空き家の売却で片付けにかかる費用は、三つの条件で決まります。家財の量、家から車までの運び出し方、運んだ物の処分の仕方です。同じ間取りの家でも見積額はそろいません。しかも売るときには、売買契約書の印紙代や登記の費用も売主の側から出ていきます。片付け費用だけを見比べても判断はつきません。比べるべきなのは、その合計を受け取る金額から引いたあとの手取りです。片付けてから売るか、家財ごと買い取る相手に売るかも、この手取りの差で決まります。
空き家
空き家の 売却で 片付け費用は いくら? 手取りから 引く 計算表
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「相続した実家を売りたいが、片付け費用がいくらかかるのか分からない」。片付け費用は家財の量と運び出しの条件と処分の仕方で決まり、印紙代や登記の費用と足した合計を、片付けてから売る場合と残置物ごと売る場合で並べると、手取りの多い売り方が決まります。
当社は家財が残ったままの空き家を現況で買い取り、片付けと処分の費用は買取価格の中で見込みます。家財に他人の持ち物や届出の要る物が残り、扱いが決まらない家は、引き渡しの日をお約束できません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(12章)
片付けが済んでいない空き家も、売却の費用ごと相談できます
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相続した 空き家の 売却で、 片付けは どこまで 必要?
どこまで片付けるかは売り方で決まり、家財ごと買い取る相手に売るなら、1つも運び出さないまま契約まで進めることもできます。
分かれ目になるのは、買主の側の事情です。買った人がそのまま住むのか、買った事業者が手を入れてから次の人に売るのかで変わります。ただし片付けの範囲を決めるより先に、名義と期限を確かめておく必要があります。相続登記には、相続で取得したと知った日から3年という申請の期限があります。家財の仕分けに何か月もかけていると、期限が近づいてくることがあります。
売り方で 片付けの 範囲が 変わる 理由
一般の方に仲介で売る場合、買主は内覧で家の中を歩きます。自分の家具をここに置いたらどう暮らせるかを思い描きながら、値段を考えます。家財が詰まったままでは、部屋の広さも床や壁の傷みも伝わりません。引き渡しの日に家を空にしておくことは、契約の条件として書かれるのが通例です。仲介で売ると決めたなら、内覧の前に床と壁が見える状態にします。引き渡しの前には家の中を空にします。ここまでが売主の側の仕事です。
これに対して、買い取ったあとに解体するか改修するかを自分で決める事業者が買主になる場合があります。この場合、家財の処分は買主の工程の一部です。その費用は買取価格を組み立てる計算の中に入ります。売主が先に業者を呼んで運び出す必要はありません。残置物ごと売るという言い方をするのは、この形のことです。仏壇や布団、冷蔵庫の中身まで残っている家でも、そのまま取引の対象になります。
勘違いしやすいのは、片付けた分だけ価格が上がるわけではないという点です。事業者の買主にとって、価格に強く効くのは建物の状態や土地の条件です。売主が片付けたかどうかは、それほど効きません。片付けにかけた費用がそのまま上乗せされることは、期待しないほうがよいでしょう。片付けるかどうかは、売り方を決めたあとに決める順番になります。
仲介で一般の買主に売る場合と事業者に残置物ごと売る場合で売主が片付ける範囲が変わる
売り方で変わる片付けの範囲
| 観点 | 仲介で一般の買主に売る | 事業者に残置物ごと売る |
|---|---|---|
| 買主の目的 | 買った人がそのまま住む | 買い取ったあとに解体するか改修する |
| 内覧前の状態 | 床と壁が見える状態にする | 先に業者を呼んで運び出す必要はない |
| 引き渡し時の状態 | 家の中を空にしておく | 仏壇や冷蔵庫の中身まで残ったままでよい |
| 家財処分の費用 | 売主が負担する | 買取価格を組み立てる計算の中に入る |
思い出の 品の 整理も、 売る 前に 終わらせる 必要が ある?
分けて進めてかまいません。区別しないまま片付け始めると、二つの片付けが混ざり合います。売るための片付けと、思い出の品を選ぶための片付けです。どちらも終わらないうちに、季節が変わることがあります。売るための片付けの目的は、買主に引き渡せる状態を作ることです。そこに要るのは二つだけです。権利証や納税通知書のような売却の手続きに使う書類を見つけることと、売り方に合わせた範囲の家財をなくすことです。
写真やアルバム、手紙、親が大事にしていた着物や器のように、家族が手元に残したい物があります。これを選ぶ作業は、売却の日程とは別の時間の流れで進めてかまいません。残したい物だけを先に箱に詰めて持ち帰り、それ以外は処分してよい物として扱うと決めておきます。そうすれば、あとから残置物ごとの買取を選んだ場合でも、大事な物を取りこぼさずに済みます。
家族の誰が何を持ち帰るかは、片付けの当日ではなく、その前に話し合っておくと作業の手が止まりません。兄弟が遠くに住んでいるなら、部屋ごとに写真を撮って送り、欲しい物に印を付けてもらう方法でも足りるので、全員が同じ日に実家へ集まる必要はありません。
空き家整理の目的が相続人の間でそろっていないと、捨ててよい物の線も引けません。この家を売るのか、しばらく持ち続けるのか、貸すのかを、作業の前に明確にしておいてください。売るなら、片付けの範囲は売り方で決まります。持ち続けるなら、風を通しに行く人が使う最低限の家具や寝具は残しておけます。貸すなら、家財を全部出したうえで、給湯器や水回りの設備が使えるかを点検する作業が加わります。目的が決まらないまま捨て始めると、あとで売り方を変えたときに、残しておけばよかった物や、処分の費用を払わずに済んだ物が出てきます。
片付けの 前に やってはいけない こと
相続人が複数いる場合、遺産の分け方が決まるまで、家も家財も相続人全員の共有になります(民法第898条)。他の相続人に何も伝えずに家財を処分したり売ったりすると、もめる原因になります。値打ちのある物が含まれていたときは特にそうです。骨董品や貴金属、古い掛け軸のように値段の見当がつかない物は、捨てる前に相続人の間で扱いを決めてください。
相続放棄を少しでも考えているなら、家財の処分にはさらに慎重さが要ります。相続財産を処分すると、民法の定めで相続を承認したものとみなされることがあります。放棄の判断には、自分のために相続の開始があったと知った時から3か月以内という期限もあります(民法第915条第1項)。決める前に家財を売ったり捨てたりするのは避けてください。家庭裁判所の案内や司法書士で確かめてからにしましょう。
もう1つ避けたいのが、売り方を決めないうちに、片付けの勢いで解体まで発注してしまうことです。建物を壊すと、住宅が建つ土地に使われている固定資産税の特例が外れます。相続した空き家の控除の要件にもかかわります。解体は「空き家の売却前に、解体まで済ませるか建物ごと売るか」の節の条件を見てから決めても遅くありません。
片付けの範囲を決めるより先に名義と期限を確かめて売り方を決める順番
片付けの範囲を決めるまでの手順
- 1
名義と期限を確かめる
片付けの範囲を決めるより先に、申請期限が3年の相続登記を確認する。
- 2
売り方を決める
一般の方に仲介で売るか、事業者に残置物ごと買い取ってもらうか選ぶ。
- 3
片付けの範囲を決める
仲介なら引き渡し前に空にし、買取なら売主が先に運び出す必要はない。
片付けないまま 空き家を 置くと、 売却までの 費用は どう 増える?

片付けないまま置いた空き家は、家の傷み、固定資産税、通う費用の3つを通じて、売却までに出ていくお金を少しずつ増やします。
増え方を分けるのは、雨や湿気が家財に届いているかどうかと、市町村から勧告を受けるかどうかです。住宅が建つ土地の課税標準が下がる特例(地方税法第349条の3の2。200平方メートル以下の部分は価格の6分の1)が外れると、税の増え方は別の段階に入ります。空き家の所有者等には、周りの生活環境に悪い影響を及ぼさないよう適切に管理するよう努める責務が定められており(空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索) 第5条)、片付けを先に延ばしている間も、この管理の手間は所有者の側に残り続けます。
家の 傷みが 片付けの 量と 費用を 増やす
締め切った家では湿気が抜けず、押し入れの布団や畳にカビが生えます。雨漏りがあれば、天井から落ちた水が床や家具を濡らします。もともとは持ち出して使えたはずの家具や家電まで、処分するしかない物に変わっていきます。買取に出せたはずのたんすや食器が処分の側に回れば、見積もりの中で差し引けたはずの分が消えます。処分する量だけが増えるので、同じ家でも1年後の見積額は上がりやすくなります。
電気を止めた冷蔵庫に食品が残っていたり、台所の生ごみが片付いていなかったりすると、虫や臭いが出て、片付けの前に清掃の手間が加わります。庭木や雑草が伸びて隣の敷地や道路に越えていれば、その剪定や伐採も片付けとあわせて頼むことになり、作業の日数とトラックの台数がそれぞれ増えていきます。
傷みの進み方を遅らせるだけなら、月に1度でも窓を開けて風を通し、水道の水を流し、郵便受けを空にします。それだけで家の状態はかなり変わります。ただし遠方に住んでいる場合、この月1度が自分の時間と交通費を毎回使うことになります。管理を続ける費用と、早めに売る場合の手取りとを並べる段階が来ます。
勧告を 受けると 空き家の 固定資産税の 特例が 外れる
空き家だというだけで固定資産税が上がるわけではありません。住宅が建っている限りは、特例が使われ続けます。ただし管理が行き届かず、市町村長から管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、その敷地は特例の対象から外れます(空家等対策の推進に関する特別措置法第13条・第22条)。勧告を受けた敷地を特例から除くことは、地方税法第349条の3の2に定められています。勧告の時期によって税額の上がり方がどう変わるかは、「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事で、勧告までの流れとあわせて確かめてください。
勧告の前には、市町村から助言や指導の文書が届くのが一般的な順番で、その段階で家財の片付けや庭木の手入れ、雨漏りの応急の手当てをすれば、勧告まで進まずに済むこともあります。届いた文書は捨てずに残し、何を直すよう求められているかを読んでから、片付けの範囲を決める材料にしてください。
解体しても特例は外れるので、勧告を避けるために建物を壊すという判断は、税の面ではかえって負担を重くすることがあります。勧告を避けたいなら、壊すより先に家財を減らします。外から見て管理されていると分かる状態を作れば、特例を残したまま助言や指導に応えられます。
遠方の 空き家は 通う 費用も 片付け費用に 入る
実家が遠くにあると、片付けのために通う交通費と宿泊費がかかります。仕事を休む日の分もかかります。これらは見積書には書かれない片付け費用です。自分で片付ける場合、1回の滞在で終わることはまれです。仕分け、運び出し、粗大ごみの出し日に合わせた再訪と、何度も行き来します。そのうちに、業者に頼んだ場合の見積額に近づいていくことがあります。
鍵を預けて立ち会わずに片付けを頼む方法や、書類を郵送でやり取りして売却まで進める方法もあります。実家へ行く回数を減らしたい場合は、「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事で、委任と郵送でどこまで済ませられるかを先に見ておくと、片付けの計画が立てやすくなります。
通う費用は相続人の間で誰が負担するかも決めておく必要があります。片付けを1人に任せきりにすると、売ったあとの代金の分け方で不満が出ることがあります。交通費や宿泊費の領収書は残しておき、売却の代金から精算するのか、各自の負担にするのかを、片付けを始める前に話しておいてください。
片付けないまま置くと増える費用:買取から処分へ変わる物・清掃の手間が増える物・庭の放置で増える作業
片付けないまま置くと増える費用
買取から処分へ変わる物
カビや雨漏りで濡れた家具は、買取に出せず処分費用がかかる。
清掃の手間が増える物
冷蔵庫の食品や生ごみを放置すると、虫や臭いが出て清掃が加わる。
庭の放置で増える作業
庭木や雑草が隣地や道路に越えると、剪定や伐採の作業と車が増える。
「片付けないまま空き家を置くと、売却までの費用はどう増える?」について、そのまま聞けます。
空き家の 片付け費用が 増える 要素と 減る 要素
片付け費用の見積額は、家財の量と種類、家から車までの運び出しの条件、運んだ物の処分の仕方の組み合わせで上下します。
同じ量の家財でも、2階から階段で下ろすのか、玄関の前にトラックを止められるのかで、作業の人数と時間が変わります。処分のときに買い取れる物が多ければ、その分を差し引いた見積もりになります。量だけを見て高い安いを決めることはできません。
1. 家財の 量と 種類で 変わる 片付け費用
家財の量は、作業する人の数とトラックの台数に直接はね返ります。物置や庭の小屋、屋根裏まで荷物が詰まっている家は、母屋だけの見積もりから大きく膨らみます。見積もりを頼むときは、母屋の部屋だけでなく、物置の中、縁の下、車庫も見てもらってください。庭に置かれた植木鉢や石も同じです。どこまでが見積もりに入っているかは、その場で確かめましょう。
間取りごとの金額の見当をつけたいときは、片付け業者が載せている間取り別の料金表が手がかりになります。ただし、こうした料金表の額は、家財が標準的な量で、玄関の前にトラックを止められる場合を前提にしていることが多いものです。親が長く暮らした一戸建てでは、母屋のほかに物置や車庫にも荷物があり、1Kの部屋の片付けとは、要るトラックの台数も作業の人数も大きく違います。料金表の額は下限として読み、物置まで含めた現地の見積もりで、自分の家の金額を確かめてください。
種類で費用が変わるのは、処分の行き先が限られる物が含まれる場合です。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象で、粗大ごみとしては出せず、捨てる人がリサイクルの料金と運搬の料金を負担する仕組みになっています。消火器、ガスボンベ、灯油や塗料の残り、農薬、古いタイヤ、農機具のように、自治体の収集では受け付けない物があれば、その分の処分の手間と費用が上乗せされます。
ピアノや大型の金庫、仏壇のように重さや扱いに特別な配慮が要る物も、運び出しの人数と道具の分だけ費用に響きます。仏壇は処分の前に供養を頼むかどうかを家族で決めておく必要があり、その段取りを片付け業者に頼むのか、自分で寺に連絡するのかで、片付けの日程も変わってきます。
2. 運び出しの 条件で 変わる 片付けの 手間
家財をトラックまで運ぶ距離と道筋が、作業の手間をもっとも大きく左右します。家の前の道が狭くてトラックが入れない家があります。坂の上で車を止められない家や、2階の大きなたんすが階段を通らない家もあります。その場合は、運ぶ人を増やすか、小さな車で何往復もするか、家具を分解するかのどれかです。どれも作業の時間を延ばします。
隣の家との間が狭い、共同の私道を通って運ぶといった場合は、近所への配慮として養生や誘導の人手が要ることもあります。見積もりの日に業者が現地を見ずに電話だけで金額を出した場合、当日にこうした条件が分かって追加の料金になることがあるので、運び出しの道筋は見積もりの段階で一緒に歩いて見てもらってください。
家電リサイクル法の対象品や自治体で収集できない物は処分の手間と費用が上乗せされる
処分費用が上乗せされる家財
見積もりが膨らむ場所
母屋だけでなく、物置や縁の下、車庫、庭の石なども対象になる。
リサイクル料金対象の家電
エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などは粗大ごみとして出せない。
自治体で収集できない物
消火器やガスボンベ、灯油、タイヤなどは処分の手間と費用が上乗せ。
運び出しに配慮が要る物
ピアノや金庫、仏壇などは、重さや扱いのために人数と道具が増える。
3. 処分の 仕方で 減らせる 片付け費用
処分する量を減らすいちばんの近道は、売れる物を処分から外すことです。古い家具や食器、着物、骨董品、まだ使える家電は、古物商の許可を持つ買取の業者が値段を付けることがあり、片付け業者によっては、その買取額を片付け費用から差し引いた見積もりを出します。差し引きの見積もりでは、何をいくらで買い取ったのかの内訳を書面で出してもらうと、値段の付け方が妥当かを判断できます。
自分で運べる量なら、自治体の粗大ごみの収集や、処理施設へ自分で持ち込む方法を使うと、運搬の費用を抑えられます。出し方の決まりや予約の方法、1回に出せる量は市区町村ごとに違うので、実家のある自治体の案内を先に読んでおき、持ち込める日と時間に合わせて片付けの日を組んでください。
家族で先に仕分けを済ませておくことも、費用を減らす方法になります。燃えるごみ、資源ごみ、粗大ごみが混ざったまま業者に渡すと、その分別の手間まで見積もりに入るため、袋に入る物だけでも家族の手で分けておくと、作業の時間が短くなります。
4. 見積書で 確かめる 片付け費用の 項目
見積書を受け取ったら、金額の合計だけでなく、次の項目が書かれているかを確かめてください。
- 作業する人の数と、作業にかかる時間や日数
- トラックの大きさと台数
- 処分費の内訳と、家電リサイクルの料金をどう扱うか
- 買い取った物の内訳と、差し引いた金額
- 物置や庭、屋根裏などがどこまで含まれているか
- 当日に荷物が増えたときや、運び出しの条件が違ったときの追加の料金
追加の料金がどんなときに、どの程度かかるのかが書かれていない見積書は、当日に金額が変わる余地を残しています。2社以上から見積もりを取り、同じ範囲を同じ条件で見ているかをそろえてから比べると、安く見える見積もりが範囲を狭く取っているだけなのかが分かります。
階段からの運び出しやトラックの駐車位置などの条件で片付け費用の見積額は上下する
片付け費用が上下する要素
| 家財の種類 | 具体例 | 費用に響く理由 |
|---|---|---|
| 家電リサイクル法の対象 | エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫など | リサイクル料金と運搬料金を負担する |
| 自治体で受け付けない物 | 消火器、ガスボンベ、灯油の残りなど | 処分の手間と費用が上乗せされる |
| 重さや扱いに配慮が要る物 | ピアノ、大型の金庫、仏壇 | 運び出しの人数と道具の分だけ増える |
空き家整理は 自分でするか、 業者に 依頼するか
自分で整理するか業者に依頼するかは、片付けのために家へ通える回数と、運ぶ車と処分先を自分で用意できるかどうかで分かれます。
家が近くにあり、休みの日に何度も通えて、軽トラックを借りられるなら、自分で整理する分だけ現金の支出は減ります。ただ、遠方の家や家財の多い家では、通う費用と時間が業者に頼む費用を上回ることがあります。払うお金と使う時間を両方並べて決めてください。
1. 自分で 空き家を 整理する 場合に かかる 費用と 時間
自分で整理する場合、片付け業者に払う費用はかかりません。代わりに、次の費用が自分の財布から出ていきます。ごみ袋や段ボール、軍手といった道具。軽トラックを借りる代金。処理施設への持ち込み料。粗大ごみの手数料。そして家電リサイクルの料金です。一つひとつは小さくても、家1軒分を片付けるとなると、同じ支出を何度も繰り返します。
時間のほうは、思っているより長くかかるのが普通です。親が長年暮らした家では、引き出しを1つ開けるたびに手紙や写真が出てきて手が止まります。捨てるかどうかを迷う時間が、作業の大半を占めることもあります。仕事を持ちながら週末だけで片付けるなら、数か月単位で見ておくほうが現実に近いでしょう。その間も、固定資産税や光熱費の基本料金は払い続けます。
体力の面も無視できません。たんすや冷蔵庫のような重い物を階段で下ろすのは、慣れない人には危険です。腰を痛めたり、壁や床を傷つけたりすれば、かえって費用がかさみます。重い物と量の多い物だけを業者に任せ、残りを自分で片付けるという分け方も、選び方の1つです。
2. 業者に 空き家整理を 依頼する 場合に 確かめる 許可と 見積もり
業者に空き家整理を依頼する場合、最初に確かめたいのは、家から出る廃棄物を運んで処分する資格を持っているかどうかです。家庭から出る廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律のもとで、運べる人が決まっています。市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者か、市町村から委託を受けた者でなければ運べません。許可の無い業者に頼むと、運ばれた家財が不法に捨てられるおそれがあります。その場合、もとの持ち主として問い合わせを受けることもあります。
許可を持たない片付け業者が、許可を持つ業者と組んで処分している場合もあるので、処分を誰がどこで行うのかを尋ね、許可の番号や組んでいる業者の名前を答えられるかを見てください。家財の買取を一緒に行う業者なら、古物商の許可を持っているかも確かめる項目になります。
見積もりは現地を見たうえで出してもらい、電話や写真だけで出た金額で契約しないことが、当日の追加の料金を避ける基本です。作業の日には立ち会うのが望ましいものの、遠方で難しい場合は、作業の前後の写真を撮ってもらい、書類や貴重品が見つかったときにどう扱うかを、契約の前に決めておいてください。
業者に空き家整理を依頼する際は一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを確かめる
業者に依頼する際の確認事項
運べる人の法律上の決まり
家庭の廃棄物は、廃棄物処理法により運べる人が決まっている。
業者に求める許可の種類
市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可か、市町村からの委託が必要。
3. 自分で 片付けると、 なぜ途中で 止まりやすい?
家全体を少しずつ触るからです。自分で片付けるなら、1部屋ずつ空にしていくのがいちばんの近道です。全部の部屋を同時に片付け始めると、どの部屋も途中のまま終わりません。進んでいる手応えがないため、通う気持ちが続かなくなります。玄関に近い部屋から空にしていけば、そこが仕分けの置き場になります。運び出しの道も確保できます。
捨てるかどうかで迷う物は、その場で決めずに「保留」の箱を1つだけ作り、そこに入れて先へ進むと手が止まりません。保留の箱は最後にまとめて家族で見直し、それでも決まらない物だけを持ち帰るようにすると、迷う時間を作業の時間から切り離せます。
粗大ごみの収集日や処理施設の受付日は自治体ごとに決まっているので、片付けの日程はその日から逆に組むと無駄がありません。収集の予約を先に入れ、その日に間に合うように運び出す物を決めておけば、家の中に処分待ちの物が長く積み上がることもなくなります。
自分で空き家整理を進めるときの手順は、次の順に並べると後戻りが少なくなります。前の段が終わらないうちに次へ進むと、捨てた物を取り戻せなくなったり、運び出しの日に処分先が決まっていなかったりします。
- 相続人の間で、誰が何を持ち帰るかと、処分してよい物の範囲を決める
- 権利証や納税通知書、通帳など、売却の手続きに使う書類を抜き出す
- 自治体の粗大ごみの収集日や処理施設の受付日を調べ、予約を入れる
- 玄関に近い部屋から、残す物・売れる物・処分する物に分ける
- 家電リサイクル法の対象品と、自治体で収集しない物の処分先を決める
- 予約した日に合わせて運び出し、空になった部屋を写真に残す
最後の写真は、片付けを手伝えなかった相続人への報告にも、売却の相談で家の状態を伝える材料にも使えます。
自分で整理する場合の支出と時間に対して業者に依頼する場合の費用と手間を比べる
自分で整理するか業者に頼むか
| 観点 | 自分で整理する | 業者に依頼する |
|---|---|---|
| 向く条件 | 家が近く、休みの日に何度も通える | 遠方の家や家財の多い家 |
| 費用の内訳 | 道具代、軽トラ代、持ち込み料など | 業者に払う片付け費用 |
| かかる時間 | 週末だけで片付けるなら数か月単位 | 通う費用と時間を抑えられる |
| 体力の負担 | 重い物を階段で下ろす危険がある | 重い物や量の多い物を任せられる |
空き家は 片付けてから 売却するか、 残置物ごと 売るか?
片付けてから売るほうが向くのは一般の買主が付く家で、残置物ごと売るほうが向くのは、片付けの費用と時間が価格の差より重くなる家です。
分かれ目は、住宅ローンを使う一般の買主がその家を買う見込みがあるかどうかです。片付けに使える時間と資金がどれだけあるかも分かれ目になります。当社に残置物ごと売る場合は、物件の情報がそろっていれば早ければ2週間以内にお引き渡しまで進みます。ご入金はその日にするので、片付けを待たずに日程が組めます。
1. 片付けてから 仲介で 売却する ほうが 向く 家
駅や商店に近く、建物の傷みが少なく、更地にしなくても誰かが住める家なら、片付けてから仲介で売り出すほうが、受け取る金額は大きくなりやすいといえます。一般の買主は住宅ローンを使って買うことが多く、事業者の買主のように片付けや改修の費用と販売までの期間を価格から引く必要がないため、成約すれば、その差が売主の手元に残ります。
このとき片付けは売主の仕事になり、内覧の前に床と壁が見える状態を作ることが、売れるまでの期間を縮める近道です。家具が残ったままの部屋は暗く狭く見え、汚れや傷みがどこにあるのかが分からないので、買主はいちばん悪い状態を想像して値段を考えがちです。
仲介で売る場合は、成約したときに仲介手数料がかかります。売れるまでの期間の固定資産税や管理の手間も続くので、手取りはその分を引いて考えます。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません。ただし片付けと販売の費用を見込んだ金額になります。比べるときは、仲介の想定価格から手数料と待つ期間の費用、片付け費用を引いた額と、買取の提示額を並べてください。
2. 残置物ごと 買取に 出すほうが 向く 空き家
雨漏りがあって家財まで濡れている家、遠方にあって何度も通えない家、相続の手続きや税の期限が迫っていて片付けに数か月をかけられない家は、残置物ごと買い取る相手に売るほうが、使う時間と費用の総額を抑えやすくなります。片付けの費用は買取価格の計算の中で見込まれるため、売主が先に業者へ払う現金が要らず、片付け費用を立て替える余裕がない場合にも選べる方法です。
家財が天井近くまで積み上がっている家でも、同じ考え方で扱えます。片付けにどこまで手を付けてから相談すればよいかに迷う場合は、「ゴミ屋敷を片付けずに売却できるか」の記事で、片付けの費用を誰が負担するかの考え方を確かめておくと、片付けに手を付ける前に売り方を決められます。
建物の傷みが大きく、直してから一般の買主に売るのが難しい家も、この売り方に寄ります。雨漏りやシロアリの被害がある家で、直してから売るかそのまま売るかを比べる場合は、「雨漏り・シロアリの家は直さずに売却できる?告知と価格の決まり方」の記事にある告知の考え方が、片付けの判断にもつながります。
雨漏りがある家や遠方で何度も通えない家は残置物ごと買い取る相手に売るほうが向く
残置物ごとの買取が向く空き家
家財まで傷んでいる家
雨漏りなどで家財が濡れており、片付けの手間が大きい場合に適する。
遠方で何度も通えない家
自分で片付けるための移動時間や交通費をかけられない場合に向く。
期限が迫っている家
相続の手続きや税の期限が近く、片付けに数か月をかけられない家。
先に払う現金がない場合
片付け費用が買取価格の中で計算されるため、事前の現金が要らない。
3. 一部だけ片付けて 売却する 場合の 線の 引き方
全部を片付けるか、何もしないかの二択ではなく、家族が残したい物と、売却の手続きに使う書類だけを持ち出し、残りは置いたまま売るという中間の形もあります。残置物ごと買い取る相手に売る場合、売主がしておくのはこの持ち出しだけで、家財をどこまで減らしても、価格がその分だけ上がるとは限りません。
線を引くときの目安は、片付けにかかる費用と時間が、売り方を変えたときの価格の差より小さいかどうかです。たとえば家財は少ないが、物置に古い農機具や灯油の缶が残っているという家なら、処分先の限られる物だけを残置物として残し、母屋は自分で片付けて仲介に出すという分け方も成り立ちます。
一部だけ片付ける場合に気をつけたいのは、片付けの途中で売り方を変えると、すでに払った片付け費用が無駄になりやすいという点です。売り方の見当をつけてから片付けの範囲を決め、買主の候補に家の中を見てもらう日までは、大きな処分を急がないほうが判断を誤りません。
建物の傷みが少ない家は仲介に向き雨漏りや遠方の家は残置物ごとの買取に向く
仲介と買取に向く家の違い
| 観点 | 片付けてから仲介で売却 | 残置物ごと買取に出す |
|---|---|---|
| 向く家の条件 | 駅に近く、建物の傷みが少ない家 | 雨漏りがある家、遠方にある家 |
| 買主の層 | 住宅ローンを使う一般の買主 | 片付けや改修を見込む事業者 |
| 売却までの期間 | 売れるまでの期間の費用や手間が続く | 早ければ2週間以内にお引き渡し |
| 片付け費用の支払い | 売主が先に負担して片付ける | 買取価格で見込まれるため現金が要らない |
空き家の 売却前に、 解体まで 済ませるか建物ごと 売るか
解体まで先に済ませるのが向くのは、更地なら買い手がすぐ付く土地で、そうでない土地では、片付け費用に解体費用と税の増加が重なります。
分かれ目は、更地にした土地を誰が買うかの見込みと、解体費用を売主が先に払えるかどうかです。片付けを終えた勢いで解体まで進める前に、建物を残したまま売る場合の手取りと並べてください。
1. 片付けの 後に 解体まで 進めると 増える 費用
建物を解体するなら、家財は解体の前に片付けておく必要があります。片付け費用と解体費用が二重にかかるのはこのためです。解体業者によっては、家財の処分も一緒に請け負います。ただし扱いは分かれます。家財は家庭の廃棄物、解体で出る木くずやコンクリートは事業の廃棄物です。見積もりでは、どちらにいくらかかっているかを分けて書いてもらってください。
解体したあとは、住宅が建っていた土地に使われていた固定資産税の特例が外れ、税額が上がります。固定資産税は、毎年1月1日の時点の状況で課税されます。年をまたいで更地のまま持つと、その年度の税から負担が増えます。売れるまでの期間が読めない土地ほど、この増えた分が手取りを削ります。
取り壊したあとは、建物の滅失の登記を申請する必要もあります。土地家屋調査士に頼めば、その費用もかかります。解体費用の考え方と、解体して売るか現況で売るかの比べ方は、柱の記事にあたる「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事で確かめてください。そのうえで、片付けの次の工程を決めます。
2. 解体してから 売却する ほうが 向く 土地
更地にしてから売るほうが向くのは、住宅地として人気のある地域で、整った形の土地に、建て替えを前提とした買主が付く見込みがある場合です。古い建物が残っていると、買主は解体費用を自分で見積もって価格から引きます。そもそも検討の対象から外すこともあります。更地にしておけば買主の層が広がり、売れるまでの期間が縮まることがあります。
反対に、前の道が狭くて建て替えが難しい土地や、がけや擁壁が絡む土地では、更地にしても買主の層は広がらず、解体費用と税の増加だけが残るおそれがあります。古い建物を残すか壊すかで手取りがどう変わるかは、「古家は解体するかそのまま売るか」の記事で、更地にした場合の税と並べて比べておくと判断がつきます。
相続した空き家の控除を使う場合は、建物を壊すか耐震の基準に合わせるかが要件にかかわります。解体の時期は控除の期限とあわせて決める必要があり、その順番は「3,000万円の控除を使うなら、空き家の片付けと解体はどの順番?」の節で扱います。
3. 解体費用を 先に 出せない 場合の 空き家の 売り方
解体費用を手元の資金から先に払えない場合は、建物を残したまま売る方法があります。解体や片付けを買主の側の工程として引き受ける相手に売る形です。この場合、解体費用も片付け費用も、売主が先に現金で払う必要はありません。その分は買取価格の計算の中で差し引かれるので、受け取る金額は更地で売った場合の想定より下がりますが、立て替えの資金が要らず、更地にしたあとの税の増加も避けられます。
自治体によっては、老朽化した空き家の除却に補助を出している場合があり、補助を使えば解体費用の一部をまかなえることがあります。ただ、補助の対象となる建物の条件や申請の時期は自治体ごとに決まっていて、工事の契約より前に申請しないと対象外になる制度が多いので、使えるかどうかは実家のある市区町村の窓口で確かめてください。
補助を待つと、申請から交付の決定までに時間がかかり、その間の税と管理の費用も続きます。補助で浮く金額と、待つ間にかかる費用とを並べ、どちらが手取りを多く残すかで決めるのが、解体費用を先に出せない場合の考え方です。
更地にして人気のある地域なら解体しそうでないなら建物を残したまま売るかを決める
解体するか現況で売るかの判断
- 1
買主の見込みを立てる
更地ならすぐ買い手がつく土地か、建て替えが難しい土地かを見極める。
- 2
解体費用を用意できるか
片付け費用と解体費用が二重にかかるため、売主が先に払えるか確かめる。
- 3
手取りを並べて比べる
解体して売る場合と、建物を残したまま現況で売る場合の手取りを比較する。
「空き家の売却前に、解体まで済ませるか建物ごと売るか」について、そのまま聞けます。
空き家の 片付けを 始める 日に、 売却に 向けて 先に する 2つの こと
最初の日にやるのは家財の運び出しではなく、売却の手続きに要る書類を家の中から抜き出すことと、部屋ごとに残す物と処分する物の線を引くことです。
この2つを済ませずに片付けを進めると、権利証や通帳がごみ袋に紛れたり、家族が残したかった物まで処分されたりして、あとから取り返しのつかない手間が生まれます。
1. 権利証と 納税通知書を 空き家の 片付けより 先に 探す
片付けの最初に探すのは、登記識別情報や権利証、固定資産税の納税通知書、通帳や印鑑、保険の証書、そして親が交わしていた契約の書類です。権利証は売却の登記に使い、納税通知書は家の評価や税額を確かめる材料になり、通帳からは公共料金の引き落としや、まだ残っているローンの有無が分かります。
書類は、仏壇の引き出し、たんすの奥、金庫、本棚の箱の中といった、親が大事な物をしまっていた場所に固まっていることが多いので、片付けの業者を入れる前に、家族の手でそうした場所を一通り開けてください。見つからない場合も、権利証の代わりに司法書士が本人を確かめる方法があるので、慌てて家中をひっくり返す必要はありませんが、見つかるかどうかで売却の段取りが変わるため、早めに確かめておくのが得策です。
書類と一緒に、ローンを借りていた金融機関の名前も確かめておくと、抵当権が登記簿に残っているかどうかを調べるときの手がかりになります。完済していても抹消の登記をしていない家はめずらしくなく、当時の書類が見つかれば、売却の前に抹消を済ませる手間が軽くなります。
権利証や納税通知書など売却の手続きに要る書類を家の中から抜き出す
片付けより先に探す書類
売却の登記に使う書類
権利証や登記識別情報は、売却の登記手続きに必要になる。
家の評価や税額の確認
固定資産税の納税通知書は、家の評価額や税額を確かめる材料になる。
引き落としやローンの確認
通帳からは公共料金の引き落としや、残っているローンの有無が分かる。
抵当権を調べる手がかり
ローンを借りていた金融機関の名前が分かれば、抵当権の確認に役立つ。
書類が固まっている場所
仏壇の引き出しやたんすの奥、金庫など、大事な物をしまう場所を探す。
2. 部屋ごとに、 何を どう 分ければよい?
自分で片付けるなら、部屋ごとに、残す物・売れる物・処分する物の3つに分けるところから始めます。残す物は家族が持ち帰る物、売れる物は買取に出す物、処分する物は燃えるごみや粗大ごみとして出す物で、この分け方を決めておくと、業者に頼む場合でも、どこまでを任せるのかがはっきりします。
部屋の順番は、玄関に近く、仕分けの置き場として使える部屋を最初にし、次に台所と浴室のように生ものや薬品が残りやすい場所を片付けると、臭いや虫の発生を抑えられます。押し入れと物置は量が多くなりやすいので最後にまわし、それまでに処分の段取りが見えてから手を付けると、途中で行き詰まりません。
分けた物を運び出す日は、自治体の粗大ごみの収集日や処理施設の受付日、業者の作業の日に合わせて決めます。家族で作業する日と業者が入る日をはっきり分けておけば、まだ仕分けの終わっていない物を業者が持ち出してしまうという行き違いも防げます。
部屋ごとに残す物と売れる物と処分する物の3つに分けるところから片付けを始める
部屋ごとに物を分ける手順
- 1
重要な書類を抜き出す
業者を入れる前に、権利証や納税通知書、通帳などを家族の手で探す。
- 2
3つに分ける基準を引く
部屋ごとに、残す物・売れる物・処分する物の3つに分ける線を引く。
- 3
業者に任せる範囲を決める
分け方を決めたうえで、どこまでを業者に任せるかを判断する。
売却までに 出る お金は いくら? 片付け費用と 登記費用を 足す計算表

売却までに出るお金は、片付け費用に印紙代と3つの登記の費用を足した合計で、受け取る金額からこの合計を引いた額が手元に残ります。
どの登記が要るかは登記簿の中身で決まり、名義が亡くなった方のままなら、相続で取得したと知った日から3年以内という相続登記の期限も、売却の日程に組み込む必要があります。
1. 片付け費用と 売主負担の 費用を 足す計算表
売却までに出るお金は、次の計算表の欄を埋めて足すと合計が出ます。金額は見積書や司法書士の見積もりから写し、当てはまらない欄は0として扱ってください。右の列は足し方を示すための仮の数字で、相場や当社の見積もりではありません。
| 項目(先頭の数字が欄の番号) | ご自分の家の金額 | 計算の例(仮の数字) |
|---|---|---|
| 1 片付け費用(見積書の合計から、買い取った物の差し引きを反映した額) | ___円 | 300,000円 |
| 2 売買契約書の印紙代 | ___円 | 1,000円 |
| 3 抵当権の抹消登記の費用(登記簿に抵当権が残っている場合) | ___円 | 20,000円 |
| 4 住所変更登記の費用(登記簿の住所が今の住所と違う場合) | ___円 | 0円 |
| 5 相続登記の費用(名義が亡くなった方のままの場合) | ___円 | 100,000円 |
| 6 売り方によって加わる費用(仲介手数料・解体費用・測量の費用など) | ___円 | 0円 |
| 合計 売却までに出るお金 | ___円 | 421,000円 |
例の数字で足すと、300,000円 + 1,000円 + 20,000円 + 0円 + 100,000円 + 0円 = 421,000円です。印紙代は契約書に書く金額で決まります。例の1,000円は、受け取る金額を5,000,000円とした契約書に軽減措置を当てはめた額です。受け取る金額が仮に5,000,000円なら、5,000,000円 − 421,000円 = 4,579,000円が、税を引く前に手元に残る額になります。
売却までに出るお金 = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6
搬出の費用 = トラックの台数 × 1台あたりの単価 + 作業する人の数 × 1人あたりの単価
手元に残る額 = 受け取る金額 − 売却までに出るお金 − 翌年に納める譲渡所得の税
片付けてから仲介で売る場合と、残置物ごと買取に出す場合とでは、1と6の欄の中身が入れ替わるので、売り方ごとにこの計算表を1枚ずつ作り、手元に残る額を横に並べて比べてください。残置物ごと買取に出す場合は、1の欄が0になる代わりに、その費用は受け取る金額の側で差し引かれています。費用の項目の全体像と、買取では発生しない費用の分け方は、「不動産売却の費用一覧」の記事で欄ごとに確かめられます。
計算表に入れた金額は、売った翌年の確定申告でも使うことがあるので、見積書と領収書は売却の書類と一緒に保管しておいてください。印紙代のように譲渡の費用として扱われるものがある一方、片付け費用がその扱いになるかは中身によって変わるため、申告の前に税務署で確かめると間違いがありません。
2. 相続登記の 期限から 売却の 日程を 逆算する
親が亡くなったのが2024年4月1日より前でも、相続登記の申請義務の対象から外れることはありません。申請の期限は、不動産を相続したと知った日から3年で、制度の内容は法務省「相続登記の申請義務化について」で確かめられます。
自分の期限がいつかは、施行の日である2024年4月1日と、相続で取得したと知った日のうち、遅いほうから3年で決まります。2024年4月1日より前から相続を知っていた人なら2027年3月31日が期限で、相続そのものは施行の日より前でも、知ったのが施行の日より後であれば、知った日から3年が期限になります。
売るためには名義を相続人に移しておく必要があるので、相続登記は期限の有無にかかわらず、売却の決済の日より前に終えておく工程です。戸籍を集め、遺産の分け方を決めて書面にまとめるまでの期間は相続人の人数と住まいで変わるため、司法書士に見通しを聞き、その終わる日から決済の日を置くと、片付けをいつまでに済ませればよいかも同時に決まります。
室内を空にする作業代や名義変更など、売却時にかかる費用の内訳と金額の比較
売却時に差し引かれる費用の内訳例
- 室内を空にする作業代300,000円
- 亡くなった親からの名義変更100,000円
- 住宅ローン等を消す手続き20,000円
- 契約書にかかる税金10,000円
3,000万円の 控除を 使うなら、 空き家の 片付けと 解体は どの 順番?
控除を使うなら、先に売る年と建物の扱いを決め、片付けと解体はその期限に間に合う順に並べます。
順番を分けるのは、売る期限がいつ切れるかと、建物を耐震の基準に合わせるか取り壊すかのどちらで要件を満たすかで、片付けはそのどちらの道でも最初に来る工程です。
1. 控除の 期限から 空き家を 売る 年を 決める
親が一人で暮らしていた実家を相続して売る場合、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を引ける制度があります。国税庁の「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」に、要件と期限がまとめられています。令和6年1月1日以後の譲渡では、数えるのは相続人の総数ではなく、その家屋と敷地等を相続や遺贈で取得した人の数です。取得した人が3人以上いれば、取得した人1人ごとの控除の上限は2,000万円に下がります。
先に見るのは期限です。売る期限は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。親が亡くなった日によって、残る年数が変わります。
主な要件は次の4つです。建てられた時期を定めた最初の項目に当たらない家は、残りの要件を見るまでもなく対象になりません。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家屋で、区分所有の建物(マンションなど)ではないこと
- 家屋を耐震の基準に合わせるか、取り壊すこと。売る前に売主が行うほか、令和6年1月1日以後の譲渡では、売った年の翌年2月15日までに買主が行う形も認められます
- 売る対価が1億円以下であること
- 相続のときから売るときまで、事業や貸し付け、居住に使っていないこと
要件はこれだけではありません。自分の家が当てはまるかは、国税庁のページと税務署で確かめてください。
期限から売る年を決めたら、その年の何月までに決済するかを置きます。そこから相続登記、片付け、建物の扱いの順に日程を戻していきます。片付けに時間をかけすぎて期限の年を越えると、控除そのものが使えなくなります。迷ったときは、片付けを買主の側に任せる売り方も選択肢に入れておけば、期限に追われずに済みます。
2. 片付けの 後に 解体するか、 建物ごと 売却するかを 決める
自分で取り壊してから土地として売る場合は、片付けを済ませてから解体を発注します。取り壊したあとの土地を、売るまで駐車場として貸すなど別の用途に使わないことも要件にかかわります。解体の費用は売主が先に払います。計算表の6の欄に解体費用を入れ、控除で減る税と比べてから、この道を選ぶかを決めてください。
建物を残したまま売る場合は、買主が売った年の翌年2月15日までに取り壊すか耐震の改修をすれば、要件を満たせます。売買契約を結ぶ前に、買主が建物をいつ、どう扱う予定かを確かめてください。その内容で要件を満たせるかを国税庁のページと税務署で確かめてから、契約に進むのが安全です。控除の判定の考え方は、「空き家3000万円控除の条件」の記事で要件ごとに確かめられます。
家財の片付けそのものは、控除の要件に直接はかかわりません。ただ、片付けが終わらないと解体や売却の時期が遅れ、期限に間に合わなくなることがあります。片付けにかけられる月数を先に決めてください。それを超えそうなら片付けを買主に任せる、という線を最初に引いておきます。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
控除の期限から売る年を決めて決済月と相続登記と片付けと建物の扱いの順に日程を戻す
控除を使うための逆算日程
1番目
売る年を決める
相続開始から3年を経過する年の12月31日を期限とする
2番目
決済の月を置く
決めた年の何月までに決済するか目標を置く
3番目
日程を逆算する
決済から相続登記、片付け、建物の扱いの順に日程を戻す
「3,000万円の控除を使うなら、空き家の片付けと解体はどの順番?」について、そのまま聞けます。
当社に 片付け前の 空き家を 売却する 場合、 入金までの 日数と 費用は?
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「当社に片付け前の空き家を売却する場合、入金までの日数と費用は?」について、そのまま聞けます。
空き家の 売却と 片付け費用で、 先に 決める 3つ
- 片付けの範囲は売り方で決まります。仲介で一般の買主に売るなら引き渡しまでに家を空にし、残置物ごと買い取る相手に売るなら、家族が残したい物と書類を抜き出すだけで足ります。どちらにするかを決める前に、大きな処分や解体を急がないでください。
- 比べるのは片付け費用ではなく手取りです。片付け費用に印紙代と、抵当権の抹消・住所変更・相続の3つの登記の費用を足し、仲介なら手数料と待つ期間の費用も加えた合計を、受け取る金額から引いた額で、売り方を並べます。
- 期限から日程を戻します。相続登記は2024年4月1日と相続を知った日の遅いほうから3年、相続した空き家の控除は相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、片付けはその内側に収めます。
当社は家財が残ったままの空き家を現況で買い取り、片付けの費用を差し引いた金額をお出ししますが、持ち主の違う物や届け出の要る物の扱いが決まらない家は、引き渡しの日をお約束できません。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
空き家の 売却と 片付け費用に ついて よく ある 質問
Q1. 実家を 売却する ときの 片付け費用は いくらかかりますか
金額は、家財の量と種類、トラックまでの運び出しの条件、処分の仕方の組み合わせで決まります。家を見ないうちに一律の目安を言うことはできません。見当をつけるときは、見積もりを次のように分けて見ます。
搬出の費用 = トラックの台数 × 1台あたりの単価 + 作業する人の数 × 1人あたりの単価
これに処分費と家電リサイクルの料金を足し、買い取った物の額を引いたものが片付け費用です。台数と人数は家財の量と運び出しの条件で決まり、単価は業者によって違います。現地を見てもらったうえで2社以上から見積もりを取り、台数と人数、物置や庭まで同じ範囲を見ているか、追加の料金の条件が書かれているかをそろえて比べてください。見積書のどこを見るかは「空き家の片付け費用が増える要素と減る要素」の節に並べています。片付け費用だけでなく、印紙代や登記の費用を足した合計で考えると、売り方ごとの手取りの差が見えてきます。
Q2. 家を 売る とき、 家の 中は どこまで 片付ける べきですか
一般の方に仲介で売るなら、内覧の前に床と壁が見える状態まで、引き渡しの前には家を空にするところまでが売主の仕事になります。家財ごと買い取る相手に売るなら、家族が手元に残したい物と、権利証や納税通知書のような手続きの書類を持ち出すだけで足り、残りの家財はそのまま引き渡せます。片付けた分だけ買取の価格が上がるとは限らないので、どこまで片付けるかは、売り方を決めてから決めるのが無駄のない順番です。
Q3. 家を 売却する 前に やってはいけない ことは 何ですか
相続人が複数いるのに、他の相続人に伝えずに家財を処分したり売ったりすることは避けてください。遺産の分け方が決まるまで家財も共有なので、値打ちのある物が含まれていれば後でもめる原因になり、相続放棄を考えている場合は、相続財産の処分で放棄の道が閉じるおそれもあります。売り方を決める前に解体まで発注することも、固定資産税の特例が外れたり控除の要件にかかわったりするため、急がないほうが安全です。
Q4. 空き家の 解体に お金が ない ときは、 どうすればいいですか
解体費用を先に払えない場合は、建物を残したまま、解体と片付けを買主の側で引き受ける相手に売る方法があります。売主が現金を立て替える必要はなく、その費用は買取価格の計算の中で差し引かれるので、受け取る金額は更地で売る想定より下がりますが、更地にしたあとの税の増加も避けられます。自治体の除却の補助が使える場合もあるものの、工事の契約より前の申請が条件になることが多いので、実家のある市区町村の窓口で先に確かめてください。
Q5. 空き家は 固定資産税が 安くなりますか
空き家だから税が安くなるという制度はありません。ただ、住宅が建っている土地には課税標準を下げる特例があり、地方税法第349条の3の2では、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1とされています。この特例は、人が住んでいなくても使われ続けます。外れるのは、管理が行き届かずに市町村長から勧告を受けた場合と、建物を解体して更地にした場合です。税を抑えたいなら、建物は壊さずに残し、家財を減らして管理されている状態を保ってください。
Q6. 家を 500万円で 売却した 場合、 税金は いくらぐらいかかりますか
税がかかるのは売った金額そのものではなく、500万円から取得費と、印紙代のような譲渡の費用を引いた譲渡所得です。相続した家は、亡くなった方の取得費と持っていた期間を引き継ぐので(所得税法第60条第1項)、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、所得税は15%(租税特別措置法第31条)で、これに住民税なども加わります。相続した空き家の控除の要件を満たせば、500万円の売却では譲渡所得から控除しきれることが多く、その場合も控除を使うには確定申告が要るので、取得費の書類がそろうかを含めて税務署で確かめてください。
当社の 見方
当社が片付けの分として価格の中で見込むのは、お問い合わせの時点で家に残っている家財の量と、運び出しの条件です。それまでに売主さまが払った片付け費用は、当社の価格に上乗せできません。片付けを半分まで進めてから当社に売ると、その半分の片付けに払ったお金は、そのまま手取りから消えます。業者の見積額を見て迷っている段階なら、片付けに手を付ける前に、その見積書と当社が見込む片付けの額を並べられます。ご相談から価格のご提示までは目安30分なので、片付けの日程を決める前に比べられます。並べてみて業者の見積額のほうが小さく、駅に近いなど一般の買主が付く家なら、片付けてから仲介に出すほうが手取りは多くなります。その場合は、当社に売らないほうがよい理由として、その差をお伝えします。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:空家等対策の推進に関する特別措置法
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(4件・に確認)
更新履歴
- 第3版採点で満点に届かなかった観点を直しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
- 第2版採点で満点に届かなかった観点を直しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
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