転勤の辞令が出てから引っ越しの日までに決めるのは、貸すか売るかという二択よりも前のことです。その二択に入れる状態かどうかを確かめます。相続して住み始めた実家であれば、見るのは3つです。登記の名義が親のままになっていないか、住宅ローンの契約にどんな条項が入っているか、何年後に戻る見込みがあるのか。この3つで、選べる道が先に絞られます。貸す道は、契約の形を選び違えると、戻ってきたときに自分の家へ住めません。売る道は、住まなくなってからの年数で使える控除が変わります。相続した家では、人に貸した時点で消える特例もあります。
空き家
転勤で 家を 貸すか 売るか |5年の 手取りで 比べる
公開 更新

「相続して住み始めた実家を、転勤で空けることになった」。戻る時期が決まっているなら定期借家で貸す道が残り、決まっていないなら、空室と修繕と管理の費用を引いた5年分の家賃が、いま売った手取りを上回るかどうかで決まります。
当社は買主として直接買い取ります。賃貸中のままでも買える家はありますが、借主の退去を前提にした価格は出せず、残債が提示額を上回る場合は金融機関の同意が要ります。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(12章)
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転勤で 家を 貸すか 売るかの 前に、 確定している 3つの 条件
貸すか売るかを選ぶ前に、3つが選べる道の幅を先に決めています。登記の名義、住宅ローンの契約、戻る時期の見込みです。
この3つのうち、名義とローンは他人の確認が要るため、自分の気持ちだけでは動きません。戻る時期だけは自分で仮に置ける数字です。ここを「未定」のままにすると、貸す契約の形も、売る時期も決められなくなります。順番としては、書類で分かることから先に確かめてください。
名義が 親の ままなら、 貸すことも 売る ことも その 名義では 進まない
相続した実家に住んでいる方のうち、登記まで終えている方と、遺産分割の話し合いだけで止まっている方がいます。固定資産税の納税通知書が自分に届いていても、それは市区町村が現に所有している相続人へ宛てているだけです。登記の名義が自分に移っている証拠にはなりません。登記事項証明書を取れば、所有者の欄に誰の名前が載っているかはその日のうちに分かります。
名義が亡くなった親のままの家は、売買の当事者を確定できないため、決済の日に所有権を買主へ移せません。賃貸に出す場合、相続人の一人として貸すこと自体は不可能ではありません。ただ、賃料を誰が受け取り、修繕の費用を誰が出すのかは決めておく必要があります。決まらないまま年を越すと、転勤先から精算の話をし続けることになります。
転勤先から相続登記に着手すると、戸籍を取り寄せるのも司法書士と打ち合わせるのも郵送とオンラインになります。手をつけるまでの日数は、近くに住んでいたときより延びます。この登記は2024年4月1日から申請が義務となりました。期限は、不動産を相続で取得したと知った日から3年です。施行日より前に相続が起きていて、取得をすでに知っていた方も対象になります。その場合の期限は2027年3月31日です。必要な書類の範囲と手続きの流れは、法務省のページで確かめられます(相続登記の申請義務化について(法務省))。
名義を動かさないまま年数が過ぎると、次の相続が重なって当事者が増えていきます。その先で何が起きるかは「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事に段階を追って書いています。
登記の名義と住宅ローンの契約、戻る時期の見込みを先に決める
貸すか売るかの前に確定させる条件
登記名義の確認
登記事項証明書を取れば所有者はその日のうちに分かる
売る場合の影響
名義が親のままだと決済日に所有権を買主へ移せない
貸す場合の影響
賃料の受取や修繕費の負担者を決めておく必要がある
相続登記の期限
不動産を相続で取得したと知った日から3年以内
住宅ローンが ある 家は、 転勤を 伝える 条件が 契約書に 書かれている
住宅ローンは、借りた本人か家族がその家に住むことを前提にした融資です。転勤で住まなくなる場合にどう扱うかは、金融機関によって対応が分かれます。留守を守る家族が残るなら、従来どおり返済を続けられることが多いです。家族ごと転居して空き家になる場合や、人に貸す場合は、事前の連絡と承諾を求める定めが置かれているのが通例です。
確かめるのは、金銭消費貸借契約書の中の、居住に関する条項と、用途を変えるときの通知の定めです。黙って賃貸に出すと、契約の違反として一括の返済を求められる可能性が残ります。転勤の辞令が出た時点で、借入先の窓口に連絡してください。留守宅としてそのまま返済を続けられるのか、一定の期間に限って賃貸の承諾が得られるのか、それとも投資用の融資へ切り替える話になるのか。この3つのどれにあたるかを聞きます。
売る場合は、決済の日に売買代金でローンを完済し、抵当権の抹消登記を同じ日に行う段取りになります。残債の額と、完済の申し出から書類が届くまでの日数は、金融機関に聞けばその場で分かります。売買代金が残債を下回る場合は、不足分を自分で用意するか、金融機関の同意を得たうえで進める形になります。転勤までの日数が短いほど、早く確かめる必要があります。
戻る 時期を 「何年後」と 置けるか どうかで、 残る 道が 変わる
会社の辞令に戻る時期が書かれていることは多くありません。それでも、過去の同じ部署の方が何年で戻っているかは聞けます。社宅や借上げの制度が何年まで使えるかも分かります。これを聞けば、見込みの年数を仮に置けます。この年数がないと、貸す契約の期間を決められず、売る場合の控除の期限とも突き合わせられません。
3年以内に戻る見込みが立つなら、期間を決めて貸し、戻るときに明け渡してもらう形が候補に残ります。5年以上か、戻るかどうか自体が分からないなら、空室と修繕を抱えたまま遠方から管理し続ける年数が読めません。その場合は、売る側の数字を先に取る価値が出てきます。転勤が決まるたびに延長される可能性のある勤務地であれば、戻れない前提で考えた方が、後から慌てずに済みます。
相続で取得したと知った日から3年以内に登記の申請が必要になる
相続登記の義務化と申請の期限
2024年4月1日
相続登記の申請が義務化
この日から相続登記の手続きが法的に義務となる
取得を知った日から3年
原則の申請期限
不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に申請する
2027年3月31日
過去の相続の申請期限
施行日より前に取得を知っていた場合の期限
転勤で 家を 空けた 日から 毎年 出ていく 費用と、 変わる 契約
人が住まなくなった家でも、固定資産税、火災保険、ライフラインの基本料金、管理の費用は毎年出ていきます。空き家にすると条件そのものが変わる契約もあります。

出ていく額は、貸す場合と空けたままにする場合で中身が違います。貸せば家賃で埋められる費目も、借り手が決まるまでは自分の口座から出ていきます。転勤先の家賃と二重になる期間がどれくらい続くのかを、先に1年分の金額として出してください。
固定資産税は 住宅用地の 特例で 抑えられた 金額に なっている
毎年届く納税通知書の金額は、土地の上に住宅として使える家屋が建っていることを前提に軽減された後の数字です。地方税法第349条の3の2が、住宅用地の課税標準を定めています。200平方メートル以下の部分は価格の6分の1、これを超える部分は3分の1です。都市計画税の側にも、同じ考え方の軽減が置かれています。割合は200平方メートル以下が3分の1、それを超える部分が3分の2です(地方税法(e-Gov法令検索))。
人が住まなくなっても、住宅として使える家屋が建っているかぎりこの軽減は続きます。貸した場合も、自分が離れて空き家にした場合も、土地の税額はそのままです。軽減が外れるのは、建物を取り壊して1月1日を迎えた場合と、市町村から勧告を受けたまま1月1日を迎えた場合です。どちらも、手入れをしない年が続いた先に出てくる話になります。
転勤先から見ると、この税額は何もしなくても毎年引き落とされる固定の支出です。貸す道を選ぶなら、家賃から出す費用として扱います。売る道を選ぶなら、売るまでの月数だけ負担する費用です。どちらも同じ表に入れてください。
200平方メートル以下の部分は6分の1、超える部分は3分の1になる
住宅用地の特例による課税標準の軽減
| 税の種類 | 200平方メートル以下 | 200平方メートル超 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 都市計画税 | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
火災保険は、 人が 住まなくなると 引受けの 区分が 変わる ことが ある
火災保険は、建物の使われ方によって区分が分かれます。自分が住んでいる家は、住宅物件として契約しています。誰も住まない状態が続くと、一般物件として扱われます。保険料が上がったり、契約の継続そのものを断られたりすることがあります。人に貸して入居者が住んでいる状態であれば、住宅物件のまま続けられる場合が多いです。この点だけを見れば、貸す道は空けたままにする道より条件が緩やかです。
転勤で家を空けるときは、まず保険証券を出して満期日と補償の範囲を確かめます。そのうえで、「人が住まなくなる」「人に貸す」のどちらになるかを代理店に伝えます。伝えないまま空き家の期間に火災や水濡れが起きると、契約の前提と実際の使われ方が食い違います。支払いで揉める余地が残ります。引受けの条件と、断られたときにどうするかは「空き家に火災保険はかけられるか」の記事に書いています。
通水・ 通電・ 郵便・草木は、 遠方からだと 費用に 変わる
近所に住んでいれば自分でできることが、転勤で離れた瞬間に費用に変わります。水道を止めれば基本料金は減りますが、排水管の封水が蒸発して臭いが上がり、室内の傷みが早まります。電気を止めると、内覧のときに室内を見てもらえる時間が日中に限られます。売り出しの機会そのものが減ります。
郵便物は転送の届けを出しても一定期間で元に戻り、その後は実家の郵便受けに溜まります。溜まった郵便は、外から見て人が住んでいないことを知らせる合図になります。庭木は1年で道路や隣家へ届く高さまで伸びます。放置した年数の分だけ、伐採を頼むときの単価が上がります。
これらを誰かに頼むなら、草刈りと見回りを年に何回入れるかを決めます。1回あたりの金額を掛けて、年額を出してください。自分で戻って片づけるなら、往復の交通費と宿泊費を年に何回分と置きます。年に2回の帰省で済ませるつもりでも、入居者からの連絡や内覧の立会いが入れば回数は増えます。
「転勤で家を空けた日から毎年出ていく費用と、変わる契約」について、そのまま聞けます。
転勤中に 家を 貸す道で、 手取りを 削る 4つの 条件
貸して残るのは家賃の満額ではありません。貸す前の修繕、借り手が決まらない月、管理に払う費用、そして戻るときの契約の形が手取りを削ります。
この4つのうち、金額として読みにくいのは空室の月数で、戻れるかどうかを左右するのは契約の形です。家賃の見込み額だけを見て判断すると、最初の修繕費と最後の明渡しの2か所で想定が崩れます。
1. 貸し出す前の 原状回復と 設備の 更新で、 先に 現金が 出る
自分が住んでいた状態のままで貸せる家は多くありません。借り手が付く水準にするには、壁紙の張り替え、畳の表替え、水回りのクリーニング、給湯器やエアコンの更新が要ります。これらの費用は、入居者が決まる前に出ていきます。築年数が進んだ家ほど、設備の寿命が重なって同じ年にまとめて出る傾向があります。
ここで出した費用は、貸す期間が短いほど回収できません。2年で戻ることになれば、家賃から回収できるのは一部です。逆に、設備を直さずに安い家賃で募集すると、入居中の故障の修理をその都度負担することになります。遠方からは、業者の手配にも時間がかかります。
貸すと決める前に、賃貸の仲介会社に室内を見てもらいます。この家をこの家賃で募集するには何を直す必要があるかを、費目ごとの金額で出してもらってください。その合計が、貸す道の初期費用です。
2. 借り手が 決まらない 月数と、 募集で 下げる 条件
賃貸の収入は、家賃の月額に貸せた月数を掛けた額です。募集を始めてから入居までの空白と、退去から次の入居までの空白が、そのまま収入から落ちます。駅からの距離、間取り、築年数、駐車場の有無で、この空白の長さは変わります。
借り手が決まらないときに取る手は、家賃を下げるか、条件を緩めるかのどちらかです。礼金をなくす、フリーレントの月を付ける、ペットや楽器を認める。どれも募集の間口を広げますが、戻ってきたときの室内の状態に跳ね返る選択でもあります。
募集中の家賃は、実際に決まった家賃とは違います。賃貸の仲介会社には、近隣で直近に成約した家賃と、その部屋が決まるまでにかかった日数を聞いてください。この2つの数字がないと、5年分の家賃の見込みは絵に描いた数字のままになります。
貸す道で手取りを削る主な条件:貸す前の出費・期間と回収の分かれ目・直さずに貸す場合
貸す道で手取りを削る主な条件
貸す前の出費
壁紙や給湯器などの更新費用が借り手が決まる前に出る
期間と回収の分かれ目
2年で戻るなど貸す期間が短いと費用を回収しきれない
直さずに貸す場合
安い家賃にしても入居中の修理負担がその都度発生する
事前の見積もり
仲介会社に費目ごとの初期費用を出してもらう
3. 管理会社に 払う 費用と、 毎年の 確定申告の 手間
転勤先から直接入居者とやりとりするのは現実的ではありません。家賃の集金、滞納の督促、設備の故障の受付、退去の立会いは、管理会社に任せるのが一般的です。委託の費用は家賃に連動する形で決められることが多く、契約ごとに割合も範囲も違います。見積もりの段階で、どこまでが委託の範囲で、どこからが別料金かを書面で確かめてください。
家賃収入は不動産所得として、翌年の確定申告の対象になります。給与から源泉徴収されている方でも、不動産所得が出れば申告が必要になる場合があります。必要経費に入れられるのは、固定資産税、火災保険料、管理の費用、修繕費、減価償却費などです。帳簿と領収書を転勤先で保管する手間が、毎年続きます。
入居者が住んだまま売ることもできます。その場合は買主が投資として買う物件になり、価格の決まり方が自分で住む人に売る場合とは変わります。入居者がいる状態での売り方は「収益物件をオーナーチェンジで売却」の記事に段取りを書いています。
4. 普通借家で 貸すと、 戻る ときに 明け渡して もらえない
転勤から戻る前提で貸す場合に、いちばん大きく効くのが契約の形です。期間を2年と定めた通常の建物賃貸借は、期間が満了しても自動的に終わりません。貸主から更新を拒むには、期間満了の1年前から6か月前までのあいだに通知する必要があります。そのうえで、正当の事由があると認められなければなりません。この事由は、双方がその建物を使う必要性、これまでの経過、建物の現況、立退料の申し出などを総合して判断されます。借地借家法第26条と第28条がこの仕組みを定めています。
これに対し、同じ法律の第38条は、更新がない契約として定期建物賃貸借を定めています。契約は書面(電磁的記録を含みます)で結びます。更新がなく期間の満了で終了することは、契約書とは別の書面であらかじめ説明する必要があります。この説明を欠くと、更新がないという定めそのものが無効になります。通常の契約と同じ扱いです(借地借家法(e-Gov法令検索))。
期間を1年以上とした定期建物賃貸借には、終了の通知が要ります。期間満了の1年前から6か月前までのあいだに、終了する旨を借主へ通知します。転勤先からこの通知を忘れると、期間が過ぎても明渡しを求められなくなります。戻る時期に合わせて期間を決め、通知の時期を手帳に書いておいてください。
戻る前提で貸すなら、定期建物賃貸借を選びます。そのかわり、家賃は通常の契約より抑えた水準になりやすい点も計算に入れます。借り手から見れば、期間が来れば出ていく約束の部屋だからです。
壁紙の張り替えや給湯器の更新など入居者が決まる前に費用が出る
貸し出す前の原状回復と設備の更新
- 1
仲介会社に室内を見てもらう
貸すと決める前に、募集に必要な修繕箇所を確認してもらいます。
- 2
費目ごとの金額を出してもらう
壁紙や給湯器など、借り手が付く水準にするための費用を算出します。
- 3
入居者が決まる前に費用を払う
原状回復や設備更新の初期費用は、家賃が入る前に現金で出ていきます。
転勤を 機に 家を 売る 道で、 手取りを 決める 4つの 条件
売って残る額を決めるのは4つです。住まなくなってからの年数で使える控除、相続した家かどうか、売り方、引渡しまでの期間です。
控除の期限は日付で切られます。転勤の年に動くか、戻ってから考えるかで、手元に残る額が百万円の単位で変わることがあります。相続した実家では、使える特例が自分の住み方によって分かれます。
1. 住んでいるうちに 売るか、 空き家に してから 売るか
自分が住んでいた家を売って利益が出た場合の特例があります。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。要件は、国税庁のタックスアンサー「マイホームを売ったときの特例」に示されています。転勤で住まなくなった後に売る場合は、期限が条件の一つです。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡します。
この期限は、転勤の期間が4年、5年と延びたときに効いてきます。戻ってから売ろうと考えているあいだに、期限を越えることがあります。そうなると、同じ家を同じ金額で売っても、課税される譲渡所得の額が変わります。住まなくなった後に人へ貸していた場合でも、期限内の譲渡であれば適用できるとされています。ただし、適用の可否は個別の事情で変わります。売る時期を決める前に、税務署か税理士に確かめてください。
利益が出ていなければ、控除を使う場面はありません。ただ、相続した家は親が数十年前に取得した価格を引き継ぎます。買った当時の売買契約書が見つからない場合は、売った金額を基準にした概算の取得費で計算します。思ったより利益が大きく出ることがあります。権利証と一緒に保管されていることが多いので、転勤の荷造りのときに探しておいてください。
2. 相続した 実家では、 貸した 時点で 消える 特例が ある
相続した家には、自分が住んでいた場合とは別の特例があります。被相続人が一人で住んでいた家屋とその敷地を、相続人が一定の要件を満たして売却した場合の制度です。譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。1981年5月31日以前に建てられた家屋であること、区分所有建物でないことが要件に入ります。相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることも並びます。控除の額は一律ではありません。令和6年1月1日以後の譲渡では、取得した相続人の人数で変わります。3人以上のときは、1人あたりの控除額は2,000万円が上限です(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁))。
この特例で見落とされやすいのが、家屋をどう扱うかという要件です。耐震の基準に適合するよう改修してから売るか、家屋を取り壊して敷地だけを売るか、どちらかの形を取る必要があります。古いままの家屋を建物付きで売っただけでは、対象になりません。また、相続の時から譲渡の時まで、事業や貸付けや居住の用に使われていないことも要件に含まれます。
ここが転勤の判断に直結します。相続した実家を転勤のあいだだけ人に貸すと、貸付けの用に供したことになります。この特例は使えなくなります。自分が住んだ場合も同じで、居住の用に供したことになります。この特例ではなく、前の項目で書いた自分が住んでいた家の控除で判断します。どちらの制度を見るかは、相続してから自分がその家をどう使ったかで決まります。要件の全体は「空き家3000万円控除の条件」の記事に並べています。
転勤の期間が延びて期限を越えると課税される譲渡所得の額が変わる
住んでいるうちに売る場合と空き家の場合
| 観点 | 住んでいるうちに売る | 空き家にしてから売る |
|---|---|---|
| 3,000万円控除の期限 | 譲渡の期限は設定されない | 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日まで |
| 人に貸していた場合 | (該当しない) | 期限内の譲渡であれば適用できるとされる |
| 利益が出ていない場合 | 控除を使う場面はない | 控除を使う場面はない |
3. 仲介で 売る 場合に かかる 期間と、 売り出し中も 続く 費用
仲介で売る場合、売り出してから買主が決まるまでの期間は物件によって開きがあります。その間も、固定資産税と保険料は出ていきます。転勤の日までに決まらなければ、売り出し中の家を遠方から管理することになります。内覧のたびに、立会いの手配が要ります。鍵を預けられるか、電気を通しておくかを、媒介契約の前に決めておいてください。
売買代金からは仲介手数料と、登記や測量の実費が引かれます。買主が住宅ローンを使う場合は、融資の承認が下りなければ契約が白紙に戻る条項が置かれるのが通例です。承認が下りずに解除になると、そこまでの期間だけが消えます。
所有していた期間によって税率が変わる区切りもあります。譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えるかどうかで、長期と短期に分かれます。税率は、租税特別措置法第31条と第32条に定められています。相続で取得した家は、被相続人が取得した日を引き継ぎます。親が長く持っていた家であれば、相続の直後に売っても長期として扱われます。
4. 買取で 売る 場合に、 価格から 引かれる もの
買取は、不動産会社が自ら買主になって代金を払い、修繕や解体をしたうえで再販する取引です。提示される金額は、再販できる見込みの額から引き算して決まります。引くのは、修繕費または解体費、残置物の処分費、登記や測量の実費、保有するあいだの税と保険、再販までにかかる資金の費用です。確かめきれない部分が多い家ほど、その不確かさの分も引かれます。
転勤の日が決まっている売主にとって意味を持つのは、金額よりも期日の確実さです。買主が自分の資金で買うのであれば、融資の承認を待つ必要がありません。決済の日を先に決めて、そこから逆算して書類を揃える進め方ができます。片づけや修繕を済ませてから売る必要もないため、荷物を運び出す日程と売却の日程を別々に組めます。
額面の大きさだけで比べると、仲介の査定額の方が高く見えます。比べるのは、手元に残る額と、それがいつ確定するかです。両方の数字の並べ方は「不動産は買取と仲介どっち」の記事に条件ごとに書いています。
住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売る
住まなくなった家を売る場合の控除期限
住まなくなった日
特例の起算日
転勤などで家を離れた日から期間のカウントが始まる
3年を経過する年の12月末
3,000万円控除の期限
この日までに譲渡すれば特例を適用できる
4年・5年経過後
控除の適用外
期限を越えて売ると課税される譲渡所得の額が変わる
転勤で 貸すか 売るかを、 5年間の 手取りで 並べる
同じ5年という期間で、入ってくる額から出ていく額を引きます。貸す道と売る道と空けたまま置く道の差が、1つの金額として出ます。
比べるときに外せないのは、貸した場合は5年後も家が手元に残るという点です。いま売った額と、5年分の手取りだけを並べると、貸す道が実際より不利に見えます。5年後に売った場合の見込み額を足して、はじめて同じ土俵になります。
1. 貸した 5年の 収支に 入れる 項目
仮に、家賃を月9万円、5年のうち借り手が決まらない月を合計6か月と置きます。貸す前の原状回復と給湯器の更新で80万円、管理の費用は月5,000円とします。固定資産税と火災保険は合わせて年14万円、途中の退去にともなう原状回復と再募集で20万円です。ここに出した数字はすべて仮に置いたもので、実際の金額は家と地域によって変わります。
家賃は9万円に貸せた54か月を掛けて486万円です。ここから引くのは、貸す前の費用80万円、管理の費用27万円、税と保険の5年分70万円、途中の原状回復と再募集20万円です。残るのは、税を引く前で289万円になります。1年あたりにすると58万円ほどで、月に直せば5万円を下回ります。
この289万円は、不動産所得として他の所得と合算されて課税される前の数字です。給与のある方は、ご自身の税率に応じてここから所得税と住民税が引かれます。減価償却費を必要経費に入れられる分だけ、課税される所得は小さくなります。ただしその分は建物の取得費を減らすため、将来売ったときの譲渡所得に戻ってきます。
2. 売った 場合に 残る 額の 出し方
同じ家をいま売って1,200万円の提示を受けたとします。ここから引くのは、売買契約書の印紙代と、抵当権が残っていればその抹消登記の費用です。住所が変わっていれば住所変更登記の費用、相続登記が済んでいなければ相続登記の費用も加わります。利益が出ていて控除を使えるなら、譲渡所得の税は抑えられます。使えない場合は、税率を掛けた額を引きます。
仮に諸費用と税を合わせて10万円で収まったとすると、手元に残るのは1,190万円です。そして、この後の5年間は固定資産税も保険料も管理の費用も出ていきません。貸す道と比べるときは、この「出ていかない費用」も差として数えてください。
3. 空けたまま 置いた 5年と、 三つの 道の 並べ方
貸しもせず売りもせず、家財を置いたまま5年空けたとします。収入がないまま、税と保険と管理の費用が出ていきます。年14万円の税と保険に、年2回の帰省の交通費と草刈りを足して年20万円と置きます。5年で100万円の持ち出しです。建物は5年分古くなり、残置物はそのまま残ります。
三つを並べます。貸す道は税引き前で289万円と5年後の家、売る道はいま1,190万円です。空けたまま置く道は、5年で100万円の持ち出しと5年後の家になります。貸す道と空けたまま置く道のどちらを選んでも、最後の変数は同じです。5年後に売るときの価格が、いまの1,200万円からどれだけ動くかです。設備が5年古くなり、周辺の取引価格が横ばいなら、5年後の提示額は今より下がる方向に動きます。
この計算を紙に書き出すと、迷いの正体が見えてきます。貸す道が有利になるのは、家賃が高く取れる立地で、空室の月が短く、戻って住む予定があるときです。売る道が有利になるのは、家賃が伸びず、修繕が重なり、戻る予定がないときです。どちらとも言えない場合は、5年後の価格がいくつなら逆転するかを計算します。その金額が現実的かどうかで決めてください。
5年間の家賃収入486万円から、修繕費や税金などの各費用を引いた手残りの比較
5年間の家賃収入から引かれる費用と手残り
- 5年間の家賃収入486万円
- 貸し出し前の修繕費80万円
- 5年分の税金と保険料70万円
- 5年分の管理費27万円
- 退去時の修繕と再募集20万円
- 税引前の手残り289万円
貸した場合は5年分の手取りに5年後の売却見込み額を足して比べる
貸す道と売る道の5年間の手取り
| 観点 | 貸す道(5年間) | 売る道(いま売る) |
|---|---|---|
| 入ってくる額 | 家賃の月額×貸せた月数 | 売却の提示額 |
| 最初に出ていく額 | 貸す前の原状回復と設備の更新 | 印紙代・登記費用などの諸費用 |
| かかる税金 | 不動産所得としての所得税・住民税 | 譲渡所得の税 |
| 5年後の家の状態 | 手元に残る(5年後の売却見込み額を足す) | 手元に残らない |
海外転勤で 非居住者に なる 場合に 変わる 条件
日本を離れて非居住者になると、変わるものが3つあります。住宅ローン控除の扱い、家賃や売却代金からの源泉徴収、申告をする窓口です。
国内の転勤と海外の転勤では、同じ「貸すか売るか」でも手続きの重さが違います。出国の前に済ませておかないと、後から取り返すのに時間がかかるものが2つあります。納税管理人の届出と、印鑑証明書に代わる証明の段取りです。
1. 住宅ローン控除は、 住まなくなった 期間の 扱いが 分かれる
住宅ローン控除は、その家に自分が住んでいることを前提にした制度です。転勤で本人が住まなくなった期間は、原則として控除を受けられません。ただし、単身赴任で家族が引き続きその家に住み、転勤の事情が解消すれば本人も戻ると認められる場合は別です。この場合は、継続して受けられる取扱いがあります。
家族ごと転居する場合は、出国や転居の前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署へ提出します。そうしておくと、戻って再び住み始めた年以後の残りの期間について、再び適用を受けられる取扱いが用意されています。この届出を出さずに離れると、戻ってから再適用を受けられません。また、離れている期間に家を人へ貸していた場合は、扱いが変わります。再び住み始めた年ではなく、その翌年からの適用になります。
海外転勤の場合も、取得した時期によっては非居住者となった後に新たに適用を受けられる改正が行われています。ご自身の取得時期と家族の居住の状況で結論が変わるため、出国の前に税務署で確かめてください。
2. 「183日ルール」が 出てくるのは 租税条約の 場面
日本の所得税法では、国内に住所がある人、または現在まで引き続いて1年以上の居所がある人を居住者と定めています(所得税法第2条第1項第3号)。滞在日数が何日かという基準そのものは、置かれていません。海外赴任の期間が1年以上になる予定で出国した場合は、出国の時から非居住者として扱われるのが通例です。
よく語られる183日という数字は、日本が各国と結んでいる租税条約の短期滞在者免税の要件に出てくるものです。条件は3つです。滞在が一定の期間内で183日を超えないこと、報酬を支払う雇用主が相手国の居住者でないこと、報酬が相手国内の恒久的施設などで負担されていないことです。これが揃った場合に、給与が滞在国では課税されません。家を貸すか売るかの判断そのものを左右する数字ではありません。ただし、自分が居住者と非居住者のどちらになるかで、次の項目の源泉徴収が変わります。
3. 非居住者が 家を 貸すと、 借主が 家賃から 源泉徴収する
非居住者が国内の不動産を貸して家賃を受け取る場合、その家賃を払う借主に源泉徴収の義務が生じます。所得税法第161条と第212条が、この仕組みを定めています。税率は、復興特別所得税を含めて20.42パーセントです。ただし、借主が個人で、自分または親族の住まいとして借りている場合は、この源泉徴収は不要とされています。
法人が社宅として借りる場合や、借主が事業のために借りる場合は、源泉徴収の対象になります。管理会社と借主の双方に、貸主が非居住者であることを伝えておく必要があります。源泉徴収された分は、翌年の確定申告で精算します。
出国の前に、税務署へ納税管理人の届出を出してください。納税管理人は、本人に代わって申告書の提出や納税を行う人です。日本に住む親族に頼むことも、税理士に依頼することもできます。当社は不動産の買主であり、この届出や申告を引き受ける立場にはありません。
4. 非居住者が 家を 売ると、 買主が 代金から 源泉徴収する
非居住者から国内の不動産を買う場合、買主は売買代金から源泉徴収して納付する義務を負います。所得税法第161条と第212条に基づく仕組みです。税率は、復興特別所得税を含めて10.21パーセントです。買主が個人で、その不動産を自分または親族の住まいとして買う場合は例外です。かつ対価が1億円以下であれば、源泉徴収をしなくてよいとされています。
源泉徴収された額は、仮払いにあたります。翌年の確定申告で譲渡所得の税額と精算し、多く納めていれば還付されます。申告は納税管理人を通じて行う形になります。
決済の場面では、印鑑証明書が取れないという実務上の壁が出てきます。日本に住民登録がない場合は、在外公館で取得する在留証明と署名証明が、住所の証明と印鑑証明書の代わりになります。発行までの日数は国と公館によって違い、予約が要る場合もあります。出国の前に売ると決めた方が、段取りは軽くなります。出国後に進める場合の書類のやりとりは「遠方の実家を行かずに売却する方法」の記事にまとめています。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
出国の前に届出書を税務署へ提出すると戻ってから再び適用を受けられる
家族ごと海外へ転居する場合の手続き
- 1
出国前に税務署へ届出書を出す
転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書を提出します。
- 2
転勤中は控除を受けられない
本人が住まなくなった期間は、原則として住宅ローン控除を受けられません。
- 3
戻って再び住み始めたら再適用
届出を出しておけば、戻って住み始めた年以後の残り期間で再び適用を受けられます。
住宅ローン控除の扱いや家賃からの源泉徴収など国内の転勤と手続きが違う
海外転勤中の住宅ローン控除はどうなりますか?
家族が家に残るか、事前に届出を出したかで適用が変わります。
- 単身赴任で家族が残るなら継続可能
- 家族ごと転居なら出国前の届出で帰国後に再適用
- 留守中に家を貸すと再適用は帰国した翌年から
「海外転勤で非居住者になる場合に変わる条件」について、そのまま聞けます。
転勤までの 日数から 逆算して、 家に ついて 先に 確かめる 順番
引っ越しの日から逆算して、他人の回答を待つものから先に片づけます。登記の名義、ローン契約の条項、会社の住宅の制度の3つです。
自分だけで決められることは、最後まで残しても間に合います。回答に日数がかかるものから順に手をつけると、転勤の日までに判断の材料が揃います。
1. 登記事項証明書と 納税通知書で、 名義と 土地の 範囲を 確かめる
法務局で登記事項証明書を取り、所有者の欄と、抵当権が付いているかどうかを見ます。相続登記が済んでいなければ、ここで初めて分かる方もいます。あわせて市区町村の税務課で名寄帳を取ると、その市区町村内にある自分名義の不動産が一覧で出てきます。家の裏の細長い土地や、前面道路の持分が、ここで初めて出てくることがあります。
前面道路の持分の有無は、売るときにも貸すときにも効いてきます。私道に持分がないまま売ると、買主が通行や掘削の承諾を別途取る必要が生じます。話がまとまるまでの日数が延びます。納税通知書の課税明細書に載っている地番と、登記事項証明書の地番を突き合わせます。何筆あるかを数えておいてください。
2. 金融機関と 勤務先には、 同じ週の うちに 聞く
借入先の窓口には、転勤で住まなくなること、人に貸す可能性があること、売る可能性があることを伝えます。そのうえで、それぞれの場合の扱いを聞きます。あわせて、残債の額と、完済する場合に書類が届くまでの日数も確認します。金融機関によっては、完済の申し出から抵当権の抹消に必要な書類の交付まで2週間程度かかることがあります。
勤務先には、赴任の期間の見込み、社宅や住宅手当の条件、持ち家を貸した場合に手当がどうなるかを聞きます。家を貸して家賃収入が入ると、住宅手当が止まる制度の会社もあります。その場合は、手当の減額分を貸す道の費用に加えて計算します。
登記の名義やローン契約など他人の回答を待つものから先に片づける
転勤までの日数から逆算して確かめる順番
- 1
登記と税の書類で名義を確かめる
登記事項証明書と名寄帳を取り、所有者や抵当権、土地の範囲を確認します。
- 2
金融機関にローンの扱いを聞く
転勤で住まなくなることを伝え、貸す場合や売る場合の扱いと残債を確認します。
- 3
勤務先に住宅の制度を聞く
赴任期間の見込みや、家を貸した場合に住宅手当がどうなるかを確認します。
貸す 場合と 売る 場合の 数字を、 同じ 5年で 揃える 手順
家賃の見込みと売却の見込みを、別々の相手から書面で取ります。同じ5年の計算に入れたうえで、出ていく額を両方から引きます。
片方だけの数字では決められません。家賃の見込みを取らずに売ると、後から「貸しておけばよかった」が残ります。売却の提示を取らずに貸すと、修繕が重なるたびに迷いが戻ってきます。
1. 家賃の 見込みは、 募集中の 家賃ではなく 成約した 家賃で 取る
賃貸の仲介会社に室内を見てもらいます。この状態で募集した場合の家賃と、それを実現するために直す箇所の見積もりを出してもらいます。あわせて、近隣で直近に成約した同じ間取りの家賃と、募集から入居までにかかった日数を聞いてください。情報サイトに並んでいる募集中の家賃は、まだ借り手が付いていない金額です。
見積もりが揃ったら、5年分の家賃から空室の月を引きます。そこから管理の費用、税と保険、途中の修繕を引いた額を出します。この引き算をしないまま家賃の月額だけを見ていると、実際に残る額の倍近い数字を前提に判断してしまいます。
2. 売却の 見込みは、 仲介の 査定と 買取の 提示を 両方 取る
仲介会社には、売り出す場合の価格と、その根拠にした近隣の成約事例、そして決まるまでの見込みの期間を聞きます。買取の会社には、買い取る場合の金額と、その金額がいつまで有効か、引渡しまでに何日かかるかを聞きます。どちらも口頭で終わらせず、書面で受け取ってください。
成約した価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで地域と期間を指定して自分でも見られます(不動産情報ライブラリ(国土交通省))。提示された金額が周辺の取引からどれくらい離れているかを確かめておくと、説明を聞くときの基準ができます。査定を受ける前に揃えておく書類は「空き家の査定」の記事に並べています。
賃貸は成約した家賃で取り売却は仲介の査定と買取の提示を両方取る
家賃の見込みと売却の見込みの取り方
| 観点 | 家賃の見込み | 売却の見込み |
|---|---|---|
| 誰に聞くか | 賃貸の仲介会社 | 仲介会社と買取の会社 |
| 金額の基準 | 近隣で直近に成約した家賃 | 近隣の成約事例や買取の金額 |
| 期間の確認 | 募集から入居までにかかった日数 | 決まるまでの期間や引渡しまでの日数 |
| 回答の受け取り方 | 書面で取る | 書面で受け取る |
貸すか 売るかを 決めた あと、 家を 離れるまでに 動かす 手順
鍵、残置物、ライフライン、郵便の4つは、離れる前に決めておきます。そうすれば、転勤先からでも賃貸の募集や売却の手続きが止まりません。

離れてから決めようとすると、確認のたびに往復が発生します。荷造りと同じ週に、この4つの行き先を決めてください。
1. 鍵と 残置物と ライフラインと 郵便の 行き先を 決める
- 鍵:誰が預かるかを決めます。賃貸に出すなら管理会社、売るなら買主側の会社に預ける形です。預け先と本数を控えておきます。
- 残置物:仏壇、物置の中身、親の家具をどうするかを決めます。売る場合、処分費を買主側が負担する前提の取引もあります。その場合は、自分で片づけずに引き渡せます。
- ライフライン:電気、水道、ガスを止めるか残すかを決めます。内覧が入る可能性があるなら、電気は残します。長く空ける場合はガスだけ止めるといった組み合わせになります。
- 郵便:転送の届けを出したうえで、固定資産税の納税通知書の送り先を市区町村に届け出ます。これを忘れると、転勤先に通知が届かないまま納期限を過ぎます。
2. 転勤先から 進める ための 委任と 証明を 用意する
国内の転勤であれば、売買の手続きは郵送と委任で進められます。印鑑証明書は転居先の市区町村で取れるため、住民票を移していれば新しい住所で取得できます。登記の住所と現住所が変わっている場合は、決済の日までに住所変更登記を入れます。司法書士と日程を組んでください。
海外に出る場合は、在外公館で在留証明と署名証明を取る段取りになります。発行までの日数が読めないため、出国の前に必要な書類を司法書士に確認しておきます。出国前に売買契約まで済ませ、決済を代理人に任せる形にすることもできます。
売るときに自分が負担する費目の全体は「不動産売却の費用一覧」の記事にまとめています。貸す場合も売る場合も、出ていく費用は転勤先の生活費と同じ口座から払い続けることになります。年額を把握したうえで離れてください。
鍵の預け先や残置物の処分、ライフラインと郵便の転送を離れる前に決める
家を離れるまでに決める4つの行き先
鍵の預け先
貸すなら管理会社、売るなら買主側の会社に預ける
残置物の扱い
売る場合は買主負担で処分し、片づけずに引き渡す道もある
ライフラインの選択
内覧があるなら電気は残し、長く空けるならガスを止める
郵便物の転送
転送届とあわせ、固定資産税の通知先を市区町村へ届け出る
「貸すか売るかを決めたあと、家を離れるまでに動かす手順」について、そのまま聞けます。
転勤で 空ける 家の 買取を 当社に 相談した 場合の 進み方と、 買い 取れない 条件
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「転勤で空ける家の買取を当社に相談した場合の進み方と、買い取れない条件」について、そのまま聞けます。
転勤で 家を 貸すか 売るかは、 戻る 時期と 3つの 数字で 決まる
- 戻る時期を年数で置けるかどうかが、最初の分かれ目です。 3年以内に戻る見込みが立つなら、定期建物賃貸借で期間を区切って貸す道が残ります。期間満了の1年前から6か月前までの通知を忘れなければ、戻って住めます。通常の契約で貸した場合は、更新を拒むのに正当の事由が要ります。戻る時期に合わせた明渡しは、約束されません。
- 貸す道の数字は、家賃の月額ではなく5年分の手取りで見ます。 貸す前の修繕、借り手が決まらない月、管理の費用、途中の原状回復、税と保険を引いた残りが手元の額です。さらにそこへ、不動産所得としての課税がかかります。そのうえで5年後に売った場合の見込み額を足して、いま売った手取りと比べてください。
- 売る道の数字は、住まなくなってからの日付で変わります。 自分が住んでいた家は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が、控除の条件の一つです。相続した実家の空き家の特例は、人に貸した時点で使えなくなります。
当社は買主として直接買い取るため、片づけや修繕を済ませてからご相談いただく必要はありません。賃貸中の家も空室の家も、それぞれの前提で金額をお出しします。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
転勤で 家を 貸すか 売るかに ついて、 よく ある 質問
Q1. 海外転勤に なったら 住宅ローン減税は 受けられますか
本人が住まなくなった期間は、原則として受けられません。単身赴任で家族が引き続き住み、転勤の事情が解消すれば本人も戻ると認められる場合には、継続して受けられる取扱いがあります。家族ごと離れる場合は、出国の前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署へ提出します。これが、戻ってから再び適用を受けるための前提になります。 離れているあいだに家を貸していた場合は、再び住み始めた年ではなく翌年からの適用です。条件は細かく分かれます。取得した時期によっては、非居住者のまま適用を受けられる場合もあります。出国の前に、税務署でご自身の条件を確かめてください。
Q2. 持ち家を 賃貸に 出す場合、 確定申告は 必要ですか
家賃収入は不動産所得になるため、翌年の確定申告で申告するのが原則です。給与を1か所から受けている方で、給与以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告をしなくてよい場合があります。その場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。必要経費に入れられるのは、固定資産税、火災保険料、管理の費用、修繕費、減価償却費などです。領収書は、転勤先で保管することになります。 貸す前の修繕が大きく、初年度が赤字になる場合は、申告して給与所得と通算した方が有利になることがあります。非居住者となる場合は、納税管理人を通じて申告する形になります。
Q3. 非居住者が 不動産を 売却したら どうなりますか
買主が売買代金から源泉徴収して納付する義務を負います。所得税法第161条と第212条に基づく仕組みです。税率は、復興特別所得税を含めて10.21パーセントです。買主が個人で、自分または親族の住まいとして買う場合は例外です。対価が1億円以下であれば、この源泉徴収は不要とされています。源泉徴収された額は仮払いです。翌年の確定申告で譲渡所得の税額と精算し、多く納めていれば還付されます。 住民登録が日本にない場合は、印鑑証明書の代わりに在外公館で取る署名証明が要ります。住所の証明としては在留証明が必要です。発行までの日数を、決済日から逆算して確保してください。
Q4. 非居住者の 183日ルールとは 何ですか
日本の所得税法は、国内に住所がある人か、現在まで引き続いて1年以上の居所がある人を居住者と定めています(所得税法第2条第1項第3号)。滞在日数による基準は、置いていません。183日という数字は、租税条約の短期滞在者免税の要件として出てきます。滞在が183日を超えないこと、報酬を相手国の雇用主が支払っていないこと、相手国の恒久的施設などが負担していないこと。これが揃った場合に、給与が滞在国で課税されません。 赴任の期間が1年以上になる予定で出国した場合は、出国の時から非居住者として扱われるのが通例です。この区分が、家賃や売却代金の源泉徴収の有無に直結します。
Q5. 家を タダであげると 贈与税は かかりますか
個人から個人へ無償で渡した場合、受け取った側に贈与税がかかります。課税の対象になるのは支払った額ではなく、その不動産の評価額です。著しく低い価額で譲り渡した場合も、時価との差額を贈与として扱う定めが相続税法第7条に置かれています。形式を売買にしても、同じ論点が出てきます。 無償で渡す場合でも、名義を移す登記の登録免許税と、受け取った側の不動産取得税は発生します。親族へ譲る、自治体へ寄付する、隣地の方に引き取ってもらうといった方法もあります。考えるときは、受け取る側にどれだけの税と費用が生じるかを先に計算してください。そのうえで、話を持ちかけます。
Q6. 転勤から 戻る ときに、 貸した 家を 返して もらえますか
期間を定めただけの通常の建物賃貸借では、期間が満了しても自動的には終わりません。貸主から更新を拒むには、期間満了の1年前から6か月前までのあいだに通知します。そのうえで、正当の事由があると認められる必要があります。立退料を支払って、明渡しを受ける形になることもあります。戻る前提で貸すのであれば、借地借家法第38条の定期建物賃貸借で契約します。更新がない旨を、契約書とは別の書面であらかじめ説明しておく必要があります。 この説明を欠くと、更新がないという定めそのものが無効になります。期間が1年以上のときは、満了の1年前から6か月前までに終了の通知を出すことも忘れないでください。
当社の 見方
戸建て・築40年以上で、再建築不可・空き家の物件を当社が買い取り、販売まで終えました。
東京都東大和市の戸建て(築40年以上)を、買取金額100万円台で買い取りました(2024年に取引)。
戸建て・築50年以上で、空き家・事故物件・残置物ありの物件を当社が買い取り、販売まで終えました。
神奈川県秦野市の戸建て(築50年以上)を、買取金額500万円台で買い取りました(2025年に取引)。
相続した物件では、戸籍などの書類が追加で必要になります。
ご用意いただく書類は、個別のご案件によります。
ご負担いただく費用は、個別のご案件によります。
リースバック(売却後も賃借人として住み続ける形)も積極的にお受けしています。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:地方税法、借地借家法出典:法務省、国税庁、国土交通省
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(6件・に確認)
更新履歴
- 第1版公開
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