誰も住まなくなった実家にも、固定資産税は毎年かかり続けます。納めるのは毎年1月1日に実家を所有している人で、登記が亡くなった親の名前のままなら、市区町村は相続人の1人に納税通知書を送ります。空き家になっただけで税額が跳ね上がることはありません。土地の税額が大きく動くのは、家を取り壊したときか、市区町村から勧告を受けたまま1月1日を迎えたときです。
空き家
実家の 固定資産税は 誰が 払う? 空き家で 上がる 条件と 試算
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「誰も住まなくなった実家の固定資産税は、これからどうなるのか」。空き家でも固定資産税は毎年1月1日の所有者にかかり続け、土地の税額が大きく上がるのは、更地のまま1月1日を迎えたときか、市区町村の勧告を受けたまま1月1日を迎えたときです。
当社は相続した実家を自己資金で買い取り、決済の日に所有権の移転の登記を行うため、その日が年内なら翌年度の固定資産税は原則として当社にかかります。固定資産税の滞納で差押えの登記が入り、売買代金で清算できない実家は買い取れません。この家が買い取れるかどうかだけ、先に聞く(無料)
目次(9章)
固定資産税の通知書が届く実家を、空き家のまま相談できます
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実家の 固定資産税は 誰に、 いつ 請求される? 1月1日の 所有者に 1年分が 届く
実家の固定資産税は、毎年1月1日に実家を所有している人へ、その年度の1年分がまとめて課されます。
親名義のままなら相続人代表者に届き年度途中の日割りはしない
実家の固定資産税の請求先の決まり方
1月1日
実家を所有している人にその年度の1年分が課される
春
相続人の代表者に実家あての納税通知書が届く
年度の途中
所有者が代わっても市区町村は税を日割りにしない
親が亡くなって最初の春に、実家あての納税通知書が「相続人代表者」として自分に届く。あるいは、親の口座からの引き落としが止まって督促状が来る。悩みはたいてい、このどちらかから始まります。宛名は自分でも、課税されているのは親の名前のままの土地と家屋です。兄弟の誰が払う話なのかも、はっきりしません。払う人と払う時期は、地方税法の決まりで先に決まっています。
1月1日に 実家を 所有している 人に、 その 年度の 固定資産税が 課される
総務省は、固定資産税を、毎年1月1日現在で土地や家屋を所有している人に、その固定資産がある市町村が課す税と説明しています(固定資産税(総務省))。この1月1日を賦課期日と呼び、地方税法第359条が定めています。東京23区の中にある実家なら、課税するのは区ではなく東京都です。
1月1日を過ぎてから家を壊しても売っても、その年度の税額は変わりません。年度の途中で所有者が代わっても、市区町村は税を日割りにしないからです。逆に、親が1月2日以後に亡くなった年は、その年度の固定資産税は親に課されたものです。この分は親の未納の税として相続人が引き継ぎます。親の預貯金から払うか、相続人が立て替えるかは、相続人の間で決めることになります。
登記が 親の 名前の ままの 実家は、 相続人の 代表者に 通知書が 届く
地方税法第343条は、固定資産税を登記簿などに所有者として載っている人に課すと定めています。そのうえで、その人が1月1日より前に亡くなっているときは、1月1日に現にその土地や家屋を所有している人に課すとしています。相続登記をしていない実家では、相続人がこの「現に所有している人」に当たります。
遺産分割が終わるまでの実家は、相続人全員の共有です(民法第898条)。地方税法は、共有の土地や家屋の税を共有者が連帯して納める義務を定めています。そのため、市区町村は相続人の誰にでも全額を請求できます。そこで多くの市区町村は「相続人代表者指定届」などの届を出してもらいます。通知書は、指定された1人に送られます。届が出ていなければ、戸籍などから市区町村が1人を選んで送ってきます。現に所有している人に住所や氏名の申告を条例で求めている市区町村もあります。
1月1日の所有者に課税され春に通知書が届き年4回で納める流れ
実家の固定資産税が課される時期
1月1日
1年分の税が課される
この日の所有者にその年度の固定資産税がまとめて課される
1月2日以後
税額は変わらない
年度の途中で家を壊しても売っても税は日割りにならない
春
納税通知書が届く
登記が親のままでも相続人の代表者に通知書が届く
代表者に選ばれても、全額を1人で負担すると決まったわけではありません。通知書を受け取る窓口が1人になっただけです。誰がどれだけ負担するかは、相続人の間で決めます。このまま何年か過ぎると、実家の近くに住む1人が毎年立て替えがちです。ほかの相続人は、その額を知らないままになります。領収書は年度ごとに残してください。立て替えた分を遺産分割の話し合いでどう精算するかも、早めに相続人の間で話しておくと後で揉めにくくなります。
実家の 固定資産税と 都市計画税は、 1枚の 通知書で 来る
実家が市街化区域にあれば、固定資産税と一緒に都市計画税も課され、同じ通知書にまとめて載ります。都市計画税は、都市計画事業などの費用にあてるために市町村が条例で課す税です。税率は、地方税法第702条の4で0.3%を超えられないとされています。住宅の敷地には都市計画税にも軽減があります。同法第702条の3により、課税標準は価格の3分の2、そのうち200㎡以下の部分は3分の1です。
通知書は春先に届きます。納期は4月・7月・12月・2月の中で市区町村が条例で定めるのが基本です(地方税法第362条)。1期分を払い忘れたまま納期限を過ぎると、督促状と延滞金の対象になります。親の口座から振り替えていた場合は要注意です。口座が相続の手続きで止まった時点で、引き落としも止まります。届いた納付書で払う形に、早めに切り替えてください。
空き家に なった 実家の 固定資産税は 上がる? 6分の 1の 特例が 外れる 条件
空き家になっただけでは実家の土地の固定資産税は上がらず、上がるのは住宅用地の特例が外れたときです。
特例適用中は課税標準が6分の1になり勧告を受けると元に戻る
住宅用地の特例の有無による違い
| 観点 | 住宅用地の特例が続く実家 | 特例が外れる実家 |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税 | 課税標準が価格の6分の1などに小さくなる | 特例が外れて税額が上がる |
| 家屋の状態 | 特例が外れる条件に当たっていない | 屋根や壁が壊れ、人が住む見込みが無い |
| 市区町村の判断 | 住宅として扱われる | 勧告対象や、勧告なしで住宅扱いから外れる |
「空き家にしておくと固定資産税が6倍になる」と聞いて身構えていたのに、誰も住まなくなって3年目の通知書が去年とほとんど同じ額だった。そういう実家は珍しくありません。6倍という数字は、地方税法第349条の3の2の住宅用地の特例から来ています。200㎡以下の部分の課税標準が、価格の6分の1になっているのです。特例が外れる条件にまだ当たっていなければ、空き家でも税額はほとんど動きません。
住宅用地の 特例で、 実家の 土地の 税額は 小さく 計算されている
人が住むための家が建っている土地は、地方税法第349条の3の2により、固定資産税の課税標準が価格の3分の1になります。そのうち住宅1戸あたり200㎡までの部分は6分の1です。課税明細書の土地の行には「小規模住宅用地」「一般住宅用地」といった区分が載っていることが多く、ここが今の税額を小さくしている部分です。
この特例は住宅の敷地に当てるもので、今そこに住んでいる人がいるかどうかだけで決まるわけではありません。ただし、屋根や壁が壊れて人が住める状態に保たれておらず、この先住む見込みも無いと市区町村が判断した家屋は、住宅として扱われないことがあります。その場合、勧告が無くても特例が外れます。空き家の実家の特例がいつまで続くかは、家の傷み方にも左右されるということです。
2023年の 空家法の 改正で、 管理不全 空 家等の 実家も 勧告の 対象に なった
空き家の実家が近所に迷惑をかけるほど傷むと、市区町村は空家等対策の推進に関する特別措置法に基づいて動きます(空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索))。倒壊などのおそれがある「特定空家等」には、同法第22条で助言・指導、勧告、命令、行政代執行の順に進む手続きがあります。2023年12月に施行された改正で、その手前の段階にあたる「管理不全空家等」が加わりました。同法第13条で、市区町村長は指導と勧告ができます。
勧告を受けた家の敷地は、地方税法第349条の3の2で住宅用地の特例の対象から外されます。改正前に外れたのは、特定空家等として勧告を受けた家だけでした。今は、窓が割れたまま、雑草が隣の敷地まで伸びている、といった段階の実家でも、指導に応じなければ勧告を経て特例が外れる道筋があります。段階ごとの市区町村の動きと通知の届き方は、「空き家の固定資産税が6倍になる条件」の記事で勧告までの流れとして整理されています。
助言・指導から 勧告を 経て、 翌年度の 固定資産税に 響くまで
始まりは、近所からの連絡や市区町村の見回りです。市区町村は所有者を調べ、文書や電話で連絡してきます。登記が親の名前のままの実家では、この連絡も通知書と同じく相続人代表者などに届きます。指導に応じて草を刈り、壊れた所を直せば、勧告まで進まずに済みます。
指導に応じないまま勧告を受け、勧告が出ている状態で1月1日を迎えると、その年度の土地の税額は特例を外して計算されます。秋に勧告を受けたなら、影響が出るのは翌年の春に届く通知書です。勧告の後に状態を直し、勧告が取り消されれば、次の1月1日以後の年度から特例に戻るのが通常の扱いです。手続きと時期は、市区町村に確かめてください。
指導から勧告を経て次の1月1日を迎えると翌年度から特例が外れる
空き家の土地の特例が外れる流れ
- 1
空き家の放置と指導
家が傷むと市区町村から指導を受ける
- 2
市区町村からの勧告
指導後も改善されないと勧告の対象になる
- 3
次の1月1日を迎える
勧告を受けた状態のまま1月1日を過ぎる
- 4
翌年度の特例が外れる
住宅用地の特例が外れ、土地の税額が上がる
地方税法第349条の3の2の6分の1が当たらなくなっても、通知書の額がそのまま6倍になるとは限りません。外れた後の課税標準額は、地方税法の附則にある負担調整の定めで決まり、前年度の課税標準額や近くの土地との比べ方によって上がり方が変わります。正確な額を出せるのは市区町村の資産税の担当課です。どこまで上がりうるかの上限側の目安なら、「実家の固定資産税を、納税通知書の課税明細書で試算する手順」の節で手元で計算できます。
「空き家になった実家の固定資産税は上がる?6分の1の特例が外れる条件」について、そのまま聞けます。
築年数が たっても 実家の 家屋の 固定資産税が 下がりきらないのは なぜ?
家屋の評価は同じ家を今建てる費用から古さの分を引く方式で、木造は一定の年数で下げが止まるため、実家の税額は築年数ほどには下がりません。
通知書には、土地の欄とは別に家屋の欄があります。親が建てて30年、40年たった家なのに、家屋の課税標準額が思ったほど小さくない。3年に1度の評価替えの年にも、ほとんど下がらなかった。そう感じている方は多いはずです。理由は、家屋の評価の決め方そのものにあります。
1. 実家の 家屋の 評価は、 同じ家を 今建てる 費用から 古さの 分を 引いて 決まる
家屋の評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に沿って計算されます。まず、評価の時点で同じ家をもう一度建てたらいくらかかるかという再建築費を出します。そこに、建ってからの年数に応じた減り方(経年減点補正率)を掛けます。親が家を建てたときの代金や、今の中古住宅の売り出し価格は、この計算に入りません。
3年に1度の評価替えでは、再建築費もその時点の建築費で計算し直されます。資材や工事の費用が上がった時期には、古くなった分の減り方を、建て直す費用の上がり方が打ち消します。さらに、以前からある家屋は据え置かれます。計算し直した額がそれまでの価格を上回るときは、それまでの価格のままです。上がりはしない代わりに、下がり方も小さくなる。築15年ほどの家で「下がらない」と感じる理由は、この組み合わせであることが多いのです。
築年数がたつと下がるが一定年数で再建築費の2割で下げ止まる
木造家屋の評価額の推移
- 評価替えの周期3年
- 下がらないと感じる築年数15年
- 多くが下限を過ぎる築年数30年
2. 木造の 実家は、 一定の 年数で 評価の 下げが 止まる
固定資産評価基準の経年減点補正率には下限があり、木造の住宅は0.20で止まります。建ってからの年数とともに下がっていき、一定の年数に達すると、それ以後は何年たっても再建築費の2割の評価が残ります。下限に達するまでの年数は、家の構造や1㎡あたりの評点によって、固定資産評価基準の表で分けられています。
築30年を過ぎた木造の実家なら、多くはこの下限の近くにいるとみられます。そうなると、家が傷んでいても、誰も住んでいなくても、家屋の税額はほぼ同じ額で毎年続きます。雨漏りや大きな傾きがある家には、損耗の程度に応じた補正を市区町村が当てることがあります。資産税の担当課に家の状態を伝えて、相談する余地はあります。
再建築費に経年減点補正率を掛け3年ごとの評価替えで計算し直す
家屋の評価額が決まる仕組み
- 1
再建築費を出す
同じ家をもう一度建てた場合の費用を出す
- 2
古さの分を引く
年数に応じた経年減点補正率を掛けて減点する
- 3
3年ごとの評価替え
建築費の上昇が古くなった分の減点を打ち消す
- 4
評価額の据え置き
計算し直した額が上回る場合は据え置かれる
3. 実家の 土地の 評価額は、 家の 築年数と 関係なく 動く
土地の評価は、家の古さとは切り離されています。土地も3年に1度の評価替えで見直され、その地域の地価の動きが反映されます。駅に近い住宅地のように地価が上がっている所では、家の評価が下げ止まる一方で土地の評価が上がり、通知書の合計が年々増えることもあります。人口が減っている地域では土地の評価が下がり、家屋の下げ止まりと合わせて、合計がほぼ横ばいで続きます。
家屋と土地の欄は、分けて見てください。家屋の額は、家がある限り下限の近くでほぼ同じ額が続きます。取り壊せば、翌年度から無くなります。土地の額は、家があって特例が当たっている間は小さく、家が無くなると大きくなります。2つの動きは逆向きです。だから、住む・貸す・解体・売るのどれを選ぶかで、合計の額が変わってきます。
実家に 住む・貸す・解体する ・ 売るで、 固定資産税は どう 変わる?

住む・貸すなら土地の特例は続き、解体すると次の1月1日から特例が外れ、売れば1月1日の所有者が替わった年度から納税者が替わります。
四十九日が過ぎ、遺品の片付けが一段落したころ、「この家をどうするか」を兄弟で話し始める方が多いはずです。その話し合いで固定資産税を左右するのは、次の1月1日に実家に家が建っているか、住宅として使われているか、誰の名義になっているかです。選ぶ道ごとに、その答えが変わります。
1. 実家に 住む・貸す 場合は、 住宅用地の 特例が そのまま 続く
相続人の誰かが移り住むか、人に貸して住んでもらう場合、実家は住宅として使われ続けます。土地の住宅用地の特例も続き、家屋の税も今までどおり課されるので、通知書の額は大きくは変わりません。
住む場合に先に問題になるのは、屋根や水回りの修繕を誰が負担し、その費用を相続人の間でどう分けるかです。貸す場合は、家賃から固定資産税と修繕費を払って残りがあるかを見ます。家賃の収入は所得税の申告の対象です。手元に残る額は、申告後の額で考えてください。人が住める状態に直す費用も先にかかります。借り手が見つからなければ、その間も税は続きます。
2. 実家を 解体して 更地に すると、 次の 1月1日から 特例が 外れる
家を取り壊すと、次の1月1日には住宅が無いので、その年度から土地の住宅用地の特例が当たらなくなります。家屋の固定資産税は無くなりますが、土地の分が上がり、合計では解体前より増えることがよくあります。どれだけ増えるかは土地の価格と面積で変わるので、「実家の固定資産税を、納税通知書の課税明細書で試算する手順」の節の早見表で確かめてください。
解体の時期は、1月1日をまたぐかどうかで1年分の差になります。年が明けてから解体すれば、その年度は家がある前提の税額のままです。更地のまま次の1月1日を迎えると、翌年度から上がります。解体費用の目安と、壊さずに売る場合との比べ方は「空き家の解体費用はいくらかかるか」の記事にあります。壊す前に売るか壊して売るかの手取りの差は、「古家は解体するかそのまま売るか」の記事が計算の例で比べています。売るつもりなら、更地にしてから買い手を探す間に1月1日を迎えない日程を組めるか、先に考えておいてください。
住む貸す場合は特例が続き解体すると次の1月1日から特例が外れる
実家の活用方法と固定資産税の変化
| 活用方法 | 次の1月1日の状態 | 固定資産税への影響 |
|---|---|---|
| 住む・貸す | 住宅として使われ続ける | 特例が続き、額は大きく変わらない |
| 解体して更地にする | 住宅が無い | 特例が外れ、合計額は増えることが多い |
| 売る | 所有者が替わる | 所有者が替わった年度から納税者が替わる |
3. 実家を 売る 場合は、 1月1日の 所有者が その 年度分を 納める
売った場合も、その年度の固定資産税は1月1日の所有者である売主に課されます。年度の途中で引き渡しても、市区町村が残りの月の分を買主へ付け替えることはありません。売買では、その年度の税を引渡しの日で日割りにする取り決めが多くあります。買主の負担分は、売主に支払います。ただしこれは売主と買主の契約で決める事柄です。法律で決まった精算ではありません。
翌年度の納税者は、次の1月1日に登記簿の所有者が誰かで決まります。12月中に引渡しと所有権の移転の登記を終えれば、翌年度の通知書は買主に届きます。1月にずれ込めば、売った後でも、もう1年分の通知書が売主側に届きます。売った利益にかかる譲渡所得の税は、固定資産税とは別の税です。相続した実家なら、「空き家3000万円控除の条件」の記事にある特例が使えるかどうかで、手取りが大きく変わります。
「実家に住む・貸す・解体する・売るで、固定資産税はどう変わる?」について、そのまま聞けます。
実家の 固定資産税を、 納税通知書の 課税明細書で 試算する 手順

課税明細書の土地の価格・課税標準額・地積の3つを書き出せば、今の税額と、特例が外れた場合の上限側の額を手元で計算できます。
春に届いた通知書の封筒には、課税明細書という表が入っています。数字が細かく並んだ読みにくい書類です。それでも、この試算に使うのは土地の行の3つの欄だけです。
1. 課税明細書から、 実家の 土地の 価格・課税標準額・地積を 書き出す
土地の行には、所在と地番、地目、地積、価格、課税標準額、税額などが並んでいます。価格は市区町村が評価した土地の値段で、特例を当てる前の額です。課税標準額は、その価格に住宅用地の特例などを当てた後の、税率を掛ける元になる額です。地積は課税の面積で、登記簿の面積と同じことが多いものの、現況の面積で課税している市区町村もあります。欄の名前は市区町村ごとに少しずつ違います。「評価額」「本年度価格」「固定資産税課税標準額」などの表記で読み替えてください。
実家の土地が2筆以上に分かれているときは、筆ごとに行が分かれます。住宅用地の特例は1戸の住宅の敷地全体で200㎡を数えるので、同じ家の敷地になっている筆の価格と地積を合計してから計算します。家屋の行にも価格と課税標準額があります。家屋の税額は土地の特例の有無で変わらないので、今の家屋の税額を書き写しておけば足ります。
課税明細書から書き出す価格、課税標準額、地積と、複数筆や欄の名称の違いの注意点
課税明細書で試算に使う項目と注意点
土地の価格(特例前)
市区町村の評価額。特例を当てる前の元の値段。
土地の課税標準額(特例後)
価格に特例を当てた後の額。税率を掛ける計算の元。
土地の地積
課税される面積。登記簿ではなく現況の場合もある。
複数筆に分かれている場合
同じ家の敷地なら、筆ごとの価格と地積を合計して計算する。
欄の名前が違う場合
「評価額」「本年度価格」などの表記に読み替えて探す。
2. 特例が 外れた 場合の 固定資産税を、 試算の 早見表で 計算する
固定資産税の税率は、地方税法第350条で標準税率が1.4%とされ、多くの市区町村がこの税率で課しています(地方税法(e-Gov法令検索))。違う税率の市区町村もあるので、通知書の税額を課税標準額で割り、自分の市区町村の税率を確かめてから計算してください。次の試算の早見表は、地積が250㎡、価格が1,000万円で、1戸の住宅が建っている実家を例にした計算です。
| 計算の段 | 式 | 例(地積250㎡・価格1,000万円) |
|---|---|---|
| 200㎡までの部分の価格 | 価格 × 200 ÷ 地積 | 1,000万円 × 200 ÷ 250 = 800万円 |
| 200㎡を超える部分の価格 | 価格 − 200㎡までの部分の価格 | 1,000万円 − 800万円 = 200万円 |
| 特例が効いている課税標準額 | 200㎡までの部分 × 6分の1 + 超える部分 × 3分の1 | 約133万円 + 約67万円 = 約200万円 |
| 今の土地の固定資産税 | 課税標準額 × 1.4% | 約200万円 × 1.4% = 約2万8,000円 |
| 特例を外して価格で計算した額 | 価格 × 1.4% | 1,000万円 × 1.4% = 14万円 |
| 1年あたりの差の上限側 | 特例を外した額 − 今の土地の税額 | 14万円 − 約2万8,000円 = 約11万2,000円 |
表の「特例を外して価格で計算した額」は、負担調整の定めを入れずに出した上限側の額です。特例が外れた年度の実際の通知書は、これより低い額になります。負担調整は、前年度の課税標準額などから額を決めます。今の額と上限の間のどこに来るかは、資産税の担当課に試算を相談してください。
課税明細書の課税標準額が、表で計算した「特例が効いている課税標準額」より低いことがあります。そのときは課税明細書の額を使い、今の税額もその額に税率を掛けて出します。都市計画税がかかる実家なら、同じ例で今の額は課税標準額400万円(800万円の3分の1と200万円の3分の2の合計)に0.3%を掛けた1万2,000円です。特例を外して価格で計算した額は、1,000万円に0.3%を掛けた3万円です(地方税法第702条の3・第702条の4。0.3%は上限の税率で、これより低い市区町村もあります)。
相続登記の 期限までに、 実家の 固定資産税を どうする か 決める 手順

相続登記の期限と次の1月1日の2つの日付を先に書き出し、その間に実家を住む・貸す・壊す・売るのどれにするかを決めます。
試算で上限側の額が分かったら、次は時間の区切りです。相続した実家の固定資産税を止めたい、減らしたいと考えたとき、使える区切りは相続登記の申請期限と、毎年の1月1日の2つです。
1. 実家の 相続登記の 期限を、 自分の 場合の 日付で 書き出す
相続登記の申請は2024年4月1日から義務になり、相続で実家を取得したと知った日から3年以内に申請することになりました(相続登記の申請義務化について(法務省))。根拠は不動産登記法第76条の2第1項です。2024年4月1日より前に親が亡くなった実家も対象で、期限は、施行日の2024年4月1日と、自分が取得を知った日のうち遅い方から3年です。施行日より前から相続を知っていた方なら、期限は2027年3月31日になります。
相続登記をしても、固定資産税の額は変わりません。変わるのは2つです。翌年度の通知書が登記の名義人に届くようになること。売る・貸す・壊すといった手続きを、名義人として進められるようになること。遺産分割で1人が実家を取得して登記すれば、以後の年度はその人が納税者になり、ほかの相続人は連帯して納める立場から外れます。登記を後回しにした場合に何が起きるかは、「土地の名義変更をしないとどうなるか」の記事が期限の数え方とあわせて書いています。
施行日より前に知っていた場合は2027年3月末が期限になる
相続登記の期限の分かれ方
2024年4月1日より前
相続を知っていた場合
相続登記の期限は施行日から3年後の2027年3月31日
2024年4月1日以後
相続を知った場合
相続登記の期限は実家の取得を知った日から3年以内
2. 次の 1月1日から 逆算して、 実家を 住む・貸す・壊す・ 売るの どれに するか 決める
今が秋なら、次の1月1日まで3か月ほどしかありません。この間にできるのは、相続人の間で実家をどうするかの方向を決めることと、売るなら年内の決済に間に合うかを確かめることです。決める順番は、住む人や借りる人の見込みを先に確かめ、無ければ壊すか売るかを比べる流れにすると迷いが減ります。どの見込みも無いまま「とりあえず置いておく」を選ぶと、通知書は毎年同じ額で届きます。家の傷みが進めば、指導や勧告にも近づきます。
壊すか売るかを比べるときは、税額だけを見ないでください。解体費用、草刈りや見回りの費用、火災保険料を年ごとに足した額を並べます。持ち続けた場合の負担の累計が、売った場合の手取りとどの年で逆転するかは、「空き家の固定資産税を払い続ける損益分岐点」の記事に計算の組み立て方があります。売ると決めたら、遺産分割の協議、相続登記、売買契約、決済の順で日程を組み、12月中に所有権の移転の登記まで終えられるかを買主と確かめます。年内に間に合わないときは、翌年度の通知書が売主側に届く前提で、精算の取り決めを契約書に書いておきます。
なお、この記事の税務・法務に関する記載は一般的な情報提供であり、個別の事案についての判断ではありません。適用の可否や具体的な税額については、税務署または税理士、登記については司法書士、境界や隣地との権利関係については弁護士や土地家屋調査士など、それぞれの専門家にご確認ください。当社は不動産の買主であり、税務や法律の代理はできません。
「相続登記の期限までに、実家の固定資産税をどうするか決める手順」について、そのまま聞けます。
当社に 実家を 売った 年の 固定資産税は 誰が 払う? 買取の 流れと 書類
当社が買い取る条件・買い取れない条件と、実際の買取事例は「当社の買取基準」にまとめています。
「当社に実家を売った年の固定資産税は誰が払う?買取の流れと書類」について、そのまま聞けます。
実家の 固定資産税で、 次の 1月1日までに 確かめる 3つの こと
- 固定資産税は1月1日の所有者に1年分が課され、登記が親の名前のままなら相続人の代表者に通知書が届きます。立て替えた額は領収書で残し、相続人の間の精算に備えてください。
- 空き家でも、住宅用地の特例が当たっている間は土地の税額はほとんど動きません。特例が外れるのは、更地のまま1月1日を迎えたときと、勧告を受けたまま1月1日を迎えたときです。
- 課税明細書の価格・課税標準額・地積で特例が外れた場合の上限側の額を出し、相続登記の期限と次の1月1日の2つの日付から、住む・貸す・壊す・売るを決めます。
当社は、相続登記が済む前の段階からご相談を受け、自己資金で実家を買い取ります。
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実家の 固定資産税に ついて、 よく ある 質問
Q1. 実家の 固定資産税は、 相続人の うち誰が 払うのですか
相続登記の前の実家は、相続人全員が連帯して納める立場です。市区町村はそのうち1人を代表者として通知書を送るので、まずはその人が払う形になります。ただ、負担の割合は相続人の間で決めてかまいません。遺産分割で1人が実家を取得して登記すれば、以後の年度はその人が納めます。代表者の決まり方は「登記が親の名前のままの実家は、相続人の代表者に通知書が届く」の項にあります。
Q2. 誰も 住まなくなった 実家の 固定資産税は、 どうなりますか
誰も住まなくなっても、通知書は前の年とほぼ同じ額で届き続けます。家が建っていて住宅として扱われている間は、土地の住宅用地の特例が当たるからです。土地の税額が上がるのは、取り壊して更地のまま1月1日を迎えたときと、空家法の勧告を受けたまま1月1日を迎えたときです。家が人の住めない状態まで傷むと、勧告が無くても住宅として扱われなくなることがあります。見回りと最低限の手入れは続けてください。
Q3. 実家の 固定資産税は、 一生 払わなくては いけませんか
実家を所有している限り、毎年1月1日の所有者として課され続けます。終わるのは、売ったり贈与したりして、1月1日の時点で名義が自分から外れたときです。同じ市区町村の中で課税標準額の合計が、土地は30万円、家屋は20万円に満たないときは、免税点として課されません(地方税法第351条)。ただ、住宅地にある実家でこれに当たることは多くありません。
Q4. 築30年の 実家の 一軒家だと、 固定資産税は いくらぐらいですか
築年数だけで額は決まりません。家屋の分は、木造なら築30年ほどで評価の下げが止まりかけていることが多く、ほぼ同じ額が毎年続きます。土地の分は所在地の地価と面積で決まるので、同じ築30年でも市区町村によって大きく違います。自分の実家の額は、春に届く課税明細書を土地と家屋の行に分けて読むと分かります。
Q5. 木造の 実家は、 20年後に 固定資産税が どうなりますか
家屋の分は、経年減点補正率が下限に近づくにつれて下がり方が小さくなり、やがて横ばいになります。土地の分は地価の動きと3年に1度の評価替えで上にも下にも動き、家を残している限り特例は続きます。20年の間に家を取り壊せば家屋の分は無くなり、土地の分が上がります。築15年ほどで下がらないと感じる理由は、「実家の家屋の評価は、同じ家を今建てる費用から古さの分を引いて決まる」の項で書いた評価の仕組みにあります。
Q6. 実家を 相続しなければ、 固定資産税は 払わなくてよいですか
家庭裁判所で相続放棄が認められれば、初めから相続人でなかったことになり(民法第939条)、その後の年度の納税者にはなりません。ただし、放棄は相続の開始を知った時から3か月以内が原則で(民法第915条第1項)、実家だけを選ぶことはできず、預貯金なども受け取れなくなります。放棄の時に実家を現に占有している人には、次に管理する人へ引き渡すまで保存する義務も残ります(民法第940条第1項)。この義務の中身は「相続放棄しても実家の管理義務は消えない」の記事で確かめてから決めてください。
Q7. 実家の 固定資産税を 滞納すると、 どうなりますか
納期限を過ぎると督促状が届き、納めるまでの日数に応じて延滞金が加わります。それでも納めなければ、市区町村は財産を差し押さえることができ、相続人の預貯金や給与が対象になることもあります。親の名前のままの実家なら、相続人全員が連帯して納める立場なので、代表者以外の相続人に請求が及ぶこともあります。払えない事情があるときは、納期限の前に市区町村の納税の担当課へ分割などを相談してください。差押えの登記が入った実家を売るときの扱いは、「当社が実家を買い取れない場合と、売らない方がよい場合」の項にあります。
当社の 見方
ご相談の中では、親御さんが亡くなった後も実家の固定資産税の納税通知書だけが毎年届き、誰が払うのか決まらないまま、ご兄弟のどなたかが立て替え続けているというお話をよくお聞きします。空き家のまま置いておくと負担が重くなるのではと心配しつつ、「住む予定はないけれど、手放してよいのか分からない」と迷われている方も多いです。当社では、売却のお話の前に物件の状況を伺い、買い取れない物件や売らないほうがよい場合は、正直にそうお伝えしています。売却を選ばれる場合は、一般には登記識別情報または権利証・本人確認書類・印鑑証明書・固定資産税の納税通知書をご用意いただき、相続した物件では戸籍などの書類が追加で必要になります。費用は、一般には売買契約書の印紙代や抵当権の抹消登記の費用に加え、相続した物件では相続登記の費用がかかり、ご負担いただく費用は個別のご案件によります。
当社が買い取る物件・お断りする物件と、買取価格の決まり方は、当社の買取事例76件の内訳とあわせて当社の買取基準にまとめています。
この記事について
- 執筆・編集
- リアテクス編集部株式会社リアテクス当社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第107888号)は物件を直接買い取る買主の立場から、売却を検討する方の判断材料となる記事を企画・編集しています。
- 監修
薩摩 賢幸株式会社リアテクス 取締役COOこの区分の監修を担当しています。記事の公開判断は当社が行っています(代表が定めた手順による)。確認・公開判断:薩摩 賢幸(株式会社リアテクス 取締役COO)- 公開・更新
- 公開 更新 内容を見直したときは、この日付と改訂の内容を更新しています。情報の確認日 (出典の公的資料を開いて内容を確かめた日)
- この記事の事実確認の方法
- 法令:空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法出典:総務省、法務省
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