相続した農地が売れないのは、買いたい人がいないからではなく、その農地を買える相手が農地法で絞られているからです。農地のまま渡すなら、買主の側に農業委員会の許可が要ります。農地以外の用途にして渡すなら、転用の許可か届出が要ります。どちらの入口に立てるかは、その土地が入っている農地区分でおおむね決まっています。
相続
農地を 相続したが 売れない |4つの 出口と 遊休農地の 課税
公開 更新

「親の田畑を相続したが、耕すつもりも買い手もなく、固定資産税だけを払い続けている」。農地のまま売るには買主の側が農業委員会の許可を取れることが条件で、転用して売れるかどうかはその農地がどの区分に入っているかで先に決まります。農用地区域内(青地)と第1種農地に当たると転用は原則として通らず、出口は耕作者への譲渡か農地バンク、相続土地国庫帰属の側に寄ります。
当社が買い取るのは、転用の許可か届出で農地以外にできる見込みが立つ土地で、竹や残土が入ったままでも撤去と処分の費用が土地の値に収まる範囲であればお引き受けします。農用地区域内の農地は当社名義に移す許可が下りないため、価格を下げてもお引き受けできません。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(12章)
先に相続した家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。
約1分で簡単査定を申し込むこの先は当社の買取窓口「買取くん」です。
農地を 相続しても、 売れる 相手は 農地法の 許可で 絞られる

不動産会社に電話をして、田や畑ですと伝えた時点で話が止まった。そういう順番でご相談をいただくことがあります。止まっているのは価格の交渉ではなく、名義を動かす手続きそのものが許可制になっているところです。
農地のまま売る場合は3条許可、農地以外にする場合は転用の許可が必要になる
農地の売買に必要な許可の違い
| 観点 | 農地を売買で取得 | 農地を相続で取得 |
|---|---|---|
| 必要な手続き | 農地法第3条の許可 | 農地法第3条の3の届出 |
| 要件の審査 | 買主が耕す見込みを示せるか審査される | 許可の審査は要らない |
| 期限 | 契約後、所有権を移す前 | 取得を知った時からおおむね10か月以内 |
| 手続きをしないと | 権利の移動が効力を生じない | 10万円以下の過料の対象になる |
農地の 売買は、 買う 側の 要件で 許可が 決まる
農地法第3条は、農地の所有権を移すときや賃借権を設定するときに、農業委員会の許可を受けることを求めています。許可を受けないでした権利の移動は、効力を生じません(農地法(e-Gov法令検索))。許可が下りるかどうかを分けるのは、売主の事情ではなく買主の側の事情です。取得したあとに農地のすべてを効率的に利用すること、年間150日以上が目安とされる農作業に常時従事すること、周辺の農地の利用に支障を生じさせないこと。この3つが求められます。2023年4月1日には地域ごとに50アールなどと定められていた下限面積の要件が廃止され、小さな一枚の畑でも許可の審査に乗るようになりました。ただし、農業をしない人が自分の名義で農地を持てるようになったわけではありません。買いたいという人が現れても、その人が耕す見込みを示せなければ許可は下りません。契約を結んでも、所有権は移らないという結果になります。
相続で 受け取る 分に 許可は 要らず、 代わりに 10か月の 届出が ある
相続で農地を取得する場合には3条の許可が要らず、代わりに農地法第3条の3が届出を求めています。権利を取得したことを知った時からおおむね10か月以内に、その農地のある市町村の農業委員会へ出します。届出を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。これは農業委員会の台帳に新しい所有者を載せるための手続きで、登記の名義を動かすものではありません。相続したこと自体に気づかないまま何年も過ぎている方が多いのですが、用紙は農業委員会の窓口で受け取れます。相続を証する書面を添えて出せば、手続きそのものは短時間で終わります。届出が済んでいると、あとで農業委員会にあっせんを頼むときの話も早く進みます。
名義が 亡くなった 方の ままだと、 どの 出口にも 進めない
登記の名義が被相続人のままだと、売る話も貸す話も、国に引き取ってもらう話も入口で止まります。名義を自分に移す期限は法律で決まっており、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。この義務が始まったのは2024年4月1日です。それより前に相続が起きていて取得を知っていた分も対象で、期限は2027年3月31日です。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。田や畑も、宅地とまったく同じように義務の対象です。相続が二代、三代と重なって当事者が増えている場合の順番は、「相続登記の義務化と過去の相続」の記事で期限の数え方を示しています。
相続した 農地が 売れないか どうかは、 農地区分と 現況の 2つで 分かれる
同じ集落の田でも、隣の一枚には買い手が付き、自分の一枚には値が付かないことがあります。違いは2つで、行政の地図の上でその農地がどの区分に置かれているか、そして現場がどこまで荒れているかです。前者は自分では動かせませんが、後者は費用をかければ動きます。
農地の区分(市街化区域・第3種・第2種・第1種と青地)ごとに、転用が許可されるかどうかが分かれる
農地区分と現況の確認ポイント
市街化区域の農地
農業委員会への届出で転用できるが、毎年の固定資産税は重い
第3種農地
駅の周辺や市街地の区域にあり、転用は原則として許可される
第2種農地
ほかに代わる土地がない場合に、転用が許可される
第1種農地・青地
転用は原則不許可。青地を外す手続きには半年から1年かかる
農用地区域内農地 ( 青地)と 第1種農地は、 転用が 原則と して 通らない
農業振興地域の整備に関する法律にもとづいて市町村が農用地区域を定めており、この区域に入っている農地が、現場で青地と呼ばれるものです。ここに入っている限り、住宅や資材置き場にするための転用は認められません。先に区域から外す手続き(農振除外)を通す必要があります。ただし受付は年に数回に限られ、代替できる土地がないことなどの要件も満たさなければなりません。判断が出るまで半年から1年ほどかかる自治体が珍しくありません。第1種農地は、おおむね10ヘクタール以上のまとまった農地や、土地改良事業が行われた農地など、生産力の高い農地で、こちらも転用は原則として不許可です。自分の農地がどこに入っているかは、市町村の農政担当の窓口で地図を見せてもらえば、その場で分かります。
第2種・第3種農地と 市街化区域の 農地には、 転用の 側に 出口が ある
第3種農地は駅の周辺や市街地の区域にある農地で、転用は原則として許可されます。第2種農地は、鉄道の駅からおおむね500メートル以内といった今後の市街地化が見込まれる区域にある農地や、おおむね10ヘクタール未満で生産力が中くらいの小集団の農地が当たります。転用の計画を周辺のほかの土地では実現できないと認められる場合に限って、許可されます。市街化区域の中にある農地はさらに扱いが軽くなり、許可ではなく農業委員会への届出で転用できるため、宅地を求める買い手と話を進められます。ただし市街化区域の農地は固定資産税が宅地並みの評価になるため、持ち続けるあいだの負担は青地の農地よりはるかに重くなります。売れる可能性が高い農地ほど、毎年の税が高いという関係です。区分を確かめた時点で、待つ意味があるかどうかも一緒に考えることになります。
区分に 恵まれていても、 現況が 荒れていれば値は 付かない
耕作をやめて十年が経つと畑は雑木と竹に覆われ、田は水路が詰まって湿地のようになります。抜根と伐採、残土や廃材の撤去、用排水の復旧はいずれも買主の負担で、その費用の分だけ価格から引かれます。費用が土地の値を上回れば、値が付かないという結論になります。軽トラックが入る幅の農道に接しているか、重機を入れられるか、隣接の耕作者が使っている水路と干渉しないかは、現地に立てば数分で分かる範囲です。区分と現況の両方が悪い農地は、売却より先に、遊休農地としての課税と勧告に直面します。
青地や第1種農地は原則不許可だが、第2種や第3種、市街化区域は許可や届出で転用できる
農地区分による転用の可否
| 農地区分 | 転用の可否 | 手続き・条件 |
|---|---|---|
| 農用地区域内(青地) | 原則不可 | 農振除外が必要(半年〜1年) |
| 第1種農地 | 原則不許可 | 10ha以上のまとまった農地など |
| 第2種農地 | 条件付きで許可 | ほかに代わる土地がない場合 |
| 第3種農地 | 原則許可 | 駅周辺や市街地の区域 |
| 市街化区域 | 届出で可能 | 固定資産税は宅地並みになる |
「相続した農地が売れないかどうかは、農地区分と現況の2つで分かれる」について、そのまま聞けます。
どこで 話が 止まっているか、 5つの 場所に 分けて 見る

同じ「売れない」でも止まっている場所は5つに分かれ、どこで止まっているかによって、次に当たる相手も、かける費用も変わります。
買い手の要件や区域の制限、価格の不一致など、話が止まる原因は複数ある
売却の話が止まる主な場所
買い手の要件
効率的な利用と常時従事の見込みがなければ許可は下りない
遠方からの通い
週末だけ通う前提では説明が苦しく、審査を通すのが難しい
契約の順序
手付金でもめないよう、農業委員会に許可の見込みを先に確かめる
1. 許可で 止まる :買い手が 3条の 要件を 満たさない
田舎の土地を安く買いたいという人や、家庭菜園をしたいという人からの引き合いはあります。ただ、その人が耕作の計画を示せなければ、農業委員会の許可は下りません。下限面積の要件が廃止されて小さな畑を取得する道は広がりましたが、効率的に利用することと常時従事することの要件は残っています。遠方に住んで週末だけ通う前提では、説明が苦しくなります。契約書を交わしても許可が下りなければ所有権は移らず、手付金の扱いでもめることがあります。売買の話は、許可の見込みを農業委員会に確かめてから進めるのが順序です。
2. 区域で 止まる :転用の 許可が 下りない
買い手が農業をしない人であれば、転用の許可(農地法第5条)を取ったうえで所有権を移すことになります。農用地区域内や第1種農地では、この許可が原則として下りません。青地を外す手続きから始める場合、除外の判断に半年から1年かかり、そのあとに転用の許可の審査が続くため、買い手が待ちきれずに話が消えることがあります。市街化区域の農地であれば、届出で足ります。同じ地域でも、線引きの内か外かで売れる速さがまったく違ってきます。
3. 値段で 止まる :農地の 価格は 宅地の 相場と 連動しない
農地の値は、そこで作れる作物の収益と、周りの耕作者が広げたいと思うかどうかで決まります。同じ市内の宅地の坪単価とは、別の世界にあります。田畑の取引は、件数そのものが少ないです。不動産情報ライブラリ(国土交通省)で周辺の取引を見ても、宅地の事例しか出てこないことが多いです。目安としては、農業委員会が公表している地域の農地の売買価格の方が実態に近くなり、地元の土地改良区で聞ける水準も参考になります。相続税の評価額を売値の目安にすると、実際の話し合いで折り合わないことがあります。
4. 現況で 止まる :機械が 入れない、 水が 来ない
耕す人の立場では、大型の機械が入れない一枚は、面積が広くても買う理由になりません。進入できる幅がない、隣の田より一段低くて水が抜けない、法面が崩れている。こうした条件は、耕作者が真っ先に見るところです。復旧にいくらかかるかを先に見積もっておくと価格の話が具体的になり、値を下げるのか費用をかけるのかを自分で選べるようになります。
5. 名義で 止まる :相続登記と 農地台帳が 古いまま
祖父の名義のままで、相続人が十人を超えているという農地は珍しくありません。誰が引き継ぐかを決めないうちは農業委員会への届出も登記も進まず、買い手が現れても契約の相手方が決まりません。当事者が増えてしまった農地をどう順序立てるかは、「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事で扱っています。戸籍の収集だけで、数か月かかることがあります。売り先を探すのと並行して始めておく方が、結果として早く終わります。
売れない 農地の 売却で 選べる 渡し方と、 決済までの 日数

渡し方は3つあり、農地のまま耕す人に渡す、転用して農地以外にしてから渡す、母屋と畑をひとまとめにして渡す、のいずれかです。どれを選べるかは自分の希望ではなく区分で決まります。選べる側に立っているかどうかで、探す相手も契約の形も変わります。渡し方の見当が付いたら、最後に決済までの日数を見積もるところまでを、この節で順に置きます。
農地のまま売る場合は耕す人に限り、転用して売る場合は買主が許可を申請する
農地を売却する2つの方法
| 観点 | 農地のまま売る | 転用して売る |
|---|---|---|
| 買い手 | 近隣の農家など、3条許可を取れる人 | その土地を使う人 |
| 必要な手続き | 農地法第3条の許可 | 農地法第5条の許可または届出 |
| 手続きの申請者 | 買主 | 買主 |
| 契約の形 | 通常の売買契約 | 許可が下りることを停止条件にした契約 |
| 決済までの期間 | 許可が下りてから | 届出なら数週間、許可なら2か月前後 |
1. 農地の まま 売る :買い手は 耕す人に 限られる
農地のまま売る場合、買主は3条の許可を取れる人に限られ、現に耕している近隣の農家、認定農業者、農業法人などが相手になります。市町村は、農業経営基盤強化促進法にもとづいて地域計画を定めています。この計画では、区域の農地を将来だれが耕す見込みかが地図で整理されています。農業委員会で見せてもらうと、声をかける相手の見当が付きます。農業委員会には農地のあっせんの仕組みがあり、売りたい農地を登録しておくと、規模を広げたい人が現れたときに引き合わせてもらえます。農地中間管理機構(農地バンク)は、所有者から借り受けて担い手に貸すのが基本の仕組みです。機構が買い入れるのは、その農地を耕す担い手への貸付けや売渡しの見込みが立っている場合で、都道府県が定めた事業の範囲に限られます。買入れの対象を、担い手が集まっている区域の中にあることや一定の面積があることで絞っている機構が多く、買入れ自体を行っていない県もあります。自分の農地が対象に入るかどうかは、県の機構か市町村の農政担当に地番と面積を伝えて尋ねるのが早道です。対象から外れる場合は、まず貸すという選択肢として考える方が実態に合います。
2. 転用して 売る :許可を 申請するのは 買主で、 契約は 条件付きに なる
農地以外の用途にして売る場合、転用の許可(農地法第5条)を申請するのは、その土地を使う買主の側です。売主は許可が下りることを停止条件にした売買契約を結び、許可が出てから決済して所有権を移す形になります。市街化区域の農地は届出で足りるため、受理まで数週間で進みます。許可が要る区域では、農業委員会の総会が月に一度で、都道府県知事の判断も経ます。申請から許可まで、2か月前後を見ておく必要があります。造成や埋立てを伴う計画では買主が資金の裏づけを示せるかどうかも審査され、話がまとまってから止まることがあります。
3. 農地 付き 空き家と して、 家と 一緒に 売る
母屋の敷地に小さな畑が付いているという形であれば、別の道があります。空き家と農地をひとまとめにして、移住を考えている人に売る形です。下限面積の要件が廃止されて、数アールの畑でも買い手が3条の許可を取れるようになりました。市町村の空き家バンクに、この類型を載せているところも増えました。ただし許可の審査そのものは残るため、買い手が耕す計画を書けるかどうかが最後の関門になります。母屋が傷んでいる場合、解体して更地にすると畑だけが残って売りにくくなることがあるので、壊す前に組み合わせを考えた方が安全です。
4. どの 売り方でも、 決済までの 日数を 先に 見積もる
農地の売買は契約から決済までのあいだに行政の手続きが挟まる点で、宅地の取引と性格が違います。あっせんで相手が見つかってから3条の許可が下りるまで、所有権は動きません。転用であれば、届出の受理または5条の許可が出るまで動きません。買主が住宅ローンを使う場合は、許可の見込みと融資の審査が両方そろうまで決済日が決まらないため、こちらの都合で時期を指定しにくくなります。年内に手放したいといった期限があるなら、買い手が決まってから決済までに2、3か月かかる前提で逆算します。相続登記がまだ済んでいない場合は、戸籍の収集と登記に要する期間を、その手前にさらに足してください。
農地を 相続放棄すると どう なるか、 メリットと デメリットと 3か月の 期限
見るところは4つです。農地だけを外して放棄できないという制度の形、放棄したあとも手元に残る管理の義務、引き渡す相手を作るためにかかる予納金、そして農地以外の財産をどれだけ諦めることになるかです。そのうえで、3か月の期限から逆算した手順を最後に置きます。
1. 農地だけを 切り離して 放棄する ことは できない
相続放棄は、被相続人の財産をまとめて受け取らないという意思表示で、要らない農地だけを外して預貯金や自宅は受け取るという使い方はできません。放棄をすると初めから相続人でなかったことになり、次の順位の相続人に権利が移ります。兄弟姉妹や甥姪へ話が回って、そこで同じ相談が始まることもあります。期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。この期間のうちに判断できないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法があります。
農地を手放せる一方で、他の財産も失い、管理義務が残る場合がある
相続放棄のメリットとデメリット
| 相続放棄の要素 | 結果・必要なこと |
|---|---|
| 対象の財産 | 農地だけを外せず、預貯金や自宅も手放す |
| 判断の期限 | 知った時から3か月以内(伸長可) |
| 管理の義務 | 現に占有していたなら引き渡すまで残る |
| 全員が放棄した場合 | 相続財産清算人の選任申立てが必要 |
| 申立ての費用 | 数十万円から百万円単位の予納金 |
2. 放棄しても、 現に 占有していたなら 管理は 残る
2023年4月1日に施行された改正後の民法第940条に、放棄した人の義務が定められています。対象は、放棄の時にその財産を現に占有していた人です。相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務を負います。実家に住みながら裏の畑も見ていたという場合、放棄をしても義務からすぐには離れられません。引き渡す相手が現れるまでは、草木が道路にはみ出さないようにする程度の管理が残ります。どこまでが義務の範囲かは「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事に整理しています。
3. 引き渡す相手を 作るには、 相続財産清算人の 選任が 要る
相続人全員が放棄をすると、その農地を管理する人がいなくなります。手を離すには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てます。選ばれた清算人に引き渡すことで、管理から離れられます。ただし申立てには予納金が必要で、財産から報酬をまかなえない見込みの場合には、数十万円から百万円単位を求められることがあります。この金額は家庭裁判所が事案ごとに決めるもので、あらかじめ一律に決まってはいません(裁判所)。荒れた農地を手放すためにこの費用を出すかどうかが、放棄を選ぶ人の最後の判断になります。
4. メリットが 出るのは、 負債と 復旧費が 資産を 上回る とき
放棄が有利になるのは、被相続人に借入れがある場合です。擁壁の崩落や不法投棄の撤去のように、その土地に取りかかる費用が受け取る財産を上回る場合も同じです。逆に、預貯金や自宅など受け取るものがあるなら、慎重に考えます。農地の負担が年に数万円の固定資産税と草刈りにとどまるなら、放棄によって失うものの方が大きくなります。田舎の土地について放棄を考えるときの比べ方は「田舎の家は相続放棄できるか」の記事に書いています。
5. 相続放棄の 手順は、 3か 月から 逆算して 5つに 分かれる
工程は、次の5つです。
- 被相続人の財産と負債を洗い出す
- 被相続人の除籍謄本や申述人の戸籍などの書類を集める
- 相続放棄の申述書を、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出する
- 後日届く照会書に回答する
- 受理の通知を受け取る
書類の取り寄せには時間がかかるため、3か月の期限から逆算すると、動き始める時期は相続を知った月のうちになります。農地の名義を自分に移してしまうと、財産を処分したとみなされて放棄ができなくなることがあります。迷っている段階では、登記も届出も止めておく方が安全です。
3か月以内に家庭裁判所で手続きし、必要に応じて相続財産清算人を選任する
農地を相続放棄する手順
- 1
3か月以内に判断する
相続開始を知った時から3か月が期限。間に合わない時は伸長を申し立てる。
- 2
すべての財産を手放す
農地だけを切り離せず、預貯金や自宅もまとめて受け取らない意思表示になる。
- 3
次の順位へ権利が移る
初めから相続人でなくなり、兄弟姉妹や甥姪へ話が回る。
- 4
引き渡すまで管理する
現に占有していた場合、次の人か清算人に引き渡すまで保存の義務が残る。
- 5
清算人の選任を申し立てる
全員が放棄した場合、管理から離れるために予納金を納めて選任を求める。
農地を 相続して 農業を しない 場合の 課税と、 放置した ときに 起きる こと
固定資産税は農地の評価に抑えられていますが、耕作をやめた状態が続くと、農業委員会の調査から課税の扱いが変わる方向へ話が進みます。相続税の納税猶予を受けている農地では、売った時点で別の負担が出ます。売らずに貸す、使うという抱え方も、区分と初期費用のどちらかで行き止まりになりやすいところまで、順に見ます。
一般農地は税額が低いが、市街化区域内の農地は宅地並みの評価になる
農地の場所による固定資産税の違い
| 観点 | 一般農地 | 市街化区域の農地 |
|---|---|---|
| 評価の仕組み | 収益から評価する仕組みが働く | 宅地並みの評価になる |
| 固定資産税の目安 | 年に数千円から数万円にとどまることが多い | 一般農地と桁が変わる負担になる |
| 遊休農地で勧告を受けると | 農地向けの補正が外れ、おおむね1.8倍に | 宅地並み課税のため補正の対象外 |
1. 一般農地の 税は 低いが、 市街化区域では 宅地並みに なる
市街化区域の外にある一般の農地は収益から評価する仕組みが働くため、固定資産税は年に数千円から数万円にとどまることが多く、これが放置されやすい一因になっています。一方、市街化区域の中にある農地は宅地並みの評価になります。一般市街化区域農地では課税標準を3分の1にする調整が入りますが、負担は一般農地と桁が変わります。三大都市圏の特定市では、生産緑地の指定を受けていない農地に宅地並みの課税が行われています。自分の農地がどちらの扱いかは、毎年春に届く納税通知書の課税明細書で判別できます。地目と評価額と課税標準額を、並べて見てください。
2. 利用状況調査から 勧告に 進むと、 課税の 補正が 外れる
農業委員会は農地法にもとづいて毎年、区域内の農地の利用状況を調べます。耕作されていない農地の所有者には、今後どうするつもりかを尋ねる利用意向調査が届きます。回答をしない、または示した意向のとおりに進まない場合、農地中間管理機構と協議すべき旨の勧告に進みます。この勧告を受けた遊休農地は、固定資産税の評価に用いられている農地向けの補正が適用されなくなります。税額は、おおむね1.8倍になります。いま年1万円を納めている農地なら1万8,000円前後、年3万円なら5万4,000円前後という増え方で、額そのものは大きくありませんが、草刈りの外注費と足すと負担の性格が変わります。逆に、農地バンクへ一定の期間以上貸し付けた農地について、固定資産税を軽減する措置も設けられてきました(農林水産省)。適用の可否と期間は、市町村の税務担当で確かめてください。持ち続ける費用と手放す費用を並べる考え方は「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事の型がそのまま使えます。
3. 相続税の 納税猶予を 受けている 農地は、 売った 時点で 猶予が 終わる
親が農業を続けていて、相続のときに農地等についての相続税の納税猶予を受けた場合があります。この猶予は農業を継続することが前提で、猶予を受けた農地を売ったり転用したりすると、その時点で猶予が打ち切られます。猶予されていた税額に、利子税を加えた額を納めることになります。免除まで続けるには原則として終身の営農が必要ですが、一部の市街化区域内の農地に限って、20年の営農で免除される扱いがあります。自分が猶予を受けているかどうかは、相続税の申告書と、税務署へ提出している継続届出書で確認できます。売却を考える前に、税理士に当たるべき論点です。
4. 活用の 道は あるが、 区分と 初期費用で 行き止まりに なりやすい
市民農園として貸す、資材置き場にする、太陽光発電の設備を置く。いずれも農地を農地以外にする話で、市街化区域の外では転用の許可が要り、青地であれば除外から始めることになります。許可が下りる区分であっても、造成や電気工事の初期費用を賃料で回収するには年単位の時間がかかります。契約が終わったあとに、原状回復を求められることもあります。農業をしない人が農地を持ち続けたまま収益を得る道は条件がそろう場所に限られるため、まず区分を調べるところから始めた方が回り道になりません。
利用状況調査から意向調査を経て勧告を受けると、固定資産税の補正が外れる
遊休農地が勧告を受けるまでの流れ
毎年
利用状況調査
農業委員会が区域内の農地の利用状況を調べる
耕作されていない時
利用意向調査が届く
今後どうするつもりかを尋ねる調査が届く
回答しない・進まない時
協議すべき旨の勧告
農地中間管理機構と協議すべき旨の勧告に進む
勧告を受けた後
固定資産税の補正除外
農地向けの補正が外れ、税額がおおむね1.8倍になる
「農地を相続して農業をしない場合の課税と、放置したときに起きること」について、そのまま聞けます。
相続した 農地の 名義と 区分を 確かめる 6つの 手順

登記事項証明書や課税明細書を確認し、農業委員会や市町村の窓口で区分を調べる
名義と区分を確かめる手順
- 1
登記で地目と名義を見る
法務局で証明書を取り、地目が農地か、古い抵当権や名義が残っていないか探す。
- 2
課税明細で現況を見る
納税通知書の明細で、現況地目が雑種地になっていないか確かめる。
- 3
台帳で登録内容を見る
農業委員会で、面積や耕作者、遊休農地として扱われているかを見る。
- 4
窓口で青地か確かめる
市町村の農政担当で地図を見せてもらい、農用地区域に入っているか判別する。
確かめる順番は、登記事項証明書、課税明細書、農地台帳、農用地区域の確認、相続登記と届出、現地の6つです。
1. 登記事項証明書で、 地目と 名義を 確かめる
法務局で登記事項証明書を取り、地目が田か畑か、名義が誰になっているかを見ます。地目が農地であれば、実際に耕していなくても農地法の対象として扱われるのが原則です。抵当権が古い農協名義のまま残っていることもあり、返済が終わっていても抹消の登記をしていなければ、売却の前に片付けることになります。一筆だけのつもりが、隣の水路や畦が別の地番として名義に入っていることもあります。同じ大字の名寄せも一緒に取っておくと、漏れがありません。
2. 固定資産税の 課税明細書で、 現況地目と 評価額を 見る
納税通知書に付いてくる課税明細書には、地番ごとに登記地目と現況地目、評価額、課税標準額が並んでいます。登記が畑でも、現況が雑種地として課税されている場合があります。これは市町村が農地として見ていないということで、非農地としての証明を農業委員会で受けられる可能性があります。評価額は売買の値とは別のものですが、持ち続けた場合に毎年いくら出ていくかを数えるには、この紙が一番早い資料になります。
3. 農地台帳と 農地の 地図で、 農業委員会の 登録内容を 見る
農業委員会は農地台帳を備えており、地番ごとの面積、耕作者、遊休農地かどうかの区分が管理されています。窓口で自分の農地の登録内容を見せてもらってください。耕作者が亡くなった親のままになっている、遊休農地として記録されている、といった状態が分かります。インターネット上でも、農地の地図と台帳の一部が公開されています。周辺のどこが貸し借りの対象になっているかを見ておくと、あとで声をかける相手の見当が付きます。
4. 市町村の 農政担当で、 農用地区 域か どうかを 確かめる
青地かどうかは、登記事項証明書には出てきません。市町村の農政担当の窓口で地番を伝えると、農業振興地域の農用地区域に入っているかどうかを地図で示してもらえます。証明書の形で出してもらえる自治体もあります。ここで青地だと分かれば転用を前提にした買い手を探す意味は薄くなり、耕作者と農地バンクの側に的を絞ることになります。あわせて、市街化区域かどうかという都市計画の線引きも、都市計画の担当課で確かめておきます。
5. 相続登記と 農地法第3条の 3の 届出を、 期限から 逆算して 出す
登記の名義を自分に移す手続きと、農業委員会への届出は別の窓口で、どちらにも期限があります。相続登記は取得を知った日から3年以内、農業委員会への届出は知った時からおおむね10か月以内です。遺産分割の協議がまとまらない場合には、まず相続人申告登記を行っておくという方法が用意されています(法務省)。戸籍の収集を司法書士に頼むと、相続人の数と本籍地の数によって費用が変わります。見積りの段階で通数を伝えると、金額が固まります。
6. 現地で、 農道の 幅と 水路と 堆積物を 見る
書類がそろったら、一度は現地に立ちます。軽トラックや重機が入る幅の農道に接しているか、用排水路に水が来ているか、竹が入り込んでいないか。他人が置いた残土や廃材が積まれていないかも、写真に撮って残しておきます。遠方にお住まいで行けない場合は、隣で耕している方に様子を聞く方法や、市町村のシルバー人材センターに草刈りを頼んだついでに写真を送ってもらう方法があります。この情報がないと、あっせんに出しても買取に出しても、金額の話が先に進みません。
売れない 農地の 売り先を 当たる 順番
隣接の耕作者から始め、農業委員会のあっせんや転用前提の買い手、国庫帰属へと進む
売れない農地の売り先を探す順番
- 1
隣の耕作者に当たる
機械の移動が要らず価値が最も高い。無償や貸す形なら受けてもらえることもある。
- 2
委員会とバンクに登録
規模を広げたい人との引き合わせや、担い手への転貸を待つ。並行して進める。
- 3
転用前提の買い手を探す
第3種や市街化区域なら、住宅や資材置き場を探す事業者を相手にする。
- 4
国庫帰属と買取を並べる
どれも当たらない時は、相続土地国庫帰属制度の申請と業者への買取を検討する。
当たる順番は、隣で耕している人と地域の担い手、農業委員会のあっせんと農地バンク、転用を前提にする買い手、最後に国庫帰属と買取です。
1. 隣で 耕している 人と、 地域の 担い 手に 当たる
いちばん高く買う可能性があるのは、その農地に接して耕している人です。機械の移動が要らずひと続きにできるため、離れた土地を買う人より価値が高くなります。面識がなければ、農業委員や地元の農協の支店を通して話を通すと角が立ちません。値が付かないと言われた場合でも、無償で耕してもらう、あるいは貸すという形なら受けてもらえることがあり、荒らさずに済むという一点では、放置よりはるかに軽い負担です。
2. 農業委員会の あっせんと 農地バンクに 登録する
売りたい農地は農業委員会に登録でき、規模を広げたい人が現れたときに引き合わせてもらえます。農地バンクは借り受けて担い手に転貸する仕組みで、まとまった面積で借り手が見込める区域では、機構を通した貸付けが決まることがあります。登録は無料で、決まらなかったからといって次の手段が閉じるわけではありません。ほかを当たりながら、並行して出しておくのが実務的です。登録の際には、面積、水利、農道の接し方、直近の耕作年を聞かれます。
3. 転用の 見込みが 立つなら、 転用を 前提に する 買い手に 当たる
第3種農地や市街化区域の農地であれば、住宅や店舗、資材置き場を探している事業者が相手になります。この場合の契約は転用の許可または届出の受理を条件とする形が通常で、買主が計画と資金を示せるかどうかで成否が決まります。宅地としての相場が近い区域では、農地としての値より高くなることがあります。一方で、造成費や上下水道の引き込み費用が差し引かれます。近隣の宅地の坪単価をそのまま当てはめると、話が合いません。
4. どれも 当たらない ときは、 国庫帰属と 買取を 並べる
耕す人が見つからず転用の見込みもない農地については、相続土地国庫帰属制度の申請と、業者への買取の2つが残ります。国庫帰属は、審査手数料が土地一筆あたり14,000円、承認されたときの負担金は原則20万円です。ただし市街化区域や農用地区域内の農地などは面積に応じて算定されるため、20万円を超えることがあります。建物が建っている土地、担保権が設定されている土地、土壌が汚染されている土地は申請しても通りません。除去が必要な工作物や樹木がある土地も同じです。却下と不承認の境目については「相続土地国庫帰属制度は使えないのか」の記事に事由ごとの中身を書いています。
農地の 売却に かかる 費用と 税金を 先に 置く

印紙代や登記費用のほか、伐採や残置物処分などの現況にかかる費用がある
農地の売却にかかる主な費用
登記と印紙の費用
契約書の印紙代や、相続・住所変更・抵当権抹消の登記にかかる
書類の準備費用
行政書士への報酬は原則買主負担だが、図面等の用意で生じる
現況を整える費用
伐採や抜根、廃材の処分、境界杭の設置など。話し合いで決まる
売る側にかかるのは手続きと現況の費用、それに譲渡所得の税で、農地には税の特例が用意されています。
1. 売る 側に かかる 費用は、 手続きと 現況の 2種類に 分かれる
手続きの側では売買契約書に貼る印紙代がかかり、抵当権が残っていればその抹消登記の費用、住所が変わっていれば住所変更登記の費用、相続した物件では相続登記の費用が加わります。転用の許可や届出の書類作成を行政書士に頼む場合の報酬は、原則として申請者である買主の負担です。ただし売主が用意する図面や同意書の取りまとめに、費用がかかることがあります。現況の側では、伐採と抜根、残土や廃材の処分、境目を示す杭の設置があります。どちらの負担になるかは、買い手との話し合いで決まります。当社に売る場合にご負担いただく費用は、一般には印紙代、抵当権の抹消登記の費用、住所変更登記の費用、相続した物件では相続登記の費用です。ご負担いただく費用は、個別のご案件によります。
2. 譲渡所得の 税と、 農地に 用意されている 特例
売却益には譲渡所得として所得税と住民税がかかり、所有期間が5年を超える長期であれば20.315パーセント、5年以下の短期であれば39.63パーセントが基本の税率です。相続した農地は被相続人の取得の日を引き継ぐので、通常は長期の側になります。買ったときの資料が残っていない場合、売った金額の5パーセントを取得費とみなす扱いがあります。その分だけ、課税される利益が大きくなります。農地には、譲渡所得の特例も用意されています。主なものの一つは、農用地区域内の農地を農業委員会のあっせんなどによって譲渡した場合の800万円の控除です。ただし、譲渡の相手方や手続きに要件があります。適用の可否は、国税庁の資料と税理士で確かめてください(国税庁)。相続税を納めている場合の取得費加算については「相続した家の売却の税金」の記事で計算の順序を示しています。
3. 持ち続けた 場合の 年あたりの 費用と 並べる
出ていく費用を数えるときは、固定資産税だけでは足りません。草刈りを外注した場合の1回あたりの費用と回数、遠方からの往復の交通費、水利費や土地改良区の賦課金を足します。年に2回の草刈りを頼むと、面積と傾斜によっては税額を上回る年が出てきます。ここに、勧告を受けたときに増える分と、将来の相続でもう一度同じ話が起きることも、忘れずに数えます。そのうえで、いま手放す場合の手取りと比べると、判断の材料がそろいます。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額は、税務署または税理士にご確認ください。登記は司法書士、境界や隣地との権利関係は弁護士や土地家屋調査士が専門で、当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
「農地の売却にかかる費用と税金を先に置く」について、そのまま聞けます。
農地を 相続した 方から 当社が 買い取る 場合と、 買い 取れない 農地
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「農地を相続した方から当社が買い取る場合と、買い取れない農地」について、そのまま聞けます。
相続した 農地が 売れない ときに、 先に 決める 3つ
- 自分の農地がどの区分に入っているかを、市町村の窓口で先に確かめます。 農用地区域(青地)や第1種農地なら、転用の買い手を探しても時間が過ぎるだけなので、耕す人と農地バンクの側に的を絞ることになります。第3種農地や市街化区域の農地であれば、転用を前提にした買い手が相手になります。
- 登記の名義と農業委員会への届出を、期限から逆算して片付けます。 相続登記は取得を知った日から3年以内、農業委員会への届出は知った時からおおむね10か月以内で、どちらも怠れば10万円以下の過料の対象です。名義が動いていないあいだは、売る話も貸す話も止まったままになります。
- 耕さずに置く場合の年あたりの負担を、数字にして並べます。 固定資産税に草刈りの外注費と交通費を足し、勧告を受けた遊休農地では、農地向けの補正が外れて増える分も足します。そのうえで、いま手放したときの手取りと比べます。
当社が買えるのは転用の見込みが立つ農地に限られ、青地の農地はお引き受けできません。青地の場合に先に当たる相手は、農業委員会のあっせんと農地バンクです。地番と面積、直近の耕作年、農道の幅が分かれば、価格の話に入れる土地かどうかの見当が付きます。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
農地を 相続して 売れない ことに ついて、 よく ある 質問
Q1. 農業を したことがなくても、 農地を 相続できますか
農業の経験がなくても、相続人であれば農地の所有者になります。相続による取得には農地法第3条の許可が要らないため、耕す予定がない方でも名義は自分に移ります。そのかわり、取得を知った時からおおむね10か月以内に農業委員会へ届け出る義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象になります。 持てることと売れることは別の話で、売る段になって初めて、許可の壁に当たるという順序になります。
Q2. 相続した 農地を、 農業を していない 知人に 売れますか
農地のままでは売れません。所有権を移すには買主の側が3条の許可を取る必要があり、耕作の計画と常時従事の見込みを示せない人には許可が下りません。転用の許可が下りる区分であれば、農地以外にする前提で売る道があります。 第3種農地や市街化区域の農地に当たるかどうかを、市町村の農政担当と都市計画の担当で先に確かめてください。
Q3. 耕作を やめたままだと、 固定資産税は 上がりますか
農業委員会の利用状況調査と利用意向調査を経て、農地中間管理機構と協議すべき旨の勧告を受けた場合に上がります。勧告を受けた遊休農地は、固定資産税の評価に用いられている農地向けの補正が外れ、税額はおおむね1.8倍になります。調査の書面が届いた段階では税額は動いていないので、意向の回答を出すかどうかがひとつの分かれ目です。 実際の金額は市町村が計算するので、課税明細書と担当課の窓口で確かめてください。
Q4. 相続放棄を すれば、 農地の 管理から 完全に 離れられますか
離れられるのは、次の相続人か相続財産清算人に引き渡した時点です。改正後の民法第940条により、放棄の時にその農地を現に占有していた人には、引き渡すまで保存の義務が残ります。相続人全員が放棄した場合、清算人の選任を申し立てるには予納金が必要で、数十万円から百万円単位を求められることがあります。 預貯金や自宅も受け取れなくなるため、農地だけを外す手段にはなりません。
Q5. 相続土地国庫帰属制度で、 農地は 引き取って もらえますか
農地であることだけを理由に断られる制度ではなく、申請の対象になります。審査手数料は土地一筆あたり14,000円、承認されたときの負担金は原則20万円です。市街化区域内や農用地区域内の農地などは面積に応じて算定されるため、20万円を超えることがあります。建物がある土地、担保権が設定されている土地、除去が必要な工作物や樹木がある土地は通りません。 竹や雑木が繁っている農地は、申請の前に伐採の費用が出ていきます。
Q6. 売らずに、 耕作だけ 誰かに 頼むことは できますか
耕作を頼むこと自体はできます。ただし貸すことも権利の移動にあたるため、農業委員会の許可を受けるか、農地中間管理機構を通した貸付けの仕組みを使うことになります。貸しても所有者は自分のままなので、固定資産税の負担と、将来もう一度相続が起きるという課題は残ります。 一方で、荒れる前に耕作者に渡しておくと復旧の費用が積み上がらず、あとで売る場合の価格も下がりにくくなります。
当社の 見方
相続手続きの手間としては、物件が未登記である場合、相続時に法的に所有権を証明するのが難しくなることがあります。
特に将来相続人が増えると、権利関係が複雑化しやすく、場合によっては相続登記が遅れ、他の相続人とのトラブルが生じる可能性も考えられます。
売却時には登記が入っていないことで、買主が融資利用できないことも想定できるので、登記は今のうちから入れておいた方が良いかと思います。
また、売却を考える際にも未登記物件は買い手に不安を与える要素となり、売却価格が下がったり、売却そのものが難航したりする可能性が高いです。
登記には費用がかかりますが、将来的なトラブルを避けるためにはとても重要です。
市街化調整区域については、行政によってそれぞれルールが異なります。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:農地法出典:国土交通省、裁判所、農林水産省、法務省、国税庁
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(6件・に確認)
更新履歴
- 第1版公開
相続の記事
近いテーマの記事
このテーマの全体像
あわせて読む
未登記建物を相続したら何をするか|登記と売却の手順
家の名義変更の必要書類|相続・贈与・売買・離婚別の取り方
遠方の実家を行かずに売却する方法|郵送と委任で完結する手順
茨城県の別荘は「あげます」で手放せる?無償譲渡と買取の手順
栃木県の別荘は「あげます」で手放せる?110万円の贈与税と買取
「買取くん」の口コミを調べている方へ|読み方と入金までの流れ
成年後見の不動産売却に許可が必要な範囲|居住用の判断
香川県の別荘は「あげます」で手放せる?島と市街の分かれ目
別荘あげますは長野県でも可能?無償譲渡の手順と費用
沖縄県の別荘をあげますで譲れる?贈与税110万円と離島の注意
鳥取県の別荘は「あげます」で手放せる?贈与と国庫帰属・買取



















