実家じまいの手順は、登記の名義を確かめ、形見と大事な書類を取り分け、片付けてから売るか残置物ごと売るかを決め、売却して引き渡すという順で進み、家財の片付けは最初ではなく真ん中に来ます。片付けから手を付けると、探し物のたびに作業が止まり、売り方によっては要らなかった費用まで先に払うことになるからです。
空き家
実家じまいの 手順 |片付けから 売却までの 進め方と 判断の 分かれ目
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「親の家を片付けて手放すことになったけれど、片付けから始めていいのか、何から手をつければいいのか分からない」。片付けより先に登記の名義と書類を確かめ、そのうえで片付けてから売るか残置物ごと売るかを決めると、片付けの範囲も費用も手順の数も減ります。
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目次(12章)
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実家じまいで 迷わないために、 名義・家の 中の 物・建物と 土地を 順に 整理する
実家じまいの手順は、登記の名義、家の中の物、建物と土地の3つを、この順に片付けていく作業として組み立てると迷いが減ります。3つのうちどれが重いかは家ごとに違い、名義がすでに整っている家では片付けが山場になり、名義が祖父母の代で止まっている家では、片付けより先に書類の山を越えることになります。
実家じまいとは、 子が 親の 家を 片付けて 処分するまでの 作業
実家じまいとは、親が住んでいた家を子の世代が片付け、使い道を決め、最後に処分して手放すまでの作業を指す言い方です。法律の用語ではありません。親が亡くなって相続した家で始まることが多いものの、親が施設に移って家が空いたときに始まることもあります。親自身が元気なうちに住み替えを決めたときも同じです。どの場面かによって売主になる人が変わります。
始めるきっかけは家ごとに違い、親が亡くなった後に始める場合は相続の手続きと並べて進め、親が施設に移った後に始める場合は親本人と話しながら進めることになります。親が元気なうちに始める場合は、親自身が要る物を選べるので、片付けはいちばん軽く済みます。どのきっかけで始めても、手を付ける順番そのものは変わらず、名義、中身、家の順に片付けていきます。
子の側から見ると、実家じまいは引っ越しとは性質が違います。引っ越しなら持ち主が自分で要る物を選べますが、実家じまいでは物の持ち主がもういないか、判断を子に任せていることが多く、何を残すかを決める人と、費用を出す人と、売れた代金を受け取る人が別々になりがちです。
この3者がずれたまま片付けを始めると、作業そのものより後の精算でつまずきます。兄弟のうち近くに住む1人が片付けを引き受け、業者の費用を立て替えることはよくあります。売る段になって代金の分け方を話し合うとき、領収書が残っていないと記憶の食い違いが言い争いの種になります。
実家じまいの 方法は、 売る ・貸す・ 更地に して 売る ・国に 引き渡すの 4つ
手放すと決めた実家の出口は、大きく分けると次の4つの方法に絞られます。
- 建物が付いたまま売る(仲介で買主を探すか、買取業者に直接売る)
- 貸して賃料を受け取り、しばらく持ち続ける
- 建物を解体して更地にし、土地として売る
- 建物を解体したうえで、相続土地国庫帰属制度を使って国に引き取ってもらう
貸す方法は家を手放すわけではありません。修繕と入居者の管理を引き受け続けるので、実家から離れて暮らす子世代には負担が残ります。国に引き渡す方法は、建物がないことや土壌汚染がないことなど、土地の条件が細かく決まっています。審査を経たうえで負担金も納めるため、売れない土地の最後の出口として考えるのが現実的です。負担金は宅地なら原則20万円です。どんな土地が引き取ってもらえないかは、「相続土地国庫帰属制度は使えないのか」の記事で、却下される条件と負担金から確かめられます。
残る2つ、建物付きで売るか更地にして売るかの比較が、多くの実家じまいで実際に悩むところになります。解体にはまとまった費用が先に出ていき、更地にした翌年からは土地の税も重くなるため、解体は売れる見込みを確かめた後に決める方が、取り返しのつかない出費を避けられます。
売る、貸す、更地にして売るなどの方法がある
手放すと決めた実家の主な出口
建物が付いたまま売る
仲介などで建物を残したまま売却する。
貸す
賃貸として他人に貸し出す。
更地にして売る
建物を解体し、土地だけにして売却する。
国に引き渡す
手放すと決めた実家を国に引き渡す。
実家じまいに かかる 期間は、 名義と 物の 量で 変わる
実家じまいにかかる期間を決めるのは、片付けの手際よりも、名義を移すのに要る時間と、家に残った物の量と、売り方の3つです。
名義の面では、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。相続登記を申請するまでに、相続人の人数や住んでいる場所によっては数か月かかることがあります。祖父母の名義のまま止まっていれば、さかのぼる世代の分だけ相続人が増え、話し合いにも時間がかかります。
物の量は、住んでいた年数にほぼ比例します。数十年暮らした家では押し入れや物置、天袋、納屋にまで物が詰まっていることが多く、週末ごとに通って片付ける形では、遠くに住む子にとって季節をいくつも越える作業になりかねません。
売り方の面では、仲介で買主を探す場合は売り出してから買主が現れるまでの時間が読めず、買取業者に売る場合は金額と引き渡しの日が先に決まります。片付けと売却は並べて進めることもでき、片付けを終える前に査定を取っておくと、その家にどこまで片付けが要るのかが早く分かり、全体の期間が縮みます。
先延ばしにしたときの代償も、期間の中に入れて考えます。空いたままの家でも固定資産税は毎年かかり、火災保険や電気・水道の基本料金、草刈りや見回りに通う交通費が出ていくうえに、人が住まない建物は傷みが早く進みます。名義の手続きも、相続人のうち誰かが亡くなれば次の相続が重なり、話し合いに加わる人が増えていきます。
名義、家の中の物、建物と土地の順に進める
実家じまいで整理を進める順番
- 1
名義の整理
誰の名義か確かめ、必要なら相続の手続きをする
- 2
中身の片付け
家の中の物を要る物と要らない物に分ける
- 3
家の処分
建物と土地の使い道を決め、最後に手放す
実家じまいは 何から 始めるか :登記の 名義と 書類を 先に 確かめる
実家じまいは、片付けより先に、登記の名義が誰になっているかを確かめるところから始めます。名義が亡くなった親のままか、祖父母の代で止まっているか、親が存命で親の名義のままかで、売却までに要る手続きと、話し合いに加わる人の数が変わります。

最初に 見るのは、 登記事項証明書の 名義人
名義を確かめる書類は、法務局で取れる登記事項証明書です。土地と建物はそれぞれ別に登記されているので両方を取り、所有者の欄に誰の名前が載っているかを見ます。地番や家屋番号は住所の表示と一致しないことがあるため、毎年届く固定資産税の納税通知書に付いた課税明細書を手元に置き、そこに書かれた所在と地番で請求すると取り違えが起きにくくなります。
課税明細書には、家の敷地のほかに、家族が存在を忘れていた土地が載っていることがあります。家の裏の細長い土地や、少し離れた畑や山林などです。親が同じ市区町村にほかにも土地を持っていたかは、役所の税務の窓口で名寄帳を取ると一覧で見られます。こうした土地を見落としたまま家だけを売ると、別の土地の相続登記と処分を一からやり直すことになります。名義を調べる段階で一緒に拾っておくと手戻りがありません。
名義を確かめたら、権利証または登記識別情報を探します。親が大事にしまっていた場所は、仏壇の引き出しや手提げ金庫、銀行の貸金庫であることが多く、片付けの業者が入ってからでは見つけにくくなるので、ここは家族の手で先に探しておく場所です。
相続登記の 期限は、 相続を 知った 日から 3年
相続登記の申請は、2024年4月1日から義務になりました。不動産登記法第76条の2第1項により、相続で不動産を取得した人は、相続が始まったことと自分が取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料の対象になります(相続登記の申請義務化について(法務省))。
実家じまいを始める子世代が自分の期限を確かめるときは、親が亡くなった日と、実家が自分たちの相続財産だと知った日を紙に書き出してください。2024年4月1日より前に親が亡くなり、そのときすでに知っていた場合も義務の対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。何年も前に亡くなった親の名義のまま置いてあった実家も、この期限から外れません。
遺産の分け方の話し合いがまとまらず、期限に間に合いそうにないときの仕組みもあります。不動産登記法第76条の3は、相続が始まったことと自分が相続人であることを登記官に申し出る制度を定めています。法務省の案内では、この申出をすれば申請の義務を果たしたものとみなされます。ただし申出だけでは名義は移らないので、実家を売るところまで進むには、やはり相続登記を済ませる必要があります。
親が 存命で 施設に いるなら、 売るのは 親本人
親がまだ存命で、施設や病院に移ったために実家が空いた場合は、相続は始まっていないので、売主は名義人である親本人です。子が親に代わって勝手に売ることはできず、契約にも決済にも、親本人の売る意思が要ります。
親が元気で話ができるうちは、親本人が契約の場に立ち会うか、本人の意思を確かめたうえで子が委任を受けて手続きを進める形が取れます。認知症などで本人の判断が難しくなっていると、この委任も使えません。家庭裁判所で成年後見人を選んでもらい、その後見人が売ることになります。親が住んでいた家を売るには、家庭裁判所の許可も要ります。成年後見が要る場合と要らない場合の進め方は、「親が認知症で家を売る方法」の記事に分けて載っています。
親が存命の実家じまいでは、片付けにも気を配る必要があります。家の中の物はまだ親の持ち物なので、施設に持っていきたい物や、家に戻ることがあれば必要になる物を、親本人と話しながら選ぶ順番になり、子だけで判断して処分すると、後から取り返しのつかない行き違いが起きます。
登記事項証明書や課税明細書で名義を確かめる
実家じまいの最初に確かめる書類
登記事項証明書
土地と建物それぞれを取り所有者の欄を見る。
課税明細書
納税通知書に付き、所在と地番が書かれている。
名寄帳
親が同じ市区町村に持つ他の土地を一覧で見る。
権利証・登記識別情報
仏壇や金庫などから家族の手で先に探しておく。
「実家じまいは何から始めるか:登記の名義と書類を先に確かめる」について、そのまま聞けます。
実家じまいの 分かれ目:片付けてから 売るか、 残置物ごと 売るか
片付けてから売るか、家具や衣類が残ったまま売るかは、建物に値が付くかどうかと、片付けに通える人がいるかどうかで決まります。建物を使い続けたい買主が付く家なら片付けて見せる意味があり、建物を壊す前提で買われる家なら、片付けにかけた費用はそのまま持ち出しになります。
1. 片付けてから 売る 方が 向く 実家
片付けてから売る方が向くのは、建て替えができる敷地にあり、建物もまだ住める状態で、仲介で一般の買主を探せる実家です。
内覧に来る買主は、家具が詰まった部屋では広さも日当たりも想像しにくくなります。物の多い家はそれだけで敬遠されやすいため、建物を使ってもらえる家ほど、片付けた状態で見てもらうことが価格につながります。片付けといっても、全部を空にするまでやり切る必要はなく、内覧で歩く通り道と台所や浴室などの水回りが見える程度に整えるだけでも、受ける印象は大きく変わります。
もう一つの条件は、片付けに通える人がいることです。実家の近くに住む家族が週末に通える家や、親が元気なうちから少しずつ物を減らしてきた家では、業者に払う費用を抑えながら片付けを進められ、売り出しの時期も自分たちの都合で決められます。
片付けてから仲介で売り出す場合は、売れるまでの間も家を見せられる状態に保つ手間が続きます。内覧のたびに鍵を開ける人を決め、電気を止めずにおき、庭の草が伸びれば刈りに行く。こうした管理が売れる日まで続きます。片付けの手間に加えて、この管理を引き受けられるかどうかも条件に入れて考えます。
2. 残置物ありの まま 売る 方が 向く 実家
残置物ありのまま売る方が向くのは、建物に値が付きにくく、買主が解体や大がかりな改修を前提にする実家です。
この場合、売主が先に片付けの業者を入れても建物の値段はほとんど上がらず、立て替えた費用は価格に戻ってきません。買取業者に売る場合は、残置物の処分にかかる費用を見積もったうえで価格から差し引く形が多く、売主は片付けの業者を探す手間と、売れる前に費用を立て替える負担の両方を省けます。家財を片付けずに売るときに価格がどう決まるかは、「ゴミ屋敷を片付けずに売却できるか」の記事で、費用を誰が負担するかから説明しています。
遠くに住む子世代や、兄弟の誰も片付けを引き受けられない家も、この形が向きます。当社が2025年に買い取った神奈川県南足柄市の築10年以上の戸建ても、残置物が残った空き家のまま引き取って販売まで終えた家で、この物件の場合の金額は200万円台でした。
残置物ごと売る場合でも、形見と書類だけは売主が先に取り出しておく必要があり、引き渡した後に家へ入って探し物をすることはできません。
建物の状態や通える人がいるかで売り方が分かれる
片付けて売るか残置物ごと売るか
| 観点 | 片付けてから売る | 残置物ありのまま売る |
|---|---|---|
| 建物の状態 | まだ住める状態 | 値が付きにくい |
| 買主の目的 | 建物を使い続けたい | 解体や大がかりな改修 |
| 売り方 | 仲介で一般の買主を探す | 買取業者に売る |
| 費用の負担 | 業者費用を抑えながら進める | 処分費用を価格から差し引く |
| 売れるまでの管理 | 内覧対応や草刈りなどが続く | 管理の手間を省ける |
3. どちらが 向くかを 決める 実家じまいの 分かれ目チェック表
次の問いのうち当てはまるものに印を付けると、片付けてから売るか、残置物ありのまま売るかのどちらに寄るかが見えてきます。
□ 建物の築年数が古く、買主が建て替える前提になりそうだ□ 前面の道が狭いなど、建て替えができるかどうか分からない□ 空き家になってから年単位の時間がたち、雨漏りやカビ、床のきしみが出ている□ 家具や家電が各部屋に残り、押し入れや物置まで物が詰まっている□ 実家まで遠く、片付けのために何度も通える家族がいない□ 相続登記がまだで、片付けと名義の手続きを同時に進める人手がない□ 片付けの業者に払う費用を、売れる前に立て替えられる人がいない
上の3つの問いは建物の値段にかかわり、下の4つの問いは片付けの負担にかかわります。上の3つのどれかに当てはまる家は、建物に値が付きにくいため片付けの費用が価格に戻りにくく、残置物ありのまま売る側に寄ります。
下の4つだけに当てはまる家は、建物には値が付く見込みがあるので、片付けを業者に任せて費用をかけてでも、仲介で売った方が手元に多く残ることがあります。どれにも当てはまらない家は、自分たちで片付けてから仲介で売り出す形がいちばん取りやすい家です。
印の付き方がどちらつかずのときは、片付ける前に仲介と買取の両方の金額を取り、片付けの費用を引いた後に手元に残る額で比べると、迷っていた判断が数字で決まります。
片付ける家は買主を探しやすく残置物ありは手間が省ける
片付けの有無で変わる実家の条件
| 分かれ目の条件 | 片付けてから売る | 残置物ありのまま売る |
|---|---|---|
| 建物の状態 | まだ住める状態 | 解体や大がかりな改修が前提 |
| 敷地の条件 | 建て替えができる | 建物に値が付きにくい |
| 片付けに通える人 | 週末などに通える家族がいる | 通える人がいない |
| 想定する売り方 | 仲介で一般の買主を探す | 買取業者に売る |
実家じまいで 家の 状態が 手順を 変える :再建築不可・ 築年数・傷み
再建築不可の実家や築年数の古い実家は、解体や修繕を先にせず、建物が付いたままの状態で値段を確かめてから手順を決めます。建物を壊した後に使い道が残る土地かどうか、建物そのものに買主が付くかどうかで、片付けや解体にお金をかけてよい範囲が変わります。
1. 再建築不可の 実家は、 建物付きのまま 売る 方向で 考える
敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接していない家は、建築基準法第43条第1項の決まりを満たさないため、今の建物を壊すと新しい家を建てられません。これが再建築不可と呼ばれる状態で、昔からの住宅地の奥まった家や、細い路地の先にある家に多く見られます。
再建築不可の実家で先に解体してしまうと、建物を建てられない土地だけが残ります。買主の候補が大きく減り、翌年からは土地の税も重くなります。住宅ローンを使える買主が限られるため、仲介で売り出しても問い合わせが入りにくくなります。主な買い手は、建物を直して使う前提の買取業者や、隣の家の持ち主です。売りにくくなる仕組みは、「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事に、接道の決まりからたどって説明しています。
再建築ができるかどうかは、市区町村の建築指導の担当課で、前面の道が建築基準法上の道路に当たるかを聞けば確かめられます。片付けを始める前にこの確認を済ませておくと、建物を残すのか、片付けにどこまでお金をかけるのかを、土地の条件から決められます。当社が2025年に買い取った千葉県千葉市中央区の戸建ても、築40年以上で再建築不可、残置物も残った空き家でしたが、建物付きのまま引き取って販売まで終えており、この物件の場合の金額は300万円台でした。
2. 築年数が 古い 実家は、 建物に 値が 付かない 前提で 片付けの 範囲を 絞る
築年数が古い木造の実家では、建物そのものには値が付かず、土地の値段から解体の費用を引いた額で取引されることが少なくありません。
この場合に先に内装を張り替えたり、ハウスクリーニングを入れたりしても、買主は建物を壊すつもりなので、かけた費用は価格に表れません。片付けも同じで、買主が解体のときに家財ごと処分する前提なら、売主が先に全部を運び出す意味は薄くなります。
ただ、古い家でも手を入れれば住めると見る買主がいる地域や、古い建物を直して貸す前提で買う業者もいて、築年数だけで建物の値段が決まるわけではありません。建物に値が付くかどうかは片付けの前に査定を取って確かめるのが確実で、査定の時点で残置物はそのままで構わないと言われた家なら、片付けは形見と書類を取り出すところで止めてかまいません。
再建築不可や古い家は建物付きのまま値段を確かめる
家の状態と売却の方向性
| 家の状態 | 解体・修繕の判断 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 再建築不可の実家 | 先に解体せず建物付きのまま売る | 壊すと新しい家を建てられないため |
| 築年数が古い木造の実家 | 内装を張り替えたりしない | 建物そのものには値が付かないため |
3. 雨漏りや 傾きが ある 実家は、 直す前に 買主の 見方を 聞く
雨漏りやシロアリの跡、床の傾きがある実家は、修繕してから売るか、そのまま売るかで迷いやすいところですが、直す前に買主の側がその傷みをどう見るかを確かめる方が先です。
買主が建物を壊す前提なら、修繕の費用はそのまま失われます。建物を直して使う前提の買主でも、自分の基準で直し方を決めたいことが多く、売主が手配した修繕が値段に足されるとは限りません。一方で、不具合を知っていながら伝えずに売ると、引き渡した後に買主から修繕や代金の減額を求められることがあるので、知っている傷みは書き出して、査定の段階で伝えておきます。
空き家になってからの期間が長い家ほど、こうした傷みは進みます。屋根から入った水が柱や床下に回ると直す範囲が年ごとに広がり、買取の価格から差し引かれる額も増えていくので、修繕するかどうかを決めかねている間も、空けておく期間だけはむやみに延ばさない方が、最後に手元に残る額を守れます。
実家じまいの 費用は、 片付け・解体・登記の どこで 膨らむか
実家じまいの費用は、片付け・解体・登記と売却の3か所で出ていき、どこが膨らむかは物の量と、建物を残すか壊すかで決まります。同じ家でも、片付けと解体を売主が先に済ませるか、買主に任せるかで、売主が払う項目そのものが入れ替わります。
1. 片付けの 費用は、 物の 量と 運び出しの 条件で 決まる
家財の片付けを業者に頼む費用は、運び出す物の量と、トラックが家の前まで入れるか、階段を使って運ぶ必要があるかといった運び出しの条件で、ほぼ決まります。同じ広さの家でも、押し入れや物置、納屋に物が詰まっている家ほど費用は大きくなります。テレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンのようにリサイクル料金がかかる物が多ければ、その分も加わります。
見積もりを取るときは、何を処分して何を残すかを先に決めてから、同じ条件で複数の業者に出してもらうと比べやすくなります。仏壇や神棚の扱い、庭の植木や物置の解体まで含むかどうかで金額が大きく変わるので、見積書に作業の範囲と、当日に物が増えたときの追加の条件が書かれているかを確かめてください。
家族で片付ける場合でも費用はかかります。市区町村の粗大ごみの回収は、品目ごとの手数料と回収日の予約が要ります。一度に出せる量にも限りがあるので、物の多い家では回数がかさみます。車で処分場へ持ち込む方法も、往復の時間や交通費、宿泊費まで入れると、業者に頼む場合と差が縮まることがあります。
売る相手が買取業者になりそうなら、片付けの見積もりを取る前に、残置物ごと引き取ってもらえるかを聞いておくと、業者を2度呼ぶ手間と、要らなかった見積もりの手間が省けます。
2. 解体の 費用は、 補助金の 有無と 翌年の 固定資産税で 見る
建物を解体する費用は、木造か鉄骨か、建物の大きさ、重機が入れる道かどうかで変わり、古い家ではアスベストの調査や除去の費用が加わることもあります。市区町村によっては古い空き家の解体に補助金を出していて、建物の年数や危険の度合いなどの条件を満たすと費用の一部が戻ってくるので、解体を考えるなら工事の契約前に役所で確かめてください。補助金の探し方と申し込む順番は、「空き家の解体に補助金は使えるか」の記事にまとめています。
解体で見落とされやすいのは、翌年からの固定資産税です。家が建っている土地は住宅用地として課税標準が下げられていて、地方税法第349条の3の2により、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1、それを超える部分は3分の1になっています(地方税法(e-Gov法令検索))。固定資産税は毎年1月1日の状態で課税されるので、年内に解体して更地のまま年を越すと、翌年度からはこの軽減が外れます。
建物を残していれば安心というわけでもありません。管理されないまま傷んだ空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく市町村長の勧告を受けることがあります。勧告を受けると、同じ条文により敷地はこの軽減の対象から外れます。片付けに通えないまま何年も空けておく家ほど、勧告に進むおそれが高まります。判断を先延ばしにすること自体が、毎年の費用として積み上がっていきます。
物の量や運び出しの条件で業者に払う費用が決まる
片付けの費用を左右する条件
運び出す物の量
押し入れや物置に物が詰まっているほど膨らむ。
運び出しの条件
トラックが家の前に入れるか、階段を使うか。
リサイクル料金
テレビや冷蔵庫など対象の家電が多いと加わる。
作業の範囲
仏壇の扱いや庭の植木、物置の解体を含むか。
3. 登記と 売却の 費用は、 売り方で 負担する 項目が 変わる
相続登記には、法務局に納める登録免許税と、司法書士に頼む場合の報酬、戸籍や住民票を取り寄せる実費がかかり、これは売り方にかかわらず相続した側で負担する費用です。売るときには、売買契約書に貼る印紙代、ローンが残っていれば抵当権を消す登記の費用、登記上の住所が今の住所と違えば住所を変える登記の費用がかかります。
仲介で売る場合は、これに仲介手数料が加わり、その上限は宅地建物取引業法第46条にもとづいて国土交通大臣が定めています。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんが、片付けや解体の費用は価格の中で差し引かれるので、手数料の有無だけで比べず、売主が先に払う額と、最後に手元に残る額の2つで比べてください。
費用の項目は売り方で入れ替わるので、片付けの業者と解体の業者、司法書士の見積もりを、売り方を決める前に並べておくと、どの組み合わせで手元に最も多く残るかが計算でき、思い込みで高い方を選ぶことがなくなります。
リサイクル家電の多さや重機が入れる道かで費用が動く
片付けと解体で費用が膨らむ要因
| 費用の種類 | 費用が膨らむ主な要因 |
|---|---|
| 片付けの費用 | 押し入れや物置、納屋に物が詰まっている |
| 片付けの費用 | トラックが家の前まで入れない・階段がある |
| 片付けの費用 | リサイクル料金がかかる家電が多い |
| 解体の費用 | 木造か鉄骨か・建物の大きさが大きい |
| 解体の費用 | 重機が入れる道ではない |
| 解体の費用 | アスベストの調査や除去が必要になる |
実家じまいの 税金と 期限:売る 時期と 片付ける 時期で 結果が 変わる
実家じまいの税金は、売った年の翌年の確定申告で決まり、相続から何年目に売るかと、親が買ったときの書類が残っているかで額が変わります。片付けの時期も税や相続にかかわり、書類を捨てる前か後か、相続放棄を決める前か後かで、取れる選択肢が変わります。

1. 相続した 空き家の 3,000万円控除には 売る 期限が ある
被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。租税特別措置法第35条第3項にもとづく特例で、売る期限は相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、売る代金は1億円以下であることが要件に含まれます。
家屋の側の主な要件は、昭和56年5月31日以前に建てられた家であることです。売る前に耐震基準に合うよう改修するか、取り壊して更地にすることも求められます。令和6年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修や取壊しをした場合も対象になりました。また令和6年1月1日以後に売った場合、この家と敷地を相続した人が3人以上いると、控除の上限は1人あたり2,000万円になります。要件はほかにもあります。相続の直前まで親が一人で住んでいたことや、相続の後に誰かが住んだり貸したりしていないことも問われます。使えるかどうかは国税庁のページの全文で確かめてください。
この特例を使うつもりがあるなら、片付けや売り方を決める前に、期限の年の12月31日を書き出しておきます。親が施設に入ってから亡くなった家のように、細かな取扱いで使えるかどうかが分かれる家もあり、判定の順番は「空き家3000万円控除の条件」の記事で確かめられます。
2. 親が 買った ときの 書類で、 譲渡所得の 税が 変わる
実家を売って利益が出れば、譲渡所得として所得税と住民税がかかり、利益は売った代金から取得費と売るための費用を引いて計算します。相続した家の取得費は、所得税法第60条第1項により親が買ったときの金額を引き継ぐので、親の代の売買契約書や建築の請負契約書、そのときの領収書が残っているかどうかで税額が変わります。
取得費が分からないときは、売った代金の5%を取得費とする扱いが国税庁のタックスアンサー(取得費が分からないとき)で案内されていて、親が実際にはずっと高い金額で買っていても、書類がなければその金額は使えません。所有期間も親が取得した日を引き継ぐので、親が長く住んでいた家なら、相続の直後に売っても長期の譲渡所得として扱われます。
こうした書類は、権利証と一緒にしまわれていることもあれば、古い書類の箱や手紙の束にまぎれていることもあり、片付けの業者が入る前に探しておかないと、紙の束ごと処分されてしまいます。
3. 相続放棄を 考えているなら、 片付けを 始める 前に 止まる
親に借金があるなどの理由で、相続そのものを放棄するかどうかを考えている場合は、片付けや売却に手を付ける前に止まってください。民法第915条第1項により、相続を放棄するかどうかは、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があり、その前に家財を売ったり処分したりすると、相続を受け入れたとみなされて放棄ができなくなることがあります。
形見を少し持ち帰る程度で直ちに問題になるとは限りません。ただ、どこまでが許される範囲かは事案ごとに判断が分かれます。放棄を少しでも考えているなら、家の中の物を動かす前に弁護士や司法書士、家庭裁判所の案内で確かめてください。放棄した後も、そのとき家を現に占有している人には、次に管理する人へ引き渡すまで自分の物と同じ注意で保存する義務が残ること(民法第940条第1項)も、実家じまいの計画に入れておく必要があります。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
相続開始から3年を経過する年の年末までに売却する
空き家の特例を使うための期限
相続開始
相続の開始
親が亡くなり、実家の相続が始まる
3年目の12月31日
特例の売却期限
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却の翌年2月15日
買主の改修・取壊し期限
令和6年以降の売却で、買主が耐震改修や取壊しをする場合の期限
売却の翌年
確定申告
売った年の翌年の確定申告で税金が決まる
「実家じまいの税金と期限:売る時期と片付ける時期で結果が変わる」について、そのまま聞けます。
実家の 片付けに 入る 前に、 売却書類を そろえて 残す物を 決める
実家じまいの手順の最初は、売却に要る書類をそろえ、形見と大事な書類を取り分けて、家の中の物を残す物と手放す物に分けるところまでです。ここまでを片付けの業者が入る前に済ませておくかどうかで、探し物のために作業を止める回数と、業者に払う費用が変わります。
1. 相続登記と 売却に 要る 書類を そろえる
「相続登記の期限は、相続を知った日から3年」の項で自分の期限を確かめたら、相続登記に要る書類を集めます。亡くなった親の出生から死亡までのつながった戸籍、相続人全員の戸籍と住民票、遺産の分け方を書いた遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が、一般的な組み合わせです。親の本籍地が何度か移っていると、戸籍は複数の役所にまたがります。ただ、本籍地以外の役所の窓口でもまとめて請求できる仕組みがあります。本人や親子などが窓口に出向く場合に使えます。
登記の申請は自分でもできます。ただ、書類の不備で何度も法務局に通うことになりやすいものです。売却まで見据えているなら司法書士に頼み、決済の日から逆算した日程で進めてもらうと手戻りが少なくなります。兄弟が別々の土地に住んでいる場合は、遺産分割協議書への署名と印鑑証明書の取り寄せを郵送で回すことになるので、その往復の期間も日程に入れておきます。
売却に向けては、権利証または登記識別情報、固定資産税の納税通知書、親が家を買ったときの売買契約書や建築の書類、建物の図面、増改築の記録をひとまとめにしておきます。図面や建築確認の書類は、建物を直して使う買主が建物の状態を判断する材料になり、家の中に見当たらなければ、役所で建築計画概要書などを取れるかを確かめます。
権利証や親の代の契約書は捨てずに先に取り分ける
断捨離の前に取り分けるべき物
権利証・登記識別情報
売却に向けてひとまとめにしておく。
売買契約書や建築の書類
親が家を買ったときの書類や建物の図面など。
固定資産税の納税通知書
課税明細書で所在や地番を確かめるために使う。
戸籍や印鑑証明書
相続登記に要るため、捨てずにそろえておく。
2. 断捨離で 先に 捨てては いけない 物を 取り分ける
断捨離の勢いで家の中を一気に空にする前に、捨ててはいけない物を先に取り分けます。取り分けるのは次の4つです。
- 権利証・登記識別情報、親の代の売買契約書や領収書など、登記と税にかかわる書類
- 預金通帳や保険の証券、年金の書類、借入の明細など、財産と借金の範囲が分かる書類
- 遺言書(封がしてあるものは開けず、家庭裁判所での手続きを先に確かめる)
- 写真や手紙、仏具、親の趣味の品など、家族の誰かが残したいと言いそうな形見
書類は、引き出しの奥や仏壇の下、本棚の本の間、古い鞄の中のように思いがけない場所から出てくるので、業者が入る前に家族の誰かが一度すべての引き出しと箱を開けて確かめます。通帳や借入の明細は、「相続放棄を考えているなら、片付けを始める前に止まる」の項で触れた放棄の判断の材料にもなるため、片付けより前に揃えておく意味があります。
形見については、家族それぞれが残したい物を片付けの日より前に言い出せる場を作っておくことが、後からの「あれも捨てたのか」という行き違いを防ぎます。写真やアルバムは量がかさむので、全部を持ち帰るのが難しければ、家族で欲しい分を分けてから残りをまとめて処分する順にすると、誰か1人が判断を背負わずに済みます。
戸籍は役所で集め権利証や契約書は家の中から探し出す
相続登記と売却に要る書類の集め先
| 集め先 | 相続登記に要る書類 | 売却に要る書類 |
|---|---|---|
| 役所の窓口 | 戸籍・住民票・印鑑証明書 | 建築計画概要書 |
| 家の中 | 遺産分割協議書 | 権利証・納税通知書・売買契約書・図面など |
実家じまいの 片付けの 手順 :部屋の 順番と 業者への 頼み方
実家の片付けは、探し物のある部屋から始めて玄関に向かって進め、物の量が家族で運べる範囲を超えたところから業者に任せます。どこで家族の手を止めて業者に渡すかは、家族が通える回数と、片付けの費用を立て替えられるかどうかで変わります。
1. 片付ける 順番は、 探し物の ある 部屋から 外へ 向かう
片付けの順番は、書類と形見が眠っていそうな部屋を最初に、物の量が多くても判断の要らない部屋を最後にすると、作業が止まりにくくなります。親の寝室や居間の引き出し、仏間は、通帳や権利証、写真が見つかりやすい場所なので、ここは業者を入れる前に家族の手で確かめます。
次に、台所や洗面所の消耗品、着なくなった衣類のように、残すかどうかで迷うことの少ない物を減らしていきます。物置や納屋、天袋のように大きな物がまとまって入っている場所は、運び出しの業者に任せる前提で最後に回します。玄関から奥へ向かう通り道にある物を早めに片付けておくと、後の作業で物を一時的に置く場所ができ、運び出しの日の作業も速く進みます。
片付けの途中で残すか迷う物が出てきたら、部屋ごとに置いた箱に入れていくと、迷うたびに手が止まることがなくなります。その箱は最後に家族で集まって中身を決めればよく、迷う物の判断をその日のうちに無理に済ませる必要はありません。
実家が遠く、まとまった日数を取れない場合は、1回目は書類と形見を探すだけ、2回目は家族が持ち帰る物を運び出すだけ、と通う回ごとに目的を1つに絞ると、短い滞在でも作業が先へ進み、何度通っても終わらないという感覚に陥りにくくなります。
形見は家族で持ち帰り大きな物は業者にまとめて任せる
家族で判断する物と業者に任せる物
| 観点 | 家族で扱う物 | 業者に任せる物 |
|---|---|---|
| 探す場所 | 親の寝室・居間・仏間 | 物置・納屋・天袋 |
| 対象の物 | 通帳・権利証・写真・形見 | 大きな物がまとまっている場所 |
| 作業のタイミング | 業者を入れる前 | 最後に回す |
2. 物が 多い 実家は、 家族で 運ぶ物と 業者に 任せる 物を 線で 分ける
物が多い家の片付けで効くのは、全部を家族でやろうとせず、家族が判断して持ち帰る物と、業者がまとめて運び出す物の間に、早い段階で線を引くことです。
家族が通える回数が限られる場合は、形見と書類を取り出した後に、家財の判断を一つずつしない方が早く終わります。家具や家電、衣類、布団、食器のように家族の誰も持ち帰らない物は一括で業者に任せ、家族は運び出しの日に立ち会うだけにする、といった分け方です。
業者を選ぶときは、一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者と組んで処分しているかや、作業の範囲と追加費用の条件が見積書に書かれているかを確かめます。家の中に大量の物を残したまま売る方向に決めたなら、片付けの業者を呼ぶ前に売り先が残置物ごと引き取れるかを聞いておくと、業者の費用そのものが要らなくなることもあります。片付けにも売却にも何度も通えない場合の進め方は、「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に、郵送と委任で進める手順があります。
親の寝室から始め迷わない物を経て最後に物置を片付ける
探し物のある部屋から始める片付け
- 1
書類と形見を探す
親の寝室や居間、仏間を家族の手で最初に確かめる
- 2
迷わない物を減らす
台所や洗面所の消耗品や衣類を片付ける
- 3
大きな物は業者に任せる
物置や納屋にある大きな物は最後に業者へ渡す
実家じまいの 売却の 手順 :査定から 契約・ 引き渡し・ 入金まで
実家の売却は、片付けを終える前に仲介と買取の両方の金額を取り、片付けの費用を引いて手元に残る額で売り方を決め、入金の日から逆算して進めます。どちらの金額が上になるかは、建物に値が付くかどうかと、売り出してから買主が見つかるまで待てるかどうかで決まります。
1. 片付ける 前に、 仲介と 買取の 2つの 金額を 取る
査定は、片付けを終えてからでなくても受けられます。むしろ片付けの前に査定を取ると、その家に片付けが要るのか、残置物ごと売れるのかが先に分かり、要らない費用をかけずに済みます。
仲介の査定額は売り出しの目安で、その金額で買主が現れるとは限らず、売れるまでの固定資産税や管理の費用も出ていきます。買取の金額は、買主が自分で代金を払う前提で出す金額なので仲介の査定額より低くなるのが一般的ですが、片付けや解体の費用が価格の中でどう差し引かれているか、その金額で契約できる期限が付いているかを、書面で確かめられます。
2つを比べるときは、仲介なら査定額から仲介手数料と片付けの費用、売れるまでの保有の費用を引いた額を、買取なら提示額から売主側に残る費用を引いた額を出して、手元に残る額どうしで並べます。周辺で実際に売れた価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで地域と時期を指定して見られるので、提示された金額がそこからどれくらい離れているかも確かめておきます(不動産情報ライブラリ(国土交通省))。比べるときの条件の立て方は、「不動産は買取と仲介どっち」の記事に5つの条件として挙げています。
2. 契約から 引き渡し・ 入金までの 段取りを 決める
売り先が決まったら、契約の日と、代金を受け取って家を引き渡す決済の日を決めます。決済の日には、買主が代金を払うのと引き換えに所有権の移転の登記を申請するのが通例です。それまでに相続登記を終えておくか、決済の日に合わせて済ませる段取りを司法書士と組んでおきます。
引き渡しまでにやっておくことは、売り方によって違います。仲介で売る場合は、契約で決めた範囲まで家財を運び出し、電気や水道、ガスの契約をいつ止めるかを決めておきます。残置物ごと売る場合でも、契約書に残置物を買主が処分する旨が書かれているかを確かめ、仏壇は供養を済ませてから残すのか持ち帰るのかを、家族で決めておきます。
鍵は、決済の日に買主へ渡すのが一般的なので、家族それぞれが持っている合鍵を事前に集め、本数を数えておきます。郵便物の転送や、親の名義の電気・水道の解約と精算も引き渡しの前後で済ませる手続きになり、遠くに住んでいる場合は、決済の日に合わせて一度の訪問でまとめられるよう段取りを組みます。
入金の後は、売った翌年の確定申告に向けて、売買契約書と、片付けや登記にかかった費用の領収書を一つの封筒にまとめておくと、譲渡所得の計算と、「相続した空き家の3,000万円控除には売る期限がある」の項で触れた特例の申告に使えます。代金を兄弟で分けるときも、誰がいくら立て替えたかを領収書で確かめられるので、精算が記憶ではなく数字で終わります。
仲介と買取の金額を比べ売り方を決めてから契約に進む
査定から引き渡しまでの段取り
- 1
契約と決済の日を決める
売り先が決まったら、契約日と引き渡す日を決める
- 2
相続登記の準備
決済の日までに終えるか、当日に合わせる段取りを組む
- 3
代金の受け取りと引き渡し
代金を受け取るのと引き換えに所有権を移す
「実家じまいの売却の手順:査定から契約・引き渡し・入金まで」について、そのまま聞けます。
実家じまいを 当社に 相談した 場合の 流れ・ 書類・費用と、 買い 取れない 実家
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「実家じまいを当社に相談した場合の流れ・書類・費用と、買い取れない実家」について、そのまま聞けます。
先に 売り方の 分かれ目を 決めれば、 実家の 片付けは 短く 済む
- 実家じまいは、登記の名義と書類を確かめ、形見と大事な書類を取り分けてから家財の片付けに入る順にすると、作業を途中で止めずに済み、相続登記は相続を知った日から3年以内という期限の中で進められます。
- 片付けてから売るか残置物ごと売るかは、建物に値が付くかどうかと、片付けに通える人がいるかどうかで決まり、再建築不可や築年数の古い実家では、片付けや修繕にかけた費用が価格に戻りにくくなります。
- 解体は翌年度の土地の税の軽減を外し、書類の処分は相続した家を売るときの税額を変え、家財の処分は相続放棄の道を閉ざすことがあるので、どれも売り方を決めるまでは手を付けずにおきます。
当社がお支払いするのは残置物の処分費を差し引いた内訳つきの金額で、片付けを済ませていない実家でも、ご相談の時点で価格をお伝えしています。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
実家じまいで 読者が 迷いやすい 7つの 疑問と 答え
Q1. 実家じまいに かかる 期間は どれくらいですか
期間は家ごとに大きく違い、名義を移す手続き、家財の量、売り方の3つで決まります。名義が整っていて物も少なく、買取で売るなら短く済み、祖父母の名義のまま止まっていたり、物置や納屋まで物が詰まっていたり、仲介で買主が現れるのを待ったりすると長くなります。当社が買い取る場合は、ご相談から価格をお伝えするまでが目安30分、ご契約までが目安1〜2週間です。期間を縮めるには、片付けを終える前に査定を取り、片付けの範囲を先に決めておくのがいちばん効きます。
Q2. 実家じまいは 何から 始めればいいですか
最初にするのは片付けではなく、法務局で土地と建物の登記事項証明書を取り、名義が誰になっているかを確かめることです。名義が亡くなった親のままなら相続登記の準備を、祖父母のままなら相続人の洗い出しを、親が存命なら親本人の意思の確認を、それぞれ始めます。そのあとで通帳や権利証、形見を取り分けてから家財の片付けに入ると、探し物のために作業が止まることがありません。
Q3. 実家じまいに かかる 費用は どれくらいですか
金額は家財の量、解体するかどうか、相続登記を誰に頼むか、売り方で大きく変わるので、一律の相場では決まりません。項目としては片付けの業者の費用、家電のリサイクル料金、解体する場合の工事費、相続登記の登録免許税と司法書士の報酬、売るときの印紙代などがあり、仲介で売れば仲介手数料も加わります。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりませんが、残置物の処分費は価格の中で差し引くので、先に払う額と最後に手元に残る額の両方で比べてください。費用ごとの見方は「実家じまいの費用は、片付け・解体・登記のどこで膨らむか」の節にあります。
Q4. 実家を 片付ける 順番は どう 決めればいいですか
探し物が見つかりやすい親の寝室や居間、仏間を家族の手で最初に確かめ、衣類や消耗品のように迷わない物をその次に減らし、物置や納屋は最後に業者へ任せる、という並べ方が作業の止まりにくい順番です。玄関から奥へ向かう通り道を早めに空けておくと、一時的に物を置く場所ができます。売り先が残置物ごと引き取れる家なら、家族の片付けは探し物を取り出したところで終えてかまいません。
Q5. 断捨離で 絶対に やってはいけない ことは 何ですか
実家じまいで避けたいのは、中身を確かめずに書類の束や箱をまとめて捨てることと、相続放棄を考えているうちに家財を売ったり処分したりすることです。親の代の売買契約書がなくなると相続した家を売るときの税が増えることがあり、家財を処分すると放棄ができなくなることがあります。封のある遺言書を開けてしまうことも避け、家庭裁判所での手続きを先に確かめてください。先に取り分ける物は「断捨離で先に捨ててはいけない物を取り分ける」の項に挙げた4つです。
Q6. 物が 多い家の 断捨離の コツは ありますか
一つひとつの物について、残すかどうかを家族で話し合わないことがコツです。形見と書類を取り出した後は、家族の誰かが持ち帰る物だけを選び、残りは業者にまとめて任せると、通う回数が大きく減ります。迷う物は部屋ごとに置いた箱へ入れていき、最後に家族で集まって決めれば十分です。物の量が多すぎて片付けの費用が読めないときは、業者を呼ぶ前に、売り先が残置物ごと引き取れるかを聞いてみてください。
Q7. 相続登記を しないまま 実家を 売れますか
親の名義のままでは買主に名義を移せないので、売るには相続人の名義へ移す相続登記が先に要ります。ただ、登記を終えてからでないと相談や査定ができないわけではなく、売買の契約をしたうえで、決済の日に相続登記と買主への移転の登記を続けて申請する段取りを司法書士と組むこともあります。どの順番が取れるかは家ごとに違うので、司法書士か法務局で確かめながら進めてください。
当社の 見方
戸建て・築10年以上で、残置物あり・空き家の物件を当社が買い取り、販売まで終えました。
神奈川県南足柄市の戸建て(築10年以上)は、家財が残ったままの状態で、買取金額200万円台でお引き受けしました(2025年に取引)。千葉県千葉市中央区の築40年以上で再建築不可の戸建ても、残置物ありのまま、買取金額300万円台で買い取っています(2025年に取引)。実家じまいのご相談では、片付けを終えないと売れないと考えて手を付けられずにいる方が多いのですが、当社では片付けの前の段階からご相談いただけます。中の物だけを引き取ってもらう買取と、物を残したまま家ごと売る買取の違いは、「実家の片付けと買取」の記事で、残る物の量や家電4品目の扱いから分けて説明しています。相続した実家では戸籍などの書類が追加で必要になり、相続登記の費用もかかるため、片付けより先に書類と名義を確かめておくと、その後の手順が進めやすくなります。買い取れない物件や、売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:地方税法出典:法務省、国税庁、国土交通省
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(4件・に確認)
更新履歴
- 第1版公開
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