ご家族が自宅で亡くなった、あるいは所有している賃貸物件で入居者が亡くなった。その後の売却を考えるとき、気になるのは次のようなことではないでしょうか。「これは事故物件になるのか」「どこまで話さなければいけないのか」「言わずに売ったら、後で責任を問われるのか」。
事故物件
事故物件の 告知義務は どこまでか|国交省ガイドラインの 中身
公開 更新

「家族が亡くなった家を売るとき、どこまで伝えなければいけないのか」。告知が要るかどうかは、亡くなり方と、その後に特殊清掃などが行われたかで変わり、買主から尋ねられた場合の扱いも先に確かめておく必要があります。
告知を受け取る側=買主として、当社は事故物件の相談を受けており、当社が買主になる買取でも、告知が要るかどうかの整理は仲介の場合と同じです。この物件が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(7章)
先にこの物件の買取価格のめどだけ知りたい方へ。
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事故物件の 告知義務の 前提:法律上の 定義と、 国交省ガイドラインの 位置づけ

取引態様:買主(当社が自ら買い取ります)/媒介(当社で買い取れない物件は、仲介で売却をお手伝いします)
なお本稿は一般的な情報提供であり、個別の法律相談ではありませんので、具体的な事案での告知の要否について判断が必要な場合は、弁護士または取引を依頼する宅地建物取引業者にご相談ください。
「事故物件」と いう 言葉に、 明確な 判断基準は ない
国土交通省の「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」に出された資料でも、いわゆる「事故物件」について、実務上、明確な判断基準は定まっていないとされています。国土交通省のガイドラインが扱っているのは「人の死」に関する事案で、文中では「いわゆる心理的瑕疵」という言い方をしています。
法律の側で問題になっているのは、「買主・借主が判断に影響を受ける事実を、宅地建物取引業者が伝えたかどうか」という点です。宅地建物取引業者は、取引の相手方に対して、判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりしてはならないという義務を負っています(宅地建物取引業法第47条ほか)。
問題は、その「重要な影響を及ぼす事項」に、過去に人が亡くなった事実がどこまで含まれるのかが、長らく明確でなかったことです。売主も業者も、どこまで伝えるべきかを判断できず、判断がばらつく状態が続いていました。
売主は事実を告知書に書き、宅地建物取引業者は判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げなかったり不実のことを告げたりしてはならず、買主はその事実をもとに判断する
売主・業者・買主の間の義務
- 1
売主
事実を告知書に正確に書く
- 2
宅地建物取引業者
判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりしてはならない(宅地建物取引業法第47条ほか)
- 3
買主
伝えられた事実をもとに判断する
国土交通省の ガイドラインが、 何を 整理したのか
ガイドラインは業者の指針であり免罪符ではなく居住用不動産が対象である
ガイドラインの位置づけ3つのポイント
売主への直接の法令ではない
業者の指針だが、売主自身も買主に対し直接の責任を問われうる立場にある。
免罪符ではない
ガイドラインに沿っても責任を負わないわけではなく、個別事案は裁判所が判断する。
対象は居住用の不動産
ガイドラインの対象は、住宅として用いられる居住用の不動産である。
その状況を受けて、国土交通省は宅地建物取引業者向けの指針を策定・公表しました。「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました(国土交通省)がその公表資料です。まずこの一次資料をご自身の目で確認していただくことを、強くお勧めします。
ガイドラインの位置づけについて、最初に3点押さえてください。
第一に、これは宅地建物取引業者が取るべき対応の指針であって、売主個人を直接に規律する法令ではありません。 ただし、売主に責任がないという意味ではありません。ガイドラインは制定の背景として、売主・貸主は把握している事実を買主・借主に告知する必要があり、過去の裁判例では、取引目的、事案の内容、事案発生からの時間の経過、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上の告知義務の有無が判断されている、と整理しています(同ガイドラインが挙げる裁判例は、高松高判平成26年6月19日、東京地判平成22年3月8日、大阪高判平成26年9月18日等)。このうち高松高判平成26年6月19日は、ガイドラインの別の箇所で、媒介を行う業者は契約後・引渡しまでに知った事案についても告知義務がある、とした裁判例として挙げられています。売主自身が、業者とは別に、買主に対して直接の責任を問われうる立場にあるということです。
第二に、ガイドラインに沿って対応していれば、どんな場合でも責任を負わないというものではありません。 個別の事案では、裁判所が事情を踏まえて判断します。
第三に、対象は居住用の不動産です。 ガイドラインは、住宅として用いられる不動産(居住用不動産)は人が継続的に生活する場であり、人の死に関する事案が取引の判断に影響を及ぼす度合いが高いとして、居住用不動産を取り扱うとしています。オフィスなど事業用の不動産はこのガイドラインの対象ではありません。また、搬送先の病院で亡くなった場合の扱いや、転落により亡くなった場合の落下開始地点の扱いも、建物を取り壊した後の土地取引(後述のQ5)と並んで、現時点ではガイドラインの対象外とされています。事業用の物件で事案があった場合は、ガイドラインの線引きをそのまま当てはめず、取引を依頼する業者や弁護士に個別に確認してください。
「事故物件の告知義務の前提:法律上の定義と、国交省ガイドラインの位置づけ」について、そのまま聞けます。
事故物件の 告知義務を 分ける 6つの 柱と、 「聞かれたら 答える」

1. ガイドラインが 示している 考え方の 柱
柱1:原則として、告げるべき対象は「取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合」である。 人が亡くなったという事実がすべて一律に告知対象になるわけではなく、その事実の内容によって扱いが分かれるという整理です。
柱2:自然死や、日常生活の中での不慮の事故による死については、原則として告げなくてよいとされている。 老衰や病死といった自然死は、居住用の建物であればどこでも起こりうるものであり、それ自体が直ちに買主の判断に重要な影響を及ぼすとは考えられない、という理由です。ただし後述する例外があります。
柱3:自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死(他殺・自死・事故死など)が発生した場合や、特殊清掃等が行われた場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げなければならない、とされている。 賃貸でおおむね3年が過ぎた場合(柱5)や隣接住戸の事案(後述のQ3)のように原則として告げなくてよいとされる場面でも、事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案は、「告げなくてよい」の扱いを受けません。
柱4:自然死等であっても、発見が遅れて特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、原則として告げなくてよい側から外れ、柱3と同じく、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げなければならない、とされている。 ここが実務上いちばん見落とされやすい点で、ガイドラインは、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合を、原則の側から外しています。死因の区分(自然死かどうか)に加えて、「その後に特殊清掃等が行われたか」でも扱いが変わるということです。ご家族が病気で亡くなった場合でも、発見が遅れて特殊清掃が入っていれば、扱いは変わります。
自然死でも特殊清掃が行われ相手方の判断に重要な影響を及ぼす場合は告知が必要であり、売買に期間の明確な区切りはない
祖母が自宅で老衰で亡くなりました。これは告知が必要ですか
老衰などの自然死は原則として告知不要ですが、発見が遅れて特殊清掃等が行われた場合は告知が必要になることがあります。
- 原則: 老衰や病死などの自然死は原則告知不要
- 例外: 特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合
- 対応: 迷う要素があれば業者にすべて伝えて判断を仰ぐ
柱5:賃貸借取引については、おおむね3年が経過した後は、原則として借主に告げなくてよいという考え方が示されている。 3年の数え始めは事案によって違います。自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死は、その死が発生してから、特殊清掃等が行われた自然死等は、その死が発覚してから数えます。ガイドラインは、賃貸借取引の対象となる住戸そのものだけでなく、借主が日常生活において通常使用する必要があり、住み心地の良さに影響を与えると考えられる集合住宅の共用部分についても、賃貸借取引の対象不動産と同様に扱うとしています。共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち日常的に使う部分や、ベランダのように専用使用が可能な部分が、その例として挙げられています。ただし、事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案はこの限りではないとされています。そして売買については、この3年のような期間による区切りは示されていません。 つまり、売却の場面では「何年経ったから言わなくてよい」という線引きを自分で引かないことが安全です。
柱6:発覚から経過した期間や死因にかかわらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等には、告げる必要があるとされている。 柱2から柱5までは「原則としてどうするか」の話ですが、この柱6はその原則の上に重ねて置かれている部分です。ガイドライン本文(別紙2 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(PDF・国土交通省))でも、告げなくてもよい場合と告げる必要がある場合を整理したうえで、それらに「かかわらず」問われた場合等には告げる必要がある、という順序で書かれています。
2. 「聞かれたら 答える」は、 原則の 上に 重なる
「自然死だから告げなくてよい」「3年経ったから告げなくてよい」という整理は、買主や借主が何も尋ねてこなかった場合の原則です。ガイドラインは、この原則にかかわらず、期間の経過や死因を問わず、買主・借主から事案の有無について問われた場合には、調査を通じて判明した点を告げる必要があるという考え方を示しています。同じく、社会的影響の大きさから買主・借主が把握しておくべき特段の事情があると業者側が認識した場合等も同様です。
したがって、次のような理解は誤りです。
誤り1:「原則として告げなくてよい事案なら、聞かれても答えなくてよい」。 そうではなく、問われた時点で、その事案は相手方の判断に重要な影響を及ぼすものとして扱われる、という整理です。
誤り2:「3年経ったのだから、聞かれたら『ありません』と答えてよい」。 これも違います。期間の経過は、こちらから積極的に告げるかどうかの話であって、事実と異なる回答をしてよいという話ではありません。宅地建物取引業者には、不実のことを告げてはならないという義務があります。
誤り3:「調べきれなかったことは、答えなくてよい」。 調査先である売主・貸主・管理業者から不明と回答された場合や回答がなかった場合には、その旨を告げれば足りるとされています。「分からない」という回答も、回答であり、黙るのとは違います。
買主が尋ねてくる可能性を前提に準備してください。 買主から「この部屋で人が亡くなったことはありますか」と問われた場合、ガイドラインは、業者が把握している事実を告げる必要があるとしています。そのとき、売主が業者に事実を伝えていなければ、業者は答えようがなく、後から発覚したときの説明もできません。「聞かれなければ黙っていよう」という設計は、この柱6によって最初から成り立たないとお考えください。
自然死や日常生活の中での不慮の死と、隣接住戸の事案は、原則として告げなくてよいとされる
事案別の告知義務の原則と例外
| 事案・状況 | 原則・目安 | 例外・注意点 |
|---|---|---|
| 老衰や病死などの自然死 | 原則として告げなくてよい | 特殊清掃等が行われた場合は告げる必要がある |
| 経過期間(売買) | 明確な区切りは示されていない | 問われた場合は告げる必要がある |
| 経過期間(賃貸借) | おおむね3年経過後は告げなくてよい | 問われた場合は告げる必要がある |
| 隣接住戸での事案 | 原則として告げなくてよい | 事件性・周知性等がある場合は例外 |
| 日常使用しない共用部分 | 原則として告げなくてよい | 事件性・周知性等がある場合は例外 |
3. 判断に 迷った とき (ここからは 当社の 実務上の 助言です)
ガイドラインは、告げなくてもよい場合と告げる必要がある場合の一般的な基準を示していますが、その境目にある事案で迷ったときにどうするかまでを決めているわけではありません。迷ったら、把握している事実は業者にすべて伝え、告知書にも書いてください。
理由は、伏せた場合のリスクが非対称だからです。告げたうえで売れば、価格には反映されますが、それで取引は終わります。伏せて売った場合、後から発覚すれば、売主自身が買主から責任を問われえます。前述の信義則上の告知義務のほか、引き渡した物件が契約の内容に適合しない場合の買主の権利(追完の請求・代金の減額の請求・損害賠償の請求・契約の解除)は、業者ではなく売主に向けられるものです(民法第562条〜第564条)。過去の事案がこれにあたるかは個別の判断になりますが、ガイドラインも、媒介を行う業者は売主に対し、事案の存在を故意に告知しなかった場合等には民事上の責任を問われる可能性があることをあらかじめ伝えることが望ましい、としています。価格差を惜しんだ結果、取引そのものが巻き戻るという形が最も損失の大きい結末です。
伏せ通せる前提で、売却の計画を立てないでください。
事故物件の 売却価格に 効く 5つの 要素と、 相場の 数字の 読み方

国土交通省の検討会に出された資料でも、減価の程度は瑕疵の内容や背景によって変わるとされています。
1. 価格に 効く 5つの 要素
要素1:どのような事案だったか。 前述のとおり、自然死で特殊清掃も不要だった場合と、事件性のある事案とでは、買主の受け止めが大きく異なります。
要素2:どれくらい前の出来事か。 売買では、ガイドラインに期間による明確な区切りは示されていません。ガイドラインは、いわゆる心理的瑕疵は時間の経過とともに希釈され、やがて消滅するとの裁判例があることにも触れています。
要素3:その後に何が行われたか。 特殊清掃、内装の全面的な更新、間取りの変更、建物の解体。ガイドラインでは、孤独死などが発生した住居において原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービスを、いわゆる特殊清掃として説明しています。
要素4:物件の種類と用途。 ガイドラインが対象にしているのは居住用の不動産です。人が継続的に生活する場であり、人の死に関する事案が取引の判断に影響を及ぼす度合いが高いと考えられるためです。
要素5:立地と代替性。 ガイドラインでも、心理的瑕疵に当たるかどうかやその継続性の評価は、事案の態様・周知性等や物件の立地等の特性によって異なり、時代や社会の変化に伴い変わる可能性もあるとされています。
事故物件の価格には、事案の中身・経過した期間・その後の工事・物件の種類と用途・立地と代替性の5つが効く
事故物件の価格に効く5つの要素
要素1:どのような事案だったか
自然死で特殊清掃も不要か、事件性があるか
要素2:どれくらい前の出来事か
区切りは無いが、交渉では考えに入る
要素3:その後に何が行われたか
原状に戻す工事が済んでいるか
要素4:物件の種類と用途
投資用は賃料と空室期間で数字になる
要素5:立地と代替性
似た物件が少ないほど影響は小さい
2. 「売れない」のではなく 「買う 人の 層が 変わる」
当社にも、事故物件を買い取り、販売まで終えた事例があります(神奈川県秦野市の戸建て、神奈川県高座郡寒川町の古家付きの土地)。
したがって、売主として考えるべきは「売れるかどうか」ではなく、「いくらで、どれくらいの期間で終わるか」です。
3. 相場を 調べる ときに 気を つける こと
事故物件の価格について「相場の何割引き」といった数字を見かけても、それを判断の基準にしないでください。理由は2つあります。
第一に、集計の中身を確かめられない数字があるからです。 どの事案を、どの期間、どのエリアで集計した数字なのかが書かれていないものは、判断の材料になりません。
第二に、価格に効く要素は物件ごとに異なるからです。 事案の内容、経過期間、その後の工事、物件の用途、立地を、物件ごとに見る必要があります。平均値は、あなたの物件の値段ではありません。
売却の判断で必要なのは、あなたの物件について、実際に買う意思のある相手が出した金額です。複数から取り、金額の根拠の説明が一貫している相手を見てください。
「事故物件の売却価格に効く5つの要素と、相場の数字の読み方」について、そのまま聞けます。
事故物件を 売却する とき、 売主が 取るべき順序と 告知書の 書き方

1. 売主が 取るべき 4つの 順序
事実関係の整理から始まり工事記録の収集と査定を経て選択肢を比べる順序
売主が取るべき4つの手順
- 1
事実関係を時系列で書き出す
告知の要否と価格を決める土台となるため、いつどこで等の経緯を整理する。
- 2
工事の記録を集める
特殊清掃やリフォーム等の記録は原状回復の証拠となり、価格を守る材料になる。
- 3
伝えたうえで査定を取る
隠さず最初から事実を伝えて算出した金額が、実際に手にできる金額となる。
- 4
複数の選択肢を比べる
現況、リフォーム後、解体後などの費用と見込み額、期間を並べて比較する。
売主の側では、次の順序で進めてください。
第一に、事実関係を時系列で書き出す。 いつ、どこで(どの部屋で)、どのような経緯で亡くなったのか、発見までにどれくらいの時間があったか、警察が入ったか、報道されたか。この整理が、告知の要否と価格の両方を決める土台になります。 記憶が曖昧なまま業者に伝えると、後から食い違いが出ます。
第二に、その後に行った工事の記録を集める。 特殊清掃の作業報告書、リフォームの見積書と請求書、廃棄物の処理の記録。これらは、作業が完了していることを示す記録になります。 領収書1枚でも残っていれば出してください。
第三に、伝えたうえで査定を取る。 事案を伏せたまま査定を頼むのではなく、伝えたうえで金額を出してもらってください。比べるのは、事実を伝えたうえで出てきた金額どうしです。
第四に、複数の選択肢を比べる。 現況のまま売る、清掃・リフォームをしてから売る、解体して土地として売る。それぞれの費用と、見込まれる金額と、かかる期間を並べてください。
ここでは、事故物件の売却方法として次の4つを比べます。 ①仲介で買主を探す ②買取業者に売る ③清掃やリフォームをしてから仲介で売る ④解体して土地として売る。①は仲介業者を通じて買主を探す方法、②は買取業者が自ら買主になる方法です。③は、工事をしても告知が不要になるわけではありません。④は、取り壊したあとの土地の取引はガイドラインの対象外とされているため、告知の要否は業者と個別に確認してください。期間と金額のどちらを優先するかを決めてから、比べてください。
オーナーとして所有する賃貸物件で入居者が亡くなった場合は、原状回復の費用負担や残置物の処理が課題になります。 収益物件としての出口の考え方については、収益物件をオーナーチェンジで売るも併せてご覧ください。
2. 告知書 (物件状況等報告書)は 売主が 書く
過去の事案を伝える手段として、売主自身が書く書面があります。
売主が過去の事案を伝える書面として、告知書(物件状況等報告書)があります。ガイドラインは、媒介を行う業者が、売主に対して告知書(物件状況等報告書)その他の書面に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする、と整理しています。業者には、近隣住民への聞き込みやインターネットの調査といった自発的な調査を行う義務まではないとされています。また、売主から不明であると回答された場合や回答が無い場合には、業者はその旨を告げれば足りる、とされています。
過去の事案を業者と買主に伝える手段として、売主が書く告知書があります。 ガイドラインは、売買について、主要な不動産関係団体が提供する告知書にはすでに事件・事故等の事案に係る項目が含まれていること、そして後日トラブルとなり訴訟等に発展した場合でも告知書等が証拠資料になりうることにも触れています。書かなかったことは「伝えなかった」証拠として残り、書いたことは「伝えた」証拠として残ります。
過去の事案は、売主が書く告知書を通じて媒介を行う業者に伝わり、業者が買主への重要事項の説明や契約書面の記載に反映させる
告知書が買主へ伝わる経路
- 1
売主
分かる事実を書き、不明な点は「不明」
- 2
媒介を行う業者
告知書(物件状況等報告書)その他の書面に過去に生じた事案についての記載を求める(ガイドライン)
- 3
買主
重要事項の説明や契約書面の記載で伝わる
買主への伝え方は業者の仕事ですが、事実を告知書に正確に書くのは売主の仕事です。「どう説明すればよいか分からない」と止まる必要はなく、分かっている事実を、分かっている範囲で書けば足ります。分からない点は「不明」と書いてください。なお、ガイドラインは、告げる際には亡くなった方やその遺族等の名誉と生活の平穏に配慮し、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はない、としています。
告知書の記入に備えて書き出しておく7項目。 これはこの記事で整理したもので、ガイドラインが定めた項目ではありません。告知書の記入に使ってください。発生した日付(おおよそで構いません)、発生した場所(建物のどの部分か)、経緯と死因(自然死・他殺・自死・事故死等の別。分からなければその旨)、発見までのおおよその期間、警察や消防が入ったかどうか、報道されたかどうか、その後に行った工事の内容と時期。
当社が買主となる買取の場合も、この整理は同じです。 当社は、現地を見てご提示した金額を、後から理由なく下げることはしません。逆に、伝えられていない事実が契約後に判明した場合は、通常の売買と同じ問題になります。買取だから曖昧でよい、ということはありません。
3. 心理的な 負担と、 意思決定の 順番
この分野の相談で、価格や制度と同じくらい重いのが、売主ご自身の気持ちの問題です。ご家族が亡くなった家を売ること自体に抵抗がある、親族の間で意見が割れている、近所に知られたくない。こうした事情があるときこそ、判断の材料を先にそろえてください。
「売るかどうか」と「いくらになるか」は、分けて考えてください。 金額を知ることは、売ることを決めることではありません。
「気持ちの整理がつくまで待つ」という判断そのものは尊重されるべきです。待つ場合も、判断の材料だけは先に手元に置いてください。
急いで決める必要はありません。ただ、判断材料だけは早く手元に置いてください。 数字を見てから、いつ動くかを決めるという順番であれば、選択の幅は残ります。
「事故物件を売却するとき、売主が取るべき順序と告知書の書き方」について、そのまま聞けます。
事故物件を 当社が 買い取る 場合の 流れと、 金額が 低くなる 理由

当社が 買主に なる 場合の、 3つの 違い
実務上の違いは3点です。
第一に、当社が買主として直接買い取ります。 一括査定ではありません。
第二に、ご相談の内容を、営業目的で他社に渡すことはありません。
第三に、現地を見てご提示した金額を、後から理由なく下げることはしません。
買取でも、 すぐには 決済まで 進めない 場面
買取であっても、当社がお引き受けできない場面があります。相続人の一部と連絡が取れず、売主が誰か確定していない場合と、共有者の一部が売却に反対しており、持分だけの売買も希望されていない場合です。お引き受けできない場合は、その理由をお伝えします。
金額と 手取りの 比べ方
譲渡所得は給与などとは分けて計算する分離課税ですので(No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(国税庁))、比べるべきは提示額ではなく、税と費用を引いた後の手取りです。
ご相談の際は、上の7項目と、物件の所在地・種別・名義の状況をお書きください。
相続で受け継いだ家を空き家のまま置いている場合の税と行政上のリスクは、空き家の買取と放置リスクに整理しています。相続人が複数で意思決定が止まっている場合は、共有持分の売却も併せてご覧ください。
「事故物件を当社が買い取る場合の流れと、金額が低くなる理由」について、そのまま聞けます。
事故物件の 告知義務は、 死因・ 特殊清掃の 有無・ 問われたか どうかで 分かれる

- 「事故物件」に明確な判断基準はなく、実務で問われているのは買主の判断に重要な影響を及ぼす事実を伝えたかどうかです。国土交通省のガイドラインは、自然死や日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてよい一方、それ以外の死や、特殊清掃等が行われた場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げなければならないという整理を示しています。死因の区分に加えて、その後に特殊清掃等が行われたかでも扱いが変わります。
- 期間による区切りが示されているのは賃貸借取引(対象の住戸と、借主が日常的に使う集合住宅の共用部分についておおむね3年)であって、売買ではありませんので、経過年数を理由に自分で線を引かないでください。問われた場合には告げる必要がある、という点も忘れないでください。ガイドラインの対象は居住用不動産です。そして売主は、告知書に事実を書く当事者であり、信義則上の告知義務や契約不適合責任を直接負いうる立場にあります。判断に迷ったら、事実は業者にすべて伝えてください(これはガイドラインではなく当社の実務上の助言です)。伏せて売った場合のリスクは、価格差よりはるかに大きくなりえます。
- 事実を先に整理し、工事の記録を集め、伝えたうえで金額を取ってください。決め手になるのは金額よりも、告知を誰が・いつ・どの形で行うかを先に決めておくことです。そこが決まっていれば、価格の話は後から動かせます。
当社は、伝えていただいた事実を把握したうえで、買主として直接購入します。査定は無料です。
通話料無料・全国対応
時間外と定休日のお電話も担当の携帯に転送されるので、直接責任者につながります。
この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。
事故物件の 告知義務と 売却で、 よく ある 質問

Q1. 祖母が 自宅で 老衰で 亡くなりました。 これは 告知が 必要ですか
ガイドラインでは、老衰や病死といった自然死については、原則として告げなくてよいという整理が示されています。ただし、発見が遅れて特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、原則の側から外れ、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げなければならないとされています。 ご自宅で亡くなり、速やかに発見され、通常の清掃で足りたという事案であれば、原則の側に当たると考えられます。判断に迷う要素があれば、取引を依頼する業者にすべて伝えたうえで判断を仰いでください。
Q2. 何年経てば 言わなくて よくなりますか
売買については、期間による明確な区切りは示されていません。 賃貸借取引については、おおむね3年(自然死等以外の死は発生から、特殊清掃等が行われた自然死等は発覚から)の経過後は原則として借主に告げなくてよいという考え方が示されており、これは対象となる住戸だけでなく、借主が日常生活において通常使用する集合住宅の共用部分にも同様に及ぶとされていますが、売買に同じ線を当てはめることはできません。売却の場面では、経過年数を理由に自分で「もう言わなくてよい」と判断しないでください。また、期間が経過していても、買主・借主から事案の有無を問われた場合には告げる必要があるとされています。
Q3. 隣の 部屋で 起きた ことも 伝える 必要が ありますか
ガイドラインは、隣接住戸で発生した事案について、売買・賃貸のいずれの場合も、原則として告げなくてよいという考え方を示しています。取引の対象となっているのはあくまでご自身の住戸であり、隣の住戸で自然死以外の死が発生した場合や、特殊清掃等が行われた場合であっても、原則の側に整理されています。買主・借主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分(普段使わない階段や区画など)も、同じ扱いです。
ただし、注意点が2つあります。第一に、事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案は、この原則の対象外とされています。第二に、買主・借主から問われた場合の扱い(柱6)が隣接住戸の事案にどこまで及ぶかは、業者に確認してください。
なお、日常的に使う共用部分(共用の玄関・エレベーター・廊下・階段など)の扱いも、隣接住戸とは分けて業者に確認してください。いずれにせよ、把握している事実は業者にすべて伝えたうえで、告知の要否の判断は業者に委ねるのが安全です。
Q4. 特殊清掃を すれば 告知しなくて よくなりますか
なりません。清掃やリフォームは、原状を回復するための工事であって、過去の事実を消すものではありません。 作業の記録は必ず残して、査定の際にご提示ください。
Q5. 建物を 解体して 更地に すれば、 伝えなくて よくなりますか
建物を取り壊しても、告知の要否が当然に消えるとは言えません。 国土交通省のガイドライン自身が、人の死が生じた建物が取り壊された場合の土地取引の扱いは、一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や取引実務の蓄積がないとして、現時点ではガイドラインの対象にしていないと明記しています。つまり、更地にした後の告知の要否には、ガイドラインの線引きを当てはめられません。国土交通省の検討会に出された資料でも、建物内で自殺等があった場合に建物を解体したときの説明義務の有無が、実務上の課題として挙げられていました。解体を検討する場合も、事実は業者に伝えたうえで、解体費も含めて、解体前と解体後の見込み額を比べてご判断ください。
Q6. 相続した 家が 事故物件でした。 相続放棄した ほうが よいですか
相続放棄は、その不動産だけを切り離す制度ではなく、その方の相続そのものを放棄する制度ですので、預貯金など他の財産も受け取れなくなります。また、放棄の時点でその財産を現に占有していた場合には、引渡しまでの保存義務が残ることがあります。判断の前に、相続放棄と管理義務をお読みください。売却で解決できる範囲かどうかを、査定額を見てから判断しても遅くありません。
Q7. 査定を 頼んだら 必ず 売らなければいけませんか
その必要はありません。査定は無料で、売却の義務はありません。 査定額を見てから、売るかどうかをご判断ください。
自然死は原則告知不要だが、特殊清掃が行われ相手方の判断に重要な影響を及ぼす場合は告知が必要になる
自然死と特殊清掃が行われた場合の告知
| 観点 | 自然死(通常の清掃) | 特殊清掃等が行われた場合 |
|---|---|---|
| 死因・発見状況 | 老衰や病死で速やかに発見 | 発見が遅れた場合など |
| 行われた作業 | 通常の清掃で足りた | 特殊清掃や大規模なリフォーム |
| 告知の要否 | 原則として告げなくてよい | 重要な影響を及ぼす場合は告げる |
当社の 見方
告知が必要な物件について、当社が売主さまにお願いしていることを書いておきます。伏せていただく必要はありません。当社は宅地建物取引業の免許を受けて営んでおり、取引態様は買主です。お受けできる地域は全国47都道府県です。困るのは、後から出てくることです。
当社は買主として自ら買い取りますので、次にこの家を扱うのは当社です。事情を伺ったうえでお引き受けが難しいと判断した場合も、その理由も包み隠さず申し添えます。黙ってお断りはしません。
2025年に当社が買い取った件数は200〜300件です。現地を見てからお示しした金額を、あとになって理由もなく下げることはしません。価格をお示しするまではご相談から30分ほどが目安で、ご契約までは1〜2週間、お引き渡しは早ければ2週間以内、代金はお引き渡しの日にお支払いします。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
藤山 大二郎株式会社リアテクス 代表取締役CEO著書『大家なら!今すぐ不動産業を開業しよう! 不動産投資家から起業家へ』(スタンダーズ)で、大家業から不動産業へ踏み出す道筋を書きました。- 監修
鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。この記事は監修者本人が内容を確認しています(2026年10月3日)。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:藤山 大二郎(株式会社リアテクス 代表取締役CEO)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 出典:国土交通省、国税庁
- 記事の作り方
- この記事は、当社の担当者が事実確認を行ったうえで公開しています。
出典(6件・に確認)
- mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html
- mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf
- laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
- laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
- mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001405334.pdf
更新履歴
- 第2版検索結果に表示される説明文と、冒頭の結論の一文を、分かりやすい言い方に直しました。
- 第1版公開




























