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相続

相続税が払えない|不動産売却と物納・延納の選び方

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
相続税が払えない|不動産売却と物納・延納の選び方

「相続したのは土地と建物ばかりで、相続税を納める現金が手元にない」。納付期限は相続開始を知った日の翌日から10か月で、延納と物納はその日までの申請が条件、売却は遺産分割と相続登記がどこまで進むかで間に合うかが決まります。

当社は買主として決済日を先に確定させ、納付期限に間に合う日程で買い取ります。境界や権利の帰属が定まっていない不動産は、価格を下げてもお引き受けできません。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

先に相続した家の買取価格のめどだけ知りたい方へ。

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相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、現金が足りない場合に選べるのは、分割で納める延納、財産そのもので納める物納、不動産を売って現金を作る売却の3つです。このうち延納と物納は、申請書の提出までを10か月の期限内に終えなければならないため、実際には「売れるかどうかを見てから考える」という順番が取れません。売却だけは期限を過ぎてからでも実行できますが、納付が遅れた日数には延滞税がかかるので、どの道を選ぶにしても最初の作業は同じで、期限から日程を逆算することになります。

相続税が払えないの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

相続税が払えないと分かった日から10か月で決まること

居間で向かい合って話し合っている家族

相続税の税額は、亡くなった時点の財産の評価額で決まります。評価の対象が土地と建物であっても、納めるのは現金です。

納付期限は10か月、延納と物納の申請も同じ日まで

この10か月という期限は、遺産分割がまとまらないことを理由に延びるものではありません。分割が決まっていない場合は、各相続人が法定相続分で取得したものとして申告し、あとで分割が確定した時点で修正することになります。相続開始からの主な期限を並べると、次のようになります。

相続開始からの期間その日までに済ませること
3か月相続放棄・限定承認の申述(家庭裁判所)
4か月被相続人の所得についての準確定申告
10か月相続税の申告と納付、延納申請書・物納申請書の提出

納期限を過ぎると、納めていない税額に対して延滞税が日数に応じて加算されます。割合は納期限の翌日から2か月までとそれ以降で二段階に分かれ、年ごとに見直されるため、負担額は納付する時点の公表値で確かめてください。期限に遅れること自体は取り返しがつきますが、遅れた分の負担は売却価格の交渉では埋まりません。

「払えない」の中身を、一時的か構造的かに分ける

同じ「払えない」でも、次の3つは打つ手が違います。第1は、売れる不動産はあるけれども現金化が期限に間に合わないという状態で、このときは延納で時間を確保し、売却代金が入った時点で繰り上げて納める形が取れます。第2は、手元の収入から分割なら納められるという状態で、利子税を負担してでも財産を残したい場合に延納が合います。第3は、財産の中身そのものが換価しにくい場合で、底地、共有持分、高低差の大きい土地などがこれに当たります。

払えない理由の3類型と打ち手

  • 現金化が間に合わない

    延納で時間を確保し、売却代金で繰り上げ納付する

  • 分割なら納められる

    利子税を負担して延納し、手元の収入から納める

  • 換価しにくい財産

    底地や共有持分など。早い段階で扱いを決める

第3の場合、期限を延ばしても現金は増えません。延納では利子税が積み上がるだけになることがあるため、物納の可否を先に確かめるか、買主が確定している売り方を選ぶかの判断になります。どの類型かは、納税額・手元の預金・各不動産が現金に変わる額の3つを並べれば決まります。

他の相続人が納めないと、自分に請求が来る

見落とされやすいのが連帯納付義務です。相続税法第34条第1項により、同一の被相続人から財産を取得した人は、相続によって受けた利益の価額を限度として、互いに相続税を連帯して納付する義務を負います。自分の分をきちんと納めていても、別の相続人が納めなければ、税務署から納付を求められる場合があるという仕組みです。

この義務は、申告期限などから5年を経過する日までに納付を求める通知が発せられていない場合には負わないなど、一定の場合に解除されます。ただし、兄弟のうち一人だけが納税資金を作れていない状態は、その一人の問題では終わりません。誰がどの財産を取り、誰がどう納めるかまで決めて、初めて分割の合意になります。

不動産を売却して納める前に確定させる3点

決済の日に所有権を買主へ移せる状態になっているかが条件で、そこに至るまでの工程が、10か月という期限のほとんどを使います。

遺産分割が終わらないと、売却も特例も止まる

不動産を売るには、誰が取得するかが決まっていなければなりません。未分割のまま相続人全員の共有として売ることも制度上は可能ですが、全員の署名と印鑑証明が必要で、意見が割れている案件では日程が読めません。

未分割のまま申告すると、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えず、いったん高い税額で納めます。申告期限後3年以内に分割が固まれば更正の請求で修正できますが、申告の際に分割見込みを届け出る書類が必要です。納税資金の話と分割の話は、同じ机の上で決めるしかありません。 相続人が多く、連絡が取りづらい状態からの進め方は「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事に整理しています。

相続登記を終えないと、決済で所有権を移せない

相続登記は2024年4月1日以降、義務になりました。不動産を取得したと知った日から3年が申請の期限です。ただし売却する場合の実際の締切はもっと早く、決済日の前までに名義を動かしておく必要があります。手続の内容は法務省の相続登記の申請義務化についてで確認できます。

戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、登記の申請を合わせると、相続人が近くに住んでいても1〜2か月、遠方や海外ならさらにかかります。契約は登記が済む前でも結べますが、決済日は登記の完了を待つ日程で組みます。実家を売る場合の工程は「実家 空き家 売却の順番」の記事にも書きました。

売る範囲と、出入りの経路が決まっているか

売却前に確定させる主な条件

  • 誰が取得するか決める

    未分割の共有で売るには全員の署名と印鑑証明が必要

  • 特例の適用可否

    未分割だと特例が使えず、いったん高い税額で納める

  • 分割見込みの届出

    3年以内の分割を見込むなら申告時に書類を出す

境界標が見つからない、古い測量図と現況の塀の位置が合わない、隣地の物置が越境している、という状態は相続した土地では珍しくありません。境界を確定して引き渡す条件にすると、測量と隣地立会いで期限を食います。現況のまま引き渡すなら測量は不要ですが、その不確実性は価格に反映されます。

進入路も同じです。公道に接していない土地で通行の権利が書面で確保されていなければ、買主は建て替えの可否を判断できません。境界・接道・通行の権利のどれかが未確定なら、その不動産は納税資金の当てにしにくいと考えて、別の財産を売る選択肢も並べてください。接道が足りない土地の扱いは「再建築不可の家を相続してしまったら」の記事にまとめています。

「不動産を売却して納める前に確定させる3点」について、そのまま聞けます。

延納・物納・不動産売却の分かれ目になる条件

3つのうちどれが使えるかは、好みではなく要件で決まります。延納には担保、物納には財産の種類と権利の状態、売却には買主と決済日という条件があり、満たせないものは選択肢から外れます。

1. 延納は、担保と利子税を負担して期間を確保する

延納は、相続税を年賦で納める仕組みです。相続税法第38条以下に定めがあり、使うには4つの条件を満たす必要があります。納付すべき相続税額が10万円を超えること、金銭で一時に納付することが困難な事由があること、申告期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出すること、そして担保を提供することです。延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は、担保の提供が不要になります。

期間は、相続財産のうち不動産等が占める割合で変わります。不動産等の割合が75%以上なら不動産等に対応する税額は最長20年、50%以上75%未満なら最長15年、それ未満なら原則5年以内です。延納した期間には利子税がかかり、割合は財産の区分と年によって変わるため、申請前の確認が要ります。制度の手引と最新の割合は国税庁の公表資料で確認してください。

2. 物納は、延納でも納められない金額が上限になる

物納は、金銭ではなく相続財産そのもので納める仕組みで、相続税法第41条以下に定めがあります。ここで誤解が多いのは順番です。物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な金額を限度として認められるため、延納が使えるなら、その分は物納できません。申請は申告期限までに行い、申請から原則3か月以内に許可か却下の判断がされます。

充てられる財産には順位があり、第1順位が不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等、第2順位が非上場株式等、第3順位が動産です。収納される価額は、相続税の課税価格の基礎となった評価額です。土地の実勢価格が評価額を下回っている地域では売るより物納の方が有利に働くことがあり、反対に評価額より高く売れる土地なら、売却して現金で納めた方が手元に残ります。

延納と物納の検討の順番

  1. 1

    1. 延納の限度額を確認

    延納で納付可能な金額を先に計算する。

  2. 2

    2. 物納の上限額が確定

    延納でも納められない金額が物納の上限になる。

  3. 3

    3. 財産の順位を確認

    不動産や国債などの第1順位から充てる。

  4. 4

    4. 申告期限までに申請

    申請から原則3か月以内に許可か却下が決まる。

3. 物納できない不動産には、決まった類型がある

物納の申請をしても、財産の状態によっては受け付けられません。扱いは2種類に分かれます。

区分不動産で当てはまる例
管理処分不適格財産担保権が設定されている、権利の帰属に争いがある、境界が明確でない、公道に通じておらず通行権の内容が明らかでない、共有物(共有者全員が持分の全部を物納する場合を除く)、耐用年数を経過した建物
物納劣後財産接道義務を満たしていない土地、法令に違反して建てられた建物とその敷地、市街化区域外の土地、地上権などが設定されている土地

管理処分不適格財産は物納に充てられず、物納劣後財産はほかに物納できる財産がない場合に限られます。境界が確定していない土地、越境の整理が済んでいない土地、通路の権利が書面で残っていない土地は上の行に当たる可能性が高く、測量や隣地との整理を10か月で終える見込みがなければ、物納は選択肢から外れます。

4. 売却して現金で納める場合に見るもの

売却は、期限に間に合う日程で買主を確定できるかどうかが分かれ目です。仲介で一般の買主を探す方法は、価格の上限は高くなりますが、いつ決まるかが読めません。買主が事業者の買取は、価格は仲介での成約想定額より低くなりますが、金額と決済日を先に確定できます。

延納を利用するための4つの条件

  • 税額が10万円超

    納付すべき相続税額が10万円を超えていること

  • 金銭納付が困難

    金銭で一時に納付することが困難な事由があること

  • 期限までの書類提出

    申告期限までに延納申請書と担保提供関係書類を出す

  • 担保の提供

    原則必要。税額100万円以下かつ期間3年以下は不要

判断の材料は、その不動産の相続税評価額、実際に売れる見込みの価格、そして延納を使った場合の利子税の総額の3つです。周辺で実際に取引された価格の水準は、国土交通省の不動産情報ライブラリで自分でも確認できます。評価額と実勢価格の差が小さい地域では、物納と売却の有利不利が入れ替わるので、数字を並べてから決めてください。

5. 延納と売却は、組み合わせて使える

期限までに売れるか分からない段階で延納を申請しないままにすると、延滞税が付く形でしか時間を作れません。延納の許可を受けたあとに売却代金が入れば、残りを繰り上げて納められ、利子税は納め終わるまでの期間で計算されます。延納後に資力が変わって分割でも納められなくなった場合は、申告期限から10年以内に限って未納分を物納へ切り替えられますが、収納価額は切り替えを申請した時点の価額です。地価が下がる局面では、後から切り替えるほど収納される金額が小さくなります。

相続税の納税で行き詰まりやすい不動産

評価額は高く付くのに現金になりにくい財産があります。底地、共有持分、高低差の大きい土地の3つが代表で、この3つを抱えている場合は、期限の早い段階で扱いを決めた方が動けます。

賃貸アパートも同じ側の財産です。アパートの相続税を支払えないときの対処法は、延納・物納・売却・借入の4つで、どれを選ぶかは入居者がいる状態をどう扱うかで決まります。 空室にしてから売ろうとすると、立退きの交渉と費用で数か月から年単位の時間がかかります。納税期限(申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月)に間に合わせるなら、入居者がいるまま収益物件として売るのがいちばんスムーズです。 家賃が入り続けるので、売却までの期間も納税資金の一部になります。なお、納期限を過ぎると延滞税が付き、督促を経て財産の差押えに発展しますので、間に合わないと分かった時点で延納か物納の申請を先に出してください。

アパートの相続放棄は慎重に判断してください。 放棄すると家賃収入も、預貯金や自宅を含めた他の財産も一緒に失います。建物が古く、修繕費と空室が続いて赤字が確定しているなら選択肢になりますが、その判断は相続財産の全体を並べてからにしてください。期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。

1. 底地は、評価額に対して現金化しにくい

他人に貸している宅地(底地)の相続税評価額は、自用地としての価額から借地権の価額を差し引いた額になり、借地権割合は路線価図に記号で示されています。割合が大きい地域では評価は下がりますが、税額は現金で納めます。底地から入るのは地代だけで、利回りは低いのが通例です。

底地の物納は書類の要件が重く、借地契約の内容が書面で確認できない土地では要件を満たせません。売る場合も、借地人に買ってもらう、業者に買ってもらう、借地人と同時に売る、という選択で手取りが変わります。立場ごとの出口は「底地と借地権の出口」の記事に、地主の側から見た手取りの差は「底地を相続したが手放したい」の記事に書いています。

底地を売却する相手と手取りの差

観点借地人に買ってもらう業者に買ってもらう
手取り額業者に売る場合と手取りが変わる借地人に売る場合と手取りが変わる
借地契約書がない場合借地人自身との取引になる買取価格が大きく下がる要因になる
決める前の手順両方の金額を出してから比較する両方の金額を出してから比較する

2. 共有のままでは、売却も物納も進まない

相続した不動産を共有で登記すると、売却には共有者全員の合意が必要になります。物納も、共有物は管理処分不適格財産に当たり、共有者全員がそれぞれの持分の全部を物納する場合を除いて認められません。共有は、納税資金を作る手段としては最も動かしにくい形です。

納税資金が必要な相続人と、財産を残したい相続人が同じ不動産を共有すると、期限が来る前に話が止まります。売る不動産と残す不動産を分ける、代償金で調整する、いったん換価してから分ける形を分割協議の段階で選ぶ方が確実です。合意が取れないまま期限が近づいた場合の最後の手段は「共有持分は自分の持分だけ売却できる」の記事にまとめました。

3. 擁壁や高低差のある土地は、費用が価格から引かれる

道路との高低差が大きい土地、古いブロック積みの擁壁が敷地を支えている土地は、買主が造り替えの費用を見込んで価格を決めます。擁壁の高さや工事の内容によっては、宅地造成及び特定盛土等規制法(2023年5月26日施行の盛土規制法)で指定された区域内での工事として、許可や届出が必要になる場合があり、費用と工期の見込みがそのまま価格に響きます。

納税で行き詰まりやすい不動産

  • 売却の条件

    売却するには共有者全員の合意が必要になる

  • 物納の条件

    全員がそれぞれの持分全部を物納しないと認められない

  • 分割協議での選択

    売る不動産と残す不動産を分けるか、代償金などで調整する

境界が未確定、擁壁が隣地にかかっている、越境の整理が済んでいないという状態は、管理処分不適格と判断される余地が残ります。売却に回す場合も、擁壁の図面や過去の工事の記録が残っているかどうかで、価格の下がり幅が変わります。

4. 固定資産税の滞納が重なっている場合

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、納期限を過ぎると延滞金が加算されます。督促を受けても納付がない場合、市町村は不動産だけでなく預金も差押えの対象にできます(地方税法(e-Gov法令検索)第343条以下)。差押えの登記が付いた不動産でも売却はできますが、決済時に滞納分を精算する分だけ手取りが減ります。納付が難しい事情があるなら、市町村の窓口で猶予の制度を先に確認してください。滞納のある空き家を売る順番は「空き家の処分方法」の記事にも書きました。

「相続税の納税で行き詰まりやすい不動産」について、そのまま聞けます。

10か月から逆算する不動産売却の手順

住宅街の道を歩きながら家を眺める家族

先に片づけや解体に着手すると、費用が出ていくうえに日程が後ろへずれます。

1. 納税額の概算と、手元の現金を出す

最初に出すのは、納める総額と、いま払える金額の差です。財産目録に土地・建物・預金・有価証券を並べ、土地は路線価または固定資産税評価額から概算します。この差額が、売却で作らなければならない金額です。差額が小さいなら延納だけで足りることもあり、大きい場合はどの不動産をいくらで売るかという話になります。概算の段階から、売却にかかる税と費用を引いた後の金額で考えてください。

2. 売る不動産を選ぶ(特例の保有要件を先に確認する)

納税資金を作るための売却手順

  1. 1

    1. 納める総額の概算

    土地は路線価や固定資産税評価額から概算する。

  2. 2

    2. 手元現金との差額を出す

    総額といま払える金額の差が売却で必要な額。

  3. 3

    3. 差額が小さい場合

    延納だけで足りるか検討する。

  4. 4

    4. 差額が大きい場合

    税と費用を引いた手取りで売れる価格を確かめる。

小規模宅地等の特例には、申告期限まで保有を続けることが要件になっている類型があります。同居していた親族が取得した居住用の宅地、別居の親族が取得した宅地、貸付事業用の宅地が該当し、配偶者が取得した居住用の宅地にはこの継続要件がありません。

つまり、納税資金のために申告期限前に売ると、その宅地について特例が使えず、かえって税額が増えることがあります。 売る候補が複数あるなら、特例を使わない不動産から先に検討する、配偶者が取得した宅地を充てる、あるいは申告期限後に売る前提で延納を申請するという組み立てになります。どの組み合わせが有利かは税額の計算で変わるため、税務署または税理士に照合してください。

3. 遺産分割協議と相続登記の日程を決める

売る不動産が決まったら、その不動産を誰の名義にするかを分割協議で固め、登記を申請します。相続人が遠方にいる場合は、書類の郵送のやり取りだけで数週間かかります。逆算すると、次のような並びになります。

相続開始からの月数済ませておくこと
1〜3か月戸籍と財産の資料をそろえ、相続人と財産の範囲を確定する
3〜5か月納税額を概算し、売る不動産と残す不動産を決める
5〜7か月遺産分割協議書を作成し、相続登記を申請する
7〜9か月価格と条件の提示を受け、契約と決済日を確定する
9〜10か月決済代金を受け取り、申告と納付を済ませる

4. 価格を1つ確定させてから話し合う

相続人が複数いる案件で話が止まるのは、金額の情報がないときです。買取の提示額があれば、「この額とこの決済日なら売る」という形で議論ができます。仲介での想定成約価格は見込みにすぎず、期限が近い局面では、高い見込みより確定した日程の方が価値を持ちます。

5. 期限までに延納または物納の申請書を出しておく

売却の目処が立っていても、決済が期限の直前になる場合は、延納の申請を先に出しておく判断があります。申請の期限は申告期限と同じ日で、後から出すことはできません。担保の書類がそろわない場合には、提出期限の延長を届け出る仕組みがあります。物納を申請した場合も、許可が出るまでの間に売却の話を進められますが、許可後に同じ不動産を売ることはできず、取り下げの手続と時期にも決まりがあります。両方を並行させるなら、どちらを本線にするかを先に決めてください。

売却代金から手元に残る額と、相続税の特例

家族がダイニングテーブルで書類を見ながら相談する

売却で作れる納税資金は、売買代金そのものではありません。譲渡所得に対する税と、手続にかかる費用を引いた後の金額が、納付に回せる額です。

1. 取得費加算は「3年10か月」が期限

相続税を納めた財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却した場合、納めた相続税のうち一定の額を取得費に加算できます。租税特別措置法第39条の特例で、相続開始から数えると3年10か月が実質的な締切です。要件と計算は国税庁の相続財産を譲渡した場合の取得費の特例に示されています。

納税資金のための売却はこの期間内に収まることが多く、加算できる額が大きいほど譲渡所得が圧縮されます。相続税の納付と売却を同じ年度に重ねる場合は、この加算を織り込んだ税額で手取りを計算してください。

2. 相続空き家の特例は、建築年と用途で決まる

被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。令和6年1月1日以後の譲渡では、その家屋と敷地等を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円までです。昭和56年5月31日以前の建築であること、区分所有建物でないこと、相続から譲渡までの間に事業・貸付け・居住に使っていないこと、売却代金が1億円以下であることなどが条件で、適用期限も定められています。要件は国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確認できます。

この控除と取得費加算は、どちらか一方を選ぶ関係です。空室のまま維持していた家なら控除が使える一方、納税資金のために一時的に貸すと使えなくなります。

3. 譲渡所得の税率と、取得費が分からない場合

取得費加算の特例の期限

  1. 相続開始

    期間の起算点

    ここから3年10か月が実質的な締切となる

  2. 10か月

    相続税の申告期限

    相続税を納付する。ここから3年が特例の対象期間

  3. 3年10か月

    取得費加算の締切

    この日までに売却すれば譲渡所得が圧縮される

譲渡所得の税率は、所有期間が5年を超える長期なら所得税15%と住民税5%(復興特別所得税を含めて20.315%)、5年以下の短期なら所得税30%と住民税9%です。相続した不動産は被相続人の取得時期を引き継ぐため、長期になることが多い類型です。問題になるのは取得費の資料で、売買契約書が見つからない場合は収入金額の5%を取得費として計算することになり、譲渡所得が大きく出ます。古い家屋の権利証や当時の契約書は、遺品の整理で処分される前に探しておいてください。

4. 売却に伴って出ていく費用

引かれるもの見るところ
譲渡所得の所得税・住民税長期か短期か、取得費の資料が残っているか
仲介手数料(仲介で売る場合)成約価格に対する割合と消費税
登記と書類の費用相続登記の登録免許税、司法書士の報酬、戸籍の取得
現況を戻す費用残置物の処分、解体、測量、擁壁や塀の補修
精算する税固定資産税の日割り精算、滞納分の清算

なお、この記事の法務・税務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。延納や物納の申請ができるか、どの特例が使えるかは財産の構成と分割の内容で変わるため、税務署または税理士に、登記は司法書士に、境界や借地の権利関係は土地家屋調査士や弁護士にご確認ください。当社は不動産の買主であり、申告や申請の代理はできません。

「売却代金から手元に残る額と、相続税の特例」について、そのまま聞けます。

当社に相続税の納税資金づくりの不動産売却を相談する場合

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社に相続税の納税資金づくりの不動産売却を相談する場合」について、そのまま聞けます。

相続税が払えないときの不動産売却で先に決まること

  • 延納と物納は、10か月の期限までに申請まで終える必要があります。 売れるかどうかを見てから決める順番は取れません。売却が間に合わない可能性があるなら、延納の申請を先に出し、代金が入った時点で繰り上げて納める形が使えます。
  • 物納で断られる条件は、売却で価格が下がる条件と重なります。 境界が明確でない土地、通行の権利が明らかでない土地、共有物は物納に充てられません。ここを整理できるかどうかが、物納・売却のどちらでも結論を左右します。
  • 売却で作れる資金は、代金から税と費用を引いた額です。 取得費加算の締切は相続開始から3年10か月、小規模宅地等の特例には申告期限までの保有が要件になる類型があります。どの不動産を売るかは、税額の計算をしたうえで決めてください。

当社は買主として、境界が未確定の土地や擁壁のある土地も現況のまま買い取り、納付期限に間に合う日程で決済日を確定します。そのかわり価格は仲介での成約想定額より低く、売主と売る範囲が確定していない不動産はお引き受けできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

相続税が払えない場合の不動産売却によくある質問

Q1. 期限までに売れなかったら、どうなりますか

納めていない税額に延滞税が加算され、督促を受けます。放置すれば財産の差押えに進むこともあります。避ける方法は、期限までに延納の申請を出しておくことです。 許可されれば分割で納める形になり、売却代金が入った時点で残りを繰り上げられます。申請の期限は申告期限と同じ日なので、交渉が長引きそうな段階で準備を並行させてください。

Q2. 延納と売却では、どちらが手元に残りますか

比べるのは、延納した場合の利子税の総額と、売却して手元に残る額です。地代や賃料があり、その収入から分割で納められるなら延納が合います。収入がなく固定資産税と管理費だけが出ていくなら、持ち続けるほど支出が積み上がります。毎年いくら稼ぎ、いくら費用がかかるかを1年分出せば、判断の材料はそろいます。

Q3. 貸している土地(底地)は物納できますか

制度上は第1順位の財産ですが、書類の要件が重くなります。借地契約の内容が書面で確認でき、境界が確定し、地代の滞納や借地人との争いがないことが前提で、借地権者が不明な土地は管理処分不適格財産に当たります。口約束のまま代々続いた底地では、10か月で要件をそろえるのが難しい場合があります。売る場合は、借地人に買ってもらう形と業者に買ってもらう形で手取りが変わります。

Q4. 申告期限前に売ると、小規模宅地等の特例は使えなくなりますか

類型によります。配偶者が取得した居住用の宅地には保有や居住の継続要件がありませんが、同居していた親族が取得した場合は申告期限までの居住と保有、別居の親族が取得した場合は申告期限までの保有、貸付事業用の宅地は申告期限までの貸付けの継続と保有が要件です。要件が付いている宅地を期限前に売ると、特例が外れて税額が増えます。 どの宅地にどの特例を使う申告になるのかを税理士に確認し、その順番で売却の候補を決めてください。

Q5. 固定資産税も滞納しています。どちらを先に払うべきですか

どちらも滞納すれば延滞金や延滞税が付き、差押えの対象になります。優先順位を自分で決める前に、市町村の税務課と税務署の窓口で、それぞれの猶予の制度を確認してください。申請によって換価を待ってもらう制度は、納期限から一定の期間内の申請が条件で、時期を過ぎると使えません。差押えの登記が付いた不動産でも売却はできますが、決済で滞納分を精算する分だけ手元に残る金額が減ります。

Q6. 相続人の一人が不動産を取得して納税資金を作る場合、何に注意しますか

代償分割で他の相続人に金銭を渡す場合、その金額と支払い時期を協議書に書き、売却代金の入金日と合わせてください。売却より先に支払期日が来ると、取得した人が立て替えることになります。もう一点が連帯納付義務です。他の相続人が納めなければ、受けた利益の価額を限度に納付を求められる場合があるため、誰がいつどうやって納めるかまで決めて合意にしてください。分割の合意とは、財産の分け方と納税の段取りの両方が決まった状態のことです。

当社の見方

納付の期限が決まっているご相談では、当社はまず日程の話から入ります。ご相談から買取価格のご提示までがおおむね30分、そこからご契約までが1〜2週間、お引き渡しは早ければ2週間以内というのが当社の目安です。ご入金はお引き渡しと同じ日に行います。ただしこの日数は、どなたが引き継ぐかが決まり、相続登記まで済んでいることを前提にした数字です。

つまり、期限に間に合うかどうかを左右するのは当社の側ではなく、誰がその不動産を引き継ぐかが決まる時期のほうです。話し合いがまとまらないうちは契約の相手が定まらず、金額もお出しできません。残りの日数が少ないときほど、査定のご依頼より先に、話し合いと登記の段取りに手を付けてください。登記が終わる見込みの日が分かった時点でお知らせいただければ、そこから日程を組み直しますので、決まっていない段階でもご連絡ください。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

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リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)
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