空き家再生でお金が残るのは、住む人か借りる人が日付まで決まっていて、改修にかけた額をその後の暮らしや家賃で取り戻せる家です。使う予定がないまま直した家は、売ったときの手取りより改修費の分だけ少なく終わることが多くなります。どちらに寄るかは、築年数と骨組みの傷み、家財が残っているか、前面道路が私道かどうか、その家を誰がいつ使うかの4つで決まります。多くは書類と現地の確認で見当がつきます。
空き家
空き家再生か 売却か? 直して 使うか 売るかは 4つの 条件で 決まる
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「使っていない実家を直せばまた使えるのか、売ったほうがいいのか決めきれない」。直して使うか売るかは、使う予定が日付まで決まっているかと、改修の見積もりと売った場合の手取りを同じ時点で並べたときの差で決まります。
当社は片づけも改修もしていない空き家を現況のまま買い取り、お支払いする額は残置物の処分と改修にかかる分を引いた額です(内訳つき)。住む予定が決まっていて骨組みが傷んでいない家は、売らずに直して使う方が手元に残ることがあります。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(12章)
改修の見積もりと並べる、空き家のままの買取額
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空き家再生には どんな 方法が あり、 使っていない 家は なぜ増えている?
空き家再生の方法は、住む・貸す・用途を変える・売って次の持ち主に直してもらうの4つで、選べる方法は家の傷みと使う人の有無で決まります。4つの方法の違いは、所有者がどこまで費用と手間を引き受けるかにあります。住むために直す方法がいちばん多くを抱え、売る方法がいちばん少なく済みます。
空き家再生の 代表的な 方法は 4つに 分かれる
自分や家族が住むために直す方法は、改修費を所有者が出す代わりに、払わずに済む家賃や新しい住まいの購入費が、改修費を取り戻す先になります。住む人が決まっているので、空室の心配がないのが強みです。
直して賃貸住宅として貸す方法は、家賃で改修費を少しずつ取り戻す形です。借り手が付くまでの空いた期間と、入居中に起きる修繕の費用まで含めて採算を見なければ、家賃が入っても手元に残る額は思ったほど増えません。
住まい以外の用途に変える方法は、古い家を店舗や事務所、宿泊の施設、地域の人が集まる場所に作り替えるものです。用途を変えると建築や営業に関わる法令の手続きが加わるため、費用も時間も、住む・貸すより大きくなりがちです。
所有者は直さずに現況のまま売り、買った側が改修して住むか貸すか、建て替えるという方法もあります。所有者の手元に残るのは売った額だけですが、改修費も、工事の後に借り手が来ない心配も引き受けずに済みます。
空き家再生と聞くと前の3つが思い浮かびやすいものです。ただ、家がもう一度使われるという点では、売る方法も同じ結果につながります。違うのは、改修の費用と、それがうまくいかなかったときの損を、誰が負うかという一点です。
全国の空き家数約900万戸と、住宅全体に占める割合13.8%の数値
全国の空き家数と住宅全体に占める割合
- 全国の空き家数(万戸)900万戸
- 住宅全体に占める割合(%)13.8%
空き家を 取り巻く 現状と、 住宅の 不足では 説明できない 空き家問題
総務省統計局の住宅・土地統計調査(令和5年調査・令和6年4月公表の速報集計)では、全国の空き家は約900万戸、住宅全体に占める割合は13.8%です。賃貸用や売却用、別荘などを除いた使い道の決まっていない空き家も約385万戸あり、いずれも前回の調査から増えています(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。同じ調査では、住宅の総数が世帯の総数を上回っています。
数字が示しているのは、住宅が足りずに困っている状態ではありません。世帯の数より住宅の数のほうが多く、使う人のいない家が年ごとに積み上がっている状態です。
空き家再生の方法を決める条件:住む・貸す・用途を変える
空き家再生の方法を決める条件
住む
改修費を自己負担するが、空室の心配がない
貸す
家賃で回収するが、空室や修繕の負担を負う
用途を変える
法令手続きが加わり、費用も時間も大きくなる
売る
改修費も空室の心配も引き受けずに済む
空き家問題が住宅の不足ではなく社会構造から生まれると言われるのは、親が建てた家を子が住み継がない流れが、多くの家族で同じように起きているからです。進学や就職で親元を離れた子は、勤め先に近い場所で自分の住まいを持ちます。親が亡くなって家を相続する頃には、ローンを払い終えていない自宅をすでに抱えていることも珍しくありません。
そうして相続した家は、売るほどの決心もつかず、住む人もいないまま年を越します。片づけと名義の話が後回しになるうちに、建物の傷みだけが進んでいきます。空き家再生の話を、改修の方法より先に「誰がその家を使うのか」から始める必要があるのは、空き家がこの流れの中で生まれているからです。
空き家再生が 推奨されている 理由と、 所有者に 残る 負担
空き家再生が推奨されている理由は、社会の側から見ると分かりやすいものです。建物を壊さずに使えば解体の費用も廃材も出ませんし、人が住めば周りの家の防犯や景観も保たれます。空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づき、市町村が計画を立てて空き家の活用を進めているという流れにも沿います。
ただ、これらはどれも地域にとっての利点で、所有者の手元に残るお金の話ではありません。改修の費用は、工事の前に所有者が出します。直した後に借り手が来なかったときの損も、入居後に雨漏りや給湯器の故障が起きたときの修繕も、所有者が負います。
推奨されているから直す、という順番で始めると、使い道が決まらないまま工事だけが終わる形になりやすくなります。空き家再生の失敗事例として語られる形の多くは、使う人より先に工事を決めたところから始まっています。
4つの方法を、所有者が負う改修費・手間・うまくいかなかったときの損の大きさで比較
空き家再生の4つの方法と特徴
| 再生の方法 | 改修費の負担 | 手間と時間 | 失敗したときの損 |
|---|---|---|---|
| 自分や家族が住む | 所有者が出す | 住みながら直すことも可能 | 空室の心配がない |
| 賃貸住宅として貸す | 所有者が出す | 入居中の修繕も所有者負担 | 空室や修繕で手残りが減る |
| 店舗や施設に変える | 住む・貸すより大きくなりがち | 建築や営業の法令手続きが加わる | 費用も時間も大きくなりがち |
| 現況のまま売る | 引き受けずに済む | いちばん少なく済む | 引き受けずに済む |
空き家再生を 迷っている 間に、 固定資産税と 建物の 傷みは どう 進む?
直すか売るかを決めずにいる間も、固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかります。建物は人が住まない分だけ早く傷んでいきます。負担が急に重くなるかどうかは、市町村から勧告を受けたかどうかと、換気や通水といった最低限の手入れを続けているかどうかで分かれます。
放置した 空き家の 固定資産税は、 勧告を 境に 上がる
住宅が建っている土地には、地方税法第349条の3の2の住宅用地の特例があります。固定資産税の課税標準が価格の3分の1に、200平方メートル以下の部分は6分の1に抑えられています(地方税法(e-Gov法令検索))。誰も住んでいない家でも、多くはこの軽減が残ります。ただし建物があっても、市区町村が「住宅」と認めない状態なら外れることがあります。総務省が平成27年に市町村へ示した通知では、そうした状態として次の3つが挙げられています。傷みが進んで構造上住宅と認められない家、取り壊す予定で使う見込みがない家、住むための手入れがされず今後も住む見込みがない家です。この3つは、勧告がなくても特例の対象から外れることがあります。
この特例が外れるきっかけの一つが、空家法に基づく勧告です。空家法第13条は、放置すれば特定空家等になるおそれのある管理不全空家等の所有者に、市町村長が指導し、改善されなければ勧告できると定めています。同法第22条は、特定空家等の所有者に助言・指導、勧告、命令をし、命令に従わなければ代執行できるとしています。勧告を受けた敷地は、地方税法第349条の3の2の特例の対象から外れます。
外れるのは、勧告を受けたまま1月1日を迎えた年度の課税からです。よく「6倍になる」と言われるのは、6分の1に抑えられていた課税標準が元に戻ることを指しています。税額が自動で6倍になるという意味ではありません。地方税法の負担調整の仕組みで、上がり方が段階的になる年もあります。実際の額は、市区町村の資産税の担当で確かめてください。勧告までの流れと時期は「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事で確認できます。
勧告前は課税標準が6分の1に抑えられるが、勧告後は特例から外れることの比較
勧告の前後での固定資産税の扱いの違い
| 観点 | 勧告の前(指導まで) | 勧告を受けた後 |
|---|---|---|
| 住宅用地の特例 | 対象になることが多い | 対象から外れる |
| 課税標準 | 価格の6分の1等に抑えられる | 元に戻る |
| 適用される時期 | 指導の段階で改善すれば勧告に至らない | 勧告のまま1月1日を迎えた年度の課税から |
空き家再生を考えている所有者にとって大事なのは、勧告の手前の指導の段階なら、草刈りや窓の補修のような手入れで止められることがある点です。直すか売るかの結論より先に、役所からの封書を開けて日付を確かめておいてください。それだけで、税の前提が崩れる時期を自分で読めるようになります。
空けて おく 空き家は、 換気と 通水が 止まった ところから 傷む
人が住まない家の傷みは、壊れた箇所からではなく、空気と水が動かなくなったところから進みます。窓を閉め切ると湿気がこもり、押し入れや床下にかびが広がって、畳や床板が柔らかくなっていきます。
水回りでは、使わない排水口の中の水が乾いて下水の臭いや虫が上がってくるようになります。給水管は冬に凍って割れることがあります。屋根の小さなずれや雨どいの詰まりは、住んでいれば天井のしみで気づけます。空き家ではしみが広がり、柱や梁まで水が回ってから見つかることが少なくありません。
庭木は伸びて隣の家や道路に越え、落ち葉が雨どいを詰まらせて、また雨漏りの原因になります。こうした傷みは、そのまま空き家再生の改修費に上乗せされていきます。半年前なら天井の張り替えで済んだはずの工事が、骨組みの補修を含む工事に変わるのは、この順番で傷みが進むからです。
勧告を受け、翌年の1月1日を境に特例から外れて固定資産税が上がるまでの手順
空き家の固定資産税が上がるまでの流れ
- 1
市町村長からの指導
管理不全空家等として指導を受ける。ここで手入れをすれば勧告には至らない。
- 2
改善されず勧告を受ける
指導後も改善されないと勧告を受け、住宅用地の特例の対象から外れる。
- 3
勧告のまま1月1日を迎える
勧告を受けた状態で1月1日を迎えると、その年度の課税から固定資産税が上がる。
傷んだ家が隣の家や通行人に被害を与えたときに所有者が負う責任は、「空き家の放置で責任と賠償を負う条件」の記事にまとめています。
相続した 空き家は、 名義の 期限も 同じ 時期に 動く
相続した空き家を直すにしても売るにしても、登記の名義が亡くなった方のままでは、工事の契約や補助金の申請、売買の契約を進める人がはっきりしません。名義の話は、空き家再生の段取りのいちばん前に来ます。
直すか売るかを迷っている間も、名義を移す手続きには期限があります。親の家を自分が受け継いだと知った日から数えて3年のうちに、相続登記を申請しなければなりません。根拠は不動産登記法第76条の2第1項で、この義務は2024年4月1日に始まりました。それより前に親が亡くなり、家を受け継いだと知っていた人も外れません。そうした人の期限は2027年3月31日だと、法務省が案内しています。
たとえば2022年に親が亡くなり、そのとき実家を相続したと知っていたなら、期限は2027年3月31日です。2025年に亡くなって同じ年に知ったなら、知った日から3年が期限になります。自分がどちらに当たるかを先に決めておくと、改修の工事を始める時期や売却の決済日を、名義の手続きと重ならないように組めます。
相続人が複数いるのに名義を決めないまま改修を始めると、工事費を出した人と、後で家を取得する人がずれることがあります。直した家を結局売ることになったとき、立て替えた改修費をどう精算するかで話が止まりやすくなります。工事の前に誰の名義にするかを決めておくのが安全です。
「空き家再生を迷っている間に、固定資産税と建物の傷みはどう進む?」について、そのまま聞けます。
空き家再生か 売却かは、 どの 条件で 振り分けられる?
直して使うか売るかは、築年数と骨組みの傷み、残置物の量、前面道路が私道かどうか、使う予定の有無の4つで振り分けられます。このうち使う予定がない家は、ほかの3つの条件がどれほど良くても、改修費を取り戻す先がありません。直すほど手取りが減ります。
使う予定の有無を最初の分かれ目にし、骨組みの傷み等で直すか売るかに振り分ける手順
直すか売るかを振り分ける判断の流れ
- 1
使う予定の有無
使う予定がない家は改修費を取り戻す先がないため、この時点で売る判断になる。
- 2
骨組みの傷みの確認
雨漏りや土台の傷みがある場合、骨組みからの工事になり改修費が大きく膨らむ。
- 3
残置物と前面道路の確認
残置物の量や前面道路が私道かどうかを確かめ、直すかそのまま売るかを振り分ける。
1. 空き家の 築年数より、 屋根と 土台の 傷みで 改修費が 決まる
築年数は改修費の目安になります。ただ、額を決めるのは年数そのものより、屋根と土台、柱や梁といった骨組みが傷んでいるかどうかです。築年数が古くても、雨漏りがなく床が沈んでいない家は、内装と水回りの入れ替えで住める状態に戻せることがあります。
反対に、築年数が比較的新しくても、雨漏りが長く続いて柱が腐っている家や、シロアリの被害が土台に及んでいる家は、骨組みから手を入れることになります。骨組みの工事は、壁や床をいったん剥がしてからでないと範囲が決まりません。そのため、見積もりの額が工事の途中で増えやすいのも特徴です。
今の耐震の基準より前に建てられた家では、住むために直すなら耐震の補強も検討に入ります。補強は壁や基礎に手を入れる工事なので、内装の改修と同時に進めないと二度手間になり、費用もそれだけかさみます。
骨組みの傷みが見つかった家を、直さずにそのまま売る場合の考え方は、「雨漏り・シロアリの家は直さずに売却できる?告知と価格の決まり方」の記事で扱っています。改修費の見積もりを取る前に、屋根裏と床下を見てもらえるかどうかを業者に確かめておくと、後から額が増える幅を小さくできます。
傷んでいる箇所ごとに、改修が内装で済むか骨組みからの工事になるかの違い
傷んでいる箇所と改修工事の規模
| 家の状態 | 必要な工事の規模 | 費用の特徴 |
|---|---|---|
| 雨漏りなし・床の沈みなし | 内装と水回りの入れ替え | 築年数が古くても住める状態に戻せる |
| 雨漏り・柱の腐り・シロアリ | 骨組みからの工事 | 壁や床を剥がすため途中で増えやすい |
| 耐震基準を満たさない | 壁や基礎の補強工事 | 内装改修と同時にしないと二度手間になる |
2. 空き家に 残置物が あると、 再生の 前に 片づけの 段取りが 要る
家財や仏壇、物置の道具がそのまま残っている空き家では、改修の工事より前に片づけが要ります。工事業者は家の中が空でなければ作業を始められません。片づけが終わる日が、そのまま空き家再生の始まる日になります。
片づけで時間がかかるのは、処分の作業より、何を残すかを家族で決めるところです。写真や手紙、形見の品を一つずつ確かめるには、遠方に住む兄弟がそろう日を合わせる必要があります。それだけで数か月が過ぎることもあります。
処分の費用は、量と運び出しやすさで変わります。2階に大型の家具が多い家や、車が家の前まで入れない家では、手作業で運ぶ分だけ費用が上がります。直して使うなら、この片づけの費用も改修費の一部として数えておく必要があります。
売る場合は、家財を残したまま買い取ってもらう形もあり、そのときは処分の費用が価格から引かれます。自分で片づけて売るか、残したまま売るかで手取りがどれだけ変わるかは、片づけの見積もりを一度取れば比べられます。
3. 前面道路が 私道の 空き家は、 工事と 売却の 両方で 確かめる ことが 増える
家の前の道が私道だと、空き家再生の工事でも売却でも、確かめることが一つ増えます。私道の持ち主が近所の人たちの共有なのか、別の誰かなのか、自分の家にその道の持分があるのかによって、できることが変わるからです。
改修の工事では、水道管やガス管を引き直すときに、私道を掘る承諾を道の持ち主から得ることがあります。工事の車や資材を置く場所も、私道の上では持ち主の了解が要る場面が出てきます。承諾が得られるまで工事を始められないので、見積もりの前に確かめておくのが順番です。
建て替えができるかどうかは、敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接しているかで決まります(建築基準法第43条第1項)。私道でも同法第42条で道路として扱われるものがあります。役所の建築の窓口で前面道路の種別を聞けば、建て替えの可否はその場で分かることが多い項目です。
売るときには、買う人がその私道を通れるか、将来の工事で掘れるかを書面で確かめたいと考えます。持分や承諾の書面が整っていない私道の家は、直して住む人を探すにも、売る相手を探すにも、話が進むまでに時間がかかりやすくなります。
4. 空き家を 使う 予定が 日付まで 決まっているかで、 再生の 採算が 変わる
使う予定がある家とない家では、同じ改修費でも意味がまるで違います。子どもが来年の春から住む、定年後に夫婦で移る、といった日付つきの予定があれば、改修費はその後の家賃や住宅の購入費の代わりになります。
「いつか誰かが使うかもしれない」という予定は、採算の計算に入りません。その「いつか」までのあいだも、固定資産税、火災保険、草刈り、見回りの交通費は毎年出ていき、建物は傷み続けるからです。
最も手取りを減らすのは、使う予定が決まらないまま改修を終え、直した家が空いたまま年を越す形です。改修費はもう出ていて、保有の費用は続き、直した内装も人が住まなければ少しずつ傷みます。
使う予定が日付で言えない家は、改修の見積もりを取るより先に、売った場合の金額を出しておく方が判断を急がずに済みます。売った場合の金額が分かっていれば、使う予定が固まるまで待つことの値段も、年ごとに数えられるようになります。
5. 空き家再生か 売却かの 診断チェック表
上の4つの条件を、自分の家に当てはめて印を付けてみてください。直す側と売る側に、同じ4つの条件を1項目ずつ並べています。
直して使う側に寄る項目□ 建てられたのが今の耐震の基準の後で、屋根と土台に大きな傷みが見当たらない□ 家財はほぼ片づいているか、自分たちで片づけられる量しか残っていない□ 前面道路は公道か、私道でも持分や通行・掘削の承諾が書面で確かめられている□ 自分か家族が住む、または貸す相手が、日付まで決まっている
売る側に寄る項目□ 今の耐震の基準より前に建てられ、屋根や土台、水回りまで手を入れる必要がある□ 家財が多く残り、片づけのために遠方から何度も通わなければならない□ 前面道路が私道で、持分や承諾の書面がどこにあるか分からない□ 使う予定は「いつか」のままで、誰がいつ住むか言えない
直す側に4つすべて印が付く家は、改修の見積もりを取る価値があります。売る側の「使う予定」に印が付いた家は、ほかの項目がどうであれ、売った場合の金額を先に出しておく方が、手元に残る額を見誤りません。売る側に3つ以上印が付いた家は、直しても改修費が売値や家賃で戻りにくい組み合わせです。
直して 使う 空き家再生が 向いているのは どんな 家で、 補助金制度は どう 使う?
直して使うのが向くのは、住むか貸す相手が決まっていて骨組みが傷んでおらず、改修費を住む年数や家賃で取り戻せる家です。住む・貸す・用途を変えるの3つの使い道で、改修費を取り戻す道筋も、先に要る手続きも違ってきます。
1. 自分や 家族が 住む 空き家は、 家賃の 代わりに 改修費を 取り戻す
自分や家族が住むために直す場合、改修費と比べる相手は、その家に住まなかった場合に払うはずの家賃や、別の家を買う費用です。たとえば子ども夫婦が賃貸住宅から移り住むなら、毎年払わずに済む家賃の合計で、改修費を何年で取り戻せるかが見えてきます。
この使い道の強みは、借り手を探す必要がなく、空室の期間が生まれないことです。住みながら少しずつ直していく進め方も選べます。最初の工事を雨漏りの修理と水回りだけに絞り、内装は暮らしながら手を入れることもできます。
注意したいのは、住む人の暮らし方に合わない家を無理に直す形です。通勤や通学に遠い場所の家、坂や階段が多く年を取ってから暮らしにくい家は、直しても数年で住まなくなり、また空き家に戻ることがあります。何年住むつもりかを家族で言葉にしておくと、改修の範囲も決めやすくなります。
自分で住む場合は家賃不要分で回収し、貸す場合は空室リスクを伴い家賃で回収する比較
自分で住む場合と貸す場合の改修費の回収
| 観点 | 自分や家族が住む場合 | 賃貸住宅として貸す場合 |
|---|---|---|
| 改修費を取り戻す先 | 払わずに済む家賃や新しい住まいの購入費 | 借り手が払う家賃 |
| 空室の期間 | 住む人が決まっているため生まれない | 借り手が決まるまで家賃が入らない |
| 入居中の修繕費用 | 自分たちの暮らしに合わせて負担する | 所有者の負担で早く直す必要がある |
2. 貸す 空き家は、 空室と 修繕の 期間まで 見込んで 採算を 見る
直して貸す場合は、家賃の合計で改修費を取り戻していきますが、家賃が入るのは借り手がいる月だけです。工事が終わってから借り手が決まるまでの期間と、入居者が出て次の人が入るまでの期間には、家賃が入りません。
貸している間の修繕は、所有者の負担です。給湯器や水回りの故障、雨漏り、設備の不具合が起きれば、借り手の暮らしに関わるので早く直す必要があります。その費用は家賃から出すことになります。管理を不動産会社に任せるなら、その手数料も家賃から引かれます。
周辺で同じような広さの家がいくらで貸されているかは、地元の賃貸の仲介会社で募集の例を聞けば分かります。期待した家賃では借り手が付かない地域なら、改修費をどれだけ抑えても採算は合いません。直して貸す空き家再生を選ぶ前に、家賃の相場と、その家賃で借り手が付くまでの期間を確かめてください。
払わずに済む家賃で改修費を何年で取り戻せるかと、早く退去した場合の損失の時系列
改修費と払わずに済む家賃の推移
改修時
改修費の負担
雨漏り修理や水回りなど初期の工事費を出す
入居中
家賃分で取り戻す
毎年払わずに済む家賃の合計と改修費を比べる
数年後
再び空き家になる恐れ
暮らしに合わず退去すると改修費が回収できない
3. 店舗や 宿泊に 用途を 変える 空き家は、 法令の 手続きが 先に 来る
古い家を店舗や事務所、宿泊の施設に変える空き家再生は、住まいとして直すより手続きが多くなります。建物の用途を変えると、用途と規模によっては建築の確認の手続きが要ります。防火や避難の設備を加える工事が必要になる場合もあります。
宿泊に使うなら、旅館業法の許可か、住宅宿泊事業法の届出が要ります。飲食店なら保健所の営業の許可が要ります。どの手続きが要るかは、建物の規模や場所で変わります。計画を固める前に、市区町村や都道府県の建築の窓口と、保健所に相談するのが順番です。
用途を変える再生は、所有者が自分で事業をするか、事業をする人に貸すかのどちらかになります。自分で事業をしないなら、借りてくれる事業者が先に見つかっていることが前提です。改修の後に借り手を探す順番では、事業者が求める間取りや設備と合わず、もう一度工事をすることになりかねません。
4. 空き家再生等推進事業と、 市町村の 補助金制度の 探し方
空き家の改修に使える補助金制度は、多くが市町村の制度です。国の空き家再生等推進事業は、空き家の除却や活用に取り組む地方公共団体を国が支える仕組みです。所有者が直接申し込む先は、その仕組みを使って制度を設けている市町村になります(空き家対策(国土交通省))。
市町村の補助金には、改修の費用を一部補助するもの、空き家バンクに登録した家の改修を対象にするもの、移住して住む人が直す場合に限るものなど、条件の違う制度が並びます。同じ県の中でも、市町村ごとに有無も中身も違うので、家のある市町村の窓口で確かめるのがいちばん確実です。
補助金を使うときに見落としやすいのは、申請の時期と、補助を受けた後の条件です。制度によっては、工事の契約や着工の前に申請しなければ対象になりません。補助を受けた後に一定の期間、住むか貸すかして使い続けることも条件になっています。期間の途中で売ると、補助金の返還を求められることもあります。
補助金があるから直す、という順番は避けてください。補助の額に合わせて工事を広げると、自己負担の額も一緒に増えます。使う予定と改修の範囲を先に決め、その工事が補助の対象になるかを後から確かめる順番にすると、補助金が判断を引っ張ることがなくなります。
そのまま 売る ほうが 向いているのは どんな 空き家で、 空き家再生ビジネスは なぜ個人に 重い?
直さずに売るほうが向くのは、改修費が売値に上乗せされない家、遠方に住んでいて管理を続けられない家、一軒で貸す事業を回せない家です。3つに共通するのは、改修にかけたお金や現地に通う手間を、所有者が売値や家賃で取り戻しにくいという点です。

1. 改修費が 売値に 乗らない 空き家
改修した分だけ売値が上がるとは限りません。土地の値段に比べて建物の価値が小さい地域では、買う人が建物を壊して建て替える前提で値段を考えます。壁紙や設備を新しくしても、売値はほとんど変わりません。
周辺で実際にいくらで取引されたかは、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域と期間を選んで調べられます(不動産情報ライブラリ(国土交通省))。建物の古い取引の価格が土地だけの価格とあまり変わらない地域なら、改修費は売値に乗りにくいと考えてよいでしょう。
途中まで直した家も、扱いに困る形です。内装だけ新しくして水回りは古いまま、あるいは屋根は直したが床は傷んだまま、という家は、買う人にとって残りの工事の範囲が読みにくいものです。すでにかけた改修費は、価格にほとんど反映されません。
建物を壊して更地にしてから売るか、建物付きのまま売るかで迷うときは、「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事で費用と順番を確かめてから決めてください。
2. 遠くに 住んでいて 管理を 続けられない 空き家
遠方の空き家を直して使うには、工事の打ち合わせ、現地の確認、完成後の管理と、何度も現地に通う必要があります。工事の途中で骨組みの傷みが見つかったときも、現地で判断を求められることがあります。そのたびに交通費と休みの日が消えていきます。
貸す場合も、借り手の暮らしの不具合に応じるのは所有者です。管理を地元の不動産会社に任せられれば負担は減ります。ただ、管理の手数料が家賃から引かれ、空き家の地域によっては管理を引き受ける会社自体が見つからないこともあります。
直す前の段階でも、遠方の空き家は保有の費用がかさみます。草刈りや見回りの手配、火災保険の更新、近所からの連絡への対応が続きます。人が住まない家は、火災保険の引受の条件も変わります。保険の扱いは「空き家に火災保険はかけられるか」の記事で確認できます。
自分も家族も現地に通えない家は、直して使う空き家再生を選んでも、管理の手間がそのまま所有者に残ります。通える人がいないことは、売る側に寄る大きな理由の一つです。
3. 空き家再生ビジネスと して貸す 場合に 個人が 背負う もの
空き家再生ビジネスとは、古い空き家を買い取り、改修して貸すか売るかで収益を得る事業のことです。事業者は多くの物件を扱うことで、空室や想定外の修繕の損をほかの物件の収益で埋めています。
個人が自分の空き家一軒で同じことをすると、その埋め合わせができません。改修の資金を先に出し、借り手が来なければ家賃はゼロで、大きな修繕が一度起きれば数年分の家賃が消えます。入居者とのやり取り、退去後の原状回復、毎年の確定申告での不動産所得の計算も、所有者一人で抱えることになります。
空き家は再生するより売却したほうが簡単に現金になるのは、この損の可能性ごと買い手に渡せるからです。もちろん売った額は、改修して貸した場合に見込める収入の合計より小さくなります。差額は、所有者が引き受けずに済んだ空室と修繕の損の値段だと考えると、比べやすくなります。
自分の空き家を事業として回せるかどうかは、改修費を出しても生活に響かない資金があるか、空室が1年続いても困らないか、修繕の連絡に応じられるかの3つで判断できます。どれか一つでも難しいなら、貸す空き家再生は個人には重い選択です。
改修費が売値に乗らない、遠方で管理できないなど、そのまま売るべき家の特徴
そのまま売るほうが向いている空き家の条件
改修費が売値に乗らない家
建物の価値が小さく、直しても売値が変わらない
遠方で管理できない家
工事の確認や貸した後の不具合対応に通えない
一軒で貸す事業を回せない家
管理手数料が引かれ、所有者が費用を取り戻しにくい
尾道 空き家再生プロジェクトの 成功事例と 失敗事例は、 どこで 分かれた?
空き家再生の成功事例に共通するのは、家を直す前に使う人と使い方が決まっていることです。失敗事例の多くは、その順番が逆になっています。分かれ目は、改修の工事を始める時点で、住み手や借り手がすでにいたかどうかです。

1. 成功事例に 共通する 空き家の 条件
空き家再生の成功事例としてよく名前が挙がるのが、広島県尾道市の尾道空き家再生プロジェクトです。坂と路地の多い尾道には、車が入れず建て替えも難しい古い家が多く残っています。地域の団体が市の空き家バンクとも連携しながら、その家に住みたい人と家とをつなぎ、住み手が自分で手を入れていく形で活用を続けてきました。
この例から読み取れる条件は、所有者にとっても当てはめやすいものです。町そのものに住みたい人がいて、その人たちが多少の不便を承知で古い家を選んでいること。改修の手間の一部を住み手が引き受け、所有者が大きな改修費を先に出さずに済んでいること。そして、地域の団体や役所が、家と住み手を探し合わせる窓口になっていることです。
成功事例に見えるものの多くは、建物の出来より、使う人が先にいたという順番で成り立っています。立派な改修をしたから人が来たのではなく、住みたい人がいたから、その人に合わせて直す範囲が決まったという順番です。
2. 失敗事例に 多い 空き家再生の 形
失敗事例に多いのは、改修を先に終えてから借り手や買い手を探す形です。内装も設備も新しくしたのに、立地や家賃が地域の需要と合わず、借り手が付かないまま改修費だけが残ります。
補助金に合わせて工事を広げた形もよく見られます。補助の上限まで使おうとして工事の範囲を大きくすると、自己負担も増えます。さらに活用の期間の条件が付いて、途中で売る道も狭くなります。
工事の途中で骨組みの傷みが見つかり、追加の費用が重なる形も典型的です。床を剥がして初めて土台の腐りが分かり、見積もりの額が大きく膨らみます。途中でやめることも続けることも難しくなります。
家族の合意がないまま一人で改修を始め、後で売ることになったときに改修費の精算で揉める形もあります。相続した家で兄弟の一人が工事費を出していると、売った代金をどう分けるかの話が、改修費をどう扱うかの話に変わってしまいます。
3. 自分の 空き家に 当てはめる ときに 見る 点
成功事例を自分の家に当てはめるときは、建物ではなく町と人から見ていきます。家のある地域に、古い家を探して移り住む人がいるかどうかは、市町村の空き家バンクにどんな家が登録され、どれくらい成約しているかを窓口で聞けば見当がつきます。
次に、住み手が自分で手を入れる形を受け入れられるかを考えます。所有者が全部を直してから貸すのではなく、最低限の修理だけをして、住み手が内装を直すことを認める貸し方なら、所有者の改修費は小さく済みます。ただし、住み手が手を入れた部分を出ていくときにどう扱うかを、最初に決めておく必要があります。
最後に、自分がいつまでなら待てるかを決めます。住み手が見つかるまで待てる期間を決めておかないと、成功事例の形を目指したまま、空き家の期間だけが延びていきます。待てる期間を過ぎたら売る、と決めておけば、失敗事例の形に入り込まずに済みます。
使う人が先に決まってから直す成功事例と、改修後に借り手を探す失敗事例の違い
空き家再生の成功事例と失敗事例の違い
| 観点 | 成功事例 | 失敗事例 |
|---|---|---|
| 使う人と使い方の決定 | 家を直す前に決まっている | 改修を先に終えてから探す |
| 改修費の負担 | 住み手が手間を引き受け先出しを抑える | 補助金に合わせて工事を広げ自己負担が増える |
| 工事途中の傷み発見時 | 住み手に合わせて直す範囲を決める | 追加費用が重なりやめることも難しくなる |
「尾道空き家再生プロジェクトの成功事例と失敗事例は、どこで分かれた?」について、そのまま聞けます。
空き家再生を 決める 前に、 書類と 家の 状態を そろえる
最初にするのは名義と税の書類、家の傷みの記録の2つを手元にそろえることです。これがないと、改修の見積もりも売った場合の金額も正確に出ません。そろえる書類の量は、登記の名義が亡くなった方のままかどうかで大きく変わります。

1. 空き家の 名義と 固定資産税の 書類を 手元に 集める
まず、法務局で登記事項証明書を取り、いまの名義人が誰になっているかを確かめます。名義が亡くなった方のままなら、相続登記の期限は「相続した空き家は、名義の期限も同じ時期に動く」の節で書いたとおりです。申請に要る書類は法務省の案内で確かめられます(相続登記の申請義務化について(法務省))。
次に、毎年届く固定資産税の納税通知書と課税明細書を用意します。課税明細書には、土地と家屋が別の行で載っています。住宅用地の特例が効いているかは、土地の行にある「小規模住宅用地」「一般住宅用地」といった区分や、住宅用地の面積の欄で確かめます。課税標準額が評価額より小さいことだけでは見分けられません。負担調整の措置や商業地等の上限の扱いでも小さくなるためです。区分の読み方が分からなければ、市区町村の資産税の担当で確かめてください。市区町村の税務の窓口で名寄帳を取ると、その市区町村にある名義の不動産が一覧で出ます。家の前の私道の持分が見つかることもあります。
建てたときの書類も探してください。建築確認の確認済証や、工事が終わったときの検査済証があれば、増築の履歴や建物の扱いを確かめやすくなります。測量図や境界の書類、建てたときの売買契約書や工事の契約書も、売る場合の税の計算に使います。片づけの前に取り分けておくのが安全です。
書類がそろうと、改修の業者にも、買い取りや仲介の会社にも、同じ前提で話を持ち込めます。名義や私道の持分が分からないまま見積もりを取ると、後でその分の条件が付いて、比べるはずの金額がそろわなくなります。
登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、建築時の確認済証など事前に集める書類
空き家再生を決める前にそろえる書類
登記事項証明書
いまの名義人が誰になっているかを確かめる
納税通知書と課税明細書
住宅用地の特例の有無や私道の持分を確かめる
建築確認の確認済証など
増築の履歴や建物の扱いを確かめる
2. 空き家の 傷みを 写真と 日付で 残す
書類と並べて、家の状態を写真で記録します。撮るのは、屋根と外壁、天井のしみ、床の沈み、柱や敷居の傾き、台所や浴室、トイレの水回り、そして家財がどれだけ残っているかです。
撮る日は分けず、同じ日にまとめて撮ってください。日によって天気も明るさも変わるので、別の日の写真を並べると傷みの進み方を取り違えます。写真に日付が残る設定にしておけば、半年後にもう一度撮ったときに、どこがどれだけ傷んだかを比べられます。
電気と水道が使えるかどうか、鍵がどこにあるかも、このときに確かめます。改修の業者も買い取りの会社も、現地を見るときには水回りを流してみたり、明かりをつけて床や壁を見たりします。通電と通水が止まっていると、確認できる範囲が狭くなり、その分を見積もりで多めに見られることがあります。
写真があれば、遠方の家族とも家の状態を同じ目で見ながら、直すか売るかを話し合えます。改修の見積もりを依頼するときにも先に送っておくと、現地で業者が見るべき場所が絞られ、見積もりの精度が上がります。
空き家再生の 改修費と 売った 場合の 手取りは、 どう 並べて 比べる?
比べるのは、改修の見積もり額に使い始めるまでの保有の費用を足した額と、売った場合に手元へ残る額です。どちらも同じ時期に、同じ家の状態を前提に取ります。改修の見積もりは使い道で額が大きく変わるので、住むか貸すかを先に一つに決めてから依頼します。

1. 空き家の 改修の 見積もりは、 使い道を 一つに 決めてから 取る
自分が住むための改修と、人に貸すための改修では、手を入れる範囲が違います。住むなら、自分の暮らしに合わせて間取りや設備を選べます。貸すなら、地域の借り手が求める水準に合わせ、壊れにくく直しやすい設備を選ぶことになります。使い道があいまいなまま見積もりを取ると、どちらにも合わない中途半端な額が出てきます。
見積もりは2社以上から取り、同じ範囲の工事で比べてください。見積書に何が含まれていないかも確かめます。床や壁を剥がした後に見つかる骨組みの傷み、家財の処分、設計や申請の費用、工事中の仮の住まいは、見積書の外に置かれやすい費用です。
比べるときの改修側の額は、見積もりの額に、工事が終わって使い始めるまでの保有の費用を足したものです。固定資産税、火災保険、電気や水道の基本料金、草刈りや見回りの交通費は、工事の間も止まりません。この合計が、空き家再生にかかる額の全体になります。
2. 売った 場合の 金額と 税を、 同じ 時点で 出しておく
売った場合の金額は、改修の見積もりと同じ時期に取ります。仲介で売り出したときの査定額と、買い取りの会社が出す提示額は、性格の違う数字です。仲介の査定額は、売り出しの目安です。その額で買う人が現れるかは、売り出してみないと分かりません。買い取りの提示額は、その額で契約できる数字です。
手元に残る額は、どちらも価格から費用を引いて出します。仲介なら仲介手数料と、売れるまでの保有の費用が引かれます。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんが、価格の中で家財の処分や改修にかかる分が先に引かれています。
相続した家を売るときは、税の特例が使えるかどうかで手取りが大きく変わります。被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。根拠は租税特別措置法第35条第3項です(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。令和6年1月1日以後に売った場合、その家屋と敷地を取得した人が3人以上いるときは、1人あたりの控除の上限は2,000万円になります。数えるのは相続人の総数ではなく、家屋と敷地を取得した人の数です。
空き家再生を考えている人が見落としやすいのは、この特例の主な要件の1つに、相続の時から売る時まで、その家を事業や貸し付け、居住に使っていないことが含まれている点です。直して自分が住んだり人に貸したりすると、その後に売っても特例は使えなくなります。
ほかにも、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、相続の開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどの要件があります。
耐震の要件は、売った日で扱いが変わります。令和5年12月31日までの売却では、売主が売る前に家屋を耐震の基準に合わせるか、取り壊して土地だけにして売る必要がありました。令和6年1月1日以後の売却では、それに加えて、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修をするか取り壊した場合も、特例の対象になります。たとえば令和8年中に売ったなら、買主の工事の期限は令和9年2月15日です。売主が耐震の工事も取壊しもせずに現況のまま売っても、買主がこの期限までに工事を終えれば、特例を使える場合があるということです。全部は国税庁のページで確かめてください。要件の読み方は「空き家3000万円控除の条件」の記事で、判定の順に並べています。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
改修の見積もりに保有費用を足した額と、売却価格から諸費用を引いた手取り額の比較
改修費と売却時の手取り額の比べ方
| 観点 | 改修して使う場合 | そのまま売る場合 |
|---|---|---|
| 比べる金額 | 見積もり額に使い始めるまでの保有費用を足す | 価格から費用や税を引いて手元に残る額 |
| 金額を出す前提 | 住むか貸すかを一つに決めてから依頼する | 改修の見積もりと同じ時期・同じ状態で取る |
| 保有の費用の扱い | 工事の間も止まらず全体額に加わる | 売れるまでの保有費用が引かれる |
自治体の 空き家の 窓口に 相談し、 空き家再生を やめる 期限を 決める
見積もりと売った場合の金額がそろったら、市区町村の空き家の窓口で補助金と空き家バンクの扱いを確かめます。そのうえで、再生を続けるかやめるかの期限を日付で決めます。補助を受けられるかどうかは、申請の前に工事の契約や着工をしていないかで分かれることがあります。

1. 空き家の 窓口で 確かめる 4つの こと
空家法は、市町村が空き家の対策を計画的に進める仕組みを定めています。多くの市区町村に、空き家の相談の窓口が置かれています(空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索))。窓口で聞くことを4つに絞っておくと、一度の相談で判断に要る材料がそろいます。
- 自分の家の改修が、市区町村の補助金の対象になるか、申請はいつまでにするか
- 空き家バンクに登録する条件と、登録された家の成約の様子
- 自分の家が、管理不全空家等や特定空家等として指導を受ける状態になっていないか
- 店舗や宿泊に使う場合に相談する、建築と営業の許可の窓口はどこか
補助金と空き家バンクの話を同じ日に聞いておくと、補助を受けて直した家を空き家バンクで貸す、という組み合わせが成り立つかも分かります。補助の条件に活用の期間があるなら、その期間の長さも必ず聞いてください。売る道を残しておきたい場合、その期間が判断を左右します。
指導を受ける状態かどうかを聞くのは、勧告まで進むと住宅用地の特例が外れ、固定資産税の前提が変わるからです。指導の段階で改善の手入れをすれば、勧告には至りません。
補助金の対象になるか、空き家バンクの条件、指導を受ける状態かなどの4つの確認事項
自治体の空き家窓口で確かめること
補助金の対象と申請期限
改修が補助の対象になるかと、申請の期限
空き家バンクの条件と成約
登録する条件と、登録された家の成約の様子
指導を受ける状態かどうか
管理不全空家等や特定空家等になっていないか
建築と営業の許可の窓口
店舗や宿泊に使う場合にどこへ相談するか
2. 空き家再生を 続ける かやめるかの 期限を 先に 決める
空き家再生を選んだ場合でも、やめる日を先に決めておきます。たとえば「次の1月1日までに住み手か借り手が決まらなければ売る」と決めておけば、固定資産税の課税が一年分増える前に判断できます。
期限の候補になる日付は、家ごとに違います。相続登記の期限、補助金の申請の締め切り、税の特例の売却の期限、火災保険の更新日などを並べ、いちばん早く来る日を目安にしてください。日付を決めずに待つと、「もう少し待てば借り手が見つかるかもしれない」という見込みのまま、保有の費用だけが積み上がります。
待つ一年が手取りをいくら減らすかは、「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事の計算の仕方で出せます。その額と、直して使ったときに見込める価値を比べれば、待つ期限が妥当かどうかを自分で確かめられます。
家族で共有の家なら、この期限を全員で決めておくことも大事です。期限が来たら売るという合意を先に作っておくと、期限が来た時点で誰かが反対して話がまた止まる、という事態を避けやすくなります。
「自治体の空き家の窓口に相談し、空き家再生をやめる期限を決める」について、そのまま聞けます。
空き家再生を せずに 当社へ 売る 場合の 流れと、 当社が 買い取れない 空き家
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「空き家再生をせずに当社へ売る場合の流れと、当社が買い取れない空き家」について、そのまま聞けます。
空き家再生か 売却かは、 使う 予定と 二つの 金額で 決まる
- 空き家再生で手元にお金が残るのは、住む人か借りる人が日付まで決まっていて、改修費をその後の家賃や暮らしで取り戻せる家です。使う予定が「いつか」のままの家は、直すほど手取りが減ります。
- 直すか売るかは、築年数と骨組みの傷み、残置物の量、前面道路が私道かどうか、使う予定の有無の4つで振り分けられます。診断のチェック表で売る側に印が多い家は、売った場合の金額を先に出しておくのが安全です。
- 比べる二つの金額は、改修の見積もりに保有の費用を足した額と、売った場合に手元へ残る額です。同じ時期に同じ家の状態で取り、勧告の時期や相続登記の期限、税の特例の要件と合わせて、続けるかやめるかの期限を日付で決めてください。
当社は空き家を直さないまま現況で買い取り、家財の処分と改修にかかる分を差し引いた額で代金をお支払いします。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
空き家再生と 空き家問題に ついての よく ある 質問
Q1. な ぜ 空き家問題は 難しいのですか
空き家問題が難しいのは、一軒ごとに見れば所有者の判断の問題なのに、原因は世帯の暮らし方の変化という社会全体の流れにあるからです。親の家を子が住み継がないのは、どの家族にとっても自然な選択で、誰かが間違えた結果ではありません。そのうえ相続で所有者が複数になると、片づけや名義の話で意見がそろわず、決める人がいないまま年が過ぎていきます。一軒の空き家について言えば、使う人を決めるか、使う人に渡すかを決めることが、問題をほどく入り口になります。
Q2. 空き家は 一般的に 何年で 住めなくなりますか
何年で住めなくなるという決まった年数はありません。傷みの進み方は、換気や通水をしているか、雨漏りがあるかで大きく変わります。年に数回でも窓を開けて風を通し、水を流している家は、長く空いていても内装の手入れで住める状態に戻せることがあります。反対に、屋根の傷みを放置して雨が入り続けた家は、数年のうちに柱や床まで傷み、骨組みからの工事が要ることもあります。年数より、天井のしみや床の沈みが出ているかどうかで、住める状態からの距離を見てください。
Q3. 空き家の 固定資産税は いつから 6倍に なりますか
市町村から勧告を受け、その状態のまま1月1日を迎えた年度の課税からです。地方税法第349条の3の2の住宅用地の特例で6分の1に抑えられていた課税標準が、勧告を受けた敷地では元に戻るため「6倍」と言われます。ただ、負担調整の仕組みがあるので、税額がそのまま6倍になるとは限りません。勧告の前には指導の段階があり、そこで手入れをすれば勧告に進まないことがあります。役所から封書が届いたら、指導か勧告かと日付を確かめるのが最初の一歩です。
Q4. 空き家を なくすには どうしたら いいですか
自分の空き家をなくす道は、住む、貸す、用途を変えて使う、売って次の持ち主に使ってもらう、建物を壊して土地として使うか売る、のどれかです。どの道でも、最初に決めるのは誰がその家や土地を使うかです。使う人が家族の中にいなければ、貸すか売るかで外の人に使ってもらうことになります。貸すなら借り手が付く家賃と修繕の負担を、売るなら手元に残る額を確かめます。市区町村の空き家の窓口では、空き家バンクや補助金の制度も合わせて聞けます。
Q5. 2026年に おける 空き家問題は どうなりますか
空き家の数がこの先どう動くかを、当社が言い切ることはできません。ただ、所有者にとって日付の決まっている期限はあります。相続登記の義務が始まった2024年4月1日の時点で、実家を受け継いだことをもう知っていたなら、名義を移す期限は2027年3月31日です。不動産登記法第76条の2第1項に基づくこの期限は、法務省が案内しています。相続した空き家の3,000万円控除は、租税特別措置法第35条第3項で令和9年12月31日までの売却が対象です。空き家の行く末を予想するより、自分の家に当てはまる期限を書き出しておく方が判断に役立ちます。
Q6. 空き家再生の 改修費は、 売る ときの 価格に 上乗せできますか
上乗せできるかどうかは、買う人がその改修を使うかどうかで決まります。建物を残して住むつもりの買い手が多い地域なら、雨漏りの修理や水回りの入れ替えは価格に反映されやすくなります。建て替えを前提に買われる地域では、内装や設備を新しくしても価格はほとんど変わりません。途中まで直した家は、買う人にとって残りの工事が読みにくく、すでにかけた改修費が価格に乗りにくい形です。売る可能性が少しでもあるなら、改修を始める前に売った場合の金額を一度取っておいてください。
当社の 見方
当社では、空き家を直して使うか売るかで迷っているというご相談を多くいただきますが、買い取れない物件や、売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。ご相談の中では、直せば使える見込みがあるのに急いで手放そうとされる方もいれば、修繕の手間や費用を抱えたまま何年も決めきれずにいる方もいます。売却を選ぶ場合、当社ではご相談から買取価格のご提示までが目安30分、ご契約までが目安1〜2週間、お引き渡しは早ければ2週間以内で、お引き渡しと同時にご入金します。売るときにも、一般には売買契約書の印紙代、抵当権の抹消登記の費用、住所変更登記の費用、相続した物件では相続登記の費用がかかるため、修繕の見込み額と並べて比べることをおすすめしています。再生か売却かを決める前に、まず手放した場合の金額と手残りを知っておくと、直す価値があるかどうかを落ち着いて判断しやすくなります。当社は全国(47都道府県)に対応していますので、遠方にある空き家でも、売った場合の金額を確かめてから再生と比べていただけます。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:地方税法、空家等対策の推進に関する特別措置法出典:総務省統計局、国土交通省、法務省、国税庁
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(7件・に確認)
更新履歴
- 第1版公開
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