農地転用の許可が下りない土地には、共通した型があります。多くは、その農地がどの区分に入るかで決まっています。申請書の書き方を直しても、頼む相手を替えても、結論は変わりません。相続した実家の敷地が畑のままなら、地番ごとの区分を調べるところから始めます。
空き家
農地転用の 許可が 下りない 土地|4条と 5条の 違い
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「相続した実家の敷地が畑のままで、農地転用の許可は下りないと言われた」。許可が出るかどうかは、その農地がどの区分に入るかでほぼ決まります。農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地の3つは原則として不許可で、申請書の書き方や頼む相手を替えても覆りません。
当社は買主として直接買い取りますが、農地を農地のまま買うことはできず、除外の見込みが立たない農用地区域内農地はお断りしています。お出しする金額は、再販の想定から転用と造成の工事費、解体と処分の費用、許可を待つ期間の持ち出しを引いた額です。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(6章)
農地転用の許可が下りない畑付きの実家を、地番から買い取れるか確かめる
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農地転用の 許可が 下りないか どうかは、 申請する 前に 分かる?

許可の可否は、農地の区分と周辺の状況によって、申請を出す前にほぼ決まっています。
届出書と登記事項証明書や戸籍の写しなど必要な書類
届出に必要な主な書類
届出書
相続による取得を届け出る書類。1枚。
登記事項証明書
相続したことが分かる書類として使う。
戸籍の写し
相続したことが分かる書類として使う。
相続した 実家の 敷地が、 畑の ままに なっている
昔からの家では、母屋の建つ部分だけが宅地になっています。庭先、納屋の跡地、家庭菜園。その周りが一筆の畑や田のまま残っている形が、相続の相談でよく出てきます。固定資産税の納税通知書を開くと、課税明細に「畑」「田」と並んでいます。親が耕作をやめて二十年経っていても、この記載は自動では変わりません。
相続で農地の権利を取得したときは、農業委員会への届出が要ります。農地法第3条の3が定めている手続きです。条文は、権利を取得したことを知ったあと遅滞なく届け出ることを求めており、届出の方法は農林水産省令(農地法施行規則)に委ねられています。具体的に何日以内として扱われるかは農業委員会の運用で案内が分かれるため、地番を伝えて事務局に確かめてください。相続税の申告期限とは別の手続きなので、申告の期限に合わせて考えないでください。売買と違って許可は要りません。ただし届出をしないままだと、過料の対象になります。相続登記とは別の手続きで、窓口は市区町村に置かれた農業委員会の事務局です。
届出をしなかった場合や、事実と違う内容で届け出た場合には、農地法の罰則の章に過料の定めが置かれています。条番号は改正のたびに動いているため、過料の額と根拠の条番号は、e-Gov法令検索で農地法の最新の条文を開くか、農業委員会の事務局で確かめてください。相続のあと何年も経っている場合でも、気づいた時点で出せます。届出書は1枚で、相続したことが分かる書類を添えます。登記事項証明書や戸籍の写しが使われます。手数料はかからない自治体がほとんどです。
この届出が済んでいると、農地台帳の所有者の欄が相続人に書き換わります。売却の相談で窓口に行ったとき、話が一段早く進みます。相続した農地が売れないまま残る経緯については「農地を相続したが売れない」の記事にも書いています。
第3条・第4条・第5条の どれに 当たるかで、 申請する 人が 変わる
手続きの根拠は、転用するかどうかと、名義が動くかどうかで分かれます。
| 条文 | 当てはまる場面 | 許可を出す人 |
|---|---|---|
| 第3条 | 農地を農地のまま売る・貸す | 農業委員会 |
| 第4条 | 自分の農地を、自分で農地以外にする | 都道府県知事等 |
| 第5条 | 農地以外にする目的で売る・貸す | 都道府県知事等 |
相続した実家の畑を、家を建てたい人に売る。これが第5条です。売主と買主が連名で申請します。審査の中身になるのは、買う側の計画です。自分で駐車場に変えて持ち続けるなら、名義が動かないので第4条になります。農業を続ける人に農地として売るなら第3条で、許可を出すのは農業委員会です。
第4条と第5条の申請は、農業委員会を経由して都道府県知事に出します。農林水産大臣が指定した市町村では、市町村長が許可権者になります。どちらの場合も、書類を持ち込む窓口は農業委員会の事務局です。受付の締切が月に一度と決まっている自治体が多く、締切を一日過ぎると翌月の審議に回ります。
申請に付ける書類も、第4条と第5条で変わります。共通して要るのは、登記事項証明書、公図、周辺の状況が分かる図面、土地の利用計画図、資金の裏づけを示す書類です。第5条では、ここに買主の計画の説明書が加わります。様式は都道府県ごとに違い、農業委員会の窓口か自治体のホームページで配られています。申請の締切から許可の指令書が出るまでにかかる日数は、都道府県が標準処理期間として示しています。行政手続法第6条が、申請に対する処分の標準処理期間を定めるよう努めること、定めたときは公にしておくことを求めているためです。自分の土地が所在する都道府県の公表している日数を、農業委員会の窓口か都道府県の農地の担当課で確かめてください。審議会の開催日と知事への進達の日程が決まっているため、月初に出しても締切の直前に出しても、結果が出る日はほとんど変わりません。
市街化区域の中にある農地は、扱いが別になります。あらかじめ農業委員会へ届け出れば、第4条と第5条の許可は要りません。受理の通知が出るまでの日数は自治体によりますが、数週間で終わるのが通常です。ただし第3条の許可は、市街化区域でも必要です。自分の土地が市街化区域か市街化調整区域かは、市町村の都市計画の窓口で確かめられます。
登記の 地目ではなく、 いまの 状態で 農地か どうかが 決まる
相続で農地を取得したあと農業委員会へ届け出るまでの手順
相続した農地の届出の手続き
- 1
農業委員会へ期限の確認
地番を伝え、何日以内の届出になるか確かめる
- 2
必要書類の準備
届出書1枚と、登記事項証明書や戸籍の写しを用意する
- 3
農業委員会へ届出
手数料なしで提出し、農地台帳の所有者を書き換える
農地法でいう農地は、耕作の目的に供される土地です(農地法(e-Gov法令検索))。基準になるのは登記簿の地目ではなく、現在の状態です。登記の地目が宅地でも、畑として使われていれば農地として扱われます。
長く耕作されていない土地でも、草を刈ればすぐ耕作に戻せる状態なら、農地のままと判断されます。木が育って山林に近くなり、農地に復するのが難しいと見られれば、非農地として扱われる場合があります。この判断をするのは農業委員会です。判断の基準も手続きの名称も自治体ごとに違うので、地番を伝えて確かめてください。
許可を受けずに建物を建てた土地は、現況が宅地でも農地法の対象から外れません。違反転用として、工事の中止や原状回復を命じられることがあります(農地法第51条)。罰則の定めもあります(同法第64条)。昭和の時代に建てた家では、転用の許可の記録が見つからないことが実際にあります。この場合、是正の形で改めて許可を申請させる運用をとる自治体があります。扱いは地域で分かれるので、農業委員会に確認してください。
「農地転用の許可が下りないかどうかは、申請する前に分かる?」について、そのまま聞けます。
農地転用の 許可が 下りないのは、 どんな 理由の とき?

下りない理由は、土地の場所で決まる立地基準と、使い道の中身を見る一般基準のどちらかです。
農用地区域内農地から第3種農地までの区分の特徴
立地基準で分けられる主な区分
農用地区域内農地
農業振興地域整備計画の区域内。原則不許可。
甲種農地
土地改良事業完了から8年以内など。原則不許可。
第1種農地
10ヘクタール以上の一団の農地など。原則不許可。
第2種農地
市街地化が見込まれる区域。代替地がなければ許可。
第3種農地
市街地の区域にある農地。原則として許可。
1. 5つの 区分の どれに 入るかで、 入口が 決まる
立地基準は、農地を5つに分ける仕組みです。区分ごとに、許可の扱いがあらかじめ決まっています。
| 区分 | 見分け方の目安 | 許可の扱い |
|---|---|---|
| 農用地区域内農地 | 市町村の農業振興地域整備計画で農用地区域に入っている | 原則として不許可 |
| 甲種農地 | 市街化調整区域内で、土地改良事業の完了から8年以内などの良好な農地 | 原則として不許可 |
| 第1種農地 | おおむね10ヘクタール以上の一団の農地や、土地改良事業の対象になった農地 | 原則として不許可 |
| 第2種農地 | 市街地化が見込まれる区域の農地(駅などからの距離や周辺の宅地化の進み具合で判断) | 代替地がなければ許可 |
| 第3種農地 | 市街地の区域にある農地(上水道・下水道・ガスの管のうち2種類以上が敷設され、おおむね500メートル以内に役場や学校などの施設がある区域など) | 原則として許可 |
この5区分は、農地転用許可制度の立地基準として示されているものです(農林水産省)。上の3つに入っていれば、計画をどれだけ丁寧に作っても原則は不許可のままです。やることは、例外に当てはまるかどうかを探す作業に変わります。第3種農地であれば、書類と段取りの話に進めます。
自分の土地がどこに入るかは、農業委員会に地番を伝えれば分かります。電話で答えてくれる自治体もあります。区分は家の見た目では判断できません。隣の家が建て替えできたから自分もできる、とは限りません。道を一本はさんだだけで区分が変わることがあります。
第2種農地では、ほかに代わる土地がないことを申請の中で示します。近くの第3種農地やすでに宅地になっている土地を検討したうえで、その土地でなければならない理由を書く形です。幹線道路からの距離、必要な間口、母屋と地続きであること。こうした条件を並べて説明します。駅に近いというだけで区分が上がるわけではないので、どの区分に当たるかは農業委員会で地番ごとに確かめてください。
2. 農用地区域内農地は、 除外の 手続きが 先に 要る
立地基準を通ったあとに一般基準を通る2段の関門の仕組み
許可の可否を決める2つの基準
- 1
立地基準の確認
農地の場所で決まる区分。第2種・第3種なら次へ進める
- 2
一般基準の審査
代替地がないことや、計画の確実性・排水などを審査する
農用地区域内農地は、農業振興地域の整備に関する法律に基づいて市町村が指定した区域の中にあります。現場では青地と呼ばれます。転用の許可を申請する前に、その区域から外す手続きが要ります。農用地利用計画の変更で、農振除外と呼ばれる手続きです。
除外が認められるには、農業振興地域の整備に関する法律第13条第2項が並べる要件を、すべて満たす必要があります。農用地区域の外に代わる土地がなく、その土地を農業以外に使うことが必要かつ適当だと認められること。農用地の集団化や農作業の効率化など、農業上の効率的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと。担い手への農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと。土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと。土地改良事業の工事が完了した翌年度の初日から8年を経過していること。市町村はこれらを一つずつ審査し、どれか1つでも欠ければ農用地利用計画の変更は認められません。
受付の時期を限っている自治体が多いところです。年に2回、春と秋だけという運用もあります。申出を受けたあと、市町村は農用地利用計画の変更の案を作り、都道府県知事との協議、案の公告と縦覧、異議の申出の受付という段取りを踏みます(農業振興地域の整備に関する法律第13条が定める農用地利用計画の変更の手続き)。この一連の日程は市町村が手続きの流れとして示しているので、農政担当課で次の受付がいつになるか、変更の公告までにどの月をまたぐかを聞いてください。公告が済んで、そこでようやく農地転用の許可の申請が始まります。売却の話が年をまたぐ前提で、契約の期限を置いてください。
除外の見込みは、市町村の農政担当課で地番ごとに聞けます。集落の中にぽつんと入っている畑なら、話が進む余地があります。大きな農地のまん中にあれば、集団化に支障が出るとして難しくなります。「前例がない」と言われたら、そこで一度立ち止まってください。待っても結論が変わらない土地があります。
除外の申出をするときは、転用の計画を同時に出します。区域から外すだけの申出は、通常は受け付けられません。誰が、いつまでに、何を建てるのか。この3つが決まっていない段階では、窓口の相談で止まります。買主が決まってから動く順番になるため、売買の契約を先に結び、除外と許可が出ることを停止条件にする形をとります。条件が成就しなければ契約は白紙に戻る、という定めを契約書に入れておきます。期限の置き方は、受付の時期と審査の期間から逆算します。
3. 第1種農地と 甲種農地は、 例外に 当ては まるかだけを 見る
第1種農地と甲種農地は原則として不許可ですが、例外の定めがあります。農業用の施設、農産物の加工や販売の施設。集落に接続する形の住宅。すでにある施設の拡張。道路や公共の施設の事業。こうした用途が並びます。
相続した実家で使える可能性があるのは、集落に接続する住宅の例外です。既存の集落と地続きになっていることなどが条件になります。面積の上限も置かれています。母屋の建て替えや、相続人が住むための新築が、この形で認められることがあります。
一方で、庭を広げたい、資材置場にしたい、設備を置きたい。これらは例外に当たらないことが多い用途です。甲種農地では、例外の範囲が第1種農地よりさらに狭くなります。どの例外を使うのかは、申請を書き始める前に農業委員会の事務局と詰めてください。入口の選び方を間違えると、書類を作り直すことになります。
4. 第2種・第3種農地でも、 計画の 中身で 落ちる
立地基準で通っても、一般基準で落ちる土地があります。見られるのは転用の確実性です。事業の計画が具体的に決まっているか。工事の資金があるか。ほかの法令の許可が取れる見込みがあるか。申請した人が、計画どおりに工事を進められるか。
市街化調整区域の農地では、都市計画法の開発許可や建築の許可が別に要ります。農地転用が下りても、家が建たないことがあります。この二重の関門については「市街化調整区域の家が売れない理由」の記事で整理しています。農地転用の許可は、建ててよいという許可ではありません。
申請する面積も審査の対象です。駐車場にするのに、台数と見合わない広さを申請すれば、根拠を求められます。資金の裏づけは、預金の残高証明や金融機関の内諾書で示します。買う側の計画が固まっていない段階で第5条の申請を出しても、受理されません。契約だけ先に結んで申請を急ぐと、ここで止まります。
5. 排水と 同意書が 揃わないと、 受理まで 進まない
一般基準には、周りの農地への被害を防ぐ手当ても入っています。雨水と汚水をどこへ流すのか。隣の田に水が入り込まないか。土が崩れて落ちないか。日照や通風をさえぎらないか。この説明が付かなければ、許可は出ません。
排水の経路は図面で示します。水路に流すなら、その水路の管理者の同意が要ります。土地改良区の区域内であれば、土地改良区の意見書が付きます。区域から抜けるための決済金が発生することもあります。金額は面積と地区で違い、土地改良区に照会して初めて分かります。
隣接する農地の所有者の同意書を求める自治体もあります。法律が定めた要件ではなく、地域の運用として求められるものです。隣の人と連絡が取れない。署名をもらえない。ここで止まる案件が実際にあります。受理されなければ、審査の土俵にも乗りません。
同意の取り付けには順番があります。先に水路の管理者と土地改良区に当たり、流してよい量と接続の方法を確かめます。そのうえで隣接する農地の所有者に話をします。工事の時期と重機の通り道を先に示すと、話が進みやすくなります。耕作している人が所有者と違う場合は、耕作者にも説明が要ります。賃貸借の登記がなくても、農地法に基づく利用権が設定されていることがあるためです。
書類が揃うのを待っている間も、固定資産税と草刈りの費用は出ていきます。市街化区域にある農地は、宅地並みの評価で課税される扱いがあり、額は課税明細で確かめられます。売れるまでの間に毎年いくら出ていくのかは、「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事の計算のしかたに当てはめてみてください。
「農地転用の許可が下りないのは、どんな理由のとき?」について、そのまま聞けます。
農地転用の 許可が 下りない とき、 相続人は 何から 手を つける?

最初にすることは、農業委員会で地番ごとの区分と、過去の許可の記録を確かめることです。
課税明細と登記事項証明書と公図の手持ち書類
窓口へ持っていく主な書類
課税明細
固定資産税の納税通知書に付いているもの。
登記事項証明書
地番と位置をその場で特定するために使う。
公図
法務局で取れる。地番と位置の特定に使う。
1. 農業委員会で、 区分と 過去の 許可の 記録を 確かめる
持っていくのは3点です。固定資産税の納税通知書に付いている課税明細。登記事項証明書。法務局で取れる公図。この3つがあれば、地番と位置がその場で特定できます。
窓口で聞く事項は5つあります。
- 地番ごとの区分が、農用地区域内農地から第3種農地までのどれに当たるか
- 農業振興地域の農用地区域に入っているかどうか
- 過去に第4条または第5条の許可が出ている記録があるか
- いまの状態が、農地として扱われているかどうか
- 相続による取得の届出が済んでいるかどうか
窓口で返ってきた答えを、次の表に当てはめてください。地番が複数あるときは、地番ごとに1行ずつ当てはめます。
| 窓口で返ってきた答え | 次に取る手 | 当社の扱い |
|---|---|---|
| 市街化区域の中の農地 | 第4条・第5条は農業委員会への届出で足りる。農地のまま売るなら第3条の許可が要る | 届出の受理を確かめてから決済日を置けます |
| 市街化調整区域の第3種農地 | 第5条の許可を申請する。都市計画法の開発許可・建築の許可の見込みを、都市計画の窓口で同時に確かめる | 許可を停止条件に買い取ります。周りが住宅地なら仲介の方が手取りが多くなることがあります |
| 第2種農地 | 代わりの土地が無い理由(道路からの距離・間口・母屋と地続きであること)を計画に書く | 許可を停止条件に検討します |
| 第1種農地・甲種農地 | 集落に接続する住宅などの例外に当たるかを事務局と詰める。当たらなければ第3条で売る・貸す・国庫帰属の制度を比べる | 例外に当たる計画が立つ土地に限って検討します |
| 農用地区域内農地 | 市町村の農政担当課で、除外の見込みと次の受付の時期を聞く | 除外の見込みについて判断が示されなければお断りしています |
| 許可の記録が無いまま家が建っている | 是正の形で改めて申請させる運用かどうかを農業委員会に確かめる | 原状回復の指導や命令が出ていれば、是正の中身が決まるまで金額を出せません |
| 現況が農地ではないと判断された | 農業委員会で非農地として扱う手続きの名称と書類を確かめ、地目変更の登記に進む | 宅地として検討します |
過去に転用の許可が出ているかは、登記からもある程度たどれます。許可を受けて工事が終われば、地目変更の登記をするのが通常の流れです。登記事項証明書の地目が宅地になり、原因の欄に地目変更の日付が入っていれば、転用が済んでいる可能性が高くなります。許可の指令書の写しは、都道府県や市町村に保存期間の間は残っています。農業委員会の農地台帳にも記録が残り、全国の農地の情報を地図で見られる公開システムもあります。
農地台帳は、農業委員会が地番ごとに作っている記録です。所有者、耕作している人、面積、区分が載っています。写しの交付を受けられる自治体もあります。名寄帳を市町村の税務課で取ると、同じ名義の土地が一覧で出てきます。親の名義の畑が思っていたより多く残っていたと分かるのは、この場面です。遠方で窓口に行けない場合は、郵送や電話で答えてくれる自治体もあります。地番と所有者の氏名を手元に置いてから、電話をかけてください。
申請人になれるのは、登記の名義人です。名義が亡くなった親のままなら、先に相続登記をします。2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務になりました(相続登記の申請義務化(法務省))。期限の数え始めは、相続で取得したことを知った日です。施行日の2024年4月1日より後にそれを知ったのであれば、知った日から3年が期限になります。施行日より前にすでに知っていた相続も義務の対象で、この場合だけは知った日ではなく施行日から3年を数えるため、期限は2027年3月31日になります。農地も宅地も同じ扱いです。放置した場合に何が起きるかは「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事に書いています。
2. 母屋の 敷地と 畑を、 公図の 上で 分ける
農業委員会で地番ごとの区分と過去の許可の記録を確かめる手順
農業委員会で照会する手順
- 1
農業委員会で照会
課税明細・登記・公図を持ち、区分や過去の許可を聞く
- 2
敷地と畑の切り分け
公図上で母屋の敷地と畑の位置を特定し分ける
- 3
出口の選択
区分に応じた手続きを確認し、売却や転用の方針を決める
次に決めるのは、どこまでを手放すかです。母屋の敷地が宅地で、その周りが畑。この形なら、宅地の部分だけを切り出せるかを見ます。
確かめる点は3つです。1つ目は、宅地の部分が道路に接しているか。接していなければ、畑を通らないと出入りできません。2つ目は、畑が別の地番になっているか。同じ一筆なら分筆が要ります。3つ目は、水道とガスの引込みが畑の下を通っていないか。畑を通って配管が来ていると、宅地だけを売ったあとで使えなくなることがあります。分筆には境界の確定と測量が必要で、土地家屋調査士に依頼します。隣接する土地の所有者の立会いが要るため、数か月かかることがあります。費用は面積と隣接する筆の数で変わります。
接道の確かめ方も決めておきます。建築基準法の道路に2メートル以上接していなければ、宅地の部分だけを切り出しても建て替えはできません。前面の道が幅員4メートルに満たない場合は、敷地を後退させる扱いになります。この後退で使えなくなる面積は、価格にそのまま出ます。道路の種別は、市町村の建築の窓口にある道路台帳で調べられます。引込みの経路は、市町村の水道の担当課とガス会社に残る配管の図面で確かめられます。
宅地だけを切り出して売ると、畑が手元に残ります。残った畑は、耕作も売却もしないまま固定資産税だけがかかる状態になります。畑を含めて一度に手放すなら、第5条の許可を前提にした売買になります。母屋を残したまま売る形との比較は「古家付き土地の売却」の記事に整理しています。
区分や過去の許可の記録など窓口で確認するべき事項
農業委員会の窓口では、何を確認すればよいですか?
地番ごとの農地区分や過去の許可記録など、今後の手続きを分ける5つの事項を確認します。
- 農地の5区分と農用地区域の該否
- 過去の転用許可の有無と現在の扱い
- 相続による取得届出が済んでいるか
3. 許可を 待つか、 農地の まま 手放すかを 決める
区分が分かったら、出口を選びます。相続した実家の畑で現実に取れるのは、次の4つです。
- 第5条の許可を停止条件にして売る。許可が出た日に合わせて決済します。許可まで数か月、農振除外から始めるなら年単位になります。
- 農地のまま、農業をする人に売る。第3条の許可です。2023年4月1日から、取得後の面積の下限という要件は廃止されました。ただし農作業に常時従事することなどの要件は残っており、買い手は農家か農業法人に限られます。
- 農地中間管理機構や市町村の制度を通じて貸す。機構は都道府県に1つ置かれ、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づいて、借り受けた農地を担い手にまとめて貸し出します。申込みの窓口は市町村の農政担当課か機構で、借受けを希望する人の募集の結果は機構が公表しています。借り手が付くまでの期間と賃料の水準は、区画の形、道と水路の付き方、周りの担い手の有無で決まるため、申し込む前にその地区の貸付けの実績を機構に聞いてください。借り手が付かない区画は、申込みをしても貸付けに至らず、固定資産税と草刈りの負担は残ります。
- 相続した土地を国に引き取ってもらう制度を使う。農地も対象になり得ますが、要件があり、承認されれば10年分の管理費に相当する負担金を納めます。法務省が示す負担金の算定では、農地は原則として面積を問わず20万円です。例外として、市街化区域または用途地域の中にある農地、農業振興地域の農用地区域内の農地、土地改良事業の区域内の農地は、面積に応じた算定になります。森林も面積に応じた算定です。相続した実家の畑がこの例外のどれかに当たるなら、20万円では済まない前提で考えてください。却下される土地は「相続土地国庫帰属制度は使えないのか」の記事に並べています。
どれを選ぶかは、やはり区分で決まります。第3種農地なら転用の見込みが立つので、個人の買主を探す余地があります。農用地区域内農地なら、除外の見込みを聞くところからです。見込みが立たないなら、貸すか持ち続けるかに寄ります。空き家の母屋が傷んでいる場合は、市町村の空き家の担当課から助言や指導が来ることもあります。農地の手続きが止まっている間も、建物の状態は別に進みます。
選ぶ前に、年ごとに出ていく額を書き出しておくと判断が早くなります。固定資産税と都市計画税、草刈りの外注費、火災保険料、遠方なら往復の交通費。農地は宅地より評価が低いので税額は小さく見えますが、母屋が建っている部分は別に課税されます。更地にすると「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事。上がるのは、解体した翌年の1月1日の状態で課税される年からです。解体費は建物の構造と延べ床面積、前面道路の幅で変わるので、「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事で目安をつかみ、見積もりを取ってから並べてください。解体を先に進めるかどうかは、この増え方と解体費を比べてから決めます。売ったときの譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例は、相続した母屋とその敷地の売却が対象で、敷地に当たらない畑の部分は外れることがあります。令和6年1月1日以後に売った場合、相続人のうち母屋とその敷地を取得した人が3人以上いると、控除の上限は1人あたり2,000万円になります。建物の建築時期や売る期限などの要件は「空き家3000万円控除の条件」の記事に並べています。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
「農地転用の許可が下りないとき、相続人は何から手をつける?」について、そのまま聞けます。
農地転用の 許可が 下りない 土地を、 当社は 買い取れる?
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「農地転用の許可が下りない土地を、当社は買い取れる?」について、そのまま聞けます。
農地転用の 許可が 下りない とき、 先に 確かめる 3つ
- まず課税明細から地番を書き出し、農業委員会に区分を照会してください。 公図を手元に置いて電話をすれば、区分だけその場で答えてくれる自治体もあります。農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地のどれかなら、申請書の書き方では覆りません。
- 次に、市町村の農政担当課で除外の見込みを聞いてください。 青地であれば、受付の時期と審査の期間から、年単位で待つことになるかどうかが分かります。あわせて、自分で転用するのか(第4条)、転用する人に売るのか(第5条)も決めておきます。
- 最後に、雨水と汚水の行き先を図面で確かめてください。 水路の管理者と土地改良区の同意、資金の裏づけ、ほかの法令の許可の見込み。立地で通っても、この説明が付かないと申請は受理されません。
当社は第5条の許可を停止条件にして買い取ります。許可が出るまで決済ができないため、短い期間で現金化したいご事情には沿えないことがあります。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
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農地転用の 許可に ついて、 よく ある 質問
Q1. 地目が 畑の まま 建築する ことは できますか
建築の確認と農地法は、別の制度として動いています。建築の確認が下りても、転用の許可を受けずに工事をすれば違反転用になります。順番は、転用の許可、工事、地目変更の登記です。 市街化区域の中であれば、許可ではなく農業委員会への届出で足ります。許可証や届出の受理通知の添付を、建築の窓口で求める自治体もあります。着工の前に、農業委員会と建築の窓口の両方に当たってください。
Q2. 農地転用には、 どんな ときも 許可が 必要ですか
市街化区域の中にある農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば、第4条と第5条の許可は要りません。市街化調整区域や、線引きのされていない区域では許可が必要です。農地を農地のまま売り買いする第3条の許可は、市街化区域でも必要です。 自分の土地がどの区域にあるかは、市町村の都市計画の窓口で確かめられます。区域が分かると、要る手続きが先に決まります。
Q3. 農地には 何種類ありますか
転用の可否を見る立地基準では、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地、第2種農地、第3種農地の5つに分かれます。この5区分は、登記簿の地目である田や畑とは別の分け方です。 地目が同じ畑でも、場所によって区分は変わります。前の3つは原則として不許可、第2種農地は代替地がなければ許可、第3種農地は原則として許可という扱いです。区分は農業委員会で地番ごとに確認できます。
Q4. 農地転用が できない 土地は、 どんな 土地ですか
原則として不許可になるのは、農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地です。農用地区域内農地は、市町村の除外の手続きを経なければ申請の土俵に乗りません。立地で通っても、転用の確実性や排水の手当てが示せない土地は、一般基準で落ちます。 市街化調整区域では、都市計画法の許可が別に要ります。農地転用の許可が下りても、建てられない土地があります。
Q5. 農地転用の 許可が 下りない 理由は、 どこで 分かりますか
申請の前なら、農業委員会の事前相談で見込みを聞けます。区分と用途を伝えれば、例外に当たるかどうかの当たりが付きます。申請を拒否する処分には理由を示すことが、行政手続法第8条で定められています。 実務では、受理の前に補正や取下げを求められることがあります。その場合は書面が出ないので、何が足りないのかをその場で聞き取り、記録に残してください。
Q6. 農地転用の 許可が 下りているかを 確認する 方法は ありますか
登記事項証明書を見ると、地目が宅地に変わっているかが分かります。転用の工事が終われば、地目変更の登記をするのが通常の流れだからです。許可の記録そのものは、農業委員会の農地台帳と、都道府県や市町村に残る許可の指令書で確かめます。 保存の期間は役所によって違うため、古い案件では記録が残っていないこともあります。地番を伝えて、農業委員会に照会してください。
当社の 見方
ご相談のお電話で最初にお聞きするのは、母屋の住所ではなく、課税明細に並んでいる地番です。母屋の敷地だけを見て話が進み、公図を広げて初めて裏手が一筆の畑だったと分かる。この形では、金額をお出ししても決済日を置けません。地番を農業委員会に伝えるだけなら費用はかかりませんので、売る相手を探すより先に済ませてください。
もう1つは、除外の見込みを聞かないまま契約の話が始まる形です。農用地区域内農地は、除外の申出の受付が年に数回に限られ、そのあと計画の変更の手続きを経るため、結果が出るまでに年をまたぐことがあります。その間、母屋は傷み、草は伸びます。当社がお出しできるのは買取の金額と日程だけで、許可の判断は農業委員会と都道府県の領分です。見込みが立たない土地では、無理に買うのではなく、貸す道や制度を使う道を一緒に並べてお話ししています。金額で折り合わないときは、そう申し上げます。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
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- 法令:農地法出典:農林水産省、法務省
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