本文へスキップ
空き家のゆくえ買取くん

再建築不可

再建築不可物件の売却はできる?接道2mで分かれる4つの出口

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
再建築不可物件の売却はできる?接道2mで分かれる4つの出口

当社の記録では再建築不可の買取は47件・最多は300万円台です。(出典:再建築不可の買取記録47件の集計)

「再建築不可物件になると、この家はどうなるのか。売ることはできるのか」。前の道が建築基準法の道路で敷地が2m以上接していれば建てられる土地として売れ、そうでなければ隣の土地の持ち主か、建物を直して使う買主が売り先になります。

当社は直して使える再建築不可の家を建物ごと今の状態のまま買い取り、お出しする金額は直す費用と買い手が限られる分を引いた額です。擁壁の責任の所在が決まらない敷地は買い取れず、隣の方が買いたいと言っている土地には当社より高い値が付きます。この土地が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(12章)

再建築不可物件の売却は、建物が傷んだままでも相談できます

約1分で簡単査定を申し込む

この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

建て替えのできない家でも、売ること自体はできます。誰に売れるかは、前の道が建築基準法の道路にあたるかと、敷地がそこに2m以上接しているかの2点でほぼ決まります。2つとも満たせる見込みがあれば、住宅ローンを使う一般の買主にも届きます。満たせなければ、買主は隣の土地の持ち主か、今の建物を直して使う人に絞られ、価格もその分だけ周りの土地より下がります。どちらに当たるかは、役所の建築指導の窓口で前の道の扱いを聞けば、売り出す前に確かめられます。

再建築不可物件の売却はできる?接道2mで分かれる4つの出口の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

再建築不可物件とは?売却の前に知る「道路」と「2m」の決まり

再建築不可物件とは、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していないため、今の家を壊すと新しい家の建築確認が下りない土地と建物のことです。判定を分けるのは、前の道がその「道路」にあたるかと、接している長さが2mに届くかの2つです。家の築年数や傷み方は、この判定には入りません。

道路に2m以上接していない敷地では、再建築の確認が下りない

売主の側から見ると、道に届く長さが足りない敷地では、今の家を壊したあとに新築する計画が認められません。着工前の建築確認で敷地の接道が審査され、満たしていなければ確認が下りず、工事を始められないためです。根拠は建築基準法第43条第1項です(建築基準法(e-Gov法令検索))。火事や災害のときの避難と消防の経路を、敷地の前まで確保しておく目的の規定とされています。

2mは、敷地と道路が接している部分の長さを指し、道路の幅のことではありません。路地の奥に家が建つ旗竿地では、自治体の条例で路地の部分に上乗せの決まりを置いている地域もあります。路地の形で価格がどう変わるかは、「旗竿地が売れない理由」の記事で、間口と路地の幅の測り方とあわせて確かめられます。

接している長さが2mにわずかに届かない敷地も、判定は同じで、建て替えはできません。ただ、こうした敷地は、隣の土地を細く分けてもらえば足りることがあります。まったく道に接していない敷地と比べると、建てられる状態に戻せる見込みが大きく違います。

敷地が道路に接する長さ2mの測り方

観点間口の広い敷地旗竿地
測る場所道路と接している部分の長さ路地の入口と奥までの間で最も狭い場所
道路の幅接道の長さには含まれない接道の長さには含まれない

前の道が建築基準法上の道路にあたるかで、売却の判定が変わる

道が目の前にあっても、それが建築基準法上の道路でなければ、接道の決まりは満たせません。同法第42条は、道路を原則として幅員4m以上のものと定めています。そのうえで、この決まりが適用されたときにすでに建物が立ち並んでいた幅4m未満の道で、特定行政庁が指定したものを「2項道路」と呼び、道路とみなしています。2項道路では、道の中心線から2mの線が道路の境界線とみなされます。

2項道路かどうかの判断には、道の見た目の幅ではなく、指定の記録が使われます。幅が4mに満たない道でも指定されていないことがあり、反対に、今は車が通れないほど狭い道が指定されていることもあります。目で見た幅で決めつけず、記録で確かめるのが確実です。

私道でも、位置指定道路のように道路として扱われるものがあります。反対に、舗装されていても、昔からの通路や農道のように道路にあたらない道もあります。公道か私道かの区別と、建築基準法の道路かどうかの区別は別のもので、道の持ち主を調べても答えは出ません。

答えを持っているのは、市区町村の建築指導の担当課です。2項道路であれば、道の中心から2mの線まで敷地を下げれば建て替えられます。この場合の家は厳密には再建築不可ではなく、建て替えに条件の付く家として売り出せます。

再建築不可物件の判定を分ける条件

  • 前の道が建築基準法上の道路か

    道が目の前にあっても、法上の道路でなければ接道の決まりは満たせない。

  • 道路に接する長さが2m以上か

    道路の幅ではなく、敷地と道路が接している部分の長さを測る。

  • 築年数や傷み方は判定外

    家の古さや傷み具合は、再建築できるかどうかの判定には入らない。

建て替えができなくても、再建築不可物件に住むことや直して使うことはできる

再建築不可という判定は、家を壊して新しく建てる場面にかかるものです。今建っている家に住み続けることや、傷んだところを直して使うことまでは止められていません。売るときの買主も、直して住むか、直して貸すかを考えて値を付けます。

直して住む人に売るなら、どのくらい直せば住めるかを売主の側でも把握しておくと、話が早く進みます。雨漏りの跡、床の沈み、建具の閉まり具合を写真に残しておくだけでも、買主は現地を見る前に見当をつけられます。

どこまでの工事なら手続きなしでできるかは、建物の規模と工事の範囲で変わります。大きな工事に建築確認が要る場面の扱いは、「再建築不可物件の売却前に何を確かめる?4つの答えで売り先を診断する」の章にある「4. 建物と敷地の傷みは、直せば住める範囲に収まっているか」で、国土交通省の資料の整理とあわせて確かめてください。

再建築不可物件の売却が難しいのはなぜ?融資が付きにくく、持つ費用は減らない

リビングのテーブルに向かい合い、話し合っている家族

売却が難しくなるのは、住宅ローンを使う買主の多くが外れる一方で、売れるまで持つ費用は普通の家と同じだけかかるからです。相続した家なら、ここに相続登記の3年の期限が重なり、売る時期を自分の都合だけでは置けなくなります。

住宅ローンが使いにくく、再建築不可物件の買い手が絞られる

家を買う人の多くは住宅ローンを使います。金融機関は土地と建物を担保として評価し、そのうえで貸す額を決めます。建て替えのできない土地は、建物が使えなくなったときに担保としての値打ちが大きく下がるため、評価が厳しくなりがちです。融資が付かなければ、買主は手元の資金で買える人に限られ、そのぶん売れるまでの期間も延びます。

候補に残るのは、隣の土地の持ち主と、資金を持っていて直して住む人や貸す人、そして買取業者です。建て替えのできる家と同じ広告の出し方で待っていると、内覧のあとで融資が付かずに話が止まることが重なります。そのたびに数か月が過ぎていきます。

価格が周りの土地より下がるのも、この買い手の絞られ方から来ています。買主は、買う人の少なさと、直して使う費用、将来手放すときにまた同じ買い手探しになることを見込んで値を付けます。傷みの少ない家でも、この差は消えません。

買取業者も現金で買う買主ですが、買ったあとに直す費用と、次の買い手探しにかかる期間を自分で引き受けます。提示される価格には、その分が先に差し引かれています。誰が買うかで、引かれる中身が変わると考えておいてください。

再建築不可物件の買い手が絞られる流れ

  1. 1

    一般の買主が外れる

    担保の評価が厳しく、住宅ローンの融資が付きにくい。

  2. 2

    現金で買える人に絞られる

    隣の持ち主や、直して使う人、買取業者が候補に残る。

  3. 3

    買取業者の価格提示

    直す費用と次の買い手探しの期間が先に差し引かれる。

売れるまでの固定資産税と管理の手間は、建て替えのできる家と同じだけかかる

建て替えられるかどうかに関係なく、土地と建物への課税は毎年かかります。住宅が建っている土地は、地方税法第349条の3の2により、課税標準が価格の3分の1、200平方メートル以下の部分は6分の1になる特例を受けています。この特例は、市町村から管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると外れ、家を取り壊して更地にしたときも外れます。

建て替えのできる土地なら、新しく家を建てれば特例はまた使えます。再建築不可の土地では建て直せないため、一度更地にすると、売れるまで特例の外れた税額を払い続けることになります。勧告までの流れと税額の変わり方は、「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事で、地方税法第349条の3の2の扱いとあわせて確かめられます。

空き家のまま置くなら、草木の手入れや雨漏りの点検、台風のあとの見回りも欠かせません。再建築不可の家は、取り壊すという選択が税の面で取りにくい家です。建物を残したまま売るか、残したまま持ち続けるかの二択になりやすいことを、売り出す前に頭に入れておいてください。

相続した再建築不可物件は、売却の前に相続登記の期限も進む

親から相続した家を売るには、先に名義を相続人に移す相続登記が要ります。不動産登記法第76条の2第1項は、相続で不動産を取得した人に、相続の開始と取得を知った日から3年以内の申請を求めており、この義務は2024年4月1日に始まりました(法務省「相続登記の申請義務化について」)。建て替えのできない家だからといって、対象から外れることはありません。

2024年4月1日より前に亡くなった親の家も対象になります。その期限は、施行日の2024年4月1日と、自分が相続で取得したと知った日の遅い方から3年です。施行日より前から相続を知っていた人は2027年3月31日まで、施行日より後に知った人は、知った日から3年が経つ日までになります。

相続人が複数いる場合は、売る前に遺産分割協議で誰が家を相続するかを決めます。再建築不可の家は値が付きにくいぶん、誰も引き受けたがらず、話し合いが長引くこともあります。売って代金を分けるなら、そのことを協議の書面に書いておくと、売り先が決まってから揉めずに済みます。

再建築不可の家は、買い手探しに時間がかかりやすい家です。隣への打診や業者への相談と並行して、司法書士に登記を頼む段取りを先に進めておくと、売り先が決まったのに名義が整っていないという足止めを避けられます。

「再建築不可物件の売却が難しいのはなぜ?融資が付きにくく、持つ費用は減らない」について、そのまま聞けます。

再建築不可物件の売却前に何を確かめる?4つの答えで売り先を診断する

確かめるのは、接道の長さ、前の道の種類、隣の土地の持ち主の意向、建物と敷地の傷みの4つで、この答えの組み合わせで売り先が決まります。前の2つは役所と法務局の書類で白黒がつき、後の2つは人と現地を見て決まるため、調べる順番も前の2つが先です。

売却前に確かめる4つの項目

  • 接道の長さ

    法務局の地積測量図や巻尺で2mあるか確かめる

  • 前の道の種類

    役所の建築指導窓口で道路の扱いを聞く

  • 隣の土地の持ち主の意向

    売却や貸し借りに応じるか人と現地を見て決める

  • 建物と敷地の傷み

    直せば住める範囲か人と現地を見て決める

1. 再建築不可物件の敷地は、道に接している長さが2mあるか

長さを知る早道は、法務局で取れる地積測量図です。道に面した辺の長さが書かれていることが多く、図面があれば数字で確かめられます。図面の無い古い土地では、巻尺で境界標から境界標までを測ると見当がつきます。境界標が見つからないときは、塀の位置と実際の境界がずれていることもあるので、測った値は目安にとどめてください。

路地を通って道に出る敷地では、路地の入口の幅だけでなく、奥までの間で最も狭い場所も測ります。隣の塀や物置が路地にはみ出して幅が狭まっている例は、珍しくありません。どこを測った値で判定されるかを役所で確かめておくと、買主の調査で別の数字が出たときに慌てずに済みます。

道に接している長さを確かめる2つの方法

観点地積測量図巻尺
確かめ方法務局で図面を取り数字を見る境界標から境界標までを測る
対象の土地図面がある土地図面がない古い土地
結果の扱い確実な数字として扱える塀と境界のずれもあるため目安にとどめる

2. 前の道は、建築基準法の道路か、2項道路か、道路にあたらない通路か

前の道の種類は、役所の建築指導の担当課で地番を伝えれば教えてもらえます。2項道路なら、どこまで敷地を下げるかの線の位置もあわせて聞いておきます。「道路ではない」と言われた場合も、同じ道に面した家が、建築基準法第43条の許可を受けて建てられた例があるかを聞いてください。建てられる状態に戻せるかを測る材料になります。

前の道が私道なら、道路として扱われるかとは別に、持ち主から通行や水道管の工事の承諾を得られるかが、買主の大きな関心になります。承諾書が無いまま売る場合の進め方は、「私道の承諾書がもらえない家の売却」の記事で、通行と掘削の取り決めの実務とあわせて確かめられます。

3. 隣の土地の持ち主は、再建築不可の土地の売却や貸し借りに応じそうか

隣の土地の持ち主は、再建築不可物件に最も高い値を付けうる買主であり、建てられる状態に戻すための土地を持つ相手でもあります。両側と裏の土地の持ち主を登記事項証明書で確かめ、住んでいる人と持ち主が同じかを見ておきます。持ち主が亡くなって相続の手続きが止まっている土地もあるので、打診の相手を取り違えないためにも、ここは書類で確かめてください。

隣が法人の土地や、借地になっている土地のこともあります。借地なら、土地の持ち主と、その上に家を建てて住んでいる人が別にいるため、何を頼むかで話の相手が変わります。

この段階では、まだ話を持ちかけなくてかまいません。隣の家が建て替えの時期に来ていないか、空き家になっていないか、駐車場が足りずに困っていないか。こうした事情の手がかりを集めておくほど、売る・買う・貸すのどれなら応じてもらえそうかの見当がつきます。

4. 建物と敷地の傷みは、直せば住める範囲に収まっているか

直して使えるかどうかは、再建築不可物件の買主が値を付けるときの中心です。傾き、雨漏り、床下の土台の腐り、シロアリの跡、擁壁のひび割れを一つずつ見て、直す費用が建物を使い続ける価値に見合うかを判断します。擁壁がある敷地では、擁壁の高さと、造ったときの検査の記録が残っているかも確かめます。記録の無い古い擁壁は、買主が作り直しの費用を見込むため、価格に直接響きます。

工事の範囲が大きいときに気をつけたいのが、建築確認の要否です。2025年4月に施行された建築基準法の改正で、木造2階建ての家でも、大規模の修繕や模様替えに建築確認が要るようになりました。国土交通省の資料では、大規模の修繕や模様替えをする既存不適格の建物について、接道の決まりは、利用者が増える用途の変更を伴わず、特定行政庁が交通・安全・防火・衛生の上で支障がないと認めれば、既存不適格のままでよいと整理されています(建築基準法第86条の7第1項、建築基準法施行令第137条の12第11項、国土交通省「大規模の修繕・模様替を行う既存不適格建築物への緩和措置」)。

既存不適格とは、建てた当時は決まりに合っていたものの、あとで決まりが変わって合わなくなった建物のことです。建てたときから決まりに反していた建物は、扱いが別になります。どちらに当たるかで買主の見方も融資の可否も変わるので、「既存不適格と違法建築の違い」の記事で、建てた当時の確認の記録の調べ方を見ておいてください。

1から4の確認のうち、当てはまるものに印を付けてください。

  • □ 敷地が道に接している長さが、いちばん狭いところで2m以上ある
  • □ 前の道が、建築基準法の道路(後退すれば道路とみなされる2項道路を含む)だと役所で確かめた
  • □ 隣の土地の持ち主が、土地の一部を売るか貸す、またはこちらの土地を買う話に応じそう
  • □ 建物と敷地の傷みが、直せば住める範囲に収まっている

印の付き方で、合う売り方は次の4つに分かれます。

  • 1つ目と2つ目にどちらも印が付いた:建て替えのできる土地か、2項道路の後退で建てられる土地です。建てられる状態に整えて、一般の買主に売る道が開いています。
  • 1つ目か2つ目が欠け、3つ目に印が付いた:隣の人に売るか、隣から土地の一部を買って2mに届かせてから売る道を先に試します。
  • 1つ目か2つ目が欠け、3つ目は無く、4つ目に印が付いた:建物を直して使う前提の買取業者が、売り先の中心になります。
  • 1つ目か2つ目が欠け、3つ目も4つ目も無い:売る相手を見つけにくい土地です。相続で取得した土地なら、建物を取り壊したうえで国に引き渡す制度を考える段階です。

それぞれの道の中身は、「建てられる状態に戻してから売却できる再建築不可物件は?2項道路と隣地の2m」「隣の人に再建築不可物件を売却すると、価格はどう変わる?」「再建築不可物件を買取業者に売るか、売れずに国へ引き渡すかの分かれ目は?」の各章で確かめられます。1つ目か2つ目が欠けていても、前の道に面した家で建築基準法第43条の許可の例があるなら、建てられる状態に戻す道はまだ残っています。

建てられる状態に戻してから売却できる再建築不可物件は?2項道路と隣地の2m

建てられる状態に戻せるのは、前の道が2項道路で敷地を下げれば足りる場合と、隣の土地の一部を買うか借りて接する長さを2mに届かせられる場合が中心です。戻せるかどうかは工事の費用より相手で分かれ、後退なら役所の判定、隣の土地なら持ち主の承諾が決め手になります。どちらかが決まれば、住宅ローンを使う一般の買主に向けて売り出せます。

1. 隣の土地の一部を買うか借りて、再建築不可物件の接道を2mにする

接している長さが少し足りない敷地は、隣の土地のうち道に面した細い部分を分けてもらえば、2mに届くことがあります。分けてもらう部分は、土地家屋調査士が測って分筆の登記をし、売買で名義を移します。費用は、土地の代金に測量と登記の費用が加わる形です。

隣が応じるかどうかは、分けたあとの隣の土地が、隣自身の接道や建てられる家の大きさを損なわないかで決まります。隣にとって失うものが小さい形を図面で示せると、話は進みやすくなります。

土地を借りる形で足りるかどうかは、建築確認を出す役所や審査機関の扱いによります。借りた土地は返せば元に戻るため、買主や金融機関が不安を持つこともあります。借りる形を考えるなら、確認が下りるかを事前に聞き、買主に引き継げる契約にしておいてください。

隣の土地を活用して接道を2mにする方法

  • 隣の土地の一部を買う

    道に面した細い部分を買い、接道を2mにする

  • 隣の土地の一部を借りる

    道に面した細い部分を借りて、接道を2mにする

2. 2項道路に面した再建築不可物件は、道の中心から2mの線まで敷地を下げる

2項道路では、道の中心線から2mの線が道路の境界線とみなされます。その線より道路側に入っている敷地の部分は、建て替えのときに道路として空けておく必要があり、家はもちろん、塀や門もそこには建てられません。道の反対側ががけや川に沿っている場合は、そのがけや川の側の道の端から4mの線までを道路とみなす扱いになります。

下げた分だけ、敷地として使える面積は減ります。建てられる家の大きさも、下げたあとの面積をもとに決まるため、古い家と同じ広さの家が建つとは限りません。売り出す前に、道の中心の位置と下げる線を役所で確かめ、土地家屋調査士に測ってもらっておくと、買主が建てられる家の大きさを見積もりやすくなります。

下げた部分は自分の土地のまま残りますが、道として使われるので、物を置いたり囲ったりはできません。その部分の扱いや税の扱いは自治体ごとに定めがあるため、後退の線と一緒に役所で聞いておくと、買主への説明が具体的になります。

後退の線が決まれば、買主は住宅ローンを使える見込みが立ち、売り先は一般の買主まで広がります。下げる面積と測量の費用を、価格が上がる分と並べて判断してください。

2項道路のセットバックで敷地が狭まる様子

観点下げる前下げた後
敷地の境界今の道の端道の中心線から2mの線
下げた部分の扱い自分の敷地として使える道路として空け、物を置いたり囲ったりできない
建てられる家の大きさ今の敷地面積をもとに決まる下げたあとの面積をもとに決まるため狭まる
売却の相手一般の買主は住宅ローンが使いにくい住宅ローンを使える見込みが立ち売り先が広がる

3. 建築基準法第43条の許可で、再建築不可物件に建てられる場合もある

建築基準法第43条には、接道の決まりを満たさない敷地でも、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可すれば建てられる例外が置かれています。周りに公園や広い空き地があるなど、交通や安全、防火の上で支障がないと認められる場合が対象で、運用の基準は自治体ごとに定められています。同じ条の第2項第1号には、建築基準法の道路にあたらない幅4m以上の道で、国土交通省令の基準に合うものに2m以上接する敷地について、用途と規模が省令の基準に収まる建物なら、特定行政庁が支障がないと認めて建築審査会の同意を経ずに建てられる認定の道もあります。どちらに当たりうるかは、建築指導の窓口で同じ道の過去の例とあわせて聞いてください。

許可は、建てる計画ごとに申請するもので、売る前に土地だけで取っておけるものではありません。同じ道に面した家で過去に許可の例があれば、買主にとって見通しの材料になります。ただ、許可が下りる保証にはならないため、買主はその不確かさを値に織り込みます。

申請には、建てる家の図面や周りの空き地の状況を示す資料が要り、審査会の開かれる時期によっては結果まで数か月かかります。買主が許可を前提に買うなら、許可が下りなかったときに契約を白紙に戻す取り決めを求められることもあります。売主にとっては、その間ほかの売り先を探せない期間が生まれるので、許可の見込みを伝えるときは、役所で聞いた日と担当の課を添えて、話の食い違いを防いでください。

隣の人に再建築不可物件を売却すると、価格はどう変わる?

隣の人にとって、こちらの土地は合わせると道に2m以上接する土地や広い敷地になるため、ほかの買主より高い値を付ける理由のある相手です。その値が実際に出るかは、合わせたときに建てられる土地が生まれるかと、隣の家族に土地を広げたい事情があるかで分かれます。

1. 隣と合わせると再建築不可が解け、売却価格の考え方が変わる

隣の土地が建築基準法の道路に十分接していれば、こちらの土地を合わせた全体は、一つの敷地として建て替えのできる土地になります。隣にとってのこちらの土地の値打ちは、合わせた土地の値から、自分の土地だけの値を引いた額で見ることができます。

隣の土地もこちらと同じく接道が足りない場合でも、2つを合わせると道に接する長さが2mに届くことがあります。この場合は、どちらにとっても相手の土地が欠かせません。片方が買うより、合わせて一緒に売る話の方がまとまりやすいこともあります。

反対に、隣がすでに十分に広い土地を持っているなら、こちらの土地を足しても使い道はあまり広がりません。隣だから高く買うとは限らず、合わせて何が変わるかで値が決まります。

隣の土地と合わせて建てられる敷地になる形

観点合わせる前合わせた後
敷地の状態道に接する長さが2mに届かない一つの建て替えのできる土地になる
隣にとっての価値単独では使い道が限られる合わせた土地の値から自分の土地の値を引いた額
売却の進め方単独で売ると買い手が限られる合わせて一緒に売る話の方がまとまりやすいことも

2. 隣の家族の事情で、再建築不可の土地に出せる値が変わる

隣が値を出せるかどうかは、家族の事情にも左右されます。子どもの家を建てる場所を探している、駐車場が1台分足りない、建て替えを考えていて敷地を広げたい。こうした事情がある時期の隣は、ほかの時期より前向きに話を聞いてくれます。

価格を決めるときは、双方がそれぞれ不動産会社の査定を取り、根拠を見せ合う形にすると、隣どうしの関係を損ねにくくなります。親しい間柄でも、金額と引渡しの日は書面に残してください。

3. 隣に断られたら、再建築不可物件の売却先を切り替える時期を決める

隣に断られても、それが最後の答えとは限りません。相続や建て替えの時期が来ると、隣の事情は変わります。ただ、待つ間も固定資産税と管理の手間は続くので、次の固定資産税の納税通知書が届く前を区切りにするなど、待つ期限を日付で決めておきます。

待つ期間の目安は、「再建築不可物件の売却が難しいのはなぜ?融資が付きにくく、持つ費用は減らない」の章で見た、持ち続ける費用と相続登記の期限から逆算します。その日までに隣の気持ちが変わらなければ、買取業者への相談に切り替えます。売ったあとに隣が買いたいと言っても戻れないので、切り替える前にもう一度だけ隣の意向を確かめておくと、後悔が残りにくくなります。

4. 隣と合わせて一つの土地として、再建築不可物件を第三者に売却する

隣に買う資金が無い場合や、隣も土地を手放したいと考えている場合は、2つの土地を合わせて一つの建てられる土地として、第三者に売る形もあります。合わせた土地は一般の買主が住宅ローンで買える土地になるため、それぞれが別々に売るより、合計の値が上がることがあります。

この形では、売れた代金を2人でどう分けるかを、売り出す前に書面で決めておく必要があります。面積の割合で分けるのか、道に接している側の土地に多く配るのかで、受け取る額が変わるためです。2つの土地の境目がはっきりしていなければ、売り出す前に確かめる手間もかかり、2人の足並みがそろうまでに時間を要します。

再建築不可物件を買取業者に売るか、売れずに国へ引き渡すかの分かれ目は?

古い木造住宅の外観と、手入れされた庭木

今の建物が直せば住める状態なら買取業者が買主になり、建物を残せず隣も買わない土地は、相続で取得したものに限り2023年4月27日に始まった国に引き渡す制度を考えます。分かれ目は建物を直して使えるかどうかで、買取の価格もこの一点を中心に組み立てられます。

1. 直して使える再建築不可物件は、買取業者が現金で買主になる

買取業者は手元の資金で買うので、融資が付かないことで話が止まることはありません。買った家を直し、住む人に売るか、貸して家賃を得るかで資金を回収します。提示される価格は、直したあとに見込める値から、直す費用と、次の買い手が決まるまでの期間と不確かさを引いて組み立てられます。

そのため、同じ再建築不可でも、直す費用の小さい家ほど価格は上がり、雨漏りが広がった家や土台まで傷んだ家ほど下がります。接道の型ごとに価格がどう決まるかは、「再建築不可物件の買取はいくら?接道の型で決まる価格と出口」の記事で、路地の幅や前の道の種類別に確かめられます。

買取業者の中でも、直して自分で貸すのか、直して売るのかで、見ているところは少しずつ違います。貸す前提なら周りの家賃と借り手の多さを、売る前提ならその地域に現金で買える人がどれだけいるかを見ます。提示を受けたら、どちらの前提で組んだ価格かを聞くと、他社の数字と比べやすくなります。

2. 建物が直せない再建築不可物件は、買取でも値が付きにくい

建物が直せないほど傷んでいると、買主が見るのは土地だけになります。建てられない土地の使い道は、車が入るなら駐車場、そうでなければ資材置き場や家庭菜園、隣の庭の延長あたりに限られます。取り壊しの費用が土地の値を上回ることもあり、買取業者でも値を付けにくくなります。

駐車場として貸すにも、車が前の道から入れる幅と、敷地の中で切り返せる広さが要ります。路地の奥の土地はこの条件を満たしにくく、建物を壊した時点で、使い道が隣の人に限られることも珍しくありません。

この状態の家で手取りを残すには、建物が使えるうちに売ることが何より効きます。傷みは時間とともに進み、直して使える家から直せない家へ移った時点で、買主の見方が大きく変わるためです。

3. 売却できない土地は、相続土地国庫帰属制度で国に引き渡す道がある

売る相手が見つからない土地には、相続土地国庫帰属制度があります。相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たし、負担金を納めれば国に引き渡せる制度で、2023年4月27日に始まりました(法務省「相続土地国庫帰属制度について」)。

使えるのは、相続や相続人に対する遺贈で土地を取得した人で、自分で買った土地は対象になりません。建物が建っている土地は申請できないので、取り壊してから申請することになります。ほかにも、他人の通路として使われている土地や境界がはっきりしない土地は申請できず、がけがあって管理に手間のかかる土地なども承認されないことがあります。負担金は宅地なら原則20万円(法務省の定める原則の額)で、土地の種類や面積で変わる場合があります。要件と負担金の額は、法務省の案内で確かめてください。

申請は土地のある地域を受け持つ法務局で行い、審査の手数料を納めたうえで、承認されたら負担金を納めます。承認までには一定の期間がかかるので、取り壊しの時期と、固定資産税の特例が外れる時期の重なりも見ておいてください。

再建築不可の家では、取り壊しの費用、負担金、審査の期間を並べると、売るより費用がかかることもあります。買取の提示額がわずかでも、取り壊しと負担金の合計を払うより手元に残る額が多いなら、売る方が有利です。どちらにするかは、両方の費用を同じ紙に並べてから決めてください。

買取業者への売却と国への引き渡しの分かれ目

建物の状態売り先・引き渡し先の候補条件や特徴
直せば住める状態買取業者へ売却業者が現金で買い、直して売るか貸す
直せないほど傷んでいる国へ引き渡し相続で取得した土地に限り、2023年4月27日開始の制度を検討

「再建築不可物件を買取業者に売るか、売れずに国へ引き渡すかの分かれ目は?」について、そのまま聞けます。

再建築不可物件の売却を決める前に、役所と法務局で何を取る?

最初にそろえるのは、役所の建築指導の窓口で聞く前の道の扱いと、法務局で取る登記事項証明書・公図・地積測量図で、この2か所の答えが売り方の土台になります。答えが出れば、敷地が2mの接道を満たせるかの見当がつき、隣への打診と業者への相談のどちらに重みを置くかも決まります。

1. 再建築不可物件の前の道の扱いを、建築指導の窓口で聞く

窓口に持っていくのは、物件の所在地と地番、それに住宅地図か公図の写しです。地番は、固定資産税の納税通知書についている課税明細書でも分かります。聞く項目は、前の道の種類、2項道路なら下げる線の位置、同じ道に面した家での第43条の許可の例の3つです。

これとは別に、今の家を建てたときの建築確認の記録が残っているかも尋ねます。多くの自治体では、建築計画概要書や台帳の記載を証明する書類を出してもらえ、建てた当時に確認を受けていたかが分かります。既存不適格か、もとから決まりに反していたかの判断材料になり、買主にもそのまま渡せる資料です。

電話でも聞けますが、地番を口頭で伝えると聞き違いが起きやすく、図面を見せながら窓口で聞く方が確実です。窓口の名前は自治体ごとに違い、建築指導課のほか、道路を受け持つ課に分かれていることもあります。聞いた内容は、日付と担当の課を書き添えて残しておきます。

役所の建築指導窓口での持ち物と聞く項目

  • 所在地と地番

    課税明細書などで確認し、窓口へ持っていく

  • 住宅地図か公図の写し

    場所を正確に伝えるため、窓口へ持っていく

  • 前の道の種類

    建築基準法の道路か、2項道路かなどを聞く

  • 下げる線の位置

    2項道路の場合、どこまで敷地を下げるか聞く

  • 第43条の許可の例

    同じ道に面した家で許可された例があるか聞く

  • 建築確認の記録

    建てた当時に確認を受けていたか記録を尋ねる

2. 法務局で、再建築不可物件の名義・面積・図面を確かめる

法務局では、土地と建物の登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面を取ります。窓口のほか、オンラインでも請求できます。

登記事項証明書では、所有者の欄が今の売主になっているか、複数人の共有になっていないか、抵当権が残っていないかを見ます。所有者の欄が亡くなった親のままなら、売る前に相続登記が要り、その期限は「再建築不可物件の売却が難しいのはなぜ?融資が付きにくく、持つ費用は減らない」の章で確かめた3年です。

公図では、敷地と道の位置関係と、隣の土地の地番を確かめます。隣の地番が分かれば、その土地の登記事項証明書で持ち主の名前と住所が分かり、打診の宛先が決まります。地積測量図があれば、道に接する辺の長さもここで数字になります。

建物図面があれば、家が敷地のどこに建っているかが分かり、後退の線に家がかかっていないかの見当もつきます。登記されていない増築部分があると図面と現地が合わないので、その部分も売る前に把握しておくと、買主との話で行き違いが起きません。

法務局で取得して確かめる4つの書類

法務局で取る書類確かめる内容
登記事項証明書名義が今の売主か、共有か、抵当権はないか
公図敷地と道の位置関係
地積測量図面積や長さなどの図面
建物図面建物の図面

隣への打診と再建築不可物件の売却相談を並べて進める手順

隣への打診を先に出し、返事を待つ間に買取の提示と仲介の査定を集めておくと、隣の答えが出た時点で手取りを並べて決められます。順番を逆にして業者と先に契約すると、あとで隣が買いたいと言っても戻れないため、隣の返事に充てられる期間の長さで進め方が分かれます。

1. 隣の持ち主へ、頼みたいことと返事の期限を書いた手紙を出す

手紙の宛先は、公図と登記事項証明書で確かめた持ち主の住所です。登記の住所が古いままのこともあるので、住んでいる人と違う名前なら、宛先を取り違えていないかをもう一度確かめます。

手紙には、自分の名前と連絡先、どの土地の話か、頼みたいことを書きます。頼みたいことは、こちらの土地を買ってほしいのか、隣の土地の一部を分けてほしいのか、貸してほしいのかを一つに絞って書くと、相手が答えやすくなります。最初の手紙で金額まで書く必要はなく、話を聞いてもらえることになってから、会って事情をうかがえば足ります。

返事の期限は、こちらが待てる期間から決めます。固定資産税の納期や相続登記の期限が近いなら、その日より前に答えが出るよう、余裕をもった日付を書いておきます。期限までに返事が無ければ、もう一度だけ手紙か訪問で確かめ、それでも答えが無ければ、断られたものとして次の手順に移ります。

2. 買取の提示と仲介の査定を、同じ前提の数字でそろえる

隣の返事を待つ間に、買取業者の提示と、仲介で売る場合の査定を集めます。比べるときは、建物を今のまま渡すか、家財を片付けてから渡すか、測量をするか、いつ引き渡すかの前提をそろえます。前提が違う数字を並べても、どちらが多く残るかは分かりません。

周りの取引の水準は、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域と面積を指定して確かめられます。ただし、そこに並ぶのは建て替えのできる土地の取引が中心で、再建築不可物件の価格はその水準より下がります。下がる幅に決まった目安は無く、直す費用と買い手の少なさで変わります。

提示を受けたら、どんな使い道を前提にした価格か、直す費用をいくらと見たかを聞いてください。仲介の査定なら、融資を使う買主を想定しているかと、売れるまでに何か月を見ているかを聞きます。仲介で売る場合は、売り出してから決まるまでの間の固定資産税や見回りの費用も差し引いて比べます。それだけで提示額の差が縮まることもあります。

古い家では、引き渡したあとに見つかった雨漏りやシロアリの被害の扱いも、手取りに響きます。民法第562条以下は、引き渡した物が契約の内容に合わないとき、買主が直すことや代金を減らすことを求められると定めています(契約不適合責任)。仲介で個人の買主に売る場合は、この責任を負う期間を短く区切る特約を結ぶことが多いものの、直す費用を求められる余地は残ります。買取業者が買主なら、責任を負わない特約で契約できるかを提示の段階で聞き、書面で確かめてください。どちらの場合も、知っていながら告げなかった傷みについては、特約があっても責任を免れません(民法第572条)。

隣への打診と業者への売却相談を進める手順

  1. 最初に

    隣の持ち主へ手紙を出す

    頼みたいことを一つに絞り、返事の期限を書いて打診する

  2. 返事を待つ間に

    業者から査定を集める

    買取と仲介の数字を、引き渡しなどの前提をそろえて集める

  3. 期限が来たら

    返事の有無を確かめる

    返事が無ければもう一度確かめ、無ければ断られたと判断する

  4. 答えが出た時点で

    手取りを並べて決める

    隣の返事と業者の査定を比べ、どこに売るかを判断する

再建築不可物件の売却で手元に残る額は?費用を引き、相続の期限に合わせる

和室で向かい合って座り、うなずき合っている家族

手元に残る額は、提示された金額から印紙代や登記の費用を引き、売った翌年の税を見込んだ残りで、相続した家なら相続登記の費用もここに入ります。仲介か買取かで引く項目が変わり、相続した家なら、相続登記の3年の期限と税の特例の期限が、売る時期を左右します。

1. 再建築不可物件の売却額から引く費用を、売り方ごとに並べる

提示額や査定額から引く費用は、次のとおりです。

  • 売買契約書に貼る印紙代
  • 抵当権が残っている場合の抹消登記の費用
  • 登記の住所が今の住所と違う場合の住所変更登記の費用
  • 名義が亡くなった人のままの場合の相続登記の費用
  • 仲介で売る場合の仲介手数料(当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません)
  • 後退の線や接道の長さを確かめる場合の測量の費用
  • 取り壊してから売る場合の解体の費用

仲介手数料は、売買が成立したときに、宅地建物取引業法第46条にもとづく上限の範囲でかかります。解体の費用は、建物の大きさのほか、路地が狭くて重機が入らないかどうかで大きく変わり、再建築不可の家はこの条件に当たりやすい家です。費用の組み立ては「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事で、見積もりの見方とあわせて確かめられます。

建物を残したまま直して使う前提の買取なら、売主が取り壊す必要は無く、解体の費用も売主の手取りからは引かれません。ただ、買主が取り壊す前提で組んだ価格では、その費用が提示額から先に差し引かれているので、どちらの前提かを確かめてください。

家財が残っている場合の片付けの費用も、売り方で負担が変わります。仲介で一般の買主に売るなら片付けてから引き渡すのが通例で、その費用は売主が持ちます。買取なら、家財を残したまま引き渡せるかを、提示を受ける段階で確かめておきます。

売った翌年には、譲渡所得の申告が要ることがあります。相続した家は、亡くなった人が持っていた期間と取得費を引き継いで計算します(所得税法第60条第1項)。売った年の1月1日で所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得として扱われます(租税特別措置法第31条)。

仲介と買取で提示額から引かれる費用の違い

費用の項目仲介で売る場合買取で売る場合
仲介手数料かかるかからない(当社の場合)
家財の片付け費用売主が負担し、片付けて引き渡す残したまま引き渡せるか相談できる
印紙代・各種登記費用かかるかかる
測量・解体の費用状況によりかかる状況によりかかる

2. 相続した再建築不可物件は、税の特例の条件と売る時期を確かめる

相続した家を売るときに使えるかを確かめたいのが、租税特別措置法第35条第3項の特例です。相続した被相続人の家と敷地を、相続の開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。令和6年1月1日以後の譲渡では、その家と敷地を取得した相続人の数が3人以上になると、1人あたりの控除は2,000万円までになります。数えるのは家と敷地を取得した相続人で、相続人全体の人数ではありません。主な要件の一つに、家を耐震基準に適合させるか、取り壊すかのどちらかがあります。令和6年1月1日以後の譲渡では、売主が工事をしなくても、買主が売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しを済ませれば、この要件を満たせます。その他の要件は、「空き家3000万円控除の条件」の記事で、租税特別措置法第35条第3項の要件とあわせて確かめてください。

再建築不可の家では、この要件の満たし方が売り方とぶつかります。売主が取り壊せば土地は建てられないまま残り、値が下がるうえに固定資産税の特例も外れます。売主が耐震の工事をするなら、その費用が控除で減る税より大きくならないかを見ます。今のまま売る場合でも、直して住む買主が耐震改修を引き受け、翌年2月15日までに終える約束を売買契約に書けば、特例を使える道は残ります。一方、取り壊しを引き受ける買主は、建て直せない土地では多くありません。買主が工事をする形と、特例を使わずに売る形の手取りを並べてから決め、要件は国税庁のタックスアンサーの案内で確かめてください。

特例を使うには、売った翌年に確定申告をし、市区町村が出す確認書などを添える必要があります。確認書の発行に日数がかかることもあるので、売る時期が決まったら、早めに市区町村の担当課で必要な書類を聞いておいてください。

相続税を納めた人には、納めた相続税の一部を取得費に加える特例もあります(租税特別措置法第39条)。こちらは、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ることが要件で、第35条第3項の特例とは同時に使えません。どちらが有利かは、税額を両方で計算してから決めてください。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「再建築不可物件の売却で手元に残る額は?費用を引き、相続の期限に合わせる」について、そのまま聞けます。

再建築不可物件の売却を当社にご相談いただく場合

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「再建築不可物件の売却を当社にご相談いただく場合」について、そのまま聞けます。

再建築不可物件を売却する前に決める3つ

  • 売り先は、前の道が建築基準法の道路かと、そこに2m以上接しているかで先に決まります。役所の建築指導の窓口と法務局の書類で、売り出す前に確かめてください。
  • 接道が足りない家は、隣の人、直して使う買主、国に引き渡す制度の順に出口を探します。隣と合わせて建てられる土地になるなら、隣が最も高い値を出せる相手です。
  • 比べるのは提示額ではなく手元に残る額です。登記の費用や仲介手数料、相続した家なら税の特例の期限まで並べ、相続登記の3年の期限と重ねて売る時期を決めます。

当社は直して使える再建築不可の家を建物ごと今の状態のまま買い取りますが、擁壁の責任の所在が決まらない敷地は買い取れず、後退すれば建てられる2項道路沿いの家は仲介で売る方が手取りは多くなります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

再建築不可物件の売却でよくある質問

Q1. 再建築不可物件になると、どうなるのですか

今の家に住み続けることや、傷んだところを直して使うことはできますが、取り壊したあとに新しい家を建てることはできません。売るときは、住宅ローンを使う買主の多くが外れるため、買い手は隣の土地の持ち主や、現金で買って直して使う人に絞られます。固定資産税は普通の家と同じくかかり、取り壊すと住宅用地の特例も外れて、建て直して特例を戻すこともできません。融資と持つ費用の事情は「再建築不可物件の売却が難しいのはなぜ?融資が付きにくく、持つ費用は減らない」の章で確かめてください。

Q2. どうしても売れない再建築不可の土地は、どうしたらいいですか

最初に試せるのは、隣の土地の持ち主に、低い値か無償で引き取ってもらえないかを打診することです。無償で渡す場合は、受け取る側に贈与税がかかることがあるので、その点も伝えたうえで話を進めます。相続や遺贈で取得した土地なら、建物を取り壊したうえで国に引き渡す相続土地国庫帰属制度も候補になり、要件と費用は「再建築不可物件を買取業者に売るか、売れずに国へ引き渡すかの分かれ目は?」の章で確かめられます。

相続が始まったばかりなら、相続放棄も選べます。ただし、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があり(民法第915条第1項)、家だけでなく預金などほかの財産も受け取れなくなります。放棄したあとも、その家を現に占有していれば、次に管理する人へ引き渡すまでは保存の責任が残ります(民法第940条第1項)。

Q3. 海外に住んでいても、再建築不可物件を売却できますか

売ることはできます。日本に住民票が無い方は印鑑証明書を取れないため、住んでいる国の日本の大使館や領事館で署名証明を取り、代わりに使うのが一般的です。決済の日に立ち会えない場合は、司法書士による本人確認と書類の郵送で進めることになり、日程には余裕を見ておく必要があります。現地を見てもらうための鍵の受け渡し方法も、早めに決めておきます。

税の面では、日本に住んでいない人が日本の不動産を売ると、買主が代金の一部を源泉徴収して納める場合があり、売主自身も日本で申告が要ります。どの扱いになるかは、売る前に税務署か税理士に確かめてください。

Q4. 擁壁がある再建築不可物件も売却できますか

売ることはできますが、擁壁の状態と、それが誰の土地にあるかで、売り先と価格が変わります。ひび割れやふくらみ、水抜き穴からの濁った水は、買主が真っ先に見る点です。高さのある擁壁は、作り直す費用が建物の値を上回ることもあります。がけに近い土地にかかる制限は、「がけ条例の土地が売れない理由」の記事で確かめられます。擁壁がどちらの土地のものか決まっていない場合は、売る前に、隣の持ち主と土地家屋調査士を交えて確かめておくと、話が止まりにくくなります。

Q5. 売らずに、余った再建築不可の土地を活用する方法はありますか

建物が使えるなら、直して貸す方法があります。建物が使えない場合は、車が出入りできれば月極の駐車場、そうでなければ隣の人に庭や物置の場所として貸す方法が考えられます。ただ、田舎の土地や路地の奥の土地は借り手が少なく、貸しても固定資産税と管理の手間を賄えないことがあります。貸すなら、借り手が使い終わったあとに物を残さず返す取り決めも書面にしておきます。活用で得られる額と、売って手元に残る額を、何年分かで並べてから決めてください。

Q6. 再建築不可物件は、修繕してから売却した方がよいですか

修繕にかけた費用が、そのまま価格に上乗せされるとは限りません。再建築不可の家を買う人の多くは、自分の使い方に合わせて直すことを前提にしているため、売主の修繕と買主の計画が重なると、かけた費用が無駄になります。雨漏りのように放っておくと傷みが広がる箇所だけ応急の手当てをして、あとは今のまま売る方が、手元に残る額が多くなることもあります。大きな工事に建築確認が要る場面は、「再建築不可物件の売却前に何を確かめる?4つの答えで売り先を診断する」の章で確かめてください。

当社の見方

当社では、接道が2mに足りず建て替えができない家でも、まずはそのままの状態で買い取れるかどうかを見ています。流れとしては、ご相談から買取価格のご提示までが目安30分、ご契約までが目安1〜2週間、お引き渡しは早ければ2週間以内で、お引き渡しと同時にご入金します。借地の上に建つ家や底地も買い取っていますし、売却後も住み続けたい方にはリースバックも積極的にお受けしています。一般には登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書をご用意いただき、相続した物件では戸籍などの書類や相続登記の費用が加わりますが、詳しくは個別のご案件によります。全国(47都道府県)に対応していますが、再建築不可の家でも買い取れない物件や売らないほうがよい場合はあり、そのときは正直にそうお伝えしています。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:建築基準法
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(5件・に確認)

更新履歴

  1. 第1版公開

このテーマの全体像

編集部のおすすめ

ほかの記事

同じ状況の記事

新着記事