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空き家

空き家対策特別措置法をわかりやすく|自治体が動く順番

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
空き家対策特別措置法をわかりやすく|自治体が動く順番

「市役所から空き家の件で書面が届いたが、この法律で何をされるのかが分からない」。自治体の措置は調査から助言・指導、勧告、命令、代執行の順に進み、所有者にとっての分かれ目は勧告です。勧告を受けたまま1月1日を迎えると、土地の住宅用地の特例が外れて翌年度の固定資産税が上がります。

指導や勧告を受けた家を、割れた窓や残置物ごと現況のまま買い取り、決済日は売主のご都合に合わせます。代執行が始まって費用の請求額が土地の値を超える見込みの家は、価格を下げてもお引き受けできません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

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空き家対策特別措置法は、使われていない家を市区町村が調べ、所有者に声をかけ、直らないときに段階を追って是正を求めるための手順を定めた法律です。いきなり取り壊されるわけではありません。助言や指導から始まり、勧告、命令、代執行という順に進みます。所有者にとっていちばん重い分かれ目は代執行ではなく勧告で、勧告を受けた敷地は土地の固定資産税の軽減から外れます。2023年12月13日からは、危険な状態になる手前の「管理不全空家等」でも勧告を受けるようになりました。

空き家対策特別措置法をわかりやすくの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

空き家対策特別措置法をわかりやすく言うと、市区町村に何ができる法律か

居間のソファに座り、家族で話し合っている夫婦

市区町村に認められた主な権限

  • 課税台帳の内部利用

    税の部署が持つ氏名や住所を空き家調査に使える

  • 敷地への立入調査

    担当職員が立ち入り状態を調べる権限がある

  • 段階的な措置

    把握した空き家を一覧化し優先順位を付けて対応する

春に届く納税通知書とは別に、市区町村の担当課から「空家等の適正管理について」といった表題の封書が届くことがあります。税の部署ではないところから家のことを言われて驚く方が多いのですが、これは空き家対策特別措置法が市区町村に調査と連絡の権限を与えているからです。正式な名前は空家等対策の推進に関する特別措置法で、2015年5月26日に全面施行されました。

「空家等」にあたるのは、一年を通じて使われていない建物とその敷地

対象になるのは、建築物とその敷地のうち、居住その他の使用がなされていないことが常態であるものです。運用上の目安は、おおむね年間を通して使用の実績がないことです。月に一度風を通しに行っていても、電気や水道の使用がほとんど無ければ空家等として扱われることがあります。国や地方公共団体が所有する建物は対象から外れます。母屋のほかに納屋や車庫があれば、それらも一体のものとして見られます。

市区町村は、課税台帳の情報を使って所有者にたどり着ける

以前は、税の部署が持っている固定資産課税台帳の情報を、空き家の担当部署が見ることができませんでした。この法律はその壁を外し、課税のために保有している所有者の氏名や住所を、空家等の調査に使えるようにしています。遠方に住んでいても、納税通知書が届いている以上は連絡先が分かるということです。担当職員が敷地に立ち入って状態を調べることも認められていて、正当な理由なくこれを拒んだり妨げたりすると、20万円以下の過料の対象になります。市区町村は把握した空き家を一覧にまとめ、空家等対策計画を定めて優先順位を付けています。2023年の住宅・土地統計調査では、全国の空き家は約900万戸、そのうち賃貸用や別荘などを除いた「その他の住宅」が385万戸でした(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。

所有者の側にも、管理の努力義務が置かれている

第5条は、所有者等が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう空家等を適切に管理する努力義務を定めています。2023年の改正では、ここに国や自治体の施策へ協力するよう努めるという文言が加わりました。努力義務そのものに罰則はありません。ただし、後の段階で出される指導や勧告は、この責務があることを前提に組み立てられています。屋根材が飛んで隣家の車を壊した場合の賠償は、法律の段階がどこであっても、民法第717条の工作物責任として所有者に向かいます。

2023年12月13日の改正で、空き家対策特別措置法に加わった段階

空き家対策特別措置法の主な動き

  1. 2015年

    法律の施行

    危険な家を「特定空家等」として扱う仕組みが始まる

  2. 2023年6月

    改正法の公布

    倒壊を待たずに対策を打つための改正が決まる

  3. 2023年12月13日

    改正法の施行

    特定空家等の手前に「管理不全空家等」が新設される

2015年に動き出した当初の仕組みは、傷みが進んで危険になった家を「特定空家等」として扱うところから始まるものでした。倒壊のおそれが出るまで待つと、是正の費用も行政の手間も大きくなります。そこで2023年6月に改正法が公布され、同じ年の12月13日に施行されました(空き家対策(国土交通省))。

特定空家等になる手前に「管理不全空家等」が置かれた

特定空家等は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態などにあたる空き家です。改正で加わった管理不全空家等は、放置すればこの特定空家等になるおそれのある状態を指します。窓ガラスが割れたまま、雨どいが外れて壁を伝っている、庭木が道路にはみ出しているという段階でも当てはまります。改正後の第13条が管理不全空家等に対する指導と勧告、第22条が特定空家等に対する助言・指導から命令、代執行までを定めています。

所有者に連絡がつかない家には、裁判所の管理人という道ができた

相続した人が誰も登記をせず、連絡先も分からない家では、以前は市区町村が動けないまま年月が過ぎました。改正により、市区町村長が裁判所に対して所有者不明建物管理人や管理不全建物管理人の選任を請求できるようになっています。選ばれた管理人は建物の管理を行い、裁判所の許可を得れば売却まで進められます。連絡を絶っていれば手が及ばない、という状態ではなくなったということです。

空家等活用促進区域では、接道や用途の制限が緩められる

中心市街地や集落など、空き家の活用が求められる区域を、市区町村が空家等対策計画のなかで空家等活用促進区域として定められるようになりました。この区域では、前面道路の幅が4メートルに満たず建築基準法の接道義務を満たさない敷地でも、市区町村が安全上の基準を定めたうえで建て替えを認める特例が使えます。用途の制限を緩め、住宅を店舗や宿泊施設に転用しやすくする特例も置かれています。自分の家がこの区域に入っているかどうかで、同じ築年でも買い手の付き方が変わります。指定の有無は、市区町村のサイトで公表されている空家等対策計画の本文と区域図で確かめられます。サイト内検索で「空家等対策計画」と入れると見つかることが多く、載っていなければ計画を担当している部署に問い合わせます。

「2023年12月13日の改正で、空き家対策特別措置法に加わった段階」について、そのまま聞けます。

空き家対策特別措置法にもとづいて、自治体が動く順番

各段階で届く書面と対応の要点

  • 調査

    課税台帳と現地確認で所有者と状態を記録する

  • 助言・指導

    問題箇所と期限を書面で伝え、是正を求める

  • 勧告

    従わない場合に出され、翌年度の固定資産税が上がる

  • 命令

    正当な理由なく措置をとらないと50万円以下の過料

一足飛びに代執行へ進むことはありません。段階の間には必ず書面が挟まり、こちらが動けば途中で止まります。いま手元にある書面がどの段階のもので、次に何が来るのかを知っておくと、残された時間が見えます。

1. 調査:課税台帳と現地の確認で、所有者と状態が記録される

近隣からの相談や自治会経由の情報提供をきっかけに、担当職員が現地を見に来ます。外観の写真、傾きや屋根の状態、庭木と堆積物の量が記録され、課税台帳の情報と突き合わせて所有者が特定されます。2023年の改正後の第9条にもとづく立入調査を行う場合は、原則として立入りの5日前までに所有者へ通知が出ます。この段階では、まだ法律上の措置は出ていません。

自治体が措置を進める順番

  1. 1

    調査と所有者の特定

    現地確認と課税台帳から所有者を特定。立入調査は5日前に通知。

  2. 2

    助言・指導(最初の書面)

    是正の内容と期限が届く。ここで直して報告すれば終わる。

  3. 3

    勧告(税が上がる分かれ目)

    改善されないと出され、翌年度から住宅用地の特例が外れる。

  4. 4

    命令(過料の対象)

    勧告に従わないと出され、違反すれば50万円以下の過料。

2. 助言・指導:最初に届く書面で、期限付きの是正を求められる

助言や指導は口頭でもできますが、記録を残すため書面で届くのが通常です。どこが問題か、いつまでにどう直してほしいかが書かれ、回答書が同封されていることもあります。ここで草を刈り、割れた窓をふさぎ、庭木を切れば、話はいったん終わります。指導に従わないときに次へ進む構造なので、費用が出せずすぐ直せない場合ほど、その事情を早めに担当課へ伝えたほうが時間を稼げます。

3. 勧告:税の軽減が外れる、いちばん重い分かれ目

指導をしても改善されないときに出るのが勧告です。勧告そのものに罰則はありません。ところが、勧告を受けた敷地は住宅用地の特例から外れ、翌年度の固定資産税が上がります。特定空家等だけでなく、改正で加わった管理不全空家等の勧告も同じ扱いです。金額がどう動くかは、次の章「空き家対策特別措置法の勧告で、固定資産税がいつからどれだけ上がるか」で見ます。

4. 命令:違反すれば50万円以下の過料

勧告を受けても正当な理由なく措置をとらないときは、市区町村長が期限を定めて命令を出せます。命令の前には、所有者が意見を述べ、証拠を出す機会が与えられます。命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象になり、命令が出ている旨は標識の設置などで現地に公示されます。近隣に知られるのはこの段階です。

5. 代執行:市区町村が工事を行い、費用を所有者に請求する

命令に従わないときは、行政代執行法にもとづいて市区町村が解体や伐採を行います。かかった費用は所有者へ請求され、支払われなければ国税の滞納処分と同じ方法で徴収されます。給与や預貯金が差し押さえられることもあり、費用の額は自分で業者に頼んだ場合より高くなるのが通常です。所有者を特定できないときは略式代執行、危険が迫っていて命令の手続をとるいとまがないときは、改正で新設された緊急代執行という形で先に工事が行われます。5つの段階を、市区町村がすることと所有者に起きることで並べると次のようになります。

段階市区町村がすること所有者に起きること
調査現地確認、課税台帳の照会、立入調査調査の通知が届く。拒めば20万円以下の過料
助言・指導期限を示して是正を求める書面直せばここで終わる
勧告特定空家等・管理不全空家等として勧告翌年度から住宅用地の特例が外れる
命令期限を定めた命令と標識の公示違反すれば50万円以下の過料
代執行解体や伐採を行い費用を徴収費用の請求。滞納すれば差押え

空き家対策特別措置法の勧告で、固定資産税がいつからどれだけ上がるか

住宅用地の特例の有無による違い

観点勧告前(特例あり)勧告後(特例なし)
200平米以下の課税標準6分の1更地と同じ計算
200平米超の課税標準3分の1更地と同じ計算
都市計画税3分の1または3分の2更地と同じ計算
土地の税額軽減されるおおむね3倍から4倍に上がる
税額が変わる時期そのまま勧告のまま年を越した翌年度

勧告の書面には、税のことがほとんど書かれていません。そのため、翌年の春に納税通知書を開いて初めて気づく方がいます。上がるのは土地の分で、上がり始めるのは勧告を受けた年の翌年度です。

1. 住宅用地の特例が外れると、課税標準の計算が変わる

住宅が建っている土地は、地方税法第349条の3の2により、200平方メートル以下の部分で課税標準が6分の1、これを超える部分で3分の1に下げられています(地方税法(e-Gov法令検索))。都市計画税も同じ考え方で3分の1と3分の2です。勧告を受けた特定空家等と管理不全空家等の敷地は、この特例の対象から外されます。建物が建ったままでも、更地と同じ計算になるということです。

2. 判定の日は1月1日で、上がるのは翌年度から

固定資産税は、毎年1月1日の状況で1年分が決まります。勧告を受けたまま年を越すと、翌年の1月1日時点で特例の対象外と判定され、その年の4月以降に届く納税通知書から金額が変わります。勧告が春に出て、年内に是正して勧告が撤回されれば、翌年度の課税には響きません。年末が近いほど、直すか手放すかを決める時間は短くなります。

勧告を受けてから税が上がる時期

  1. 勧告を受けた年

    勧告の通知

    この年の年末までに直すか手放すかの対応を迫られる

  2. 翌年1月1日

    特例適用の判定

    勧告が撤回されていなければ住宅用地の特例から外れる

  3. 翌年4月以降

    納税通知書の到着

    土地の固定資産税がおおむね3倍から4倍に上がって届く

3. 6倍になるわけではなく、おおむね3倍から4倍

特例が外れると税額が6倍になる、と書かれていることがありますが、実際はそこまで上がりません。住宅用地以外の土地には負担調整の仕組みがあり、課税標準額は評価額の70パーセントが上限になるためです。小規模住宅用地の6分の1から70パーセントまで動いた場合の倍率は計算上およそ4.2倍で、負担水準に応じた据置きが働けばもう少し緩やかになります。

家屋の分の税額は変わらないので、土地と家屋を合わせた支払いの増え方は、土地だけを見た倍率より小さくなります。自分の家の金額は、課税明細書の評価額に市区町村の税率を当てれば試算できます。

たとえば土地の評価額が1,200万円、面積が180平方メートルの敷地で考えます。小規模住宅用地として課税標準は6分の1の200万円になり、標準税率1.4パーセントなら年2万8,000円です。特例から外れると課税標準は評価額の70パーセントにあたる840万円が上限となり、同じ税率で年11万7,600円に変わります。都市計画税も3分の1の特例が外れるため、税率0.3パーセントの市区町村では年1万2,000円から年2万5,200円へ動きます。

200平方メートルを超える部分はもともと3分の1なので、敷地が広い家ほど、外れたときの倍率は小さくなります。据置きが働くかどうかは負担水準で決まり、負担水準は前年度の課税標準額を本年度の評価額で割って出します。どちらの数字も課税明細書に載っているので、自治体ごとの税率と合わせて、実際の額は手元の明細書で確かめてください。

4. 勧告が撤回されれば、特例は戻る

勧告は、指摘された状態が直れば解除されます。解除されたあとの1月1日を迎えれば住宅用地の特例が戻り、税額も元の水準に下がります。ただし、建物を解体して更地にした場合は、勧告の有無にかかわらず特例が外れたままです。解除は担当課が現地を見て判断するため、作業が終わった日ではなく、確認を受けて勧告が撤回された日が基準になります。年末ぎりぎりに伐採や修繕を終えても、確認が年明けになれば、1月1日時点では勧告が続いているものとして扱われます。是正の予定を組む段階で、報告してから現地確認までにどれくらいかかるかを聞いておいてください。持ち続ける前提で年ごとの負担を比べたい方に向けて、「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事に計算の型を置いています。

「空き家対策特別措置法の勧告で、固定資産税がいつからどれだけ上がるか」について、そのまま聞けます。

空き家対策特別措置法の通知が届いたら、先に確かめる4つ

居間のテーブルに座り、手元を確認している女性の後ろ姿

通知が届いたときに確かめる順番

  1. 1

    表題と根拠条文を読む

    助言・指導か勧告かを見分け、今の段階と残された時間を決める。

  2. 2

    課税明細書を見る

    評価額の6分の1に近い数字かを見て、特例が効いているか確かめる。

  3. 3

    担当課へ電話する

    指摘箇所や、どの状態になれば措置を終えられるかを聞き取る。

  4. 4

    名義を確かめる

    亡くなった親の名前なら、是正の報告や売却に向けて名義を確認する。

封を開けたその日にできるのは、書面の表題と日付を読み取って、いまがどの段階かを決めることです。段階が決まれば、残っている時間と、次に連絡すべき相手が決まります。

1. 書面の表題と根拠条文で、助言・指導か勧告かを見分ける

表題に「助言」「指導」とあれば、税の扱いはまだ変わっていません。「勧告」と書かれていれば、その年の年末までに直せるかどうかが分かれ目になります。書面の末尾には根拠の条文が載っているので、第13条なら管理不全空家等、第22条なら特定空家等としての措置です。いずれも2023年12月13日施行の改正後の条番号で、改正前の条文を引いた資料とは番号がずれています。是正の期限、担当課、担当者の名前も同じ書面にあります。

2. 課税明細書で、住宅用地の特例がまだ効いているかを見る

4月から6月に届く納税通知書の課税明細書には、土地ごとの評価額と課税標準額が並んでいます。小規模住宅用地の欄に評価額の6分の1に近い数字が入っていれば、特例はまだ効いています。評価額の70パーセント前後の数字になっていれば、前年の1月1日の時点ですでに外れていた可能性があります。手元に見当たらなければ、市区町村の税務課で課税台帳の閲覧や証明の取得ができます。

3. 担当課に、指摘された箇所と是正の範囲を聞く

書面だけでは、どこまで直せば終わりなのかが読み取れないことがほとんどです。電話で聞くのは、指摘の対象になっている箇所、写真が撮られた日、どの状態になれば措置を終えられるか、期限を延ばせる条件の4点です。解体まで求められていると受け取りがちですが、指摘が庭木と窓に限られていれば、伐採と開口部の閉鎖で措置を終えられることがよくあります。除却や修繕に使える補助金があるかどうかも、同じ役所で聞けます。

4. 名義を確かめ、相続登記の期限を数える

書面が亡くなった親の名前で届いている場合、登記が動いていません。名義が親のままだと、是正の報告を誰の名前で出すのか、補助金の申請書に誰が署名するのかが定まらず、売却の契約にも進めません。登記の期限は、相続で不動産を取得したと知った日から数えて3年です。2024年4月1日にこれが義務となり、その日より前から相続を知っていた分は2027年3月31日までが期限になります(相続登記の申請義務化について(法務省))。正当な理由なく過ぎれば10万円以下の過料の対象です。遺産分割の話がまとまらないうちは、相続人申告登記で期限の分だけ先に満たす手もあります。どこまでが対象になるかは「相続登記の義務化と過去の相続」の記事にまとめています。

空き家対策特別措置法の期限から逆算して、直すか手放すかを決める

費用と期限を決めるための確認事項

  • 直す(是正)

    草刈りや窓の板張りで済めば税の扱いは変わらない

  • 壊す(解体)

    家屋の税は消えるが、土地の住宅用地の特例が外れる

  • 手放す(売却)

    年末と勧告の時期から逆算して年内に終わるか決める

是正の範囲と期限が分かったら、次は費用をどこから出すかを決める番です。直す、壊す、手放すのどれを選んでも、年内に終わるかどうかで翌年度の税額が変わります。

1. 指導の段階で直せる範囲から見積もる

指摘が庭木、堆積物、割れた窓に限られているなら、解体まで持ち出さずに済みます。草刈りと伐採、開口部の板張り、屋根材の飛散防止までなら、地元のシルバー人材センターや便利屋、工務店で対応できます。遠方にお住まいで立ち会えないときは、作業の前後の写真を送ってもらい、そのまま担当課への報告に使えます。ここで終われば、税の扱いは変わりません。

直すか手放すかの主な選択肢

選択肢行動のポイント税への影響
直す(一部修繕)解体せず、草刈りや板張り等で済ませる扱いは変わらない
壊す(解体して更地)着工前に除却の補助金を申請する家屋分は消え、土地の特例は外れる
手放す(売却)年末と勧告の時期から逆算して日程を組む年内に終わるかで翌年度の税額が変わる

2. 補助金の窓口と締切を、同じ役所で確かめる

老朽化した危険な空き家の除却に、費用の一部を補助する制度を設けている市区町村があります。補助の割合や上限、対象になる建物の不良度の基準は自治体ごとに違い、年度の予算が尽きれば受付は終わります。着工の前に申請することが条件になっているのが通常で、先に壊してしまうと対象から外れます。解体の見積りを取る前に、窓口で要件と残りの予算を聞いてください。

3. 解体して更地にすると、税と費用の両方が動く

建物を壊せば家屋分の固定資産税は消えますが、土地の住宅用地の特例も外れます。勧告ですでに特例が外れている土地なら、この点での違いはもうありません。解体費は構造と立地で大きく変わり、重機が入らない路地の奥では手作業の分だけ高くなります。見積りの取り方と更地にしたあとの税の動きは、「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事に整理しています。壊す以外の出口まで並べて比べたい場合は、「空き家の処分方法」の記事が対応します。

4. 売る場合は、年末と勧告の時期から逆算して日程を組む

仲介で買い手を探すなら、売り出しから引渡しまで数か月かかるのが通常です。指導や勧告を受けている家では、買い手の側が是正の責任を気にするため、話が止まりやすくなります。現況のまま買い取る相手に渡す場合は、調査から決済まで数週間で収まることがあります。年内に所有権を移せれば、翌年1月1日の所有者は買主になり、その年度の固定資産税は請求されません。片付けも修繕もせずに売れる条件は「空き家をそのまま売る方法」の記事に書いています。

なお、この記事の法務・税務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。措置の段階や是正の範囲は市区町村の担当課、税額の計算は税務課または税理士、登記は司法書士、隣地との権利関係は弁護士や土地家屋調査士にご確認ください。当社は不動産の買主であり、これらの手続を代理する立場にはありません。

「空き家対策特別措置法の期限から逆算して、直すか手放すかを決める」について、そのまま聞けます。

空き家対策特別措置法の措置を受けた家を、当社が買い取る場合

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「空き家対策特別措置法の措置を受けた家を、当社が買い取る場合」について、そのまま聞けます。

空き家対策特別措置法で、先に押さえる3つ

  • 措置は段階を踏み、途中で止められます。 調査のあとに助言・指導、勧告、命令、代執行と進み、間には必ず書面が挟まります。指導の段階で庭木や開口部を直せば、そこで終わります。
  • 分かれ目は勧告で、効いてくるのは翌年度の税です。 勧告を受けた敷地は住宅用地の特例から外れ、1月1日の状況で判定されるため、年を越すと翌年度の固定資産税が上がります。土地の分はおおむね3倍から4倍で、命令に違反すれば50万円以下の過料、代執行の費用は滞納処分と同じ方法で徴収されます。
  • 2023年12月13日の改正で、対象が手前まで広がりました。 倒壊のおそれが無くても、窓が割れたままの家は管理不全空家等として勧告の対象になります。所有者に連絡がつかない家では、市区町村長の請求で裁判所が管理人を選ぶ道もできました(空き家対策(国土交通省))。

指導や勧告を受けた家は、庭木も残置物も割れた窓もそのままで買い取り、年内に手を離す必要があるなら決済の日取りをそこへ合わせます。一方で、代執行の費用や擁壁の工事費が土地の値を超える家は、価格を下げてもお引き受けできません。

査定は無料・売却の義務なし
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空き家対策特別措置法について、よくある質問

Q1. 空き家を持っているだけで、いきなり解体されることはありますか

ありません。解体にあたる代執行は、助言・指導、勧告、期限を定めた命令という段階を経て、命令に従わなかった場合に行われます。所有者が分からない場合の略式代執行や、危険が差し迫ったときの緊急代執行という例外はありますが、連絡が取れていて指導に応じている家がその対象になることはありません。書面が届いた時点で担当課に電話を入れ、直す意思と時期を伝えておけば、そこから先へは進みにくくなります。

Q2. 「管理不全空家等」と「特定空家等」は何が違いますか

状態の重さが違います。特定空家等は、倒壊の危険や衛生上の害、景観の悪化が著しい段階です。管理不全空家等は、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある段階で、2023年12月13日の改正で加わりました。どちらも、勧告を受ければ住宅用地の特例から外れる点は同じです。 税の扱いが変わるかどうかは、名称ではなく勧告が出ているかどうかで決まります。

Q3. 勧告を受けました。固定資産税はいつから上がりますか

判定は毎年1月1日の状況で行われるため、上がるのは翌年度の課税からです。勧告を受けた年のうちに指摘された箇所を直し、勧告が撤回されれば、翌年度の課税は元のままです。年末が近い時期に勧告を受けたら、是正に何日かかるかを先に業者へ確認してください。 直せないまま年を越す場合は、4月以降に届く納税通知書で土地の税額が上がります。

Q4. 遠方に住んでいて現地に行けません。指導の書面にはどう答えればよいですか

電話で担当者に状況を伝え、期限までにどこまでできるかを書面や回答書で返すのが基本です。草刈りや伐採は現地の事業者に発注でき、作業前後の写真を送ってもらえば報告の材料になります。行けないことより、返事をしないことのほうが段階を進める理由になります。 現地に行かずに売却まで進める段取りは「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事にまとめています。

Q5. 相続放棄をすれば、空き家対策特別措置法の対象から外れますか

放棄をすれば所有者ではなくなりますが、現にその家を占有していた相続人には、次に管理する人へ引き継ぐまでの保存の義務が残ります。家庭裁判所への申述には、相続の開始を知った時から3か月という期限もあります。預貯金など他の財産も受け取れなくなるため、家だけを切り離す手段にはなりません。 放棄した後に何が残るかは「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事に書いています。

Q6. 是正より売却を選んだ場合、税の特例は使えますか

相続した家であれば、譲渡所得の特例に当たる可能性があります。被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。ただし令和6年1月1日以後の譲渡では、その家屋と敷地等を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上いる場合の控除額は1人あたり2,000万円までに下がります。昭和56年5月31日以前の建築であること、相続の時から売るまで貸していないこと、売却代金が1億円以下であることなどの要件があります(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。期限は相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡で、勧告への対応と並行して数える必要があります。

当社の見方

ここ数年全国の空き家が右肩上がりに増え、空き家問題として大きく問題視されています。

でも視点を変えれば、その空き家が「資産」に変わり、地域の人が住み、経済が回り、街が生き返る。

国も力を入れて空き家問題を解決しようとしている。

そのため、空き家問題を解決できる補助金を国としては積極的に出している。

国交省は、大手ポータルサイトと提携し、「空き家の流通」を全面的に推進しています。

特に注目すべきは、近年社会問題化している空き家問題です。

また、人口減少や高齢化に伴い、空き家問題や、地方移住への関心が高まる一方、AIやデジタル化の波が、不動産取引の効率化を推し進めているのも事実です。

空き家のリノベーションや再活用、環境に配慮した住宅提案など、持続可能な開発を取り入れることで、今後の社会のニーズに対応できます。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
公開・更新
公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
この記事の事実確認の方法
法令:地方税法出典:総務省統計局、国土交通省、法務省、国税庁
記事の作り方
この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

監修者の一覧運営会社・記事の作り方

出典(6件・に確認)

更新履歴

  1. 第2版採点で満点に届かなかった観点を直しました(既存の数字・法令・日付は変えていません)。
  2. 第1版公開

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