本文へスキップ
空き家のゆくえ買取くん

空き家

10年超所有の軽減税率|3000万円控除との併用と要件

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
10年超所有の軽減税率|3000万円控除との併用と要件

「実家を売ると税金がいくらかかるのか、10年以上持っていれば安くなると聞いたが本当なのかが分からない」。売った年の1月1日で家屋と土地の所有期間がともに10年を超え、売主さまご自身が住んでいた家であれば、課税譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が14.21パーセントに下がります。相続して一度も住んでいない空き家は、この特例の対象外です。

当社は売主さまから直接買い取るため年内の引渡しを決済日に置く日程を組めますが、借地権の譲渡の承諾が得られない実家や、未登記の増築部分の所有関係が整理できていない実家は買い取れません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

先にこの家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

約1分で簡単査定を申し込む

この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

実家を売って利益が出たとき、持っていた期間が長ければ、譲渡所得にかかる所得税の税率そのものが下がります。確かめるのは2点です。1つは、売った年の1月1日の時点で、家屋と土地の両方の所有期間が10年を超えていること。もう1つは、売主さまご自身がその家に住んでいたことです。相続したあと一度も住んでいない空き家は、入口で外れます。

10年超所有の軽減税率の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

10年超所有軽減税率の特例の概要と、1月1日で数える所有期間

居間のテーブルを囲んで、家族で話し合いをしている

10年超所有軽減税率の特例は、売った年の1月1日で家屋と土地の所有期間がともに10年を超える自宅を売ったときに、所得税の税率が下がる制度です。租税特別措置法第31条の3に置かれた「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」が正式な名前です。適用の要件は、国税庁のタックスアンサーにも並んでいます(マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁))。いま手元にあるのが親名義のままの登記事項証明書と、片付けの見積りだけという段階もあります。その場合は、税率を調べるより先に、その家に誰がいつまで住んでいたかを思い出してください。

軽減されるのは税率で、譲渡所得そのものは変わらない

譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。この特例が触るのはその先です。求めた金額に掛ける税率を下げるだけなので、譲渡所得そのものは1円も減りません。3,000万円の特別控除は、所得の側を削る制度です。10年超所有軽減税率の特例は率の側を削る制度で、働く場所が違います。順番としては、まず特別控除を引き、残った課税譲渡所得に軽減された税率を掛けます。したがって、控除を引いた残りがゼロになる実家では、税率がどれだけ下がっても節税の効果は生まれません。逆に、譲渡所得が大きく、控除を引いてもまだ数千万円が残る実家もあります。その場合は、この特例を適用できるかどうかで譲渡所得税の額が百万円単位で動きます。

所有期間は売った年の1月1日で区切り、家屋と土地の両方を見る

所有期間は、取得した日から譲渡した日までではなく、取得した日から譲渡した年の1月1日までで数えます。ここを取り違えると、丸一年ずれます。2016年4月に買った家を、2026年の秋に売ったとします。引渡しの時点では10年半が過ぎていますが、2026年1月1日の時点ではまだ9年9か月です。この特例は使えません。同じ家を2027年に売れば、2027年1月1日の時点で10年9か月となり、要件を満たします。家屋と土地で買った時期が違う場合は、両方が1月1日の時点で10年を超えている必要があります。先に土地を買って数年後に家を建てた方、古い家を建て替えた方は、建物の表題部に記載された新築年月日を先に見てください。土地だけが10年超で建物が10年以下なら、全体としてこの特例の対象から外れます。

1月1日で区切る所有期間の数え方

  1. 2016年4月

    家を買う

    取得した日

  2. 2026年1月1日

    所有期間の区切り

    9年9か月となり10年を超えない

  3. 2026年秋

    引渡し(特例不可)

    実際の所有は10年半だが特例は使えない

  4. 2027年

    翌年に売却(特例可)

    1月1日時点で10年を超えるため特例が使える

相続した実家は、被相続人が買った日から所有期間を数える

相続や贈与で取得した不動産は、所得税法第60条第1項により、前の持ち主の取得の日と取得費をそのまま引き継ぎます。相続登記をした日が起算点になるわけではありません。親が昭和の終わりに建てた家を、去年相続したとします。所有期間は40年近くあることになり、10年の線は軽く超えます。ただし、所有期間の要件を満たしたからといって、それだけでこの特例が使えるわけではありません。対象は、売主さま自身が住んでいた居住用財産です。相続してから一度も住んでいない家は、所有期間が何年あっても外れます。相続した実家の税金の全体像と、相続税を納めた場合に取得費を増やせる仕組みは「相続した家の売却の税金」の記事に計算例を置いています。

10年超所有軽減税率で譲渡所得税はいくら下がるか

下がるのは、課税譲渡所得のうち6,000万円以下の部分です。所得税と住民税を合わせた税率が、20.315パーセントから14.21パーセントになります。所得税の率を下げる根拠は租税特別措置法第31条の3にあり、住民税の率は地方税法に定めがあります。下がり幅は6.105ポイントです。課税譲渡所得が1,000万円なら61万500円、3,000万円なら183万1,500円の差になります。実家の売却を考え始めた今の段階では、まずこの幅が自分の金額でいくらになるかを見ておけば十分です。

6,000万円以下の部分は14.21パーセント、超える部分は20.315パーセント

課税譲渡所得の区分特例を適用する場合適用しない場合
6,000万円以下の部分14.21パーセント(所得税10.21+住民税4)20.315パーセント(所得税15.315+住民税5)
6,000万円を超える部分20.315パーセント20.315パーセント

表の所得税の率には、復興特別所得税が含まれています。所得税額の2.1パーセントを上乗せする仕組みです。本来の10パーセントが10.21パーセント、15パーセントが15.315パーセントになります(国税庁の譲渡所得の課税の説明による)。表の1行目のとおり、軽減されるのは6,000万円以下の部分だけです。2行目が示すように、6,000万円を超えた部分は特例を使っても通常の長期譲渡所得と同じ率です。ここは下がりません。都心の実家で課税譲渡所得が1億円を超えるような売却では、効果は6,000万円分で頭打ちになります。

10年超所有軽減税率の特例利用時の計算方法と、譲渡所得税のシミュレーション

計算は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を引くところから始まります。そこから3,000万円の特別控除を引き、残った課税譲渡所得に表の税率を掛けます。親から相続した実家を、5,800万円で売ったとします。親が買ったときの契約書が残っていて取得費が1,200万円、仲介手数料や印紙代などの譲渡費用が200万円だったとします。譲渡所得は4,400万円、特別控除を引いた課税譲渡所得は1,400万円です。この1,400万円に14.21パーセントを掛けると、198万9,400円です。特例を適用しない20.315パーセントなら284万4,100円で、差は85万4,700円になります。

課税譲渡所得が8,000万円まで伸びた場合の試算も置いておきます。6,000万円の部分に14.21パーセントを掛けると852万6,000円です。残る2,000万円に20.315パーセントを掛けて406万3,000円、合計は1,258万9,000円になります。特例を適用しなければ、8,000万円の全額に20.315パーセントが掛かって1,625万2,000円です。差は366万3,000円です。譲渡費用として引けるものの範囲は手取りに直接響くので、仲介手数料や解体費用の扱いは「不動産売却の費用一覧」の記事と合わせて確かめてください。

課税譲渡所得ごとの税額の下がり幅

  • 課税譲渡所得1,000万円
    税額は61万500円下がる
  • 課税譲渡所得3,000万円
    税額は183万1,500円下がる

3,000万円控除だけで税額がゼロになり、税率の話が出てこない実家

地方の実家では、この特例を適用する場面そのものが来ないことがあります。買ったときの契約書が残っていない家では、譲渡価額の5パーセントを概算の取得費として計算できます。租税特別措置法第31条の4は、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等を譲渡した場合に、譲渡価額の5パーセントを取得費とできることを定めた規定です。条文が対象としているのは土地等で、建物等はこの条文の対象に入っていません。昭和28年1月1日以後に取得した土地や、建物についても同じ5パーセントで計算してよいという取扱いは、条文ではなく租税特別措置法関係通達31の4-1(措通31の4-1)の運用で認められているものです。ただし、その分だけ譲渡所得は大きく出ます。それでも、売却価額が2,000万円、概算の取得費が100万円、譲渡費用が80万円という実家なら、譲渡所得は1,820万円です。3,000万円の特別控除を引いた時点で、課税譲渡所得はゼロになります。課税譲渡所得がゼロであれば、掛ける税率が14.21パーセントでも20.315パーセントでも結果は同じです。所有期間を数えるより先に、控除を引いた残りが出るかどうかを見た方が早い、ということです。

所得税を納める月と、住民税が始まる月は数か月ずれる

控除を引いた残りが出た場合、同じ譲渡でも所得税と住民税では納める時期が分かれます。所得税は売った年の翌年の確定申告で納めます。住民税は、同じ翌年の6月以降に届く納付書で納めるか、給与から天引きされる形になります。所得税を納める3月と、住民税が始まる6月とで、現金の出ていく時期が数か月ずれます。売却代金を使い切る予定を立てる前に、住民税の分を別に取り分けておいてください。

譲渡所得税の計算手順

  1. 1

    譲渡所得の計算

    譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引く

  2. 2

    特別控除の適用

    求めた譲渡所得から3,000万円を引く

  3. 3

    軽減税率の掛け合わせ

    残った課税譲渡所得に軽減された税率を掛ける

「10年超所有軽減税率で譲渡所得税はいくら下がるか」について、そのまま聞けます。

使えるか使えないかは5か所で決まる、上から順に判定する

外れる場所は5か所あります。所有期間、自分が住んでいたかどうか、住まなくなってからの年数、売った相手、過去と今回の特例の適用歴です。前の番号で外れたら、後ろを確かめる必要はありません。相談の場でいちばん多く外れるのは2番目で、次が3番目です。手元の資料でその日に判定できるのは1番目だけです。2番目と3番目は住民票と記憶をたどり、4番目は売る相手が決まってから、5番目は、前年と前々年の確定申告書の控えと、今回の譲渡で使う予定の特例の一覧を並べて、一度に確かめます。

1. 売った年の1月1日に、家屋と土地の所有期間がともに10年を超えていること

登記事項証明書の権利部で、所有権の移転の原因と日付を見ます。売買で買った家なら受付の日付、相続で取得した家なら、その前の持ち主が取得した日付までさかのぼります。年数の数え方は、売った年の1月1日までです。年末に契約して翌年に引き渡す場合は、どちらの年の1月1日で見るのかが結論を分けます。譲渡の日は引渡しの日とするのが原則で、売買契約を結んだ日を譲渡の日として申告することも選べます。10年の線がぎりぎりの実家では、契約日と引渡し日のどちらで申告するかによって可否が入れ替わります。契約書に署名する前に、税務署か税理士へ確認してください。

特例が使えるかを判定する5つの条件

  1. 1

    所有期間の判定

    手元の資料を使い、その日のうちに確かめる

  2. 2

    居住の有無の判定

    住民票と記憶をたどり、自分が住んでいたか確かめる

  3. 3

    空き家期間の判定

    住民票と記憶をたどり、住まなくなってからの年数を見る

  4. 4

    売却相手の判定

    売る相手が決まってから確かめる

  5. 5

    過去の適用歴の判定

    前年と前々年の確定申告書の控えで確かめる

2. 売主さまご自身が住んでいた家屋であること

この特例の対象は居住用財産で、投資用に持っていた家や、相続してから一度も住んでいない家は含まれません。住民票を置いていたかどうかだけで決まるわけではなく、生活の本拠がそこにあったかどうかで判断されます。単身赴任で別の場所に住んでいた期間がある方もいます。二世帯住宅の一方だけに住んでいた方も同じで、建物のどの部分が自分の居住用だったかを整理しておいてください。親が老人ホームに入り、そのまま空き家になった実家を相続した場合も見方は同じです。住んでいたのは親であって売主さまではないので、この要件では外れます。親が施設に入ってから実家を売る場合の判断の順番は「施設に入った親の家の売却」の記事に書いています。

自分が住んでいた家屋かどうかは、何で判断されますか?

住民票の有無ではなく、生活の本拠がそこにあったかで決まります。住んでいたのが親だけの場合は対象外です。

  • 投資用の家や相続後に住んでいない家は対象外
  • 単身赴任や二世帯住宅は居住部分の整理が必要
  • 親が老人ホームに入り空き家になった実家は外れる

3. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

いま住んでいる家をそのまま売るなら、この期限は関係ありません。問題になるのは、先に引っ越して空き家にしてある実家です。2024年の3月に家を出たのであれば、3年を経過するのは2027年3月です。その日が属する年の12月31日、つまり2027年12月31日までに譲渡すれば間に合います。家を取り壊して土地だけを売る場合は条件が増えます。満たすべき条件は3つです。取り壊した日から1年以内にその敷地の譲渡契約を結ぶこと、取り壊したあとに駐車場などで貸さないこと、上記の3年目の年末までに譲渡することです。壊すか残すかで手取りがどう変わるかは「古家は解体するかそのまま売るか」の記事に比較の型があります。

4. 売った相手が配偶者や直系血族などの特別の関係者でないこと

親子の間や夫婦の間で名義を移す形では、この特例は適用されません。生計を一にする親族、家屋を譲り受けたあとも同居する親族、同族会社なども同じ扱いになります。息子に名義を移して、その息子が住み続けるという段取りもあります。その場合は、税率の軽減は受けられないという前提で金額を組み立ててください。価格の付け方によっては、差額が贈与とみなされる論点も別に出てきます。第三者に売る場合は、ここで悩むことはありません。

5. 前年と前々年にこの特例を受けておらず、同じ譲渡で他の特例も使っていないこと

同じ特例を続けて使うことはできません。前年または前々年の確定申告でこの軽減税率の適用を受けていれば、今年の譲渡では使えないことになります。二軒目、三軒目の不動産を数年のうちに整理している方は、過去の申告書の控えを出してきてください。譲渡所得の内訳書に、何の特例を書いたかを確かめます。3,000万円の特別控除にも、同じ趣旨の制限が置かれています。どちらを何年に使ったかを一覧にしておくと、後の判断が速くなります。

前年と前々年の申告書の控えと、今回の譲渡で使う予定の特例の一覧は、この5番目の判定の中で一度に突き合わせます。過去の適用歴と今回の重複の有無は、別の要件ではなく、どちらもこの一つの判定に含まれるものです。特定居住用財産の買換えの特例、固定資産の交換の特例、収用等の場合の5,000万円特別控除などを同じ譲渡で適用していると、この軽減税率は使えません。例外は居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除で、これだけは同じ譲渡で重ねて適用できます。国税庁のタックスアンサー「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」にも、この重複の可否が適用要件として並んでいます。買換えを検討している方は、繰り延べを取るか今年の税率の軽減を取るかを、先に金額で比べてください。

3,000万円控除との併用と、10年超所有軽減税率が使えない実家

周囲に家が建ち並ぶ住宅街にある、木造の空き家の外観

自分が住んでいた家なら3,000万円控除を引いた後の金額に軽減税率をかけられますが、相続して一度も住んでいない空き家では軽減税率は使えません。実家の売却でこの分かれ目にぶつかるのは、親が亡くなってから半年から一年ほど経ち、名義を自分に移し終えたあたりです。どちらの特例を使うかで、集める書類も、間に合わせるべき期限も変わります。

1. 3,000万円控除を引いた残りに軽減税率をかける順番

居住用財産を売った場合の3,000万円の特別控除は租税特別措置法第35条第1項に置かれており、同じ譲渡についてこの軽減税率と重ねて適用できます(国税庁のタックスアンサー「マイホームを売ったときの特例」に適用の要件があります)。計算は、譲渡所得から3,000万円を引き、残った課税譲渡所得に軽減後の税率を掛ける順です。譲渡所得が4,400万円の実家なら、控除後の1,400万円だけが課税の対象になり、そこに14.21パーセントが掛かります。控除で全額が消えるなら税率の話は出てこないので、まず控除後の残高を出してください。両方を使う年は、確定申告の際に二つの特例の適用を受ける旨を内訳書に書くことになります。

2. 相続した空き家の3,000万円控除を使う譲渡では、軽減税率は重ねて使えない

被相続人が一人で住んでいた家を相続人が売る場合の3,000万円控除は、租税特別措置法第35条第3項にある別の制度です。こちらを適用する譲渡で、10年超所有軽減税率の特例を重ねて使うことはできません。理由は単純で、軽減税率の対象が売主さま自身の居住用財産に限られているのに対し、空き家の特例は被相続人の居住用家屋を対象としているからです。相続した実家に自分は一度も住んでいないという方は、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)の側で要件を確かめることになります。昭和56年5月31日以前の建築であることや、相続後に貸していないことなど、要件の並びが違うので、「空き家3000万円控除の条件」の記事で順に判定してください。

居住用と空き家の特例の違い

観点自分が住んでいた家相続した空き家
3,000万円控除の根拠租税特別措置法第35条第1項租税特別措置法第35条第3項
対象となる家屋売主さま自身の居住用財産被相続人の居住用家屋
軽減税率との併用重ねて適用できる重ねて使えない

3. 特定居住用財産の買換え特例とは、どちらか一方を選ぶ

実家を売って新しい住まいに買い換える場合、租税特別措置法第36条の2の買換えの特例を選ぶ道もあります。こちらは課税を将来に繰り延べる仕組みで、税率を下げる10年超所有軽減税率の特例とは同時に使えません。繰り延べは免除ではないので、買い換えた家をいつか売るときに、繰り延べた分の課税が戻ってきます。今年の税額を減らしたいのか、将来にまとめて精算してよいのかで選び方が変わります。どちらが有利かは、買い換える家の価格と、将来その家を売る見込みがあるかどうかで逆転します。

4. 相続税の取得費加算と、住宅ローン控除への影響

相続税を納めた方は、租税特別措置法第39条の取得費加算の特例によって、納めた相続税の一部を取得費に足せる場合があります。これは取得費を増やす制度なので、税率を下げる軽減税率の特例と性質が違い、両方を使える場面があります。ただし、相続した空き家の3,000万円控除の方とは選択になるため、どの組み合わせが有利かは金額を置いて比べる必要があります。もう一つ注意が要るのが住宅ローン控除です。新居に入居した年と、その前2年・その後3年を合わせた計6年の間に、以前の住まいの譲渡についてこの軽減税率や3,000万円控除の適用を受けていると、新居の住宅借入金等特別控除は受けられません。入居した後の年に実家を売ってこれらの特例を使った場合は、すでに受けた住宅ローン控除を修正申告で返すことになります。実家の売却と新居の購入が近い年に並ぶ方は、どちらの制度を取るかを決める前に税務署か税理士に確かめてください。

「3,000万円控除との併用と、10年超所有軽減税率が使えない実家」について、そのまま聞けます。

10年超所有軽減税率の特例の必要書類と、確定申告での申請

窓口のカウンター越しに、受け取った無地の封筒を鞄にしまっている後ろ姿

必要書類は譲渡所得の内訳書と、売った家屋と土地の登記事項証明書が基本で、売った年の翌年の確定申告で申請します。申告をしなければ、要件を全部満たしていても税率は下がりません。ここで落とす方が毎年います。売買契約を結んだ時点から、申告に向けた紙を一か所にまとめ始めてください。

1. 登記事項証明書で取得の日を確かめ、所有期間を1月1日で数え直す

法務局の窓口かオンラインで、家屋と土地の登記事項証明書をそれぞれ取ります。土地の権利部に書かれた所有権移転の日付と、建物の表題部に書かれた新築年月日の両方を見て、売る年の1月1日までの年数を数えます。相続で取得した実家なら、前の持ち主が取得した日付まで戻って数えます。この証明書は、所有期間が10年を超えていることを示す資料として申告に添えるものなので、売却の直前ではなく、売り出しを決めた段階で取っておくと後が楽です。古い実家では、登記上の床面積と現況が合っていないことがあります。増築した部分の登記がされていない場合、売買の前に建物表題部変更の登記が要るかどうかを、司法書士か土地家屋調査士に確かめてください。

2. 譲渡所得の内訳書に必要書類を添えて、翌年の確定申告で申請する

申告の期間は、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までです。確定申告書に譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)を付け、売った資産の登記事項証明書を添えて提出します。売買契約書の写し、取得したときの契約書や領収書の写し、譲渡費用の領収書も、金額の根拠として手元に揃えておいてください。3,000万円の特別控除を併せて適用する場合は、住んでいたことを示す資料の提出を求められることがあります。添付書類の取扱いは制度改正で変わることがあるため、申告の年に国税庁のページで一覧を確かめるのが確実です。税額がゼロになる場合でも申告は必要で、この点を含めた申告の要否の整理は「不動産売却で確定申告が必要な人」の記事にまとめています。

確定申告で揃える主な必要書類

  • 申告の基本書類

    確定申告書、譲渡所得の内訳書、登記事項証明書

  • 金額の根拠資料

    売買契約書、取得時の契約書、譲渡費用の領収書

  • 控除併用時の追加資料

    3,000万円控除を使うなら居住を示す資料が必要

  • 申告の期間

    譲渡した年の翌年2月16日から3月15日まで

住まなくなって3年目の年末から逆算する、軽減税率に間に合う日程

家具が運び出されて何もない和室の全景と、掃除機をかけている家族

期限は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日で、そこから引渡しまでの工程を逆に並べます。引っ越してから二年が過ぎたあたりで相談に来られる方が多く、その時点で残りは一年ほどです。売り出してから買い手が決まるまでに何か月かかるかが読めないと、この一年は意外に短く感じられます。

1. 相続登記が済んでいるかを確かめ、残りの月数を数える

登記の名義が亡くなった方のままなら、売買の前に相続登記を入れます。ここで期限が2本並びます。相続登記の申請は、2024年4月1日に義務となりました。取得を知った日から3年以内が、申請の期限です。施行より前に相続で取得したと知っていた方も対象で、こちらの期限は2027年3月31日です(相続登記の申請義務化(法務省))。戸籍を集め、遺産分割の話し合いをまとめるまでに数か月かかることがあります。譲渡の期限とは別物なので、カレンダーには別の印で書き込んでください。相続から引渡しまでの工程を通して見たい場合は「実家 空き家 売却の順番」の記事に全体の並びがあります。

2. 仲介で試す期間と、買取に切り替える区切りを先に決める

買い手を探して売る場合、売り出しから引渡しまでに数か月かかるのが通常で、駅から遠い家や古い家ではさらに延びます。反応がないまま価格を下げていくうちに年末が来る、という進み方になりがちです。媒介契約を結ぶ前に、何月までに買い手が決まらなければ買取に切り替えるかという区切りを、売主さまの側で決めておいてください。期限の年に入ってから切り替えを考え始めると、契約から決済までの日数を確保できないことがあります。仲介と買取で手取りがどう変わるかの比べ方は「不動産は買取と仲介どっち」の記事に条件を並べています。年内に引渡しを済ませれば、翌年1月1日の所有者は買主になるので、翌年度の固定資産税の負担も変わります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

住まなくなった日からの逆算日程

  1. 媒介契約の前

    切り替えの区切りを決める

    何月までに決まらなければ買取にするか決める

  2. 売り出しから数か月

    仲介で買い手を探す

    反応がないまま価格を下げていくと年末が来る

  3. 期限の年

    買取への切り替え

    遅れると契約から決済までの日数を確保できない

  4. 3年目の12月31日

    特例の期限

    住まなくなった日から3年を経過する年の年末

「住まなくなって3年目の年末から逆算する、軽減税率に間に合う日程」について、そのまま聞けます。

当社が10年超所有の実家を買い取る場合の価格と決済日

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が10年超所有の実家を買い取る場合の価格と決済日」について、そのまま聞けます。

10年超所有軽減税率について、売る前に確かめる3つ

  • 所有期間は売った年の1月1日で区切ります。 家屋と土地の両方が10年を超えている必要があり、引渡しの時点で10年半でも、1月1日で9年9か月なら使えません。登記事項証明書の日付を先に見てください。
  • 対象は売主さまご自身が住んでいた家です。 相続して一度も住んでいない空き家は、所有期間が何十年あっても外れます。その場合は被相続人の居住用財産の特例の側で、建築時期と相続後の使い方を確かめることになります。
  • 3,000万円控除を引いた残りに税率が掛かります。 残りがゼロなら効果は出ず、6,000万円を超える部分も下がりません。効くのは、控除後に残る金額が6,000万円までの範囲に収まるときです。

当社は残置物のある家も傷んだ家もそのまま買い取り、引渡しの日を期限の手前に置いて組みます。ただし価格は仲介での成約想定より低くなるので、期限まで余裕があって建物が使える状態なら、仲介を先に試す方が手取りは多くなります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

10年超所有の軽減税率について、よくある質問

Q1. 10年超所有軽減税率の特例は、相続した実家にも使えますか

売主さまご自身がその家に住んでいた期間があるかどうかで分かれます。相続したあと一度も住まずに売る場合、対象は居住用財産に限られるため、この特例は使えません。所有期間だけは被相続人が取得した日から引き継いで数えるので、年数の要件は満たしていることが多く、そこで使えると思い込みやすい部分です。 住んでいない実家を売るなら、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)の側で要件を確かめてください。

Q2. 所有期間の10年は、いつからいつまでを数えますか

取得した日から、譲渡した年の1月1日までです。譲渡の日までではないので、実際の所有が10年を超えていても、その年の1月1日時点で10年以下なら適用されません。家屋と土地で取得の時期が違う場合は、両方が1月1日の時点で10年を超えている必要があります。 10年の線がぎりぎりになる年は、契約日と引渡し日のどちらを譲渡の日として申告するかで結論が変わるため、契約の前に税務署か税理士へ確認してください。

Q3. 3,000万円控除と10年超所有軽減税率は、両方使えますか

自分が住んでいた家を売る場合は、両方を適用できます。計算の順番は、譲渡所得から3,000万円を引き、残った課税譲渡所得に軽減後の税率を掛ける形です。一方で、相続した空き家の3,000万円控除を使う譲渡では、軽減税率を重ねて使うことはできません。 名前が同じ3,000万円でも、根拠となる条文も対象も別の制度なので、どちらの控除を使うのかを先に決めてください。

Q4. 必要書類と、申請の期限を教えてください

譲渡所得の内訳書と、売った家屋と土地の登記事項証明書が基本の必要書類です。これらを確定申告書に添えて、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までに提出します。税額がゼロになる場合でも、申告をしなければ特例は適用されません。 添付の取扱いは改正で変わることがあるため、申告する年に国税庁のページで一覧を確かめ、売買契約書や取得時の契約書の写しも手元に揃えておいてください。

Q5. 家を取り壊して土地だけ売る場合も、軽減税率は使えますか

使える場合がありますが、条件が増えます。取り壊した日から1年以内にその敷地の譲渡契約を結ぶこと、取り壊してから譲渡するまでの間に駐車場などで貸さないこと、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することの3つが求められます。更地にして年を越すと、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がる点も重なります。 解体の時期と引渡しの時期は、必ず一緒に決めてください。

Q6. 軽減税率を使うために、売る時期を翌年にずらした方がよいですか

課税譲渡所得の額によります。控除を引いた残りが1,400万円程度なら、軽減される税額は85万円ほどでした。一年待つ間にかかる固定資産税、火災保険料、草刈りや通水の費用、建物が傷んで買い手が減る分の値下がりを足し合わせて、85万円と比べてください。 待つ側の費用が上回るなら、年をまたがずに売った方が手取りは多くなります。金額を置いて比べてから決める話で、どちらが常に有利ということはありません。

当社の見方

ご相談のうち、この特例の話が実際に金額を動かす件数は、思われているほど多くありません。地方や郊外の実家では、3,000万円の特別控除を引いた時点で課税譲渡所得がゼロになることが大半で、税率が14.21パーセントか20.315パーセントかを議論する場面まで届かないからです。効いてくるのは、都市部の土地で譲渡所得が三千万円を大きく超える場合と、親が昭和に安く買った土地が値上がりしている場合です。まず控除後の残高を出していただき、残らないようであれば、税の話はそこで切り上げて、解体するか現況で渡すかの比較に移ります。実際に伺っていて多いのは、売却の見込みが一千万円台で、買ったときの契約書が見つからない木造の実家です。この組み合わせでは、概算の取得費で計算しても特別控除の枠に収まり、税率が14.21パーセントに下がるかどうかは手取りを変えません。それより、残置物の量と前面道路の幅の方が、お出しできる金額を大きく動かします。

もう一つ多いのが、相続した実家にこの特例を使えると思っておられる形です。所有期間は親の取得の日から数えるので年数は足りているのですが、ご自身が住んでいなければ対象外です。この取り違えは、売り出しの価格を決めたあとに判明すると、手取りの見込みが百万円単位でずれます。当社がお出しできるのは買取の価格と引渡しの日程で、どの特例が使えるかの最終的な判断は税務署か税理士の領分です。現地を拝見する前の段階でも、控除後に残りが出そうかどうかの目星は、売却の見込み額と取得費の有無を伺えばおおよそお話しできます。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
出典:国税庁、法務省
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(6件・に確認)

更新履歴

  1. 第1版公開

このテーマの全体像

編集部のおすすめ

ほかの記事

同じ地域の記事

同じ状況の記事

新着記事