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空き家のゆくえ買取くん

相続

所有者不明の空き家|相続人が売るまでの手順と管理の制度

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
所有者不明の空き家|相続人が売るまでの手順と管理の制度

「名義が祖父のままの実家を売りたいが、所有者不明の空き家には手が出せないと聞いて止まっている」。登記の名義人の相続人であれば、戸籍で相続人を確定して相続登記を入れれば自分の名前で売れます。名義人と血縁が無い近隣の立場では、裁判所が選ぶ管理人の制度を通すほかありません。

当社は買主として直接買い取りますが、決済は登記の名義が売主さまに移ってからになるため、戸籍の収集と相続登記に要る日数を見込んで決済日を置きます。滞納による差押えが買取代金で抹消しきれない物件はお断りしています。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(12章)

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「所有者不明の空き家」という言葉は、二つの違う状態に対して使われています。一つは、登記簿の名義人が誰かは分かるのに、書かれた住所に住んでおらず郵便が返ってくる家です。もう一つは、名義人がとうに亡くなり、相続登記がされないまま相続人が枝分かれして、誰に権利があるのか数えられなくなっている家です。この二つは、動かすのに要る手続も、かかる月数も、費用の桁も違います。自分が関わっている家がどちらなのかは、登記事項証明書を1通取れば、その日のうちに見当が付きます。

所有者不明の空き家の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

登記をたどっても本人に行き着かない家が、所有者不明と呼ばれている

所有者不明の空き家とは、登記簿の名義人が誰なのか、あるいはその名義人が今どこにいるのかが分からず、連絡が取れない状態の家を指します。分かれ目になるのは、名義人が生きているかどうかと、戸籍をたどった先に相続人が現れるかどうかの二点です。

所有者不明と呼ばれる二つの状態

観点名義人が生きている場合名義人が亡くなっている場合
連絡がつかない理由転居や海外移住で現住所がずれている相続登記がされず次の相続が重なっている
たどるための書類住民票の除票や戸籍の附票出生から死亡までの戸籍
手続の長さ比較的短く終わる戸籍集めから始めるため長くかかる

法律に定義の条文は無く、連絡が付かない状態をまとめてそう呼んでいる

「所有者不明の空き家」という言葉そのものを定義した条文は、どこにもありません。登記を取り、記載された住所に手紙を出し、それでも相手に届かないという結果をもって、実務の側がそう呼んでいるだけです。中身を分けると、登記の名義人が生きていて住所だけが古い場合と、名義人が亡くなっていて相続登記がされていない場合の二つになります。

前者は、名義人が転居を繰り返していたり、海外に出ていたりして、登記の住所と現住所がずれている状態です。住民票の除票や戸籍の附票をたどれば現住所に行き着けることが多く、手続としては比較的短く終わります。後者は、名義人の死亡から十年、二十年と経ち、その間に相続人も亡くなって次の相続が重なっている状態です。戸籍を集めるところから始めなければなりません。

相続登記の放置で相続人が増える仕組み

  1. 1

    名義人の死亡

    祖父や曽祖父の代で名義が止まる

  2. 2

    相続の重なり

    10年、20年と経つ間に相続人も亡くなる

  3. 3

    相続人の枝分かれ

    子から孫へと相続人が増え続ける

  4. 4

    所有者不明との違い

    人数が増えても戸籍でたどれるなら不明ではない

相談の数でいえば、後者が圧倒的に多いところです。名義が祖父のままだった、曽祖父のままだったという話は珍しくありません。固定資産税の納税通知書だけが相続人の誰か一人に届き続け、何十年も表面化しないまま来ています。通知書が届いているのに名義が動いていないのは、市区町村の課税の台帳と、法務局の登記簿が別のものだからです。

名義が亡くなった人のままでも、相続人がたどれれば所有者不明ではない

ここを取り違えて止まってしまう方がいます。登記が亡くなった親の名義のままでも、相続人が自分だけだと分かっていて、戸籍も揃うのであれば、その家は所有者が分からない家ではありません。名義が古いことと、所有者が不明であることは、別の話です。

相続人が自分を含めて三人いて、全員の連絡先が分かり、話もできる状態だとします。その場合、売却に要るのは遺産分割と相続登記であって、裁判所を通す制度ではありません。所有者不明と呼ぶべきなのは、戸籍をたどった先に、生きているか死んでいるかも、どこにいるかも分からない相続人が現れた場合や、名義人そのものの行方が追えない場合です。

相続人が十人を超えるような枝分かれでも、全員の所在が分かっていれば、手間はかかるものの道筋は見えます。人数が多い場合の進め方は「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事に整理しています。自分の家がどちらの側にあるかを決めるのは、戸籍をどこまで追えたかであり、名義の古さではありません。

全国にどれだけあるのかは、空き家の統計と土地の調査から推し量る

空き家そのものの数は、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査で全国900万戸と公表されています。そのうち賃貸用・売却用・二次的住宅を除いた、いわゆる使い道の決まっていない空き家が385万戸です(総務省 住宅・土地統計調査・令和6年4月公表/住宅・土地統計調査(総務省統計局))。この385万戸の中に、名義が動いていない家が相当数含まれていると考えられます。

所有者に行き着けない不動産がどれくらいあるかについては、国土交通省が平成28年度の地籍調査で、登記簿上で所有者の所在が直ちに確認できなかった土地が20.1パーセントあったと公表しています(国土交通省 平成29年版土地白書・平成29年6月公表)。これは土地についての数字で、建物を対象としたものではありませんが、登記が動かないまま放置される割合の目安にはなります。所有者不明の土地や建物が増えたことが、2021年の民法・不動産登記法の改正につながりました。

所有者不明の空き家で、名義を動かせる立場と動かせない立場

同じ家を前にしていても、相続人であれば自分の手で名義を動かせます。血縁の無い近隣住民や買いたい人は、裁判所や自治体を通す以外に手がありません。どちらの立場にいるかで、次に取る手段が完全に分かれます。

転籍を繰り返した戸籍を集める手順

  1. 1

    出生地の戸籍

    名義人が生まれた市区町村へ請求する

  2. 2

    転籍先の戸籍

    本籍を移した回数だけ取り寄せ先が増える

  3. 3

    死亡地の戸籍

    郵送なら1通あたり往復で1〜2週間かかる

相続人の立場なら、自分で売主になれる

亡くなった名義人の相続人であれば、その家は自分の財産です。戸籍で相続人の範囲を確定し、遺産分割協議で誰が取得するかを決め、相続登記を入れれば、自分の名前で売買契約を結べます。裁判所の手続は、相続人の中に所在の分からない人がいる場合にだけ必要になります。

この立場の方が最初につまずくのは、戸籍の収集です。名義人が亡くなった市区町村だけでなく、出生から死亡までの戸籍をさかのぼって集める必要があります。本籍を何度も移していると、取り寄せ先が五か所、六か所と増えます。郵送でのやり取りになると、1通あたり往復で一週間から二週間を見ておくことになります。

立場ごとに取れる空き家への対応手段

立場名義を動かせるか取れる対応手段
相続人自分で動かせる遺産分割と相続登記をして売主になる
近隣住民触れられない市区町村へ相談・管理人の選任申立て
購入希望者触れられない相続人と交渉・管理人から購入・競売

近隣や自治体の立場では、他人の家の名義には触れられない

隣の空き家の瓦が落ちてきそうだ、庭木が越えてきている、という状態でも、他人の所有物である以上、勝手に修繕も伐採もできません。民法が所有権を守っている以上、応急の対応を超えて手を入れれば、後から費用の負担や原状回復をめぐる争いになります。この立場で使えるのは、市区町村への相談と、建物の所在地を管轄する地方裁判所に建物の管理人の選任を申し立てる道です。

市区町村は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて、所有者の調査、助言・指導、勧告、命令という段階を踏んで是正を求めます(空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(国土交通省))。所有者が最後まで分からない場合に限って、市区町村が自ら除却を行う略式代執行という手段も用意されています。

段階の進み方は「空き家対策特別措置法をわかりやすく」の記事に書いています。

購入したい立場では、所有者が確定するまで契約そのものができない

空き家を買いたいという相談も一定数あります。ただ、売買契約は所有者と結ぶものなので、所有者不明のままでは契約書に署名してもらう相手がいません。購入できる方法があるとすれば、次のような形に限られます。相続人を特定して直接交渉する、裁判所が選任した管理人から裁判所の許可を得て買う、競売や公売に出たものを落札する、市区町村が所有者を特定したうえで仲介する仕組みに乗る、の四つです。いずれも、所有者または所有者に代わる権限を持つ人が現れることが前提です。

時間をかけずに買いたい場合、この種の物件は向きません。相続人の特定から管理人の選任、裁判所の許可までを順に踏むと、半年から一年を超えることも普通にあります。

「所有者不明の空き家で、名義を動かせる立場と動かせない立場」について、そのまま聞けます。

所有者不明の空き家で、所有者を特定する手順はどこで止まるか

所有者の特定は、登記事項証明書、住民票の除票または戸籍の附票、死亡している場合は出生までさかのぼる戸籍、という順に進みます。どこで行き詰まるかによって、その先に裁判所の手続が要るかどうかが決まります。

チェック項目結果次に進む先
自分は登記の名義人の相続人か相続人ではない(近隣・購入希望)名義には触れられない。市区町村への相談か、地方裁判所への建物の管理人の選任申立て
登記の名義人は生きているか生きていて、登記の住所に手紙が届かない住民票の除票・戸籍の附票で現住所を追う(下の手順2)
同上亡くなっている出生から死亡までの戸籍を集める(下の手順3)
戸籍から相続人を全員書き出せたか全員の所在と連絡先が分かる裁判所の手続は要らない。遺産分割と相続登記へ
生死の分からない相続人がいるかいる不在者財産管理人の申立て。予納金を先に出せるかを確かめる
相続人が一人もいない、または全員が相続放棄したか当てはまる相続財産清算人の申立て
登記の甲区に差押え・仮差押えがあるかある滞納額を市区町村などで確かめる。買取代金で抹消しきれない額なら、当社では買い取れない
市区町村の略式代執行の手続が始まっているか始まっていて、除却費用の負担者が決まっていない当社では買い取れない。市区町村の担当課で手続の段階を確かめる

1. 登記事項証明書を取り、名義人と登記上の住所を読む

出発点は登記事項証明書です。法務局の窓口でも、オンラインでも、誰でも取得できます。他人の家でも、地番さえ分かれば取れます。見るのは権利部の甲区で、最後に所有権を取得した人の氏名と、そのときの住所が書かれています。

ここで注意が要るのは、登記の住所が「そのとき」の住所だという点です。所有権を取得した昭和の時点の住所がそのまま残っているだけで、現住所とは限りません。住居表示の実施や町名変更で、同じ場所でも表記が変わっていることもあります。地番が分からない場合は、法務局の地図や、市区町村の固定資産税の窓口で調べられます。

甲区に差押えや仮差押えの登記が入っていれば、税金や債務の問題が重なっています。乙区に古い抵当権が残っていることもあり、明治や大正の抵当権がそのままになっている土地では、抹消に別の手続が要ります。

登記事項証明書を取得して確認する項目

  • 権利部の甲区

    最後に所有権を取得した人の氏名と住所を確認する

  • 名義人の生死

    生きているか亡くなっているかで次の手続が変わる

  • 登記上の住所

    手紙が届かない場合は現住所を追う必要がある

2. 名義人が生きている場合は、住民票の除票と戸籍の附票で追う

登記の住所に手紙を出して戻ってきたら、その住所地の市区町村で住民票の除票を請求します。除票には転出先が記載されるので、そこから次の市区町村へ、さらに次へとたどります。戸籍の附票を使えば、本籍が変わっていない限り、住所の変遷をまとめて見られます。

第三者がこれらを請求するには、正当な理由を示す必要があります。隣地の所有者として境界の確認が要る、債権者として請求先を知る必要がある、といった事情を書面で説明します。相続人であれば、自分の相続に必要な書類として請求できます。海外に転出していると住民票の記録は消えるため、ここで追跡が止まります。

3. 名義人が亡くなっている場合は、出生までの戸籍をさかのぼる

死亡が確認できたら、相続人を出す作業に入ります。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を全部集め、子が何人いたか、認知した子や養子がいないかを確認します。子がすでに亡くなっていれば孫へ、子がいなければ親へ、親もいなければ兄弟姉妹へと順に移ります。そのたびに別の人の戸籍を集め直します。

本籍を何度も移している家では、取り寄せ先が全国に散らばります。2024年3月から、戸籍証明書の広域交付が始まり、最寄りの市区町村の窓口で本籍地以外の戸籍も請求できるようになりました。ただし請求できる人の範囲や、コンピュータ化されていない古い戸籍が対象外になる点など、窓口で確認が要る制限があります。請求の手数料は、戸籍法ではなく、地方公共団体の手数料の標準に関する政令が示す標準額をもとに各市区町村が条例で決めています。標準額は、現在の戸籍の謄本が1通450円、除籍と改製原戸籍の謄本が1通750円です。請求先の市区町村の案内で金額を確かめてから定額小為替を用意してください。

所有者を特定する手順と行き詰まる地点

  1. 1

    登記事項証明書

    名義人が生きているか、亡くなっているかを確認

  2. 2

    住民票の除票・戸籍の附票

    生きている場合は現住所を追う

  3. 3

    出生から死亡までの戸籍

    亡くなっている場合は相続人を全員書き出す

  4. 4

    行き詰まった場合

    不在者財産管理人や相続財産清算人の申立てへ

4. 戸籍をたどっても人にたどり着かない場合に、何が残るか

集め終わった戸籍から相続人の一覧ができても、その人の現住所が分からない、手紙を出しても返事が無い、という段階が残ります。生死が分からない相続人がいる場合は、不在者財産管理人を家庭裁判所に選んでもらう手続に進みます。亡くなったことは分かっているが相続人が誰もいない、または全員が相続放棄した場合は、相続財産清算人です。

どちらも申立てには予納金が要り、金額は家庭裁判所が事案ごとに決めます。数十万円から百万円前後を求められることがあり、管理する財産から報酬が支払われた後に残りが返ってくる仕組みです。費用を先に出せるかどうかが、この道に進めるかどうかの実際の分かれ目になります。相続人の誰かが相続放棄をしている場合、放棄をした人の責任がどこまで残るかは「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事に書いています。

相続登記の義務化で、所有者不明の空き家の名義はどう変わったか

居間で家族が向かい合って話し合っている

相続した不動産の登記が義務になり、放置したままでは過料の対象になる仕組みが入りました。名義が止まったままの家は、時間とともに減っていく方向にあります。ただし、すでに何代も止まっている家については、期限の数え方が別に決められています。

相続登記が義務化された後の申請期限

  1. 2024年4月1日より前

    相続と取得を知っていた

    義務化前の取得。期限は2027年3月31日と定められている。

  2. 2024年4月1日以後

    相続と取得を知った

    義務化後の取得。知った日から3年以内が申請期限となる。

1. 2024年4月1日から、相続登記の申請が義務になった

相続登記は、2024年4月1日に申請が義務となりました。数え始めるのは、名義人が亡くなった事実と、自分がその不動産を取得したことの、両方を知った日です。その日から3年を、正当な理由なく過ぎれば、10万円以下の過料の対象になります(相続登記の申請義務化(法務省))。祖父名義の家の存在を最近になって知ったという場合は、亡くなった年ではなく、知った時点が起点です。

遺産分割がまとまった場合は、分割の日から3年以内に、その内容に沿った登記を申請する義務も別に生じます。亡くなってすぐに法定相続分で登記を入れ、その後に話し合いで一人の名義にまとめた場合、二度の申請が必要になるということです。

2. 2024年4月1日より前に取得を知っていた分の期限は2027年3月31日

義務化より前に相続で取得したことを知っていた方も、この義務の対象です。その場合の期限は2027年3月31日と決められています。名義が祖父のままという家の多くは、こちらに当たります。

起点が人によって違う点にも注意が要ります。親が亡くなったのが平成の初めでも、自分がその不動産の存在を知ったのが去年であれば、知った日から3年という数え方になります。どちらの期限が自分に当てはまるかは、死亡の時期ではなく、知った時期で決まります。過去の相続がどこまで対象になるかは「相続登記の義務化と過去の相続」の記事で範囲を整理しています。

3. 分割がまとまらないときは、相続人申告登記で義務を果たせる

相続人の間で話がつかないまま3年が来てしまう場合に備えて、相続人申告登記という簡易な手続が用意されています。自分が相続人の一人であることを法務局に申し出ると、その人については申請義務を果たしたものとして扱われます。単独で申し出ることができ、添付する戸籍も、自分が相続人であることが分かる範囲で足ります。

ただし、これは義務を果たすための手続であって、所有権が自分に移るわけではありません。申告登記を入れただけでは売却はできず、売るには結局、遺産分割を経た相続登記が要ります。過料を避けながら時間を稼ぐための仕組みと考えてください。

4. 2026年4月1日からは、住所や氏名の変更登記も義務になった

名義人が生きているのに所在が追えないという形の所有者不明を減らすため、登記名義人の住所や氏名が変わったときの変更登記も、2026年4月1日から義務になりました。変更があった日から2年以内に申請することとされ、怠った場合は5万円以下の過料の対象です。

この義務は、2026年4月1日より前に住所や氏名が変わり、変更登記がされないままになっている登記にも及びます。その分の申請期限は2028年3月31日です。ただ、名義人本人が申請しない限り登記の住所は書き換わらないため、すでに所在が追えなくなっている家については、引き続き除票や附票をたどる作業が残ります。それでも、十年先を見れば、登記の住所と現住所がずれる家は減っていくはずです。

所有者不明空き家を放置できない時代に加わった、管理と処分の制度

木造住宅の外観と周囲の住宅地の風景

2023年4月1日に施行された改正民法で、特定の建物だけを対象に管理人を選べる制度ができました。所有者が分からないままでも、建物の管理や売却を進める道が開いたことになります。どの制度を使うかは、所有者が不明なのか、所有者は分かるが管理されていないのかで分かれます。

建物だけを対象にする二つの管理人制度

観点所有者不明建物管理人管理不全建物管理人
所有者の所在誰か、またはどこにいるか分からない分かっていて連絡が取れても使える
対象となる建物の状態所有者が不明な建物管理されず他人の権利を侵害するおそれがある
民法の条文第264条の8第264条の14

1. 所有者不明建物管理人は、その建物だけを管理の対象にする

民法第264条の8は、所有者を知ることができない建物や、所有者の所在を知ることができない建物について、利害関係人の申立てにより、裁判所がその建物を対象とする管理人を選任できると定めています(民法(e-Gov法令検索))。従来の不在者財産管理人がその人の財産全部を見るのに対し、こちらは問題になっている建物だけを切り出して扱えます。

管理人は保存行為や利用・改良行為を自分の判断で行えますが、売却のように権限を超える行為には裁判所の許可が要ります。隣地の所有者、その建物を買いたい人、自治体なども、利害関係を示せれば申立てができます。申立てには予納金が必要で、金額は建物の状態と見込まれる管理の手間によって裁判所が定めます。

2. 管理不全建物管理人は、所有者が分かっていても使える

所有者は分かっているのに管理がされず、他人の権利が侵害されるおそれがある建物については、民法第264条の14にもとづいて管理不全建物管理人を選任できます。所有者と連絡が取れていても、何も手を打たないまま崩れかけている家が対象です。こちらは所有者の所在が分かっていることが前提なので、売却の許可を得るには所有者本人の同意が要ります。

屋根材が飛ぶ、外壁が落ちる、害虫が発生するといった実害が近隣に及んでいる場合、この制度で最低限の手当てを入れられます。ただし費用は最終的に建物の所有者の負担であり、回収できなければ申立人の予納金から出ていくことになります。

3. 不在者財産管理人と相続財産清算人は、人を単位に選ぶ

相続人の中に生死不明の人がいて、その人を抜きに遺産分割ができないとき、不在者財産管理人の選任を申し立てます。選ばれた管理人が、不在者に代わって遺産分割協議に加わります。協議の内容が不在者に不利でないことについて、裁判所の許可を得る必要があります。

相続人が一人もいない、あるいは全員が相続放棄をした場合は、相続財産清算人を選任します。2023年4月1日の改正で、公告の期間が整理され、手続全体に要る期間が短縮されました。清算人は財産を換価して債権者に配当し、残った不動産が売れなければ最終的に国庫に帰属します。いずれも、申立てから選任までに数か月、売却までを含めると一年近くかかることがあります。

4. 市区町村が動く場合は、略式代執行と管理人の請求がある

所有者をどうしても特定できない空き家が、倒壊などの危険な状態にあるとします。そのとき市区町村は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく略式代執行によって、自ら除却することができます。費用は本来の所有者に請求されますが、相手が分からないまま終われば市区町村の負担として残ります。この負担の重さが、代執行が実際にはなかなか行われない理由になっています。

2023年12月13日に施行された同法の改正では、市区町村長が、所有者不明建物管理人などの選任を裁判所に請求できる仕組みも加わりました。請求先は、建物の管理人であれば地方裁判所、不在者財産管理人や相続財産清算人であれば家庭裁判所です。近隣から相談を受けた自治体が、裁判所を通して管理人を立て、建物の処分までつなげる道が制度としては用意されたということです。実際に動くかどうかは、その自治体の体制と、危険の程度によります。

所有者不明の空き家を早急に特定して対処すべき理由は、負担が増え続けること

縁側で庭の草木の手入れをしている家族

名義を放置している間も、固定資産税の請求と、建物が壊れたときの責任と、相続人の増加は進み続けます。動くのが遅れるほど、費用も、集めなければならない同意の数も増えていきます。

空き家の名義を放置し続けることの負担

  • 固定資産税の請求

    名義人が亡くなっていても実際の相続人に請求が向く

  • 延滞金と差押え

    請求を放置すると延滞金が付き差押えに進むことがある

  • 損害賠償の責任

    建物が壊れて他人に損害が出れば所有者が責任を負う

  • 同意集めの負担

    時間が経つほど相続人が増え同意を集める手間が増える

1. 固定資産税は「現に所有している者」に請求される

地方税法第343条は、固定資産税の納税義務者を所有者と定めています。同条第2項は、賦課期日の時点で登記名義人がすでに亡くなっている場合には、現にその固定資産を所有している者に課すこととしています(地方税法(e-Gov法令検索))。名義が亡くなった人のままでも、税の請求は相続人に向きます。相続人が複数いれば連帯して負うことになり、通知書は代表者一人に届きます。

請求が来ている人が、自分は相続放棄をしたから関係ないと考えて放置すると、延滞金が付き、差押えに進むことがあります。放棄が受理されていれば納税義務者から外れます。ただ、市区町村がその事実を把握していなければ通知は届き続けるので、受理証明書を添えて窓口に伝える必要があります。

2. 建物が壊れて他人に損害が出れば、所有者が責任を負う

民法第717条は、土地の工作物の設置や保存に欠陥があって他人に損害が生じたとき、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が責任を負うと定めています。所有者の責任には、過失が無くても免れられない性質があります。空き家には占有者がいないことが多いため、責任は所有者に向かいます。

台風で瓦が飛んで隣家の車を壊した、ブロック塀が倒れて通行人がけがをした、という場合を考えます。名義が亡くなった人のままでも、実際に権利を持っている相続人が請求を受けます。どこまでが責任の範囲になるかは「空き家の放置で責任と賠償を負う条件」の記事に整理しています。人が住んでいない建物は火災保険の引受けを断られることもあり、賠償の備えが無いまま年を越していることが少なくありません。

3. 時間が経つほど相続人が増え、同意を集められなくなる

相続人の一人が亡くなると、その人の相続人が代わりに権利を持ちます。これが何度か重なると、関係者は十人、二十人と増えていきます。面識の無い親族が何人も現れることもあります。その中に未成年者や判断能力の衰えた方が含まれれば、特別代理人や成年後見人の選任が別に要ります。

一人でも反対すれば、売却はできません。連絡が付かない人が一人いれば、不在者財産管理人の選任からやり直しです。今年なら三人の同意で済む話が、五年後には六人、十年後には十人になっていることがあります。放置の費用は、税額よりも、この同意の数の増え方に表れます。

4. 建物が傷めば値が付かなくなり、出口そのものが狭くなる

雨漏りが始まると、柱と土台に水が回り、構造の部分まで傷みます。そうなると、買って直して住もうとする人は手を引き、解体を前提とした土地としての値しか残りません。解体費用は建物の構造と前面道路の幅で変わり、重機が入らない敷地では手作業の分が上乗せされます。

土地としての値が解体費用を下回れば、買い手が付かなくなります。売ろうとしても引き取り手がいない状態に入ると、残る出口は寄付や相続土地国庫帰属制度など、数の限られたものになります。国庫帰属制度は建物があると申請できません。承認された場合も負担金(宅地は原則20万円)を納めることになるため、誰でも使えるものではありません。要件は「相続土地国庫帰属制度は使えないのか」の記事で確認できます。

「所有者不明の空き家を早急に特定して対処すべき理由は、負担が増え続けること」について、そのまま聞けます。

所有者不明の空き家を売れる状態にする手順:書類を集めて相続人を確定する

最初にやることは、登記事項証明書で名義人を確かめ、その人の出生から死亡までの戸籍を集めて、相続人が誰なのかを紙の上で確定させることです。ここが終わらないと、価格の話も日程の話も始まりません。

相続人を確定させるために集める書類

  • 登記事項証明書と公図

    法務局で土地と建物の両方を請求して名義人を確かめる

  • 固定資産課税台帳

    建物の登記がない場合は市区町村の記録を確認する

  • 課税明細書と名寄帳

    私道の持分など知らない土地が漏れていないか確かめる

  • 出生から死亡までの戸籍

    戸籍や除籍などを集めて相続人の範囲を確定する

  • 現在の戸籍と住所の証明

    相続人全員の現在の戸籍と住民票または戸籍の附票

1. 登記事項証明書、公図、課税明細をそろえる

法務局で登記事項証明書と公図を取ります。建物が未登記のこともあるので、土地と建物の両方を請求し、建物の登記が出てこなければ市区町村の固定資産課税台帳で家屋の記録を確認します。課税明細書は毎年春に届く納税通知書に付いています。見当たらなければ資産税の窓口で名寄帳を取れば、その人が持っている不動産の一覧が分かります。

名寄帳は、知らない土地が出てくることがあるので必ず取ってください。実家の敷地のほかに、山林や農地、私道の持分が残っていることがよくあります。私道の持分が漏れていると、売買の直前になって登記がそろわず、決済日が動きます。

2. 戸籍を集めて、相続人の一覧を紙に書き出す

亡くなった名義人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍をすべて集め、相続人の範囲を確定します。相続人それぞれの現在の戸籍と、住所を示す住民票または戸籍の附票も要ります。集め終わったら、誰が何分の何を持っているかを一枚の紙に書き出してください。法定相続情報一覧図を法務局で作っておくと、以後の手続で戸籍の束を何度も提出せずに済みます。

ここで所在の分からない人が出た場合、その人を抜きに話を進めることはできません。生死が分からないのか、住所だけが分からないのかで、次の手が変わります。住所だけなら附票でたどれる見込みがあります。生死が分からないなら、上の「所有者不明の空き家で、所有者を特定する手順はどこで止まるか」の節で触れた不在者財産管理人の申立てを検討することになります。

遺産分割と相続登記で、所有者不明の空き家の名義を売主に移す

相続人が確定したら、誰がその家を取得するかを遺産分割協議で決め、その内容で相続登記を申請します。売買契約を結ぶのは、原則としてこの登記が終わった後です。

空き家の名義を売主に移すまでの手順

  1. 1

    相続人の確定

    戸籍を集めて誰が相続人かを確定させる

  2. 2

    遺産分割協議

    誰が取得するか決める。まとまらなければ調停へ

  3. 3

    相続登記の申請

    決まった内容で法務局へ申請し、1〜2週間待つ

  4. 4

    売買契約

    名義が自分に移った後に契約を結ぶ

1. 遺産分割協議をまとめ、まとまらない場合の道も見ておく

協議書には相続人全員が署名し、実印を押して、印鑑証明書を添えます。遠方に散らばっている場合は、同じ内容の書面を人数分用意して順に回す方法が使えます。空き家を売って代金を分ける前提なら、誰か一人の名義にまとめてから売る形が最も手数が少なく、登記の費用も一度で済みます。

共有のまま相続登記を入れて全員で売る形も取れますが、売買契約にも決済にも全員が関わるため、日程を合わせるのが難しくなります。話がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停に進みます。調停は申立てから成立まで半年以上かかることが多く、その間も固定資産税と管理の負担は続きます。親が亡くなった後に何をどの順で片付けるかは「親が亡くなった後の家の手続き」の記事に期限順で並べています。

2. 相続登記を申請し、費用と期間を見込む

登記の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に対して行います。自分で申請することもできますが、戸籍の数が多い案件では司法書士に依頼するのが通常で、報酬は事務所と案件の複雑さによります。登録免許税は、相続による所有権移転の場合、登録免許税法で固定資産税評価額の0.4パーセントと定められています。評価額が100万円以下の土地については、相続による移転登記の免税措置が設けられている期間があります。申請の前に法務局に確認してください。

申請から登記が完了するまでは、法務局の混み具合によって一週間から二週間ほどが目安です。戸籍の収集に数か月、協議に数週間、登記に二週間と積み上げると、動き始めてから売れる状態になるまでに半年近くかかる案件も珍しくありません。

実際の名義変更から売却までの進み方は「相続した空き家の名義変更と売却の事例」の記事に順番と費用を書いています。

売り方を決め、所有者不明だった空き家の決済日から逆算する

空の下に建つ木造住宅と庭の風景

名義が自分に移る見込みが立った時点で、仲介・買取・無償での譲渡・国庫帰属のどれを選ぶかを、手取りの金額と要る月数で比べます。選び方が決まれば、決済日から逆算して登記と書類の日程を組めます。

1. 四つの出口を、手取りと期間で比べる

仲介は買い手を探す時間が要りますが、成約すれば価格は最も高くなりやすい方法です。ただし成約価格から仲介手数料が引かれ、売れるまでの固定資産税と管理費も積み上がります。買取は買い手を探す期間が要らず、現況のまま引き渡せますが、価格は仲介での成約想定より低くなります。無償での譲渡は、受け取った側に贈与税や不動産取得税がかかり、引き受け手を探すこと自体が難しいところです。国庫帰属は建物を解体してからでないと申請できず、負担金も要ります。

四つのうちどれが合うかは、建物の状態と、急いでいるかどうかで決まります。出口ごとの費用の出方は「空き家の引き取り先を比較」の記事に並べてあります。仲介の査定額は売れた場合の見込みの金額で、買取の価格は実際に振り込まれる金額なので、そのまま並べても比べたことになりません。手数料と管理費を引いた後の手取りに直してから比べてください。

空き家を手放す四つの方法と手取りの差

手放す方法手取りの出方(差し引かれるもの)期間と手間の特徴
仲介成約価格から手数料・税・管理費を引く買い手を探す時間が要る
買取仲介より低いが現況のまま引き渡せる買い手を探す期間が要らない
無償での譲渡手取りなし(受取人に税金がかかる)引き受け手を探すのが難しい
国庫帰属手取りなし(解体費用と負担金が要る)建物を解体してからでないと申請できない

2. 決済日を先に置き、そこから登記と書類の日程を引く

買取を選ぶ場合、決済日を先に決めてしまう方が段取りが組みやすくなります。相続登記が終わっていなければ、決済日から逆算して、司法書士が戸籍の収集と申請に要る日数を見積もります。売買契約の時点で登記が完了していなくても、決済日までに名義が移る見込みが立っていれば、契約自体は結べることがあります。

決済の日に当社へお渡しいただくのは、登記識別情報または権利証と、印鑑証明書、本人確認書類、そして固定資産税の納税通知書です。相続を経た物件では、これに戸籍の関係書類が加わります。何がいるかは案件ごとに違うので、ご契約の前に一覧にしてお渡しします。印鑑証明書には有効期限があるため、相続人が各地に分かれているときは、決済日から日を戻して、誰がいつ取りに行くかを先に決めておいてください。

遠方に住んだまま進める方法は「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に書いています。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「売り方を決め、所有者不明だった空き家の決済日から逆算する」について、そのまま聞けます。

名義が止まっていた空き家を当社が買い取る場合、先に確かめること

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「名義が止まっていた空き家を当社が買い取る場合、先に確かめること」について、そのまま聞けます。

所有者不明の空き家について、先に確かめる3つ

  • 登記事項証明書を1通取って、名義人と登記上の住所を見てください。 名義人が生きていて住所だけが古いのか、すでに亡くなっているのかで、その先の手続も要る月数もまったく変わります。地番が分かれば、相続人でなくても取得できます。
  • 相続人の立場なら、戸籍をたどれば自分で売主になれます。 名義が古いことと所有者が不明であることは別で、相続人が全員たどれるなら要るのは遺産分割と相続登記だけです。裁判所の管理人の制度が要るのは、生死や所在の分からない人が現れた場合です。
  • 期限は二つあり、起点が違います。 相続登記の申請は取得を知った日から3年以内、2024年4月1日より前に知っていた場合は2027年3月31日まで。住所変更登記は2026年4月1日から、変更の日から2年以内です。2026年4月1日より前の変更は2028年3月31日までです。

名義が亡くなった方のままの家も、残置物が入ったままの家も、現況で買い取っています。ただし登記が売主さまに移るまでは決済ができないため、先に決済日を置いて、そこから戸籍と登記の日程を引く形になります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

所有者不明の空き家について、よくある質問

Q1. 隣の所有者不明の空き家が崩れそうです。自分で片付けてもよいですか

他人の所有物なので、原則として手を入れることはできません。越境した枝については、民法の改正で、催告しても切ってもらえないときなどに自分で切り取れる場合が定められましたが、建物そのものの修繕や解体は別です。 まずは市区町村の空き家の担当課に相談してください。担当は建築住宅課や環境課に置かれていることが多く、税務課ではありません。危険が差し迫っている場合は、管理不全建物管理人の選任を建物の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てる道もありますが、予納金の負担が申立人に生じます。

Q2. 所有者不明の空き家を購入する方法はありますか

購入できる方法は、相手が現れる形に限られます。戸籍から相続人を特定して直接交渉する、裁判所が選任した管理人から裁判所の許可を得て買う、競売や公売に出たものを落札する、市区町村が所有者を特定したうえで橋渡しする仕組みに乗る、といった形です。 どの方法でも、所有者または所有者に代わる権限を持つ人が確定するまで契約はできません。相続人の特定から管理人の選任、売却の許可までを踏むと、半年から一年を超えることがあります。期日を区切って買いたい場合には向かない物件です。

Q3. 名義が祖父のままの実家は、所有者不明の空き家に当たりますか

相続人が全員たどれて連絡が付くなら、所有者不明ではありません。必要なのは戸籍の収集と遺産分割、相続登記であって、裁判所の手続ではありません。 所有者不明と呼ぶべきなのは、戸籍をたどった先に生死や所在の分からない人が現れた場合です。ただし、祖父の代で止まっていると相続人が十人を超えることがあり、人数が増えるほど同意を集める時間はかかります。まず戸籍を集めて、何人いるのかを数えるところから始めてください。

Q4. 相続放棄をすれば、所有者不明の空き家の管理から外れますか

放棄が受理されれば、その家を相続しなかったことになります。ただし民法は、放棄の時点でその財産を現に占有していた人について、次に管理する人へ引き渡すまでは自分の物と同じ注意をもって保存する義務を定めています。 遠方に住んでいて一度も鍵を持ったことがない場合と、直前まで住んでいた場合とで、扱いが変わります。相続人全員が放棄すれば、最終的には相続財産清算人を選任しないと家は動きません。選任の申立てには予納金が要り、近隣から苦情が来ている家では、誰かが費用を出さざるを得ない状況になります。

Q5. 所有者不明の空き家の固定資産税は、誰に請求されますか

登記名義人が亡くなっている場合、その固定資産を現に所有している者、つまり相続人に課されます。相続人が複数いれば連帯して負い、納税通知書は代表者とされた一人に届きます。 相続登記をしていなくても請求は止まりません。なお、市区町村から特定空家等または管理不全空家等の勧告を受けると、住宅用地の特例から外れて土地の税額が上がります。いくら上がるかは土地の評価額と面積で変わるため、市区町村の資産税の窓口で、特例が外れたときの税額を確かめてください。

Q6. 戸籍はどこまで集めれば、相続人を確定したことになりますか

亡くなった名義人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍をすべてそろえるのが基本です。途中が1通でも抜けていると、そこに別の子がいないことを証明できないため、法務局でも金融機関でも受け付けられません。 子がすでに亡くなっていれば、その子についても出生から死亡までを集めます。2024年3月から戸籍証明書の広域交付が始まり、最寄りの市区町村で本籍地以外の戸籍も請求できるようになりましたが、請求できる人の範囲や古い戸籍の扱いに制限があるため、窓口で先に確認してください。

当社から見たポイント

ご相談をいただく時点で、所有者不明だと思い込んでいた家が、実はそうでなかったというケースがかなりあります。名義が祖父のままというだけで、相続人は三人、全員の連絡先が分かっている、という状態です。この場合に要るのは戸籍と遺産分割と相続登記で、裁判所の手続は出てきません。登記事項証明書と戸籍を見せていただければ、どちらなのかはその場で見当が付きます。

本当に所在の分からない相続人がいる案件では、予納金の見込みと、売れたときに手元に残る金額を並べて見ていただくことになります。管理人の選任から売却の許可までに一年近くかかり、予納金が数十万円、売却代金が百万円台という組み合わせでは、費用の方が大きくなることもあります。名古屋市守山区で買い取った築60年以上の土地(古家付き・300万円台)のように、建物に値が付かず土地だけで金額が決まる物件では、この差が出やすいところです。当社がお伝えできるのは買い取る場合の金額と日程で、管理人の選任が通るかどうかや予納金の額は、家庭裁判所が決める領分です。

当社の見方

税金だけ払うことになるのでいくらでも良いので引き取ってほしい。

大阪府堺市の戸建てを、買取金額1,000万円台前半で買い取りました。

この方は関東にお住まいで管理ができず、親御さんが老人ホームに入る前まで住んでいた家には、生活用品も残ったままでした。相続した物件では、登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書に加えて戸籍などの書類が要り、相続登記の費用もかかります。ご相談の中では、名義が亡くなった方のままで何から手を付けてよいか分からないという方も多いため、当社ではご用意いただく書類や費用を一つずつ確認しながら進めています。ご相談から買取価格のご提示までは目安30分、ご契約までは目安1〜2週間で、買い取れない物件や売らないほうがよい場合は正直にそうお伝えしています。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
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公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:民法、地方税法出典:総務省統計局、国土交通省、法務省
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