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空き家

連棟式住宅の売却|単独で売れる条件と価格

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
連棟式住宅の売却|単独で売れる条件と価格

「相続した実家が長屋で、隣の家と壁がつながっている。こんな家でも売れるのかが分からない」。隣と壁がつながっていても、建物が一戸ごとに登記されていれば自分の棟だけを現況で売れます。値がつくかどうかは、間口が2m以上あって建て直せるかと、界壁の内側に水が回っていないかで分かれます。

切り離しをしていない現況のまま、残置物も片付けずに買い取ります。斜面に建つ連棟で、棟全体を支える擁壁の補修の責任者が決まっていない棟は、価格を下げても引き受けられません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

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隣と壁がつながった家でも、自分の棟だけを売ることはできます。登記が一戸ごとに分かれていれば、売買の対象になるのは自分の建物と自分の敷地だけです。隣の方の同意を取らなければ売れない、という決まりはありません。値がつくかどうかを分けるのは、間口と接道、それから界壁の内側に水が回っているかどうかです。

連棟式住宅の売却の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

連棟式住宅の売却で最初に分かれるのは、登記の形と敷地の形

売れる形かどうかは、建物が一戸ごとに登記されているか、一棟をまとめた区分所有の登記かで最初に分かれます。

親が亡くなって数か月、誰も住まなくなった実家の鍵がお手元にある。ポストに市区町村からの通知が溜まり、壁の向こうでは隣の方が今日も生活している。この状態から動き出すとき、最初に手を付ける場所が、実は現地ではありません。登記事項証明書の1通目で、取り得る道が半分に絞られます。

連棟式住宅(長屋)の主な特徴

  • 「一棟の建物の表示」あり

    区分建物として登記されており、分譲マンションと同じ扱いです。

  • 「一棟の建物の表示」なし

    1個の建物として登記されており、単独での手続きが可能です。

連棟式住宅(長屋・連棟式建物)とは、どの形の家を指すか

複数の住戸が壁を共有して横に並び、それぞれの玄関が直接地上に面している建物を指します。廊下や階段を住戸どうしで使わない点が、分譲マンションのような共同住宅との違いです。建築基準法では「長屋」という区分で扱われます。2戸がくっついた2軒長屋から、5戸、6戸と続く棟までが同じ括りです。

昭和40年代から50年代にかけて、木造2階建ての形で数多く建てられました。間口が狭い土地でも住戸を並べられるため、駅から歩ける古い住宅地に残っています。関西では文化住宅と呼ばれる建て方のものも、この仲間に入ります。地域ごとの事情は「大阪市の長屋を売却する」の記事にも書いています。

外から見て自分の棟がどれに当たるかは、屋根の線と樋で見分けられます。棟続きで屋根が切れ目なく続き、樋が隣の家まで一本で流れているなら、構造も一体で造られていると考えてください。外壁の色だけが塗り分けられていても、中身は一棟です。

建物の登記が一戸ごとか、区分所有かで、その先の手続きが変わる

登記事項証明書を取ると、冒頭に「一棟の建物の表示」という欄があるかどうかで判別できます。この欄があれば区分建物、つまり分譲マンションと同じ形の登記です。欄がなく、いきなり所在と家屋番号が並んでいれば、自分の家は1個の建物として登記されています。

実務で多いのは後者です。見た目は壁がつながっていても、登記の上では独立した建物として扱われており、自分の家屋番号の分だけを売買の対象にできます。買主の名義に移す登記も、自分の家屋番号について行います。隣の棟の登記には何も触れません。

区分建物として登記されている場合は、専有部分と敷地利用権が一組になって動きます。古い連棟では、敷地利用権が登記されないまま持分だけが別に登記されていることもあります。どちらの形かで用意する書類が変わるので、登記事項証明書は建物と土地の両方を取ってください。法務局の窓口でもオンラインでも取得できます。

敷地が分筆されているかどうかは、公図で見る

土地の形は三通りに分かれます。各戸の真下で分筆が済んでいる形、一筆の土地の上に数棟が載っている形、そして住戸の部分は分筆されているが前面の通路だけが別の扱いになっている形です。公図と地積測量図を取れば、どれに当たるかが線で分かります。

分筆が済んでいれば、自分の地番の土地と自分の家屋番号の建物を組にして売れます。一筆のままの土地では、自分の持分が登記簿に何分の何と書かれているはずです。通路が別扱いになっている場合は、その土地に自分の名前が載っているかどうかを先に見てください。載っていなければ、通行の扱いが別の論点になります。

固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細書も、同じ日に並べて見ておくと早いです。土地の筆ごとに地積と評価額が並び、建物の欄には家屋番号と床面積が載ります。登記と課税の記録がずれていることもあり、そのずれ自体が、未登記の増築が残っている手がかりになります。

登記の形による扱いの違い

観点単独の建物としての登記区分建物としての登記
登記簿の冒頭の記載所在と家屋番号から記載が始まる「一棟の建物の表示」から始まる
法律上の建物の扱い独立した一つの家屋分譲マンションの一室と同等
空き家の3000万円特別控除要件を満たせば利用できる適用要件から外れる

空き家のまま置いた連棟式住宅で、いま同時に動いている3つの期限

相続登記の3年、翌年度の固定資産税が決まる1月1日、そして界壁の内側に水が回るまでの時間が、並行して進んでいます。

相続した直後は、どれも先の話に見えます。ところが連棟では、3つ目の時計が他の家より早く進みます。屋根と樋が隣と続いているため、自分の棟の不具合が隣の生活にそのまま出るからです。苦情が先に動き出すと、売却の話は後ろに回されます。

相続登記の期限と名義変更の注意点

  • 相続登記の期限

    取得を知った日から3年以内。過ぎると10万円以下の過料の可能性があります。

  • 固定資産税の基準日

    毎年1月1日の状態に対して課税され、翌年度の税額が決まります。

  • 建物の劣化の進行

    屋根や樋が隣と続くため、不具合が隣の生活に直結し苦情の原因になります。

相続登記は、取得を知った日から3年以内

親名義のままの連棟を受け継いだ方には、申請の期限が法律で定められています。数え方は、自分がその建物と土地を相続で得たと知った日を起点にした3年です。2024年4月1日より前に亡くなっていた場合も外れず、すでに取得を把握していた方は2027年3月31日までに申請することになります。放置して正当な理由も示せないときは、10万円以下の過料を科されることがあります。

連棟では、ここで時間を取られることがあります。土地が一筆のまま祖父母の名義で残っていて、相続人の数が増えている例が少なくないためです。自分の棟の建物だけ名義が動いていても、土地が動いていなければ売買の決済はできません。建物と土地の登記名義を、同じ日に並べて確かめてください。

名義が動いていない間に起きることは「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事に整理しています。戸籍の収集から始めると数か月かかります。売る予定があるなら、売り方を決めるより先に司法書士へ戸籍の取り寄せを頼んでおくと、後の日程が詰まりません。

1月1日の状態で、翌年度の土地の税額が決まる

固定資産税は、その年の1月1日の所有者と、その日の土地の状態に対して課されます。住宅が建っている土地は住宅用地として扱われ、地方税法第349条の3の2により、200平方メートル以下の部分の課税標準が価格の6分の1に下がります(地方税法(e-Gov法令検索))。200平方メートルを超える部分は3分の1です。

連棟の一戸あたりの敷地は、50平方メートルから80平方メートル程度に収まることが多く、その場合は敷地の全部が6分の1の側に入ります。人が住んでいなくても、住宅として使える家屋が建っていれば特例は続きます。空き家になったこと自体で税額が上がるわけではありません。

上がるのは、市区町村から特定空家等または管理不全空家等の勧告を受けた土地と、建物を取り壊した更地です。段階の進み方と税額の動き方は「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事に書いています。自分の棟を取り壊す判断は、この1月1日の線を見てから決めることになります。

隣の家に被害が出ると、売却より先に話が進む

雨漏りは、屋根の端から始まります。連棟では樋が隣まで一本で流れているため、自分の棟の側で詰まった水が、隣の棟の軒先からあふれることがあります。界壁の内側に水が入れば、隣の部屋の壁紙に染みが出ます。ここまで来ると、隣の方からの連絡が先に来ます。

市区町村の窓口に通報が入れば、担当課が外観を見に来ます。窓が割れている、外壁材が浮いている、敷地の草が隣に越えている。こうした状態が続くと、助言や指導の書面が届きます。宛先は納税通知書と同じ住所です。遠方に住んでいても届きます。

隣に実害が出た後は、工事の承諾も価格の話も通りにくくなります。壁がつながっている家では、関係が切れた時点で選べる道が減ると考えてください。年に一度でも現地を見て、樋の詰まりと屋根の端だけを確かめておくと、この順番に入らずに済みます。

空き家のまま置いた連棟で動く3つの期限

  1. 毎年1月1日

    翌年度の税額が確定

    その日の土地の状態と所有者に対して固定資産税が課される

  2. 取得を知った日から3年

    相続登記の申請期限

    正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象になる

  3. 劣化が進んだ時点

    隣からの苦情が発生

    屋根や樋が続くため被害が出やすく、売却の話が後回しになる

「空き家のまま置いた連棟式住宅で、いま同時に動いている3つの期限」について、そのまま聞けます。

連棟式住宅を単独で売却できるかは、接道と間口で分かれる

自分の棟の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していれば、切り離して建て直す道が残ります。

ここが、同じ連棟でも価格の桁が変わる分岐点です。買う側は、更地にして戸建てを建てられる土地と、建てられない土地を、まったく別の値段で見ています。先に自分の棟がどちらかを確かめると、その後に聞く査定額の意味が分かるようになります。

道路の定義と接道義務の要件

  • 端の棟

    側面が開いて間口が2m以上出やすく、切り離して建て直せる見込みが立ちます。

  • 中間の棟

    間口は住戸の幅のみ。通路が共用だと道路に接せず再建築不可になることもあります。

1. 道路の定義は建築基準法第42条、接道の義務は第43条

建築基準法第42条は、原則として幅員4m以上のものを道路と定めています。幅員が4mに満たない道でも、特定行政庁が指定したものは道路とみなされ、第42条第2項の道路と呼ばれます。この道に接する敷地では、道の中心から2m後退した線が敷地と道路の境になります。

接道の義務を定めるのは第43条で、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないとされています。この2mは、道路の幅ではなく、敷地が道路に触れている長さのことです。幅員と接道の長さは別の条文の話なので、窓口で聞くときも分けて聞いてください。

古い連棟では、前面が私道で、幅員が3m前後ということがあります。第42条第2項の指定を受けているかどうかで扱いが変わるため、市区町村の建築指導の担当課で、前面の道の種別を聞くのが確実です。道路の種別は、住所と公図の写しを持っていけばその場で調べてもらえます。

2. 中間の棟と端の棟で、間口の出方が違う

端の棟は、道路に面した側だけでなく、側面が隣地や道に開いていることがあります。この場合、間口が2m以上出ていることが多く、切り離した後に建て直せる見込みが立ちます。買う側の選択肢が増えるので、同じ棟の中でも端だけ値が付きやすくなります。

中間の棟は、間口が住戸の幅そのものになります。木造の長屋では一戸の幅が2.7mから3.6m程度のことが多く、形の上では2mを超えます。ただし、玄関前が共用の通路になっていて、自分の土地が道路まで届いていない形では、接道の長さがゼロと判定されることがあります。公図で、自分の地番が道路に触れているかを見てください。

敷地が路地状になっている棟では、路地の幅が実測で2mを切っていることがあります。登記簿の地積では足りていても、現地でブロック塀の内側を測ると届かない、という形です。巻尺で測った数字と公図の線が合わない場合は、土地家屋調査士に現況の測量を頼むことになります。

端の棟と中間の棟で、間口の出方はどう違いますか?

端の棟は側面が開いて間口を確保しやすい一方、中間の棟は住戸の幅が間口となります。

  • 端の棟は側面が開き間口2m以上出やすい
  • 中間の棟の間口は住戸の幅のみになる
  • 端の棟の方が建て直しの見込みが立ちやすい

3. 再建築できない棟でも、現況のままなら買い手がいる

接道を満たさない棟は、取り壊すと次が建てられません。更地にする意味が小さいので、建物を残したまま売ることになります。買うのは、自分で直して貸す人、隣の棟を持っていて一体で使いたい人、そして当社のような買取業者です。住宅ローンを使う一般の買主は、融資が付かないため実際には手が出ません。

価格は、同じ広さで建て直せる土地と比べて大きく下がります。下がり幅は、現金で買う人の数が何人いるかで決まります。駅から歩ける場所で、室内が使える状態なら、買い手は見つかります。周辺でどの程度の金額が付いているかは、国土交通省の不動産情報ライブラリで、同じ地域の成約価格を見ると感覚がつかめます(不動産情報ライブラリ(国土交通省))。

再建築できない物件がなぜ売りにくいのか、その仕組みは「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事に詳しく書いています。接道が足りない場合に隣地を買い足す道もあり、その順番は「未接道の土地を売却する3択」の記事に整理しました。隣の棟の方が買い足しに応じるなら、価格は一段上がります。

4. 自分の棟がどの型に当たるかを、資料で見分ける

自分の棟の位置と間口確かめる資料向いている売り方
端の棟で、道路に2m以上接する公図、地積測量図、道路の種別切り離して更地にする道も残る
中間の棟で、自分の地番が道路に届く公図、建築計画概要書現況のまま、または隣の棟と一体で
路地状で、実測の幅が2m未満現地の実測、道路台帳の写し現況のまま。隣地の買い足しが先

どの型でも、建物を壊さずに売る道は残っています。壊してから考える、という順番にすると、建て直せない土地の上に更地だけが残り、翌年から土地の税額が上がります。資料をそろえる費用は、登記事項証明書と公図を合わせても数千円の範囲に収まります。

切り離して更地にするか、壁をつないだまま売却するかで分かれる費用と税

木造住宅の居間で、家族がテーブルを囲んで身振り手振りを交えながら話し合っている

切り離す道を選ぶと工事費と隣家側の補修が先に出ていき、つないだまま売る道を選ぶと価格が下がります。

どちらが手取りで多いかは、棟の位置と隣の方との話の進み具合で変わります。工事を先に進めてから売り先を探すと、費用だけ出て買い手が付かない形になりがちです。順番としては、売り先の目処と金額を見てから、工事をするかどうかを決めてください。

切り離しと現況売却の費用と手取り

観点切り離して更地にする壁をつないだまま売る
お金の動き工事費と隣家の補修費が先に出る費用は出ないが売却価格が下がる
隣の家の壁外壁になるため防水や仕上げが要るそのまま
建物の構造力の流れが変わるため補強が要るそのまま
翌年度の土地の税額住宅用地の特例が外れて上がる上がらない

1. 切り離し工事では、隣の壁が外気にさらされる

自分の棟だけを取り壊すと、それまで屋内にあった界壁が、そのまま隣の家の外壁になります。断面には柱と間柱が並び、断熱材も入っていません。ここに防水の層を作り、仕上げ材を張り、屋根と樋を納め直す工事が要ります。解体そのものより、隣側の補修に手間がかかります。

建物の構造が一体で造られている場合は、補強も必要になります。連棟の木造では、桁や梁が住戸をまたいで通っていることがあり、切ると残った側の水平方向の力の流れが変わります。構造の判断を省くと、残った棟が傾くおそれがあります。解体業者だけでなく、建築士に見てもらったうえで計画を立ててください。

費用は、棟の規模、道路の幅、重機が入るかどうかで変わります。前面が狭い路地で手作業になると、同じ床面積でも金額が上がります。解体費の見方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事に整理しているので、見積りを取る前に目を通してください。見積りは、隣側の補修の仕様を書いたうえで2社から取ると、差の理由が分かります。

2. 隣の方の了解が要る理由と、書面に残す項目

隣の家の壁に手を入れる工事なので、事実上、相手の了解なしには進みません。境界線の上に設けられた塀や壁などは、隣り合う所有者の共有と推定する、という考え方が民法第229条に置かれています。界壁が境界の上にある連棟では、この推定が働く余地があります。

長屋の各戸を仕切る界壁には、建築基準法第30条で遮音の基準が置かれています。施行令第114条は、この界壁を小屋裏または天井裏まで達するよう求めており、一定の天井を設けた場合の例外があります。切り離した後に残る側がこの基準を満たすかどうかも、工事の計画に入ってきます。

書面に残す項目は、工事の範囲、隣側の壁の補修と防水の仕様、費用を誰が負担するか、工事中の雨養生、工事後に不具合が出たときの連絡先と対応の期間、着工前と完了後の写真の記録です。話がまとまらない場合や、過去の経緯で関係が難しい場合は、弁護士に相談先を移してください。当社は買主の立場なので、隣の方との話し合いの場には立てません。

3. 更地にすると、翌年度の土地の税額が上がる

建物を取り壊して更地にすると、住宅用地の特例が外れます。判定は1月1日の状態で行われるため、年内に壊して年を越せば、翌年度分から特例のない計算になります。課税標準は評価額の70パーセントを上限に抑えられるので、税額の伸びはおおむね4倍前後にとどまりますが、上がることに変わりはありません。

連棟では、ここに別の事情が重なります。自分の棟だけを壊しても、残った棟の下の土地は住宅用地のままです。隣の方の税額は変わらず、自分の土地の分だけが上がります。売り先が決まる前に壊すと、空いた土地の税を払いながら買い手を待つことになります。

更地になった土地を、売れるまでの間に駐車場として貸す判断も避けてください。貸し付けた期間があると、後で触れる3,000万円の控除の要件から外れます。壊すなら、引渡しの日取りが決まってから着工する段取りにしてください。

4. 相続した空き家の3,000万円控除は、区分所有登記だと使えない

被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。ただし令和6年1月1日以後の譲渡では、その家屋と敷地等を取得した相続人の数が3人以上のとき、控除額は1人あたり2,000万円までに下がります。連棟で問題になるのは、区分所有建物の登記がされている建物が対象から外れる点です。長屋でも各戸が区分建物として登記されていれば、この一点で適用されません。

一戸ごとに独立した建物として登記されていれば、この除外には当たりません。ただし、昭和56年5月31日以前の建築であること、売却の時までに耐震改修をするか家屋を取り壊すことなどが、主な要件としてほかにも並びます。中間の棟では、取り壊す形を選ぶと切り離しの工事が伴うため、期限内に終えられるかを先に見ることになります。要件の全体は国税庁のページで確かめてください(相続した空き家を売ったときの特例(国税庁))。

判定の順番は「空き家3000万円控除の条件」の記事に並べています。登記の形で外れると分かった場合、工事を急ぐ理由が一つ消えます。税額がいくら減るはずだったかを先に計算し、その金額と工事費を並べてから、切り離すかどうかを決めてください。

「切り離して更地にするか、壁をつないだまま売却するかで分かれる費用と税」について、そのまま聞けます。

連棟式住宅の売却に向けて、2週間で集める書類と確かめる窓口

舗装された住宅街の道を歩いている人の後ろ姿

法務局で建物と土地の登記を取り、市区町村の建築指導の窓口で道路の種別を聞けば、判定に要る材料はそろいます。

現地の片付けや草刈りは、この後で構いません。先に紙をそろえる理由は、片付けに数十万円かけた後で、登記の形のせいで道が限られていたと分かる順番を避けるためです。郵送とオンラインで動けるので、遠方に住んでいても進められます。

1. 法務局で、建物の個数と敷地の形を確かめる

取るのは、建物の登記事項証明書、土地の登記事項証明書、公図、そして地積測量図があればその写しです。建物は自分の家屋番号の分だけで足りますが、隣の棟の家屋番号も分かる範囲で控えておくと、後で建物が何個に分かれているかを説明しやすくなります。窓口で「この住所の建物をすべて」と頼めば、一覧から選べます。

建物の証明書で見るのは三か所です。冒頭に一棟の建物の表示があるか、表題部の種類と構造に長屋の記載があるか、床面積が現況と合っているかです。増築した部分が登記されていないと、現況より床面積が小さく出ます。未登記の部分があると、決済の前に表題部の更正が必要になることがあります。

土地の証明書では、地番と地積、そして所有者の欄を見ます。持分が何分の何と書かれていれば、その土地は複数の名義に分かれています。公図では、自分の地番が道路の線に触れているかを見てください。触れていない形であれば、前面の通路の地番を控えて、その土地の登記事項証明書も取ります。

2. 市区町村の窓口で、道路と建物の扱いを確かめる

建築指導の担当課では、前面の道の種別、幅員、第42条第2項の指定の有無を聞きます。あわせて、建築計画概要書が保存されているかを尋ねてください。建てたときの配置図が残っていれば、敷地の形と接道の長さが図で確認できます。保存の年限は自治体ごとに違い、昭和40年代の建物では残っていないこともあります。

同じ庁舎で、空き家の担当課にも寄ってください。自分の家について、通報や指導の記録が残っているかを確かめるためです。助言や指導の書面が過去に届いていて、家族の誰かが受け取ったまま伝わっていないことがあります。空き家に対する市区町村の措置の仕組みは、国土交通省のページに制度の説明があります(空き家対策(国土交通省))。

資産税の担当課では、課税明細書の読み方と、土地が住宅用地としてどう区分されているかを確認します。名寄帳を取れば、親が持っていた不動産が一覧になるので、相続の対象から漏れている土地の有無も分かります。連棟では、前面の通路部分が別の地番で課税されていることがあり、ここで初めて見つかることがあります。

窓口で集める書類と確かめる内容

取得する書類見る場所分かれ目・次の行動
建物の登記事項証明書一棟の建物の表示の有無区分建物か1個の建物かが分かれる
建物の登記事項証明書床面積と現況の比較合っていなければ決済前に更正が必要
土地の登記事項証明書所有者欄の持分土地が複数名義に分かれているか分かる
公図地番が道路に触れているか触れていなければ前面通路の証明書も取る

連棟式住宅の売却で、仲介と買取を並べる順番と引渡しまでの日程

和室の座布団に座った家族が、お茶を飲みながら穏やかな様子でうなずき合っている

仲介に出す期間を先に区切り、同じ時期に買取の金額も取っておくと、手取りの数字で比べられます。

資料がそろった段階で、売り方を決めます。時間に余裕があるなら仲介から始めるのが基本です。ただし、反応がないまま値下げを繰り返して1年が過ぎる形になりやすいので、入口で締切を決めておきます。

仲介と買取を並べる順番

  1. 1

    仲介の期限と基準を決める

    媒介契約前に締切を設定。3か月で内見ゼロなら見切る目安に。

  2. 2

    仲介と買取の手取りを比べる

    仲介の手数料や費用を引いた手取りと、買取価格を並べて比較する。

  3. 3

    期限到達で買取へ切り替える

    事前に決めた締切を過ぎたら、取っておいた買取価格での売却に移る。

1. 仲介に出すなら、締切の月を先に決める

媒介契約を結ぶ前に、いつまでに買主が決まらなければ別の道に切り替えるかを、自分の側で決めておきます。連棟は買える人が限られるため、周辺の戸建てと同じ期間で反応を測ると判断を誤ります。目安を置くなら、内見の件数で測ってください。3か月で内見が一度も入らない物件は、価格を下げても入らないことが多いです。

仲介で売れた場合、仲介手数料が成約価格に応じてかかります。宅地建物取引業法で上限が決まっており、価格が低いほど手取りに占める割合が大きく出ます。売却価格が200万円前後の物件では、手数料と測量や片付けの費用を引いた後の手取りが、買取価格と並ぶこともあります。比べるときは、表に出る金額ではなく、引いた後の数字で並べてください。

買取を選んだ場合に価格が下がる理由は「空き家を買取で売るデメリット」の記事に書いています。買う側が修繕費と処分費、再販できない可能性を負うためで、連棟ではここに隣の棟との調整の不確かさが乗ります。差が大きい物件も、小さい物件もあります。両方の数字を取ってから決めるのが、いちばん損の少ない順番です。

2. 決済日から逆算して、登記の日程を置く

決済の日には、代金の支払いと所有権の移転の登記を同じ日に行います。その日までに、売主の名義が登記簿に入っている必要があります。相続登記が済んでいなければ、戸籍の収集、遺産分割の話し合い、申請、完了までの日数を逆算して組みます。法務省のページに、申請の義務と手続の案内が載っています(相続登記の申請義務化(法務省))。

抵当権が残っている場合は、抹消の登記も同じ日に行います。被相続人が住宅ローンを組んでいた家では、団体信用生命保険で残債が消えていることがあり、その場合も抹消の手続は別に必要です。金融機関に残高証明と抹消書類の手配を頼むと、発行まで日数がかかります。契約を結んだ日に依頼してください。

住所が登記簿と現住所で違う場合は、住所変更の登記も入ります。親の住所が何度か変わっている家では、戸籍の附票で履歴をつなぎます。これらの登記は司法書士が一括で受けられるので、売買の段取りと同じ窓口で日程を組むのが早いです。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「連棟式住宅の売却で、仲介と買取を並べる順番と引渡しまでの日程」について、そのまま聞けます。

当社が連棟式住宅の売却を引き受ける場合に見る3点と、買い取れない棟

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が連棟式住宅の売却を引き受ける場合に見る3点と、買い取れない棟」について、そのまま聞けます。

連棟式住宅の売却で、先に確かめる3つ

  • 登記事項証明書の冒頭を見てください。 一棟の建物の表示という欄がなく、自分の家屋番号で1個の建物として登記されていれば、自分の棟だけを売買の対象にできます。区分建物として登記されている場合は、相続した空き家の3,000万円の控除から外れます。
  • 公図で、自分の地番が道路に触れているかを見てください。 触れていて、その長さが2m以上あれば、切り離して建て直す道が残ります。届いていない棟や、路地の実測が2mに満たない棟は、壊すと次が建たないので、建物を残したまま売ることになります。
  • 壊すのは、売り先と日取りが決まってからにしてください。 更地にすると1月1日の判定で住宅用地の特例が外れ、翌年度の土地の税額が上がります。売れるまでの間に駐車場として貸すと、控除の要件からも外れます。

切り離していない現況のまま、残置物を置いたままで買い取ります。界壁の内側まで水が回っている棟も対象ですが、傷みの範囲が読めないほど金額は下がります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

連棟式住宅の売却について、よくある質問

Q1. 連棟式建物のメリットは何ですか

住む側から見れば、同じ広さの戸建てより建築費が抑えられ、両側を隣家に挟まれるため外壁から逃げる熱が少なくなります。間口の狭い土地でも住戸を並べられるので、駅に近い場所に建てられてきました。売る側の立場では、この良さが価格に乗りにくい点が実情です。 建て直しに隣の方の了解が要ること、住宅ローンが付きにくいことが、買う側の人数を減らすためです。

Q2. 連棟の切り離し同意書にひな形はありますか

公的に定まった様式はありません。実務で書面に残すのは、工事の範囲、隣側の壁の補修と防水の仕様、費用の負担、工事中の雨養生、完了後に不具合が出たときの連絡先と対応の期間、着工前と完了後の写真の記録です。署名押印をもらう前に、建築士が作った図面と仕様書を添えてください。 口頭の了解だけで着工すると、仕上げの程度をめぐって後から話が戻ります。文面の作り方や、相手が応じない場合の進め方は弁護士の領分になります。

Q3. 住宅ローンの残債が残ったままでも売却できますか

売却代金で残債を完済し、決済の日に抵当権の抹消登記ができれば、通常どおり売れます。代金が残債に届かない場合は、債権者の同意を得て抵当権を外してもらう任意売却という形になります。相続した家では、被相続人の債務も相続の対象になりますが、団体信用生命保険で残債が消えていることもあります。 まず金融機関に残高を照会してください。任意売却と買取の違いは「任意売却と買取の違い」の記事に整理しています。

Q4. 任意売却で売れなかったらどうなりますか

債権者が裁判所に競売を申し立て、期間入札の手続に進みます。落札された代金は債権者への配当に回り、足りない分の債務は残ります。連棟で再建築ができない物件は、競売でも入札が入らず、価格を下げて再度の入札になることがあります。 入札が流れている間も遅延損害金は積み上がります。売却の見込みが立たない段階で、債権者の窓口に状況を伝えておくと、取れる手が残ります。

Q5. 任意売却の成功率はどのくらいですか

全国の成立の割合を示した公的な統計は見当たりません。成立するかどうかを分けるのは、債権者が価格に同意するか、抵当権者が複数いる場合に全員の了解がそろうか、競売の開札日までに決済を終えられるかの3点です。数字を示して確実だと説明する会社があれば、その数字の出どころを聞いてください。 物件の種類と残債の額で条件が大きく変わるため、率で語れるものではありません。

Q6. 相続した連棟式住宅でも、空き家の3,000万円控除は使えますか

各戸が区分建物として登記されていれば、その一点で対象から外れます。一戸ごとに独立した建物として登記されていれば、他の要件を満たすかどうかの判定に進みます。昭和56年5月31日以前の建築であること、売却までに耐震改修をするか家屋を取り壊すことなどが、主な要件として別に並びます。 中間の棟を取り壊す形を選ぶと切り離しの工事が入るため、期限に間に合うかを先に見てください。適用の可否は国税庁のページと税務署でご確認ください。

当社の見方

ご相談で多いのは、隣の方に切り離しの話を切り出せないまま、年単位で止まっている形です。ただ、売ること自体に隣の方の了解は要りません。了解が要るのは、壊すときです。この二つが混ざったまま動けずにいる方が、実際にいらっしゃいます。登記事項証明書と公図を取って、自分の棟の形を確かめるところから始めていただくのが早いです。

もう一つよくあるのが、先に片付けと解体の見積りを取ってしまい、費用の大きさに驚いて止まる形です。当社は残置物を置いたままで買い取るので、片付けの費用は価格の差として現れます。片付けた場合といまの状態の両方で金額をお出しできますので、差を見てから決めていただければと思います。界壁の内側の状態だけは、現地で小屋裏を見ないと幅が縮まりません。写真だけでお出しする金額は、その幅を含んだ低い側になります。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

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リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
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薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
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