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空き家

がけ条例の土地が売れない理由|擁壁のやり直し費用

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
がけ条例の土地が売れない理由|擁壁のやり直し費用

「がけ条例がかかる土地だと言われてから、売り出しても問い合わせが入らないまま持ち続けている」。買い手が離れる原因は、がけの高さと敷地の位置から決まる建築の条件が、設計と調査を経るまで確定しないことにあります。擁壁を造り直すのか、構造で持たせるのか、離して建てるのかで工事費の桁が変わります。

擁壁が古いままの土地も現況で買い取りますが、価格は平らな土地の相場からやり直し工事の見積り分を引いた額になり、工事の範囲が読めない土地はお断りすることもあります。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(12章)

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がけ条例の土地が売れない理由の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

がけ条例がかかる土地が売れない理由は、建築の条件が先に決まらないこと

売れない直接の原因は、がけの高さと建物の位置で建築の条件が決まる仕組みにあり、買い手がかかる費用をその場で計算できないことです。同じようにがけ条例がかかる土地と呼ばれていても、中身は一つではありません。がけの上に建てるのか下に建てるのか、既存の擁壁が今の基準で造られているのかどうか。この二つで、要る工事も金額もまったく別のものになります。

がけ条例の根拠と自治体の違い

  • 根拠となる法律

    建築基準法第40条が安全制限の根拠となる

  • 条例の正式名称

    自治体ごとに異なりがけ条例という名はない

  • 適用される範囲

    同じ高さのがけでも自治体により有無が変わる

  • 相談する窓口

    市区町村の建築指導課や県の土木事務所など

がけ条例という名前の法律はなく、根拠は建築基準法第40条にある

条文を探しても「がけ条例」という法律は出てきません。建築基準法第40条は、地方公共団体が条例で建築物の敷地や構造について安全のための制限を付け加えられると定めています(建築基準法(e-Gov法令検索))。これを受けて、各都道府県や政令市が建築基準法施行条例や建築安全条例のなかにがけの規定を置いています。通称としてがけ条例と呼ばれているのはこの部分で、正式な名称は自治体ごとに違います。

このつくりのせいで、建築の条件は、その土地がある自治体の条文を読まないと確定しません。同じ高さ、同じ傾きのがけでも、県境をまたげば適用の有無が変わることがあります。県の条例と市の条例の両方を見る地域もあります。自治体によっては、条例の適用範囲を断面図で解説した手引きや、相談の様式を配布しています。売り出す前にその手引きを1部手に入れておけば、買い手から同じ質問が来るたびに、役所へ問い合わせずに済みます。

窓口は市区町村の建築指導課や建築審査課に置かれていることが多く、建築確認を県の土木事務所が扱う地域では、そちらになります。固定資産税の担当課や不動産会社が正本を持っているわけではありません。最初の1本目の電話は、この課にかけてください。

高さ2メートルを超えるがけと、がけの高さの2倍の距離が典型の線

多くの自治体が採っている形は、高さ2メートルを超えるがけの近くに建てる場合に制限をかけるというものです。東京都の場合は、建築安全条例第6条にこの規定が置かれています。対象になるのは、高さが2メートルを超えるがけの下端から、そのがけの高さの2倍以内の水平距離に建築物を建てる場合です。このとき原則として求められるのは、高さ2メートルを超える擁壁を設けることです。

ここには2メートルという数字が二度出てきますが、指すものは別です。一つ目は、制限がかかるかどうかを決めるがけの高さの線。二つ目は、制限がかかったときに設けることを求められる擁壁の高さです。がけが3メートルなら、制限の及ぶ範囲は下端から水平に6メートルまでで、その内側に建てるなら高さ2メートルを超える擁壁が要る、という読み方になります。

ただし、同じ条にはただし書きが置かれています。がけの形状や土質から安全上支障がないと認められる場合や、建築物の位置と構造で安全が確保される場合など、擁壁を設けずに済む道も残されています。この「高さ2メートル」と「2倍の水平距離」という二つの数字が、多くの自治体で共通する骨格になっています。

ただし、細部は自治体で分かれます。がけとみなす勾配を30度とするか35度とするか、高さの起点を擁壁の天端に取るか地盤面に取るか、擁壁の高さを2メートルとするか別の値とするか、といった点です。買い手側の設計者が別の地域の感覚で判断すると後から話が食い違うので、売主として押さえておくのは、自分の土地に適用される条文の番号と、そこに書かれた数字の二つで足ります。

がけの高さは、どこからどこまでを測るかで変わる

現地で巻尺を当てただけの高さと、条例上の高さは一致しないことがあります。擁壁の上に盛土がされていれば、その盛土の上端までを1つのがけとして見る運用があります。途中に平らな部分(小段)を挟んだ二段のがけを、小段の幅によっては全体で1つのがけとして扱う自治体もあります。逆に、小段が十分に広ければ上下を別々のがけとして数えられ、それぞれが2メートル以下に収まって条例の対象から外れる場合もあります。

この測り方の違いは、そのまま価格の違いになります。高さ2メートルの擁壁が小段を挟んで二段に積まれている土地を例にとると、全体で1つのがけと見られれば、高さ4メートルのがけとして擁壁のやり直しを見積もることになります。上下を別々に数えられれば、見積もる対象は2メートルの擁壁が二段分で、工事の規模も金額も別のものになります。窓口で確かめる価値があるのはこの一点です。持って行く最低限は、公図と、がけの全体・擁壁の足元・上端から下を見た3枚の写真で、測量図や登記事項証明書は手元にあれば添えます。高さの起点の話は、図面があるほうが早く進みます。

がけと敷地の位置関係3類型

観点がけ上の敷地がけ下の敷地
求められること建物の荷重ががけの安定に影響しないこと崩れてきたものから建物の中の人を守ること
費用の決まり方基礎の位置と支持地盤で決まる擁壁を造るか建物の構造で守るかで決まる

がけ条例がかかる土地で、売る前に確かめる位置関係と書類

家族が二人で話し合っている(役所の待合席で)

確かめるのは3点です。がけに対して敷地がどこにあるか、がけの高さがいくつか、既存の擁壁がいつ何の手続で造られたか。どれが欠けているかで買い手に渡せる情報の量が変わり、値段の交渉の進み方も、そこで変わります。

売る前に確かめる3つの情報

敷地の位置求められる条件費用の調整や立場
がけ下崩れてきたものから中の人を守ること擁壁を造るか建物の構造で守るかの費用
がけを含む上記の両方がけの管理を所有者として続ける立場

崖地(がけ地)とは、傾斜度30度以上の土地を指すことが多い

崖地という言葉は、法律と条例で少しずつ指す範囲が違います。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第2条は傾斜度が30度以上である土地を急傾斜地と定義しており、都市計画や防災の場面では、この30度が基準になります。建築基準法施行条例のがけの規定でも、勾配が30度を超えるものをがけとする自治体が多くあります。傾斜がそれより緩ければ、高さが2メートルを超えていても対象から外れることがあります。

自分の土地の傾斜は、高さを水平距離で割れば概算できます。高さ3メートルの斜面が水平方向に3メートルで下りきっていれば45度、6メートルかけて下りていれば約27度になります。27度であれば、条例のがけには当たらないと判断される可能性が出てきます。この概算が境目に近い数字になったときだけ、測量や地盤の調査にお金をかければ足ります。

敷地ががけ上か、がけ下か、がけを含むかで話が変わる

がけの上にある敷地は建物の荷重ががけの安定に影響しないことを求められ、がけの下にある敷地は崩れてきたものから建物の中の人を守ることを求められます。がけそのものが敷地の中にある土地は、この両方に加えて、がけの管理を所有者として続ける立場になります。売り出しの資料にこの3類型のどれかを書いておくだけで、問い合わせの質が変わります。

価格の下がり方も類型で違います。がけ下の敷地は擁壁を造るか建物の構造で守るかという費用の話に落ちるので、見積りが出れば金額で調整できます。がけを含む土地は買った人がその後も点検と補修を負うため、費用の見積り以上に、値が下がりやすくなります。

既存の擁壁が、いつ誰の申請で造られたかを調べる

擁壁は、造られた年代と手続で信頼度が分かれます。宅地の造成に伴って許可を受け、完了検査を通っている擁壁であれば書類が残っている可能性が高く、買い手の設計者もそのまま使える前提で計算できます。一方で、空石積み、大谷石、ブロックを積んだだけのもの、既存の擁壁の上に積み増したものは、現行の基準に適合していないと判断されることが多くなります。その場合は、造り直しの見積りが前提になります。

書類が見つからないときは、市区町村の開発や宅地の担当課に台帳が残っていないかを確かめます。過去の航空写真で、造成の時期をたどれることもあります。書類の不足が価格にどう響くかという構造は、建築時の書類が無い家の売却と同じで、「検査済証がない家の売却」の記事に整理しています。擁壁の場合は、書類が無くても目で見てわかる不具合があるかどうかが、次の分かれ目になります。

「がけ条例がかかる土地で、売る前に確かめる位置関係と書類」について、そのまま聞けます。

がけ条例の土地で検討が止まる4つの理由と、特に効く2つ

検討が止まる理由は次の4つで、並べた順がそのまま下の小見出し1〜4に対応します。このうち商談を実際に止めているのは、2番目の擁壁のやり直し費用と、3番目の住宅ローンの2つです。

  • 建てられる形と大きさが、設計と調査を経るまで決まらず、資金の計画を立てられないこと
  • 擁壁のやり直しが要る場合に、その工事費が土地そのものの値段に食い込んでしまうこと
  • 金融機関や保証会社の担保評価が下がり、融資の額や条件で折り合わないこと
  • 土砂災害警戒区域などの指定が重なると、説明を受けた買い手がそこで慎重になること

2番目の擁壁のやり直し費用は金額が読めないまま、3番目の住宅ローンは可否が読めないまま、話が止まります。4つのうちどれが効いているかは土地ごとに違いますが、効いている理由を1つ外すだけでも、検討できる買い手の数は戻ります。

検討が止まる主な理由

  • 建築の形と大きさ

    設計と調査を経ないと決まらず資金計画が立たない

  • 擁壁のやり直し費用

    工事費が土地の値段に食い込み金額が読めない

  • 住宅ローンの評価

    担保評価が下がり融資の額や条件で折り合わない

  • 区域の指定の重複

    警戒区域などの指定で買い手が慎重になる

1. 建てられる形と大きさが、設計しないと決まらない

平らな土地なら、面積と用途地域と道路の幅がわかれば、おおよその建てられる大きさが読めます。がけがある土地では、そこに条例の制限が重なります。がけから離して建てるなら有効に使える面積が削られ、擁壁を造り直すなら工事の期間が加わり、構造で持たせるなら建物側の費用が上がります。買い手は、この三つのうちどれになるかがわからないまま土地の値段を判断できません。

建築の可否が価格を決める物件には再建築不可の土地もありますが、そちらは接道という一点で可否が割り切れます。がけの場合は、費用をかければ建てられる道が残っていることが多い点が違います。可否で割り切れる物件の値の付き方は「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事で説明しています。がけの土地は、金額の問題として整理し直せる分、情報を揃えれば買い手が戻る余地があります。

2. 擁壁のやり直し費用が、土地の値段に食い込む

擁壁の工事費は、擁壁の本体だけで決まりません。工事の間に土が崩れないようにする仮設と土留め、既存の擁壁の解体と運び出し、掘削と残土の処分、本体と背面の排水、埋め戻しと復旧、構造計算と確認申請、許可の手続、工事中の仮の通路と隣家への対応という8つの費目が積み上がります。同じ高さの擁壁でも、重機が入る土地と、人力で材料を上げ下ろしする土地では金額が変わります。

この費用が土地の値段を上回ってしまう地域では、仲介で買い手を探しても価格が成立しません。平らな土地の相場が高い地域であれば工事費を引いてもまだ値が残り、その場合は工務店や不動産会社が買い手として現れます。自分の土地がどちらに当たるかは、平らな土地の相場と工事の見積りという2つの数字で判断できます。

先に手を打てる理由と残る理由

観点売主が先に手を打てるもの設計を経ないと動かないもの
該当する理由擁壁のやり直し費用、区域の指定建てられる形と大きさ、住宅ローン
売主ができる対策擁壁の書類や区域の資料を揃える買い手の設計と調査を待つ

3. 住宅ローンの担保評価が下がり、条件が付く

個人の買い手の多くは住宅ローンを使います。金融機関や保証会社は、担保としての価値を見るときに擁壁の状態や区域の指定を確認することがあります。融資の額を下げたり、擁壁の改修を融資の条件にしたりする場合もあります。売買契約を結んだ後に融資が下りず白紙解除で振り出しに戻ることもあり、この種類の土地では、その進み方が起こりやすくなります。

擁壁の状態や災害危険区域の指定が買主側の融資審査でどう見られるかは、「宮城県の空き家買取」の記事で、擁壁のある宅地と区域の指定がかかった宅地を例に書いています。取り上げている地域は宮城県ですが、擁壁の書類が残っているか、どの区域に入っているかを担保評価でどう扱うかは金融機関ごとの運用で、都県が変わっても見る点は同じです。傾斜のある土地では、擁壁の書類と区域の資料が揃っているかどうかで、同じ土地でも融資の額や条件が変わります。売主の側でできるのは、擁壁の書類と区域の資料を先に揃えて、買い手の金融機関が判断しやすい状態にしておくことです。

4. 区域の指定が重なると、説明を受けた買い手が慎重になる

土砂災害警戒区域や造成宅地防災区域の内外は、重要事項説明の対象です(宅地建物取引業法第35条)。仲介で売る場合、契約の前に買い手へ書面で告げられるため、その場で検討が止まることがあります。説明が入ること自体は避けられず、隠して進める道はありません。

後から出てきた情報は買い手にとって値引きの材料になるので、売り出しの最初から区域の名称と制限の中身を資料に書いておくほうが早く進みます。

がけ上とがけ下で、がけ条例が求めるものが分かれる

高低差のある住宅街の道路から、がけの上に建つ家々を見上げた

がけ下では落ちてくる土砂から建物の中を守ることが求められ、がけ上ではがけに余計な荷重をかけないことが求められます。どちらに当たるかで、費用が擁壁側に出るのか建物側に出るのかが分かれます。売主が先に工事をするべきかどうかの答えも、そこで変わります。

1. がけ下に建てる場合は、擁壁・構造・距離の3つの道がある

建築基準法第40条にもとづく条例の多くは、がけの下端から高さの2倍の水平距離の内側に建てるときに制限をかけます。この範囲に入る敷地では、安全な擁壁を設けるか、建物の構造をがけ側からの力に耐えるものにするか、制限の範囲の外へ建物を寄せるかの三択になります。

敷地に余裕があれば三つ目が最も安く済みますが、間口や奥行きが足りない土地では三つ目が消え、擁壁か構造かの二択になります。構造で対応する場合は、がけ側の壁を鉄筋コンクリートにするなどの方法が取られます。建物の設計が決まらないと費用が出ず、土地の売買の段階では金額を確定できません。売主として先に用意できるのは、敷地のどこまでが制限の範囲に入るのかを示した図面です。

がけ上とがけ下で分かれる費用

観点がけ下に建てる場合がけ上に建てる場合
建築の選択肢擁壁・構造・距離の三択一定の距離を取るか、基礎を深くする
費用が出る側擁壁側か建物側建物側(地盤調査や杭打ちなど)
売主が用意できるもの制限の範囲を示した図面過去の地盤調査の報告書

2. がけ上に建てる場合は、基礎の位置と支持地盤で決まる

がけの上の敷地では、建物の重さががけの安定に影響しないことが条件になります。がけの上端から一定の距離を取って建てるか、基礎を深くして安定した地盤に届かせるかのどちらかです。後者を選ぶなら地盤調査が前提になり、調査の結果によっては杭を打つことになって、その費用が建物側に乗ります。

がけ上の土地は見晴らしがよく日当たりも確保しやすい土地で、条件さえ示せれば、住宅用地として買い手が付きやすくなります。売却の場面で効くのは、過去の地盤調査の報告書が残っているかどうかです。残っていれば、買い手の設計者が調査からやり直さずに済み、検討の期間が短くなります。

3. 条例のただし書きに当たるかどうかで、費用が変わる

条例の本文には、たいていただし書きが付いています。がけの形状や土質から崩れるおそれがないと認められる場合、擁壁がすでに安全なものとして設けられている場合、建築物の位置や構造から安全上支障がないと認められる場合などです。このただし書きに当たると判断されれば、擁壁の造り直しが不要になり、費用の大半が消えます。

ただし、認められるためには根拠の書類が要ります。土質の調査結果、既存擁壁の構造図、構造計算書といったものを揃えたうえで、建築指導課と事前に協議する流れです。数十万円の調査費をかけて数百万円の擁壁工事が不要になることもあるので、売る前の一手として検討する価値があります。判断は自治体の運用に委ねられているので、相談の段階で担当者の氏名と日付を控えておいてください。

がけ条例に急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害特別警戒区域が重なる場合の規制

自宅の居間で、夫婦が向かい合って座り話し合っている

区域の指定が重なる土地では、がけ条例とは別に、工事そのものに知事の許可が要る場合があります。どの区域に入っているかで、許可が要る行為の範囲と、建物に求められる構造が変わります。

1. 急傾斜地崩壊危険区域では、工事に知事の許可が要る

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第2条は、傾斜度が30度以上の土地を急傾斜地と定義しています。崩壊により相当数の住宅などに危害が生ずるおそれのある区域は、急傾斜地崩壊危険区域として指定されます(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索))。指定の採択の基準は都道府県が運用として置いており、がけの高さが5メートル以上あること、保全される人家が一定の戸数以上あることなどです。

区域に指定されると同法第7条の許可が要り、切土や盛土、立木竹の伐採、水を放流する行為などが対象です。擁壁を造り直す工事が、この許可の対象に当たることがあります。許可が下りるかどうか、どんな条件が付くかがわからなければ買い手は工事費の見積りを立てられないので、売却の前に、砂防の担当課で同種の工事の前例を聞いておくと話が早くなります。

区域の指定と規制の内容

区域の種類対象となるもの規制の内容
急傾斜地崩壊危険区域切土・盛土・伐採・水放流・擁壁工事など知事の許可が要る
土砂災害特別警戒区域居室のある建築物土石などの力に耐える構造が求められる
土砂災害特別警戒区域住宅の分譲などの特定開発行為都道府県知事の許可が要る

2. 土砂災害特別警戒区域では、建築物の構造に規制がかかる

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律は、区域を二段階で指定します。土砂災害のおそれがある区域が警戒区域、建築物に損壊が生じ住民の生命に危害が生ずるおそれがある区域が特別警戒区域です。居室のある建築物には土石などの力に耐える構造が求められ、住宅の分譲などの特定開発行為には、都道府県知事の許可が要ります。

すでに建っている建物が、指定を受けたからといってすぐに建て替えを求められるわけではありません。売買の場面で効くのは、建て替えや新築で構造の費用が上乗せされる点と、買い手の金融機関がこの指定を見る点の二点です。警戒区域までであれば構造の規制はかからず、避難の情報の提供と重要事項説明が中心になります。手元の土地がどちらなのかは、区域の名称を1文字ずつ確かめてください。

3. 宅地造成及び特定盛土等規制法の規制区域が重なる場合

宅地造成及び特定盛土等規制法は、2023年5月26日に全面施行されました。以前の宅地造成等規制法を引き継ぎ、名称と対象を広げたものです。都道府県知事等が指定する宅地造成等工事規制区域の中では、一定の規模を超える切土や盛土に許可と検査が必要になります。擁壁を造り直す工事がこの法律でいう宅地造成に当たることもあり、その場合は許可の手続と完了検査を経るため、工期も費用も増えます。

逆に言えば、許可を取って検査を通した擁壁は、書類が残ります。次にその土地を売るとき、買い手の設計者と金融機関に示せる書類があり、これはそのまま価格に効きます。工事を売主が先にするかどうかを迷う場面では、この書類が手に入る点も天秤に入れてください。

4. 区域の指定は、砂防の担当課と市の窓口で照合する

区域の指定は、都道府県が公表している土砂災害警戒区域等のマップや、自治体のハザードマップで調べられます。ただし、地図の上で境界線の近くにある土地は図の縮尺では内外を判定できないので、地番を伝えて担当課に照合してもらうのが確実です。

照合を頼むときは、地番、公図の写し、現況の写真を用意します。電話だけでは特定できないことが多く、窓口へ出向くか、郵送や電子申請で図面を送る形になります。遠方に住んでいて動けない場合はその旨を伝えれば、書類のやり取りだけで回答をもらえる自治体もあります。

値段は、平らな土地の取引価格から工事費と期間の費用を引いて作る

崖地の売却価格に全国で通用する相場はなく、平らな土地の値段から、安全にするための工事費と、期間の費用を引いた額に落ち着きます。期間の費用とは、工事と申請が終わるまでの間に出ていく固定資産税、資金を寝かせる負担、設計と調査の実費のことです。引く金額が土地の値段を超えるかどうかが、値が付くか付かないかの境目になります。

1. 相場は「平らな土地の価格−工事費−期間の費用」で組み立てる

計算方法は引き算で組み立てます。まず、同じ町内で同じくらいの面積の平らな土地がいくらで取引されているかを調べます。次に擁壁のやり直しや構造の割増しにいくらかかるかを見積り、最後に、工事と申請にかかる期間の分の費用を引きます。買い手が事業者であれば、資金を寝かせる負担もここに入ります。

仮に、平らな土地としての価格が1,500万円だとします。擁壁のやり直しの見積りが600万円、設計と地盤調査と申請に100万円で、ここまで引くと800万円です。この800万円は、期間の費用を引く前の数字です。工事と手続に半年かかるなら、その間の固定資産税と、資金を寝かせる負担がここからさらに引かれます。半年分の目安は、固定資産税が数万円、買った資金を寝かせる負担が十数万円から数十万円で、合わせて数十万円が800万円から引かれる形になります。さらに、工事の途中で地中から古い基礎が出てくるような読めない部分が残り、買う側はその分も見込んで金額を下げます。つまり800万円は、工事を済ませて平らな土地に近い条件で仲介に出した場合の成約の上限側の想定で、現況のまま買い取る場合の価格は、期間の費用と読めない部分を引いた分だけ下がります。逆に、擁壁が現行の基準で造られていて書類も揃っていれば引き算の項目が消え、平らな土地との差は小さくなります。

売買価格と相続税評価額の違い

観点売買の価格相続税の評価額
計算の仕組み平らな土地の価格から費用を引くがけ地補正率を使って評価額を下げる
擁壁の工事費見積り額を差し引いて考慮する考慮されない(使えない面積の割合を見る)

2. 相続税評価のがけ地補正率は、売買の値段とは別物

国税庁の財産評価基本通達20-5(がけ地等を有する宅地の評価)に、がけ地補正率の表が置かれています。率は、がけ地部分が総地積に占める割合と、がけの方位の組み合わせで決まります。同じ割合でも南向きより北向きのほうが補正率は小さく、その分だけ評価額が下がります。相続税の申告では、この表を当てはめて評価額を計算します。

この補正率を売買の値段に当てはめると、実態と合わないことが多くなります。補正率は土地の面積のうちどれだけが使えないかという観点で作られていて、擁壁の造り直しにいくらかかるかは見ていません。相続税の評価額が下がっても、同じ割合で売れるわけではありません。逆に、評価額より安くしか売れないこともあります。評価と売買は別の物差しだと考えてください。

3. 周辺の取引価格から、引き算の出発点を決める

引き算の出発点になるのは、平らな土地の相場です。国土交通省の不動産情報ライブラリで、実際の取引価格を町名と面積の帯から調べられます。がけのある土地の取引は件数が少なくここに出てこないことがほとんどですが、同じ町の平地がいくらで動いているかがわかれば、引き算の枠は作れます。

出発点の金額と擁壁の見積りの2つが揃ってから仲介の会社に査定を依頼すると、話が具体的になります。査定額の出方が買取と仲介で違う理由は「空き家の査定」の記事に書いています。数字が揃う前に査定だけを取ると、条件が確定していないことを理由に幅の広い金額が返ってきます。それでは、判断に使えません。

4. 買い手の用途で、同じ土地でも値段が変わる

住宅を建てる前提で買う相手にとっては、擁壁の工事費がそのまま予算を圧迫します。駐車場や資材置き場として使う相手なら建築の制限は効かず、工事をしないまま使える場合があります。使い道が変われば、引き算の項目が減り、値段が変わります。

隣接する土地の所有者が買い手になるときは自分の土地の造成と一緒に工事ができるので、単独で買うより費用が下がることがあります。がけを挟んで上下の土地が別々の所有になっていることもあります。どちらかがまとめて持てば、管理も工事もしやすくなります。売り出す前に、隣の所有者に声をかけておく価値があるのはこのためです。

がけ地の価格を組み立てる手順

  1. 1

    平らな土地の価格

    同じ町内で同面積の平らな土地の取引価格

  2. 2

    工事費を引く

    擁壁のやり直しや構造の割増しにかかる費用

  3. 3

    期間の費用を引く

    工事と申請が終わるまでの固定資産税や実費

「値段は、平らな土地の取引価格から工事費と期間の費用を引いて作る」について、そのまま聞けます。

がけ条例がかかる土地を売る前に、役所で確かめる手順

最初にするのは建築系の窓口で条例の条文と適用範囲を確かめることで、次に、砂防・防災系の窓口で区域の指定を確かめます。建築系は市区町村の建築指導課や建築審査課、建築確認を県が扱う地域では土木事務所です。この2系統の回答が揃うと、買い手に渡す資料の骨格ができあがります。

1. 建築指導課に、公図と現況写真を持って行く

最低限持って行くのは、公図と、がけの高さと傾きがわかる現況写真です。写真は、がけの全体、擁壁の足元、上端から下を見たものの3枚を撮ってください。測量図の写しと登記事項証明書は、手元にあれば添えます。無ければ無いままで相談は始められます。

窓口で聞くのは次の4点です。

  • 適用される条例の名称と、その条文の番号
  • がけの高さをどこから測るのかという運用
  • ただし書きが使える余地
  • この土地について過去の相談の記録が残っていないか

窓口では確定的な回答が出ず、設計者を通じた事前協議が必要だと言われることもあります。その場合でも、聞いた内容と日付、担当者の所属と氏名を控えておけば、買い手から質問が来たときにそのまま答えられます。

役所で制限を確かめる手順

  1. 1

    建築指導課で確かめる

    公図や現況写真を持参し、条文と適用範囲を聞く

  2. 2

    砂防の担当課で確かめる

    区域の指定と工事の許可の要否を聞く

  3. 3

    回答を揃えて資料にする

    2か所の回答で買い手に渡す資料の骨格を作る

2. 砂防・防災の担当課で、区域の指定と許可の要否を確かめる

区域の指定は、都道府県の土木事務所や砂防の担当課、市の防災の担当課が扱います。聞くのは、土砂災害警戒区域と特別警戒区域のどちらに入っているか、急傾斜地崩壊危険区域の指定があるか、宅地造成等工事規制区域に入っているかの3つです。根拠となる法律の仕組みは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に置かれています(土砂災害防止法(e-Gov法令検索))。

指定がある場合は擁壁の工事に許可が要るのかも聞き、要るとして、標準的にどれくらいの期間がかかるのかまで確かめてください。許可の期間は、買い手が資金の計画を立てるときの前提になります。区域の図面の写しは、窓口でもらえることも、ホームページから印刷できることもあります。もらった図面は、売り出しの資料にそのまま添付してください。

がけ条例がかかる土地の擁壁のやり直し費用を見積もる手順

見積りを取る前に、既存の擁壁の履歴を集めてください。造り直しが要るのか、補強や部分的な補修で済むのかが先に分かれ、この分岐で金額が大きく動くので、書類探しを先にしてください。

1. 既存の擁壁の書類を集め、造り直しか補強かを分ける

探すのは、造成のときの許可の書類、完了検査の証明、擁壁の構造図、確認済証と検査済証で、自宅の権利証と一緒に保管されていることがあります。相続した土地なら、亡くなった方の書類の束に紛れていることもあります。見つからない場合は、市区町村の担当課に台帳の照会を依頼します。

書類が無くても、目で見て判断できる材料があります。擁壁の面が外側にふくらんでいないか、縦や斜めに割れが入っていないか。水抜きの穴から土が流れ出していないか、天端が傾いていないか、上にブロックなどが積み増されていないか。このうち複数に当てはまる擁壁は補強では済まず造り直しになることが多いので、見積りもその前提で取ります。

擁壁の工事費を見積もる手順

  1. 1

    既存の擁壁の書類を探す

    許可書類や検査済証を集め、台帳の照会を依頼する

  2. 2

    目で見て不具合を探す

    ふくらみや割れ、天端の傾きなどがないか見る

  3. 3

    造り直しか補強か分ける

    不具合が複数あれば造り直し前提で見積りを取る

2. 2社以上から見積りを取り、含まれる範囲を揃える

見積書は、総額だけを比べても意味がありません。上の『2. 擁壁のやり直し費用が、土地の値段に食い込む』で挙げた8つの費目の並びに書き直して、2社分を突き合わせます。

  • 仮設と土留め
  • 既存の擁壁の解体と運び出し
  • 掘削と残土の処分
  • 本体と背面の排水
  • 埋め戻しと復旧
  • 構造計算と確認申請
  • 許可の手続
  • 工事中の仮の通路と隣家への対応

どれが含まれ、どれが別途になっているかが、この並びにすると見えます。

あわせて、着工から完了までの期間と、許可や検査の待ち時間を聞いておきます。売却の日程を組むときに効くのはこの期間で、工事を先に済ませてから売るのか、工事をしない前提の価格で渡すのかを決める材料になります。見積りを取る段階で、工事を発注する必要はありません。ただし現地に来てもらう以上、売却を検討中である旨は先に伝えておいてください。

がけ条例の土地が売れないときの売り方を、手取りで比べる手順

決め方は、擁壁の工事を売主が先に済ませて平らな土地に近い条件で売るか、工事費を引いた価格で現況のまま渡すかの二択に整理できます。どちらが手取りで多いかは、工事費がそのまま価格に乗るかどうかで決まります。

1. 仲介で売り出す場合は、期限と撤退の条件を先に決める

仲介は、買い手が見つかれば手取りが大きくなる方法です。ただし、がけのある土地は検討できる買い手の母数が少なく、いつ見つかるかの見通しが立ちません。媒介契約を結ぶ前に、いつまで反応が無ければ価格を下げるのか、いつまでなら待てるのかという線を、売主の側で決めておいてください。

売れない間も、固定資産税、草刈りや樹木の手入れ、擁壁の点検、遠方であれば往復の交通費といった費用が出続けます。持ち続ける負担と手放した場合を並べて計算する型は「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事に置いています。なお、がけの上に古い建物が残っている土地では、解体の時期に注意が要ります。先に建物を壊すと住宅用地の特例(地方税法第349条の3の2)が外れて土地の税額が上がるので、解体の時期は売却の日程と一緒に考えてください。建物を残すか壊すかの比べ方は「古家は解体するかそのまま売るか」の記事にまとめてあります。

2. 現況のまま買い取る相手に当たり、手取りで比べる

買取は擁壁の工事も片付けもせずに引き渡せる方法ですが、その代わり、価格は仲介での成約想定より低くなります。低くなる分は、工事費と、工事の途中で出てくる読めない部分を買った側が引き受ける分です。当社が買い取る場合、仲介手数料はかかりませんが、その分を足しても、仲介の想定額に届かないことが普通です。この構造は「空き家を買取で売るデメリット」の記事で詳しく書いています。

上の『1. 相場は「平らな土地の価格−工事費−期間の費用」で組み立てる』の設例でいえば、工事費と設計などの費用を引いた800万円から、期間の費用と読めない部分をさらに引いた額が、現況のままお出しできる金額の目安になります。比べるときは、仲介の査定額と買取価格をそのまま並べないでください。仲介の査定額は売れた場合の見込みなので、そこから仲介手数料と、売れるまでの期間の維持費を引いた額が手取りになります。買取価格は、その日に決まって動かない金額です。現況のままで引き渡せる条件については「空き家をそのまま売る方法」の記事も併せてご覧ください。

現況で売る場合の手取り額の計算例

  • 平らな土地の相場1,500万円
  • 擁壁のやり直し工事費600万円
  • 設計・調査・申請費用100万円
  • 現況で売る場合の手取り目安800万円

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額は、税務署または税理士へ、登記は司法書士へご確認ください。境界や隣地との権利関係は弁護士や土地家屋調査士の領分で、当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

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当社ががけ条例のかかる土地を買い取る場合に見る条件

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

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がけ条例がかかる土地が売れないとき、先に確かめる3つのこと

  • 根拠は自治体の条例なので、まず条文の番号を手に入れてください。 建築基準法第40条を受けた条例のどこに書かれているか、がけの高さをどこから測る運用なのか。この二つで、そもそも制限がかかるかどうかが変わります。
  • 擁壁の書類の有無が、価格の幅をそのまま決めます。 許可と完了検査の記録が残っていれば引き算の項目が減り、書類が無く不具合も見えている擁壁は、造り直しの見積りが前提です。
  • 区域の指定は、地図ではなく地番で照合してください。 急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害特別警戒区域に入っていると、工事に許可が要ります。建物の構造にも、規制がかかります。

擁壁が古いままの土地も、残置物のある建物が残ったままの土地も現況で買い取りますが、工事の範囲が見積りで囲えない土地は、お断りすることがあります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

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この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

がけ条例と土地が売れないことについて、よくある質問

Q1. がけ条例がかかる土地は、まったく建築できないのですか

建てられないわけではなく、条件を満たせば建てられます。建築基準法第40条を受けた条例は、高さ2メートルを超えるがけの近くで、擁壁を設けるか、建物の構造で安全を確保するか、がけの高さの2倍の範囲の外に建てるかの三つのどれかを求めます。敷地に余裕があれば、範囲の外に建物を寄せるだけで足りることもあります。 できないのではなく費用と配置の問題である、という整理で見てください。

Q2. 擁壁を造り直さないと売れませんか

造り直さずに売れることは多くあります。売主が先に工事をしても、かけた費用の全額が売却価格に乗るとは限らず、差額を自分でかぶる形になりがちです。工事をしない前提の価格で買い取る相手を探したほうが、手取りが多くなる場合があります。 どちらが多いかは、平らな土地としての相場と、工事の見積りの2つを並べれば判断できます。

Q3. がけの高さが5メートルを超える場合は、何が変わりますか

高さが増えると擁壁の工事費が上がり、加えて、急傾斜地崩壊危険区域の指定の対象になりやすくなります。都道府県は、高さ5メートル以上で一定の戸数の人家が保全される斜面を、指定の採択の基準に置いています。区域に指定されると、切土や立木の伐採などに知事の許可が要るという規制がかかります。 指定の有無は、地番を伝えて砂防の担当課に照合してもらってください。

Q4. 土砂災害特別警戒区域に入っている土地でも売れますか

売買そのものは制限されていません。ただし、居室のある建築物には土石などの力に耐える構造が求められ、住宅の分譲などの特定開発行為には、知事の許可が要ります。仲介で売る場合、区域の内外は重要事項説明の対象なので、隠して進める道はありません。 最初から区域名と制限の中身を資料に書いておくほうが、後で値引きの材料にされずに済みます。

Q5. 擁壁の検査済証や構造図が見つかりません

まず市区町村の建築や宅地の担当課に、台帳に記録が残っていないかを照会してください。造成の年代が古いと、記録そのものが無いこともあります。書類が無い場合は、擁壁のふくらみ、割れ、水抜き穴からの土砂といった見た目の状態で判断されることになります。 書類が出てこないと決まった時点で造り直しの見積りを取り、その金額を前提に売り方を決めるのが早道です。

Q6. 崖地の売却価格の相場は、いくらくらいですか

全国で通用する相場はなく、値段は、同じ町の平らな土地の取引価格から引き算で作ります。引くのは、擁壁のやり直しや構造の割増しの費用と、工事と許可にかかる期間の費用です。引く金額が平らな土地としての価格を超えてしまう地域では、仲介では値が付かないという結果になります。 相続税の評価で使うがけ地補正率は、国税庁の財産評価基本通達にもとづく別の物差しです。売買の目安には使えません。

当社の見方

ご相談をいただく時点で、条例の条文番号も区域の指定もわからないまま価格だけを聞かれることがよくありますが、その状態でお出しできる金額は、どうしても幅の広いものになります。役所の2系統の窓口で聞いた内容のメモと、がけの写真が3枚。これだけで、こちらが見込む工事費の幅が縮まり、お伝えできる金額の下限も上がります。写真の撮り方がわからない場合は、お電話で撮る場所をお伝えします。

拝見する土地で多いのは、大谷石やブロックの擁壁の上にさらに数段が積み増されている形と、二段の擁壁の間の小段が物置や花壇で埋まっている形です。前者は造り直しを前提に工事費を見込み、後者は小段の幅を測って上下が別のがけとして数えられるかを先に確かめます。この一手間で、引く金額が数百万円単位で動きます。

もう一つ多いのが、擁壁を造り直してから売ったほうがよいのかというご質問です。平らな土地の相場が高い地域では工事費の一部が価格に乗るので、先に直したほうが手取りが増えることもあります。相場がそれほど高くない地域では工事費が価格に乗りきらず、直さずに現況で渡したほうが、残る金額は大きくなります。平らな土地としての相場の目安と、擁壁の状態。この二つを伺えば、現地を見る前でもおおよそお話しできます。工事費の見積りそのものは工事会社の領分です。許可が下りるかどうかの判断は行政の領分で、その二つは当社では決められません。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:建築基準法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、土砂災害防止法出典:法務省
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

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出典(7件・に確認)

更新履歴

  1. 第2版冒頭に、当社が買い取れる条件・お断りする条件と当社の買取金額(事例の幅)、会社を確かめられる記事への案内をまとめました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  2. 第1版公開

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