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空き家のゆくえ買取くん

空き家

0円物件とは?探し方と、もらう前に確かめる費用・税金

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 取締役COO 薩摩 賢幸
0円物件とは?探し方と、もらう前に確かめる費用・税金

「物件を0円で公開する人がいるのはなぜか。相続した実家も、そうやって手放すしかないのか知りたい」。持ち主が0円で出すのは売れる値より持ち続ける費用が重いからで、受け取る側には名義を移す税と翌年からの固定資産税が残ります。

相続した実家は買主として現況のまま買い取り、お引き渡しと同じ日にご入金します。解体と片付けの費用が土地の値を上回る家には金額をお出ししません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(6章)

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この先は当社の買取窓口「買取くん」です。

0円物件とは、持ち主が代金を受け取らずに家や土地を手放す物件のことです。出す理由はほぼ共通で、売れる値より持ち続ける費用の方が重いからです。もらう側もタダでは済みません。名義を移す税と、翌年からの固定資産税が残ります。「空き家 差し上げます 静岡」のように、地域の名前を付けて探されることの多い言葉です。相続した実家を出す側なら、相続登記と納税通知書の額を手元にそろえた時点で、譲るか売るかを比べられます。

0円物件とは?探し方と、もらう前に確かめる費用・税金の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

0円物件とは?持ち主がタダで手放す理由と載っている場所

使わなくなった別荘を譲る相手を探すため、地域の掲示板の前で話し合う家族

0円物件は、代金のやり取りが無い贈与で渡ります。出されるのは、毎年の固定資産税と管理の負担が、売れる見込みの値より重い家です。

空き家は全国で約900万戸あります。住宅全体の13.8%にあたる数で、総務省が令和6年4月に公表した令和5年住宅・土地統計調査の結果です。そのうち、貸すためでも売るためでも別荘でもない空き家が約385万戸あります(住宅・土地統計調査(総務省統計局))。相続したまま誰も住んでいない実家は、この区分に数えられる側です。0円物件は、行き場の無いこうした空き家から出てくる出口の1つです。

0円物件は、売買ではなく贈与で渡る

代金が0円なら、その取引は売買ではありません。民法でいう贈与です。持ち主が無償で渡すと申し出て、受け取る側が受け入れれば契約になります。

売買との違いは、お金の流れだけではありません。引き渡した後に誰が何を負うか。どの税がかかるか。どこで相手を探すか。この3つが変わります。

相手を探す場所から見ていきます。仲介を頼んだときの報酬には上限があります。宅地建物取引業法第46条にもとづく国土交通大臣の定めで、売買の代金をもとに計算します。代金が0円なら、計算の元になる額がありません。そのため0円物件の多くは、不動産会社の店頭には並びません。市町村の空き家バンクや、個人どうしの掲示板に載ります。

口約束で済ませるのは危うい形です。民法第550条は、書面によらない贈与は、まだ渡していない部分なら当事者が解除できると定めています。渡すと言った後に気が変わっても、受け取ると言った後に断っても、書面が無ければ話は戻ります。0円でも贈与契約書を交わすのは、このためです。

0円と、1円や10万円は似て見えて別物です。少しでも代金を付ければ売買になり、売主の責任の決まりが働きます。何がどう違うかは、「0円物件の譲渡で起きる問題と費用の目安は?名義変更から建物の傷みまで」の章の「5. 契約不適合と建物の傷み:タダより高くつく家」に条文とともにあります。

売買と贈与の3つの違い

  • 引き渡し後の責任

    引き渡した後に誰が何を負うかが変わる

  • かかる税金

    どの税がかかるかが変わる

  • 相手を探す場所

    仲介報酬の計算元がないため探す場所が変わる

持ち主が0円で出す理由は、固定資産税と管理と売れない立地

持ち主が0円で出すのは、売っても手元に残らない家を、持つたびに出ていくお金と手間から切り離すためです。

固定資産税は、住む人がいなくても毎年届きます。草が伸びれば、近所から連絡が来ます。台風の後は屋根を見に行きます。実家が遠ければ、そのたびに交通費と休みが要ります。1回ずつは小さくても、年が重なると重さが変わります。

売りに出しても、買い手が付かない家があります。駅から遠い。前の道が狭く、建て替えができない。雨漏りで床が傷んでいる。こうした家は、値を下げても問い合わせが来ません。値を下げ続けた先に0円がある、という順番です。

解体費も理由になります。建物を壊して更地で売ろうとすると、解体の見積りが土地の値を上回ることがあります。壊すお金を出すより、建物ごと誰かに使ってもらう方が、持ち主の負担は軽く済みます。0円という値は、この引き算の結果です。

気持ちの面もあります。親が建てた家を壊したくない。誰かが住んでくれるなら、その方がいい。売るより譲る方が、心の区切りをつけやすいという持ち主もいます。

当てはまらない家もあります。駅に近く、建て替えもできる家なら、売れば代金が残ります。0円にするのは、売る道を確かめてからでも遅くありません。売れる家を0円で出すと、受け取る側に贈与税が重くかかるうえ、持ち主には何も残りません。

0円物件の取引は売買と何が違う?

0円での取引は売買ではなく贈与になり、相手の探し方や契約のルールが変わります。

  • 仲介報酬の元がないため空き家バンク等で探す
  • 書面によらない贈与は解除できる(民法第550条)
  • 1円でも代金があれば売買になり売主の責任が働く

もらう側が0円物件を探す場所と手順

0円物件の多くは、市町村の空き家バンクと、民間のマッチングサイトや掲示板に載っています。

空き家バンクは、市町村が持ち主から登録を受けて公開する仕組みです。売買や賃貸の物件が中心で、「無償譲渡」と書かれた物件が混ざります。国土交通省は、各地の空き家バンクの情報をまとめて探せる全国版の空き家・空き地バンクを設けています。市町村によっては、移住の相談窓口と同じ課が受け付けています。

民間のマッチングサイトは、持ち主と受け取りたい人が直接やり取りする場です。載せる手間は軽い反面、登記や税の手続きは当事者どうしに任されます。司法書士を誰が頼むか、費用を誰が出すかも、話し合って決めます。

地域で絞るなら、地名と言葉を並べて探します。「静岡 空き家 無料」「空き家差し上げます静岡県」のように、市町村名に「無料」「差し上げます」「無償譲渡」を組み合わせる形です。別荘地の多い県での譲り方は、「静岡県の別荘あげますは可能?無償譲渡と買取の分かれ目」の記事で、別荘ならではの管理費の話と合わせて読めます。

静岡県内なら、窓口は市町村の公式サイトから入れます。担当の課の名前は市町村ごとに違います。サイト内で「空き家バンク」と検索してください。

市町村空き家バンクの窓口(公式サイト)確認日
静岡市静岡市2026-10-27
熱海市熱海市2026-10-27
富士宮市富士宮市2026-10-27
御殿場市御殿場市2026-10-27
焼津市焼津市2026-10-27

受け取る側の手順は、おおむね次の順に進みます。

  1. 物件の情報を見て、持ち主が登記上の所有者かを確かめる
  2. 現地で建物の傷みと、前の道の幅を見る
  3. 固定資産税の納税通知書を見せてもらい、翌年からの額を知る
  4. 贈与契約書を交わし、引き渡しの日と残す家財を決める
  5. 所有権の移転登記を申請する
  6. 翌年、贈与税の申告が要るかを確かめる

持ち主の側から見れば、受け取る人はこの6つを順に確かめに来ます。1番目で名義が親のままだと分かれば、話はそこで止まります。3番目で通知書が見つからなければ、受け取る人は翌年の負担を読めません。出す前にそろえておくものは、この並びからそのまま決まります。

「0円物件とは?持ち主がタダで手放す理由と載っている場所」について、そのまま聞けます。

0円物件の譲渡で起きる問題と費用の目安は?名義変更から建物の傷みまで

長年使われていない別荘の、石積みの土台と木造の壁の境目に寄った

0円物件でも、受け取る側には登録免許税と贈与税、翌年からの固定資産税が残ります。譲る側には、相続登記と引き渡し後の責任の問題が残ります。

金額を左右するのは、物件の評価額です。評価額が300万円の家なら、贈与で名義を移す登録免許税だけで6万円になります(国税庁タックスアンサーNo.7191の税率で計算)。代金が0円でも、税は物件の値をもとにかかります。

1. 名義を移す費用:登録免許税と不動産取得税

名義を移す費用の中心は登録免許税です。贈与による登記では、固定資産税の評価額の1000分の20がかかります(国税庁タックスアンサーNo.7191)。

0円物件の受け渡しでかかる費用を、払う人と金額の決まり方で並べると次のとおりです。

費用払う人金額の決まり方
登録免許税(贈与の登記)契約書で決めた側評価額の1000分の20(国税庁 No.7191)
司法書士の報酬依頼した側事務所ごとの見積り
不動産取得税受け取る側都道府県が課税。税率と軽減は都道府県の税事務所で確認
贈与税受け取る側(個人から受け取る場合)1年の合計から110万円を引いた残りに課税(国税庁 No.4402)
固定資産税毎年1月1日時点の所有者市町村から届く納税通知書の額

仮に評価額が300万円の家なら、登録免許税は300万円×20/1000で6万円です。評価額は、市町村の固定資産課税台帳に載っている価格を使います(国税庁タックスアンサーNo.7191)。納税通知書の課税明細に「価格」と書かれた欄があれば、そこから見当がつきます。

登録免許税は、どちらが払うかを法律で片方に決めているわけではありません。実際には贈与契約書で決めます。0円で譲る持ち主が、さらに税まで出す形は多くありません。書いておかないと、登記の当日にもめる種になります。

司法書士に頼めば、報酬が加わります。贈与の登記は、書類の作り方を誤ると受け付けてもらえません。自分で申請する人もいますが、相続登記が絡むと書類が一気に増えます。

不動産取得税は、都道府県が課す税です。相続で取得した家にはかかりませんが、贈与で受け取ると課税の対象になります。同じ家でも、親から相続した子にはかからず、その子から0円でもらった人にはかかる。この差を知らずに受け取り、後から通知を見て驚く人がいます。税率や住宅の軽減は、物件のある都道府県の税事務所で確かめてください。

2. 贈与税:1年に受け取った額が110万円を超えた分にかかる

個人から0円物件を受け取ると、受け取った側に贈与税がかかります。その年に受け取った財産の合計から110万円を引いた残りが対象です(国税庁タックスアンサーNo.4402)。

代金が0円でも、物件の値が0円になるわけではありません。土地や建物には、国税庁の財産評価の決まりにもとづく評価額があります。その額が「もらった財産」として数えられます。評価額が300万円なら、110万円を引いた190万円に贈与税がかかります。

数える期間は、1月1日から12月31日までの1年です。同じ年に別の人から現金を受け取っていれば、それも合算します。0円物件だけなら110万円に収まる年でも、ほかの贈与と重なると超えることがあります。

相手が会社などの法人だと、扱いが変わります。法人から財産を受け取った個人には、贈与税ではなく所得税がかかります(国税庁タックスアンサーNo.4402)。受け取る相手が法人の場合、譲る個人の側にも譲渡所得の課税が起きる場合があります。法人に渡す話が出たら、渡す前に税務署か税理士に確かめてください。

個人から個人へ0円で渡すとき、渡した側には代金が入りません。そのため、売ったときのような譲渡所得の税は生まれないのが通常です。譲る側の税の心配は少なく、重さはほぼ受け取る側に寄ります。

当てはまらない場合もあります。評価額が110万円以下で、その年にほかの財産をもらっていなければ、贈与税はかかりません。ただし、登録免許税と不動産取得税は、この110万円とは関係なくかかります。

3. 固定資産税:免税点の30万円・20万円と、住宅用地の特例

0円物件の固定資産税は、受け取った後に来る最初の1月1日から受け取った人に移ります。額は、市町村が送る納税通知書に書かれます。

固定資産税は、毎年1月1日に登記簿へ所有者として載っている人に課されます(地方税法第343条・第359条)。10月に受け取れば、その年の分は前の持ち主宛てのままです。翌年の分から、受け取った人に通知が届きます。年の途中で受け渡すときに、その年の税を日割りで分けるかどうかは、当事者の取り決めです。

税がかからない家もあります。同じ市町村の中で同じ人が持つ土地の課税標準額の合計が30万円未満なら土地に、家屋の合計が20万円未満なら家屋に、固定資産税は課されません(地方税法(e-Gov法令検索) 第351条)。これを免税点といいます。ただし同じ条のただし書で、財政上の特別な必要があれば、市町村は条例で免税点を下回っても課税できます。

この免税点は「同じ市町村の中の合計」で見ます。受け取る人がすでに同じ市町村に土地を持っていれば、0円物件の分と合わせて数えます。譲る前は税額0円だった家が、受け取った人のもとでは課税されることがあります。

住宅が建っている土地には、課税標準を下げる特例があります。200平方メートル以下の部分は価格の6分の1になります(地方税法第349条の3の2)。この特例は、市町村から管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、その敷地から外れます。持ち主の手元で荒れたまま勧告まで進むと、受け取る人は上がった税額から引き継ぎます。勧告に至る流れは「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事に順を追ってあります。

建物を壊して更地にした場合も、翌年から住宅用地の特例は使えません。受け取った人が解体を考えているなら、その翌年に税額が上がる前提で計算することになります。

0円物件の評価額と税の基準額の比較

  • 家の評価額の例300万円
  • 贈与税の計算で引く額110万円
  • 登録免許税の額6万円

4. 相続登記:済んでいない実家は、0円でも譲れない

登記簿の名義が亡くなった親のままでは、受け取る人へ名義を移せません。譲る前に相続登記が要ります。

登記は、所有者が移った順に一つずつたどります。親から相続人へ。相続人から受け取る人へ。親から受け取る人へ、間を飛ばして移すことはできません。0円物件として空き家バンクに載せても、名義が親のままなら、受け取る人が決まった後で手続きが止まります。

相続人が複数いれば、誰がこの家を相続するかを先に決めます。民法第907条は、共同相続人が協議で遺産を分けられ、協議が調わなければ家庭裁判所に請求できると定めています。兄弟の1人が反対しているうちは、0円で出す話も前に進みません。

相続登記にも登録免許税がかかります。相続による移転登記の税率は1000分の4です(国税庁タックスアンサーNo.7191)。評価額300万円の家なら1万2,000円です。これに戸籍を集める手数料と、司法書士に頼むならその報酬が加わります。贈与の登記と相続の登記で、2回分の費用がかかる計算です。

期限の数え方は、「0円物件として譲渡するか買取か?相続した実家を手放す前の3つの手順」の章の「1. あげる側(譲る側)が先に済ませる相続登記と書類」にあります。

受け取る側から見ると、名義が親のままの0円物件は、話を進めても登記ができません。受け取る人が先に確かめに来るのは、このためです。

受け渡しにかかる費用の時期

  1. 名義を移す時

    登録免許税と司法書士報酬

    登録免許税は評価額の1000分の20

  2. 受け取った後

    不動産取得税

    都道府県が課税する

  3. 翌年

    贈与税と固定資産税

    贈与税は110万円を超えた分にかかる

5. 契約不適合と建物の傷み:タダより高くつく家

0円の贈与なら、譲る側の責任は売買より軽くなります。受け取る側は解体や修繕の費用を自分で負うため、傷んだ家ほどタダより高くつきます。

贈与について、民法第551条は、贈与者は贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約束したものと推定する、と定めています。引き渡した後に雨漏りが見つかっても、受け取った人がそれを理由に直せと求めにくい形です。

売買なら事情が変わります。引き渡した家が契約の内容に合っていなければ、買主は修補などを求められます。これが契約不適合の責任(民法第562条)で、代金の減額(同第563条)や損害賠償・解除(同第564条)にもつながります。1円でも代金を付ければ売買です。持ち主にとって、0円と1円の差は責任の重さの差になります。

推定は、話し合いで変えられます。雨漏りがあることを伝えたうえで渡すなら、贈与契約書にその旨を書いておきます。知っている傷みを隠して渡すと、後から争いになったときに説明がつきません。

受け取る側に残る費用は、建物の状態で大きく変わります。家財が残っていれば、片付けと処分の費用がかかります。屋根や土台が傷んでいれば、住む前に直す費用がかかります。壊して建て直すなら、解体費が先に出ていきます。解体の費用が何で上下するかは、「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事が詳しく扱っています。

建て直せない土地もあります。建築基準法第43条は、建物の敷地が道路に2m以上接していなければならないと定めています。ここでいう道路が何を指すかは、同法第42条が決めています。この条件を満たさない土地では、今の建物を壊すと新しく建てられません。0円でも受け取り手が付きにくいのは、こうした土地です。理由と出口は「再建築不可物件はなぜ売りにくいのか」の記事にあります。

0円物件を受け取る費用の時系列

  • 名義を移す時:登録免許税

    契約書で決めた側が負担。評価額の1000分の20(国税庁 No.7191)。

  • 名義を移す時:司法書士報酬

    依頼した側が負担。金額は事務所ごとの見積り。

  • 受け取った後:不動産取得税

    受け取る側が負担。都道府県が課税する。

  • 翌年:贈与税

    受け取る側が負担。1年の合計から110万円を引いた残りに課税。

  • 翌年:固定資産税

    1月1日時点の所有者が負担。市町村から届く納税通知書の額。

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「0円物件の譲渡で起きる問題と費用の目安は?名義変更から建物の傷みまで」について、そのまま聞けます。

0円物件として譲渡するか買取か?相続した実家を手放す前の3つの手順

引き出しから取り出した封筒の中身を確認している(夫婦が和室で)

相続した実家は、まず相続登記と書類をそろえます。次に納税通知書と建物の状態で診断し、手元に残る額を比べてから、譲渡か買取かを決めます。

相続登記の申請には期限があり、2024年4月1日より前に始まった相続も対象です。0円で出すか売るかを先に決めても、名義が親のままなら、どちらの話も途中で止まります。順番を守る理由は、そこにあります。

1. あげる側(譲る側)が先に済ませる相続登記と書類

譲る側が最初にするのは、親の名義のままの実家を、自分の名義に移す相続登記です。

相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。相続で実家などの不動産を取得したと知った日から、3年以内に申請します。正当な理由なく申請しないと、過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化について」)。

親が亡くなったのが2024年4月1日より前でも、義務は及びます。この場合の期限は、施行日の2024年4月1日と、相続で取得したと知った日の、遅い方から3年です。施行日より前から知っていた人は、2027年3月31日までになります。施行日の後に知った人は、知った日から3年です。自分の期限を出すには、いつ知ったかを手帳や手紙で確かめておきます。

遺産の分け方が期限までにまとまらないときの手当てもあります。自分が相続人であることを登記官に申し出る相続人申告登記です(不動産登記法第76条の3)。ただし、申し出ても名義は自分に移りません。0円で渡すにも売るにも、最後は相続登記が要ります。

そろえる書類は、相続した実家を誰かに渡すときに確かめられる順に並べると次のとおりです。

  • 親の名義が分かる登記事項証明書(法務局で取ります)
  • 親の出生から亡くなるまでの戸籍と、相続人の戸籍
  • 相続人が複数なら、遺産分割協議書と各相続人の印鑑証明書
  • 固定資産税の納税通知書(課税明細の付いたもの)
  • 親が持っていた登記識別情報または権利証

名義変更をしないまま年月がたつと、次の相続が重なって相続人が増えます。その先で何が起きるかは、「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事で、期限と売却の両面から見られます。

2. 納税通知書の額と建物の状態を診断する:0円で出すかのチェック表

0円で出すかどうかは、名義・税額・建物・管理の4つを、手元の書類と現地で確かめてから決めます。

当てはまる行に印を付けてください。

  • □ 登記簿の所有者が、自分(相続人)の名前になっている
  • □ 相続人が自分1人か、全員が手放すことに同意している
  • □ 固定資産税の納税通知書が手元にあり、土地と家屋の課税標準額が分かる
  • □ 課税標準額が免税点(土地30万円・家屋20万円)を下回り、税額が0円になっている
  • □ 屋根や外壁から雨が入っておらず、床が抜けていない
  • □ 前の道に2m以上接していて、建て替えができる
  • □ 家財が片付いているか、受け取る人が片付けを引き受けてくれる
  • □ 年に数回、自分か親族が現地へ通って管理できる

読み方は、上の行から順に進めます。

1行目と2行目に印が付かないなら、どの出口も先に進みません。0円で出すことも、売ることもできない段階です。相続登記と相続人どうしの話し合いが先になります。

3行目に印が付かないなら、市町村の税の窓口で納税通知書を出し直してもらいます。受け取る人も買う人も、翌年の負担をここで読むからです。

4行目に印が付いた家は、持ち続けても税の負担が小さい家です。急いで0円にする理由は、税ではなく管理の側にあります。8行目にも印が付くなら、時間をかけて売る道を探す余地があります。

5行目と6行目の両方に印が付いた家は、住める建物と、建て替えのできる土地がそろっています。0円にする前に、買い取りの金額を一度見てください。値が付く見込みがあります。

5行目と6行目のどちらにも印が付かず、7行目にも付かない家は、受け取る人が費用を全部負う家です。0円でも受け取り手が付きにくく、解体して土地として出す道と比べることになります。

8行目に印が付かないなら、持ち続ける時間そのものが負担です。どの出口を選ぶにしても、決めるまでの期間を短くする方に寄せます。

実家を手放す際の必要書類

  • 登記事項証明書

    親の名義が分かるもの。法務局で取る

  • 戸籍

    親の出生から亡くなるまでと相続人のもの

  • 遺産分割協議書と印鑑証明書

    相続人が複数いる場合に必要になる

  • 固定資産税の納税通知書

    課税明細の付いたもの

  • 登記識別情報または権利証

    親が持っていたもの

3. 無償譲渡と買取・解体・国庫帰属を、手元に残る額で比べる

譲渡か買取かは、受け取る金額から出ていく費用を引き、手放し終えるまでの期間を並べたうえで決めます。

無償譲渡では、受け取る金額は0円です。その代わり、受け取る人が見つかれば、翌年から固定資産税の通知は相手に移ります。譲る側の出費は、相続登記の費用と、取り決め次第で贈与の登記の費用です。期間は、受け取る人が現れるまで読めません。

買取では、当社のような買主が金額を出し、現況のまま引き取ります。当社が買い取る場合は仲介手数料はかかりません。手元に残るのは、買取の金額から、相続登記の費用や契約書の印紙代を引いた額です。当社が他県で買い取った例では、東京都荒川区の再建築不可の空き家でも100万円未満の値が付きました。建て替えのできない土地でも、0円より上になる家はあります。

解体して土地として売る道もあります。解体費を先に出し、土地の値で取り戻す形です。解体の翌年からは住宅用地の特例が外れ、売れるまでの固定資産税が上がります。土地の値が解体費を上回る地域で選ぶ道です。

解体や改修の費用には、市町村の補助金が使える場合があります。空き家の解体、受け取った人の改修、空き家バンクを通じた譲渡を対象にする市町村があります。対象と額は年度ごとに決まり、予算に達すると締め切られます。令和8年度(2026年度)の募集があるかを、物件のある市町村の空き家の窓口で確かめてください。工事の契約前に申し込む形が多く、着工した後では受けられないことがあります。

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。建物が建っている土地は対象になりません。解体を済ませ、審査を通り、負担金を納める必要があります。手元に残る額は、マイナスから始まります。

売って利益が出る家なら、相続した空き家の譲渡所得の特例が使えるかを先に確かめます。0円の贈与には使えず、売ったときにだけ関わる特例です。要件の判定は「空き家3000万円控除の条件」の記事でできます。

4つの出口を費用の面から並べ直したいときは、「空き家の引き取り先を比較」の記事が、引き取り先ごとの条件まで含めて比べています。

0円が向くのは、買取の金額が出ず、解体しても土地の値が残らない家です。逆に、少しでも値が付くなら、0円で出す前にその額を手元に置いて比べる意味があります。

実家を手放す前の手順

  1. 1

    相続登記と書類準備

    2024年4月1日から義務化。遅い方から3年以内に申請。

  2. 2

    建物の状態と税額の診断

    納税通知書と建物の状態から診断する。

  3. 3

    譲渡か買取かの決定

    手元に残る額を比べてから手放し方を決める。

相続登記の申請期限

  1. 2024年4月1日より前

    2027年3月31日が期限

    施行日より前から相続を知っていた人

  2. 2024年4月1日以後

    知った日から3年以内

    施行日の後に相続を知った人

「0円物件として譲渡するか買取か?相続した実家を手放す前の3つの手順」について、そのまま聞けます。

0円物件にする前に当社へ相談すると?目安30分の金額提示から入金まで

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「0円物件にする前に当社へ相談すると?目安30分の金額提示から入金まで」について、そのまま聞けます。

0円物件で手放す前に、相続した実家で決める3つのこと

  • 名義を先に動かします。親の名義のままでは、0円で譲ることも売ることもできません。期限は、施行日の2024年4月1日と相続を知った日の遅い方から3年です。その前に相続登記を済ませます。
  • 税は受け取る側に寄ります。0円でも、登録免許税は評価額の1000分の20、贈与税は110万円を超えた分にかかります。固定資産税は納税通知書の額で、免税点を下回る家なら0円の年もあります。
  • 値が付くかを見てから0円にします。住める建物と建て替えのできる土地がそろえば、買取の金額が出る見込みがあります。解体と片付けの費用が土地の値を上回る家なら、0円で譲る方が負担は早く消えます。

当社は相続した実家を買主として直接買い取りますが、解体と片付けの費用が土地の値を上回る家には金額をお出しできません。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

0円物件についてよくある質問

Q1. ゼロ円物件は危険ですか

物件そのものが危険なわけではありません。危うくなるのは、確かめないまま受け取ったときと、確かめないまま渡したときです。

受け取る側の危うさは、費用を知らないまま名義を移すことです。登録免許税、不動産取得税、贈与税、翌年からの固定資産税。そこに解体や修繕の費用が重なります。建て替えのできない土地なら、壊した後に何も建てられません。受け取る前に、登記事項証明書と納税通知書と前の道の幅を見てください。

譲る側の危うさは、口約束で済ませることです。書面の無い贈与は、渡し終えていない部分なら解除できます。知っている傷みを伝えずに渡すと、後から争いになったときに説明がつきません。贈与契約書に、引き渡す状態と残す家財を書いておきます。

Q2. 0円物件の固定資産税はいくらですか

その物件の納税通知書に書かれた額です。受け取った後に来る最初の1月1日から、受け取った人に課されます。

課税標準額が、同じ市町村の中の合計で土地30万円未満、家屋20万円未満なら、固定資産税はかかりません(地方税法第351条)。ただし、受け取る人がその市町村に別の土地を持っていれば合算します。前の持ち主のもとで0円だった税が、受け取った人のもとではかかることがあります。

住宅が建っている土地は、200平方メートル以下の部分の課税標準が6分の1になっています(地方税法第349条の3の2)。受け取った後に建物を壊すと、翌年からこの特例が外れます。税額は、更地にした後の分まで見て判断してください。

Q3. なぜ物件を0円で公開する人がいるのですか

持ち続ける費用が、売って入るお金を上回るからです。固定資産税は毎年届き、草刈りや見回りの手間も続きます。遠方なら、そのたびに交通費がかかります。

売りに出しても買い手が付かない家では、値を下げ続けた先が0円になります。解体して更地で売ろうにも、解体費が土地の値を上回ることがあります。建物ごと使ってくれる人に渡す方が、持ち主の出費は少なく済みます。

相続した実家で多いのは、思い入れと負担の板挟みです。壊したくはないが、自分では住めない。住んでくれる人に渡したい。その気持ちから、売るより譲るを選ぶ方もいます。ただ、値が付く家を0円にすると、受け取る側の贈与税が重くなるうえ、持ち主には何も残りません。

Q4. 不動産屋が一番嫌がることは何ですか

買主の立場からお答えすると、金額を出した後に前提が変わることです。0円物件の周りでは、これが起きやすい事情があります。

名義が親のままだったと後から分かる。家財の量が聞いていたより多い。空き家バンクで別の人と譲る話が進んでいた。どれも、金額を組み直すか、話を止めるかの二択になります。売主さまの側も、決めた日程が崩れて困ることになります。

裏返すと、最初に全部出していただくのが、売主さまにとっていちばん有利です。先に分かった条件は金額に織り込めます。名義、通知書、家財の量、ほかで進んでいる話。この4つを最初の相談で伝えていただければ、出した金額は後から動きにくくなります。

Q5. 0円物件を受け取った後、要らなくなったら返せますか

一度名義を移した後に戻すのは、返却ではなく、新しい受け渡しになります。

前の持ち主に0円で戻せば、それはもう一度の贈与です。登録免許税がまたかかり、前の持ち主の側に贈与税がかかることもあります。名義を移した費用は、戻しても返ってきません。

受け取る前に、合わなかった場合を想定しておきます。現地を季節を変えて見る。冬の雪や夏の湿気を確かめる。修繕の見積りを取ってから受け取る。こうした確認の手間は、受け取った後に戻す費用よりずっと軽く済みます。

Q6. 相続放棄をすれば、実家を0円で譲る手間もかからないのでは

相続放棄は、実家だけを選んで手放す方法ではありません。預金も含め、親の財産をすべて受け取らないことになります。

期限もあります。民法第915条第1項は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、承認するか放棄するかを決めるとしています。家庭裁判所で期間を延ばすことはできます。ただ、相続登記まで済ませた実家については、もう放棄はできないと考えてください。

放棄しても、実家の面倒がすぐ消えるとは限りません。民法第940条第1項は、放棄の時に相続財産を現に占有していた人の義務を定めています。次に管理する人へ引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません。放棄した家を誰が壊すのか、その費用を誰が出すのかは、「相続放棄した家の解体費用は誰が払うか」の記事で、管理の義務の行き先とあわせて確かめられます。

当社の見方

相続した物件では、戸籍などの書類が追加で必要になります。

ご用意いただく書類は、個別のご案件によります。

ご負担いただく費用は、個別のご案件によります。

リースバック(売却後も賃借人として住み続ける形)も積極的にお受けしています。

買い取れない物件や、売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。

東京都北区の戸建てを、買取金額3,000万円台前半で買い取りました(2025年に取引)。

埼玉県蕨市の賃貸中の戸建て(築60年以上)を、約200万円で買い取りました。

神奈川県川崎市高津区の土地(古家付きを含む)を、買取金額600万円台で買い取りました(2025年に取引)。

東京都大田区の土地(古家付きを含む)(築60年以上)を、買取金額1,000万円台前半で買い取りました(2026年に取引)。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

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リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
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薩摩 賢幸薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)
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