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相続

実家の名義変更の税金はいくら?相続は0.4%・贈与は2%

公開 更新

執筆
株式会社リアテクス リアテクス編集部
監修
株式会社リアテクス 執行役員 鶴野 博之(宅地建物取引士(東京)第257503号)
実家の名義変更の税金はいくら?相続は0.4%・贈与は2%

「家の名義を変更したら、相続税がかかるのでしょうか」。売る予定のある実家は、相続登記で名義を移せば税金は評価額の1000分の4の登録免許税で済み、売るときに空き家の3,000万円控除か取得費加算を使える余地も残ります。

相続登記が済んでいない実家もいまの状態のままご相談を受け、名義の移転と代金の支払いを決済の同じ日に行いますが、親が存命で名義人ご本人の売る意思を確かめられない家は買い取れません。買取価格は、買った後の改修費などを差し引くため、仲介で売れた場合の見込みより低くなります。相続した家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)

目次(9章)

名義変更が済んでいない実家も、そのまま相談できます

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親が亡くなって実家の名義を子に移すとき、法務局に納める税金は登録免許税の1種類です。贈与税と不動産取得税はかからず、相続税は名義を変えるかどうかに関係なく、遺産の総額で決まります。税金の種類が増えるのは、親が元気なうちに贈与で名義を移した場合と、相続した実家を売って利益が出た場合の2つです。

実家の名義変更の税金はいくら?相続は0.4%・贈与は2%の要点を、定義・この記事でわかること・よくある質問の順に短くまとめた動画です。

実家の名義変更の税金はいくら?相続なら評価額の0.4%

相続で実家の名義を移すときの税金は登録免許税で、固定資産税評価額の1000分の4です。評価額が1,200万円なら4万8,000円です。国税庁の登録免許税の税額表は、相続による所有権の移転を1000分の4、贈与による移転を1000分の20と分けて定めています。同じ家でも、移し方が違うだけで税率は5倍になります。

葬儀と役所の届出がひと通り済み、春に届いた固定資産税の納税通知書が親の名前のまま手元にある。名義のことを考え始めるのは、たいていこの時期です。通知書の課税明細には土地と建物の評価額が載っています。税額は電卓1つで出せます。

相続登記で名義を移すときにかかる税金

相続登記で納める税金は登録免許税だけで、申請書に収入印紙を貼って法務局に出します。相続で取得した不動産には、都道府県の不動産取得税もかかりません。地方税法第73条の7が、相続による不動産の取得を非課税の取得として挙げているためです。

贈与税もかかりません。親から相続で受け継いだ財産は相続税の側で扱われるからです。兄弟で話し合い、長男が実家を、次男が預金を受け継ぐと決めた場合も、長男の名義にする登記は相続による移転です。率は1000分の4のままです(国税庁の登録免許税の税額表)。

税金以外の出費には、戸籍や住民票を集める手数料と、司法書士に頼む場合の報酬があります。これらは税ではありません。税額表の率とは別に見積もってください。

名義の移し方による登録免許税の税率比較

  • 相続による移転4/1000
  • 贈与による移転20/1000

生前贈与で名義を移すと、税金が3種類に増える

親が生きているうちに子へ名義を移すと、その移転は贈与になり、贈与税・登録免許税・不動産取得税の3種類がかかります。

贈与税は、実家を受け取った子が納めます。受け取った翌年に申告し、暦年課税か相続時精算課税のどちらかで計算します。2つの方式でどう違うかは、「生前贈与と相続、実家の名義変更はどちらが税金が安い?」の章の評価額1,200万円の例で確かめてください。

登録免許税は、国税庁の税額表で贈与による移転が1000分の20です。相続の5倍の率が、評価額の全体にかかります。

不動産取得税は、不動産を取得した人に都道府県が課す税で、贈与による取得は課税の対象です(地方税法第73条の2)。名義変更から数か月たって都道府県から納税通知書が届き、そこで初めて気づくことがあります。税額は都道府県の税事務所が評価額をもとに計算します。贈与を決める前に、実家の所在地の都道府県税事務所で概算を聞いてください。後で慌てずに済みます。

固定資産税評価額で、自分の実家の税額を出してみる

例として、土地の評価額が900万円、建物の評価額が300万円、合わせて1,200万円の実家で計算します。相続登記なら1,200万円に1000分の4をかけて4万8,000円、贈与なら1000分の20をかけて24万円です(率は国税庁の登録免許税の税額表)。

古い木造の家は、建物の評価額が年を追って下がります。そのため、税額のほとんどを土地の評価額が占めることが多くなります。課税明細の「価格」や「評価額」の欄を土地と建物で足し、その合計に率をかけてください。固定資産税の「課税標準額」は住宅用地の特例で小さくなっていることがあるので、登録免許税の計算には使いません。

私道の持分や、物置として別に登記された建物があれば、それも名義変更の対象です。評価額に含めて計算します。課税明細に載っていない私道は、市区町村で名寄帳を取ると見つかることがあります。

相続登記と生前贈与の税金の違い

税金の種類相続登記で移す場合生前贈与で移す場合
登録免許税評価額の1000分の4評価額の1000分の20
不動産取得税非課税の取得(地方税法第73条の7)対象になる
贈与税相続税の側で扱うため対象外対象になる

実家の名義変更で相続税はかかる?相続放棄との境目と基本知識

和室の畳の上で、話し合っている家族(遺産分割について)

相続税がかかるのは、名義を変えたからではなく、遺産を受け継いだからです。相続登記をしてもしなくても税額は変わりません。名義変更とは別に、相続放棄には相続を知った時から3か月という期限があり(民法第915条第1項)、実家を受け継ぐかどうかはその内側で決めます。

四十九日のころ、親の預金通帳と実家の権利証が手元にそろい、「名義を変えたら税金がかかるのでは」と手続を止めている。その間も、放棄の3か月は進んでいます。先に決めるのは、受け継ぐか放棄するかです。名義をいつ移すかは、その後で構いません。

相続税の有無は、遺産の総額で先に決まっている

相続税がかかるかどうかは、遺産の総額で決まります。親が亡くなった時点の総額が、相続人の数で決まる基礎控除を超えるかどうかを見ます。実家の名義を移す手続は、その計算に何も足さず、何も引きません。名義変更が済んでいなくても相続税の申告期限は来ますし、名義変更を急いでも税額は下がりません。

申告で実家の価値を出すときは、土地と建物で評価の仕方が分かれます。土地は路線価などで出した相続税評価額で、建物は固定資産税評価額をそのまま使って評価します(国税庁の財産評価基本通達)。親と同居していた子が受け継ぐ場合などには、土地の評価を下げる小規模宅地等の特例があります(租税特別措置法第69条の4)。ただし原則として、申告期限までに誰が取得するかが決まっていることが要件の一つです。分け方の話し合いが長引くと、名義変更より先にこの期限が問題になります。

生前に贈与で名義を移した実家は、相続のときに話が戻ってきます。相続時精算課税で受けた財産は、2024年1月1日以後の贈与なら年110万円の基礎控除を引いた後の額を相続財産に足して相続税を計算します(国税庁「相続時精算課税の選択」)。暦年課税でも、亡くなる前の一定期間に受けた贈与は相続財産に加えられます(相続税法第19条)。生前に移したから相続税の対象から外れる、とは限りません。

実家の相続放棄の基本知識:期限は3か月で、実家だけは手放せない

相続放棄は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申し述べる手続です(民法(e-Gov法令検索)第915条第1項)。放棄した人は初めから相続人でなかったことになるため(同法第939条)、実家の名義変更も、その登録免許税も要らなくなります。

ただし、放棄は相続全体についての選択です。実家は要らないが預金は受け取る、という分け方はできません。実家だけを手放したいなら、相続したうえで売るか、他の相続人に取得してもらう話し合いになります。

放棄をしても、放棄の時に実家を現に占有していた人は、次に管理する人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません(同法第940条第1項)。親と同居していた子や、鍵を持って出入りしていた子が、この立場になりやすい人です。放棄後に固定資産税や管理の責任がどうなるかは、「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事で範囲を確かめてから決めてください。

放棄を考えている間は、家財を売ったり建物を取り壊したりしないでください。相続財産を処分すると、相続を受け入れたとみなされて放棄できなくなることがあります(同法第921条)。相続した土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度もあります。ただ、建物が建っている土地は申請できません(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条第3項)。実家を残したままでは使えない制度です。

相続税の有無を決める主な要素

  • 相続税の分かれ目

    遺産の総額が基礎控除を超えるかどうかで決まる

  • 名義変更の影響

    手続の有無や時期は相続税の計算に影響しない

  • 実家の評価額

    固定資産税評価額ではなく路線価等を使う

  • 生前贈与の扱い

    相続時精算課税などは相続財産に足して計算する

名義変更の前に、登記簿で今の名義人を確かめる

名義を移す前に、法務局で実家の登記事項証明書を取ってください。いまの名義人が誰かを見ます。固定資産税の納税通知書が親宛てでも、登記の名義が祖父のまま、ということがあります。

祖父の名義のまま父が亡くなっていれば、数次相続になります。祖父の相続について、父の兄弟やその子まで手続に加わります。名義変更の前に集める戸籍の量も、署名をもらう相手の数も大きく変わります。その場合の進め方は、「数次相続で相続人が多い実家の売却」の記事で、全員の同意が要る場面とそうでない場面を分けてから考えてください。

両親の共有名義になっている実家もよくあります。父が亡くなったなら、相続の対象は父の持分だけです。母の持分は母の名義のまま残ります。名義変更の登録免許税も、父の持分に当たる評価額に率をかけて計算します。

相続放棄の期限と名義変更の順序

  1. 相続を知った時

    相続の開始

    遺産総額で相続税の有無が決まる。放棄の期限の起点。

  2. 知った時から3か月以内

    相続放棄の期限

    実家を受け継ぐか手放すかを決めて家庭裁判所へ申し述べる。

  3. 放棄の期限の後

    実家の名義変更

    受け継ぐと決めた後に行う。急いでも相続税額は変わらない。

「実家の名義変更で相続税はかかる?相続放棄との境目と基本知識」について、そのまま聞けます。

生前贈与と相続、実家の名義変更はどちらが税金が安い?

売る予定のある実家は、税金の合計で比べると相続で名義を移す方が少なく済むことが多く、生前贈与が向くのは限られた場面です。生前贈与では、暦年課税の基礎控除110万円か、相続時精算課税の基礎控除110万円と特別控除2,500万円のどちらかで贈与税を計算します。

親が80代になり、施設への入所を考え始めた家族が「いまのうちに名義を移しておけば後が楽」と話している。この時点では、贈与税よりも、移した後に売るときの税金が見えていないことがほとんどです。贈与するかどうかは、その家を最後にどうするかから決めます。

1. 暦年課税は110万円、相続時精算課税は2,500万円が分かれ目

暦年課税の贈与税は、1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引いた残りに税率をかけて計算します(国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」)。実家を一度に贈与すれば、評価額は110万円を大きく超えます。超えた分に税率がかかります。

持分を毎年少しずつ贈与して110万円の内側に収める方法もあります。ただ、そのたびに贈与の登記をします。1000分の20の登録免許税(国税庁の登録免許税の税額表)と不動産取得税も、毎回納めることになります。何年もかけて移している途中で親が亡くなれば、残りの持分は相続で移ります。

相続時精算課税を選ぶと、2024年1月1日以後の贈与では毎年110万円の基礎控除を先に引き、その残りの累計が特別控除2,500万円に届くまでは贈与税がかかりません。その代わり、基礎控除を引いた後の贈与の額を、相続のときに相続財産に足して相続税を計算します。国税庁の案内のとおり、この方式は一度選ぶと、同じ親からの贈与について暦年課税に戻せません。親と子の年齢にも条件があります。

どちらの方式でも、0円にできるのは贈与税だけです。1000分の20の登録免許税(国税庁の税額表)と不動産取得税は、贈与という移し方そのものにかかります。

生前贈与で名義を移す際の注意点

  • 暦年課税の贈与税

    1年間の合計から基礎控除110万円を引いて計算

  • 相続時精算課税の贈与税

    特別控除2,500万円までかからず相続時に足す

  • どちらもかかる税金

    1000分の20の登録免許税と不動産取得税

2. 同じ実家を贈与と相続で移したときの税金の差

仮に、相続税評価額と固定資産税評価額がどちらも1,200万円の実家で考えます。

相続で移すと、名義変更の税金は登録免許税の4万8,000円だけです。不動産取得税と贈与税はかかりません。

暦年課税で一度に贈与すると、1,200万円から110万円を引いた1,090万円に贈与税の税率がかかります。贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の子が親から受ける場合は特例税率を使い、1,090万円×40%−190万円=246万円です(国税庁 No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」)。そのうえで登録免許税が24万円、不動産取得税が都道府県から別にかかります。

相続時精算課税で贈与すると、2024年1月1日以後の贈与では年110万円の基礎控除を先に引けます。残る1,090万円は特別控除2,500万円の内側なので、贈与税は0円です。それでも登録免許税の24万円と不動産取得税は残ります。さらに、基礎控除を引いた1,090万円が、親の相続のときに相続財産へ足し戻されます。

差が大きく開くのは、売る段階です。国税庁の空き家の特例の案内では、対象は相続または遺贈で取得した家屋と敷地とされています。生前に贈与で受け取った実家は、空き家の3,000万円控除の対象になりません。贈与で移した後に売ると、名義変更で多く払ったうえに、売却の利益をこの控除で消せない、という二重の差になります。

3. 相続前に実家を売却するメリットと、親の判断能力

名義を子に移さず、親が生きているうちに親自身が売る道もあります。相続前に実家を売却するメリットは、名義変更の税金がかからないことと、相続のときに不動産ではなく現金を分ければよくなることです。

親がその家に住んでいたなら、居住用財産を売ったときの3,000万円の特別控除(租税特別措置法第35条第1項)を、売った親が要件を満たして使える場合があります。施設に入って住まなくなった後の売却では、住まなくなってからの期間で使えるかが分かれます。売る前に税務署で確かめてください。

注意するのは、売る人が親本人だという点です。契約にも決済にも親の意思の確認が要ります。認知症などで判断が難しくなっていると、子が代わりに署名して売ることはできません。その場合は、「親が認知症で家を売る方法」の記事で、成年後見が必要になる場合と例外を見てから進め方を決めてください。

売って得たお金は親の財産として残り、親が亡くなれば相続財産になります。相続税がかかる規模の家では、実家のまま相続していれば使えた小規模宅地等の特例が、現金では使えません。この点も頭に置いておきます。

暦年課税と相続時精算課税の違い

観点暦年課税相続時精算課税
贈与税がかからない範囲基礎控除110万円まで特別控除2,500万円まで
実家を一度に贈与した場合110万円を超え、贈与税がかかる2,500万円までなら贈与税0円
相続時の扱い移す途中で親が亡くなれば残りは相続贈与した財産を相続財産に足して計算
登録免許税・不動産取得税かかる(分けるたびに毎回納める)かかる

実家の名義変更をしないとどうなる?相続を知ってから3年の期限

相続で実家を取得したと知った日から3年以内に相続登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。法務省の相続登記の申請義務化の案内のとおり、この義務は2024年4月1日に始まり、それより前に始まった相続にも及びます。

売るか迷っているうちに1年、2年と過ぎ、固定資産税だけは毎年払っている。この状態で次に起きるのは、期限の到来と、相続人の誰かが亡くなって手続に加わる人が増えることです。名義変更を後回しにしているなら、先に自分の期限の日付を出してください。

1. 3年の期限は「知った日」と「2024年4月1日」の遅い方から数える

期限の起点は、亡くなった日ではなく、相続で取得したと知った日です(不動産登記法第76条の2第1項)。2024年4月1日より前から知っていた場合は、施行日と知った日の遅い方から数えます。つまり施行日から3年で、2027年3月31日が期限です(法務省の同じ案内)。

例えば、父が2021年に亡くなり、その時から実家を相続したと知っていた子の期限は、2027年3月31日です。2025年4月に母が亡くなり、その月に知った子の期限は2028年4月になります。父の死亡は2023年でも、遠方の実家の存在を2025年になって知った、という場合は、知った日から3年で数えます。

遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、期限は進みます。分け方が決まらない間の手当ては、この章の「3. 期限に間に合わないときの相続人申告登記と、その限界」にあります。

親の名義のまま実家を売却する手順

  1. 1

    売却の契約を結ぶ

    名義が親のままでも、実家を受け継いだ相続人が契約できる。

  2. 2

    決済前に相続登記をする

    決済の日までに、親から相続人へ名義を移す手続を終える。

  3. 3

    決済と引渡し

    相続登記が済んだ状態で、代金の受け取りと引渡しを行う。

2. 名義が親のままでも契約はできるが、決済の前に相続登記が要る

相続人は、親が亡くなった時から実家の所有権を受け継いでいます(民法第896条)。そのため、名義が親のままでも、相続人が売主として売買契約を結ぶことはできます。

止まるのは、代金と引換えに買主へ名義を移す決済の日です。登記簿の名義が親のままでは、親から買主へ直接移すことはできません。親から相続人への相続登記を先に済ませる必要があります。契約の段階で、相続登記をいつまでに終えるかを、決済日から逆算して決めておきます。

名義を移さないまま年数がたつと、相続人の誰かが亡くなることがあります。その人の配偶者や子が、新しく相続人に加わります。人数が増えるほど、集める戸籍も、署名をもらう相手も増えます。名義変更の率は1000分の4(国税庁の登録免許税の税額表)で、人数が増えても変わりません。延びるのは手続にかかる時間の方です。

相続登記の3年の期限の数え方

  1. 2024年4月1日より前

    相続を知った場合

    義務化の開始日である2024年4月1日が期限の起点になる。

  2. 2024年4月1日以降

    新たに相続を知った場合

    亡くなった日ではなく、知った日そのものが期限の起点になる。

  3. 起点から3年以内

    相続登記の期限

    2024年4月1日より前に知っていた場合の期限は2027年3月31日。

3. 期限に間に合わないときの相続人申告登記と、その限界

遺産分割がまとまらず3年の期限に間に合いそうにないときは、相続人申告登記という方法があります。相続が始まったことと自分が相続人であることを登記官に申し出るもので(不動産登記法第76条の3第1項)、他の相続人の協力がなくても1人で申し出られます。

申し出た人は、相続登記の義務を果たしたものとして扱われます。ただ、この登記で登記簿に載るのは、相続人であるという事実だけです。誰がどれだけの持分を持つかは載りません。そのため、相続人申告登記のままでは実家を売れず、売るときには改めて相続登記が要ります。過料を避ける手当てであって、売却の準備にはならないと分けて考えてください。

「実家の名義変更をしないとどうなる?相続を知ってから3年の期限」について、そのまま聞けます。

相続した実家を売却するときの税金は?3,000万円控除と取得費加算

実家の居間で、売却に向けて掃除機をかけている夫婦

相続した実家を売って利益が出ると、譲渡所得に税金がかかります。条件が合えば、空き家の3,000万円控除か取得費加算のどちらかで減らせます。どちらを使えるかは、名義を相続で移したか、相続税を納めたか、いつ売るかで決まります。

相続登記を終え、不動産会社から査定額が届いた段階を思い浮かべてください。売り方を決める前に、売った翌年の確定申告で納める税金を見積もっておかないと、手取りの比べ方を誤ります。

1. 実家を売却する方法と、利益にかかる税金の仕組み

相続した実家を売却する方法は2つあります。不動産会社の仲介で個人の買い手を探す方法と、買取業者に直接売る方法です。相続人が複数いて現金で分けたいときは、売ったお金を分ける前提で話し合います。相続登記の名義を誰にするかを遺産分割協議で決めてから売ります。なお、相続の前であれば、この2つとは別に親自身が売る道があります。その場合は、「生前贈与と相続、実家の名義変更はどちらが税金が安い?」の章の居住用財産の控除が関わります。

どの方法で売っても、税金の計算は同じです。売った金額から、取得費と、仲介手数料などの譲渡費用を引いた残りが譲渡所得です。そこに所得税と住民税がかかります。

相続した実家の取得費と取得時期は、親が買ったときのものを引き継ぎます(所得税法第60条第1項)。親が長く持っていた家なら、子が相続してまもなく売っても、所有期間が5年を超える長期譲渡所得として扱われます。所得税は15%で計算します(租税特別措置法第31条)。

親が買ったときの契約書が見つからないと、売った金額の5%を取得費とする概算の扱いになります(国税庁「取得費が分からないとき」)。例えば1,000万円で売れた実家で考えます。取得費が50万円、仲介手数料などの譲渡費用が40万円なら、譲渡所得は910万円です。控除が何も使えなければ、所得税だけで136万5,000円です。これに復興特別所得税と住民税が加わります(税率は租税特別措置法第31条)。

売った翌年には確定申告が要ります。申告が要る人と添える書類は、「不動産売却で確定申告が必要な人」の記事で自分が当てはまるかを確かめてください。

実家を売却したときの税金の計算手順

  1. 1

    取得費を決める

    親が買った時の額か、不明なら売った金額の5%を概算とする。

  2. 2

    譲渡所得を計算する

    売った金額から、取得費と仲介手数料などの譲渡費用を引く。

  3. 3

    税額を計算する

    譲渡所得に所得税15%や住民税をかけて税額を出す。

2. 空き家の3,000万円控除と取得費加算は、名義の移し方で使えるかが決まる

空き家の特例は、相続または遺贈で取得した、親が住んでいた家とその敷地を売ったときに、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です(国税庁 No.3306)。主な要件には、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、相続の直前に親が一人で住んでいたこと、相続後に貸したり住んだりしていないこと、売却代金が1億円以下であることがあります。売る期限は、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。

家を残して売るなら耐震基準に合わせ、合わせないなら取り壊して敷地を売る、という家屋の状態の要件もあります。令和6年1月1日以後の譲渡では、売った時から翌年2月15日までに買主が耐震改修か取壊しをした場合も対象になります(国税庁の同じページ)。売主が手を入れずに現況のまま業者へ売る場合に関わる改正です。家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いると、令和6年1月1日以後の譲渡では1人あたりの控除が2,000万円になります(国税庁の同じページ)。ここに挙げたのは主な要件で、全部ではありません。使えるかどうかは、「空き家3000万円控除の条件」の記事の判定の順番で一つずつ確かめてください。

この章の「1. 実家を売却する方法と、利益にかかる税金の仕組み」の910万円の例で控除が使えれば、譲渡所得は0円になります。所得税も住民税もかかりません。

取得費加算の特例は、相続税を納めた人が、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに相続財産を売ったとき、納めた相続税の一部を取得費に加えられる制度です(国税庁 No.3267・租税特別措置法第39条)。相続税がかからなかった人には使えません。

空き家の特例と取得費加算は、同じ家の売却で両方は使えず、どちらかを選びます(租税特別措置法第35条第3項)。相続税を多く納めた家では、取得費加算の方が税額が小さくなることもあります。両方で計算して比べてください。取得費加算で減る額の出し方は、「相続した家の売却の税金」の記事の計算例が手がかりになります。

実家の名義変更と税金の診断表:移し方と売る予定から期限を出す

ダイニングテーブルで、今後の予定について話し合っている親族

名義の移し方と売る予定の有無が決まれば、かかる税金と使える特例と期限は、下の診断表の該当する1行で決まります。

相続登記の書類を集め始め、売るか住むかを家族で話し合っている時期に、表の行を1つ選んでください。行が決まれば、どの期限が先に来るかが見え、相続登記と売却の順番を組めます。

1. 名義の移し方×売る予定で見る診断表

率と期限の出どころは、国税庁の登録免許税の税額表、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例と空き家の特例の案内、法務省の相続登記の案内です。

名義の移し方と売る予定(診断)かかる税金使える特例と期限
相続登記で移し、売る登録免許税(評価額の1000分の4・国税庁の税額表)。売って利益が出れば譲渡所得の税空き家の3,000万円控除(相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)か取得費加算(相続税の申告期限の翌日以後3年まで)のどちらか1つ
相続登記で移し、住む・持ち続ける登録免許税(評価額の1000分の4・国税庁の税額表)と毎年の固定資産税相続登記は知った日から3年。住んだり貸したりした時点で空き家の控除は使えなくなる
生前贈与で移し、売る贈与税・登録免許税(評価額の1000分の20・国税庁の税額表)・不動産取得税。売って利益が出れば譲渡所得の税空き家の3,000万円控除は使えない。贈与税の申告は贈与を受けた翌年
生前贈与で移し、住む・持ち続ける贈与税・登録免許税(評価額の1000分の20・国税庁の税額表)・不動産取得税相続時精算課税なら年110万円の基礎控除と別枠の特別控除2,500万円まで贈与税はかからず、基礎控除を引いた額を相続のときに相続財産へ足す(2024年1月1日以後の贈与)
名義を移さず、親が存命のうちに親が売る名義変更の税金はなし。売って利益が出れば親に譲渡所得の税親が住んでいた家なら、居住用財産の3,000万円控除を親が使える場合がある

当てはまる行が2つに見えるときは、売る予定のある方の行で期限を見てください。売るか決めきれないうちに家を貸したり住んだりすると、表の1行目(相続登記で移し、売る)にある空き家の控除が使えなくなるからです。

2. 見落としやすい注意点:特例の期限を引渡し日から逆算する

実家の売却で見落としやすい注意点は、相続登記・空き家の控除・取得費加算の3つの期限を、それぞれ別の日から数えることです。相続登記は相続を知った日から、空き家の控除は相続の開始の日から、取得費加算は相続税の申告期限から数えます。

2025年4月に母が亡くなり、同じ月に相続を知った場合で並べます。相続登記の期限は2028年4月です。空き家の控除は、2028年12月31日までの譲渡が対象になります。先に来るのは相続登記の期限で、売るならその前に登記を終え、年末までに引渡しを済ませる日程になります。

税金の計算で使う譲渡の日は、原則として引渡しの日で、契約の日を選べる場合もあります。年末に近い売却では、どちらの日で申告するかで期限の内か外かが変わりえます。契約の前に税務署で確かめてください。

相続の後に、家の傷みを気にして親族に住んでもらうことがあります。売れるまでの間だけ人に貸すこともあります。どちらも、その時点で空き家の控除は使えなくなります。片付けや草刈りで出入りするのは構いません。住む・貸す・事業に使うことは、売るまで避けてください。

名義変更と売却の段取りを組む前に、次の5つを紙に書き出してください。

  • □ 相続を知った日と、相続登記の期限の日付
  • □ 親が亡くなった日と、空き家の控除の期限になる年の12月31日
  • □ 相続税の申告が要るかどうかと、要るなら申告期限の日付
  • □ 相続の後に、実家に誰かが住んだり実家を貸したりした期間があるか
  • □ 引渡しを置きたい月と、その月が3つの期限の内側に入るか

診断表を使う前に確認する項目

  • 名義の移し方

    相続登記で移すか、生前贈与で移すか

  • 売る予定の有無

    売るか、住む・持ち続けるか

  • 期限の確認

    選んだ行からどの期限が先に来るかを見る

なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。

「実家の名義変更と税金の診断表:移し方と売る予定から期限を出す」について、そのまま聞けます。

当社が相続した実家を買い取るとき、名義変更から入金まで

当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。

「当社が相続した実家を買い取るとき、名義変更から入金まで」について、そのまま聞けます。

実家の名義変更の税金で、先に決める3つのこと

  • 名義は相続で移すと登録免許税の1000分の4だけで済み、生前贈与では1000分の20に贈与税と不動産取得税が加わります(国税庁の登録免許税の税額表)。売る予定のある実家を贈与で移すと、空き家の3,000万円控除も使えません。
  • 相続登記は相続を知った日から3年が期限で、2024年4月1日より前から知っていたなら2027年3月31日までです。名義が親のままでも契約は結べますが、決済の前に相続登記を終えておきます。
  • 売るなら、相続登記・空き家の控除・取得費加算の3つの期限を日付で書き出し、早い期限から引渡しの日を逆に決めます。相続の後に住んだり貸したりすると、空き家の控除はその時点で使えなくなります。

当社は、相続登記が済んでいない実家もいまの状態のままご相談を受け、名義の移転と代金の支払いを決済の同じ日に行います。

査定は無料・売却の義務なし
0120-996-748受付時間10:00〜19:00(水・日曜定休)

通話料無料・全国対応

この先は、当社の買取窓口「買取くん」のページです(運営は同じ株式会社リアテクスです)。

実家の名義変更と税金について、よくある質問

Q1. 生前に家の名義変更をした場合、税金はどうなりますか

親から子への贈与として扱われます。子が贈与税を納め、名義を移す登記で登録免許税を納め、取得した後に都道府県へ不動産取得税を納めます。贈与税は、暦年課税なら110万円を超えた部分にかかります。相続時精算課税なら、2024年1月1日以後の贈与は年110万円の基礎控除を引いた残りが特別控除2,500万円の内側であればかからず、その基礎控除を引いた額が親の相続のときに相続財産へ足し戻されます。

もう一つ、贈与で受け取った家は、後で売っても空き家の3,000万円控除の対象になりません。税額の違いは、「生前贈与と相続、実家の名義変更はどちらが税金が安い?」の章にある評価額1,200万円の例で見てください。

Q2. 実家の名義変更は自分でできますか

相続登記は、司法書士に頼まずに相続人本人が法務局へ申請できます。親の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、遺産分割協議書と印鑑証明書などを集めて申請書を作り、登録免許税を収入印紙で納めます。

集めた戸籍の束は、法務局の法定相続情報証明制度を使うと、一覧図の写しで代えられる手続が増えます。名義が祖父のままだったり、相続人が多くて戸籍が読み解きにくかったりするときは、司法書士に頼む方が結果として早く終わることがあります。申請書の書き方は、実家の所在地を管轄する法務局の登記手続の案内で確かめられます。

Q3. 実家の名義変更をしないとどうなりますか

相続を知った日から3年を過ぎると、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。売る場合も、決済の前に相続登記が要るため、名義が親のままでは引渡しの日を決められません。

年数がたつほど、相続人の誰かが亡くなって手続に加わる人が増えます。期限の数え方は、「実家の名義変更をしないとどうなる?相続を知ってから3年の期限」の章で、自分が知った日に当てはめてください。

Q4. 家の名義を変更したら相続税はかかりますか

名義を変えたことで相続税がかかるわけではありません。相続税は、親が亡くなった時の遺産の総額が基礎控除を超えるかどうかで決まり、相続登記の有無で増えも減りもしません。

相続で名義を移すときにかかる税金は、登録免許税だけです。ただ、親の生前に贈与で名義を移した場合は贈与税の対象になります。相続時精算課税を選んでいれば、贈与した時の価額から年110万円の基礎控除を引いた額が、相続のときに相続財産へ加わります(2024年1月1日以後の贈与)。

Q5. 実家の相続でやってはいけないことは何ですか

避けたいのは、相続放棄を考えている間に家財を処分したり家を取り壊したりすることと、売るつもりの実家を相続の後に貸したり親族を住まわせたりすることです。前者は放棄ができなくなることがあり、後者は空き家の3,000万円控除が使えなくなります。

税金を理由に、生前に慌てて名義を子に移すのも避けてください。名義変更の税率が相続の5倍になり(国税庁の登録免許税の税額表)、売るときの空き家の控除も失います。名義をどう移すかは、その家を最後に売るのか、住むのかを決めてからにします。

Q6. 2026年に家の名義変更は義務化されますか

2026年4月1日に義務になったのは、登記簿の住所や氏名が変わったときの変更の登記です。法務省の住所等変更登記の義務化の案内では、変更の日から2年以内に登記することが求められます。義務になる前の変更も、2028年3月31日までに登記する必要があります。

相続による名義変更(相続登記)の義務は、それより前の2024年4月1日に始まっています。親が亡くなった実家なら、まず相続登記の期限を確かめてください。引越しで自分の住所が登記と違っている家があれば、住所の変更登記の期限も並べて見ておきます。

当社の見方

当社では、実家を売るか残すかのご相談の中で、名義変更にかかる税金や費用を先に知りたいという方が多くいらっしゃいます。相続した実家を売る場合、一般には売買契約書の印紙代や抵当権の抹消登記の費用、住所変更登記の費用に加えて、相続登記の費用がかかります。書類も、登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書に加えて、相続した物件では戸籍などが追加で必要になります。ご負担いただく費用やご用意いただく書類は個別のご案件によります。そのため、名義をどう変えるか決める前の段階でご相談いただき、売るのか残すのかを一緒に整理する方もいます。実家に住み続けたいご家族がいる場合は、リースバック(売却後も賃借人として住み続ける形)という形もあります。買い取れない物件や売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。

当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。

この記事について

執筆・編集
リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
監修
鶴野 博之鶴野 博之株式会社リアテクス 執行役員宅地建物取引士(東京)第257503号/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)この区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:鶴野 博之(株式会社リアテクス 執行役員)
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