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空き家

不動産売却で確定申告が必要な人|買取の書類と期限

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
不動産売却で確定申告が必要な人|買取の書類と期限

「家を売ったけれど、確定申告が必要なのかどうか、誰に聞けばいいのか分からない」。申告が要るのは、譲渡所得がプラスになった場合と、3,000万円の特別控除や損益通算のように申告が適用の条件になっている場合です。損も出ず特例も使わないなら、原則として申告は要りません。

当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんが、その分だけ譲渡費用に計上できる金額が減り、課税される譲渡所得はかえって大きくなります。売買契約書と代金の精算書は、決済の日にお渡しします。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

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代金が振り込まれた時点で、売主の手続はまだ終わっていません。利益が出た人は、翌年に確定申告をします。期間は2月16日から3月15日まで。利益が出ていなければ、原則として申告は要りません。ただし控除や特例を使うなら、税額が0円でも申告が条件になります。

不動産売却で確定申告が必要な人の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

不動産の売却で確定申告が必要なのは、譲渡所得が出た場合

申告が要るのは、譲渡所得がプラスになった場合です。譲渡所得は、売れた金額から取得費と譲渡費用を引いた残りを指します。特例や損益通算を使う場合も、申告が要ります。

決済が終わり、鍵と書類を渡した。登記も司法書士が入れた。ここで一度、手が空きます。次に動くのは年が明けてからです。その間に何をそろえておくか。申告の手間は、ここで決まります。

課税されるのは売れた金額ではなく、手元に残る利益

1,000万円で売れた家に、1,000万円分の税金がかかるわけではありません。課税の対象は譲渡所得です。譲渡所得は、売れた金額から2つの金額を引いて出します。

1つ目が取得費です。買ったときの購入代金と、購入にかかった費用を指します。建物は、使った年数に応じた減価償却費を引きます。引いた後の金額が取得費です。土地は減りません。

2つ目が譲渡費用です。売るために直接かかった費用を指します。仲介で売ったときの仲介手数料が代表です。引いた結果がマイナスになれば、譲渡所得は0円です。所得税も住民税も出ません。

問題になるのは、引く側の金額が分からない場合です。相続した実家では、親の契約書が残っていないことがよくあります。その場合の取得費の決め方は、「譲渡所得の計算で、不動産売却の確定申告の要否と税額が分かれる」の節の小見出し「1. 買ったときの資料が無いと、取得費は収入金額の5%になる」に書いています。

譲渡所得と給与所得の課税方式の違い

観点譲渡所得給与所得・年金
課税の仕組み分離課税(給与や年金と分けて計算する)譲渡所得とは合算しない
税率への影響給与が少ない人でも税率は変わらない譲渡所得の額は影響しない
売却で損が出た場合原則として給与と相殺できない原則として譲渡所得の損を引けない
損を相殺できる例外住宅ローンが残るマイホームを売った場合など法律が例外として認めた形のみ相殺できる

譲渡所得は、給与や年金と分けて計算する

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、分離課税です。給与所得や年金の所得と合算しません。根拠は租税特別措置法第31条と第32条です。給与が少ない人でも、譲渡所得の税率は変わりません。

この仕組みは、損が出たときにも効きます。空き家を売って損が出ても、給与と相殺することは原則としてできません。相殺できるのは、法律が例外として認めた形だけです。住宅ローンが残るマイホームを売った場合などです。

譲渡所得の計算手順

  1. 1

    売れた金額

    不動産が売れた金額

  2. 2

    取得費と譲渡費用を引く

    購入代金や購入費用から減価償却費を引き、仲介手数料も引く

  3. 3

    譲渡所得

    引いた残りがプラスなら課税対象の譲渡所得になる

会社員でも、年末調整では終わらない

勤務先は、従業員が自宅や実家を売ったことを知りません。年末調整の対象にもなりません。譲渡所得の申告は、売った本人が自分で行います。

住民税も、確定申告をすれば別に申告する必要はありません。税務署から市区町村へ内容が回ります。譲渡所得にかかる住民税は、翌年の6月以降に納めます。申告書には住民税に関する事項の欄があり、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税について、給与から天引き(特別徴収)にするか、自分で納付(普通徴収)にするかを記入します。ただし、分離課税である土地建物の譲渡所得がこの選択の対象に入るかどうかは、市区町村の運用で分かれます。勤務先に知られたくないなどの事情があるときは、申告の前にお住まいの市区町村の住民税の担当課に確かめてください。給与にかかる分は、どちらを記入しても特別徴収のままです。

国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料にも影響します。計算に入るのは、特別控除を引いた後の譲渡所得です。控除で0円になれば、保険料は動きません。金額が大きいときは、市区町村の窓口に先に聞いてください。

不動産の売却で確定申告が必要な場合と不要な場合を、5つの形で見分ける

居間のテーブルに座り、手元の紙を見ながら家族と話し合っている

必要になるのは、譲渡所得がプラスの場合です。3,000万円の特別控除や損益通算など、申告を条件とする特例を使う場合も要ります。

手元に売買契約書があれば、判定は今日できます。売れた金額と、買ったときの金額。この2つを並べるだけです。買ったときの金額が分からない段階でも、見当はつきます。

不動産の売却で確定申告が必要・不要が分かれる5つの場合

売った後の状況確定申告理由
譲渡所得がプラスになった必要所得税と住民税が生じる
譲渡所得がマイナスで、特例を使わない不要課税される所得が無い
住んでいた家の3,000万円特別控除を使う必要申告が適用の条件
相続した空き家の3,000万円特別控除を使う必要市区町村の確認書を添えて申告する
マイホームの売却損を給与と相殺する必要損益通算と繰越控除は申告が条件

表の3行目と4行目(2つの3,000万円特別控除)は、どちらも税額が0円になる場合があります。それでも申告は要ります。申告をしないと、控除そのものが使えません。税額が0円だから何もしなくてよい。この理解で止まると、後から本税と加算税が来ます。

表の2行目(譲渡所得がマイナスで特例を使わない場合)だけが、何もしなくてよい形です。ただし、マイナスであることを自分で確かめた上での話です。取得費の資料が無いまま、安く売ったから損のはずだと考える。この形は、ここで判定を誤ります。

期限は、売った年の翌年2月16日から3月15日まで

申告の期間は、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までです。3月15日が土曜や日曜に当たる年は、翌営業日が期限です。納付の期限も同じ日です。年ごとの日付は、国税庁の確定申告の案内で確認できます(国税庁)。

ここで迷うのが、「売った年」をいつで数えるかです。原則は引渡しの日です。ただし、売買契約を結んだ日を譲渡の日として申告することも選べます。12月に契約して1月に引き渡した場合。どちらを選ぶかで、申告する年が1年ずれます。

この選択は、特例の期限に関わることがあります。相続した空き家の特例が使えるのは、相続の開始があった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに譲渡した場合です。年をまたぐ日程になるときは、契約の前に確認してください。相手は税務署か税理士です。

損が出ていて還付を受ける申告は、翌年の1月1日から提出できます。2月16日を待つ必要はありません。申告をしていなかった還付の申告は、5年間さかのぼって出せます。

確定申告が必要かどうかの判定手順

  1. 1

    譲渡所得はプラスか

    プラスなら所得税と住民税が生じるため申告が必要

  2. 2

    特例を使うか

    マイナスでも特別控除や損益通算を使うなら申告が必要

  3. 3

    申告不要

    譲渡所得がマイナスで特例を使わない場合のみ不要

申告が不要な場合でも、税務署から「お尋ね」が届くことがある

売却の翌年、税務署から書面が届くことがあります。「譲渡所得の申告についてのお尋ね」です。登記の移転の情報が税務署に回るためです。利益が出ていないと判断して申告しなかった人にも届きます。

届いたら、売れた金額、買ったときの金額、かかった費用を書いて返します。損が出ていたのであれば、その旨を書けば済みます。放置すると、改めて連絡が来ます。書き方が分からなければ、管轄の税務署に電話で聞いてください。

「不動産の売却で確定申告が必要な場合と不要な場合を、5つの形で見分ける」について、そのまま聞けます。

譲渡所得の計算で、不動産売却の確定申告の要否と税額が分かれる

取得費をいくらで計上できるか、所有期間が5年を超えるか、特例を使えるか。この3つで税額が変わります。

同じ1,000万円で売った家でも、税額が0円になる人と、190万円を超える人がいます。分かれ目は売り方ではありません。手元の書類と、持っていた年数です。

1. 買ったときの資料が無いと、取得費は収入金額の5%になる

購入時の売買契約書も、建築の請負契約書も見つからない。相続した家では珍しくありません。この場合、売れた金額の5パーセントを取得費にできます。国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」に示された扱いです。

1,000万円で売れたなら、取得費は50万円です(国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」の概算取得費)。親が2,000万円で建てた家でも同じです。資料が無ければ、50万円として扱われます。つまり、売れた金額のほとんどが利益として残ります。

逆に言えば、契約書が1枚出てくるだけで課税される金額が大きく動きます。探す価値があるのは、特例を使っても譲渡所得が残る場合です。控除で0円になるなら、取得費の額は結果に響きません。

実額で計上する場合、建物の分は減価償却をします。土地と建物をまとめて買っていれば、建物の価額を割り出します。契約書の内訳か、消費税の額から計算します。自分でやるのが難しければ、申告の時期より前に税理士へ相談してください。

2. 譲渡費用に入るもの、入らないもの

譲渡費用は、売るために直接かかった費用に限られます。入るのは、仲介で売った場合の仲介手数料と、売買契約書に貼った印紙代です。土地を売るために建物を壊したなら、取壊し費用と滅失登記の費用も入ります。境界を確定するための測量費も同じです。借家人に払った立退料も入ります。

入らないのは、売る前に済ませた修繕費と、所有していた間の固定資産税です。草刈りや通水の費用、火災保険料、引越し費用も入りません。抵当権の抹消登記にかかった費用も、含めない取扱いとされています。迷う費用があれば、領収書を持って税務署に確認してください。

売却にかかる費用の全体像は「不動産売却の費用一覧」の記事に項目ごとに並べています。譲渡費用に入る分と入らない分では、手取りへの効き方が違います。

資料の有無で変わる取得費の落差

  • 親が建てた金額2,000万円
  • 売れた金額1,000万円
  • 資料が無い場合の取得費50万円

3. 所有期間5年で税率が変わり、相続した家は親の期間を引き継ぐ

税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで分かれます。判定の基準日は、譲渡した年の1月1日です。5年を超える長期譲渡所得は、所得税15パーセント、住民税5パーセント。これに復興特別所得税が所得税額の2.1パーセント上乗せされ、合計20.315パーセントです。5年以下の短期譲渡所得は、所得税30パーセント、住民税9パーセント。これに復興特別所得税が所得税額の2.1パーセント上乗せされ、合計39.63パーセントです。国税庁のタックスアンサーに示された税率です。

ここで誤解が多いのが相続した家です。相続した日から数えると5年以下でも、短期にはなりません。所得税法第60条第1項により、亡くなった方の取得の日と取得費をそのまま引き継ぎます。親が30年前に買った家なら、相続の翌年に売っても長期です。

買ったのが1月で、売ったのが6年後の3月。この場合、1月1日の時点では5年と2か月です。長期になります。逆に、5年目の12月に売ったとします。1月1日時点では4年11か月で、短期です。年末の決済は、この境目に当たることがあります。

譲渡費用に入る主な費用

  • 入る:仲介手数料と印紙代

    仲介で売った場合の手数料と契約書の印紙代

  • 入る:取壊し費用と測量費

    土地を売るための建物の取壊しや境界確定費用

  • 入る:立退料

    借家人に払った立退料

  • 入らない:修繕費と固定資産税

    売る前に済ませた修繕費や所有中の固定資産税

  • 入らない:維持費や引越し費用

    草刈りや通水、火災保険料、引越し費用

  • 入らない:抵当権抹消登記費用

    抵当権の抹消登記にかかった費用は含めない

4. 売れた金額ごとに、税額を置いてみる

取得費が分からないときは、収入金額の5パーセントを取得費にできます(国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」の概算取得費)。これで計算した4つの例です。譲渡費用は5万円と置きました。いずれも長期譲渡所得で、税率は20.315パーセントです(国税庁のタックスアンサー「長期譲渡所得の税額の計算」)。特例は使わない前提です。税額は万円未満を四捨五入しています。

  • 600万円で売った場合:取得費30万円と譲渡費用5万円を引いて565万円。税額は約115万円です。
  • 800万円で土地を売った場合:取得費40万円と譲渡費用5万円を引いて755万円。税額は約153万円です。
  • 1,000万円で売った場合:取得費50万円と譲渡費用5万円を引いて945万円。税額は約192万円です。
  • 1,500万円で売った場合:取得費75万円と譲渡費用5万円を引いて1,420万円。税額は約288万円です。

同じ1,000万円でも、短期譲渡所得なら税率は39.63パーセントです。この税率は国税庁のタックスアンサー「短期譲渡所得の税額の計算」によります。税額は約375万円になります。差はおよそ183万円です。所有期間の判定を誤ると、この幅で見込みが狂います。

そして、特例が使えれば話が変わります。自分が住んでいた家なら、一定の要件で最大3,000万円を控除できます(マイホームを売ったときの特例(国税庁))。上の4つの例は、いずれも譲渡所得が3,000万円以下です。控除が使えれば税額は0円になります。ただし、適用には申告が要ります。

相続した空き家にも、別の3,000万円の控除があります。昭和56年5月31日以前の建築であることなど、要件が細かく分かれます。自分の家が当てはまるかは「空き家3000万円控除の条件」の記事で順に判定できます。

相続・共有の不動産売却で、確定申告が必要になる人

片付けが始まる前の古い木造住宅の和室で、押し入れの前で手を動かしている人

相続した不動産は、売る前に名義を相続人へ移します。共有不動産を売却して利益が出たら、各共有者が個別に確定申告をします。

遺産分割の話がまとまり、売却の話が出てくる。この段階で、税の期限が2つ動き始めます。相続税の申告期限と、特例の期限です。

1. 相続した不動産を売却する前に済ませる2つの手続

1つ目は、名義を相続人へ移すことです。亡くなった方の名義のままでは、買主へ所有権を移せません。遺産分割協議書と戸籍一式をそろえ、相続登記を済ませます。

この期限は、売却の予定の有無と関係なく進みます。義務化が始まったのは2024年4月1日です。取得を知った日から3年が、申請の期限になります(相続登記の申請義務化(法務省))。それ以前に相続があった場合の区切りは、2027年3月31日です。過料の対象になるのは、正当な理由なく期限を過ぎたときです。

2つ目は、取得費の資料を探すことです。亡くなった方が買ったときの契約書や領収書が残っていれば、実額で計上できます。家を片付ける前に探してください。片付けの業者が入った後では、もう出てきません。名義変更から引渡しまでの順番は「相続した空き家の名義変更と売却の事例」の記事に実際の流れを書いています。

売却のタイミングと必要な手続き

相続開始からの期間期限を迎える手続き・特例
10か月相続税の申告
3年相続登記の申請
3年目の年末空き家3,000万円控除
3年10か月取得費加算の特例

2. 相続不動産の売却では、タイミング別に必要な書類が変わる

相続した不動産では、添える書類が変わります。分け目は、相続の開始からどれだけ経っているかです。

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月です。この期限までに売ると、相続税の申告と譲渡の申告が近い時期に重なります。相続税を納めた人は、その一部を取得費に加算できます。使えるのは、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡です。国税庁のタックスアンサー「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」に要件が出ています。申告には、相続税の申告書の写しと計算明細書が要ります。減る金額の計算例は「相続した家の売却の税金」の記事に置いています。

相続した空き家の3,000万円の控除には、確認書が要ります。被相続人居住用家屋等確認書といい、家屋の所在地の市区町村が発行します。なお、この控除が使えるのは相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡で、上の取得費加算の「相続税の申告期限の翌日以後3年」(相続の開始から数えると3年10か月)とは終わる日が違います。発行までの日数は市区町村で違います。売買契約を結んだ段階で、窓口に必要書類を聞いてください。なお、この控除と、相続税額を取得費に加算する特例は、同じ譲渡に重ねて使えません(租税特別措置法第39条)。どちらを使うかは、控除できる額と取得費に加算できる額を試算したうえで選びます。判断がつかないときは、両方の試算を持って税務署か税理士に見てもらってください。

どちらの特例も使わない場合でも、登記事項証明書は手元に置いてください。亡くなった方が買ったときの契約書の写しも同じです。前者は譲渡した資産の特定、後者は取得費の裏づけに使います。

3. 共有不動産を売却して利益が発生したら、持分ごとに確定申告が必要

兄弟3人で3分の1ずつ相続し、3人そろって売った。この場合、売買契約は1本でも、譲渡所得は3つに分かれます。売れた金額も取得費も譲渡費用も、持分の割合で按分します。

共有不動産売却時の確定申告は、各共有者が個別に行います。誰か1人がまとめて申告することはできません。代表者が3人分の税金を払う、という形も取れません。それぞれが自分の住所地の税務署へ、自分の申告書を出します。

添える書類も人数分が要ります。売買契約書の原本は1通しかありません。写しを人数分とります。決済の場で、その場の写しを全員が受け取っておくと後が楽です。

相続不動産の売却に関わる4つの期限

  1. 10か月

    相続税の申告

    相続開始を知った日の翌日が起点。

  2. 3年

    相続登記の申請

    取得を知った日が起点。売却予定がなくても進む。

  3. 3年目の年末

    空き家3,000万円控除

    相続開始が起点。特例を適用するための区切り。

  4. 3年10か月

    取得費加算の特例

    相続開始が起点。相続税の申告期限から3年後。

3,000万円の控除は、要件を満たせば共有者それぞれが受けられます。ただし、相続した空き家の控除には、人数による上限の引き下げがあります。租税特別措置法第35条第3項により、被相続人居住用家屋とその敷地等を取得した相続人の数が3人以上であるときは、各人が控除できる額の上限が3,000万円ではなく2,000万円になります。この引き下げが適用されるのは、令和6年1月1日以後に行った譲渡です。数えるのは家屋と敷地等を取得した相続人の数であり、売買契約に名を連ねた人数とは一致しないことがあります。人数で結果が変わる点は、売る前に確かめてください。

持分の割合が登記と実態でずれている場合は、先に整理が要ります。話がまとまらないまま進めたいときの選択肢は「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事にまとめた通りです。

4. 共有不動産売却後に確定申告を怠ったときに起きること

申告は各人の義務なので、結果も各人に返ってきます。3人のうち2人が期限内に申告し、1人がしなかった。この場合、通知が行くのは申告しなかった1人です。他の2人の申告が無効になるわけではありません。

無申告のまま放っておくと、本来の税額に無申告加算税と延滞税が加わります。金額の決まり方は、後ろの節「不動産の売却後に確定申告書を出す段取りと、期限を過ぎた場合」の中の小見出し「2. 期限を過ぎたときに加算される税」に書いています。

もう1つ起きるのが、共有者どうしの不信です。1人が税務署から連絡を受け、売買の内容を聞かれる。そこで他の共有者にも確認の連絡が及ぶことがあります。売却で話がついた後に、税で揉め直す形になります。決済の日に、全員で申告の時期を確認しておく。これだけでも防げます。

「相続・共有の不動産売却で、確定申告が必要になる人」について、そのまま聞けます。

不動産の売却後、確定申告に必要な書類を5点そろえる

基本は5点です。申告書、譲渡所得の内訳書、売ったときの契約書、買ったときの契約書、譲渡費用の領収書です。

決済の日に手元へ集まるのは、このうち2点です。売ったときの売買契約書と、譲渡費用の領収書です。残る3点は、自分で作るか探すことになります。先に足りない分を見極めてください。

1. 売った側の書類は、決済の日に手元に集まる

申告で使う基本の5点は次のとおりです。

  • 確定申告書(分離課税の譲渡所得は第三表を使います)
  • 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
  • 売ったときの売買契約書の写し
  • 買ったときの売買契約書の写し(取得費の資料)
  • 譲渡費用の領収書(仲介手数料、印紙代、測量費など)

このうち、売ったときの売買契約書と譲渡費用の領収書は、決済が終われば手元にあります。確定申告書と内訳書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作れます。税務署の窓口でも受け取れます。

確定申告に必要な基本の書類

  • 決済の日に手元へ来る2点

    売ったときの売買契約書の写しと譲渡費用の領収書

  • 自分で作る2点

    確定申告書と譲渡所得の内訳書

  • 探す1点

    買ったときの売買契約書の写し

売買契約書は、原本をそのまま税務署へ出すわけではありません。写しを添えます。原本は保管してください。将来、その不動産について問い合わせが来ることがあります。

特例を使う場合は、5点に加えて書類が要ります。住んでいた家の控除なら、居住していたことを示す資料です。登記簿上の住所と売った当時の住まいの住所が違うときなどに、売った日から2か月を経過した後に交付を受けた住民票の写しを添えます。相続した空き家の控除なら、登記事項証明書と市区町村の確認書が加わります(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。添付書類は、使う特例ごとに決まっています。国税庁のページで、該当する特例の欄を見てください。

2. 買ったときの契約書が見つからないときに探す場所

5点のうち、いちばん出てこないのがこれです。親の代に買った家では、まず残っていません。探す先は決まっています。

  • 権利証(登記済証)が入っていた袋や封筒の中
  • 仏壇の引き出し、金庫、貸金庫
  • 住宅ローンを組んだときの金銭消費貸借契約書
  • 購入当時の通帳と、振込の控え
  • 分譲時のパンフレットや価格表

住宅ローンの契約書が出てくれば、借入額が分かります。登記事項証明書の抵当権の欄にある債権額も手がかりです。ただし、これらで実額の取得費が認められるとは限りません。借入額と購入代金は一致しないためです。

資料が断片的に出てきた場合は、そのまま税務署に持って相談してください。どこまで取得費として認められるかは、資料の中身で判断が分かれます。認められなければ、国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」が示す概算取得費として、収入金額の5パーセントで計算します。

仲介した不動産会社がまだ営業していれば、取引の記録が残っていることがあります。ただし、保存の期間は会社ごとに違います。数十年前の取引で残っている例は多くありません。

不動産の売却後に確定申告書を出す段取りと、期限を過ぎた場合

夫婦が向かい合って紙を広げながら話し合っている(リビングのテーブルで)

内訳書を先に書いてから申告書を作り、3月15日までに提出します。過ぎた場合は、本来の税額に無申告加算税と延滞税が加わります。

年が明けたら、1月のうちに書類を並べてください。2月に入ると税務署の窓口が混みます。相談の予約も取りにくくなります。

1. 譲渡所得の内訳書を先に書く

譲渡所得の内訳書には、売った不動産の所在地と面積を書きます。続けて、売った相手、売れた金額、取得費、譲渡費用を順に埋めます。計算した結果は、確定申告書の第三表へ転記します。順番は内訳書が先です。

書くときに手が止まるのは、建物の減価償却の欄と、土地と建物の価額の内訳の欄です。契約書に内訳が書かれていない場合、消費税の額から建物の価額を逆算する方法があります。この計算が合っているかは、税務署の相談窓口で見てもらえます。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを使う方法もあります。画面の案内に沿って数字を入れるだけで、内訳書と申告書ができます。作った書類は、印刷して郵送するか、電子的に送信します。郵送の場合、通信日付印の日が提出日になります。

納める税額が出た場合、納付も3月15日までです。振替納税を選べば、口座からの引き落としは4月に入ります。納付の期限と引き落としの日は別です。資金の手当てを先に考えてください。売却代金を使う予定がある方は、税額分を別の口座に分けておくと安全です。

確定申告書を作成して提出する手順

  1. 1

    内訳書を先に書く

    売れた金額や取得費、譲渡費用を順に埋める

  2. 2

    申告書へ転記する

    内訳書で計算した結果を確定申告書の第三表へ転記する

  3. 3

    3月15日までに提出・納付

    作った書類を提出し、税額が出た場合は納付も済ませる

2. 期限を過ぎたときに加算される税

申告をしないまま期限を過ぎると、2つの税が加わります。

1つが無申告加算税です。定めているのは国税通則法第66条です(国税通則法(e-Gov法令検索))。割合は、納付すべき税額を区分して決まります。50万円までの部分が15パーセント、50万円を超えて300万円までの部分が20パーセント、300万円を超える部分が30パーセントです。15パーセントが全体にかかったうえで超過分が上乗せされるのではなく、区分ごとに割合が切り替わる仕組みです。300万円を超える部分の30パーセントは、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告から適用されています。過去に無申告や期限後申告を繰り返した場合の加重は、これとは別に定められた仕組みです。税務署の調査の通知を受ける前に、自分から期限後申告をすれば5パーセントです。気づいた時点で動くかどうかで、金額が変わります。

もう1つが延滞税です。同法第60条にもとづく税です。法定納期限の翌日から納付の日まで、日数に応じてかかります。割合は年ごとに変わります。国税庁の延滞税の案内で、その年の割合を確認してください。

重いのは、特例が使えなくなる場合です。3,000万円の特別控除は、申告をして初めて適用されます。期限内に申告していれば0円だった税額が、申告しなかったために本税と加算税の両方で請求される。この形がいちばん損をします。

期限を過ぎたことに気づいたら、そのまま期限後申告を出してください。出さずに放置すると、税務署の調査が入ります。更正や決定という処分で税額が決まります。そうなると、加算税の割合も上がります。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供です。個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額は、税務署または税理士にご確認ください。登記は司法書士、境界や隣地との権利関係は弁護士や土地家屋調査士の領分です。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「不動産の売却後に確定申告書を出す段取りと、期限を過ぎた場合」について、そのまま聞けます。

当社が買い取る場合に、確定申告のためにお渡しする書類と金額

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が買い取る場合に、確定申告のためにお渡しする書類と金額」について、そのまま聞けます。

不動産の売却と確定申告で、先に確かめる3つ

  • 譲渡所得がプラスなら申告が要ります。 売れた金額ではなく、取得費と譲渡費用を引いた後の金額で判定します。買ったときの契約書が無ければ、取得費は売れた金額の5パーセントです(国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」の概算取得費)。
  • 税額が0円でも、特例を使うなら申告が条件です。 3,000万円の特別控除も、損益通算も、申告をして初めて適用されます。申告しないまま期限を過ぎると、控除が使えないうえに無申告加算税と延滞税が付きます。
  • 共有で売ったときは、各共有者が個別に申告します。 代表者がまとめて出すことはできません。持分で按分した金額を、それぞれが自分の住所地の税務署へ出します。売買契約書の写しは、決済の日に人数分とってください。

当社は買主として直接買い取ります。売買契約書と代金の精算書は、決済の日にお渡しします。税額の計算と申告は、税務署か税理士の領分です。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

不動産の売却と確定申告についてのよくある質問

Q1. 家を売ったら確定申告は必要ですか

売って利益が出た場合は必要です。利益とは、売れた金額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得を指します。この金額がマイナスで、特例も使わないなら、原則として申告は要りません。 ただし、3,000万円の特別控除を使う場合は、税額が0円でも申告が条件です。マイホームの売却損を給与と相殺する場合も同じです。買ったときの契約書が無く、利益の有無がはっきりしない。その場合は、売れた金額の5パーセントを取得費として仮に計算してみてください。この5パーセントは、国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」が示す概算取得費です。

Q2. 800万円で土地を売却した場合、確定申告は必要ですか

買ったときの金額より高く売れていれば必要です。買ったときの金額が分からない場合、取得費は800万円の5パーセントで40万円となります(国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」の概算取得費)。譲渡費用を5万円と置くと、譲渡所得は755万円です。長期譲渡所得の税率20.315パーセント(国税庁のタックスアンサー「長期譲渡所得の税額の計算」)なら、税額は約153万円になります。 親から相続した土地で、親の購入時の資料が残っていない。このケースがこの形に当たります。相続した空き家の敷地として特例の要件を満たせば、税額が0円になることもあります。要件は国税庁のページと税務署で確認してください。

Q3. 確定申告で不動産を売買した場合、必要な書類は何ですか

基本は5点です。確定申告書、譲渡所得の内訳書、売ったときの売買契約書の写し、買ったときの売買契約書の写し、譲渡費用の領収書です。決済の日に手元へ来るのは、売ったときの売買契約書と譲渡費用の領収書の2点です。 確定申告書と内訳書は自分で作り、買ったときの契約書は売却の前後で探します。特例を使う場合は、住民票の写しや登記事項証明書、市区町村が発行する確認書などが加わります。どの書類が要るかは使う特例ごとに違います。国税庁のページで、該当する特例の添付書類の欄を見てください。

Q4. 家を1,000万円で売ったら、税金はいくらかかりますか

取得費が分からず5パーセントで計算し、譲渡費用を5万円と置くと、譲渡所得は945万円です。長期譲渡所得なら税額は約192万円です。5年以下の短期なら税率39.63パーセントで、約375万円になります。 概算取得費も税率も、国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」と「長期譲渡所得の税額の計算」によります。 所有期間は、譲渡した年の1月1日の時点で判定します。相続した家は、所得税法第60条第1項により、亡くなった方が取得した日を引き継いで判定します。親が10年前に買った家なら長期ですが、亡くなる直前に買った家を相続した場合は、亡くなった方の取得の日から譲渡した年の1月1日までが5年以下となり、短期になります。自分が住んでいた家で3,000万円の特別控除の要件を満たせば、税額は0円です。

Q5. 1500万円で家を売却した場合、税金はいくらぐらいかかりますか

同じ置き方(取得費は収入金額の5パーセント、国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」の概算取得費)で計算すると、取得費75万円と譲渡費用5万円を引いて1,420万円。長期譲渡所得の税率20.315パーセント(国税庁のタックスアンサー「長期譲渡所得の税額の計算」)で、税額は約288万円です。購入時の契約書が出てくれば、この金額は大きく下がります。 2,000万円で買った家なら、譲渡所得はマイナスになり、税額は0円です。契約書を1枚探すかどうかで差が出るのは、この部分です。家の中を片付ける前に、権利証の袋と古い通帳を確かめてください。

Q6. 家を600万円で売却した場合、税金はいくらになりますか

取得費30万円と譲渡費用5万円を引くと譲渡所得は565万円、長期譲渡所得の税率20.315パーセントで約115万円です(国税庁のタックスアンサー「長期譲渡所得の税額の計算」)。売却金額が小さくても、取得費が5パーセントしか計上できなければ、ほとんどが課税の対象として残ります。 金額が小さいから申告は要らない、という線引きはありません。一方で、買ったときの金額が600万円を超えていたと証明できれば、譲渡所得は出ず、申告も不要になります。判断に迷うときは、手元の資料を持って税務署に相談してください。

当社の見方

買取のご相談で、税の話が出るのは価格が決まった後です。ただ、順番としては逆の方が落ち着きます。売れた金額から税額を引いた後の数字。これを見て初めて、売るかどうかの判断ができます。当社がお出しするのは買取の金額と日程だけです。税額の計算はできません。それでも、買ったときの契約書が残っているかどうかはお尋ねしています。現地を拝見する段階です。ここで有無が分かると、売主さまが後で慌てずに済みます。

もう1つ多いのが、申告が要らないと思い込んでいるご相談です。安く売ったから損のはずだ、という理解です。ところが、購入時の資料が無ければ、取得費は国税庁のタックスアンサー「譲渡所得」が示す概算取得費となり、売れた金額の5パーセントです。結果として、ほとんどが利益として残ります。実際に当社が買い取った物件でも、金額が100万円に届かない例で利益が出ています。売却の話を進める前に、この一点を先に確かめてください。確かめた結果、税額が大きくて売らない方がよいという結論になることもあります。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
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法令:国税通則法出典:国税庁、法務省
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