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相続

住まない実家を相続するか|放棄・売却・活用の分かれ目

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
住まない実家を相続するか|放棄・売却・活用の分かれ目

「誰も住まない実家を相続することになったが、持ち続けて払い続けるのが正しいのか分からない」。持つか放棄かは、3か月の熟慮期間のうちに、借金が実家の値を超えていないかと、売れる見込みがあるかの2つを確かめて決めます。

当社は買主として直接買い取り、生活用品が残ったままの実家もそのままお引き受けします。相続放棄を考えている方からは買い取りません。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

先に相続した家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

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誰も住まない実家でも、固定資産税の納税通知は毎年届き、庭の草は毎年伸びます。名義を親のままにしていても、請求が行く先は相続人です。持つか、売るか、放棄するかを決めるのに要る材料は、借金が実家の値を超えていないか、売れる見込みのある土地か、相続放棄を選べる3か月の期限まで何日残っているか、の3つに絞れます。この3つが埋まれば、その場で選べます。

住まない実家を相続するかの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

住まない実家の相続は、親が亡くなった日から始まっている

実家の居間で、遺品の整理を進める家族

相続は親が亡くなった日に始まり、その日から実家の費用と管理の責任は相続人の側に移ります。

名義が親のままでも、お金と責任だけが先に来る

相続が始まるのは、被相続人が亡くなった時です(民法第882条)。遺産分割の話し合いが終わっていなくても、この日は動きません。登記簿の名義は親のままです。それでも実家は相続人のものになっています。

分かりやすく現れるのが固定資産税です。固定資産税と都市計画税は、1月1日に所有していた人に課されます(固定資産税は地方税法第343条・第359条、都市計画税は第702条・第702条の6)。親が年内に亡くなれば、翌年の納税通知は相続人に届きます。相続人が複数いるときは、代表者を1人決めて通知を受け取る形が一般的です。市区町村から相続人代表者を届け出る用紙が送られてくることもあります。

残るのは税だけではありません。電気と水道を止めなければ、基本料が毎月引き落とされます。火災保険の契約者も、そのままでは亡くなった方の名前です。保険会社に連絡しないまま満期を迎えると、無保険の期間ができます。近所から「瓦が落ちている」と連絡が入る先も、相続人です。誰も住まない家で何がどの順に傷むかは、「実家の放置リスク」の記事に時間の流れで書いています。

相続放棄を選べるのは3か月。時計はもう動いている

相続するかどうかを選べる期間には区切りがあります。自分のために相続が始まったことを知った時から3か月です(民法第915条第1項)。この間に、単純承認か、限定承認か、相続放棄かを決めます。何もしなければ単純承認になります。借金も一緒に引き継ぐという意味です。

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述して行います。手続きの様式や管轄は、裁判所の案内で確かめられます。3か月では調べきれないときは、期間を延ばす申立てができます。延長は自動では起きません。申し立てないまま期限が来れば、選択肢は1つに減ります。

放棄を少しでも考えているなら、実家の中の物に手を付けないでください。相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認をしたものとみなされます(民法第921条第1号)。価値のない家財の廃棄まで処分に当たるかは、量や内容で判断が分かれます。線引きが微妙なので、先に弁護士か司法書士に聞いてから動くほうが安全です。

相続開始から放棄期限までの時系列

  1. 親が亡くなった日

    相続の開始

    実家の費用と管理の責任が相続人に移る

  2. 1月1日

    固定資産税の基準日

    所有していた人に翌年の納税通知が届く

  3. 相続を知った時から3か月

    相続放棄の期限

    何もしなければ借金も引き継ぐ単純承認になる

住まない実家で最初に取る2枚の書類

判断を始める前に、手元に置く紙が2枚あります。登記事項証明書と、固定資産税の課税明細書です。見積書より先です。

登記事項証明書は土地と建物の両方を取ります。見る点は3つです。甲区の所有者が親だけか、兄弟や祖父母との共有になっていないか。乙区に抵当権や根抵当権が残っていないか。甲区に差押えが入っていないか。親が「ローンは終わっている」と言っていても、抹消の登記をしていない家は珍しくありません。

課税明細書は、毎年春に届く納税通知書に挟まっています。見るのは評価額、地積と床面積、住宅用地の区分です。登記されていない物置や増築部分が載っていることもあります。未登記の建物があると、売る前に手当てが必要になります。市区町村で名寄帳を取れば、親が持っていた土地の一覧も分かります。実家の裏の細長い土地や、私道の持分が出てくることがあります。

住まない実家を持ち続けると、毎年いくら出ていくか

雑草が伸び始めた空き家の庭と、雨戸が閉まった木造住宅の外観

出ていくのは、固定資産税と都市計画税、火災保険料、水道と電気の基本料、草刈りと見回りにかかる費用の4つです。

固定資産税は、1月1日の所有者に届く

税額を押し下げているのは、住宅が建っていることです。住宅用地には課税標準の特例があり、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1、それを超える部分は3分の1になります(地方税法第349条の3の2)。「更地にすると税が6倍になる」と言われるのは、この6分の1が外れるという意味です。実際の税額は評価額や都市計画税の有無で変わるので、きっちり6倍になるとは限りません。

特例が外れる場面はもう1つあります。市町村から勧告を受けたときです。外れるのは勧告の時点であって、調査を受けた時点でも、助言を受けた時点でもありません。順番と税額の変わり方は「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事に並べています。

年内に建物を壊すか、年明けに壊すかでも翌年度の税額は変わります。1月1日に建物が建っていれば、その年度は特例が続きます。解体の日取りを決めるときは、工事の都合だけで決めないほうが得です。

住まない実家で毎年出ていく4つの費用

  • 固定資産税・都市計画税

    相続した年の未納分から発生。課税明細書で確認する。

  • 火災保険料

    契約の更新時から発生。保険証券で確認する。

  • 水道・電気の基本料

    契約を止めるまで毎月発生。検針票と明細で確認する。

  • 草刈りと見回りの費用

    春から秋にかけて発生。業者の見積りと交通費で確認する。

毎年の費目を1枚に並べる

費用は4つに分かれます。どれも金額より、いつから出るかを先に押さえると判断しやすくなります。

費目出ていく時点手元で確かめる書類
固定資産税・都市計画税相続した年の未納分から(翌年度は相続人に納税通知)課税明細書
火災保険料契約の更新時から(空き家は条件が変わる)保険証券
水道・電気の基本料止めるまで毎月検針票と引き落としの明細
草刈りと見回りの費用春から秋にかけて業者の見積りと往復の交通費

火災保険は注意が要ります。人が住まなくなった家は、住宅物件ではなく一般物件として扱われることがあります。保険料が上がるか、引き受けを断られるかのどちらかです。親の契約をそのままにしておくと、いざ火事になったときに支払いで揉めます。

遠方に住んでいる方は、交通費も費目に入れてください。年に4回、新幹線で往復すれば、それだけで税額に並ぶ金額になります。行かない年が続けば、庭木が隣地にかかり、郵便受けが溢れます。

空き家のまま年を越すと、市町村の手続きが動き出す

放置した家に対しては、市町村が段階を踏んで動きます。根拠は空家等対策の推進に関する特別措置法です。流れは、調査、助言・指導、勧告、命令、行政代執行の順です。いきなり取り壊されることはありません。ただし、代執行まで進めば、費用は所有者に請求されます。

2023年の法改正で、特定空家になる前の段階に「管理不全空家等」という区分が加わりました。窓が割れている、柵が傾いている、草木が道路にはみ出している。この段階でも指導と勧告の対象になります。勧告を受ければ、住宅用地の特例から外れます。

税とは別に、損害賠償の問題もあります。建物や塀が壊れて他人にけがをさせた場合、まず占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防ぐのに必要な注意をしていたときに、所有者が責任を負います(民法第717条第1項)。鍵を預かって出入りしている相続人が占有者と見られることもあります。どちらにしても、誰も住んでいないから関係ないという理屈は通りません。

「住まない実家を持ち続けると、毎年いくら出ていくか」について、そのまま聞けます。

住まない実家を相続するか、相続放棄するかを分ける4つの条件

分かれ目は、借金の額、放棄したあとに残る管理、相続人の数、売れる見込みの4つです。

1. 借金と連帯保証が、実家の価値を超えていないか

相続放棄は可能です。ただし、選べるのは全部か、ゼロかです。実家だけを捨てて預金だけ受け取ることはできません。事業の連帯保証も、同じ束の中に入っています。

調べる順番は決まっています。通帳の引き落としを1年分さかのぼる。郵便物を1か月分ためて差出人を見る。消費者金融や信販の取引があるかは、信用情報機関に本人開示を請求すれば分かります。相続人からの請求ができる機関もあります。この作業に時間がかかるので、3か月は思ったより短いのです。

借金の有無がどうしても分からないときは、限定承認という選択もあります。相続した財産の範囲でだけ債務を引き継ぐ方法です。相続人の全員が共同で、3か月以内に家庭裁判所へ申述します。1人でも反対すれば使えません。手続きも重いので、実際に選ばれる例は多くありません。田舎の家を放棄できるかを先に知りたい方は、「田舎の家は相続放棄できるか」の記事に条件を書いています。

相続か放棄かを分ける主な条件

  • 借金と連帯保証の額

    実家の価値を超えるか。通帳や郵便物、信用情報で確認する。

  • 放棄後の管理義務

    現に占有していた場合、引き渡すまで保存義務が残る。

  • 相続人の数

    全員が放棄すると、清算人選任の申立てが必要になる。

  • 売れる見込み

    売却して現金にしたほうが手元に残る場合がある。

2. 相続放棄をしても、実家の管理が残る場合がある

放棄すれば家から完全に離れられる、とは限りません。民法第940条は、放棄した人であっても、放棄の時にその財産を現に占有していたときは、次に引き継ぐ人へ引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければならないと定めています(民法(e-Gov法令検索))。

鍵を預かって出入りしていた人、親と同居していた人は、この「現に占有している」側に立ちやすくなります。逆に、遠方に住み、鍵も持たず、何年も行っていない相続人は、通常はここに当たりません。自分がどちらかで、放棄後の負担がまるで違います。

相続人の全員が放棄すると、家の面倒を見る人がいなくなります。その場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることになります。申立てには予納金が必要で、金額は裁判所の判断で決まります。数十万円の単位になることもあります。放棄の申述が受理されると、原則として撤回はできません(民法第919条第1項)。慎重に検討する理由はここにあります。放棄後に何が残るかは「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事にまとめました。

放棄後に実家の管理義務が残るかの違い

観点放棄時に現に占有していた人放棄時に現に占有していない人
具体的な例親と同居していた、鍵を預かり出入りしていた遠方に住み、鍵を持たず何年も行っていない
放棄後の保存義務次に引き継ぐ人へ引き渡すまで残る通常は残らない
求められる管理自分の財産と同じ注意で保存しなければならない義務の対象にならない

3. 相続人が自分だけか、ほかにもいるか

相続人が1人なら、判断も手続きも自分で完結します。売る日も自分で決められます。複数いる場合は、分け方を先に決めることになります。

分け方は3つです。誰か1人が実家を取る現物分割。売って代金を分ける換価分割。1人が取って、ほかの人に金銭を払う代償分割。住まない実家で選ばれることが多いのは換価分割です。売って現金にすれば、1円単位で分けられます。

いちばん避けたいのは、決めないまま共有名義で登記することです。その時は平等で公平に見えます。ところが共有者の1人が亡くなれば、その持分がさらに分かれます。10年後に売ろうとして、いとこ全員の実印が要る状態になります。話がまとまらないときの進め方は「実家の売却に兄弟が反対」の記事に段階で書いています。

4. 売れる見込みが立つ立地と建物の状態か

売り先は、建物の状態と立地の組み合わせで変わります。ここを間違えると、半年かけて売れないという結果になります。

住める建物で、スーパーや駅が生活圏にあるなら、仲介で一般の買主を探せます。時間はかかりますが、手取りはいちばん大きくなります。建物が傷んでいて、郊外や山あいにあるなら、買うのは解体や再生を前提にした事業者です。接道が足りない、前面が他人名義の私道、隣と壁がつながっている。この3つのどれかがあると、買える人はさらに限られます。

見込みを自分で確かめる方法もあります。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域と面積帯を指定して、実際に取引された価格を見られます。似た広さの土地がいくらで売れているかを見てから、業者の提示を聞いてください。質問できることが変わります。

貸す・残す・売るを比べると、活用は工事費が先に出る

活用は、工事費が先に出て回収が後になるため、売却より難易度が高い選択になります。

1. 賃貸に出す前に出ていくお金

「貸せば家賃が入る」と考える前に、貸せる状態にするまでの費用を見てください。水回りの更新、屋根と外壁、畳と建具、残置物の処分。親が住んでいた当時のままで借り手が付く家は、多くありません。耐震に不安があれば、補強の費用も乗ります。

遠方に住んでいれば、管理会社への委託が前提になります。家賃から手数料が引かれます。入居者が退去すれば、原状回復と募集の期間が空きます。その間も固定資産税は止まりません。

借り手の側から見た市場も確かめておく価値があります。総務省統計局の住宅・土地統計調査(令和5年)では、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8パーセントでした(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。借りる人にとって、選べる家は増えています。工事をすれば必ず埋まる、という前提は置けません。

用途を変えて実家を活用する際の手続き順

  1. 1

    保健所・特定行政庁へ確認

    用途を変える手続きや許可について先に聞く

  2. 2

    補助金の申請と交付決定

    数か月かかる場合も。必ず工事契約の前に

  3. 3

    工事の見積りと契約

    交付決定を待ってから契約を結ぶ

2. 古民家や倉庫としての活用法が成り立つ条件

宿や店、倉庫としての活用法が成り立つ家には、共通点があります。人の流れがある場所にあること。上下水道が引き込めること。車が入れる道に接していること。構造が健全で、補強の費用が読めること。この4つがそろって、初めて工事費の回収が見えます。

用途を変えるなら、手続きが先です。宿泊なら旅館業法の許可か、住宅宿泊事業法の届出が必要です。建物の用途を変える工事には、建築基準法に基づく手続きが絡みます。保健所と、その地域の特定行政庁に先に聞いてください。工事の見積りを取るのはそのあとです。

補助の制度を使う場合も順番があります。交付決定の前に工事契約を結ぶと対象外になる制度が多くあります。申請から交付決定まで数か月かかることもあります。親の代から続く家を残したい気持ちと、資金が先に減る現実を、同じ表に並べて比べてください。

宿や店としての活用が成り立つ4つの条件

  • 人の流れ

    人の流れがある場所にあるか。

  • 上下水道

    上下水道が引き込めるか。

  • 接道状況

    車が入れる道に接しているか。

  • 建物の構造

    構造が健全で、補強の費用が読めるか。

3. 親が元気なうちのリースバックは、住めなくなる条件を先に見る

相続が始まる前に、親が自宅を売って、賃料を払って住み続ける形があります。現金が先に入り、相続のときに分けやすくなるという説明をされることがあります。確かめるのは、住み続けられる期間です。

賃貸借の契約が定期借家だと、期間が満了すれば更新はありません。親が90歳まで住むつもりでも、契約が3年なら、3年後の話し合いしだいです。賃料が周辺の家賃より高く設定されていれば、受け取った代金は数年で目減りします。買い戻しの条件が書面にあるかどうかも見てください。

判断の材料は3つです。受け取る金額、毎月の賃料、住める年数。受け取る金額から、住む予定の年数ぶんの賃料を引いた額を出します。その数字を、普通に売った場合の手取りと並べます。比べ方は「リースバックと買取、どちらを選ぶか」の記事に書いています。

4. 解体して更地にするか、家を残したまま売るか

解体費は、売る前に自分の財布から出ていきます。木造の戸建てでも、前面道路が狭くて重機が入らなければ、手壊しの分だけ上がります。井戸やブロック塀、庭石が残っていれば、それも別途です。

税の側も動きます。更地にすると、上の「住まない実家を持ち続けると、毎年いくら出ていくか」の節で書いた住宅用地の特例から外れます。解体してから買主を探して、売れないまま1年が過ぎると、上がった税額を自分で払い続けることになります。

買主が解体を前提にしているなら、解体費を見込んだ金額で、建物が建ったまま買う形も取れます。自分で壊す必要はありません。どちらが手元に残るかは、解体費の見積りと、両方の提示額を並べれば出ます。見積りは2社以上から取ってください。

5. 持ち続けたほうがよい場合

売らないほうがよい場面もあります。共通しているのは、日付で言える予定があることです。

子どもが3年後に転勤から戻って住む。区画整理や道路の計画が動いていて、用地買収の打診がすでに来ている。賃貸中で、修繕費を引いても収支が黒字で回っている。この3つのどれかに当てはまるなら、急いで手放す理由はありません。維持費を払う意味が説明できる状態です。

逆に、「いつか使うかもしれない」「兄弟が反対しそう」という理由だけで持ち続けると、毎年の支出だけが積み上がります。10年持てば、税と保険と交通費の合計が、売却代金に迫ることもあります。日付で言えるかどうかが、持つ理由があるかどうかの線です。

「貸す・残す・売るを比べると、活用は工事費が先に出る」について、そのまま聞けます。

名義を実家の相続人に移すまでの手順と日数

テーブルで、役所の手続きに向けて準備を進める家族

相続登記は、戸籍を集め、分け方を書面にし、法務局へ申請する順で進みます。

1. 戸籍を集め、遺産分割協議書に実印を集める

最初の作業は紙集めです。必要になるのは、被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍、相続人全員の戸籍、被相続人の住民票の除票、不動産を取得する相続人の住民票、固定資産評価証明書です。遺産分割で決めるなら、協議書と相続人全員の印鑑証明書も加わります。

日数を使うのは戸籍です。本籍を何度も移していると、その数だけ別の役所に請求します。郵送なら1か所で1週間から2週間の往復です。先に法定相続情報一覧図を作っておくと、その後の銀行や証券の手続きで戸籍の束を出さずに済みます。法務局で無料で交付を受けられます。

協議書は、相続人が遠方に散っていると往復に時間がかかります。1人が持ち回りで署名を集める形だと、1人の都合で全体が止まります。全員分を同じ内容で作り、それぞれに郵送して戻してもらう形にすると早く進みます。印鑑登録をしていない相続人がいれば、役所に行く日から数えてください。

名義を実家の相続人に移すまでの手順

  1. 1

    戸籍などの書類を集める

    郵送請求は1か所につき1〜2週間の往復

  2. 2

    法定相続情報一覧図の作成

    法務局で無料交付。後の手続きが楽になる

  3. 3

    遺産分割協議書への署名押印

    全員分を同じ内容で作り同時に郵送すると早い

2. 法務局に申請し、完了の日を売却の日程に入れる

申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。登録免許税は固定資産税評価額の0.4パーセントです(登録免許税法別表第一)。評価額が1,000万円の土地建物なら4万円になります。司法書士に頼むなら、その報酬が別に加わります。

申請から完了までは、おおむね1週間から2週間が目安です。ただし管轄や時期によっては3週間を超えることもあります。決済日を縛る数字なので、売却の日程を組む前に、申請先の法務局へ現在の処理期間を電話で聞いてください。登記が完了していないと、買主への所有権移転の登記ができません。決済の日は、ここから逆算して置きます。

期限の話もあります。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務が課されました。この日より前に起きた相続も対象です。すでに取得を知っていた場合の期限は2027年3月31日です(相続登記の申請義務化について(法務省))。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象になります。過去の相続がどこまで含まれるかは「相続登記の義務化と過去の相続」の記事で確かめてください。

売ると決めた人にとって効くのは、3年という期限より、登記が完了する日です。そちらが決済日を縛ります。

住まない実家を売ると決めたあと、期限が切れる順番

和室の畳の上に置かれた、古い座布団と木製の座卓

家財の片付けより先に、税と登記の期限を日付で並べたほうが、売る日を決めやすくなります。

実家を売る前の家財と鍵の手当て

  • 形見分け

    写真や位牌、実印、通帳、権利証を引き渡し前に持ち出す。

  • 家財の片付け

    相続決定後に着手。現況渡しなら処分費が価格から引かれる。

  • 鍵の所在確認

    紛失時は解錠に半日〜1日必要。遠方なら郵送日数も考慮する。

1. 家財と鍵の手当て

親が施設に入る直前まで住んでいた家には、生活用品がそのまま残っています。食器、布団、仏壇、アルバム。これを全部片付けてから相談しようとすると、数か月が過ぎます。

現況のまま買う買主を選べば、片付けは不要です。そのかわり、処分費の見込みが価格から引かれます。引かれる額と、自分で業者に頼んだ場合の費用を比べてください。金額が近ければ、片付けずに渡したほうが時間を使いません。形見分けだけは先に済ませます。写真と位牌、実印と通帳、権利証は、引き渡しの前に必ず持ち出してください。

ただし、相続放棄をまだ迷っている間は、家財に手を付けないでください。この点は上の「相続放棄を選べるのは3か月。時計はもう動いている」の見出しで書いた処分の問題と同じです。片付けは、相続すると決めてからの作業です。

鍵の所在も早めに確かめます。親戚が持っているのか、施設に預けてあるのか、紛失しているのか。紛失していれば現地での解錠から始まるので、半日から1日が別に要ります。遠方なら、鍵を送る日数も工程に入れます。

2. 期限を日付で並べる

売る日を決める前に、カレンダーに3つの日付を書き込みます。相続税の申告と納付は、相続が始まったことを知った日の翌日から10か月です。相続税を納めた財産を売るときに使える取得費加算の特例は、相続税の申告期限の翌日から3年が期限です。

もう1つが、相続した空き家の3,000万円控除です。被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。売却の期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。主な要件の1つに、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることがあります。令和6年1月1日以後におこなう譲渡については、その家屋と敷地等を取得した相続人の人数によって控除の上限が変わり、3人以上になると1人あたり2,000万円に下がります(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。要件はほかにもあるので、当てはまるかどうかは国税庁のページと税務署で確かめてください。判定の順番は「空き家3000万円控除の条件」の記事に置いています。

買ったときの契約書が見つからない家も多くあります。取得費が分からない場合は、売却代金の5パーセントを概算取得費とする取扱いがあります(国税庁の譲渡所得の案内)。古い実家ほど、課税される所得が大きく見えます。手元に残る額を出すときは、翌年の税を先に引いておいてください。

3つのうち最初に来るのは、相続が始まった月にかかわらず相続税の申告期限(10か月)です。順番が入れ替わるのは残る2つ、取得費加算と空き家の3,000万円控除です。空き家の3,000万円控除だけは、月数ではなく3年目の年末で区切られるためです。2025年6月15日に相続が始まった場合、控除の期限は3年を経過する日(2028年6月15日)の属する年の12月31日なので2028年12月31日、取得費加算は申告期限が2026年4月15日、起算日はその翌日の2026年4月16日で、そこから3年を経過する日は2029年4月15日となり、控除のほうが先に切れます。2025年1月15日に始まった相続なら、控除の期限は同じく2028年12月31日ですが、取得費加算は申告期限が2025年11月15日、起算日はその翌日の2025年11月16日で、そこから3年を経過する日は2028年11月15日となり、今度は取得費加算のほうが先に切れます。自分の相続開始日をカレンダーに書き込み、早い順に並べ直してください。なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。

適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

実家を売るまでに期限が切れる順番

  1. 相続を知った日の翌日から10か月

    相続税の申告と納付

    相続税の申告と納付の期限

  2. 相続開始から3年目の年末

    空き家の3,000万円控除

    譲渡所得から最大3,000万円を引ける売却期限

  3. 申告期限の翌日から3年

    取得費加算の特例

    相続税を納めた財産を売る際に使える特例の期限

「住まない実家を売ると決めたあと、期限が切れる順番」について、そのまま聞けます。

当社に住まない実家の買取をご相談いただく場合の進み方と、お引き受けできない条件

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社に住まない実家の買取をご相談いただく場合の進み方と、お引き受けできない条件」について、そのまま聞けます。

住まない実家の相続で、先に決める3つのこと

  • 3か月のうちに、相続するか放棄するかを決めます。 基準は借金が実家の値を超えていないかです。放棄をするなら、家財に手を付けないでください。鍵を預かって出入りしていた人は、放棄をしても保存の義務が残ります。
  • 持ち続けるなら、毎年の支出に理由を付けます。 固定資産税、火災保険料、基本料、交通費が毎年出ます。日付で言える予定があるなら持つ意味があります。無いなら、支出だけが積み上がります。
  • 売るなら、登記が終わる日から逆算します。 相続登記の完了が決済日を縛ります。相続税の申告は10か月、取得費加算は申告期限の翌日から3年(相続開始から数えると約3年10か月)、空き家の3,000万円控除は3年目の年末で、どれが先に切れるかは相続が始まった月で変わります。自分の日付で並べ直してください。

鍵の所在が分からない、家財が残っている、相続人が遠方に散っている。この状態のままでも、金額のご提示まではできます。放棄を迷っている段階であれば、先に弁護士か司法書士に相談し、放棄をしないと決めてからお声がけください。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

住まない実家の相続について、よくいただく質問

Q1. 住まない実家の相続放棄は可能ですか

可能です。自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述します。ただし、実家だけを選んで放棄することはできません。預金も、車も、株式も、同じ束で手放すことになります。

判断の前に、プラスとマイナスの両方を書き出してください。預金と生命保険、実家の売却見込み額が片方です。住宅ローンの残り、事業の借入、連帯保証がもう片方です。合計を比べて、マイナスが大きければ放棄が選択肢に入ります。差が小さいときは、売却して現金にしたほうが残ることもあります。

Q2. 相続放棄をすれば、実家の管理から離れられますか

離れられる人と、離れられない人がいます。分かれ目は、放棄の時にその家を現に占有していたかどうかです。親と同居していた人や、鍵を持って出入りしていた人は、次に引き継ぐ人へ引き渡すまで保存の義務を負います。

何年も行っていない遠方の相続人は、通常この義務の対象になりません。相続人の全員が放棄した場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることになり、予納金が必要です。放棄をしたのに出費が続く形になるので、申立てが要るかどうかを含めて司法書士か弁護士に確かめてください。

Q3. 相続登記をしないまま、実家を売ることはできますか

売買契約そのものは、登記が終わる前でも結べます。所有権を移す登記は、亡くなった方の名義からは申請できません。お引き渡しの日までに相続登記を終えておく必要があります。

気をつけるのは、契約書に書く引き渡しの日付です。登記が間に合わない日を入れると、売主が期限を守れない立場になります。戸籍の収集と押印の往復に何週間かかるかを司法書士に聞き、その答えが出てから日付を決めてください。

Q4. 親が生きているうちに、実家を売っておくことはできますか

所有者は親なので、売主は親本人です。親の意思で売る分には問題ありません。施設に入っている場合も、判断能力があり、本人が売ると決めているなら進められます。

難しくなるのは、認知症などで判断能力が十分でない場合です。家族が代わりに署名することはできません。成年後見人の選任が必要になり、居住用の不動産を売るときは家庭裁判所の許可も要ります。選任までに数か月かかることがあるので、売る可能性があるなら、元気なうちに本人の意思を確かめておくほうが選択肢は多く残ります。

Q5. 兄弟との共有名義のままにしておくと、何が起きますか

その時点では何も起きません。問題が出るのは売るときと、次の相続のときです。共有名義の不動産を売るには、共有者の全員が売主になります。1人でも反対すれば、話は止まります。

共有者の1人が亡くなれば、その持分はその人の相続人に分かれます。兄弟3人の共有が、10年後にはいとこを含む7人の共有になることもあります。人数が増えるほど、連絡と押印に時間がかかります。住まない実家を共有で残すのは、判断を先送りにしているだけの形になりがちです。

Q6. 家財が残ったままでも、買い取ってもらえますか

買い取れます。食器も布団も、家具も、置いたままで構いません。片付けの完了を待つと、使える特例の期限が先に来ることがあります。

ただし、処分にかかる費用の見込みは価格に反映されます。自分で業者に頼んだ場合の見積りと、引かれる額を比べてください。差が小さければ、そのまま渡したほうが手間も交通費もかかりません。写真や位牌、権利証と通帳だけは、引き渡しの前に持ち出してください。

Q7. 固定資産税が6倍になると聞きましたが、本当ですか

住宅が建っている土地には課税標準の特例があり、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1になります(地方税法第349条の3の2)。この特例が外れると、その分だけ税額が上がります。6倍という言い方は、ここから出ています。

実際の上がり幅は、評価額や都市計画税の有無で変わるため、きっちり6倍になるとは限りません。外れるのは、建物を取り壊して更地にしたときと、市町村から勧告を受けたときです。特定空家等として扱われる可能性があると言われた段階では、まだ外れていません。通知の文面に「勧告」と書かれているかどうかで判断してください。

当社の見方

父から相続した実家を、遠方に住みながら手放せた相続したがそもそも関東に住んでいるので管理もできない親が老人ホームに入る前まで住んでいたので、生活用品などは残っております。

税金だけ払うことになるのでいくらでも良いので引き取ってほしい。

大阪府堺市の戸建てを、買取金額1,000万円台前半で買い取りました。

土地(古家付きを含む)・築60年以上で、相続の物件を当社が買い取り、販売まで終えました。

愛知県名古屋市守山区の土地(古家付きを含む)(築60年以上)を、買取金額300万円台で買い取りました(2025年に取引)。

相続した物件では、戸籍などの書類が追加で必要になります。

ご用意いただく書類は、個別のご案件によります。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
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