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空き家のゆくえ買取くん

空き家

実家じまいは買取業者に頼める?片付け前に売る条件

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
実家じまいは買取業者に頼める?片付け前に売る条件

「相続した実家を手放したいが、片付けや解体に回せるお金が手元にない」。片付けや解体の費用を先に出せない実家は、家財を残したまま買取業者に売り、その費用を価格から差し引いてもらえば、持ち出しなしで手放せます。手取りは、片付けてから仲介で売れた場合より少なくなります。

当社は家財と傷みを残したままの実家を自己資金で買い取り、片付けと解体にかかる費用は価格から差し引きます。親が預かっていた他人の荷物など、処分してよいか確かめられない物が残る家は、確かめがつくまで契約に進みません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(6章)

実家じまいの片付けが済んでいなくても、買取業者に相談できます

約1分で簡単査定を申し込む

この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

取引態様:買主(当社が自ら買い取ります)/媒介(当社で買い取れない物件は、仲介で売却をお手伝いします)

実家じまいで買取業者は何を引き取る?片付け業者との違い

実家の居間で、家族が家具の引き出しを開けて中を確認している

不動産の買取業者は、家財が残ったままの実家を土地と建物ごと買います。引き渡しの日には、名義も管理の責任も買主へ移ります。

片付け業者や不用品回収業者が引き受けるのは、家の中の物だけです。何度片付けを頼んでも、家と土地の所有者は変わりません。固定資産税は、毎年1月1日に所有者として登記されている人に課されます。売るまでは、毎年の納税通知書が相続人の手元に届きます。相続登記の申請にも、相続で取得したと知った日から3年以内という期限があります。

実家じまいは、家の中を空にする「片付け」と、家そのものを手放す「売る」の2つの仕事でできています。どちらを誰に頼むかで、先に出ていくお金も、終わるまでの期間も変わります。

実家の買取と仲介の違いは、買主が業者か一般の人か

買取では、不動産会社が自ら買主になります。仲介では、不動産会社が売主と一般の買い手の間に入って契約をまとめます。同じ「不動産会社に売却を頼む」でも、代金を払う人がまるで違います。

仲介で売る場合の買い手は、自分が住む家を探している一般の人です。住宅ローンの審査を受け、内覧で家の中を見て、気に入れば購入を申し込みます。家財が床を覆っている家や、天井に雨染みのある家は、内覧の段階で候補から外れやすくなります。そのため仲介では、売り出す前に片付けを済ませ、場合によっては修繕や解体まで先に手当てすることになります。成約すれば仲介手数料がかかります。その上限は、宅地建物取引業法第46条にもとづいて国土交通大臣が定めています。

買取では、買主の業者が家財や傷みを前提に価格を決めます。買った後に家財を処分し、解体や修繕をして次の買い手に渡すまでの費用と時間は、業者の側が負います。売主は片付けも内覧の立ち会いも要らず、当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません。

そのかわり、業者が負う費用と、次の買い手が付くまでの期間の分が差し引かれます。価格は、仲介で売れた場合の想定額より低くなります。

買取と仲介の主な違い

  • 買主

    買取は不動産会社、仲介は一般の人

  • 片付け・修繕

    買取は業者が負う、仲介は売主が先に済ませる

  • 仲介手数料

    当社の買取はかからない、仲介は成約時にかかる

  • 売却価格

    買取は費用分が引かれ、仲介の想定額より低くなる

どちらが手元に多く残るかは、2つの額を並べるまで決まりません。買取で差し引かれる分と、仲介で売るまでに自分が払う片付け・修繕の費用です。売れるまでの固定資産税や、通うための交通費も仲介の側の出費に入ります。手取りの差が生まれる理由と仲介が向く家の条件は、「空き家を買取で売るデメリット」の記事で扱っています。

片付け業者・不用品回収業者・不動産の買取業者で、実家じまいに頼める範囲

3つの業者は名前が似ていても、引き受ける物と、頼んだ後に相続人の手元に残る物が違います。

頼む先引き受けること頼んだ後も手元に残るもの
片付け業者(遺品整理を含む)家財の仕分け・運び出し・清掃家と土地の名義、固定資産税、建物の管理
不用品回収業者不要になった物の回収家と土地の名義、固定資産税、回収されなかった物
不動産の買取業者家財が残った家と土地の購入売った代金(家財の処分費は価格から差し引かれる)

片付け業者と不用品回収業者の仕事は、家の中を空にするところまでです。家庭から出る不用品を回収して処分するには、市区町村の一般廃棄物の収集運搬の許可か、市区町村からの委託が要ります(廃棄物処理法)。無料回収を呼びかけて車で回る業者の中には、この許可を持たない者もいます。頼む前に、業者が名乗る許可を、実家のある市区町村の清掃の担当課で確かめてください。

家財の中の値打ちのある物を買い取る店は、古物営業法の許可を受けて営業しています。片付け業者が家財の一部を買い取り、その分を作業費から引く場合も、同じ許可が要ります。

不動産の買取業者の仕事は、家と土地を買うことです。家財が残っていても買えますが、家財を処分する費用は、その分だけ価格から引かれます。

つまり、片付け業者に頼むか、家財ごと買取業者に売るかは、家財の処分費を先に自分で払うか、価格から差し引いてもらうかの違いとも言えます。片付けを頼んだ後で、家をどう手放すかの決めごとは別に残ります。

実家を空き家のまま持ち続けるリスクと、管理不全空家・相続登記の期限

空き家のまま持ち続けると、毎年の税と管理の手間がかかります。そこに、市区町村の勧告で税の軽減が外れるリスクと、相続登記の期限が重なってきます。

令和5年の空家法の改正で、そのまま放っておけば特定空家等になるおそれのある空き家を「管理不全空家等」として扱う仕組みができました。空家等対策の推進に関する特別措置法第13条により、市区町村長はその所有者に指導をし、なお特定空家等になるおそれが大きいときは勧告できます(国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)。

勧告を受けたときに変わるのは、実家の土地にかかる固定資産税です。今の税額が抑えられているのは、親の家が建っているあいだ、その土地に住宅用地の特例が効いているからです。課税標準は、200平方メートル以下の部分で価格の6分の1、超える部分で3分の1まで下がります(地方税法第349条の3の2)。管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、その敷地は特例の対象から外れます。実家の建物に何の変化が無くても、土地の税は特例の無い計算に戻ります。

実家の名義を親のままにしておける期間にも限りがあります。親が亡くなったのが何年も前でも、名義を移していない実家には今から登記の義務がかかります。その場合の申請の期限は2027年3月31日です。2024年4月1日の施行日と、実家を相続で取得したと知った日を比べ、遅い方から3年と数える決まりだからです。これから親の相続が始まる場合は、取得を知った日から3年のうちに申請します。正当な理由が無いまま申請しないでいると、10万円以下の過料の対象です(法務省「相続登記の申請義務化について」)。

買取業者が買い取った後の流れ

  1. 1

    業者が実家を買い取る

    家財や傷みを前提に業者が自ら買主となり買い取る

  2. 2

    家財の処分

    業者の費用と時間で残った家財を処分する

  3. 3

    解体や修繕

    次の買い手に渡すための解体や修繕を行う

遺産の分け方の話し合いが長引くときは、相続人であることを登記官に申し出る相続人申告登記(不動産登記法第76条の3)という方法もあります。ただし、実家を売るときは、改めて相続登記を済ませておく必要があります。

人が住まなくなった家では、瓦のずれや塀の傾きに気づくのが遅れます。台風で屋根材が飛び、隣の家や通行人に損害を与えると、所有者が賠償を求められることがあります。空き家になった後の火災保険の扱いも、住んでいた頃と同じとは限りません。どんな場合に所有者が責任を負うかは「空き家の放置で責任と賠償を負う条件」の記事にあります。

「実家じまいで買取業者は何を引き取る?片付け業者との違い」について、そのまま聞けます。

実家じまいは片付けが先か、家財ごと買取業者に売るか?

粗大ごみの片付けを進めるため、通水を行った実家の室内を広く見渡し、家族がシロアリの被害がないか確認している

片付けや解体の費用と、現地に通う時間を自分で出せないなら、家財ごと買取業者に売る方が向きます。

反対に、費用と時間を出せて建物もまだ使えるなら、片付けてから仲介で売る方が手取りは多くなります。実家の処分に、誰にでも当てはまる正解は無いのです。買取が正解になるのは、売るまでに自分が背負う負担が重いときです。

その負担を測るのが、家財の量・建物の傷み・家までの距離・手元の資金、そして相続から3年がたつ日のある年の12月31日という空き家特例の期限です。実家の売却方法の判断基準は、価格の高さだけではありません。売るまでに自分が出すお金と時間の量も、同じ重さで比べます。

1. 家財が多く遠方で、片付けにお金を回せない実家は、家財ごと買取業者へ

家財が部屋を埋めていて、実家まで遠く、片付けの費用を先に払えない場合があります。そのときは、家財ごと買取業者に売るのが最も持ち出しの少ない道です。

片付け業者への支払いは、家が売れて代金が入るより前に来ます。売れる時期が決まらないうちに、まとまった額を立て替えることになります。

自分たちで片付ける場合も、費用が消えるわけではありません。遠方から通えば往復の交通費と仕事の休みが、家財の量に比例して増えていきます。週末ごとに通っても、一部屋ずつしか進まない家は珍しくありません。粗大ごみの収集は回数や量に決まりのある市区町村が多く、一度に出せる量にも限りがあります。

家財ごと売る場合は、家財の処分費が価格から差し引かれる形になるため、売主が立て替えるお金は出ません。家の中を見るのも、鍵を預かった業者だけで済ませられることがあります。相続人が現地に行かずに売るまでの段取りは、「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事で郵送と委任の手順として扱っています。

実家の近くに相続人が住んでいて、平日の夕方や週末に通えるなら、話は変わります。家族で仕分けて粗大ごみを市区町村の収集に出していけば、処分費は業者に頼むより抑えられます。家財が減った分だけ、仲介で売り出せる状態にも近づきます。

実家の売却方法の判断基準

  • 費用と時間を出せない

    家財ごと買取業者に売るのが最も持ち出しが少ない

  • 費用と時間を出せる

    片付けてから仲介で売る方が手取りは多くなる

  • 週末などに通える

    家族で仕分けて粗大ごみに出せば処分費を抑えられる

2. 建物が古く傷んだ実家は、仲介では買い手が付きにくい

雨漏りやシロアリの被害、床の沈みがある実家は、仲介で一般の人に売ろうとしても買い手が付きにくくなります。買取業者に傷みごと買ってもらう方が、早く決着します。

一般の買い手が探しているのは、買ったその日から住める家か、少し手を入れれば住める家です。屋根や土台の修繕が要る家は、買い手が修繕の見積りを取ってから判断するため、話が進むまでに時間がかかります。住宅ローンを使う買い手の場合は、金融機関が建物をほとんど評価しないことも話を止める原因になります。

売った後の責任も変わります。仲介で一般の人に売った後、雨漏りなど契約の内容と違う不具合が見つかることがあります。そのとき売主は、修補や代金の減額を求められることがあります(契約不適合責任)。相続した実家は、売主自身が住んでいなかった期間が長く、不具合を知らないまま売ってしまうことも起こります。買取業者が買主の場合は、この責任を売主が負わない取り決めで契約することができます。

建物は傷んでいても土地の立地が良く、更地にすれば住宅の用地として買い手が付く実家なら、解体してから仲介で売る方が手取りが多くなることがあります。

ただし解体費は先払いで、更地のまま1月1日を迎えた年度からは、住宅用地の特例が外れて土地の税が上がります。解体費の目安と、解体して売るか現況で売るかの比べ方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にあります。

3. 時間をかけても相場に近い値段で売りたい実家は、片付けてから仲介

売れるまで時間がかかっても構わず、片付けの費用も出せるなら、片付けてから仲介で売る方が、買取より手元に残る額は多くなります。

仲介の価格は、一般の買い手どうしが比べ合って決まります。そのため、周辺で実際に取引された価格に近づいていきます。周辺の取引価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域と土地の面積を絞って調べられます。

この道を選ぶなら、売り出しの前にやることが3つあります。家財を運び出して内覧できる状態にすること、境界の目印や越境の有無を図面と現地で確かめておくこと、売り出し価格を下げる時期と下限を家族で決めておくことです。

価格を下げる時期を先に決めておくのは、相続人どうしの意見が売り出した後に割れやすいからです。一人は早く売りたく、一人はもう少し待ちたいという状態で反応の無い月が続くと、値下げの判断のたびに話し合いが止まります。

成約したときには、法の上限の範囲で仲介手数料がかかります。買い手が見つかるまでの間も、固定資産税と火災保険料、草刈りや通水のために通う交通費は、所有者が払い続けます。

売り出してから反応の無い期間が長引いたときは、この道を続けるかを見直します。値下げを重ねても問い合わせが入らない実家は、途中で買取に切り替える判断もあり得ます。切り替える時期を売り出す前に決めておけば、迷う時間が短くなります。

4. 建物が残る実家は、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらえない

建物が建ったままの実家の土地は、相続土地国庫帰属制度の申請ができません。国に引き取ってもらう道は、解体を済ませるまで開きません。

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件のもとで国に引き渡せる制度です。窓口は法務局です。建物がある土地は申請できない土地とされているため、実家の建物を残したままでは入口で外れます(法務省「相続土地国庫帰属制度について」)。

解体してから申請する場合は、解体費をまず自分で払います。そのうえで審査の手数料を納め、承認されれば負担金も納めます。負担金は、宅地なら原則20万円です。審査の間も、土地の固定資産税は所有者が払い続けます。家財ごと売れば代金を受け取る側に回るのに対し、この道はお金を払う側に回るという違いがあります。

遠方の実家を自分で片付ける手順

  1. 1

    遠方から実家へ通う

    往復の交通費と仕事の休みを使い週末ごとに通う

  2. 2

    一部屋ずつ片付ける

    家財の量に比例して手間がかかり一部屋ずつ進む

  3. 3

    粗大ごみを出す

    回数や量に限りがある市区町村の収集に出す

買取業者にも断られ、立地の面で買い手がどこにも付かない土地なら、解体して国庫帰属を申請することが現実の出口になり得ます。空き家バンクや自治体への寄付も含めた引き取り先ごとの費用と条件は、「空き家の引き取り先を比較」の記事で並べています。

相続放棄も、実家だけを手放す方法にはなりません。放棄すれば預貯金などほかの財産も受け取れなくなります。放棄した時に実家を現に占有していた人は、次に管理する人へ引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません(民法第940条第1項)。

5. 親が施設に入って空いた実家は、親本人が売主になる

親が存命で、老人ホームなどに移って実家が空いた場合、名義は親のままです。売るときの売主は親本人で、子が代わりに契約を進めるには親からの委任が要ります。当社も、売主である親ご本人に売る意思があるかを、契約の前に確かめます。

親が認知症などで判断する力が十分でないと、委任も契約もできません。その場合は家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、後見人が親に代わって契約します。親が住んでいた家を後見人が売るには、家庭裁判所の許可も要ります(民法第859条の3)。申立てから売れるまでに時間がかかるため、その間の施設の費用をどう払うかを家族で決めておきます。

税の扱いも、相続した実家とは違います。空き家特例は相続した家の特例なので、親が生きているうちに親が売る場合は使えません。考える特例は、住んでいた家を売ったときの特例(国税庁のタックスアンサー「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)です。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件を満たせば、使えます。施設に移った日から期限を数え、税理士に確かめてください。

6. 自分の実家がどの売り方に当たるかを見る診断チェック表

次の5項目のうち自分の実家に当てはまるものに印を付けると、片付けを先にするか、家財ごと業者に買い取ってもらうか、仲介で売るかの向きが分かります。

  • □ 家財が部屋の床を覆うほど残っていて、家族だけで片付けると何か月もかかりそうだ(家財の量)
  • □ 雨漏り・シロアリ・床の沈みのどれかがあり、住むには直す必要がある(建物の状態)
  • □ 実家まで、日帰りで往復するのが難しい場所に住んでいる(家までの距離)
  • □ 空き家特例の売却期限まで1年を切っている、または期限がいつか分からない(空き家特例の期限)
  • □ 片付けや解体の費用を、売る前に立て替える余裕がない(手元の資金)
当てはまった項目向く売り方理由
どれにも当てはまらない仲介で売る費用と時間を出せ、建物も使えるため、買い手どうしの比べ合いで価格が決まる
家財の量だけ片付けを先にする建物が使え、距離と資金に余裕があれば、片付けた分だけ仲介で売れる幅が広がる
手元の資金か家までの距離家財ごと業者に買い取ってもらう片付け費の立て替えと、現地への往復が要らない
建物の状態か空き家特例の期限家財ごと業者に買い取ってもらう買い手探しの期間が読めず、期限に間に合わないおそれがある

印が家財の量と手元の資金の両方に付いても、建物はまだ使える実家もあります。その場合は、片付けの費用を差し引いた買取の価格と、自分で片付けてから仲介で売ったときの見込みの額を、両方とも出してもらってください。2つの差額が、片付けの手間と待つ期間にいくら払うかの値段になります。

空き家特例の期限に印が付いた場合は、ほかの項目より先に期限の日付を確かめます。期限を過ぎてから売ると、売り方をどう選んでも特例は使えません。

「実家じまいは片付けが先か、家財ごと買取業者に売るか?」について、そのまま聞けます。

実家じまいで買取業者を選ぶポイントは?契約前に確かめる3つの手順

家族が1枚の白紙を前にして話し合っている(実家の食卓で)

選ぶポイントは、価格の根拠を書面で出すか、契約を急がせないか、空き家特例と書類の段取りまで話せるかの3つです。どれも署名の前に確かめられます。

金額の大きさだけで業者を決めると、契約の後になって差し引かれる費用が増えることがあります。特例の期限に間に合わないまま、決済の日が決まってしまうこともあります。

1. 実家の買取価格の根拠を聞き、差し引く費用を書面でもらう

買取業者の価格は、土地と建物の値から、家財の処分・解体や修繕・売れるまでの期間の分を差し引いて出すものです。何をいくら引いたのかを、書面でもらってください。

同じ実家でも業者によって価格に差が出るのは、差し引く項目と、見積もる額が違うからです。家財の処分費を多めに見る業者もあれば、建物を直して使うつもりで解体費を引かない業者もあります。合計の額だけを並べても、どの業者が何を前提にしているのかは見えません。

買取価格が計算される順番

  • 基準となる不動産の価値1番目
  • マイナス要素1: 家財処分2番目
  • マイナス要素2: 解体修繕3番目
  • マイナス要素3: 期間リスク4番目
  • 最終的な買取価格5番目

複数の業者に相談するときは、伝える内容をそろえます。各部屋の家財の量が分かる写真、建物の築年、建物の傷みの有無(雨漏り・シロアリ)、前面の道路の幅、登記の名義人の5つを同じように伝えれば、返ってくる価格を同じ物差しで比べられます。

あわせて聞いておきたいのが、提示した価格が後から変わるのはどんなときかです。地中から古い基礎や埋められたごみが出た場合、図面と現地の広さが違った場合など、変わる条件を最初に具体的に挙げられる業者なら、契約の直前に減額を言い出される心配は小さくなります。

家財の中には、業者が処分の費用を多く見込む物があります。ピアノや大型の金庫、灯油の残った暖房器具、庭の物置や温室などは、運び出しや処分に手間がかかります。こうした物があるかどうかを先に伝えておくと、業者ごとの見積りの差がどこから来たのかを読み取りやすくなります。

業者に伝える5つの条件

  • 家財の量が分かる写真

    各部屋の状況を伝え、処分費の見積りをそろえる

  • 建物の築年

    建物の価値や解体の要否を判断する材料にする

  • 建物の傷みの有無

    雨漏りやシロアリなど、修繕費に関わる状態を伝える

  • 前面の道路の幅

    解体時の重機の入りやすさなどに影響する

  • 登記の名義人

    相続登記が必要かなど、手続きの前提となる情報

2. 悪質な業者を見分ける:実家の契約を急がせる・費用の説明がない

その日のうちに契約を迫る業者と、差し引く費用を説明しない業者は、提示額が高く見えても避けた方が安全です。

相続した実家の売却は、相続人どうしで話し合い、名義をそろえてから進めるものです。初めての訪問で「今日決めれば」と契約を急がせるのは、売主に他社と比べる時間を与えないためです。売主の都合に合わせた進め方ではありません。最初に高い価格を見せておき、契約の後で家財の処分費や測量費を理由に下げてくる手口もあります。

確かめる手段は、口頭の説明ではなく書面と公の記録です。不動産を買い取って売る業者は宅地建物取引業の免許を受けているので、名刺や広告にある免許番号を、国土交通省の宅地建物取引業者の検索システムで照会してください。商号と所在地が、名乗られたものと同じかを見ます。

契約書のひな形は、契約の日より前にもらって読みます。読む条項は次の4つです。

  • 手付の額と、手付を放棄して解除できる期限
  • 引き渡しのときに残っている家財を、買主が処分してよいとする取り決め
  • 契約不適合責任を負わないか、負う期間をどこまでにするか
  • 融資の利用の特約があるか(あれば、買主の資金がそろわないと白紙に戻る)

手口の具体例と、署名の前に見る点は「不動産買取で悪徳業者が使う手口8選」の記事にあります。

片付けを別の業者に頼む場合も同じです。作業の後に追加の料金を求める業者がいるため、見積書に運び出す物の範囲と、追加の費用がかかる条件が書かれているかを確かめてから頼んでください。見積りに来た当日に、家財の中から値の付く物だけを安く引き取ろうとする業者にも気をつけます。

3. 空き家特例の期限と、実家の売却で課税される税金を先に確かめる

相続した実家を売ると、利益に税金がかかることがあります。要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できるため、契約日より前に特例の期限を確かめます。

控除の対象は、亡くなった親が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続し、一定の要件を満たして売った相続人です(租税特別措置法第35条第3項)。売る期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。主な要件には、売る価格が1億円以下であること、家屋が昭和56年5月31日以前に建てられたものであることなどがあります。令和6年1月1日以後の売却で、その家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いるときは、控除の上限が1人あたり2,000万円になります。要件の全部は国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確かめてください。

控除の上限を分けるのは、相続人の総数ではありません。その家屋と敷地を相続で取得した人の数です。兄弟3人が相続人でも、遺産分割で長男1人が実家を取得すれば、取得した人は1人です。この場合、控除の上限は3,000万円のままです。3人の共有名義で登記すれば取得した人は3人になり、上限は1人あたり2,000万円です。

取得した人が1人で、ほかの相続人は代わりに預貯金を受け取る分け方なら、名義は1人にそろいます。実家を売る手続きも、その1人の署名で進められます。

名義の決め方は、売るときの段取りにも響きます。共有のまま売ると、契約にも決済にも共有者全員の署名と実印、印鑑証明書が要ります。共有者の1人でも反対すれば、実家全体は売れません。1人が遠方に住んでいる、連絡が取りにくいといった事情があると、決済の日を決めるまでに時間がかかります。

遺産分割協議書に署名する前に、実家を誰が取得するかで税と段取りがどう変わるかを、税理士に試算してもらってください。遺産分割協議書で実家を取得する人とその持分を特定しておくと、相続登記の名義と、売買契約に署名する人がそこで決まります。協議が長引くほど、特例の売却期限は迫ってきます。

親の死後に誰も住まず、貸してもいないことも要件の1つです。相続の後に実家を人に貸したり、事業の物置に使ったりすると、特例は使えません。一方で、親が亡くなる直前に老人ホームに入っていた場合は、一定の要件を満たせば対象になります。

特例を使えば、利益から最大3,000万円を差し引けます。差し引いた後の利益が0円になれば、その売却に所得税と住民税はかかりません。ただし、税が出なくても特例を使うための確定申告は要ります。申告をしなければ、特例は使えません。

期限の数え方を具体の日付で見ておきます。2024年5月10日に親が亡くなり、その日に相続を知った場合、相続登記の申請期限は2027年5月10日、特例が使える売却の期限は2027年12月31日です。売るには名義を相続人に移しておく必要があるため、実際には登記の期限の方が先に来ます。

買取業者を選ぶポイント

タイミング業者に伝える・聞くことその目的
相談するとき建物の築年・傷み・道路幅・名義人・家財の写真をそろえて伝える同じ物差しで価格を比べるため
相談するときピアノや金庫など処分に手間がかかる物の有無を伝える見積りの差の理由を読み取るため
価格の提示時何をいくら差し引いたか内訳を書面でもらうどの業者が何を前提にしているか知るため
価格の提示時地中からのごみなど、価格が後から変わる条件を聞く契約直前の減額を防ぐため

家屋については、使えるかどうかを分ける要件がもう一つあります。家屋を残したまま売るなら耐震基準に適合させること、そうでなければ家屋を取り壊すことが要ります。家財ごと建物を残して買取業者に売る場合に、誰がいつ取り壊せば要件を満たすかは、契約の前に税務署か税理士に確かめてください。令和6年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに買主が取り壊すか耐震改修をした場合も、要件を満たせます。その場合は、取り壊しの期限を売買契約書に書いておきます。期限を書いておかないと、工事が遅れたときに要件を欠くおそれがあります。特例を使うには確定申告が要り、家屋の所在地の市区町村が交付する確認書などを添えて申告します。相続税を納めた人が使える取得費加算(租税特別措置法第39条)とは、同じ売却で一緒には使えません。

実家を買取で売ったときに課税される税金は、主に、売った利益にかかる所得税と住民税、売買契約書に貼る印紙税、名義を整える登記の登録免許税です。所得税と住民税は、売った代金から取得費と売るための費用を引いた利益にかかります(所得税法第33条)。

相続した実家は、親が買ったときの価格と時期をそのまま引き継ぎます(所得税法第60条第1項)。親が家や土地を買ったときの売買契約書や領収書が見つからないと、取得費を示せず、利益が大きく出ることがあります。片付けの最初に、書類の入った箱だけは捨てずに分けておいてください。

空き家の特例が自分の実家に使えるかの見分け方は、「空き家3000万円控除の条件」の記事で要件ごとに確かめられます。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「実家じまいで買取業者を選ぶポイントは?契約前に確かめる3つの手順」について、そのまま聞けます。

当社の実家買取はどう進む?価格提示まで目安30分と買えない条件

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社の実家買取はどう進む?価格提示まで目安30分と買えない条件」について、そのまま聞けます。

実家じまいの買取業者選びは、片付けと売却を分けて決める

  • 片付け業者や不用品回収業者が引き受けるのは家の中の物だけで、実家の名義と固定資産税、管理の責任は売るまで相続人に残ります。片付けの後に、家をどう手放すかの決めごとが別に要ります。
  • 費用と時間を出せて建物が使えるなら、片付けてから仲介で売る方が手取りは多くなります。建物の傷み・家までの距離・手元の資金・空き家特例の期限のどれかが重ければ、家財ごと買取業者に売る方が向き、家財の量だけが重いなら片付けを先にします。
  • 業者を決める前に、差し引く費用の内訳と、契約書の手付・残った家財・契約不適合責任・融資の特約の条項、空き家特例の期限を、署名の前に確かめてください。

当社は家財と傷みを残したままの実家を自己資金で買い取り、片付けと解体の費用を価格から差し引きますが、その費用が土地の値を上回る実家はお引き受けできません。

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この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

実家じまいと買取業者について、よくある質問

Q1. 実家じまいをするのにお金がない場合は、どうすればいいですか

家財ごと買取業者に売れば、片付けや解体の費用を先に払わずに実家を手放せます。処分の費用は価格から差し引かれる形になり、売主が先に用意するお金は、印紙代や登記の費用などに限られます。

自分たちで片付けを進めたい場合は、市区町村の粗大ごみの収集を使い、家財を少しずつ減らせば、業者に頼むより費用を抑えられます。市区町村によっては、空き家の片付けや解体に使える補助の制度を設けているところもあります。実家のある市区町村の空き家の担当に、使える制度があるかを聞いてみてください。片付けから売却までを自分で進める順番は、「実家じまいの手順」の記事にあります。

Q2. 実家じまいにかかる費用は、平均でいくらくらいですか

実家じまいの費用は、片付け・解体・登記・税の4つの合計で決まります。どれも家ごとの差が大きいため、平均の額より、自分の実家の見積りで考える方が判断を誤りません。

片付けの費用は、部屋の数より、運び出す物の量、階段や通路の幅、トラックを家の前に停められるかで変わります。解体の費用は、建物の構造と延床面積、重機が入れるかどうかで決まります。登記の費用は相続登記や抵当権の抹消が要るかで変わり、税は売った利益が出るかと特例が使えるかで変わります。

片付けは2社以上から、同じ範囲を書いた見積りを取ると比べられます。家財ごと買取業者に売る場合は、片付けと解体の費用を別に払うことはなく、価格から差し引かれます。

Q3. 実家じまいでは、家と家財をどのように処分すればいいですか

家財は、まず残す物を相続人どうしで決めます。次に値の付く物を古物商の許可を持つ店に出し、残りを市区町村の収集か許可を持つ業者に任せる順番が無理のない進め方です。順番を逆にすると、形見として残したかった物まで運び出されることがあります。

家と土地は、片付けてから仲介で売る、家財ごと買取業者に売る、解体して国庫帰属を申請するなどの道があります。どれが自分の実家に向くかは、「実家じまいは片付けが先か、家財ごと買取業者に売るか?」の診断チェック表で、5つの項目に印を付けると分かります。家財の処分と家の売却は、別々の業者に頼んでも、まとめて買取業者に任せても構いません。

Q4. 実家の片付けで、売れるものは何ですか

値が付くことがあるのは、貴金属や宝飾品、名の通った銘柄の時計や鞄、骨董や美術品、箱に入ったままの贈答品などです。着物や切手、古い硬貨も、状態によっては値が付きます。

見た目で判断して捨てる前に、古物商の許可を持つ店に見てもらってください。出張で見に来る店に頼む場合は、許可の番号と、買い取る品と金額を書いた書面をもらいます。

家財ごと実家を買取業者に売る場合、不動産の価格に家財の値は乗りません。値の付く物は、売る前に持ち出して別に売る方が手元に残ります。

Q5. 亡くなった親の写真や遺品は、買取の前にどうすればいいですか

写真や手紙、位牌や仏壇は、引き渡しの日までに持ち出す物として、相続人どうしで扱いを決めておきます。家財ごと売る契約で、残った物を買主が処分してよいと取り決めた場合、引き渡しの後に残っていた物は戻りません。

写真は量が多ければ、残したい物を選んで読み取り、画像で残す方法があります。原本は家族で分けるか、寺社のお焚き上げを頼むこともできます。仏壇は、菩提寺に閉眼の供養を相談してから運び出す家が多くあります。

片付けを業者に頼む場合も、写真と書類の箱だけは先に分けておくと、捨てられる心配がありません。家財が多すぎて遺品を探す前に片付けが止まっている家の売り方は、「ゴミ屋敷を片付けずに売却できるか」の記事にあります。

Q6. 他の買取業者に断られた実家は、どこにも売れないのですか

他の買取業者に断られた実家でも、断られた理由によっては、別の業者が買い取ることがあります。業者ごとに扱う物件が違い、家財の多い家や、建て替えのできない土地の家を扱わない業者もあるためです。

断られたときは、理由を具体的に聞いてください。理由が家財の量や建物の古さなら、それを前提に買う業者に当たり直す意味があります。理由が相続登記がまだ済んでいないことなら、登記を済ませてから当たり直します。

どの業者にも買い手が付かない土地では、「建物が残る実家は、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらえない」で触れた、解体してから国に引き取ってもらう道が残ります。解体費を先に払う必要があるため、その前に、断られた理由を2社か3社から聞いて比べておくと、次の手を選びやすくなります。

Q7. 実家じまいは、いつ始めればいいですか

先に日付で決まるのは、相続登記の申請期限と空き家特例の売却期限です。相続を知った日から数えて、2つの期限の日付を書き出すところから始めます。

片付けを始める時期は、売り方で変わります。仲介で売るなら、売り出す前に家財を運び出す時間が要ります。家財ごと買取業者に売るなら、残す物を持ち出すところまでで足ります。固定資産税は1月1日の所有者に課されるため、年をまたぐ前に売るかどうかも、売る日を決める材料になります。

当社の見方

当社では、実家じまいのご相談を、家財の片付けが終わる前の段階でいただくことが多いです。ご相談から買取価格のご提示までが目安30分なので、片付けにどこまで手間や費用をかけるかを決める前に、まず売った場合の価格を知っておきたいという方もいます。ご契約までが目安1〜2週間、お引き渡しは早ければ2週間以内で、お引き渡しと同時にご入金しますので、実家じまい全体の段取りを組みやすくなります。全国(47都道府県)に対応していますので、離れた場所にある実家のご相談もお受けしています。相続した実家では、登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書に加えて戸籍などの書類が追加で必要になり、相続登記の費用もかかります。ご用意いただく書類やご負担いただく費用は個別のご案件によりますし、買い取れない物件や売らないほうがよい場合は正直にそうお伝えしていますので、片付けを始める前に一度ご相談ください。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
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薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
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