親から相続した家を自分の名義に変えるときに法務局へ出す書類は、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書、受け継ぐ人の住民票、固定資産評価証明書、それに登記申請書の組み合わせが基本です。遺言書があるか、兄弟と分け方を決めたか、親の住所が登記と同じかで、ここから増えたり減ったりします。
相続
家の 名義変更の 必要書類|相続・贈与・売買・離婚別の 取り方
公開 更新

「親から相続した家の名義を自分に変えたいが、役所と法務局で何を取ればいいのか分からない」。相続なら親の戸籍の束と遺産分割協議書、贈与・売買・離婚の財産分与なら渡す人の登記識別情報と印鑑証明書が中心で、どれも市区町村と法務局の2か所でそろいます。親の相続による名義変更は、受け継いだと知った日から3年以内に申請する義務があります。
名義が親のままの家も、決済日から逆算して司法書士と相続登記の日程を組んだうえで現況のまま買い取り、当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません。住宅ローンの残りが買取価格を上回り、決済の日に抵当権を消せない家は買い取れません。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(9章)
先に相続した家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。
約1分で簡単査定を申し込むこの先は当社の買取窓口「買取くん」です。
家の 名義変更の 必要書類は、 名義が 移る 原因で 決まる

家の名義変更の必要書類は、相続・贈与・売買・離婚の財産分与のうち、どの原因で所有者が替わるかによって組み合わせが変わります。
親の葬儀を終えてしばらくすると、固定資産税の納税通知書が親の名前のまま届き、そこで名義のことを考え始める方が多いです。役所に死亡届を出しても、家の名義はひとりでには動きません。何もしなければ、登記簿の所有者は亡くなった親のまま何年も残ります。
名義変更とは、 法務局に 所有権の 移転を 登記する こと
家の名義とは、法務局が管理する登記簿の所有者の欄のことです。この欄を書き換える手続きを所有権移転登記といい、家と土地がある場所を受け持つ法務局に申請します。自分が住んでいる町の法務局ではなく、不動産のある場所の法務局が窓口です。
建物と土地は、登記の上では別々の不動産です。家を1軒受け継ぐ場合でも、建物1つと土地1筆以上を申請書に並べて書きます。土地が2筆、3筆に分かれている家は珍しくありません。
見落としやすいのが、家の前の私道や、近所と共有している通路の持分です。固定資産税がかからない土地は納税通知書に載らないため、親が持っていたことに誰も気づかないまま名義変更を終えてしまうことがあります。市区町村の資産税の窓口で、親の名前で登録された不動産を一覧にした名寄帳を取ると、漏れを防げます。
増築した部分や物置が登記されていない家もあります。登記簿に載っていない建物は、そもそも名義を移す相手の欄がありません。この場合は先に建物の表題登記が要り、これは土地家屋調査士の仕事になります。
固定資産税の納税通知書の宛名と登記の名義も、別のものです。相続人の代表者に通知書が届くようになっても、登記簿の所有者は親のままです。売るときや担保に入れるときに見られるのは登記簿なので、宛名が変わったことを名義変更が済んだ印と受け取らないでください。
登記簿の所有者欄と固定資産税の納税通知書の宛名が別のものであること
登記簿の所有者と納税通知書の宛名
登記簿の所有者
法務局が管理する欄。売却や担保設定時に見られる
納税通知書の宛名
相続人代表に届いても、登記簿の所有者は親のまま
登記されていない建物
名義を移す欄がないため、先に表題登記が必要
私道や共有通路の持分
非課税で通知書に載らないため、名寄帳で確認する
相続と、 贈与・売買・離婚で 書類が 分かれる 理由
書類の組み合わせが分かれるのは、誰が申請するかが原因によって違うからです。相続では、亡くなった人は申請に加われません。受け継ぐ相続人が一人で申請できる代わりに、自分が相続人であることを戸籍で証明します。親の出生から死亡までの戸籍の束が要るのは、ほかに子がいないことを示すためです。
贈与・売買・離婚の財産分与では、名義を渡す人と受け取る人が一緒に申請します。渡す人が本当に本人であることを法務局が確かめるため、登記識別情報(以前の権利証)と、発行から3か月以内の印鑑証明書が加わります。この期限は不動産登記令が定めるもので、相続の遺産分割協議書に付ける印鑑証明書とは扱いが違います。
もう1つ、原因ごとに変わるのが、なぜ名義が移るのかを示す書類(登記原因証明情報)です。相続なら遺産分割協議書や遺言書、贈与なら贈与契約書、売買なら売買契約書、離婚なら財産分与の協議書や調停調書がその役を果たします。法務局は原因ごとの申請書の様式と記載例を公開しており、自分に合う様式を選ぶところから始められます(不動産登記の申請書様式について(法務局))。
建物や土地のほかに私道や未登記の増築部分がないかを確認する手順
名義変更の対象となる不動産の確認
- 1
登記簿の所有者
法務局が管理。売却や担保の確認に使われ、手続きしないと親のまま残る。
- 2
納税通知書の宛名
市区町村が管理。相続人の代表者に届くようになっても登記名義は変わらない。
原因と 売る 予定で 選ぶ、 必要書類の チェック表
自分がどの行に当たるかを先に決めると、取りに行く窓口が絞れます。名義変更の後に売るつもりなら、最後の行も見てください。
| 原因・この先の予定 | そろえる書類 | 取りに行く窓口 |
|---|---|---|
| 相続(兄弟などと分け方を決めた) | 親の出生から死亡までの戸籍・住民票の除票、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書、受け継ぐ人の住民票、固定資産評価証明書 | 市区町村(戸籍・住民票・印鑑証明書・評価証明書)、法務局(申請) |
| 相続(遺言書がある) | 遺言書(自宅で見つかった手書きのものは検認済み)、親の死亡が分かる戸籍、受け継ぐ人の戸籍と住民票、固定資産評価証明書 | 家庭裁判所(検認)、市区町村、法務局 |
| 生前の贈与 | 贈与契約書、渡す人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書、受け取る人の住民票、固定資産評価証明書 | 市区町村、法務局 |
| 売買 | 売買契約書などの登記原因証明情報、売る人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書、買う人の住民票、固定資産評価証明書 | 市区町村、法務局 |
| 離婚の財産分与 | 財産分与の協議書または調停調書、分与する人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書、受け取る人の住民票、固定資産評価証明書 | 市区町村、家庭裁判所(調停の場合)、法務局 |
| 名義変更の後に売る | 名義変更で受け取った登記識別情報、本人確認書類、印鑑証明書、固定資産税の納税通知書 | 市区町村、売る相手との打合せ |
表の1行目から5行目(相続の2通り・贈与・売買・離婚の財産分与)は、名義を受け取るまでに集める書類です。最後の行は、受け取った名義を次の買主へ渡すときに改めて用意するもので、売ると決めている方は、名義変更の後に法務局から交付される登記識別情報を捨てずに保管してください。調停調書や遺言書で名義を移す場合のように、書類の種類で申請のしかたが変わるものは、窓口で様式を確かめてから集めると取り直しが減ります。
親の 土地名義変更と 家の 相続登記には、 3年の 期限が ある
親から相続した家と土地の名義変更は、2024年4月1日から申請が義務になり、相続で取得したと知った日から3年以内に申請します。
親が亡くなって1年近くたち、兄弟で話がまとまらないまま期限だけが気になっている時点で、この義務を知る方も少なくありません。名義が親のままでも、住むことや固定資産税を払うことはできます。困るのは、売る・貸すと決めた日と、法務局から申請を促された日です。
2024年4月1日に 始まった 申請義務と、 自分の 期限の 数え方
自分の期限を数え始める日は、親が亡くなった日とは限りません。数え始めるのは、親の家が自分のものになったと知った日です。実家から離れて暮らしていて、亡くなったことを後から知らされた方は、知らされた日が1日目になります。その日から3年のうちに、家のある場所の法務局へ名義変更を出すことが、2024年4月1日から相続人に求められています。
施行日より前に起きた相続も、対象から外れません。2024年4月1日より前に家を受け継いだと知っていた場合、期限は2027年3月31日です(相続登記の申請義務化について(法務省))。たとえば2019年に父が亡くなり、そのときから実家を受け継いだと分かっていた方は、この日が期限です。2025年6月10日に初めて知った方なら、そこから3年以内、つまり2028年6月10日までが申請の期限になります。
兄弟で知った日がずれることもあります。実家の近くに住む兄は父の亡くなった日に知り、海外にいた妹は数か月後に知った、という形です。期限は一人ずつ数えるので、早く知った人の期限に合わせて段取りを組むと、全員の期限に間に合います。
自分の期限が分かったら、カレンダーに書き込む日は1つでは足りません。戸籍を集め、兄弟と分け方を決め、申請書を出すまでには時間がかかります。期限から逆に数えて、遅くとも何月には兄弟に分け方の相談を持ちかけるかを先に決めてください。名義を何年も放っておいた家で売るときに何が起きるかは、「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事で売却との関係から整理しています。
戸籍集めや遺産分割の話し合いなど期限に間に合わせるための段取り
期限から逆算して進める段取り
1. 期限の確認
家が自分のものになったと知った日から3年以内
2. 逆算して段取り
期限から逆算し、兄弟に相談を持ちかける月を決める
3. 話し合いと書類集め
兄弟と分け方を決め、戸籍などの必要書類を集める
4. 法務局へ申請
家のある場所の法務局へ名義変更の申請書を出す
分け方が 決まらないうちに 期限が 来る ときの 申し出と、 過料
兄弟の話し合いが期限に間に合わないときは、法務局に「相続が始まったこと」と「自分が相続人であること」を申し出る方法があります。不動産登記法第76条の3が定める相続人申告登記で、申し出た人は申請の義務を果たしたものとして扱われます。扱われるのは申し出た本人だけで、ほかの兄弟の分まで済むわけではありません。
この申し出をしても、家の名義は親のままで、誰が受け継ぐかは決まっていません。申し出だけでは、家を売ることも担保に入れることもできません。のちに遺産分割で受け継ぐ人が決まれば、その分割の日から3年以内に、改めて名義変更の申請が要ります。
正当な理由なく申請しないまま期限を過ぎると、不動産登記法第164条により10万円以下の過料の対象になります。過料を科すのは裁判所で、その前に登記官が申請を促す催告をする手順が、法務省の案内で示されています。正当な理由の例や施行前の相続の扱いは、「相続登記の義務化と過去の相続」の記事に詳しく書いています。
2024年4月1日の施行日前後に相続を知った場合の3年の期限の数え方
相続登記の申請義務と期限の数え方
1日目
相続を知った日
親の家が自分のものになったと知った日から数え始める
期限の数か月前
兄弟への相談
期限から逆算し、遅くとも何月に相談するか決める
申請の準備
戸籍集めと協議
戸籍を集め、兄弟と家の分け方を決める
3年以内
名義変更の申請
家のある場所の法務局へ申請書を出す
「親の土地名義変更と家の相続登記には、3年の期限がある」について、そのまま聞けます。
相続した家の 名義変更で、 必要書類が 増える 3つの 分かれ目
相続した家の書類が増えるかは、遺言書の有無、兄弟との分け方の決め方、登記簿の住所と親の最後の住所が一致するかの3つで分かれます。
遺品を片付けていて封筒に入った遺言書が見つかった、兄から「家はお前が継げばいい」と電話があった、といった場面がこの分かれ目の入口です。どの場面かを決めないまま戸籍を集め始めると、要らない書類を取ったり、足りない書類を取り直したりします。
1. 遺言書が あり、 その 中身どおりに 受け継ぐか
遺言書で家を受け継ぐ場合、親の出生からの戸籍一式が要らず、死亡の記載がある戸籍で足りる場面があります。遺言書が、ほかの相続人の顔ぶれを確かめる代わりになるからです。必要な戸籍の範囲は遺言の書き方でも変わるので、申請前に法務局で確かめてください。
遺言書の種類によって、名義変更に使えるまでの日数が違います。公証役場で作った公正証書遺言は、そのまま使えます。親の自宅で見つかった手書きの遺言書は、家庭裁判所で検認を受けてからでないと登記に使えません。法務局の保管制度に預けてあった手書きの遺言書なら、検認は不要です。
検認には、家庭裁判所への申立てから、相続人に通知が届いて期日を迎えるまでの時間がかかります。封がしてある遺言書は、自分で開けずに家庭裁判所で開封する決まりがある点にも注意してください。3年の期限から逆算すると、検認の分だけ早く動き出すことになります。
公正証書遺言や法務局保管の遺言と自宅の手書き遺言での検認の要否の違い
遺言書の種類と検認の要否
| 観点 | 公正証書・法務局保管の遺言 | 自宅の手書き遺言 |
|---|---|---|
| 検認の要否 | 不要 | 必要 |
| 使えるまでの日数 | そのまま使える | 検認の分だけ時間がかかる |
| 開封の決まり | そのまま使える | 自分で開けず家庭裁判所で開封する |
2. 兄弟で 分け方を 決めたか、 法定相続分の 共有で 登記するか
兄弟で話し合い、家を一人が受け継ぐと決めた場合は、遺産分割協議書と、署名して実印を押した相続人全員の印鑑証明書が加わります。この印鑑証明書には、贈与や売買の名義変更と違い、発行から3か月以内という期限が求められません。協議書の書き方や家の記載例は、「遺産分割協議書の書き方」の記事にあります。
協議書に書く家と土地の表示は、住所の書き方ではなく、登記事項証明書の所在・地番・家屋番号をそのまま写します。私道の持分や物置の土地を書き漏らすと、その分だけ親の名義が残り、協議書を作り直すことになります。名寄帳と登記事項証明書を横に置いて、1筆ずつ照らしてから書いてください。
兄弟の誰かが家庭裁判所で相続放棄をしている場合は、その人は協議に加わらず、代わりに相続放棄申述受理証明書を添えます。父が亡くなり母と未成年の子が相続人になるように、親権者と子がともに当事者になるときは、家庭裁判所で特別代理人を選んでもらってから協議をします。判断の難しい相続人がいる場合も、成年後見人を立てる手続きが先に入ります。
話し合いをせず、法律で決まった割合(法定相続分)のまま兄弟の共有で名義変更することもできます。協議書は要りませんが、家は兄弟全員の名義になります。のちに売るときは共有者全員が売主になるため、住所が離れた兄弟の印鑑証明書を、その時点で改めてそろえます。
遺言書の有無や分け方の決め方によって名義変更の必要書類が変わる条件
必要書類が増える3つの分かれ目
- 1
公正証書遺言
公証役場で作った遺言書。検認は不要で、そのまま名義変更に使える。
- 2
自宅の手書き遺言
家庭裁判所での検認が必要。自分で開封せず、検認を受けてから登記に使う。
- 3
法務局保管の遺言
法務局の保管制度に預けてあった手書きの遺言書。検認は不要。
3. 登記簿の 住所と、 親が 亡くなった ときの 住所が 同じか
登記簿に載っている親の住所と、住民票の除票にある最後の住所が違うと、同じ人であることを示す書類が要ります。家を買った後に親が住所を移していた場合や、住居表示の変更で番地の表し方が変わった場合に起きます。住所の移り変わりが分かる戸籍の附票か除票の写しで、2つの住所をつなぎます。
古い住所の記録は、市区町村での保存期間を過ぎて取れないことがあります。つながりを示す書類がそろわないときは、登記済証(権利証)や固定資産税の納税通知書などで補える場合があり、何で補うかは事前に法務局へ確かめます。この分かれ目に当たると、自分で申請するより司法書士に任せた方が早く終わることが多くなります。
祖父や曽祖父の名義のまま残っている家は、さらに段階が増えます。祖父の相続人に父がいて、その父も亡くなっているという形では、亡くなった人ごとに戸籍の束が要り、話し合いに加わる人も増えます。この形の進め方は、「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事にあります。
夫から 妻への 家の 名義変更など、 相続以外の 場面で 変わる 書類と 税金
相続以外で家の名義変更をする場面は生前の贈与・売買・離婚の財産分与の3つで、どれも渡す人の書類が加わり、かかる税金も相続とは違います。
夫から妻へ家の名義変更をする場面でいえば、夫が亡くなって妻が受け継ぐのは相続で、「相続した家の名義変更で、必要書類が増える3つの分かれ目」の書類で進みます。夫が生きているうちに名義を移すなら贈与か売買、離婚のときに移すなら財産分与です。同じ「夫から妻へ」でも、原因を取り違えると書類も税金も変わります。
夫婦の共有名義の家で、夫の持分だけを妻に移す形もあります。この場合も名義変更の原因は贈与・売買・財産分与のどれかで、移すのは「夫の持分」だけになります。申請書には移す持分の割合を書き、書類は家全体を移す場合と同じ顔ぶれです。
1. 生前に 夫や 親から 贈与で 受ける 場合
贈与で名義を移すときは、贈与契約書、渡す人の登記識別情報と発行から3か月以内の印鑑証明書、受け取る人の住民票、固定資産評価証明書をそろえ、2人で申請します。贈与契約書は、法務局が公開している登記原因証明情報の記載例を土台にして作れます。
この名義変更でかかる税金は、相続より重くなります。受け取った人には贈与税がかかるのが原則で、家と土地の評価額によっては大きな額になります。国税庁「登録免許税の税額表」によれば、登記の税率も、相続が不動産の価額の1000分の4であるのに対し、贈与は1000分の20です。さらに贈与では都道府県から不動産取得税が課されますが、相続で受け継いだ不動産には地方税法第73条の7により課されません。
結婚して長い夫婦の間で住まいを贈与する場合には、贈与税の配偶者控除という特例があります。婚姻の期間や、贈与の後も住み続けることなどの要件があり、国税庁のタックスアンサー「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」で確かめられます。贈与ではなく親族の間で売買する形をとる場合の価格の決め方は、「親族間の不動産売買の適正価格」の記事を見てください。
相続が1000分の4であるのに対し贈与は1000分の20と税率が高くなること
相続と贈与の登録免許税の税率
- 相続4/1000
- 贈与20/1000
2. 売買で 名義を 移す 場合
売買では、売る人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書、買う人の住民票、固定資産評価証明書、売買の事実を示す登記原因証明情報をそろえ、代金の支払いと同じ日に申請する段取りが多くとられます。住宅ローンが残っている家なら、同じ日に抵当権を消す登記も入ります。
相続した家を他人に売る場合は、順番に気をつけてください。親の名義のままでは買主へ名義を移せないため、まず相続人への名義変更をして、そのうえで売買の名義変更をします。相続の登記と売買の登記を同じ日に続けて申請する段取りも組めますが、その場合でも相続の書類は先にそろっている必要があります。
売る側には、売って出た利益に所得税と住民税がかかることがあります。所得税法第60条により、相続した家では親が買ったときの値段と時期を引き継いで計算します。売買の登録免許税は買う側が負担することが多く、土地の売買には税率を下げる措置がとられている期間があるため、国税庁の税額表で確かめてください。
3. 離婚の 財産分与で 名義変更する ときの 注意点
財産分与による名義変更は、離婚が成立した後の日付でしか登記できません。離婚届を出す前に協議書で分け方を決めていても、登記の原因の日付は離婚の成立日以降になります。書類は、財産分与の協議書、分与する人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書、受け取る人の住民票、固定資産評価証明書です。家庭裁判所の調停で決めた場合は調停調書を使い、受け取る人だけで申請できます。
とくに気をつけたいのは、住宅ローンが残っている家です。名義を妻に移しても、ローンの借り手は夫のまま変わりません。住宅ローンの契約には、金融機関の承諾なく所有者を変えないことを求める条項が入っていることが多く、名義変更の前に金融機関へ相談が要ります。ローンが残った家を売るか住むかの決め方は、「離婚で家を売る」の記事で扱っています。
税金の扱いも、相続や贈与とは違います。財産分与で受け取った財産には、分与の額が過大でないかぎり、通常は贈与税がかからないと国税庁のタックスアンサーで示されています。一方で、家を渡した側には、渡した時の価額で売ったものとして所得税がかかる場合があります。国税庁の税額表によれば登録免許税は財産分与でも1000分の20で、相続より重い点は変わりません。
相続や贈与など名義変更の原因によって加わる書類と課される税金の違い
名義変更の原因で変わる書類と税金
| 税金の種類 | 相続 | 贈与 |
|---|---|---|
| 登録免許税の税率 | 不動産の価額の1000分の4 | 不動産の価額の1000分の20 |
| 不動産取得税 | 課されない | 課される |
「夫から妻への家の名義変更など、相続以外の場面で変わる書類と税金」について、そのまま聞けます。
家の 名義変更の 必要書類を、 法務局と 市区町村で 取る 順番

書類は、法務局で登記事項証明書を取って名義と住所を確かめ、そのうえで市区町村の戸籍・住民票・評価証明書を集める順に進めると、取り直しが減ります。
自分がチェック表のどの行に当たるかが決まった時点では、まだ手元に何もない方がほとんどです。先に戸籍から集め始めると、親の名義の土地が1筆多かった、登記の住所が古かった、と後で分かって窓口に戻ることになります。登記の中身を見てから役所に行く、という順番だけは守ってください。
1. 法務局で 登記事項証明書を 取り、 名義・住所・ 抵当権を 確かめる
登記事項証明書は、家と土地を受け持つ法務局でなくても、全国どこの法務局でも取れます。オンラインで請求して郵送で受け取る方法もあります。請求には、家の住所(住居表示)ではなく登記上の所在と地番・家屋番号が要るため、固定資産税の納税通知書の課税明細を手元に置いてください。
届いた証明書で見るのは3か所です。所有者の欄が親になっているか、祖父など別の人のままか。所有者の住所が、親の最後の住所と同じか。抵当権の欄に、完済したはずのローンの登記が残っていないか。完済していても抵当権の登記は自動では消えず、金融機関から受け取った書類で別に申請します。この3か所で、「原因と売る予定で選ぶ、必要書類のチェック表」の行に足す書類が決まります。
所有者の名義・住所・抵当権の確認結果で足す書類や別申請が決まる
登記事項証明書で確かめる3つの分かれ目
所有者の名義は親か
祖父など別の人のままなら、足す書類が変わる
所有者の住所は一致するか
親の最後の住所と違う場合、足す書類が変わる
抵当権の登記は残っていないか
完済したローンでも自動で消えず、金融機関の書類で別に申請する
2. 市区町村で 戸籍・住民票・印鑑証明書・ 評価証明書を 取り、 法定相続情報一覧図に まとめる
戸籍は、本籍地の市区町村に請求するのが基本です。最寄りの市区町村の窓口で、本籍地が別の市区町村にある戸籍もまとめて請求できる仕組み(広域交付)もありますが、請求できる人と取れる戸籍の種類に限りがあるので、窓口で確かめてください。親の出生から死亡までをたどると、転籍や法改正による作り直しのたびに戸籍が分かれていて、1か所で全部そろわないことがあります。
遠方の本籍地に行けないときは、郵送で請求できます。請求書、本人確認書類の写し、親との続柄が分かる戸籍、手数料分の定額小為替、返信用封筒を同封します。届いた戸籍の最初の記載を読めば一つ前の本籍地が分かるので、1通ずつさかのぼって次の請求先を決めます。
住民票の除票は親が最後に住んでいた市区町村、受け継ぐ人の住民票は自分の市区町村で取ります。固定資産評価証明書は家と土地がある市区町村(東京23区は都税事務所)で、相続人であることが分かる戸籍を見せれば相続人も取れます。登録免許税の計算には申請する年度の価額を使うため、4月1日をまたぐと取り直しになる点に注意してください。
戸籍の束がそろったら、法務局で法定相続情報一覧図の写しを無料で交付してもらえます。写しは相続登記で戸籍の束の代わりに使え、金融機関の手続きでも何通か使い回せることが多いです(法定相続情報証明制度について(法務局))。贈与・売買・財産分与で名義を移す場合は、渡す人の印鑑証明書を発行から3か月以内に使い切る必要があるので、この書類だけは最後に取ります。
土地の 名義変更に 必要な 書類が そろったら、 申請書を 出して 登録免許税を 納める

書類がそろったら、原因に合う様式で申請書を作り、登録免許税の額の収入印紙を貼って、不動産のある場所を受け持つ法務局に出します。
戸籍と評価証明書が机の上に並んだ段階で、残る仕事は申請書と税額の計算です。ここで記載を誤ると法務局から補正の連絡が来て、窓口に出向くか、書き直しを郵送することになります。出した後の連絡に応じられる日程まで見込んで、申請の日を決めてください。
1. 申請書を 作り、 窓口・郵送・オンラインの どれかで 出す
申請書に書くのは、登記の目的(所有権移転)、原因(何年何月何日の相続など)、名義を受け取る人の住所と氏名、添付する書類の名前、課税価格、登録免許税、不動産の表示です。不動産の表示は、登記事項証明書の所在・地番・家屋番号をそのまま写します。家の住所の書き方で書くと、別の不動産と取り違えられます。
親の家と、別の町にある親の土地を同時に受け継ぐ場合、受け持つ法務局が違えば申請書も法務局ごとに分けて出します。同じ法務局の受け持ちなら、1通の申請書にまとめて書けます。どの法務局の受け持ちかは、法務局の管轄の一覧で所在地から確かめられます。
出し方は、窓口に持参する、書留で郵送する、オンラインで申請する、の3つです。窓口に持参しても受付の日に審査が終わるわけではなく、完了までに日数がかかります。多くの法務局では予約制で登記の手続きの案内をしており、書き上げた申請書を持ち込んで見てもらえます。
登記が終わると、名義を受け取った人に登記識別情報通知が交付されます。12桁の符号が書かれた紙で、のちに家を売るときや担保に入れるときに、権利証の役をします。再発行はされないので、目隠しのシールをはがさずに保管してください。
申請書の不動産の表示を登記事項証明書の所在や地番から正確に写す対応関係
申請書と登記事項証明書の対応
| 観点 | 正しい書き方 | 誤った書き方 |
|---|---|---|
| 元にする情報 | 登記事項証明書 | 家の住所 |
| 書く項目 | 所在・地番・家屋番号 | 住居表示など |
| 結果 | そのまま写す | 別の不動産と取り違えられる |
2. 登録免許税を 計算し、 司法書士に 頼むかを 決める
相続による名義変更の登録免許税は、固定資産評価証明書に載った価額(課税価格)に1000分の4を掛けた額で、国税庁の「登録免許税の税額表」に定められています(No.7191 登録免許税の税額表(国税庁))。課税価格は1,000円未満を、税額は100円未満を切り捨てます。土地の評価額が600万円、建物が200万円なら、合わせた800万円に1000分の4を掛けて3万2,000円です。
税額分の収入印紙は郵便局や法務局の印紙売りさばき所で買い、申請書に貼るか、貼り付け用の台紙に貼って綴じます。印紙には消印をしません。金額を誤ると補正になるので、計算した紙を申請書の控えと一緒に残してください。
自分で申請すれば、出ていくお金は登録免許税と、戸籍や証明書の発行手数料に限られます。司法書士に頼むと、それに報酬が加わります。報酬の額は事務所ごとに決めており、戸籍の通数や不動産の数、相続人の人数で変わるため、2つ以上の事務所から見積りを取って比べてください。
頼むかどうかの分かれ目は、手間の量より、間違えたときに失う時間です。祖父の名義のまま残っている、登記の住所が親の最後の住所とつながらない、相続人が多く遠方にもいる、売る日がもう決まっている。こうした家では補正のやり直しが重なると、期限や決済日に響きます。名義が親1人で住所も一致し、兄弟2人で話がまとまっている家なら、自分で申請する方も少なくありません。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
「土地の名義変更に必要な書類がそろったら、申請書を出して登録免許税を納める」について、そのまま聞けます。
名義変更した家を 売却する とき、 当社が 買い取る 場合の 流れと 書類
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「名義変更した家を売却するとき、当社が買い取る場合の流れと書類」について、そのまま聞けます。
家の 名義変更の 必要書類で、 最初に 確かめる 3つ
- 原因を1つに決めてから書類を集めます。 相続なら戸籍の束と遺産分割協議書、贈与・売買・離婚の財産分与なら渡す人の登記識別情報と3か月以内の印鑑証明書が中心です。夫から妻への名義変更でも、相続か贈与か財産分与かで書類と税金が変わります。
- 親の相続による名義変更には期限があります。 2024年4月1日から義務になり、受け継いだと知った日から3年以内、それより前に知っていた場合は2027年3月31日までに申請します。分け方が決まらないときは、相続人申告登記で義務を果たす方法があります。
- 登記事項証明書を最初に取ります。 名義が何代前の人か、住所が一致するか、抵当権が残っていないかで、足す書類と、自分で申請するか司法書士に頼むかが決まります。
名義変更が終わる前の家でも決済日から逆算して司法書士と日程を組んで買い取りますが、ローンの残りが買取価格を上回り抵当権を消せない家は買い取れません。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
家の 名義変更の 必要書類に ついて、 よく ある 質問
Q1. 夫が 亡くなった 家の 名義は、 どう 変えればいいですか
夫が亡くなった家は相続で名義を変えるため、夫の出生から死亡までの戸籍、住民票の除票、相続人全員の戸籍、妻の住民票、固定資産評価証明書をそろえます。子がいれば妻と子が相続人になり、妻が家を受け継ぐなら、子と遺産分割協議書を作って全員の印鑑証明書を付けます。子が未成年なら、家庭裁判所で特別代理人を選んでもらってから協議をします。 夫が生きているうちに妻へ名義を移す場合は、相続ではなく贈与の書類と税金になります。
Q2. 2026年に 家の 名義変更は 義務化されますか
相続による名義変更の申請義務は、2026年に始まるものではなく、2024年4月1日に始まっています。不動産登記法第76条の2が、相続で取得したと知った日から3年以内の申請を求めています(不動産登記法(e-Gov法令検索))。2024年4月1日より前に知っていた方の期限は2027年3月31日です。 2026年の話としてよく聞かれるのは、所有者の住所や氏名が変わったときの変更登記の申請義務で、相続の名義変更とは別の手続きです。始まる日と期限は、法務省の案内で確かめてください。
Q3. 自分で 家の 名義変更を すると、 費用は いくらかかりますか
自分で相続の名義変更をする場合の費用は、登録免許税と、戸籍や証明書の発行手数料です。国税庁の「登録免許税の税額表」に定めるとおり、相続の登録免許税は評価額に1000分の4を掛けた額で、評価額が合わせて1,000万円の家と土地なら4万円です。贈与と財産分与で移す場合は1000分の20に上がり、土地の売買には税率を下げる措置がとられている期間があります。 発行手数料は戸籍の通数と市区町村ごとの額で決まるので、取る通数を数えてから合計してください。
Q4. 家の 名義変更が できないのは なぜですか
名義変更が止まる理由で多いのは、書類がそろわないことです。兄弟の誰かが遺産分割協議書に実印を押さない、登記の住所と親の最後の住所をつなぐ書類が取れない、祖父の名義のままで相続人が増えすぎている、といった形です。贈与や売買で、渡す人が登記識別情報や権利証をなくしている場合も、そのままでは申請できません。 その場合は、法務局から渡す人に確認の通知を送る方法や、司法書士が本人確認をした書面を付ける方法があります。申請書の書き誤りで止まったときは、法務局からの補正の連絡に応じれば先へ進みます。
Q5. 司法書士を 使わずに 登記は できますか
名義を受け取る本人が申請する分には司法書士に頼む決まりはなく、自分で登記を申請できます。法務局は原因ごとの申請書の様式と記載例を公開しており、予約をすれば書き上げた申請書を見てもらえる窓口もあります。ただし、登記の住所がつながらない家や祖父名義のまま残る家は、補正が重なりやすく、頼んだ方が早く終わることがあります。 売る日が決まっているなら、決済日に間に合うかどうかで決めてください。
Q6. 家の 名義変更を 司法書士に 頼むと、 費用は どの くらいですか
司法書士に頼んだ場合の費用は、司法書士の報酬に、登録免許税と書類の発行手数料などの実費を足した額です。報酬は事務所ごとに決められており、不動産の数、戸籍を集める範囲、相続人の人数で変わります。戸籍の取り寄せまで頼むか、自分で集めた書類を渡すかでも額が変わります。 見積りを2つ以上取り、報酬と実費が分けて書かれているかを見て比べてください。当社が買い取る家なら、決済日に合わせて司法書士と日程を組むところから始められます。
当社の 見方
税金だけ払うことになるのでいくらでも良いので引き取ってほしい。
大阪府堺市の戸建てを、買取金額1,000万円台前半で買い取りました。
このように、相続した家を遠方から手放したいというご相談は多く、当社では名義が親御さんのままの段階からお話を伺うことも少なくありません。一般には、登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書をご用意いただき、相続した物件では戸籍などの書類が追加で必要になります。費用は、売買契約書の印紙代、抵当権の抹消登記や住所変更登記の費用がかかり、相続した物件では相続登記の費用も加わります。必要な書類も費用も、個別のご案件によって変わります。当社では、ご相談から買取価格のご提示までが目安30分、ご契約までが目安1〜2週間で、お引き渡しは早ければ2週間以内、お引き渡しと同時にご入金します。全国(47都道府県)に対応しており、買い取れない物件や売らないほうがよい場合も正直にそうお伝えしていますので、書類がそろう前でもお気軽にご相談ください。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:不動産登記法出典:法務局、法務省、国税庁
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(5件・に確認)
更新履歴
- 第1版公開
相続の記事
近いテーマの記事
このテーマの全体像
























