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空き家

滅失登記をしないとどうなるか|解体後の手続きと期限

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
滅失登記をしないとどうなるか|解体後の手続きと期限

「実家を解体したあと、滅失登記をしていない。このまま放っておくと何が起きるのか知りたい」。建物を壊したら1か月以内に滅失登記を申請する義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象になります。実務で先に困るのは、無い建物に固定資産税が課され続けることと、土地を売るときに決済が止まることです。

当社は買主として、建物の登記が残ったままの土地も現況で買い取りますが、滅失登記が終わるまで決済日を確定できないため、司法書士または土地家屋調査士の日程から逆算して契約日を置きます。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(12章)

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解体工事が終わって更地になっても、登記の記録の上ではその建物がまだ建っています。記録を消す手続きが建物滅失登記で、これを申請しないまま年を越すと、無い建物に税が課され、土地を売ろうとした段階で手続きが止まります。

滅失登記をしないとどうなるかの要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

滅失登記をしないと何が残るのか、記録と課税の二つの側で分かれる

解体で消えるのは現実の建物だけで、法務局の登記記録と市区町村の家屋課税台帳はそれぞれ別の手続きを踏まないと消えません。両者は連動しないことがあるため、片方だけ処理されて片方が残るという状態が起こります。

土地と建物の名義の組み合わせ

  • 土地・建物が同一名義

    権利関係の混乱は小さく済む

  • 建物が亡親・土地が子

    後で権利の説明に手間がかかる

登記記録の側では、建物の登記簿がそのまま生きている

法務局に備えられた建物の登記記録は、所有者またはその相続人が滅失の登記を申請してはじめて閉鎖されます。解体業者が工事を終えて廃材を運び出しても、その事実が自動的に法務局へ伝わる仕組みはありません。登記事項証明書を取れば、取り壊したはずの家屋の表題部と、所有権の登記名義人がそのまま印字されて出てきます。

この状態の土地を見た第三者からは、そこに建物の所有者がいるように見えます。土地と建物の名義人が同じなら混乱は小さいのですが、建物だけが亡くなった親の名義で、土地が子の名義という組み合わせだと、後で権利の説明に手間がかかります。

解体と手続きで消えるものの違い

手続き・工事消えるもの他への連動・影響
解体工事現実の建物法務局へ自動で伝わる仕組みはない
滅失登記法務局の登記記録市区町村へ通知が回り台帳からも落ちる
市区町村への滅失届出家屋課税台帳登記の義務を果たしたことにはならない

課税の側では、市区町村が現況を見て判断している

固定資産税の家屋の課税は、市区町村の資産税の担当課が家屋課税台帳にもとづいて行います。台帳の記載は、登記の記録と、現地の調査の両方を材料に作られています。解体して滅失登記も済ませれば、法務局から市区町村へ通知が回り、台帳からも落ちます。滅失登記をしていない場合は、市区町村に直接届け出るか、市区町村の職員が現地を確認するまで台帳が動きません。

自治体によっては「家屋滅失届」という様式を用意していて、解体したことを税務側だけに先に伝えられます。ただしそれは課税を止めるための届出であって、登記の義務を果たしたことにはなりません。届出を出したから登記は要らない、と受け取ってしまうご相談が実際にあります。

賦課期日は1月1日で、そこに建っていたかどうかで決まる

固定資産税は、その年の1月1日に存在する固定資産に対して、その年度分が課されます。12月に解体が完了していれば翌年度の家屋分は課されず、1月に解体すればその年度分は課された後になります。地方税法は賦課期日を当該年度の初日の属する年の1月1日と定めています(地方税法(e-Gov法令検索))。

ここで問題になるのが、実際には12月に壊れているのに、市区町村がそれを把握していない場合です。台帳に家屋が残っていれば、翌年度の納税通知書には建物分が印字されて届きます。取り消してもらうには、いつ解体が終わったかを示す資料を出す必要があり、その資料の代表が滅失登記の完了と、解体業者が出す取壊し証明書です。

滅失登記をしないと問われる義務と期限は、不動産登記法が定めている

不動産登記法57条により、建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人が、滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないと定められています。これは任意の手続きではなく、法律上の申請義務です。

過料の裁判に至るまでの流れ

  1. 1

    未処理の発見

    売買や相続で登記記録が表に出たときに義務違反が見つかる

  2. 2

    裁判所への通知

    登記官が義務違反を把握したときに管轄の裁判所へ通知する

  3. 3

    過料の裁判

    裁判所が正当な理由なく怠った者に10万円以下の過料を科す

不動産登記法第57条が置いている1か月という期限

建物の滅失の登記については、不動産登記法第57条が、建物が滅失したときは表題部所有者または所有権の登記名義人が、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならないとしています(不動産登記法(e-Gov法令検索))。起算日は解体工事が完了した日で、契約した日でも、代金を払った日でもありません。

同法第164条は、正当な理由なくこの申請を怠った者を10万円以下の過料に処すると定めています。過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰で、前科にはなりません。科されるまでの流れは、登記官が義務違反を把握したときに管轄の裁判所へ通知し、裁判所が過料の裁判をするというもので、期限を過ぎた全員に自動で通知が届くわけではありません。売買や相続で登記記録が表に出たときに、はじめて未処理が見つかるという順で現れます。

滅失登記の期限の起算日

  1. 契約した日

    起算日ではない

    解体工事の契約をした日は期限の起算日にならない

  2. 代金を払った日

    起算日ではない

    解体工事の代金を払った日も期限の起算日にならない

  3. 工事が完了した日

    1か月の期限の起算日

    この日から1か月以内に滅失登記を申請する義務がある

義務を負うのは誰か、所有者が亡くなっている場合

申請の義務を負うのは、登記記録上の表題部所有者または所有権の登記名義人です。名義人が亡くなっている場合、その相続人が申請できます。不動産登記法第30条は、表題部所有者または所有権の登記名義人について相続があったときに、相続人が表示に関する登記を申請できると定めています。建物を消す登記は表示に関する登記ですから、この条文にもとづき、戸籍で相続人であることを示せば、建物について相続登記を先に済ませていなくても申請できます。無くなる建物にわざわざ名義を移してから消す、という二度手間を避けるためです。

ただし、これは建物の話です。土地の名義は別で、相続で取得したまま動かしていなければ、相続登記の申請義務の側に触れます。取得を知った日から3年以内という期限が2024年4月1日に始まりました。それ以前に相続で取得したと知っていた土地は、2027年3月31日が締切です。壊した家の跡地を売るなら、不動産登記法57条の1か月と、この締切の両方を見ながら日程を置くことになります。

建物が「滅失した」と言えるのはどの時点か

登記の上で滅失といえるのは、建物としての効用を失った状態を指します。屋根や外壁を取り払い、柱だけが残った状態になれば、外形上はもう建物ではありません。基礎のコンクリートだけが残っている場合は、建物が滅失したものとして扱われることが多いものの、残っている部分の程度によって見方が分かれます。工事が途中で止まっている形であれば、現況の写真を持って管轄の法務局に相談し、いま申請できる状態かどうかを先に確かめてください。

火災で全焼した建物も同じ扱いになります。焼け残った躯体が残っているうちは判断が分かれることがあり、解体まで済ませてから申請するのが確実です。火災に遭った家の処分の考え方は「火事の家の売却」の記事にまとめています。

「滅失登記をしないと問われる義務と期限は、不動産登記法が定めている」について、そのまま聞けます。

滅失登記をしないと固定資産税はどう変わるか、年度で分かれる

無い建物の税が翌年度も来るかどうかは、市区町村が1月1日までに滅失を把握できていたかで分かれます。家屋分が消えるのと引き換えに土地の住宅用地の特例が外れるため、どちらが軽いかは解体の時期と、空き家のまま残した場合の税額との兼ね合いで決まります。

市区町村が滅失を把握できたかの違い

観点1月1日までに把握できた場合把握できなかった場合
1月1日時点の台帳台帳から落ちる建物が載ったままになる
翌年度の家屋分の税課税されない存在しない家屋に課税され続ける
事後の取り消し・還付不要申し出と完了日を示す資料が必要

1. 家屋分の税が翌年度も課され続ける

10月に解体し、そのまま滅失登記も届出もしなかったとします。翌年1月1日の時点で家屋課税台帳に建物が載っていれば、市区町村はその台帳にもとづいて課税します。翌春に届く納税通知書の課税明細書には、存在しない家屋の評価額と税額が印字されます。

気づいた時点で市区町村に申し出れば、解体の事実を確認したうえで課税を取り消し、既に納めた分は還付されるのが通常の扱いです。ただし過去のどこまで遡って還付するかは市区町村の運用によって幅があり、無条件に全期間戻るわけではありません。取り消しを求めるときは、解体工事の請負契約書、工事完了の写真、解体業者の取壊し証明書など、完了日を示せる資料を揃えて資産税の担当課へ出してください。

2. 土地の側は逆に上がり、住宅用地の特例が外れる

家屋が消えると、その土地に効いていた住宅用地の特例が外れます。地方税法第349条の3の2は、固定資産税について、住宅の敷地のうち200平方メートル以下の部分の課税標準を価格の6分の1、それを超える部分を3分の1とする軽減を定めています。都市計画税についても、地方税法第702条の3が同じ面積の区分で3分の1と3分の2の軽減を置いています。更地になればどちらの軽減からも外れ、非住宅用地(商業地等)としての課税標準に切り替わります。

ただし切り替わった初年度から満額になるわけではありません。地方税法附則第18条が置く負担調整措置により、住宅用地から外れた宅地(商業地等)の固定資産税の課税標準額は、前年度の課税標準額をその年度の評価額で割った割合(負担水準)に応じて、2024年度(令和6年度)から2026年度(令和8年度)までの各年度について次のように決まります。これは年度を区切った経過措置で、2026年9月時点の内容です。以降の年度の扱いは、最新の地方税法の附則と、お住まいの市区町村が出す課税の案内でご確認ください。

  • 負担水準が70%を超えるときは、評価額の70%まで引き下げた額とします
  • 負担水準が60%以上70%以下のときは、前年度の課税標準額をそのまま据え置きます
  • 負担水準が60%未満のときは、前年度の課税標準額に評価額の5%分を加えた額とし、その額が評価額の60%を超えるときは60%、20%に満たないときは20%とします

手元の課税明細書で土地の評価額と課税標準額を見比べれば、いまの負担水準が分かり、更地にした後に何年かけて上がるのかの見当が付きます。

住宅用地から外れた後の税額の変化

  1. 家屋が消えた時

    住宅用地の特例から外れる

    更地になると非住宅用地としての課税標準に切り替わる

  2. 切り替わった初年度

    満額にはならない

    切り替わった初年度から満額になるわけではない

  3. 令和6年度〜令和8年度

    負担調整措置の適用

    前年度の課税標準から順に決まる

つまり滅失登記をしないでいると、家屋分は本来払わなくてよいものを払い、土地分は本来上がるはずのものが上がらないままという、ねじれた状態で数字が並ぶことがあります。この状態を放置して後から一括で精算されると、想定していた資金繰りが崩れます。更地にした後の税額の考え方は「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事に計算の型を置いています。

3. 解体の時期を1月1日のどちら側に置くかで、1年分が動く

解体を12月中に終えて滅失も把握されれば、翌年度の家屋分は消え、土地分は上がります。1月2日以降に解体すれば、その年度は家屋分が残ったまま、土地の特例も残ります。どちらが得かは、家屋の評価額と土地の評価額の大小で逆転します。古い木造家屋は評価額が下がりきっていて年に数千円ということもあり、その場合は土地の特例を1年長く使える後者が有利になります。

ご自分の数字は、手元の納税通知書に付く課税明細書で確かめられます。土地の欄に小規模住宅用地の区分と課税標準額があり、家屋の欄に評価額と税額があります。この二つを並べれば、解体の時期をどちらに寄せるべきかは自分で判断できます。

4. 空き家のまま置いた場合との比較

解体せずに空き家を残す道を選ぶと、家屋分の税は続きますが土地の特例は効いたままです。ただし状態が悪くなれば、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて市区町村が助言・指導、勧告と段階を踏み、勧告を受けた敷地は住宅用地の特例から外れます(空き家対策(国土交通省))。結果として、建物の税を払いながら土地の軽減も失う形になります。2023年の法改正では、特定空家等になる手前の段階である管理不全空家等についても、市区町村の勧告を受ければ住宅用地の特例から外れる仕組みが加わりました。いずれの場合も特例が外れるのは勧告を受けた後の賦課期日からで、助言・指導の段階では外れません。

滅失登記をしないと売却はどこで止まるか、工程ごとに分かれる

家族がリビングのテーブルを囲んで、土地の売却の進め方について話し合っている

土地を売る話は、建物の登記が残っていても始められますが、決済の直前で必ず止まります。止まる箇所は、買主が個人で融資を使う場合と、当社のような買主が自己資金で買う場合とで違います。

建物の登記が残っていると止まる工程

  1. 1

    融資の承認

    他人名義の建物登記が残っていると金融機関が担保を取れない

  2. 2

    建築確認

    既存建物の扱いについて説明を求められ申請が止まる

  3. 3

    決済・所有権移転

    建物の記録が閉鎖されていなければ司法書士が実行を見送る

1. 買主の所有権移転登記が入らない

土地の所有権移転登記そのものは、建物の登記が残っていても形式上は入ります。ところが実際の取引では、買主側の司法書士が「土地の上に他人名義の建物登記が残っている状態では決済できない」と判断します。建物の登記名義人が土地の利用権を主張してくる余地を残したまま、買主に土地だけを渡す形になるためです。

売主と建物の名義人が同一人であっても、この扱いは変わりません。決済の場で司法書士が登記事項証明書を確認し、建物の記録が閉鎖されていなければ、その日の実行は見送りになります。

2. 買主が住宅ローンを使う場合、金融機関が担保を取れない

買主が土地を買って新しい家を建てる計画なら、土地に抵当権を設定します。金融機関は担保の評価にあたって、その土地に他人名義の建物登記が残っていないことを条件にします。建物の登記が残っていれば、融資の実行日が動きます。売主側で滅失登記を終える日が読めないと、買主のローン特約の期限に間に合わず、契約が白紙に戻ることもあります。

3. 建築確認の段階でも引っかかる

買主が新築を計画していれば、着工の前に建築確認の申請をします。敷地に既存の建物の登記が残っていると、既存建物の扱いについて説明を求められることがあります。実際には壊れていても、書類の上で建物が二棟になる形になり、申請が止まります。ここで止まると、買主の建築の工程が全体に後ろへずれ、契約後に売主が責められる形になります。

4. 当社が買う場合でも、決済日は滅失登記から逆算する

当社は自己資金で買うため融資の特約を付けませんが、建物の登記が残ったままで所有権を受け取ることはしません。買った後に当社の負担で消せばよいという話にはならず、申請の義務を負うのは滅失した時点の所有者またはその相続人だからです。したがって決済日は、土地家屋調査士または司法書士が申請して完了するまでの日数を見込んで置きます。

5. 先に売る契約を結んでから登記を追いかける形

解体が終わっていて滅失登記だけが残っている場合、契約を先に結び、決済日までに登記を完了させる段取りが取れます。契約書に、決済の日までに売主の責任と負担で建物の滅失の登記を完了させる旨を書き入れます。申請から完了までの日数は法務局の混み具合で変わるため、余裕を持った日を置いてください。

滅失登記をしないと相続の場面で何が増えるか、人数と年月で分かれる

周囲の住宅街の中に建つ、古い木造住宅の全景

放置した年数が長いほど、申請に必要な戸籍の通数と関係者の数が増えます。分かれ目は、登記名義人が亡くなってから何度相続が起きているかです。

1. 名義人がご存命なら、本人の書類だけで済む

建物の所有権の登記名義人がご存命で、ご本人が申請するなら、必要なのは申請書と解体業者から受け取る書類、それに現地の案内図です。印鑑証明書も権利証も原則として要りません。滅失の登記は権利の移転ではなく、表題部の記録を閉じる手続きだからです。

相続の回数と必要な書類の違い

  • 名義人が存命

    本人の申請書と解体業者の書類等で済む

  • 名義人が死亡

    相続人であることを示す戸籍が必要になる

  • 数次相続が発生

    戸籍の収集だけで1か月から数か月かかる

  • 解体業者が廃業

    取壊し証明書が取れなくなる

2. 名義人が亡くなっていれば、相続人であることの証明が要る

名義人が亡くなっている場合、申請するのは相続人です。被相続人の出生から死亡までの戸籍と、申請する相続人の戸籍を添えて、相続人であることを示します。根拠は不動産登記法第30条で、相続があった場合に相続人から表示に関する登記を申請できるとされています。相続人が複数いるときに、そのうち一人の申請で受け付けられるか、添付する戸籍をどこまで求められるかは管轄の法務局の判断によるため、申請の前に窓口で確かめてください。遺産分割協議書と相続人全員の実印が前提になる相続登記とは、求められる書類が異なります。

3. 数次相続が起きていると、戸籍の収集に月単位でかかる

祖父名義の建物を、父が相続手続きをしないまま亡くなり、いま子が処理しようとしている、という並びになると、祖父の出生からの戸籍と父の出生からの戸籍の両方が要ります。本籍地が何度も変わっていれば、複数の市区町村に郵送で請求することになります。戸籍の収集だけで1か月から数か月かかるのは珍しくありません。相続人の数が多い場合の進め方は「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事に整理しています。

4. 解体業者が廃業していると、証明書が取れない

滅失登記には、解体業者が発行する取壊し証明書と、その業者の登記事項証明書または印鑑証明書を添えるのが通例です。解体から10年、20年が経っていると、業者が廃業していて書類を取れないことがあります。その場合は、申請人が作成する上申書で代えられるのが一般的な取扱いですが、様式や添付書類の求め方は管轄の法務局で確認が要ります。

5. 相続土地国庫帰属や相続放棄との関係

相続土地国庫帰属の制度を使うつもりなら、滅失の登記を終えてから申請すると考えておいてください。制度上、建物の存する土地は承認申請できない土地とされており(相続土地国庫帰属制度(法務省))、建物が現に無いかどうかは最終的には現況で判断されます。ただし申請の窓口では、登記記録に建物が残っていると建物が無いことを書面で確かめられないため、先に滅失の登記を済ませるよう求められるのが通常です。記録を閉じないまま出しても審査が前に進まず、実務上は滅失の登記の完了が申請の前提になります。この制度で却下される土地の類型は「相続土地国庫帰属制度は使えないのか」の記事に書いています。

相続放棄を選んだ場合も、土地から手が離れるとは限りません。民法第940条は、放棄した人がその時点で現にその財産を占有していた場合に限り、管理を続ける立場に置いています。分かれ目は占有していたかどうかの一点です。放棄の時点で、解体後の土地に立ち入れる鍵や関係書類を手元に置いていたなら、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、自分の財産を扱うのと同じ程度の注意が求められます。放棄の時に現地に触れていなかったのであれば、この条文の義務は生じません。

未登記建物と滅失登記をしないケースの違い、登記の有無で分かれる

そもそも建物の登記がされていない未登記建物を壊した場合、法務局への滅失の申請は不要で、市区町村への届出だけが残ります。分かれ目は、法務局に建物の記録があるかどうかの一点です。

1. 未登記のまま放置するとどうなるか

建物を新築したときは、所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請する義務があり、これも不動産登記法が定めています。昭和の時代に建てた農家住宅や、後から建てた離れ、増築した部分には、この表題登記がされていないものがあります。未登記のまま放置していると、売るときに所有者であることを登記で示せず、買主が住宅ローンを組めません。未登記のペナルティとしては、不動産登記法第47条第1項が、新築した建物の所有権を取得した者に取得の日から1か月以内の表題登記の申請を義務づけ、同法第164条が、正当な理由なくその申請を怠った者を10万円以下の過料に処すると定めています。

2. 未登記建物を壊したら、市区町村にだけ届け出る

法務局に記録が無いのですから、消す記録もありません。この場合に必要なのは、市区町村の資産税の担当課へ家屋の滅失を届け出ることだけです。届出の様式は自治体ごとに違い、解体工事の請負契約書の写しや、更地になった現地の写真を求められることがあります。届出をしないと、家屋課税台帳に残ったまま翌年度も課税されます。

未登記建物と登記済み建物の違い

観点未登記建物を壊した場合登記済み建物を壊した場合
法務局への滅失登記不要(消す記録がないため)申請が必要
市区町村への手続き資産税の担当課へ直接届け出る登記完了後に通知が回る
課税明細書の家屋番号空欄で「未登記」と記載家屋番号が印字されている

3. 登記されているかどうかを確かめる方法

手元の納税通知書の課税明細書に家屋番号が印字されていれば、登記されている可能性が高くなります。家屋番号の欄が空欄で「未登記」と記載されていれば、未登記の家屋です。確実に知りたい場合は、法務局で土地の地番を伝えて、その土地上の建物の登記記録の有無を調べてもらいます。地番は住居表示とは違うので、課税明細書か権利証で確認してください。

4. 滅失登記されていない土地はどうなるのか

記録上、建物の所有者がいる土地として扱われ続けます。土地の売買、担保の設定、分筆を伴う造成のいずれの場面でも、建物の記録の処理を先に求められます。長く放置されると、建物の名義人が数次相続で数十人に増え、誰が申請するかを決めるだけで年単位の時間がかかります。総務省統計局の2023年(令和5年)住宅・土地統計調査では、空き家の総数は約900万戸、そのうち「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は約385万戸と公表されています(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。手入れの止まった家の多くは、いずれ解体と登記の処理に行き着きます。

「未登記建物と滅失登記をしないケースの違い、登記の有無で分かれる」について、そのまま聞けます。

滅失登記を自分で申請する手順、書類を集めてから法務局へ

自宅のダイニングテーブルで、手続きに向けて作業を進める家族

最初にすることは、解体業者に取壊し証明書の発行を頼むことです。工事の直後であれば、こちらから言わなくても一式を渡してくれる業者もいます。

1. 解体業者から取壊し証明書と会社の証明書をもらう

取壊し証明書には、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積、取壊しの年月日、解体した業者の名称と所在地が書かれます。あわせて、その業者の法人の登記事項証明書または代表者の印鑑証明書を添えるのが通例です。工事代金を払うときに一緒に受け取っておくと、後から連絡を取り直す手間が省けます。

書類を紛失した場合や、記載内容に誤りがある場合は、再発行を頼みます。家屋番号が空欄になっていることがよくあるので、登記事項証明書と突き合わせて、所在と家屋番号が一致しているかを先に見てください。

滅失登記を自分で申請する手順

  1. 1

    証明書の受領

    解体業者から取壊し証明書と会社の証明書をもらう

  2. 2

    対象の特定

    建物の登記事項証明書を取り消す対象の所在と家屋番号を見る

  3. 3

    申請書の作成

    建物滅失登記申請書を作り滅失の原因と工事が完了した日を書く

2. 建物の登記事項証明書を取り、消す対象を特定する

法務局の窓口かオンラインで、対象の建物の登記事項証明書を取得します。ここで確認するのは、所在と家屋番号、種類、構造、床面積、そして表題部所有者または所有権の登記名義人です。母屋のほかに物置や車庫が別の建物として登記されていることがあり、その場合はそれぞれについて申請が要ります。一棟だけ消して、付属の建物の記録が残ってしまう取りこぼしが起きやすい箇所です。

抵当権が設定されたまま残っている建物もあります。建物が滅失すれば抵当権も対象を失いますが、記録の処理の順番について法務局の指示を仰いでください。

3. 建物滅失登記申請書を作る

申請書には、登記の目的として建物滅失、申請人の氏名と住所、建物の表示、滅失の原因と年月日を書きます。滅失の原因は「取壊し」、年月日は工事が完了した日です。様式は法務局のウェブサイトに記載例があり、窓口でも用紙をもらえます。手書きでも構いません。

申請人が登記名義人の相続人である場合は、申請人の欄に相続人であることを示し、戸籍を添付します。名義人の住所が登記の記載と現在で違う場合は、住民票の除票や戸籍の附票でつながりを示します。古い登記では、住所が町名の変更前のままになっていることがよくあります。

4. 位置が分かる地図を付け、管轄の法務局に出す

建物の所在地が分かる地図を1枚付けます。市販の住宅地図の写しや、地図のサービスを印刷したものに、対象地を囲んで印を付ける形で足ります。提出先は、その建物の所在地を管轄する法務局または支局・出張所です。管轄が違うと受け付けられないので、法務局のウェブサイトで管轄を確かめてください。

窓口へ持参するほか、郵送でも申請できます。郵送の場合は書留にし、完了後の書類を返してもらうための返信用封筒と切手を同封します。遠方の実家を処分する場合、現地へ行かずに進められる部分がここにあります。行かずに進める手順は「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事に整理しています。

5. 完了の通知を受け取り、記録が閉じたことを確かめる

申請から完了までの日数は、管轄の法務局と時期によって違います。法務局は表示に関する登記の「登記完了予定日」を庁ごとに窓口へ掲示し、ウェブサイトでも公表しているので、申請する前にその日付を確かめてください。おおむね1〜2週間ですが、年度末や連休の前後は申請が集中して予定日が後ろへ動きます。決済日を置くなら、公表されている予定日にさらに1週間ほど足して見ておくと安全です。解体が済んで滅失の登記だけが残っている土地なら、書類を集める数日をその前に積み上げた日が、決済を置けるいちばん早い時期になります。完了すると登記完了証が交付され、建物の登記記録は閉鎖されます。念のため閉鎖された登記事項証明書を1通取って、記録が閉じていることを自分の目で確かめておくと、後で売却の場面で慌てずに済みます。

補正を求められた場合は、電話で連絡が来るのが通常です。書類の不足や記載の食い違いが理由で、指摘に応じて追加すれば処理が進みます。

6. 市区町村の資産税の担当課にも連絡する

滅失登記が完了すれば法務局から市区町村へ通知が回るのが通常ですが、年末に近い時期であれば、自分からも資産税の担当課へ連絡しておくと確実です。1月1日の判定に間に合うかどうかは、市区町村の側で台帳をいつ更新するかにかかっているためです。登記完了証の写しか、閉鎖された登記事項証明書を持って窓口へ行くと、その場で処理されることがあります。

滅失登記を専門家に頼む場合の費用と、頼む相手の選び方

自分で申請すれば登録免許税はかからず、出ていくのは登記事項証明書の手数料と交通費や郵送代だけです。専門家に頼む場合は、その報酬が乗ります。

1. 表示に関する登記は土地家屋調査士の領分

建物の滅失の登記は、登記記録の表題部を扱う「表示に関する登記」です。これを業として代理できるのは土地家屋調査士です。権利に関する登記を扱う司法書士とは分担が分かれており、相続登記と滅失登記をまとめて頼みたい場合は、両者が連携している事務所に相談すると手続きが一度で済みます。

2. 報酬の目安を聞くときに伝えること

見積りを頼むときは、建物の所在と家屋番号、登記名義人が生存しているかどうか、解体業者の書類が手元にあるかどうか、付属建物が別に登記されているかどうかを先に伝えてください。この四点で手間が変わります。名義人が亡くなっていて戸籍の収集から頼む場合は、その分が加算されます。

3. 自分でやるか頼むかの分かれ目

建物が一棟だけで、名義人がご健在で、解体業者の書類が揃っているなら、自分で申請する負担は大きくありません。逆に、付属建物が複数登記されている、名義人が亡くなって数次相続になっている、解体業者が廃業していて上申書が要る、といった条件が重なると、専門家に頼んだ方が結果的に早く終わります。

自分で申請するか専門家に頼むかの境目

観点自分で申請しやすい条件専門家に頼む方が早い条件
建物の数一棟だけ付属建物が複数登記されている
登記名義人の状況存命である亡くなって数次相続になっている
解体業者の書類揃っている廃業していて上申書が要る

4. 売却と並行して進める場合の頼み方

土地を売る日程が決まっているなら、決済日から逆算して申請の時期を決めます。契約前の段階で土地家屋調査士に見込みの日数を聞き、その日数に余裕を足した日を決済日として契約書に書きます。売主の側で手配するか、買主の側で手配するかは契約で決められますが、申請人は滅失した時点の所有者またはその相続人になるため、実印や戸籍の提供は売主が行います。

5. 費用の負担を売買価格に織り込む場合

解体費用や滅失登記の費用を、売主が先に出すか、価格に織り込んで買主の負担とするかは交渉次第です。当社が買う場合、売主さまにご負担いただく費用は一般には、売買契約書の印紙代、抵当権の抹消登記の費用、住所変更登記の費用、相続した物件では相続登記の費用がかかります。ご負担いただく費用は、個別のご案件によります。滅失登記の費用をどちらが持つかは、価格のご提示と一緒にお話しします。

6. 解体そのものをどうするか決まっていない場合

まだ壊していない段階で滅失登記の心配をしているなら、順番が一つ前に戻ります。解体するか現況のまま売るかで、出ていく費用も手取りも変わります。費用の考え方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事に、壊さずに売る場合との比較は「古家は解体するかそのまま売るか」の記事に置いています。

滅失登記をしないまま何年も経った土地を、今から片づける順番

木のテーブルの上に置かれた、使い込まれた万年筆とインク瓶

昔の解体の記録が何も残っていない場合、最初に確かめるのは、その建物がいまも登記記録に残っているかどうかです。すでに職権で処理されていることもあります。

1. 登記記録に残っているかを法務局で調べる

土地の地番を伝えて、その土地の上に建物の登記記録があるかを法務局で調べます。建物が無いことを登記官が確かめて職権で滅失の登記を入れていることや、過去に相続人の誰かが申請していることもあります。市区町村が登記記録を閉じることはできないので、税の請求が止まっているだけでは判断できません。残っていなければ、そこで終わりです。

何年も経った土地を片づける順番

  1. 1

    登記記録の確認

    土地の上に建物の登記記録があるかを法務局で調べる

  2. 2

    課税の確認

    納税通知書の課税明細書に無いはずの家屋が載っているか見る

  3. 3

    証明書の手配

    解体業者が営業しているなら当時の記録から証明書を出してもらう

  4. 4

    法務局への相談

    証明書が取れない場合は上申書と現地の写真を持って相談する

2. 課税されているかを課税明細書で確かめる

手元の納税通知書に付く課税明細書の家屋の欄を見ます。無いはずの家屋が載っていれば、市区町村の台帳にも残っています。載っていなければ、税の側はすでに処理されていて、登記の側だけが残っている状態です。この二つはそれぞれ別に確かめてください。

3. 解体業者の書類が取れるか当たる

工事を頼んだ業者が今も営業しているなら、当時の記録から証明書を出してもらえることがあります。社名を覚えていなくても、工事代金を払った通帳の記録や、当時の見積書が残っていれば手がかりになります。親が手配した工事なら、家の中の古い書類を探す価値があります。

4. 書類が取れない場合は法務局に相談する

業者が廃業していて証明書が取れない場合、申請人が作成する上申書と、建物が現に存在しないことを示す資料で進める取扱いがあります。上申書には、対象の建物の所在と家屋番号、いつ誰の手で取り壊されたか、現在その建物が存在しないこと、取壊し証明書を取得できない事情を書き、申請人が署名して実印を押し、印鑑証明書を添えるよう求められるのが通例です。添付として求められるものは管轄によって違うため、現地の写真と、課税明細書、固定資産の評価証明書などを持って、事前に窓口で相談してください。土地家屋調査士に頼めば、この相談から代わりに進めてもらえます。

5. 相続人が複数いる場合の進め方

相続人のうち一人からの申請で受け付けられるか、添付する戸籍をどこまで求められるかは、「滅失登記をしないと相続の場面で何が増えるか、人数と年月で分かれる」の章に書いたとおり、管轄の法務局の判断によります。申請人を誰にするかは、その回答を聞いてから決めれば足ります。遺産分割協議書と相続人全員の実印が前提になる相続登記と同じ手順を踏まなければ動けないと考えて、話し合いが進まないまま申請にも着手できずにいるご相談があります。ただし、その後に土地を売るなら、土地の権利の整理は別に必要になります。話がまとまらない場合の選択肢は「実家の売却に兄弟が反対」の記事に段階で書いています。

6. 過料の通知が来るかどうかを心配するより先に

期限を過ぎているから今さら申請しても無駄だ、ということはありません。過料の裁判になるかどうかとは切り離して、申請そのものは何年経っていても受け付けられます。むしろ期限を過ぎた後に自ら申請することが、状態を正す唯一の道です。年数が経つほど戸籍も書類も集めにくくなるので、思い出した時点で着手してください。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「滅失登記をしないまま何年も経った土地を、今から片づける順番」について、そのまま聞けます。

滅失登記が済んでいない土地を、当社が買い取る場合の段取り

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「滅失登記が済んでいない土地を、当社が買い取る場合の段取り」について、そのまま聞けます。

滅失登記をしないと起きる3つのこと

  • 期限は解体の完了日から1か月で、怠れば10万円以下の過料の対象です。 不動産登記法第57条が所有者と相続人に申請を義務づけています。期限を過ぎていても、今から申請できます。
  • 無い建物の固定資産税が翌年度も来ます。 1月1日の時点で家屋課税台帳に残っていれば課税されます。取り消してもらうには、解体の完了日を示す資料を資産税の担当課へ出してください。
  • 土地を売る段階で決済が止まります。 買主側の司法書士が実行を見送り、買主が融資を使うなら金融機関が担保を取れません。決済日は登記の完了から逆算して置きます。

建物の登記が残ったままの土地も、更地のままの状態でご相談をお受けします。価格は滅失の登記が済んでいるかどうかでは変わりませんが、決済できる日は変わります。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

滅失登記をしないとどうなるかについて、よくある質問

Q1. 滅失登記は義務ですか

義務です。不動産登記法第57条が、建物が滅失したときは表題部所有者または所有権の登記名義人に対し、滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないと定めています。期限を過ぎてからでも申請は受け付けられ、記録を閉じられます。 申請を怠った場合は10万円以下の過料の定めが置かれています。

Q2. 滅失登記を忘れたらどうなりますか

過料の対象になるほかに、実務では二つの負担が先に来ます。一つは、1月1日に家屋課税台帳に残っていれば、無い建物の固定資産税が翌年度も課されることです。 もう一つが、土地を売るときに買主側の登記と融資が通らず、決済日が動かせなくなることです。気づいた時点で申請すれば、どちらも解消できます。

Q3. 滅失登記されていない土地はどうなるのですか

記録の上では、その土地に建物とその所有者が存在し続けます。売買、抵当権の設定、分筆を伴う造成のいずれの場面でも、建物の記録の処理を先に求められます。 名義人が亡くなったまま年数が経つと、相続人が数次相続で増え、誰が申請するかを決めるだけで年単位の時間がかかります。

Q4. 未登記の建物を壊した場合も、法務局への手続きは要りますか

法務局に建物の登記記録が無いのですから、消す記録もありません。この場合に必要なのは、市区町村の資産税の担当課へ家屋の滅失を届け出ることだけです。 届出をしないと家屋課税台帳に残ったままになり、翌年度も課税されます。様式と添付書類は自治体で違うので、担当課に確認してください。登記されているかどうかは、課税明細書の家屋番号の欄で見当が付きます。

Q5. 未登記のまま放置した場合のペナルティはありますか

建物を新築したときの表題登記についても、不動産登記法第47条第1項が取得の日から1か月以内の申請義務を置き、同法第164条が怠った場合の10万円以下の過料を定めています。期限と過料の額は、不動産登記法第57条が定める滅失の登記と同じです。ただし義務を負う人は違い、表題登記では新築して所有権を取得した人、滅失の登記では表題部所有者または所有権の登記名義人です。 過料より実務で困るのは、未登記の建物は所有者であることを登記で示せないため、売るときに買主が住宅ローンを組めない点です。

Q6. 土地の相続をほったらかしにしておくとどうなりますか

相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が、2024年4月1日から義務になりました。2024年4月1日より前に相続で取得したと知っていた場合も対象で、その期限は2027年3月31日です。期限までに正当な理由なく申請しないと、過料の対象になります。 加えて、放置している間に次の相続が起き、権利者が増えて処分が難しくなります。

当社の見方

更地のご相談をいただいて登記記録を調べると、建物が残っているという例が定期的にあります。多いのは、解体の費用を親の代で払い終えていて、登記だけが手付かずだったという並びです。日程に効いてくるのは棟数で、母屋のほかに物置と車庫が別々に登記されていれば申請は3棟分になり、家屋番号ごとに取壊し証明書が要ります。そのうち車庫の分だけ証明書が見つからず、上申書での対応になって完了が後ろにずれる、という形をよく見ます。棟数の手がかりは課税明細書にもあり、家屋の欄が二行、三行と並んでいるなら、登記も同じ数だけ残っていると見ておく方が安全です。土地の地番を伺えれば登記記録の棟数はこちらで確かめられますので、売る話を始める前にここを見ていただくと、決済日の置き方が早く決まります。

もう一つ多いのが、市区町村への滅失の届出だけを済ませていて、法務局の手続きが残っている形です。税の請求が止まったので全部終わったと受け取られるのですが、この二つは別の役所の別の手続きです。当社としては、価格をお出しする段階でこの点を確かめ、必要なら土地家屋調査士の日程を先に押さえたうえで決済日をお示しします。申請だけが残っている土地では、管轄の法務局が掲示している登記完了予定日をまず確かめ、そこに余裕を見た日を決済日の候補としてお出しします。年度末のように申請が重なる時期は、その余裕を厚めに取ります。登記そのものの代理は当社ではできませんので、申請は売主さまご本人か、ご依頼いただいた土地家屋調査士が行う形になります。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
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この記事の事実確認の方法
法令:地方税法、不動産登記法出典:国土交通省、法務省、総務省統計局
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この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。

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