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相続

田舎の家は相続放棄できるか|放棄後も残る義務と別の出口

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
田舎の家は相続放棄できるか|放棄後も残る義務と別の出口

「田舎の実家を相続する話になったが、住む気も管理する気もないので相続放棄を考えている」。田舎の家だけを外して相続放棄することはできず、放棄した時にその家を現に占有していた人には、引き渡しまでの保存義務が残ります。

当社は買主として、残置物や雨漏りのある田舎の家を現況のまま買い取ります。そのぶん価格は仲介での成約想定額より低く、相続人が確定していない物件と、地目が農地のままの土地はお引き受けできません。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

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田舎の家は相続放棄の対象になり、家庭裁判所に申述して受理されれば、その家の所有者にはなりません。ただし放棄は不動産を1件だけ選んで外す手続きではないため、同じ相続で受け取るはずだった預金や他の土地も、同時に手放すことになります。しかも放棄の時にその家を現に占有していた人には、引き渡すまでの保存義務が残り、相続人が全員放棄した場合には、家庭裁判所に清算人を選んでもらう費用が別に必要です。

田舎の家は相続放棄できるかの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

放棄できるのは相続人の地位で、田舎の家1件ではない

相続の放棄をした者は、その相続に関して初めから相続人にならなかったものとみなされます(民法第939条)。ですから受理されれば、その田舎の家の登記名義人にも、翌年からの固定資産税の納税義務者にもなりません。問題はその効力が相続の全体に及ぶことで、実家の隣の畑も、親の預金も、生前に贈られていない財産はまとめて手を離れます。

放棄の単位は財産ではなく、相続人としての地位

「山と古家はいらないが、預金は分けてほしい」という希望は、相続放棄では実現できません。負債だけを外すこともできず、選べるのは相続人の地位を引き受けるかどうかだけです。財産と負債のどちらが多いか分からないときの受け皿として、相続で得た財産の限度で負債を払う限定承認(民法第922条)が用意されています。債務を弁済してなお財産が残れば、それは限定承認をした相続人のものになりますが、相続人全員が共同して申述する必要があり、財産目録の作成や官報による公告も伴うため、実際に使われる場面は限られます。

選択肢期限と要件田舎の家の扱い
単純承認手続きは不要。3か月の経過でも確定する所有者になり、登記と管理と納税を負う
限定承認3か月以内・相続人全員で共同して申述弁済のため換価されることがあり、清算後に残れば相続人が取得する
相続放棄3か月以内・相続人が単独で申述できる所有者にならないが、占有していれば保存義務

墓と仏壇は、この表の外にあります。系譜・祭具・墳墓は祭祀財産として相続財産とは別に扱われ(民法第897条)、承継者は慣習や指定、家庭裁判所の判断で決まるため、相続放棄をした人が祭祀を引き継ぐことも起こります。墓じまいの費用を誰が出すのかという話は、放棄をしても自動的には消えません。

3か月の期限は、亡くなった日から数えるわけではない

熟慮期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法第915条第1項。民法(e-Gov法令検索))。親と長く連絡が取れておらず、死亡を役所からの通知で知った場合は、その通知を受けた時が起算点になります。先順位の相続人が放棄したことで自分に順番が回ってきた場合も、それを知った時から数えます。

3か月で財産の全体が見えないときは、期間の伸長を家庭裁判所に申し立てられます。田舎の家では、名寄帳の取得、農地や山林の地番の確認、農協や信用金庫からの借入の照会に時間がかかるため、この申立てを使う場面が現実にあります。なお最高裁昭和59年4月27日判決は、相続財産がまったく存在しないと信じ、被相続人との交際の状況などからそう信じたことに相当の理由があるときは、熟慮期間を財産の全部または一部の存在を認識した時から起算するとしています。負債を知らなかったというだけで当然に救われる枠ではないため、間に合わないと分かった時点で伸長を選ぶほうが確実です。

相続放棄で手放す財産と残るもの

  • いつから数えるか

    自己のために相続の開始があったことを知った時から

  • いつまでか

    知った時から3か月以内

  • 条文の根拠

    民法第915条第1項

放棄したあと、田舎の家は誰のところへ行くか

子の全員が放棄すれば、権利義務は直系尊属へ、次に兄弟姉妹へ移り、兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪が代襲します。田舎の家では、この順番のどこかに、顔を合わせたことのない親族が入ることが珍しくありません。家庭裁判所は、放棄が受理されたことを次順位の人へ知らせてはくれないため、いきなり債権者から請求が届いて事情を知る形になりがちです。

自分だけが放棄して兄弟が承認すれば、家は兄弟のものになります。全員で放棄するのか、誰か1人が引き受けて売却まで進めるのかは、放棄の申述より前に話しておく論点です。相続人がすでに多い状態から進める場合の段取りは「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事にまとめています。

相続放棄の期限の起算点

  1. 相続の開始

    亡くなった日

    この日から3か月の期限を数えるわけではない

  2. 知った時

    相続の開始を知った時

    ここから3か月の熟慮期間が始まる(民法第915条第1項)

  3. 3か月経過

    単純承認の確定

    手続きをしないと田舎の家の所有者として確定する

相続放棄をしても田舎の家から離れられない3つの場合

実家の居間で、これからの家の管理について話し合っている家族

放棄の時にその家を現に占有していた場合

相続の放棄をした者は、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければなりません(民法第940条第1項)。この条文は2023年4月1日施行の改正で現在の形になり、義務を負う人が「現に占有している者」に絞られました。同居していた、鍵を持って帰省のたびに使っていた、自分の家財を置いていたという状態は、占有していたと見られる可能性があります。

逆に、一度も立ち入ったことがなく鍵も持っていなければ、この保存義務の対象から外れる余地があります。ここは事実関係の評価になるため、鍵を誰が持っているか、郵便物を誰が受け取っているかを先に整理してください。義務の範囲と終わり方は「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事で条文に沿って整理しました。

放棄後の保存義務と引き渡し先

  1. 1

    現に占有していた人

    引き渡すまで自己の財産と同一の注意で保存する

  2. 2

    引き渡す相手の候補1

    次順位などで家を受け取る相続人

  3. 3

    引き渡す相手の候補2

    家庭裁判所が選任した相続財産清算人

相続人が全員放棄し、引き渡す相手がいない場合

相続人が全員放棄すると、その家を受け取る相続人がいなくなります。この場合、利害関係人または検察官の申立てにより、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(民法第952条)。清算人は財産を換価して債権者に支払い、残余があれば国庫に納める役目で、報酬や実費の原資が財産の中にないときは、申立人が予納金を納めることになります。金額は事案と裁判所の判断で決まり、資産価値の乏しい山林や古家だけの相続では、まとまった額を求められることがあります。

清算人が選ばれるまでの間、家は誰の手にも渡りません。屋根材が飛びそうな家や傾いた擁壁を抱えている場合、市町村は空家法に基づく手続きを進めますが、所有者が確定していない状態では時間がかかります。放棄を選ぶときは、「放棄した後に誰がこの家を処理するのか」まで決めておかないと、近隣からの連絡が結局あなたの携帯に来ます。

固定資産税の通知が、放棄後も届く場合

固定資産税を納めるのは、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人で(地方税法第343条)、その判定の基準日である賦課期日は、その年度の初日の属する年の1月1日です(同法第359条)。登記名義が亡くなった方のままだと、市町村は現に所有している人を探し、申告を求める仕組みを持っています(地方税法第384条の3。地方税法(e-Gov法令検索))。放棄が受理されていれば納税義務者にはなりませんが、市町村がそれを把握するまでは通知が届くことがあります。

届いたもの放棄が受理されている場合の動き
納税通知書・督促状受理通知書の写しを添えて資産税課に事情を伝える
現所有者の申告書放棄した旨を記載し、把握している他の相続人を伝える
管理についての行政からの通知占有の有無を伝え、鍵の所在をはっきりさせる

納付してしまう前に確認してください。相続財産の中の現金や預金から支払えば、財産の処分と見られて法定単純承認(民法第921条)に近づきます。自分の財布から立て替えた場合でも、後から返還を求める話が残ります。

「相続放棄をしても田舎の家から離れられない3つの場合」について、そのまま聞けます。

田舎の家を相続放棄するかどうか、判断が分かれる4つの条件

放棄が有利か不利かは、家の古さではなく数字と登記で決まります。総務省統計局の住宅・土地統計調査では、2023年の空き家は900万戸、空き家率は13.8%でした。買い手が薄い地域であることは事実として受け止めつつ、それでも値が付く土地はあるので、放棄を決める前に4つの条件を突き合わせます。

1. 負債と財産を足し引きした結果

判断の出発点は、借入・未払いの医療費・保証債務を足した額と、家以外の財産を足した額の比較です。負債が明確に上回っているなら、放棄は合理的な選択になります。逆に、預金が数百万円あり、家に値が付く見込みがあるなら、放棄は受け取れる財産まで捨てる結果になります。

負債は通帳の引き落としだけでは出そろいません。個人の信用情報は全国銀行個人信用情報センター・CIC・JICCの3か所に分かれていて、相続人であれば開示を申し込めます。田舎の相続で抜けやすいのは、農協や信用金庫の営農資金、親族や地元の事業者の借入に付けた連帯保証、施設の利用料と亡くなる直前の医療費です。被相続人あての郵便を3か月のあいだ止めずに見ておくと、請求書や督促状から相手方が浮かびます。

傾きやすい方向そう言える条件
相続放棄負債が財産を上回る、連帯保証が判明、家の解体費が土地の評価を超える
相続して売却預金がある、道路に接している、隣地が取得を検討している

2. 建物が今どれだけ危ないか

倒壊のおそれがある建物は、放棄しても問題が消えるとは限りません。清算人が選ばれるまでの空白の間に台風が来れば、近隣は現に占有していた人へ連絡します。屋根材が浮いている、塀や擁壁が傾いている、庭木が電線に触れているという状態なら、放棄と売却のどちらを選ぶにしても、先に危ない部分だけを外す判断が必要です。

強風や大雪のあとに、誰がどれくらいで現地へ行けるのかも条件のうちです。片道4時間かかる家で、瓦が落ちたという電話を受けて次の週末まで動けないのであれば、その状態のまま清算人の選任を待つことになります。なお、保存に必要な範囲の修繕は保存行為として扱われますが、建物全体の建て替えに近い工事や、家財の売却は処分と見られます。どこまでが保存行為かの線引きは事案ごとに違うため、着手前に弁護士へ確認してください。

3. 土地の地目と、土地に付いている権利

地目ごとの売却先と必要な手続き

  • 保存行為にあたるもの

    保存に必要な範囲の修繕

  • 処分にあたるもの

    建物全体の建て替えに近い工事や、家財の売却

  • 判断に迷うとき

    線引きは事案ごとに違うため、着手前に弁護士へ確認する

田舎の相続では、家の敷地だけで終わらないことが多くあります。地目が農地なら、権利を移すには農業委員会の許可が必要で、買主は原則として農業を営む人に限られます。相続による取得は許可ではなく届出で足りますが、その届出には取得を知った時から10か月という期限があります。山林は境界が現地で分からないことが多く、共有名義の入会山が混じっている場合は、持分だけを動かすのも簡単ではありません。

私道の持分や水利の取り決めも確認してください。宅地に見える土地でも、進入路が他人の名義で通行の承諾がなければ、買主は建て替えの見込みを立てられません。再建築ができない敷地を相続した場合の比べ方は「再建築不可の家を相続してしまったら」の記事に書いています。

4. 自分が放棄した後に相続人になる人

放棄は順番を先送りする効果を持ちます。自分が放棄すれば、次は親の兄弟、その次は甥や姪です。高齢の叔父に負債と古家が行くことを避けたいなら、放棄ではなく、誰かが相続して売却まで進める形のほうが早く終わります。

次に回る人が施設に入っていたり、所在が分からなかったりすると、連鎖が止まるまでに何か月もかかります。その間も家は空いたままで、草も伸び続けます。全員で放棄して清算人を立てる道を選ぶなら、申立てをする人を決め、予納金を誰がいくら出すかを先に話しておいてください。金額の見込みは事案によって幅があるので、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、財産の内容を伝えて目安を尋ねておくと、費用の当てが立ちます。

相続放棄をしない場合、田舎の家に毎年かかる費用と責任

放棄しないという判断は、費用を払い続ける判断でもあります。支出は毎年同じではなく、税の軽減が外れる、保険の引受条件が変わる、修繕の範囲が広がるという形で段が上がっていきます。

1. 固定資産税は、勧告を受けた時点で軽減が外れる

区分課税標準の軽減外れる条件
200平方メートル以下の部分価格の6分の1建物の取り壊し、または勧告
200平方メートルを超える部分価格の3分の1同上

住宅用地の軽減は地方税法第349条の3の2に定めがあり、家を残しておけば税が安いと言われるのはこの規定のことです。2023年12月13日に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法の改正で、特定空家等の一段手前に「管理不全空家等」という枠が加わりました。そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態が対象で、勧告を受けると住宅用地特例から外れるため、建物を残していても翌年の税額が上がります(空き家対策(国土交通省))。

2. 火災保険と、建物が崩れたときの責任

人が住まなくなった家は、多くの保険会社で住宅物件ではなく一般物件として扱われ、保険料が上がるか、更新時に引受を断られることがあります。証券の満期日を確かめずに数年が過ぎている例があるため、相続の話が出た時点で契約状況を確認してください。引受の条件が分かれる要因は「空き家に火災保険はかけられるか」の記事に整理しています。

塀や建物が崩れて人や隣家に損害を与えた場合、土地の工作物の占有者または所有者が損害賠償の責任を負うことがあります(民法第717条)。年に一度しか見に行けない家を持ち続けるなら、この責任を抱えたままだという前提で判断することになります。

3. 田舎の家に特有の維持作業と交通費

家を残した場合に増えていく負担

  1. 人が住まなくなった時

    一般物件への変更

    保険料が上がるか、更新時に引受を断られることがある

  2. 放置している間

    倒壊の危険

    年に一度しか見に行けない家を持ち続けるリスク

  3. 損害発生時

    所有者・占有者の責任

    土地の工作物の占有者または所有者が損害賠償の責任を負う(民法第717条)

草刈りは年に1回では足りず、集落によっては水路の清掃や道普請の当番が回ってきます。納税通知書の税額、火災保険料、電気と水道の基本料金、草刈りの見積、年に何往復するかの交通費を1年分たし合わせてください。その金額が、決めずに持ち続けた場合の年あたりの費用です。出口ごとの費用を横に並べる作業は「空き家の処分方法」の記事でも扱っています。

「相続放棄をしない場合、田舎の家に毎年かかる費用と責任」について、そのまま聞けます。

相続放棄の手続きを3か月以内に進める順番

申述そのものは書類を整えれば進みますが、その前に確かめておかないと後戻りできない部分があります。放棄は受理されると原則として撤回できません(民法第919条第1項)。

1. 財産と負債の一覧を先に作る

市区町村の税務課で名寄帳を取ると、その市区町村内にある被相続人名義の不動産が一覧で出ます。実家の裏の細長い土地、私道の持分、離れた山林が、ここで初めて分かることがあります。あわせて登記事項証明書で担保の設定を確認し、通帳の引き落としから借入や保証の手がかりを拾い、信用情報機関への照会も検討してください。

財産と負債の一覧を作る手順

  1. 1

    名寄帳の取得

    市区町村内にある不動産を一覧で確認する

  2. 2

    登記事項証明書の取得

    不動産に設定された担保を確認する

  3. 3

    通帳の確認

    引き落としから借入や保証の手がかりを拾う

  4. 4

    信用情報機関への照会

    見えない借入がないか確認を検討する

2. 家に値が付くかどうかを確かめる

負債がわずかで、家に値が付くなら、放棄より売却のほうが手元に残ります。価格を尋ねて書面を受け取る行為そのものは、財産を処分したり形を変えたりする行為ではないため、法定単純承認の典型例には当たりません。ただし家財を売る、預金を解約して使う、遺産分割協議に署名するといった行為は処分と見られるため、熟慮期間中は動かさないでください。

3. 家庭裁判所に申述する

準備するもの補足
相続放棄申述書申述人ごとに作成する
被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本続柄によって必要な範囲が増える
被相続人の住民票除票または戸籍の附票最後の住所地を確かめる資料
申述人の戸籍謄本申述人ごとに必要
収入印紙800円分と連絡用の郵便切手切手の額は裁判所ごとに異なる

申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。書式や管轄は裁判所の案内で確認でき、郵送で受け付けている裁判所もあるため、遠方に住んでいても現地へ行かずに進められます。提出後は照会書が届き、内容を返送して受理となる流れが一般的です。

4. 間に合わないときは伸長を申し立てる

相続財産の調査が終わらない見込みなら、熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てます。申立ては3か月が過ぎる前に行う必要があり、理由として書くのは、農地や山林の調査が終わっていない、金融機関の照会を待っている、といった具体的な事情です。

5. 受理通知書を受け取ったあとにすること

受理通知書が届いたら、写しを取って保管し、請求してきた債権者に提示します。証明が必要な場面では、相続放棄申述受理証明書を交付してもらえます。市町村の資産税課にも早めに伝えておくと、翌年の納税通知の宛先の扱いが整理されます。次順位になる親族には、自分から連絡しておくほうが混乱が少なくなります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

相続放棄のほかに、田舎の家を手放す方法と生前の備え

周囲に木々が茂る古い家を、少し離れた道から見渡した

放棄は負債が多い場合の手段であり、家そのものを処理する手段ではありません。財産のほうが多い相続では、下の1から3のどれかで出口を作るほうが手元に残ります。4は相続が始まってからでは選べませんが、親がまだ元気なら最も幅の広い段階です。

1. 相続したうえで売る

仲介は住む人や投資する人を探す方法で、買主が現れれば買取より高くなります。ただし田舎の家では募集期間が読めず、その間も税と管理費が出ていきます。買取は不動産会社が自ら買主になるため、金額と引渡し日を先に確定でき、残置物や雨漏りを残したまま引き渡す契約にできます。引き換えに価格は仲介での成約想定額より低くなります。

現地へ通えない場合でも、書類の取得と郵送、委任状の作成で進められる部分があります。段取りは「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に書きました。

2. 解体して相続土地国庫帰属制度に申請する

相続や遺贈で受け取った土地を、国に引き取ってもらう申請ができます。2023年4月27日から始まり、法務局の審査を通れば所有権が国に移ります。建物が建っていると申請が却下されるため、先に自費で解体する必要があります。境界が明らかでない土地、担保権が付いている土地、管理に過分の費用や労力を要する崖や埋設物がある土地も対象外です。

国庫帰属制度にかかる主な費用

  • 審査手数料(土地1筆)14,000円
  • 負担金(原則)200,000円

費用は土地1筆あたり1万4,000円の審査手数料と、10年分の管理費相当額として算定される負担金で、宅地・田畑・雑種地・原野は面積にかかわらず原則20万円です(市街化区域の宅地、一定の農地、森林は面積に応じた算定になります)。要件は法務省の相続土地国庫帰属制度についてで確認してください。相続放棄をした人はこの制度を使えないため、放棄と国庫帰属は併用できません。解体費の見方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にあります。

3. 隣地・地元・自治体に渡す

隣の土地の所有者が、畑を広げたい、車を置きたいという理由で取得を検討することがあります。一体にすることで使いやすくなる土地なら、事業者より高い評価が付く場合もあるため、声をかける価値があります。自治体の空き家バンクに登録して移住希望者を待つ方法もありますが、登録が成約を意味するわけではありません。寄付の申し出については、管理の負担が増えることを理由に受け付けていない自治体が多く、条件を先に窓口で確かめてください。

4. 相続が始まる前なら、親自身が売主になれる

親が判断能力を保っているうちであれば、親自身が売主として売却できますし、境界標の設置や残置物の整理、農地の地目の扱いも本人の意思で進められます。遺言で取得者を指定しておけば、相続人全員の協議を待たずに登記を進められます。

判断能力が失われた後は、本人に代わって売るために成年後見の申立てが必要で、居住用の不動産の処分には家庭裁判所の許可が要ります。必要になる場面と例外は「親が認知症で家を売る方法」の記事に整理しました。

「相続放棄のほかに、田舎の家を手放す方法と生前の備え」について、そのまま聞けます。

当社が田舎の家を買い取る場合の条件と、買えない土地

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が田舎の家を買い取る場合の条件と、買えない土地」について、そのまま聞けます。

田舎の家の相続放棄で、先に確かめる3点

  • 放棄は家を選んで外す手続きではありません。 受理されればその家の所有者にはなりませんが、預金や他の土地も同時に手放します。負債の総額と、家以外の財産の総額を書き出して比べることが、判断の出発点になります。
  • 鍵を誰が持っているかで、放棄後の義務が変わります。 放棄の時にその家を現に占有していた人には、相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの保存義務が残ります。全員が放棄する場合は、清算人の選任の申立てと予納金を誰が負担するかまで決めておいてください。
  • 放棄以外の出口は、売却と国庫帰属です。 国庫帰属は建物を解体し境界を確定したうえで負担金を納める順番になり、相続放棄をした人は申請できません。解体費と負担金の合計より売却代金が上回るなら、売るほうが手元に残ります。

当社は買主として、残置物や雨漏りのある家を現況のまま買い取ります。そのかわり価格は仲介での成約想定額より低く、売主と売る範囲が確定していない物件、地目が農地のままの土地はお引き受けできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

田舎の家の相続放棄について、よくある質問

Q1. 田舎の家と山だけを相続放棄して、親の預金は受け取れますか

できません。相続放棄は特定の財産を外す手続きではなく、相続人の地位そのものを手放す手続きです。家と山を処理したいだけなら、相続したうえで売る、解体して国庫帰属を申請する、隣地の所有者に譲るという方向で考えることになります。負債のほうが明らかに多い場合にだけ、放棄が合う場面になります。

Q2. 相続放棄をすれば、固定資産税の通知はすぐ止まりますか

止まるまでに時間差が出ることがあります。課税は毎年1月1日の課税台帳上の所有者に対して行われるため、登記名義が亡くなった方のままだと、市町村が現に所有している人を探す過程で通知が届く場合があります。受理通知書の写しを添えて資産税課に伝えてください。相続財産の預金から納めてしまうと、承認したと見られるおそれがあるため、支払う前に確認が必要です。

Q3. 3か月を過ぎてしまいました。もう相続放棄はできませんか

期間が過ぎれば原則として単純承認になります。ただし昭和59年4月27日の最高裁判決は、財産がまったく無いと信じたことに相当の理由がある場合に限り、財産の存在を知った時を起算点とする道を認めました。要件を満たすかは事実関係の評価によるため、見込みを自分で決めずに弁護士へ相談してください。まだ3か月の中にいて調査が終わらない場合は、伸長の申立てのほうが確実です。

Q4. 放棄した田舎の家が倒れて隣家を壊したら、責任を負いますか

工作物による損害の賠償責任は、その工作物の占有者または所有者に生じます(民法第717条)。放棄が受理されていれば所有者ではありませんが、放棄の時に現に占有していた場合は保存義務の履行状況が問題になり得ます。鍵を持ち続けている状態が最も曖昧になるため、引き渡す相手が決まるまでの管理の範囲を、放棄の前に弁護士へ確認してください。

Q5. 相続放棄した土地を、あとで国に引き取ってもらうことはできますか

できません。相続土地国庫帰属制度を申請できるのは、相続または遺贈で土地の所有権を取得した相続人であり、放棄をした人は対象から外れます。相続人が全員放棄した土地は相続財産清算人の手続きの中で換価や弁済が行われ、残った分が国庫に納まる形になります。解体費を負担して国庫帰属を使う選択肢を残すなら、放棄はできないという順番になります。

Q6. 買取の査定を受けると、相続を承認したことになりますか

価格を尋ねて書面を受け取ることは、財産を処分したり形を変えたりする行為ではないため、法定単純承認の典型例には当たりません。金額を知ってから放棄を選ぶ余地は残ります。ただし家財を売る、契約書に署名する、遺産分割協議に応じるといった行為に進めば話は変わります。売却を選ぶ場合の税は、要件を満たせば相続空き家の特例で譲渡所得から控除できることがあります。詳細は国税庁の被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例で確認できます。

当社の見方

田舎の家について、当社にご相談いただく時期のことを書いておきます。放棄の手続きに進んでしまうと、その家の売主になれる方がいなくなります。ですので当社は、放棄を決める前の段階で、値が付くかどうかだけ先に確かめておくことをお勧めしています。放棄すべきかどうかという判断そのものは、司法書士や弁護士にお尋ねください。

田舎の物件で当社が先に確かめるのは、公道から敷地まで自分の権利で入れるか、そして土地の地目が何かという二点です。ここが整理されていないと、建物の状態が良くても金額をお出しできません。建物の傷みや残っている物については、いまの状態のままお知らせいただければ、そのうえで見立てます。所在地と築年、それに外観の写真だけでも、おおよその見立てはお伝えできます。期限の残りが少ない場合は段取りの組み方が変わりますので、その旨を最初にお知らせください。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:民法、地方税法出典:国土交通省、裁判所、法務省
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

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