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空き家のゆくえ買取くん

空き家

傾いている家の売却|不同沈下の調査費用と売り方

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
傾いている家の売却|不同沈下の調査費用と売り方

「家が傾いているが、直してから売るのか、このまま売れるのかが分からない」。勾配を測り、原因が地盤か建物かを分けた時点で、直して売るか現況のまま売るかが決まります。

当社は直さないまま現況で買い取り、解体または修復の見積りと原因が読めない分を引いた額をお出しします。沈下が止まっていない家と、擁壁の責任の所在が決まっていない土地はお引き受けできません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

先にこの家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

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この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

家が傾いていても、売ること自体はできます。分かれるのは売り方です。床が1mあたり何mm下がっているか。その数値が3mm未満か、6mm以上か。この線をまたぐかどうかで、買主の層と価格の引き方が変わります。工事の見積りを取るのは、その後です。

家が傾いているとき、売却の前に測る数値

居間で床の上の家具を移動させている家族

売る前に確定させるのは、床が1mあたり何mm下がっているかという勾配の数値です。

気づくきっかけは、たいてい暮らしの側から来ます。建具が勝手に動く。サッシが閉まりきらない。立っていると落ち着かない。ここまでは感覚の話です。買主と金額の話を始めると、感覚は使えません。最初の作業は、感覚を数値に置き換えることです。

「ビー玉が転がる」から先に進む測り方

ビー玉は、下がっている方向を知る手がかりにはなります。数値にはなりません。短い水平器も同じです。30cmの器具で読んだ差を1mに換算すると、器具の誤差まで3倍になります。

使う道具は、レーザー墨出し器かオートレベルです。柱の傾きは下げ振りで見ます。測る場所は部屋ごとに、四隅と中央の5点。廊下もつなげて測ります。基準にした点には印を付け、測った日を書き込みます。

傾きを数値化する計測のポイント

  • 測る場所の準備

    家具をどけ、畳や反ったフローリングを避けて測る場所を作る。

  • 道具の使い分け

    床はレーザー墨出し器かオートレベル、柱は下げ振りを使う。

  • 測る位置

    部屋ごとに四隅と中央の5点を取り、廊下もつなげて測る。

  • 基準と記録

    基準にした点に印を付け、測った日付を書き込む。

測る前に、床の上の家具をどけます。畳の上では数値が出ません。フローリングが日焼けで反っている部分も、代表の数値には使えません。1階と2階で違う数値が出ることもあります。2階だけが傾いているなら、基礎より上に原因がある可能性が高くなります。

依頼先は3つに分かれます。建築士、既存住宅状況調査(インスペクション)の技術者、沈下修正や地盤調査を扱う会社です。費用は依頼先と測る範囲で変わるので、見積りで確かめてください。沈下修正の会社に頼むと、計測と工事の提案がひと続きになります。数値だけが欲しい段階なら、工事を請け負わない相手に頼む方法もあります。

床の下がりと、柱の傾きは別に記録します。床だけが局所的にたわんでいるなら、床組の腐りを疑います。建物全体が同じ方向へ倒れているなら、基礎から下を疑います。この切り分けが、後で動く金額の桁を決めます。

3mmと6mmが、扱いの変わる線

数値が出たら、どの帯に入るかを見ます。国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)は、床の傾斜について、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を3つに分けています。1mあたり3mm未満なら可能性が低い。3mm以上6mm未満なら一定程度ある。6mm以上なら高い。この区切りが、売買の現場でも物差しとして使われています。

ただし、この基準は新築住宅の紛争処理の参考として作られたものです。中古住宅の売買にそのまま当てはめる決まりではありません。それでも買主側の調査会社は同じ数値を使います。交渉で数値が出てきたら、この帯のどこにいるかの話だと考えてください。

1mあたりの下がり技術的基準での位置づけ売るときに起きること
3mm未満瑕疵が存する可能性は低い告知のうえ、通常の売買で進みやすい
3mm以上6mm未満可能性が一定程度ある買主が修復費を見込み、値引きの材料になる
6mm以上可能性が高い買主が現金の買主や事業者に絞られる

6mmを超えると、買主の層が変わります。一般の買主が住宅ローンを使う場合、金融機関は建物を担保として評価します。修復が前提の建物は評価が下がり、資金計画が組みにくくなります。残るのは、現金で買う人か、直して再販する事業者です。買主が減れば、売れるまでの期間も延びます。

柱の傾きも同じ帯で見られます。床が水平に近くても、柱が倒れていれば指摘されます。床と柱の両方を測っておくと、買主の調査で初めて数値が出る事態を避けられます。

勾配と一緒に残しておく記録

  • 測定した日と、測った人の所属
  • 部屋ごとの数値と、下がっている方向
  • 閉まらない戸や、開かない窓の場所
  • 基礎のひびの位置と幅、床下と小屋裏の写真
  • 増築の有無と、その時期
  • 近くで大きな工事や地震があったか

この記録は、そのまま告知書の材料になります。あとで「知っていて黙っていた」と言われないための備えでもあります。写真は、ひびの横に定規を当てて撮ると幅が伝わります。

半年あけて同じ点をもう一度測ると、傾きが進んでいるかが分かります。止まっている傾きと、進んでいる傾きでは、買主の見方がまるで違います。進行の有無は価格に直接出ます。測り直す点を決めておくのは、そのための準備です。

傾いている家に住み続けるリスクと、生前に売却を決めるタイミング

住み続ける間に増えるのは修繕費だけではなく、売ると決められる期間そのものが短くなります。

いま家の中で起きていること、1年後に増えること

最初に出るのは建具です。調整で直る段階がしばらく続きます。次に壁紙の継ぎ目が開き、壁にひびが走ります。ここまでは見た目の話です。

困るのは配管です。排水は勾配で流れます。建物が傾くと、その勾配が設計と違う向きになります。台所や浴室の水が流れにくくなり、詰まりが増えます。床下で配管の継ぎ目が外れると、漏れた水が土台を濡らします。

外壁の目地が切れると、そこから雨水が入ります。床下に湿気がたまると、カビが出て木が腐ります。腐った土台はさらに沈みます。傾きが傾きを呼ぶ形です。

売却時期による手続きの違い

観点親が元気なうち判断能力を失った後
契約を結ぶ人所有者本人成年後見人
必要な手続き通常の売買契約家庭裁判所の許可(民法第859条の3)
売却にかかる期間通常の期間申立てから審判まで数か月追加

シロアリは湿った木に寄るので、腐りと同時に進みます。

住む人の側にも出ます。段差のないところでつまずく。物を落とすと一方向に転がる。高齢の親が暮らしているなら、転倒の危険が先に来ます。6mmを超えるあたりから体調の訴えが出るという話もありますが、原因を傾きだけに結びつけられるものではありません。

分かれ目は進行の有無です。止まっている傾きなら、暮らしの工夫で凌げます。進んでいる傾きは、待つほど工事の範囲が広がります。床の補修で済んだはずの家が、基礎と地盤をまとめて直す工事に変わります。費用の桁が1つ上がる場面は、ここで起きます。

親が元気なうちに売るか、相続まで持つか

所有者が契約できる状態かどうかが、最初の条件です。判断能力を失うと、本人は売買契約を結べません。成年後見人を選ぶ手続きが要ります。選ばれた後も、本人が住んでいた不動産を売るには家庭裁判所の許可が必要です(民法第859条の3)。申立てから審判までは数か月かかります。手順は「親が認知症で家を売る方法」の記事にまとめています。

相続まで持つ場合は、買主を探す前に名義を直す作業が挟まります。申請の期限は、不動産を相続で取得したと知った日から3年。この義務が始まったのは2024年4月1日ですが、それ以前に相続を知っていた人も外れず、区切りは2027年3月31日になります(相続登記の申請義務化について(法務省))。傾いた家では、勾配を測る作業とこの登記を並行して進めることになります。

空き家のまま置くと、別の負担も出ます。管理されていない状態が続き、市町村から特定空家等として勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例から外れます。傾いた建物は、倒壊の恐れを理由に指摘される側に回りやすい建物です。

税の扱いも分かれます。親が住んでいるうちに本人が売るなら、居住用財産を売ったときの3,000万円特別控除が候補になります。相続後に売るなら、相続した空き家の特例の方です。こちらは要件が多く、傾いた建物では引っかかる条件があります。中身は「傾いている家でも売却可能な3つの方法と手取りの差」の節に書きました。

決める時期は、介護や施設の費用が動く日から逆算すると見当がつきます。工事をしてから売るなら、工期と売却期間で半年以上。現況のまま売るなら、数週間で日程が組めます。手元の資金がいつ要るかで、選べる方法が絞られます。

傾きが引き起こす不具合の連鎖

  1. 1

    排水勾配の狂いと漏水

    配管の継ぎ目が外れ、漏れた水が土台を濡らします。

  2. 2

    床下の湿気と腐朽

    湿気がたまり、カビの発生や木材の腐食が進みます。

  3. 3

    シロアリの発生

    湿った木にシロアリが寄り、腐食と同時に進行します。

  4. 4

    土台の沈下と傾きの悪化

    腐った土台がさらに沈み、傾きが傾きを呼ぶ連鎖になります。

「傾いている家に住み続けるリスクと、生前に売却を決めるタイミング」について、そのまま聞けます。

傾いている家の売却でマイナスが出る4つの要因

手取りがマイナスに近づくのは、直す費用と壊す費用が土地の値を削り切るときです。

提示された金額が思ったより低いなら、理由はこの4つのどれかに入っています。どれが効いているかで、打てる手が変わります。

1. 傾きを戻す工事の費用が、工法で変わる

沈下した建物を戻す工法は、いくつかに分かれます。建物を持ち上げて基礎との間を調整する方法。基礎の下に耐圧板を入れて押し上げる方法。支持層まで鋼管を圧入して建物を支える方法。基礎の下に薬液を注入して持ち上げる方法。

どれを使うかは、支持層の深さ、建物の重さ、敷地に重機が入るかで決まります。同じ傾きでも、工法が変われば費用の桁が変わります。金額は、現地と地盤の資料を見ないと出せません。見積書で確かめる項目を挙げます。

  • 工法の名前と、その工法を選んだ理由
  • 支持層の深さを、何の資料から判断したか
  • 住んだまま工事ができるか、仮住まいが要るか
  • 工期と、天候で延びた場合の扱い
  • 保証の年数と、保証の対象になる範囲
  • 工事の後にまた沈んだ場合、誰が費用を持つか

見積りは2社以上から取ってください。工法の違う見積りを並べると、何に対して払う金なのかが見えます。1社だけでは、その工法が妥当かを判断する材料がありません。工事を急がせる説明が出てきたら、計測の数値に戻って考えてください。

沈下修正の見積書で確かめる項目

  • 工法と深さの根拠

    選んだ工法の理由と、支持層の深さを判断した資料を確かめる。

  • 工期と生活への影響

    住んだまま工事できるか、仮住まいが必要か、天候による延長を見る。

  • 工事後の保証と責任

    保証の年数と範囲、再び沈んだときに誰が費用を持つかを確認する。

2. 原因が地盤にあると、建物の工事だけでは終わらない

建物を水平に戻しても、地盤が動き続ければまた傾きます。買主がいちばん警戒するのはここです。

地盤側の原因は、敷地の履歴に出ます。盛土と切土にまたがる敷地。埋め戻した沢や池、古い水田。擁壁の変形。地下水位の変化。隣で行われた大きな掘削工事。

擁壁が絡むと、建物とは別に擁壁をやり直す費用が乗ります。高さのある擁壁では、作り直すだけで建物の工事と同じ規模になることもあります。がけに近い敷地で何が制限されるかは「がけ条例の土地が売れない理由」の記事に書かれています。

沈下が止まっている証拠がないと、買主は再発の費用を価格に織り込みます。測った記録が価格の材料になるのは、この理由からです。記録がない物件は、いちばん重い想定で計算されます。

沈下修正の4工法とアプローチの違い

工法アプローチする箇所傾きの戻し方
基礎との間を調整建物と基礎の間建物を持ち上げて隙間を埋める
耐圧板で押し上げ基礎の下板を差し込んで上へ押し上げる
鋼管を圧入支持層から建物まで鋼管を深く打ち込んで支える
薬液を注入基礎の下薬液を流し込んで持ち上げる

3. 解体費が土地の値に近づくと、建物はマイナスの資産になる

事業者の見方は単純です。土地として売れる値から、解体費と読めない費用を引きます。残った額が提示額の土台になります。

土地の値の見当は、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域と面積帯を指定すれば確かめられます。ここに出るのは、一般の買主が買った価格です。傾いた家が建ったままの価格ではありません。

解体費は建物の大きさだけでは決まりません。前面道路が狭く重機が入らない。隣家との間が狭く、手壊しの範囲が増える。アスベストを含む建材がある。こうした条件で上がります。考え方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事に整理しています。

解体して更地にすると、翌年度から固定資産税が上がります。住宅が建っている土地は、小規模住宅用地として課税標準が価格の6分の1になる特例があるためです(地方税法第349条の3の2)。更地のまま持つ期間が長いほど、その差額が手取りを削ります。

4. 建て直せない土地だと、買主がさらに減る

建築基準法第43条は、建築物の敷地が道路に2m以上接していることを求めています。ここでいう道路は同法第42条で定義されており、幅の足りない通路は原則として道路に当たりません。市街化調整区域や、がけに近い敷地でも制限が入ります。

建て直せない土地では、傾いた建物を直して使う以外の道が残りません。買える相手は限られ、価格は土地の相場から離れます。理由は「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事にあります。

この要因は工事では消せません。4つのうち、金で動かせるのは1番目と2番目です。3番目と4番目は土地の条件なので、売り方の側を合わせることになります。

傾いている家でも売却可能な3つの方法と手取りの差

売却可能な方法は、直してから売る・現況のまま売る・解体して土地として売るの3つです。

選ぶ基準は2つしかありません。手元に工事の資金があるか。売り終わるまで何か月待てるか。

直して仲介と現況買取の違い

観点直して仲介で売る現況のまま買取で売る
主な買主一般の買主事業者が中心
売却までの期間工事と売却で半年以上(読めない)工期を待つ必要がなく読める
事前の準備傾きを直す工事が必要残置物や庭木も残したままでよい
価格の決まり方現況より上がるが工事費全額は乗らない直す費用や原因が読めない分を引いた額

1. 直してから、仲介で一般の買主に売る

工事を終えてから売りに出す方法です。工事の記録と保証書が残るので、買主は住宅ローンを組みやすくなります。価格は現況のままより上がります。

注意は3つあります。工事費がそのまま全額価格に乗るとは限らないこと。工法によっては工事中に住めないこと。工事と売却で半年以上かかることです。工事が終わってから買主を探し始めるので、売れるまでの期間は読めません。

直した後も、傾いていた事実と工事の内容は買主に伝えます。隠して売ると、後から責任を問われます。工事の記録は、告知の材料であると同時に、価格を支える材料でもあります。保証書は、残っている年数が重要です。

仲介で売る場合は、売買が成立したときに仲介手数料がかかります。宅地建物取引業法で上限が決められています。手取りを計算するときは、この分も引いてください。

2. 現況のまま、買取で売る

直さずに引き渡す方法です。買主は事業者が中心になります。価格は、直すか壊すかの費用と、原因が読めない分を引いた額になります。

その代わり、期間が読めます。工事の見積りや工期を待つ必要がありません。床下のカビ、残置物、伸びた庭木も、残したまま進められます。片付けと処分の費用は、買主側の計算に入ります。進め方は「空き家をそのまま売る方法」の記事にまとめています。

免責の特約を付けても、売主が知っていながら伝えなかった事実については責任を免れません(民法第572条)。現況で売るときほど、測った数値と不具合を書面に残す意味があります。数値を出したうえで引かれた価格は、後から動きません。

3. 解体して、土地として売る

建物を壊して更地で売る方法です。解体費は売主の負担になります。建物を取り壊したら、1か月以内に滅失の登記を申請します(不動産登記法第57条)。

更地にした後の固定資産税は、「3. 解体費が土地の値に近づくと、建物はマイナスの資産になる」で書いた特例が外れた水準になります。売れるまでの期間が読めないなら、この差額を先に見込んでおいてください。

傾いている家を売る3つの方法

売却方法選ぶ基準
直して仲介に出す工事の資金があり、半年待てる場合
現況のまま買取で売る資金がなく、日程を読みたい場合
解体して土地として売る相続した家で控除を使う場合

相続した家を解体して売る場合、相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除が候補になります。主な要件の1つが、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋で、譲渡のときに耐震基準に適合しているか、取り壊して売ることです。傾いた建物で適合の証明を取るのは難しいため、実務では取り壊す形が選ばれます。令和6年1月1日以後の譲渡では、買主が引渡しの翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しを行う場合も対象になりました。家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上いるときは、1人あたりの控除額が2,000万円になります。要件はほかにもあります(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。判定の順番は「空き家3000万円控除の条件」の記事に書かれています。

「傾いている家でも売却可能な3つの方法と手取りの差」について、そのまま聞けます。

傾いている家の売却を決めるまでに、先にやる手順

木造住宅の基礎部分と床下換気口

最初に取るのは工事の見積りではなく、勾配の実測値と、傾きが進んでいるかどうかの記録です。

順番を逆にすると、話が工事をする前提で進みます。売るかどうかを決める前に、工事の契約を勧められる場面が出てきます。

1. 勾配を測り、基準点を残してもう一度測る

手順は決まっています。依頼先を決める。部屋ごとに測る。基準にした点に印を付け、日付を書く。写真を撮る。半年から1年あけて、同じ点をもう一度測る。

2回目の数値が同じなら、沈下はいったん止まっています。工法の選択肢が増え、買主への説明もしやすくなります。数値が動いていれば、原因を止める工事が先に来ます。建物を戻すだけの工事では、また同じ場所が下がります。

待てない事情があるなら、2回目を待たずに決めて構いません。その場合は、1回目の数値と測定日を書面に残したうえで、現況のまま売る側に寄せる判断になります。待てる期間が、選べる方法を決めます。

売却を決めるまでに先にやる手順

  1. 1

    1回目の測定と記録

    部屋ごとに測り、基準点に印と日付を書き写真を撮ります。

  2. 2

    半年から1年待つ

    期間をあけて同じ点を再度測り、進行の有無を見ます。

  3. 3

    2回目の測定で比較

    数値が同じなら沈下は停止、動いていれば工事が先になります。

  4. 4

    待てない場合の判断

    1回目の記録を書面に残し、現況のまま売る選択をします。

2. 原因を、地盤と建物に切り分ける

床下に入って見る項目から始めます。土台と大引の腐り、蟻道の有無、基礎のひび、束の浮き、地面の湿り。シロアリや雨漏りが絡む家の進め方は「雨漏り・シロアリの家を売却する」の記事に書かれています。

敷地の履歴も調べます。古い地形図や航空写真で、造成の前が何だったかを見ます。沢、池、水田、傾斜地の盛土。ここに当たると、建物側の工事だけでは収まりません。市役所の都市計画や宅地造成の担当課で、造成の年代が分かることもあります。

液状化や土砂災害、浸水の想定は、国土交通省のハザードマップポータルサイトで地図に重ねて確かめられます。無料で見られるので、調査を頼む前にここを開いてください。

地盤の強さを数値で見るなら、スクリューウエイト貫入試験(以前はスウェーデン式サウンディング試験と呼ばれた方法)が一般的です。支持層が深い場合や、建て替えを前提にする場合はボーリング調査になります。費用は調査の点数と深さで変わるので、見積りで確かめてください。

増築した家は、継ぎ目を見ます。増築部分の基礎が別に作られていると、そこだけ沈んで段差が出ます。この場合は建物側の問題なので、地盤をいじらずに収まることもあります。原因が建物にあると分かれば、工事の範囲はぐっと狭くなります。

傾いている家の売り方を選ぶ手順と、売却がマイナスになった場合の特例

食卓で1枚の紙を見ながら話し合っている家族

売り方は、工事の見積りと買主の提示額を同じ紙に並べ、手取りの差を見てから決めます。

金額だけを横に置いても比べられません。引かれる費用と、かかる月数を同じ条件でそろえます。

1. 見積りと提示額を、同じ条件で並べる

並べる欄は次のとおりです。

  • 受け取る金額
  • 傾きを戻す工事の費用
  • 仮住まいと引越しの費用
  • 解体費と、残置物の処分費
  • 測量や境界の確認にかかる費用
  • 登記の費用(抵当権の抹消、住所の変更、相続した物件なら相続登記)
  • 売買契約書の印紙代
  • 仲介で売る場合の仲介手数料(当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません)
  • 引渡しまでの固定資産税、火災保険、草木の管理
  • 譲渡所得にかかる税

費用の全体像は「不動産売却の費用一覧」の記事にまとめています。買取で発生しない費用も、そこで分かります。

月数も同じ表に入れてください。仲介で半年かかるなら、その6か月分の保有費を引いた額が、買取の提示額と並ぶ数字になります。工事をする場合は、工期の分も足します。金額の差が保有費より小さいなら、期間の短い方が残る額は多くなります。

手取りを比べるために並べる項目

  • 受け取る金額

    提示された物件の価格。

  • 工事と処分の費用

    傾きを戻す工事、仮住まい、解体、残置物の処分にかかる費用。

  • 手続きと税金の費用

    測量、登記、印紙代、仲介手数料、譲渡所得にかかる税。

  • 期間で増える保有費

    売れるまでの月数と工期にかかる、固定資産税や火災保険などの費用。

2. 告知を書面にし、売却がマイナスになった場合の特例を確かめる

契約の前に、告知書を作ります。実測した勾配、測定日、測った人、閉まらない建具、雨漏りの跡、過去の工事。写真を添えると、後から争いになりにくくなります。

買主が免責の特約を用意しても、知りながら告げなかった事実は免責の外です(民法(e-Gov法令検索) 第572条)。隠して高く売るより、出したうえで引かれる方が、結果として揉めません。

売却がマイナスになった場合に使える特例は2つあります。買い換える場合の特例(国税庁タックスアンサーNo.3370)と、住宅ローンが残っている家を売った場合の特例(同No.3390)です。どちらも自分が住んでいた家に限られ、居住していた期間などの要件があります。

相続した空き家や、誰も住んでいない別荘で損失が出ても、ほかの所得と差し引く扱いにはなりません。親が住んでいるうちに売るか、相続後に売るかで使える制度が変わるのは、この点です。売る前に、どちらの立場で売るのかを決めておいてください。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「傾いている家の売り方を選ぶ手順と、売却がマイナスになった場合の特例」について、そのまま聞けます。

当社に傾いている家の売却を相談する場合

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社に傾いている家の売却を相談する場合」について、そのまま聞けます。

傾いている家の売却で、先に決める3つ

  • 数値から始めます。 床が1mあたり何mm下がっているか。3mm未満か、3mm以上6mm未満か、6mm以上か。帯が変われば買主の層が変わります。測った日と測った人を、必ず書き残してください。
  • 方法は、資金と期間で決まります。 工事の資金があり半年待てるなら、直して仲介に出す。資金がなく日程を読みたいなら、現況のまま買取で売る。相続した家で控除を使うなら、解体して土地として売る。比べるときは、提示額から引かれる費用と、持ち続ける月数まで入れます。
  • 隠さずに書面へ出します。 実測値と不具合を告知書に残します。免責の特約があっても、知っていて告げなかった事実の責任は消えません。出したうえで引かれた価格は、後から動きません。

傾いたままの家は、工事をせずそのままの状態で引き取ります。ただし沈下が今も進んでいる家は、原因が特定できるまで金額をお出しできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

傾いている家の売却でよくある質問

Q1. 傾いている家は、直さないままでも売却できますか

できます。現況のまま引き渡す契約になります。買主は、直すか壊すかの費用を見込んで金額を出します。直してから売るより手取りは下がります。その代わり、工事の見積りや工期を待たずに日程を組めます。判断の材料は、工事の見積りと提示額を並べたときの差額です。差額が工事費と仮住まいの費用を上回るなら、直してから売る意味があります。

Q2. 傾きは何mmから買主に告知が必要ですか

数値の下限は決まっていません。1mあたり3mmや6mmという区切りは、瑕疵の可能性を見る目安であって、告知の線引きではありません。売主が知っている不具合は、数値の大小にかかわらず伝えます。免責の特約を結んでも、知りながら告げなかった事実の責任は残ります(民法第572条)。実測値、測定日、建具の不具合を書面にして渡すのが、いちばん確実です。

Q3. 沈下修正の工事は、費用の目安を教えてもらえますか

工法と支持層の深さで桁が変わるため、現地と地盤の資料を見ない段階の目安は出せません。見積りを取るときは、その工法を選んだ理由、保証の年数と対象、工事後にまた沈んだ場合の扱いを、書面に入れてもらってください。工法の違う見積りを2社以上そろえると、金額の根拠を比べられます。計測だけを頼める相手を別に持っておくと、判断がしやすくなります。

Q4. 地盤調査は、売る前にやるべきですか

売り方で変わります。現況のまま事業者に売るなら、買主側が調べるので、売主が先に行う必要は高くありません。直してから仲介に出すなら、調査の結果が工法の根拠になります。費用を抑えたいなら、まず敷地の履歴とハザードマップを見て、地盤に原因がありそうかを確かめてください。そのうえで調査の要否を決めると、無駄が減ります。

Q5. 傾いた家を売って損が出たら、税金は戻りますか

自分が住んでいた家であれば、譲渡損失をほかの所得と差し引ける特例が2つあります。買い換える場合と、住宅ローンが残っている場合です。相続した空き家や、誰も住んでいない家の損失は対象になりません。適用には、居住していた期間や面積などの要件があります。売る前に、税務署または税理士に確かめてください。

Q6. 親が認知症になりました。傾いた実家を売却できますか

本人が契約できる状態でなければ、そのままでは売れません。成年後見人を選任し、居住用の不動産であれば家庭裁判所の許可を得てから売ることになります(民法第859条の3)。申立てから審判までは数か月です。傾きが進んでいる家では、その間に工事の範囲が広がることがあります。判断能力に不安が出た時点で、司法書士や弁護士にご相談ください。

Q7. 「現況有姿・契約不適合責任は免責」と言われました。あとから責任を問われませんか

宅地建物取引業者が売主になる売買では、契約不適合を通知する期間を引渡しから2年以上とする特約のほかは無効になります(宅地建物取引業法(e-Gov法令検索) 第40条)。これは業者が売主のときの決まりで、個人が売主で業者が買主の取引には当てはまりません。免責の特約はそのまま働きます。ただし、売主が知りながら伝えなかった事実は免責されません。知っていることを全部出したうえで免責にするのが、売主にとって安全です。

当社の見方

戸建てで、再建築不可・空き家の物件を当社が買い取り、販売まで終えました。

神奈川県相模原市緑区の戸建てを、買取金額100万円台で買い取りました(2025年に取引)。

築年数の経った投資用の空き家、そのまま買取成立以前富山に住んでおり、その際に投資用として購入した物件。

今は誰も住んでおらず、空き家期間も長いため建物の状態は悪いです。

富山県富山市の戸建てを、買取金額400万円台で買い取りました。

相続した物件では、戸籍などの書類が追加で必要になります。

ご用意いただく書類は、個別のご案件によります。

ご負担いただく費用は、個別のご案件によります。

リースバック(売却後も賃借人として住み続ける形)も積極的にお受けしています。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
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法令:民法、宅地建物取引業法出典:法務省、国税庁
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