通う交通費、草木の手入れの費用が、売れる日まで毎年かかり続けます。

相続した翌年の春、最初に届くのは固定資産税の納税通知書です。住宅が建っている土地は、200平方メートルまでの部分の課税標準が価格の6分の1になる特例があり(地方税法第349条の3の2)、空き家でも建物が残っている間はこの特例がそのまま使われています。ここに保険の更新、月に一度の見回り、夏の草刈りが加わっていきます。

いま毎年出ていく費用と、見落としやすい費用

相続した実家で毎年出ていくものを、通知や請求が来る順に挙げると次のようになります。

  • 固定資産税と都市計画税(課税明細書で、土地と家屋の額を分けて見る)
  • 火災保険(人が住まなくなると、住まいとして入っていた契約を見直す必要が出る)
  • 電気と水道の基本料金(通水と換気のために、止めずに残す家が多い)
  • 草刈り、庭木の剪定、雨どいの掃除
  • 遠方なら往復の交通費と、泊まりがけの費用
  • 自治会費や、見回りを頼む場合の委託料

一つずつは小さくても、売れるまでの年数を掛けると額が積み上がります。2年持てば2年分、5年持てば5年分が、売った額とは別に出ていきます。売る時期を比べるときは、提示額の差だけでなく、待つ年数分のこの費用を引いた数字どうしで比べてください。

所有し続けるリスクは、お金だけではありません。屋根の瓦が落ちて通行人にけがをさせた、塀が倒れて隣の車を傷つけたという事故は、建物の所有者が責任を負う場面があります(民法第717条)。遠くに住んでいるから気づけなかった、という事情は、責任を軽くする理由にはなりにくいものです。

空き家を持ち続けた場合の維持費

区分割合
2年持ち続けた場合2年分の出費
5年持ち続けた場合5年分の出費

管理不全空家等として勧告を受けると、土地の税の特例が外れる

管理が行き届かず周りに影響が出ている空き家には、市町村が指導をし、それでも直らなければ勧告をします(空家等対策の推進に関する特別措置法第13条)。勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、住宅用地の特例の対象から外れます(地方税法第349条の3の2)。さらに状態が悪く特定空家等とされると、助言・指導から勧告、命令へと進み、命令に従わなければ代執行の対象になります(空家等対策の推進に関する特別措置法第22条)。

勧告は、ある日突然届くものではありません。近所からの相談を受けた市町村が現地を見て、所有者に連絡の文書を送るところから始まります。困るのは、その文書の送り先が亡くなった親の住所のままで、相続した子に届かない場合です。相続した時点で市町村の税務の窓口に連絡先を伝えておくと、知らない間に話が進むことを防げます。

土地の課税標準を価格の6分の1にする地方税法第349条の3の2の特例が外れたとき、税額がどこまで上がるかは、「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事に勧告までの流れと合わせて書かれています。

空き家の維持にかかる主な費用

  • 税金と保険料

    固定資産税・都市計画税と、見直した火災保険料

  • 水道光熱費

    通水や換気のために残す電気と水道の基本料金

  • 維持管理の費用

    草刈りや庭木の剪定、雨どいの掃除にかかる費用

  • 遠方からの交通費

    実家に通うための往復の交通費や泊まりがけの費用

  • 委託料や自治会費

    見回りを頼む場合の委託料や自治会費

実家売却がつらいと感じる理由と、決めきれないときの順番

実家売却がつらいと感じる理由は、たいてい家の値段とは別のところにあります。親の暮らしの跡がそのまま残る部屋を片付ける作業が重い。兄弟や親戚に「もう売るのか」と思われたくない。育った家を手放すことに、親に申し訳ないような気持ちがある。どれも、売ると決めたあとも残る気持ちです。

決めきれないまま1年、2年と過ぎると、気持ちの整理より先に、建物の傷みと期限の側が進みます。相続登記の期限も、空き家の控除の期限も、待ってはくれません。売るかどうかはまだ決めなくても、期限の日付だけは紙に書き出しておくと、いつまでに決めればよいかが見えます。

片付けは、全部を一度に終わらせようとしないことです。写真や形見、権利証や通帳、親が交わした契約書のように、手放すと取り戻せないものだけを先に持ち出します。残りの家財は、売り方が決まってから処分の方法を決めれば足ります。買取で売る場合は、家財を残したまま引き取る形で話が進むことも多く、片付けの完了を待つ必要がありません。

「空き家の実家を売却せずに持ち続けると、毎年何が出ていく?」について、そのまま聞けます。

実家の買取と仲介の違い、手取りと入金日で分かれる選び方

仲介は一般の買主を探すぶん手取りが多くなりやすく、買取は業者が自ら買うぶん入金の日を決めやすいのが違いです。

名義と期限を書き出した段階で、次に迷うのが売り方です。仲介では、不動産会社と媒介契約を結んで広告を出し、内覧を受けて、買主が見つかってから契約に進みます。買主が住宅ローンを使うなら、審査が通るまで決済の日は確定しません。売れたときには仲介手数料がかかり、その上限は宅地建物取引業法第46条にもとづいて国土交通大臣が定めています。

買取では、業者が買主になって直接買います。買主を探す期間が無いので、入金の日を早い段階で決められます。その代わり、業者は次の買主に売るまでの片付けや解体、販売にかかる期間の費用を見込むため、価格は一般の買主が買う水準より下がります。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんが、価格そのものが仲介の成約見込みより低くなる点は、比べるときに外せません。

1. 仲介が向く実家

仲介で売った方が手取りが多くなりやすいのは、一般の買主が「住みたい」と思える条件がそろった実家です。駅や学校に歩いて行ける、前の道に敷地が2m以上接していて建て替えができる(建築基準法第43条第1項)、建物が少し手を入れれば住める状態にある。こうした家は、買主が住宅ローンを組みやすく、買う人の数が多くなります。

時間の条件もあります。売れるまで半年から1年待てて、その間の固定資産税と保険料を払い続けられること。遺産分割が終わり、相続登記も済んでいること。内覧に向けて家財を片付ける手間をかけられること。これらがそろえば、仲介で売ったときの手取りが買取の提示額を上回る見込みは大きくなります。

仲介と買取の特徴の違い

観点仲介買取
買主一般の買主業者が直接買う
手取り額一般の買主が買う水準で多くなりやすい片付け等の費用を見込むため下がる
入金日の決定買主のローン審査が通るまで未確定買主を探す期間が無く早く決められる
仲介手数料売れたときにかかるかからない
向いている実家駅から歩けるなど条件がそろった家一般の買主が付きにくい事情がある家

2. 買取が向く実家(訳あり・古家・遠方)

買取が向くのは、一般の買主が付きにくい事情を抱えた実家です。雨漏りやシロアリで建物を残して住めない古家、前の道が狭くて建て替えができない土地、親の家財が部屋いっぱいに残っている家。こうした家は、仲介に出しても内覧のたびに値引きを求められ、売れるまでの期間も読めません。

遠方に住んでいて何度も通えない場合も、買取の方が段取りを組みやすくなります。郵送と委任でどこまで進められるかは、「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事で手順ごとに確かめられます。相続税の納付や空き家の控除の期限から逆算して、入金の日を動かせない方にも向いています。

一方で、買取は手取りが下がるという弱みがはっきりあります。どのくらい下がり、どんな家なら仲介に回した方がよいかは、「空き家を買取で売るデメリット」の記事で理由ごとに確かめてから決めてください。

仲介と買取の売却手順の違い

  1. 1

    買主の探し方と期間

    仲介は広告と内覧で買主を探す。買取は業者が直接買うため探す期間がない。

  2. 2

    決済と入金日の決定

    仲介は買主のローン審査後に確定する。買取は早い段階で入金日を決められる。

  3. 3

    手取り額と手数料

    仲介は手取りが多くなりやすいが手数料が必要。買取は不要だが価格は下がる。

3. 実家の買取業者の選び方、書面で比べる点

実家の買取業者の選び方で外せないのは、口頭の金額ではなく書面で比べることです。宅地建物取引業の免許番号は、国土交通省の宅地建物取引業者の検索システムや都道府県の名簿で確かめられます。名刺やサイトに書かれた番号と、名簿の商号と所在地が合っているかを見ます。

金額の提示を受けたら、次の点を書面に入れてもらいます。提示額から何が引かれているか(家財の処分、解体、測量)。契約のあとで減額する場合があるなら、その条件。地中から古い基礎やごみが出たときの扱い。手付金の額と、残りの代金を払う日。決済の日に所有権の移転の登記まで同じ日に行うか。

見積りは2社以上から取ると、引かれている費用の中身を比べられます。金額だけが高い1社は、契約の直前に「調べたら費用がかかった」と減額を言い出すことがあります。書面に減額の条件が書かれていれば、その金額がどこまで動くかを、署名の前に読み取れます。

実家を兄弟で相続したときの売却の分かれ目

実家の居間のテーブルを挟んで向かい合い、穏やかに話し合う兄弟

分かれ目は、遺産分割の話し合いで実家を誰の名義にし、売ったお金をどう分けるかを、売る前に決めきれるかどうかです。

親の家が空いて、兄弟のうち1人は近くに住み、もう1人は遠方で働いている。よくある形です。近くに住む方が見回りと支払いを引き受け、遠方の方は電話で様子を聞くだけになりがちで、その差が売る段になって不満として出てきます。

1. 相続発生時の実家を兄弟でトラブルなく売却する方法

相続発生時の実家を兄弟で売るとき、名義の持ち方は次の3つに分かれます。

  • 兄弟の1人が単独で相続し、その人が売主になって売る
  • 兄弟で共有のまま相続し、全員が売主になって売る
  • 売ったお金を分けると協議で決め、その前提で相続の登記をして売る(換価分割)

遺産の分け方は、相続人全員の協議で決めます(民法第907条)。単独で相続した1人が売って、代金を兄弟に渡すと、協議書の書き方によっては兄弟への贈与と見られることがあります。売ったお金を分ける前提なら、そのことを遺産分割協議書に書いておき、書き方は税理士か司法書士に確かめてから署名してください。

進める順番も決まっています。相続人全員で遺産の一覧を共有する。実家の査定を2社以上から取り、全員に同じ資料を渡す。分け方を協議書にまとめ、全員が実印を押す。相続登記をする。そこで初めて売買の契約に進みます。査定の資料を1人だけが持っていると、ほかの兄弟は「安く売らされるのでは」と疑います。資料を同じにするだけで、話し合いの多くは前に進みます。

兄弟で実家を売却する際の手順

  1. 1

    遺産一覧の共有と査定

    2社以上から査定を取り、兄弟全員に同じ資料を渡して疑いを防ぐ。

  2. 2

    分け方の協議と実印

    売ったお金の分け方を遺産分割協議書にまとめ、全員が実印を押す。

  3. 3

    相続登記で名義を整える

    協議書をもとに相続登記を行い、誰が売主になるかを確定させる。

  4. 4

    売買契約に進む

    名義が整ってから初めて契約に進む。共有のままでは1人の判断で売れない。

2. 実家の相続と売却時に兄弟の間で起きやすいトラブル

実家の相続と売却時に兄弟の間で起きやすいトラブルは、だいたい次の形をとります。実家に住んでいる兄弟が出ていきたがらない。査定額のうち高い方しか信じず、売る値段で折り合わない。固定資産税や片付けの費用を誰が立て替えたかで揉める。親の介護をした兄弟が、ほかより多くを受け取りたいと考える。

防ぎ方は、揉める前に記録を残すことです。立て替えた費用は、領収書と日付を表にして、売ったお金から誰にいくら戻すかを協議書に書き込みます。査定書は全員に同じものを配ります。介護の負担をどう分け方に反映するかは感情の話になりやすいので、早い段階で家族の外の専門家を入れた方が、話がこじれません。

話し合いが止まってしまったら、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる道があります(民法第907条)。反対している兄弟がいる場合の進め方は、「実家の売却に兄弟が反対」の記事に段階を追って書かれています。

兄弟で相続した実家の名義と売却方法の比較

名義の分け方売主になる人協議書と代金の扱い
単独で相続兄弟の1人後から代金を渡すと贈与と見られる場合あり
共有で相続兄弟全員全員が売主として契約する
換価分割登記した人代金を分ける前提を遺産分割協議書に書く

3. 解体してから売るか、そのまま売るか

建物を壊してから売るか、建てたまま売るかは、相続した実家の手取りを大きく動かします。解体費は売主が先に払うことになり、建物の大きさのほか、前の道が狭くて重機が入らない、古い建材の処理が要るといった条件で上がります。考え方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事で確かめられます。

固定資産税は毎年1月1日の状態で課税されるため、年内に壊して更地のまま年を越すと、翌年度から住宅用地の特例が外れた額になります。更地にしたのに売れない期間が長引くと、その差額が手取りを削っていきます。壊すなら、売れる見込みと日程が立ってからにした方が安全です。

もう一つの分かれ目は、相続した空き家の3,000万円控除です。この控除を使うには、家屋を耐震基準に合わせるか、取り壊すかのどちらかが要ります(国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。解体するかどうかは、控除が使えるかどうかと合わせて決めることになります。控除の要件と期限は、「実家を売ったときの税金はいくら?計算表で試算する」の章にある「2. 空き家の3,000万円控除が使えるかを、売る前に確かめる」に書きました。

「実家を兄弟で相続したときの売却の分かれ目」について、そのまま聞けます。

実家を売ったときの税金はいくら?計算表で試算する

実家の和室にある、きれいに拭き清められた座卓と座布団

税金は、売った額から取得費と譲渡費用と控除を引いた残りに、長期なら所得税15%と住民税5%をかけた額です(国税庁No.3208)。

相続した実家を売ると、その翌年に譲渡所得の確定申告をします。入金があった日には、まだ税額は決まっていません。売ったお金を兄弟で分ける前に、税金の分を手元に残しておく必要があるため、売る前の段階で概算を出しておくと、分け方の話し合いも具体的になります。

1. 計算表で税額を試算する(取得費が分からないときは5%)

土地と建物を売ったときの譲渡所得は、売った額から取得費と譲渡費用を引き、さらに特別控除を引いて計算します(国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」)。相続した実家の取得費は、親が買ったときの値段をそのまま引き継ぎます(所得税法第60条第1項)。親が建てた家の契約書や領収書が見つかれば、その額が取得費です。

親が何十年も前に買った家では、契約書が見つからないことの方が多くあります。国税庁の案内では、取得費が分からないときは売った額の5パーセントを取得費として計算できるとされています。古い家ほどこの扱いになりやすく、引ける額が小さいため、課税される所得が大きく出ます。

税率を分ける所有期間も、親が持っていた期間から通して数えます。売った年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得で、所得税15%と住民税5%がかかり、別に復興特別所得税が加わります(国税庁 タックスアンサーNo.3208)。親が長く住んでいた実家なら、多くは長期の扱いです。5年以下なら短期譲渡所得になり、税率は長期より高くなるので、国税庁の案内で確かめてください。

試算の早見表(1,000万円で売れた実家・取得費が分からず、譲渡費用が50万円で、所有期間が5年を超える場合)

計算の段入れる値この例の額
① 売った額売買契約書の代金1,000万円
② 取得費分からなければ ①×5%(国税庁の案内)50万円
③ 譲渡費用売るために払った費用50万円
④ 譲渡所得①−②−③900万円
⑤ 特別控除空き家の控除が使えれば最高3,000万円0円または900万円
⑥ 課税される額④−⑤900万円または0円
⑦ 所得税(長期)⑥×15%(国税庁No.3208)135万円または0円
⑧ 住民税(長期)⑥×5%(国税庁No.3208)45万円または0円

控除が使えない場合の計算は、国税庁No.3208の税率で、900万円 × 15% = 135万円(所得税)、900万円 × 5% = 45万円(住民税)、合わせて180万円に復興特別所得税が加わります。控除が使える場合は、⑥が0円になるので税額も0円です。ただし控除を使うには確定申告が要り、申告しなければ控除は受けられません。

ご自身の実家で試すときは、①に提示額、②に親の購入額か①の5%、③に売るために払う費用を入れます。③に入るのは、仲介で売るなら仲介手数料、売買契約書の印紙代、売るために行った測量や解体の費用などです。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんので、その分は③に入りません。領収書は申告まで捨てずに残しておいてください。

2. 空き家の3,000万円控除が使えるかを、売る前に確かめる

被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる。この特例は租税特別措置法第35条第3項に定められ、国税庁タックスアンサーNo.3306に要件がまとめられています。2024年1月1日以後の売却で、家屋とその敷地を取得した相続人の数が3人以上のときは、1人あたりの控除の上限が2,000万円になります。

主な要件は次のとおりで、これがすべてではありません。

  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売るのが令和9年12月31日までであること
  • 売った額が1億円以下であること
  • 家屋を耐震基準に適合させるか、取り壊すこと
  • 相続税を取得費に加える特例(租税特別措置法第39条)と一緒には使わないこと

家の建てられた時期や、親が施設に入っていた場合の扱いなど、ほかにも細かな要件があります。どこで引っかかりやすいかは、「空き家3000万円控除の条件」の記事で一つずつ判定できます。

期限は日付で出して比べます。親が2024年6月10日に亡くなった場合、3年を経過する日は2027年6月10日で、控除の期限はその年の12月31日、つまり2027年12月31日です。同じ日に相続を知った方の相続登記の期限は2027年6月10日なので、登記の期限が半年ほど先に来ます。親が2025年3月に亡くなった場合は、3年を経過する年の年末は2028年12月31日ですが、制度の期限の令和9年12月31日(2027年12月31日)の方が先に来ます。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

譲渡所得と税額の計算手順

  1. 1

    取得費と譲渡費用を引く

    売った額から親が買った値段と譲渡費用を引く。不明な場合は売った額の5%とする。

  2. 2

    特別控除を引く

    残った額から、空き家の3,000万円控除などの特別控除を引いて所得を出す。

  3. 3

    所有期間の税率をかける

    5年超の長期なら所得税15%と住民税5%をかけ、復興特別所得税を加える。

実家の売却手続きは何から順に進める?相続登記から引き渡しまで

実家の縁側で、外の庭を眺めながらお茶を飲んで一息つく人の後ろ姿

相続登記で名義を売主に移し、査定を比べて売り方を決め、契約書と書類を整えて引き渡しの日を置く、という順です。

相続を知った日から3年という登記の期限と、控除の期限を書き出したら、そこから逆向きに日程を並べます。実家相続から売却までの手続きの流れは、名義を整える段と、売買を進める段の2つに分かれます。前の段が終わらないと、後ろの段の日付は置けません。

1. 相続登記を済ませる(戸籍と遺産分割協議書)

相続登記で最初に時間がかかるのは、戸籍集めです。亡くなった親の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の戸籍と住民票をそろえます。親が結婚や転勤で本籍を何度も移していると、本籍地ごとに請求することになり、郵送の往復で時間がかかります。法務局で法定相続情報一覧図を作っておくと、その後の手続きで戸籍の束を何度も出さずに済みます。

遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えます。売ったお金を分ける前提なら、「相続発生時の実家を兄弟でトラブルなく売却する方法」で書いたとおり、そのことを協議書に入れておきます。登記の申請は自分でもできますが、相続人が多い場合や、親のさらに上の代の名義が残っている場合は、司法書士に頼んだ方が確実です。

遺産分割がまとまらないまま期限が近づいたときは、相続人申告登記という手があります(不動産登記法第76条の3第1項)。自分が相続人であることを登記官に申し出るもので、登記の義務を果たす手段になります。ただし名義は売主に移らないため、これだけでは実家を売れません。売るには、分け方を決めたうえでの相続登記が要ります。

相続登記から引き渡しまでの日程

  1. 1番目

    戸籍集め

    親の出生から死亡までと全員の戸籍をそろえる

  2. 2番目

    遺産分割協議書の作成

    全員が実印を押し、印鑑証明書を添える

  3. 3番目

    相続登記の申請

    名義を売主に移す。まとまらなければ申告登記

2. 査定から契約・引き渡しまでと、用意する書類

名義が整ったら、査定を2社以上から書面で取り、仲介か買取かを決めます。仲介にするなら媒介契約を結び、不動産会社はその書面を売主に渡すことになっています(宅地建物取引業法第34条の2)。買取にするなら、業者が出す契約書のひな形を契約日より前に受け取り、減額の条件と引き渡しの日を読んでおきます。

売買契約の日には、手付金を受け取るか、手付を入れずに全額を引き渡しの日に受け取るかを決めます。引き渡しの日には、残りの代金の支払い、所有権の移転の登記の申請、鍵の受け渡しを同じ場で行います。親の住宅ローンが残っていて抵当権が付いていれば、その日のうちに抹消の手続きもします。

用意する書類は、一般には次のとおりです。

  • 登記識別情報または権利証(相続登記のあとに発行されたものを使う)
  • 売主の本人確認書類
  • 印鑑証明書(共有で相続した場合は、売主全員の分)
  • 固定資産税の納税通知書(年の途中で売るときの精算に使う)
  • 相続した物件では、戸籍などの追加の書類

固定資産税は1月1日の所有者に1年分が課税されるため、引き渡しの日で日割りにして買主と精算する取り決めにすることが多くあります。引き渡しが済んだら、売った翌年の確定申告に向けて、契約書と領収書をひとまとめにして保管します。

「実家の売却手続きは何から順に進める?相続登記から引き渡しまで」について、そのまま聞けます。

当社が実家を買い取る場合、入金までは何日かかる?

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が実家を買い取る場合、入金までは何日かかる?」について、そのまま聞けます。

実家の売却を始める前に決めておく3つ

  • 名義と期限を日付で出します。 登記簿で名義が親のままかを確かめ、相続登記の期限(施行日と知った日の遅い方から3年)と、空き家の3,000万円控除の期限を、カレンダーに書き出します。
  • 兄弟の分け方を、売る前に協議書へ書きます。 単独・共有・換価分割のどれにするかを決め、査定の資料は全員に同じものを渡し、立て替えた費用は表にして精算の方法まで書き込みます。
  • 売り方は、税引き後の手取りと入金日で比べます。 計算表で税額の概算を出し、仲介の成約見込みから手数料と待つ期間の費用を引いた額と、買取の提示額を並べます。

当社は買主として直接買い取り、代金は引き渡しの日にお支払いします。親本人の意思を確かめられない実家と、退去の見込みが立たない実家は、契約をお受けできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

実家の売却で兄弟や親についてよくある質問

Q1. 実家はいくらで売れますか

周辺で実際に売れた価格の水準は、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域と面積を指定して調べられます。ここに出るのは一般の買主が買った価格です。建物が古く解体が前提になる実家は、土地の値から解体費を引いた額が目安になります。買取で売る場合は、そこからさらに片付けや売れるまでの期間の費用が引かれます。目安を知ってから、2社以上の査定を書面で取って比べてください。

Q2. 実家を売却するときにかかる税金は何ですか

利益が出たときに、譲渡所得の所得税と住民税、それに復興特別所得税がかかります。売買契約書には印紙税がかかり、相続登記や抵当権の抹消には登録免許税がかかります。譲渡所得の税額の出し方は、「実家を売ったときの税金はいくら?計算表で試算する」の章にある早見表で、ご自身の数字を入れて概算できます。

Q3. 家を100万円で売却した場合、税金はいくらになりますか

取得費が分からず、譲渡費用が20万円で、所有期間が5年を超える例で計算すると、100万円から取得費5万円(100万円の5%)と20万円を引いた75万円が課税される額になります。長期譲渡所得の税率は所得税15%と住民税5%なので(国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」)、所得税は11万2,500円、住民税は3万7,500円、合わせて15万円に復興特別所得税が加わります。取得費を5%とする扱いも国税庁の案内によるものです。空き家の3,000万円控除が使えれば税額は0円ですが、その場合も確定申告は要ります。

Q4. 親が実家を売却したい場合、子はどうすればいいですか

売主は親本人なので、契約は親が結びます。子が手続きを手伝うなら、親から委任を受けて書類集めや業者とのやり取りを進め、契約の場には親が立ち会うか、委任状で対応します。親の判断能力に不安があるときは、委任そのものができないため、成年後見の手続きが先になります。その進め方は「親が認知症で家を売る方法」の記事で確かめられます。親が住んでいた家を親本人が売るなら、自分の住まいを売ったときの3,000万円控除(租税特別措置法第35条第1項)が候補になります。

Q5. 高齢者が家を売ってはいけないと言われるのはなぜですか

高齢者が家を売ることを禁じる決まりはありません。そう言われるのは、売ったあとの住まいが決まらないまま契約してしまう、判断能力が落ちてから契約して後で争いになる、急がせる勧誘に押されて相場を知らずに決めてしまう、といった失敗が起きやすいためです。親が住んでいる家を売るなら、住み替え先と引っ越しの費用を先に確保し、家族が同席して、金額と条件を書面で受け取ってから署名する形にしてください。

Q6. 兄弟で共有している実家は、自分の持分だけ売却できますか

自分の持分だけなら、ほかの兄弟の同意が無くても売ることはできます。ただし買う相手は限られ、価格は実家全体を売ったときの持分の割合分より低くなるのが通例です。売ったあとは買った業者と兄弟の共有になり、兄弟との関係にも影響が出ます。共有をやめる手段としては、共有物の分割を求める道もあります(民法第256条第1項)。条件と影響は「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事で確かめてから決めてください。

Q7. 実家を売却する前に、まず何をすればいいですか

法務局で土地と建物の登記事項証明書を取り、名義が誰になっているかを確かめます。親のままなら、相続登記の期限と空き家の控除の期限を日付で書き出します。あわせて、権利証や親の契約書、写真や形見のように取り戻せないものを実家から先に持ち出しておきます。期限の出し方は「実家の売却は何から始める?名義と相続登記の期限3年」の章に書いたとおりで、そこまで済めば、査定を頼んで売り方を比べる段階に進めます。

当社の見方

全国(47都道府県)に対応している当社では、実家の売却について「何から手を付ければよいか分からない」というご相談をとても多くいただきます。最初に確かめていただきたいのは名義です。相続した物件では相続登記の費用がかかり、戸籍などの書類も追加で必要になるため、ここで手が止まってしまう方も少なくありません。ただし、ご用意いただく書類は個別のご案件によります。当社の買取では、ご相談から買取価格のご提示までが目安30分、ご契約までが目安1〜2週間です。お引き渡しは早ければ2週間以内で、お引き渡しと同時にご入金します。売却後も親御さんがしばらく住み続けたいというご家庭には、リースバックという形もあります。家賃・期間・買い戻しなどの条件は、案件ごとに個別に決めています。買い取れない物件や、売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。迷っている段階でも、早めにご相談いただくことをおすすめします。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(4件・に確認)

更新履歴

  1. 第1版公開

このテーマの全体像

編集部のおすすめ

ほかの記事

同じ状況の記事

新着記事