底地と借地の相談は、他の不動産と性質が違います。当事者が2人いて、どちらも単独では自由に動けないからです。地主の方からは「先代から貸している土地で、地代は年に数万円。売ろうとしたら、この値段では買えないと言われた」。借地人の方からは「建物は自分のものだが土地は借りている。売りたいが地主の承諾が要ると言われて止まっている」。相談の入り口は逆ですが、行き詰まっている理由は同じ構造にあります。 この構造は、法律の側から説明できます。そして地主と借地人では、取りうる出口も変わります。
底地・借地
底地と 借地権の 出口|地主・借地人 それぞれの 立場から 見た 売り方
公開 更新

「地主と借地人の両方が関わるこの土地を、どうすれば手放せるのか」。底地と借地権は分かれていること自体が価値を下げており、出口はどれも2つの権利を1つにまとめる方向にあるので、まず当事者どうしでまとまる形があるかを確かめます。
底地と借地権は、当事者どうしでまとまらなかったときに当社のような業者が単独で買い取ります。当社が入るこの形は、5つの出口の中で金額が最も低くなりやすい出口です。この土地が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(7章)
先にこの土地の買取価格のめどだけ知りたい方へ。
約1分で簡単査定を申し込むこの先は当社の買取窓口「買取くん」です。
底地・借地権とは 何か — ひとつの 土地が 2つに 分かれている 状態
土地を人に貸し、その人が自分の建物を建てて使っている。この状態では、ひとつの土地に対して2つの権利が存在します。
底地は、地主が持っている土地の所有権のうち、貸している状態の部分を指す実務上の呼び方です。所有者は地主ですが、借地人がいる限り、自分で使うことも、更地として売ることもできません。 手元に入るのは地代です。
借地権は、借地人が持っている「建物を所有する目的で土地を使う権利」です。土地の所有者ではありませんが、建物は借地人のものであり、その建物を使い続けるために土地を使う権利が法律で強く守られています。
つまり、更地であれば1つだった価値が、底地と借地権という2つに分かれて、別々の人が持っている状態です。買った人ができることが限られるため、分かれていること自体が売りにくさにつながっています。
底地は地主の権利で地代が入り、借地権は借地人の権利で建物を所有できる
底地と借地権の違い
| 観点 | 底地 | 借地権 |
|---|---|---|
| 権利を持つ人 | 地主 | 借地人 |
| 権利の内容 | 貸している状態の土地の所有権 | 建物を所有する目的で土地を使う権利 |
| 土地の所有者 | 地主 | 地主(借地人ではない) |
| 建物の所有者 | 借地人 | 借地人 |
| 土地の利用・処分 | 自分で使う・更地として売ることは不可 | 建物を使い続ける権利が法律で守られている |
| 手元に入るもの・目的 | 地代 | 建物を使い続けること |
なお本稿は一般的な情報提供であり、個別の法律相談・税務相談ではありません。具体的な判断が必要な場合は、弁護士・司法書士・税理士など、それぞれの専門家にご相談ください。
なぜ、 それぞれ単独では 売りに くいのか
底地は土地を使えず、借地権は土地の所有者になれず、どちらも相手の承諾が必要になる
単独で売りにくい理由
買った人の制限
買った人ができることが限られるためです。
底地の買主の制限
土地を使えず、立ち退きも簡単ではありません。
借地権の買主の制限
土地所有者になれず、融資に慎重な場面もあります。
相手の承諾や協力
相手の承諾や協力が必要な場面が多くなります。
理由は、買った人ができることが限られるからです。
底地を買った人は、その土地を使えません。 建物は借地人のものですから、立ち退いてもらうことは簡単ではありません。入ってくるのは地代だけです。
借地権を買った人も、土地の所有者にはなれません。 地代を払い続ける必要があり、契約の更新や建て替えの場面では地主との協議が必要です。
そして両者に共通するのが、相手の承諾や協力が必要になる場面が多いという点です。第三者に売ろうとしても、買主は「知らない相手と長期の関係に入る」ことになります。この不確実性が、価格を押し下げています。
税の 評価も、 底地と 借地権に 分かれている
相続税・贈与税の評価でも、土地の価値は借地権と底地に分けて評価されます。借地権の評価方法はNo.4611 借地権の評価(国税庁)、貸している側の評価は国税庁の「No.4613 貸宅地の評価」に整理されています。
借地権の価額は、その宅地の自用地(他人の権利の目的になっていない、いわゆる更地)としての価額に借地権割合を掛けて求めます。この割合は借地事情が似ている地域ごとに定められていて、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも閲覧できます。
ここで押さえておきたいのは、税務上の評価額は、相続税や贈与税を計算するための金額だという点です。相続税の計算で使う評価額を見て「底地はこの金額で売れるはずだ」と考えると、市場での提示額との差に驚くことになります。借地権割合は、相続税や贈与税の評価に用いるための割合です。 買主にとっての底地は、前述のとおり「使えない土地」であり、その評価は地代の水準や借地人との関係の安定度に大きく左右されます。
なお、国税庁は評価上、借地権を旧借地法・借地借家法による借地権と、定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権、一時使用目的の借地権の5つに区分しています。定期借地権等は借地権割合を掛ける方法ではなく、借地権者に帰属する経済的利益と存続期間をもとに評価される点が異なります。契約の類型が違えば、税の計算方法そのものが変わるとご理解ください。
「底地・借地権とは何か — ひとつの土地が2つに分かれている状態」について、そのまま聞けます。
借地権を 守る 仕組みと、 地代・更新料・承諾料
借地の実務を理解するうえで避けて通れないのが、借地人の保護の仕組みです。根拠となる条文は借地借家法(e-Gov法令検索)で確認できますので、以下は該当する条番号を挙げながら整理します。
1. 4つの 保護
借地借家法により存続期間や更新の保護、対抗力、建物買取請求権が定められている
借地人を保護する4つの仕組み
| 仕組み | 根拠条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 存続期間 | 3条 | 存続期間は30年。合意だけで自由に短くできない。 |
| 更新の保護 | 6条 | 地主が更新を拒むには正当の事由が必要。 |
| 対抗力 | 10条1項 | 建物登記があれば第三者にも主張できる。 |
| 建物買取請求権 | 13条1項 | 更新がない場合、建物を時価で買い取るよう請求できる。 |
第一に、存続期間が法律で定められています(3条)。 建物を所有する目的で土地を借りる契約の存続期間は30年とされ、契約でこれより長い期間を定めたときはその期間によるとされています。逆に、契約で定めた期間が法律の定める下限より短い場合は、法律の定めのほうが適用されます。当事者の合意だけで自由に短くできるものではありません。
第二に、更新について強い保護があります(6条)。 期間が満了しても、借地人が更新を求め、建物がある場合には、地主が更新を拒むには正当の事由が必要とされています。6条は、地主と借地人がそれぞれ土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、地主が明渡しと引き換えに財産上の給付をする旨の申出をした場合のその申出を考慮して、正当の事由があるかを見ると定めています。「期限が来たから返してもらう」という単純な話にはなりません。
第三に、対抗力があります(10条1項)。 借地権は登記がなくても、その土地の上に借地人が登記されている建物を所有しているときは、第三者に対しても主張できるとされています。土地が売られて所有者が替わっても、借地人の立場は続きます。
第四に、建物買取請求権という仕組みがあります(13条1項)。 契約の更新がなく借地権が消滅した場合に、借地人が地主に対して建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るよう請求できるという趣旨の規定です。
なお、借地借家法は平成3年10月に公布され、翌平成4年8月に施行されました。このとき、更新のない定期借地権という類型が設けられています。ご自身の借地がどの類型かは、契約書の日付と内容で決まります。古い契約は、更新などの場面で旧借地法の扱いが続くため、契約書は必ず探してください。
2. 地主には 制約に なる
以上の保護は、借地人の生活の基盤を守るために置かれているものです。同時に、地主から見れば「貸した土地は簡単には戻ってこない」という制約として働きます。
3. 地代・更新料・承諾料の 位置づけ
地代は継続的な対価であり、更新料や承諾料は契約や慣行によって発生する一時金である
地代・更新料・承諾料の位置づけ
| 項目 | 位置づけ | 注意点 |
|---|---|---|
| 地代 | 土地を使う対価として継続的に支払う | 増減額請求は可能だが裁判になると時間と費用がかかる。 |
| 更新料 | 契約更新の際に支払う一時金 | 法律上当然には発生しない。契約書の確認が必要。 |
| 承諾料 | 第三者への譲渡等で承諾を得る対価 | 承諾が得られない場合は裁判所に許可を求める手続がある。 |
実務で金額の話になるのが、次の3つです。
地代は、土地を使う対価として継続的に支払われるものです。借地借家法11条は、地代が租税等の負担の増減や土地価格の変動、近傍類似の土地の地代との比較によって不相当となったときに、当事者が将来に向かって地代の増減額を請求できる旨を定めています(地代増減額請求)。増額を求めること自体は可能とされていますが、協議が調わない場合は、最終的に裁判で地代の額が決まることになります。
更新料については、思い込みで判断せず、契約書にどう書かれているかを確認するのが出発点です。
承諾料(名義書換料)が話に出るのは、借地権を第三者へ譲渡する場合などに、地主の承諾が問題になる場面です。民法第612条は、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡すことができないと定めています。土地の賃借権である借地権を、借地上の建物と一緒に第三者へ譲渡する場合も、地主の承諾が必要になります。承諾が得られない場合には、借地借家法19条1項により、借地人が裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求める手続が用意されています(借地権の譲渡又は転貸の許可)。同条は、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、裁判所がその許可を財産上の給付に係らしめることができるとしています。東京地方裁判所の借地非訟の案内でも、裁判所が鑑定委員会に承諾料額などについて意見を求める流れが説明されています。なお、増改築を禁じる特約がある場合の増改築の許可は借地借家法17条2項に別に置かれています。制度としての出口はありますが、裁判所の審問や鑑定委員会の意見を経る手続です。 東京地方裁判所の案内では、多くの事件は概ね1年以内に終わるとされています。
4. 承諾に 代わる 許可と 介入権
19条1項の手続を「借地人が一方的に有利になる制度」と理解している方がいますが、条文はそうなっていません。同条3項は、1項の申立てがあった場合に、裁判所が定める期間内に借地権設定者(地主)が自ら建物の譲渡と賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てたときは、裁判所が相当の対価を定めてこれを命ずることができると定めています。 実務でいう介入権です。借地人が裁判所に持ち込んだ結果、第三者ではなく地主が買主になる、という決着があり得るということです。
しかも、3項の裁判があった後は、当事者の合意がなければ1項・3項いずれの申立ても取り下げられません(同条5項)。 「まず申し立ててみて、様子を見て引っ込める」という使い方はできない設計です。加えて、裁判所は特に必要がないと認める場合を除き、裁判の前に鑑定委員会の意見を聴かなければならないとされています(同条6項)。時間がかかると申し上げているのは、この手続が挟まるためです。
一方で、17条から19条までの規定に反する特約で借地権者または転借地権者に不利なものは無効とされています(21条)。古い契約書を読んで「うちは申し立てられない契約になっている」と諦めてしまう前に、条文を確認してください。
競売がからむ場合も別に手当てがあります。第三者が借地上の建物を競売または公売により取得した場合には、その第三者自身が裁判所に承諾に代わる許可を申し立てられます(20条1項)。ただしこの申立てには、建物の代金を支払った後2ヶ月以内という期限があります(同条3項)。 期限を過ぎると、この経路は使えません。また、借地上の建物を取得した第三者は、地主が譲渡・転貸を承諾しない場合に、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るよう地主に請求できるとされています(14条)。いずれも借地借家法の条文どおりの制度です。
借地人が承諾に代わる許可を申し立てると、地主が自ら買い受けられ、その裁判の後は当事者の合意がなければ取り下げられない
承諾に代わる許可と、地主の介入権
- 1
借地人が申し立てる
地主が譲渡を承諾しないとき、裁判所に承諾に代わる許可を求める(19条1項)
- 2
地主が買い受けを申し立てる
裁判所が定める期間内なら、地主が自ら建物と賃借権の譲渡を受けられる(同条3項)
- 3
鑑定委員会の意見
特に必要がないと認める場合を除き、裁判の前に意見を聴く(同条6項)
- 4
相当の対価で地主へ
3項の裁判の後は、当事者の合意がなければ取り下げられない(同条5項)
底地と 借地権の 5つの 出口と 順番
地主や借地人による買取、同時売却、等価交換、専門業者への単独売却という方法がある
底地・借地権の5つの出口
地主が借地権を買い取る
土地を完全な所有権に戻し資産価値を回復します。
借地人が底地を買い取る
地代の支払いや建て替え時の協議が不要になります。
協力して第三者に売る
底地と借地権を同時に売却し代金を配分します。
土地を分ける
土地を分割し一部を完全所有とする方法です。
単独で専門の買主に売る
相手の同意を待たずに自分だけが先に清算できます。
底地・借地の問題を解く方法は、実務上ほぼ次の5つに整理できます。どれも「2つに分かれた権利を、1つにまとめる」方向を向いている点が共通しています。
1. 地主が 借地権を 買い取る
地主が借地人から借地権を買い、土地を完全な所有権に戻します。更地または通常の不動産として流通する状態に戻ります。借地人が高齢で建物の維持が難しくなっている、相続を機に手放したいと考えている、といった場面で成立します。
2. 借地人が 底地を 買い取る
借地人が地主から底地を買い、土地の所有者になります。借地人にとっては、地代の支払いも、建て替えや譲渡のたびの協議も不要になります。地主にとっても、収益性の低い底地を現金化できます。
3. 地主と 借地人が 協力して、 第三者に まとめて 売る
底地と借地権を同時に売却し、代金を配分します。買主は、底地と借地権がまとまった完全な所有権を取得できます。 配分の割合をどう決めるかが交渉の中心になります。
進め方は、底地と借地権をセットにして1つの土地として販売する形です。売主が2人になりますので、①販売価格 ②代金の配分の割合 ③どちらかが途中で降りたときの扱いの3点を決めてから買主を探します。契約と決済は同じ日に行い、底地と借地権が同時に買主へ移る形にします。片方だけが先に売れると、残された側は単独の権利だけが残り、はじめの条件では売れません。
配分でもめやすいのは、借地権割合をそのまま配分の割合に使えるかです。税の評価の割合は、相続税や贈与税の評価に用いるための数字です。
同時売却で注意したいポイントは、ほかに2つあります。1つは税金です。地主と借地人はそれぞれ売主になるため、譲渡所得もそれぞれが自分の分を、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します(No.3202(国税庁))。もう1つは名義です。どちらかの名義が亡くなった方のままだと、その側の権利を買主へ移せませんので、先に双方の名義を確かめてください。
4. 等価交換のように、 土地を 分ける
借地の対象となっている土地を分割し、一部を地主の完全所有、残りを借地人の完全所有とする方法です。土地の面積と形状に余裕がある場合に成立します。
5. 底地または 借地権を、 それぞれ単独で 専門の 買主に 売る
相手が交渉に応じない、連絡が取れない、感情的な対立があるという場合の道です。専門の買主が、底地または借地権だけを買い取る形です。 底地であれば、相手の同意を待たずに自分だけが先に清算できるという点が、この出口の特徴です。借地権の場合は、民法第612条による地主の承諾か、借地借家法19条1項による裁判所の許可が前提になります。
順序としては、出口1〜4を先に検討してください。出口5は、それが成立しないときの手段です。
底地の側から見ると、売却方法は「誰に売るか」で4つに分かれます。 ①借地人に売る(出口2)②借地人と組んで第三者に売る(出口3)③底地だけを専門の買主に売る(出口5)④土地を分けてから自分の取り分を売る(出口4のあと)。①は買い手が借地人に決まっており、②は1つの土地として売ることになり、③は相手の同意が要らず、④は分けられる広さと形が条件です。選び方は、相手と話せるかと、いつ現金が要るかで決まります。
「底地と借地権の5つの出口と順番」について、そのまま聞けます。
底地・借地権の 交渉と 相続の 前に 整える こと

事実関係の資料を揃え、金額の目安を持ち、いつまでに決めるか期限を設定する
交渉を始める前に整えておくこと
事実関係の資料を揃える
契約書や登記事項証明書などの資料を揃えます。
金額の目安を先に持つ
査定という形で第三者の数字をひとつ置きます。
期限を決める
合意できなければ別の手段を検討する線を引きます。
単独売却の金額の把握
単独での売却でいくらになるかあらかじめ把握します。
出口1〜4はいずれも相手との交渉です。交渉に入る前に、次の3つを整えておくと、話が進む確率が大きく変わります。
1. 事実関係の 資料を 揃える
契約書、地代の授受の記録、過去に交わした承諾書や覚書、建物の登記事項証明書、土地の公図と測量図。相手も同じ資料を持っているとは限りません。 資料が揃っている側が、協議の土台を提示できます。逆に、双方が記憶だけで話すと、事実の食い違いから議論が始まってしまい、本題に入る前に消耗します。
2. 金額の 目安を 先に 持つ
「いくらなら買うか」「いくらなら売るか」を、双方が持たないまま話し始めると、金額の応酬だけが続きます。査定という形で第三者の数字をひとつ置くと、議論の対象が「金額そのもの」から「その数字をどう評価するか」に移ります。 これは実務上、非常に大きな違いです。
3. 期限を 決める
底地・借地の交渉は、決めなければ何年でも続きます。地主にとっては地代収入があり、借地人にとっては住み続けられているため、どちらにも「今日決めなければならない理由」がありません。 だからこそ、自分の側で「この時期までに合意できなければ別の手段を検討する」という線を先に引いてください。線を引かないまま始めると、次の相続まで持ち越されます。
そして交渉が動かなかった場合に備えて、出口5(単独での売却)でいくらになるのかも、あらかじめ把握しておいてください。 代替案の金額を知っている人と、知らない人とでは、交渉で受け入れられる条件の判断が変わります。
4. 相続で 受け継いだとき
相続の場面で問題が表に出やすいのは、先代の口約束や、書面のない慣行の上に成り立っていた関係が、代替わりで途切れることがあるからです。
まず確認していただきたいのが次の3点です。契約書は存在するか。地代はいくらで、いつから変わっていないか。建物の登記はどうなっているか。
そして、相続登記の申請は義務です。 2024年(令和6年)4月1日に始まり、取得を知った日から3年が期限になります。制度が始まる前から名義が止まっている不動産も対象で、こちらは2027年(令和9年)3月31日が締切です(相続登記の申請義務化について(法務省))。 名義が亡くなった方のままでは、底地なら買主へ所有権を移せず、借地権なら借地上の建物の名義を買主へ移せません。相続人が複数で意思決定が止まっている場合は、共有持分の売却の考え方も併せてご確認ください。相続放棄を検討している段階であれば、相続放棄と管理義務を先にお読みください。
借地上の建物が空き家になっている場合は、地代を払い続けながら使っていないという最も不利な状態です。保有コストと放置のリスクについては、空き家の買取と放置リスクに整理しています。
5. 借地権の 種類を 確かめる
もう一点、相続の場面で必ず確認していただきたいのが、借地権の種類です。実務では次の3つを区別します。
借地借家法の施行前に設定された借地権。 平成4年8月の施行より前(平成4年7月31日以前)に設定された借地権にも、借地借家法の附則第4条により、現在の借地借家法が適用されるのが原則です(旧借地法などで生じた効力は妨げられません)。そのうえで例外として、附則第5条から第7条により、建物の朽廃による借地権の消滅、契約の更新、建物を建て直したときの期間の延長については、「なお従前の例による」とされ、旧借地法の扱いが続きます。 更新や建て直しの場面では扱いが現行法と異なりますので、現行法の解説だけを読んで判断すると誤ります。
現行の借地借家法による普通借地権。 平成4年8月の施行以降に設定されたもので、更新のある類型です。附則第11条は、更新後の建物の再築の許可(18条)を施行前に設定された借地権には適用しないと定めており、東京地方裁判所の借地非訟の案内も、この申立ては「平成4年8月1日以降に設定された借地権についてのみ適用されます」と説明しています。
定期借地権。 同じく平成4年8月の施行で設けられた類型で、契約期間の満了により更新なく終了するものです。事業用や一般定期借地など複数の型があり、契約の方式にも定めがあります。
この3つのどれに当たるかで、価格の考え方も、出口の作り方も変わります。 資料はできる限り集めてご相談ください。
「底地・借地権の交渉と相続の前に整えること」について、そのまま聞けます。
底地・借地権を 当社に 売る 場合
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「底地・借地権を当社に売る場合」について、そのまま聞けます。
底地と 借地権、 出口は 当たる 順番で 金額が 変わる

- ひとつの土地の価値が底地と借地権に分かれています。どちらも単独では買った人にできることが限られるため、市場では売りにくい資産です。
- 借地人は借地借家法によって強く保護されており、存続期間(3条)・更新の正当事由(6条)・建物登記による対抗力(10条)・建物買取請求権(13条)という仕組みが働きます。地代の増減額請求は11条、譲渡・転貸や増改築について地主の承諾に代わる裁判所の許可は19条・17条です。地主から見れば、それがそのまま制約になります。
- 出口は5つあり、まず当事者どうしでまとまる形(出口1〜4)を検討します。 相手と話がまとまらないときの手段が、単独売却(出口5)です。順序を飛ばさないでください。
査定は無料で、売却の義務はありません。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
底地・借地権の 売却で、 よく 出る 質問
底地は借地人の承諾なしに売却でき、借地権の譲渡で承諾が得られない場合は裁判所の手続がある
借地人の承諾なしに底地を売れるか
売れます。底地の処分に借地人の承諾は必要ありません。
- 借地人の権利は買主に引き継がれる
- 買主が地主の立場を承継する
- 売却前後の連絡は法律上の要件ではない
Q1. 借地人の 承諾なしに、 底地を 売れますか
売れます。民法第206条は、所有者が法令の範囲内であれば、自分の物を自由に使い、そこから収益を得て、手放すこともできると定めています。底地は地主が所有している土地ですので、売ること自体は所有者の権利です。 ただし、借地人の権利は買主に引き継がれます。借地借家法10条1項により、借地人が登記された建物を持っていれば、借地権を新しい所有者にも主張できます。また民法第605条の2により、対抗要件を備えた賃貸借の目的である不動産が譲渡されたときは、賃貸人の地位は譲受人に移転します。以後は買主が借地人と向き合うことになります。売却の前後で、借地人へ丁寧に連絡することはお勧めします。
Q2. 地主が 承諾してくれません。 借地権は 売れないのですか
借地権の第三者への譲渡には、民法第612条により地主の承諾が必要ですが、承諾が得られない場合には、借地借家法19条1項に基づいて、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求める手続が用意されています。 許可されるかどうか、また財産上の給付(承諾料に相当するもの)の額がいくらになるかは裁判所の判断によりますが、制度としての出口はあります。ただし裁判所の手続を経ることになりますので、まずは地主との協議、あるいは地主自身に買い取ってもらう方向(出口1)を検討することをお勧めします。
Q3. 地代が 安すぎます。 上げられますか
借地借家法11条1項の地代増減額請求として、増額を求めること自体は可能とされています。ただし、協議が調わない場合は、最終的に裁判で地代の額が決まることになります。 同条は、増額について協議が調わない間、借地人は相当と認める額の地代を支払えば足り、裁判が確定した時点で差額を年1割の利息を付して精算する旨も定めています。増額の交渉に何年かけるかを、売却した場合の金額と並べて考えてください。
Q4. 底地と 借地権を 足せば、 更地の 値段に なりますか
足し算どおりになるとは限りません。税の評価では、更地としての価額に借地権割合を掛けた額を借地権とし、残りを底地としますが、この割合は相続税・贈与税の評価に用いるためのもので、買主が支払う金額を決めるものではありません。 ただし、地主と借地人が協力して同時に第三者へ売る場合(出口3)は、買主が完全な所有権を得られます。協力できるかどうかが、出口の選び方を左右します。
Q5. 借地上の 建物が 古く、 建て 替えたいのですが、 できますか
借地契約に増改築を制限する特約がある場合、建て替えには地主の承諾が必要とされています。承諾が得られないときは、借地借家法17条2項により、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求めることができます。許可の可否や条件は裁判所の判断によりますので結果を約束することはできませんが、制度としての道はあります。ただし、着工してから問題になると被害が大きくなります。 計画の段階で契約書を確認し、必要であれば先に協議してください。建て替えの費用と、借地権を売却した場合の金額を並べて比較することもお勧めします。
Q6. 相続した 底地の 相続税評価額より、 提示された 買取価格が 低いのは なぜですか
評価額は税額を計算するための基準であり、買主が支払う金額を保証するものではありません。 底地の場合、買主が得られるのは地代収入であり、その水準が低ければ、そこから逆算される金額も低くなります。金額の根拠の説明を受けたうえで、持ち続けた場合の年間の手残りと比べてご判断ください。
Q7. 査定を 頼んだら 必ず 売らなければいけませんか
その必要はありません。当社の査定は無料で、売却の義務はありません。金額は、相手方と話すときの土台になります。
当社の 見方
当社は、底地と借地権のどちらも買主として買い取っています。当社では買い取れない、あるいはいまは手放さないほうがよいと考えたときは、その見立てを率直にお伝えしています。査定は無料で、査定を受けたからといって売る義務が生じることはありません。現地を見てからお示しした金額を、あとになって理由もなく下げることはしません。価格をお示しするまではご相談から30分ほどが目安で、契約までは1〜2週間、引き渡しは早ければ2週間以内、代金は引き渡しの日にお支払いします。2025年に当社が買い取った件数は200〜300件で、土地がどの都道府県にあってもご相談いただけます。売る時期をご自身で決められることに値打ちがあるかどうかで、お選びください。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
藤山 大二郎株式会社リアテクス 代表取締役CEO著書『大家なら!今すぐ不動産業を開業しよう! 不動産投資家から起業家へ』(スタンダーズ)で、大家業から不動産業へ踏み出す道筋を書きました。- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。この記事は監修者本人が内容を確認しています(2026年10月3日)。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:借地借家法出典:国税庁、法務省
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(8件・に確認)
- laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090
- nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4611.htm
- nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4613.htm
- nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
- moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
- laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000104.html
- courts.go.jp/tokyo/saiban/minji-section22/minji-section22-mokuji-1/index.html
更新履歴
- 第2版当社が単独で買い取る形の位置づけ(5つの出口の中で金額が最も低くなりやすいこと)を明記し、概要と冒頭の要点を直しました。
- 第1版公開

























